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日本のチーズの歴史と日本で独自に発展したプロセスチーズ

～プロセスチーズ誕生１００周年によせて～

雪印メグミルク（株）ミルクサイエンス研究所

川﨑功博

２０１０年１１月12日チーズフェスタ2011講演

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日本のチーズの歴史と日本で独自に発展したプロセスチーズ～プロセスチーズ誕生１００周年によせて～

日本のチーズの歴史

日本で独自に発展したプロセスチーズ

プロセスチーズ誕生１００周年記念

ミーティング参加報告


日本のチーズの歴史（明治以前）

539年百済から乳製品（蘇と乳酪）を献上

645年帰化人、善那が孝徳天皇に牛乳を献上

平安時代蘇や酪がつくられる。

～鎌倉時代以降、乳利用文化途絶える～

江戸時代白酪の製造

蘇：牛乳を加熱濃縮したもの？

酪：一種の酸凝固チーズ？

白酪：牛乳を加熱濃縮し乾燥させたもの


日本のチーズの歴史（幕末～明治時代）

1863(文久3)年横浜で牛乳販売 1875（明治8）年北海道七重勧業試験場でチーズ作り 1900（明治33）年函館トラピスト修道院でチーズ作り

牛乳搾取所

主に横浜の外国人に販売


日本のチーズの歴史（大正～昭和初期）

1919（大正8）年明治製菓館山工場（後の明治乳業）で

ブリックチーズ製造

1929（昭和4）年北海道製酪組合連合会（後の雪印

乳業）でブリックチーズ製造

当時、牛乳の品質が不安定で、

冷蔵設備もなく、チーズ製造は

大変苦労が多かった・・・・

北海道製酪組合遠浅工場（昭和7年）


初期のチーズ製造１

チーズ作り（カードメイキング）

木製のチーズバット

（昭和９年）

ゴーダチーズの熟成（昭和10年）


初期のチーズ製造２

チェダーチーズの

型詰め、プレス

（昭和２８年）


初期のチーズの広告（昭和７年）


プロセスチーズの誕生１９１１年（明治44年）

20世紀初頭、欧米では、チーズを植民地などに輸出

したいという要望があった。⇒ 殺菌したチーズが欲しい

1905年スイスのGerber社が開発に着手

1911年 Gerber社のWalter GerberとFritz Stattler が

プロセスチーズを発明

1916年 Gerber社とは独立して米国クラフト社も

プロセスチーズを発明し特許を取得

Ｇｅｒｂｅｒ社缶入りプロセスチーズ（1913年）


プロセスチーズの発明

プロセスチーズの製造

細かく砕いたナチュラルチーズ（原料）加熱・殺菌

溶融塩

チーズ中のタンパク質を

溶かし、均一で口溶け

の良いプロセスチーズを作る

プロセスチーズの発明は

チーズフォンデュからヒントを

得たと言われています

ワインに含まれる

酒石酸が溶融塩の

働きをする


プロセスチーズの製造工程

プロセスチーズの

利点

プロセスチーズの作り方

熱で溶かす

（殺菌）

型に

詰める

原料ナチュラルチーズ

細かく

砕く

①殺菌するから、日持ちがする

②一度とかしてから充填するので

様々な形状の小包装が可能


日本におけるプロセスチーズの

製造開始（昭和９年）

昭和９年当時・・・・

冷蔵庫も現在のような輸送手段も

なく、チーズの消費はごくわずか。

昭和９年当時国民一人当たり２g/年（現在約２kg/年）

先人たちは考えた・・・・

先人

日本でチーズ市場を

創るためには、品質が

安定して賞味期限の長い、

プロセスチーズが

適しているのでは？


初期のプロセスチーズ製造

チーズの乳化

（昭和３５年）

６Ｐチーズの製造

（昭和３３年）


初期のプロセスチーズの広告（昭和９年）


初期のプロセスチーズの広告（昭和９年）

チーズは、牛乳の全栄養分を濃縮含有し、有効熱量９０％の理想的美味滋養強精食品です。

特に頭脳を酷使する方々や発育盛りのお子さんには絶対有効の栄養品です。


日本のチーズ生産量推移

チーズ生産量(トン/年)

1900 1940 1950 1960 1970 1980 1990 2000 2011

262

10,000

120,000

第2次大戦

東京

オリンピック

（１９６４）

大阪万博

（１９７０）

ワインブーム

イタリンフードブーム

（１９９０年代）

食生活の洋風化


日本のナチュラルチーズと

プロセスチーズの消費量

0

50

100

150

200

250

300

1993 1995 1997 1999 2001 2003 2005 2007 2009 2011

( x

1,0

00 t

on)

チーズ全体

ナチュラルチーズ

プロセスチーズ


日本のナチュラルチーズ生産量

0

5000

10000

15000

20000

1991 1993 1996 2006

Pro

ducti

on (

t)

ゴーダ

チェダーカマンベール

モッツァレラ

マスカルポーネ

カッテージ

ブルー


日本のプロセスチーズ生産量

0

10

20

30

40

50

60

1993 1998 2002 2010

Constit

uent (%)

スライス

６Ｐ

ベビー

カルトン

切れてる

その他


各国のプロセスチーズとナチュラルチーズの消費割合

0

10

20

30

40

50

0 5 10 15 20 25 30

年間一人あたりのチーズの消費量(kg/年)

プロセスチーズの割合(%)

ﾛｼｱ

ﾆｭｰｼﾞｰﾗﾝﾄﾞ

ｽﾍﾟｲﾝﾊﾝｶﾞﾘｰ

ｵｰｽﾄﾗﾘｱ

ｲｷﾞﾘｽﾉﾙｳｪｰ

ｲｽﾗｴﾙ

ｱﾒﾘｶ合衆国

ﾌｨﾝﾗﾝﾄﾞ

ｵﾗﾝﾀﾞ

ﾄﾞｲﾂ

ｱｲｽﾗﾝﾄﾞ

ﾌﾗﾝｽ

ﾃﾞﾝﾏｰｸ

ｽｳｪｰﾃﾞﾝ

ｽｲｽﾍﾞﾙｷﾞｰ

日本

日本ではチーズの消費に占めるプロセスチーズの割合が高い

データ： Bulletin of the International Dairy Federation, 402/2005 Copyright©チーズ普及協議会 2011 All Rights Reserved.

海外のプロセスチーズ


日本で独自に発展したプロセスチーズ①

とろけるスライスチーズ（１）



とろけるスライスチーズ（２）

とろけるスライスチーズは、パンに乗せて焼くと

溶けて糸を曳く。簡単にチーズトーストができて、

シュレッドチーズより使いやすく賞味期限も長い。

とろけるスライスチーズスライスチーズ



とろけるスライスチーズ（３）

とろけるスライスチーズさけるチーズ

とろけるスライスチーズにみられる、溶けて糸を曳く性質は、さけるチーズや

モッツァレラチーズにみられる繊維性と同じもの。

ナチュラルチーズのもつ繊維性を壊さずに、プロセスチーズにしたのが、

とろけるスライスチーズ。つまりとろけるスライスチーズは、ナチュラル

チーズに最も近いプロセスチーズだと言えます。



とろけるスライスチーズ（３）

スライスチーズの普及

１９７０年代８０年代９０年代２０００年代

スライスチーズ

発売とろけるスライス

チーズ発売

パン食の普及

宅配ピザの普及

トースターが

ポップアップ式から

オーブンレンジに

９０年代には

消費量逆転


日本で独自に発展したプロセスチーズ②

切れてるチーズ（１）



切れてるチーズ（２）

ナイフなしで、そのまま摘める

日本におけるプロセスチーズの進化

カルトンチーズ切れてるチーズ

進化



切れてるチーズ（３）

0

5

10

15

20

25

1990 1995 2000 2005 2010 2015

プロセスチーズ全体に占める割合（％）

切れてるチーズ

カルトンチーズ切れてる

チーズ

発売

カルトンチーズから切れてるチーズへの世代交代

逆転！


日本で独自に発展したプロセスチーズ③

キャンディタイプチーズ（１）



キャンディタイプチーズ（２）

一口サイズ（約５ｇ）

簡単に開けられる



キャンディタイプチーズ（３）

子供向け、おつまみ色んなフレーバーが人気です

サラミガーリックカルシウム入り

ヨーグルトイチゴスモークわさび


日本で独自に発展したプロセスチーズ④

旨味リッチなプロセスチーズ（１）


日本で独自に発展したプロセスチーズ④

旨味リッチなプロセスチーズ（２）

タンパク質分解能力の

高い乳酸菌

チーズ中のタンパク質（カゼイン）ｱﾐﾉ酸（旨味成分）

原料のナチュラルチーズの熟成にタンパク質分解能力の高い乳酸菌を

使うことで、旨味リッチなプロセスチーズに！！


2011年９月２０日、チェコ（プラハ）でプロセスチーズ誕生１００周年記念ミーティングが開催された

会場の様子

プラハ城


チェコは国民一人当たりの

プロセスチーズ消費量が世界一

国名一人あたりの消費量（kg/年）

チェコ２．３

ポーランド２．２

スロバキア１．８

ドイツ１．７

アイルランド１．７

イタリア１．６

フランス１．５

フィンランド１．５

オーストリア１．２

スペイン１．１

参加国：チェコ、ドイツ、ポーランド、オーストリア、フィンランド、

日本など


プロセスチーズ誕生１００周年記念ミーティング

～講演会～

内容

①日本におけるチーズの歴史

②日本で独自に発展した

プロセスチーズ

③日本のチーズ市場

プロセスチーズの歴史、技術、健康機能に関する講演会がありました。

日本からの講演：「日本におけるプロセスチーズ生産とその市場」



～試食会（１）～

ヨーロッパ各国から参加したプロセスチーズメーカーによる製品展示



～試食会（２）～

ＢｅｆｏｒｅＡｆｔｅｒ

日本から持ち込んだプロセスチーズ製品、大人気でした。



～プロセスチーズラベルの展示（１）～

ラクトスコレクション：世界一のチーズラベルのコレクション

(www.lactoscollection.cz)



～プロセスチーズラベルの展示（２）～



～プロセスチーズラベルの展示（３）～

缶入りプロセスチーズ（1913年）

初期のパッケージプロセスチーズを発明したＧｅｒｂｅｒ社のもの



～プロセスチーズラベルの展示（４）～

日本のパッケージもコレクションされていました


ご清聴ありがとうございました

日本で発展し多様性のある

プロセスチーズを

これからもご愛用ください

チーズ普及協議会


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