令和元年度 中国四国医師会連合総会(高知) ·...

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昭和26年8月27日 第3種郵便物承認 2019年(令和元年)10月25日(8) 広島県医師会速報(第2423号) 令和元年度中国四国医師会連合総会(当番県:高知県医師会)が開催され、1日目(9月28 日)の常任委員会では、前年度の事業・会計報告および、日医協の開催、中四医師会連合の あり方、分科会・総会の運営、勤務医委員会・医事紛争研究会・事務局長会議の開催などが 協議された。 その後各分科会、第1「医療保険・産業保健」、第2「地域包括ケアシステム」、第3「地域医 療・地域保健」に分かれ各県の課題を報告し協議した。終了後は懇親会が行われ初日を終了。 2日目(9月29日)の総会では、平成30年度事業決算報告(島根県)など各協議事項が承認 され、特別講演Ⅰでは横倉義武日本医師会長より「日本医師会の医療政策」、特別講演Ⅱで は東京慈恵会医科大学の中山和彦名誉教授より「森田正馬の人となり・その業績」があり2 日間の日程を終了した。 令和元年度 中国四国医師会連合総会(高知) 1日目(常任委員会・3分科会) 医療保険、地域包括ケア、地域医療の3分科会にて各県の課題を報告・協議 と き 令和元年9月28日㈯・9月29日㈰         ところ ザ クラウンパレス新阪急高知(高知県高知市) 中国四国医師会連合総会で挨拶する岡林弘毅高知県医師会長(中央) 【1日目】 常任委員会 高知県医師会の刈谷隆明常任理事の司会によ り、岡林弘毅委員長(高知県医師会長)の挨拶 から始まり、中央情勢報告では江澤和彦日本医 師会常任理事、森本紀彦日本医師会理事、村上 博日本医師会理事、河村康明日本医師会監事、 計田香子日本医師会理事が報告、引き続き平成 30年度中四医師会連合事業・会計を島根県医師 会から報告し、その他として日医協の開催、中 四医師会連合のあり方などについて協議した。 ⑴ 中央情勢報告 日本医師会常任理事 江澤 和彦 厚生労働大臣に岡山県の加藤勝信先生に、ま た厚生労働大臣政務官に日本医師会推薦の自見 はなこ先生と広島県選出の小島敏文先生、厚生

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昭和26年8月27日 第3種郵便物承認 2019年(令和元年)10月25日(8)広島県医師会速報(第2423号) 令和元年度中国四国医師会連合総会(当番県:高知県医師会)が開催され、1日目(9月28日)の常任委員会では、前年度の事業・会計報告および、日医協の開催、中四医師会連合のあり方、分科会・総会の運営、勤務医委員会・医事紛争研究会・事務局長会議の開催などが協議された。 その後各分科会、第1「医療保険・産業保健」、第2「地域包括ケアシステム」、第3「地域医療・地域保健」に分かれ各県の課題を報告し協議した。終了後は懇親会が行われ初日を終了。 2日目(9月29日)の総会では、平成30年度事業決算報告(島根県)など各協議事項が承認され、特別講演Ⅰでは横倉義武日本医師会長より「日本医師会の医療政策」、特別講演Ⅱでは東京慈恵会医科大学の中山和彦名誉教授より「森田正馬の人となり・その業績」があり2日間の日程を終了した。令和元年度 中国四国医師会連合総会(高知)1日目(常任委員会・3分科会)医療保険、地域包括ケア、地域医療の3分科会にて各県の課題を報告・協議と き 令和元年9月28日㈯・9月29日㈰        ところ ザ クラウンパレス新阪急高知(高知県高知市)

中国四国医師会連合総会で挨拶する岡林弘毅高知県医師会長(中央)【1日目】常任委員会 高知県医師会の刈谷隆明常任理事の司会により、岡林弘毅委員長(高知県医師会長)の挨拶から始まり、中央情勢報告では江澤和彦日本医師会常任理事、森本紀彦日本医師会理事、村上博日本医師会理事、河村康明日本医師会監事、計田香子日本医師会理事が報告、引き続き平成 30年度中四医師会連合事業・会計を島根県医師会から報告し、その他として日医協の開催、中四医師会連合のあり方などについて協議した。 ⑴ 中央情勢報告日本医師会常任理事 江澤 和彦 厚生労働大臣に岡山県の加藤勝信先生に、また厚生労働大臣政務官に日本医師会推薦の自見はなこ先生と広島県選出の小島敏文先生、厚生

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広島県医師会速報(第2423号)(9)2019年(令和元年)10月25日 昭和26年8月27日 第3種郵便物承認労働副大臣には岡山県の橋本岳先生がなられ、厚生労働関係は中四国が引っ張るという状況である。 令和2年度の厚生労働省の概算要求が総額32兆6千億円であるが、2022年から高齢者比率が3年連続で4%ずつ増加するため、医療財源の確保、特に22年の改定、24年度同時改定が重要で日本医師会は力を発揮したい。 診療報酬改定が来春になるが、かかりつけ医の機能強化加算80点の攻防が始まっており、薬剤では健康保険組合連合会の湿布保険適用を日本医師会は反対をしている。療養病床では喀痰吸引、医療区分3の管理栄養士など強化予定。全体的には調剤報酬を診療に回す。また調剤薬局と医療機関の再編など地域医療構想で議論するように日本医師会では対応したい。地域医療構想では医師の偏在問題など、地対協を通じて知事が厚生労働大臣に要請できるので医師会の力が発揮できる。 介護は年末までに議論を行い、利用者自己負担の調整を含め財務省や厚生労働省と連携して5年間はしのげるよう戦う。日本医師会理事 森本 紀彦 昨年6月から毎月1回理事会に出ているが、理事会の前には勉強会が開催されており、その講師の先生をご紹介する。慶応大学の権丈善一先生、財務省の滝川審議官、元日経新聞の渡辺氏、飯島勲内閣官房参与、連合会長の古賀伸明会長、日経新聞論説者の大林氏、塩野義製薬社長の手代木功氏、日本総合研修所の野上氏、前日本銀行総裁の白川方明氏、健康保険組合連合会の山口氏などのお話があり、来月は日本歯科医師会会長のお話もある。日本医師会理事 村上 博 来年の6月まで任期であるが、参加している限りは地方の情報を中央に届けたいと思い、打合せ会があるので毎回テーマを決めて発言している。1回目はマイナンバーカードの保険証化のセキュリティー問題など、データーヘルス改革の問題点を指摘した。2回目は医療事故調査制度について、医師が正直に話した内容を無断録音されて訴訟に使われるようなことでは、医師は本当のことは話せないなど、近年の医療事故に関する問題の指摘。3回目は通常の健診をした情報を特定健診のデータに流用することができるかで、一部の都道府県では行っている問題。4回目は医師の偏在や過不足の問題は地方と中央の意

識は違っていること。5回目は柔道整復師による施設は接骨院であって、整骨院、整骨師という名称は医師としては承服できないという意見を言わせてもらった。6回目は休日加算問題、7回目は小児科専門医シーリング問題。8回目は地域医療介護確保基金が消費税8%から10%の時に守られず基金が細くなる問題を指摘。またスマホ診療、広告規制違反問題なども指摘した。日本医師会監事 河村 康明 九州ブロックからの監事はいないが中国ブロックの代表で私が出ている。年金は64歳から支給が受けられる。年金運用で外国債などの運用があるが、1.5%以上の運用益を上げなければならない。上げすぎると問題があるがもうそんなに溜まらないだろうと言われている。しかし運営は上手くいっている。日本医師会理事 計田 香子 日本医師会男女共同参画委員会および女性医師支援センターの委員に参加している。女性医師支援センターは厚生労働省の要望で作られているが、岡山県医師会の神崎先生のご協力で資料を作成しており、法律の使える管理者を養成すること、労務管理、医師の働き方、女性の働き方、病院でもクリニックでも使えるような資料になった。まだ配布は始まっていないが近日中にネットなどで入手して活用してほしい。⑵ 平成30年度中四医師会連合事業・会計報告(島根県医師会) 事業報告としては平成30年8月19日㈰「サンラポーむらくも」にて「中国四国学校保健担当理事連絡会」を開催、平成30年9月29日㈯ホテル一畑にて「中国四国医師会連合総会」を開催、日本医師会代議員会前の当連絡会は平成31年3月30日㈯、令和元年6月22日㈯に開催した。 会計報告としては、収入の部合計52,890,351円、支出の部合計22,794,127円で次期当番県の高知県医師会に30,096,224円引き継いだ(前期当番県の徳島県県医師会より引継ぎ金は36,969,740円 だ っ た が、次 期 当 番 県 へ は6,873,516円の減となった)。⑶ その他1) 令和元年度日本医師会医療情報システム協議会の開催について (香川県) 毎年、日医協が2日間あるが、今年度は令和 2年2月1日㈯、2日㈰にあるが、香川県医師会が

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昭和26年8月27日 第3種郵便物承認 2019年(令和元年)10月25日(10)広島県医師会速報(第2423号)担当県である。興味深いプログラムになっているので多くの先生方に参加をお願いする。【議 題】⑴ 中国四国医師会連合連絡会のあり方について (岡山県) 岡山県医師会より、中四医師会連合の繰越金も目減りしており3月と6月の日本医師会代議員会時の中四医師会連合の年の2回の開催を1回にしてはどうかという意見があり、協議の結果、すべての意見を踏まえ担当県の裁量権の範囲とし担当県一任とした。⑵ 分科会、総会の運営について 事前通知している本日および明日の開催スケジュールどおりの運営とする。⑶ 中国四国医師会連合勤務医委員会の開催について 本日、令和元年9月28日㈯17:00~18:00ザ クラウンパレス新阪急高知にて開催予定⑷ 中国四国医師会連合医事紛争研究会の開催について 令和元年11月10日㈰15:00~18:30 ホテルグランヴィア岡山にて開催予定⑸ 中国四国医師会連合事務局長会議の開催について 令和元年12月20日㈮15:30~17:30 得月楼(高知)にて開催予定⑹ 次期開催県 次期開催県は鳥取県医師会とし、令和2年10月3日㈯、4日㈰ホテルニューオータニ鳥取にて開催されることとなった。第1分科会 医療保険・産業保健 報告 第1分科会の医療保険・産業保健では、日本医師会より松本吉郎日本医師会常任理事をコメンテーターに迎え、各県からの提出議題10題、日本医師会への要望・提言9題について協議した。本会からは、豊田秀三・津谷隆史両副会長および水野正晴・藤井康史・大谷博正・三宅規之各常任理事らが出席・担当した。 以下、分科会の概要を報告する。Ⅰ.各県からの提出議題および回答(要旨)1 診療所に対する、生活保護法による指定医療機関個別指導について (鳥取県) 提案要旨:診療所に対する、生活保護法による指定医療機関個別指導について、実施件数や診療科がどのように選定されているかご教示い

ただきたい。【各県回答】 診療所に対する生活保護法による指定医療機関の個別指導については、総合的に勘案し選定することとなっているため、指導対象となる医療機関(診療科・在宅療養支援診療所等)や実施件数には各県で差異が見られた。2 漢方薬の多剤投与について (島根県) 提案要旨:同一処方内における漢方薬の多剤投与について、漢方薬が3剤以上処方される事例や一般薬と併せて多剤投与される事例が多くみられるが、各県の審査委員会において、漢方薬の処方を何剤まで認めておられるかご教示いただきたい。【各県回答】 各県に設置されている基金・国保両審査委員会審査委員の医学的見地により、傷病名・症状などから個別具体的に判断されているため、いずれの県においても明確な審査基準はなかった。3 交通事故治療における後遺症診断書作成の問題点について (岡山県) 提案要旨:後遺症診断書は、損保会社が症状固定に納得しない患者に対して治療終了の一手段として患者に申請を促している場合が多く、交通事故の外傷で多い頚椎捻挫の頭頸部痛やめまい、上肢の痺れ程度では等級が認定されないことを知らないため、患者と損保会社、加害者間あるいは患者と作成した医師間で問題になることがある。その他、弁護士が介入する事例の増加により、診断書作成医師に誇張した表現を用いるよう要求してくる場合もあると聞いており、トラブルを回避するためにはガイドラインを示す必要があると考えている。 また、等級の認定については、明らかな筋力低下・運動麻痺症状がある場合や低髄圧症の症状があっても、画像検査などでカルテにその所見がない場合は認定されない若しくは最低等級となることが多い。このように各県において後遺症診断書作成に関する問題点や対策案があればご教示いただきたい。【各県回答】 本県ならびに鳥取県、山口県、高知県でも、弁護士が介入する事案が増加していることを問題視している旨が報告された。また、各県よりトラブルを回避するための対策として、初診時から丁寧かつ的確な診療・診断を心がけるとともに、神経症状や他覚的所見を正確に診療録へ

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広島県医師会速報(第2423号)(11)2019年(令和元年)10月25日 昭和26年8月27日 第3種郵便物承認記載することなどの重要性が示された。その他、頚椎捻挫による頭頸部痛・めまい・上肢の痺れなどの神経症状や機能障害などの自覚症状がある場合には、必要に応じてMRIやCTなどの画像診断を行い症状との整合性をみることが必要であることを確認した。なお、後遺症診断書作成の際に有用な参考資料として、損害保険料率算出機構が作成した「自賠責保険における後遺症とは」や、日本臨床整形外科学会が編集した「Q&Aハンドブック交通事故診療」が徳島県と香川県からそれぞれ紹介された。4 地域包括診療加算・地域包括診療料の算定要件の緩和について (広島県) 提案要旨:地域包括診療加算・地域包括診療料を算定するためには対象疾病のうち2つ以上を有する患者に対して、在宅医療の提供(24時間連絡・往診)、服薬管理(原則24時間対応)等を行うことが必要な上に、担当医師は2年間で20単位(時間)の研修を受講し、かつ継続的に厚生局に届出し続ける必要がある。疑義解釈通知によりビデオ研修やe−ラーニングによる単位取得も可能だが、多くの医師が座学研修により単位を取得しているものと推測される。ついては、どのような形で座学研修の機会を設けておられるか各県の取り組み状況をご教授いただきたい。【各県回答】 鳥取県・山口県・愛媛県・高知県では、本県同様に、例年8月末頃に日本医師会で開催される地域包括診療加算・地域包括診療料に係るかかりつけ医研修会の同時中継や日本医師会から配布されるDVDを用いて研修を企画・実施している旨が報告された。なお、岡山県では上記に加え、数年前から独自のかかりつけ医認定制度を設け分散して研修単位が取得できるよう取り組んでいる旨が報告された。また、徳島県では取得が必須である日本医師会生涯教育カリキュラムコード「29:認知能の障害」「74:高血圧症」「75:脂質異常症」「76:糖尿病」が付与できる内容の研修を介護保険委員会が実施する研修会・講演会として企画するとともに、毎月の学術運営委員会において内容が添っているものについては算定要件にあたるカリキュラムコードを付与するなど受講の機会を多く設けている旨の報告があった。5 10連休中の休日加算をめぐる各都道府県の取り扱いについて (山口県) 提案要旨:本年の10連休中における休日加算の取り扱いについては、算定要件である「地方

自治体などの実施する救急医療対策事業の一環として位置づけられている保険医療機関」の解釈をめぐり、各都道府県または市町村間で取り扱いがまちまちになった。休日加算は全国統一的な取り扱いがなされるべきと考えているが各県の意見および日本医師会の方針を伺いたい。【各県回答】 このたびの10連休中における休日加算の取り扱いについては、皇室典範特例法などに基づく異例の長期連休ということで、関係機関などと折衝し手上げした医療機関すべてを「地方自治体などの実施する救急医療対策事業の一環として位置づけられている保険医療機関」として認め、休日加算の算定を可能としている県が多くみられたが、今後、全国統一的な解釈・取り扱いを望む意見が多く寄せられた。なお、広島県では県行政が行ったアンケートなどから10連休中の救急医療体制に過不足はないと判断し、特段の措置や調整は行わず、従前のとおり対応したことを報告した。6 労災レセプトに係る審査会の画面審査について (香川県) 提案要旨:労災レセプト電算処理システムを利用する医療機関が増えるとともに、労災保険審査会での画面審査の機会も増えていると推察するが、医療保険の審査などと比較すると、画面操作が煩雑なため審査に時間を要し各審査委員の負担となっている。各県において労災レセプト電算処理システムによる労災診療費請求の割合と画面審査上の問題点などがあればご教示いただきたい。【各県回答】 労災レセプト電算処理システムによる請求件数の割合は最も低い県で10%以下、最も高い県でも37%程度であるとの報告がなされ、いずれの県においても労災レセプト電算処理システムの導入・普及が進んでいないことが伺えた。 また、画面操作が複雑といった意見の他、基準システムを搭載したPC機器の不足などが挙げられた。松本日本医師会常任理事より「労災レセプト電算処理システムの導入・普及や画面操作の簡便化に向けて、厚生労働省に強く働きかけていく」と発言があった。7 あはき療養費に関して(愛媛県) 提案要旨:あはき療養費に関して、特に「B013療養費同意書交付料」については診療報酬明細書が審査支払機関でほぼ無審査状態であ

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昭和26年8月27日 第3種郵便物承認 2019年(令和元年)10月25日(12)広島県医師会速報(第2423号)ること、「マッサージ」と「はり・きゅう」の区別がないことなどが問題点として挙げられるが、各県における以下の取組み状況をご教示いただきたい。① あはき療養費の受領委任払い導入に関する会員周知の有無とその方法② 審査支払機関における問題意識の有無③ あはき療養費関連調査の実施有無【各県回答】 あはき療養費の受領委任払い導入に関する会員周知については、会報紙へ掲載し周知する県もある一方で全く広報を行っていない県もあるなど、その対応に差異がみられた。なお、各県いずれもあはき療養費に関する調査などを行った実績はなく、審査支払機関においても「B013 療養費同意書交付料」の請求については、レセプト件数が少数であることや高点数ではないことなどから問題視はしていなかった。松本日本医師会常任理事からは「あはき療養費の施術に関する同意書が安易に交付されることを非常に危惧している。今後も不正請求対策や施術所の指導・監査に努めていきたい」と発言があった。8 医療機関における産業医の活動状況について (徳島県) 提案要旨:働き方改革関連法案成立で、産業医・産業保健機能の強化として、産業医に対する情報提供、産業医権限の明確化、産業医勧告の実効性確保などが新たに定められたが、各県で医療現場での産業医活動状況について、調査されたことがあればご教示いただきたい。また、産業医活動に対しての取り組み支援についてご教示いただきたい。【各県回答】 産業医の活動状況についての調査は各県行われていなかった。今後の取り組み支援については、医療勤務環境改善センターと連携し、また働き方改革議論の進捗や医療機関として取り組むべく情報を収集し、部会などの会議で周知していくとの意見であった。9 県医師会における産業医活動の組織化について (香川県) 提案要旨:日本医師会は産業医が安心して産業医活動に専念できる環境・体制作りに向け、各都道府県医師会に設置されている産業医(部)会と連携して産業医の組織化に取り組んでいる。産業医の組織的活動に関する県医師会としての取り組みについて、各県の状況をご教示いただ

きたい。【各県回答】 各県、産業保健総合支援センターなどと連携し研修会を開催しており、産業医部会や委員会、協議会などで問題点や要望を出し、協議・意見交換を行っている。10 回復期リハビリテーション病棟のリハビリについて (高知県) 提案要旨:回復期リハビリテーション病棟での運動器リハビリテーションの請求について、返戻・査定の傾向などがあればご教示いただきたい。【各県回答】 診療報酬点数表に従い医学的に妥当と判断されれば、患者1人につき1日6単位(別に厚生労働大臣が定める患者については1日9単位)の算定は可能とした上で、患者の疾患・状態・年齢によらず傾向的に算定している医療機関に対しては、各県いずれも照会・査定・返戻などで対応している状況であった。Ⅱ.日医への要望・提言1 定額制制度の導入について (鳥取県) 説明:先般、日本経済新聞の1面に、厚生労働省がかかりつけ医の定額制について検討を開始したとの記事が掲載された。 定額制の導入により頻繁に受診する患者が増加することで、医学的に必要な診療が疎かになり、病状の悪化や重大な疾患の見落としにもつながりかねない。日本医師会として定額制制度を導入しないように関係各所へ強く求めるとともに、国の今後の動向を十分に注視していただきたい。【日本医師会 松本吉郎常任理事コメント】 このような記事が掲載されたことを受け、新聞報道の翌日に開催された中医協総会の場で厚生労働省当局に答弁を求めたところ、そのような事実はないことを確認した。定額制制度の導入を容認することは、少額で軽微な受診を抑制することであり、ひいては高額で深刻な受診が増加することにもつながる。さらにはかかりつけ医の普及を妨げるものと考えているところである。定額制制度の導入について、日本医師会として、今後しっかりと監視・対応していく所存である。2 職域検診における産業医によるがん検診勧奨について (鳥取県) 説明:本県では、がんによる75歳未満の年齢

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広島県医師会速報(第2423号)(13)2019年(令和元年)10月25日 昭和26年8月27日 第3種郵便物承認調整死亡率が高く推移しており、がん検診の受診率向上に向けさまざまな取り組みを行っているが、職域で行われているがん検診については現状を十分に把握できていない状況である。保険者や事業所任意の検診内容を把握するため統一した様式も検討されているものと思うが、現状での受診率向上につなげるためには、小規模事業所における産業医の関わりが特に重要と考える。被扶養者を含め職域でがん検診を受ける機会のない者に対し、市町村がん検診の勧奨など期待されるが、有効な取り組み方などご教示いただきたい。【日本医師会 松本吉郎常任理事コメント】 職域におけるがん検診はわが国のがん対策において非常に重要な役割を担っている。しかしながら、職域におけるがん検診は、労働安全衛生法に規定された定期健康診断とは異なり法的根拠がない。保険者や事業者が福利厚生の一環として任意に実施しているものである。強制力がないことから検査項目や対象年齢など、検診の実施方法はさまざまであるのが実態である。しかしながら産業医には治療と職業生活の両立支援の取り組みが期待されており、その疾患のひとつとしてがんもあることから、衛生委員会や健康講和などの機会を利用して事業者や労働者へ情報提供や教育を行うことは、法的根拠の有無に関わらず有用であると考えている。3 ニコチン依存症管理料の届け出および減算規定について (島根県) 説明:禁煙外来を継続するためには毎年1年間の実績を届出る必要があり、1年間で平均継続回数2回以上または算定実績がなかった場合には再度届出を行わなければならない。その上で、次年度は所定点数の100分の70で算定するという減算規定を守らなければならない。昨今の受動喫煙対策により2018年7月に健康増進法が一部改正され、2020年4月より飲食店を含むほぼすべての施設で原則屋内禁煙となるにもかかわらず、このような規定は禁煙外来の推進を圧迫するものと考えている。国民の禁煙推進、受動喫煙による被害を減らすためにも、できるだけ多くの医療機関が禁煙外来を継続していけるよう、少なくとも毎年の実績の届出および減算規定の廃止を要望する。【日本医師会 松本吉郎常任理事コメント】 ご指摘のとおり、本管理料に関する届出や減算規定については理不尽な問題が多く指摘されている。少しでも改善されるよう日本医師会と

して関係各所に強く働きかけていく所存である。4 『医科点数表の解釈』の電子書籍化について (岡山県) 説明:医科点数表の解釈、いわゆる「青本」は医療関係者必携の書だが、その情報量の多さ故にその頁数は約2,500頁にも及ぶため、慣れていなければ検索・閲覧に時間を要することも多々あると思われる。これを電子書籍化すれば、時間短縮や効率的参照が可能となるため、日本医師会より青本の電子書籍化について働きかけていただきたい。【日本医師会 松本吉郎常任理事コメント】 青本は民間企業が出版する書籍であるため、電子書籍化が可能かどうかについては明言できないが、出版会社に対して、電子書籍化の実現を検討いただけないか申し入れる。5 ICT化における診療報酬評価と医療等分野の相互接続基盤の早期導入 (岡山県) 説明:ICTサービスを共通利用する相互接続基盤のネットワーク整備が総務省・日本医師会などの協力で実証されてきたものと思われるが、一向に方向性が見えていない状況である。個々のICTサービスが整備されていく中、その接続には固有の回線が必要となるため、経費の増加、ひいてはICT化の阻害要因になると考える。これらの現状を踏まえ、日本医師会として会員の負担軽減を見据えた診療報酬上の適正な評価を働きかけていただきたい。【日本医師会 松本吉郎常任理事コメント】 ICT化については、診療報酬改定の度に評価できるものに関して、適宜対応しているところであり、今後も会員の負担軽減を見据えた診療報酬上の適正な評価を働きかけていく所存である。6 データ提出加算(中小病院)の経過措置について (山口県) 説明:入院基本料の加算である「データ提出加算」において、中小病院(50床未満)が経過措置終了後も算定を継続するためには、同施設基準であるDPC請求の体制を有し、かつ、その届出を本年11月20日までに提出する必要があるがこれについて、現場の負担を考慮しデータ提出加算の届出要件を延長または緩和されるよう要望していただきたい。【日本医師会 松本吉郎常任理事コメント】 今後も診療実績に関するデータ提出の拡大に

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昭和26年8月27日 第3種郵便物承認 2019年(令和元年)10月25日(14)広島県医師会速報(第2423号)ついては検討が必要であると認識しているが、データ提出の必要がない医療機関については、現在要件化されていないものも含めて、今後どのように取り扱うべきか先生方のご意見を元に地域の実情を踏まえながら検討してまいりたい。7 支払基金改革について (徳島県) 説明:健康保険法改正案の可決に伴い、医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法の一部を改正する法律が施行され、支払基金改革が現実のものとなった。今後、職員によるレセプト事務点検業務を審査事務センターに集約することにより、各県の実情に応じた細やかな審査が難しくなると思われる。日本医師会として、再度、昭和60年4月30日保険発第40号庁保険発第17号「社会保険診療報酬支払基金に対する再審査の申出について」(厚生省保険局課長通知等)を徹底するなど医療機関に不利益が生じないように強く働きかけていただきたい。【日本医師会 松本吉郎常任理事コメント】 職員によるレセプト事務点検業務を審査事務センターに集約するため実施した実証テストにおいても、審査委員との連携が難しいなどの大きな問題があったと感じている。今後実際に広域での運用を開始するのであれば、実証テストの再実施など日本医師会としても申し入れたいと考えている。ついては、現場の先生達からもご意見をお寄せいただくなど、後押し・ご協力をお願いしたい。8 オンライン資格確認などについて (愛媛県) 説明:2021年5月から、従来の被保険者番号(世帯単位の番号)に個人単位の2桁番号を付したレセプトでの請求が計画されているが、2桁番号を得られなかったレセプトも、社保・国保ともに受理されるのかご教示いただきたい。また、マイナンバーカードを用いたオンライン資格確認の推進により、保険証発行のコストを削減しようとする保険者も出てくるのではないかと考えている。これにより医療機関の窓口業務が煩雑になることが予想されるが、日本医師会の見解はいかがか。【日本医師会 松本吉郎常任理事コメント】 2桁番号を得られなかったレセプトの取り扱いについては、当面の間、①発行済みの保険証は使用でき改修・再発行は不要、②医療機関や薬局では2桁番号がない保険証を提示した場合は

2桁番号なしで請求できる。また、レセコンの改修が間に合わなかった間も2桁番号なしで請求できることとされている。 保険証発行のコストを削減しようとする保険者については、マイナンバーカードの普及率などを鑑みても、当面の間は保険者がそのような対応を取ることは難しいのではないかと考えている。オンラインでの資格確認は義務化されていないため、メリットがあると感じた医療機関については、適宜、導入を検討いただければ幸いである。 9 オンライン診療料について (高知県) 説明:離島・へき地と都市部におけるオンライン診療は、明確に異なる性質のものであるため、日本医師会として別々の算定要件および診療料を設置するよう働きかけていただきたい。【日本医師会 松本吉郎常任理事コメント】 日本医師会としてはオンライン診療に対してはあくまで慎重であるべきであると考えているが、ご指摘のとおり、離島やへき地などオンライン診療料が有用な地域も当然あると認識している。今後も中医協などで離島やへき地、都市部における取り扱いは明確に分けて議論を進めていきたいと考えている。第1分科会第2分科会 地域包括ケアシステム 報告 第2分科会は「地域包括ケアシステム」をテーマに、江澤和彦日本医師会常任理事をコメンテーターに迎えて、各県からの提出議題10題、日本医師会への要望・提言8題について協議した。本会からは、桑原正雄副会長、山崎正数・藤井康史・山田博康・大谷博正・小笠原英敬・大本崇各常任理事らが担当した。 以下、分科会の概要を報告するが、担当の高知県医師会より分科会の運営にあたり関連する議題は一括対応とすること、また、地域包括ケアシステムに関する議題については、各県の独自性のある取り組みや課題を発表する形式で行

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広島県医師会速報(第2423号)(15)2019年(令和元年)10月25日 昭和26年8月27日 第3種郵便物承認う旨の説明があった。 提出議題の意見交換が終了した後、江澤日本医師会常任理事から提出議題ならびに要望について一括でコメントがあった。 以下、分科会を簡単に報告する。Ⅰ.各県からの提出議題および回答(要旨)1 多職種連携システムの導入について (鳥取県) 提案要旨:地域包括ケアシステムの推進にあたり、多職種での連携、情報共有を行うICTシステムを商用や自前で構築し、活用事例があればご教示願いたい。3 住み慣れた場所で最期まで暮らしを支える地域包括ケアシステムを地域住民に啓発する活動について (岡山県) 提案要旨:地域住民への啓発は継続した働きかけが必要であるが、なかなか評価するのも難しい面もあり試行錯誤が続いているところである。各県での取り組み状況について伺いたい。4 幅広い対象に向けた地域包括ケアシステムの構築について (広島県) 提案要旨:地域包括ケアシステムの構築は、現在高齢者の視点からさまざまな取り組みが行われているが、国は地域共生社会の実現に向けて、今後は高齢者だけでなく幅広い対象に目を向けていく必要があることを示している。これに関して各県の取り組み状況を伺いたい。5 中山間地や離島での地域包括ケアの構築について (山口県) 提案要旨:会員数の少ない小規模医師会などにおいて、隣接自治体との広域連携でもカバー不可能な中山間地や離島などでの地域包括ケア構築について、各県の取り組み状況を伺いたい。7 地域包括ケアシステム推進に向けての住民組織や産業界との連携について (香川県) 提案要旨:地域包括ケアシステム構築に向けて、医療、保健、福祉、そして行政との連携が進んでいるが、さらに推進するためには、地域住民や産業界との連携も重要と考えられる。県医師会や郡市地区医師会が関わる取り組みをご教示いただきたい。【各県回答】 先掲のとおり、5つの議題をテーマに各県の取り組みや概要についてそれぞれ紹介・発表が

あった。 鳥取県は、東部地域を中心とした地域住民への啓発に関する取り組みについて報告し、高齢者の参加者が多いため、参加者の子ども世代への参加、理解促進が必要であると課題をあげた。 島根県は全県ネットワーク「まめネット」の稼働状況について紹介した。介護分野とも、在宅情報や認定情報、ケアプランの共有などが可能となり、円滑な情報共有と業務負担軽減の効果が実証されたと報告した。 岡山県は、実際に地域包括ケアの推進を担う地区医師会への支援として、医療介護総合確保基金を活用した援助を行っていることを報告した。また、県民の自助・互助活動の推進するため、移動会長室事業を、Ⅰ.ACP・人生会議の普及啓発、Ⅱ.フレイル対策教室、Ⅲ.受動喫煙防止教育、の3つのテーマで実施しており、特にⅠでは、学校を対象に若い世代へも実施していることを紹介した。 本県からは、平成25年度から運営している「ひろしま医療情報ネットワーク(HMネット)」について紹介し、多職種間のコミュニケーションツールに特化したシステムを運用していることを紹介した。また、地域包括ケアに関する住民啓発に関して、本会が他団体と協力しながら啓発事業として県民フォーラムを開催している状況や、広島県地域保健対策協議会を中心に行っているACPの取り組みについて、元気なうちから、もしもの時のことを話合う文化を醸造していくことを目的に、広島県版の手引き作成などの啓発活動を進めている状況を紹介した。また、本県から提出した幅広い対象に向けた地域包括ケアシステムの構築については、各県でも課題を認識しているものの取り組みは進んでいない状況から、厚生労働省へ明確な運営方針などを示すよう日本医師会へ要望した。 高知県は、高齢者以外の対象を含めた地域包括ケアシステムとして、「あったかふれあいセンター」事業について、地域福祉拠点として、県内270ヵ所で見守りネットワークの構築や生活支援を行っている状況を報告した。 愛媛県は、掲示板やTV会議ツールのみのICTネットワークを地域ごとに構築しており、全県展開はニーズによって検討すると報告した。また、地域包括ケアに関して、子どもたちへの支援などを行っているが、2040年の人口分布を考えるとコンパクトな街づくりが必要ではないかとの指摘があった。 香川県は、平成30年度に「香川県地域包括ケ

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昭和26年8月27日 第3種郵便物承認 2019年(令和元年)10月25日(16)広島県医師会速報(第2423号)アシステム学会」を設立し、行政や医療・保健・福祉・介護の職能団体だけでなく産業界、住民団体を含めた関係団体などと連携して、地域包括ケアシステム構築に向けて活動している状況を報告した。 徳島県は、地域住民などが関与した地域包括ケアシステムの構築例として高齢者が安心して生活するための共有ツール「まごのて手帳みよし」を発刊し、住民や商店なども巻き込んだ町ぐるみのネットワークや支援体制の構築に関して取り組んでいる現状を報告した。 山口県は、各郡市医師会の実施する地域包括ケア推進事業に対して補助を行っている状況や、ACPの普及・啓発について県行政と協議体を立ち上げて、一般市民への啓発を行う予定であることなどを報告した。 意見交換では、本会の小笠原常任理事より、岡山県へ移動会長室事業として、中高生を対象に研修を実施するにあたり、若い世代へのACPを啓発する手法について質問した。中高生などの若い世代に対しては臓器移植を中心とし、臓器提供側の両親の心境などを紹介することで、自身の生き方について考えるきっかけを作っているとの回答があった。2 認知症サポート医の活動などに関して (島根県) 提案要旨:認知症サポート医の活動は、行政主導で施策が進められてきたが、今後、医師会として、どのように事業・支援の計画立案、あるいは関わり合いを持たれるか伺いたい。【各県回答】 鳥取県からは、認知症サポート医とかかりつけ医、専門医、医療・福祉など多職種の関係者らが顔の見える関係を構築できるよう、また、活発な意見交換が行えるよう、医師会として、認知症症例検討会などを継続的に開催していることが紹介された。 本県からは、HMネットを活用した広島県認知症地域連携パスの取り組み状況を報告した。江澤日本医師会常任理事からは、地域医療介護総合確保基金を活用しながら認知症サポート医に対するフォローアップ研修を開催することや、住民主体の認知症カフェや地区医師会が開催する関連会議などへ積極的に参加するとともに、有識者としてのアドバイスを行うことなどが提案された。

8 認知症による徘徊者の死亡撲滅について各県の現状と対策について (愛媛県) 提案要旨:本県では、毎年、愛媛県認知症施策会議において愛媛県警生活安全課などと協議し、認知症徘徊者の死亡撲滅について対策・協議している。ついては、各県の認知症徘徊者に対する対応状況・問題点などをご教示いただきたい。【各県回答】 島根県からは、「島根県認知症高齢者等の行方不明等における広域連携要領」に基づき行方不明または身元不明高齢者が発生した場合に情報提供・捜査協力が行われていること、また、各地域の実情に応じて構築されている見守りネットワークの取り組み状況などが紹介された。 いずれの県においても日常の見守りネットワークなどは整備されていたが、広域的な捜索依頼の整備状況やGPS機器などの導入状況については、各県で異なっていた。9 在宅医療の後方支援としての有床診療所の活用について (愛媛県) 提案要旨:有床診療所のバックベッドとしての機能について、各県の実働状況、また、在宅患者緊急入院診療加算1~3の算定状況について伺いたい。【各県回答】 山口県、徳島県、香川県より在宅患者緊急入院加算の算定状況などについて報告があった。山口県は、各診療行為の算定指数が29.7と、全国平均よりもかなり低い状況であると報告した。また、有床診に問い合わせたところ、在宅患者で増悪した場合は、救急対応として病院への入院が多い実態であることなどの回答があった、そのほか、機能強化型の支援診療所が全国的にも少ない点など、在宅医療後方支援病院において、急な入院の受け入れがスムーズにいっていないことなどが上げられた。 在宅患者緊急入院診療加算の算定状況については点数自体の認知度の低さや届出義務がないため数値の把握ができていないとの報告があった。10 介護医療院への転換についての現状と課題 (高知県) 提案要旨:介護医療院への転換にあたっては、施設基準などのハードルや職員調整、「将来のはしご外し」などの懸念があるが、各県の転換状況について伺いたい。

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広島県医師会速報(第2423号)(17)2019年(令和元年)10月25日 昭和26年8月27日 第3種郵便物承認【各県回答】 山口県、徳島県、香川県、愛媛県から転換状況が報告された。転換がなかなか進まない要因として、施設基準や入所者の重症度の基準、さらには診療報酬の問題など経営面の課題を指摘する意見が多くあった。一方で、山口県からは補助金の交付により積極的に転換を促進しているとの報告があった。 また、愛媛県からは、今まで転換する方法が分からず足踏みしていたが、介護医療院のI型療養床とほぼ同類のため、介護療養型から介護医療院へは比較的容易に転換できる見込みであり、今後は転換した施設の方法を参考に転換が進む方向であるとのことであった。6 在宅患者の災害時避難について (徳島県) 提案要旨:豪雨や地震など全国で自然災害が頻発しており、病院や施設には洪水・浸水/土砂災害/津波に係る避難確保計画作成、避難訓練などが義務付けられている。各県において、在宅患者の避難に関して、対応手順の作成や情報共有方法などの状況はいかがか。【各県回答】 岡山県、山口県、愛媛県から平成30年7月豪雨災害など、昨今の災害をきっかけとした取り組みが報告された。 岡山県からは地域防災計画を見直し、7月に改訂を行ったことが紹介された(新防災ガイド「ももたろうの防災」(要配慮者の防災))。地域においては、自主的な防災施設の設置・育成により、要配慮者の安全確保に対する体制を整備するとともに、災害時に適切に避難行動をとることができるよう、日頃から要配慮者を助ける地域社会づくりを進めると報告があった。 山口県、愛媛県からは避難行動要援助者名簿の作成について報告があった。なお、愛媛県からは地域住民のつながりが災害時に心強かったことなどから、日頃から顔の見える関係の構築が重要であることが示された。さらに、山口県からは、市町が行う災害時の安否確認、避難支援および生活支援を的確に行うために、県が有する情報を含め平常時から避難行動要援助者を把握するために、転入してきた方など該当者について絶えず名簿の更新を行い、民生委員や社会福祉協議会へ情報を提供するなど、平時から個別の計画の策定を進めていると報告があった。

【日本医師会 江澤和彦常任理事コメント】○医療・介護連携について 医療・介護連携において、安価または無料で利用でき、タイムラインなどの機能を備えるコミュニケーションツールであるSNS(Social Networking Service)は最適なツールとされているが、公開型のパブリックSNSは使用しない、適切なネットワークの暗号化やクライアント認証が必要、BYOD(Bring your own device;私物端末を業務利用すること)は原則として行わないなどの要件を満たす必要がある。また、究極の個人情報を扱う認識を今一度持つ必要があること、また、医療・介護連携ネットワークは構築することが目的ではなく、活用されることが必要である。○認知症サポート医の養成について 昨年度時点で、全国の認証サポート医養成研修終了者数は1万を超えており、その半数は診療所の医師である。研修を受講した医師へアンケート調査を行った結果、受講動機として、自身の希望が約半数、次いで所属機関からの要請、地域医師会からの要請、自治体の要請、であった。また、受講にあたり約3割が自治体や地域医師会から、修了者リスト公表の同意や自治体の認証施策への協力などの条件が事前に求められていた。○地域介護予防活動支援事業について 日本健康会議においても、介護予防が今後の柱となる見込みで、介護予防ワーキングが立ち上げられるところである。地域介護予防活動支援事業は住民主体の通いの場などが該当し、全国でかなりの数が立ち上がっている。無関心な人や通いの場へ通えない人への介入が今後の検討課題となる。また、市町における高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施にあたっては、医学的な視点が不可欠であることから、企画段階から関与していただきたい。○地域共生社会について 厚生労働省では、今年7月に「地域共生社会に向けた包括的支援と多様な参加・協働の推進に関する検討会」の中間とりまとめを発表している。その中で、社会的包摂や専門職の伴走型支援といったキーワードが出てくる。現在国が示している地域共生社会の実現に向けた地域作り強化のための取り組みには医療分野が入っていなかったため、今後医師会やかかりつけ医が関わる体制を提言している。また、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築も望まれており、地域での受け皿の確保や孤立を防ぐ取

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昭和26年8月27日 第3種郵便物承認 2019年(令和元年)10月25日(18)広島県医師会速報(第2423号)り組みなどが今後行われる見込みである。○地域包括ケアシステムにおける医師の確保について 昨年の医療法・医師法改正により、医師の確保も含めて地域で検討することが望まれている。10年、20年後には現在と状況が変わっており、医師が余ることも想定される。現在と未来の両方の状況を踏まえて地域偏在の解消に向けて検討していただく必要がある。○介護医療院について 介護医療院は、要介護者で長期にわたり療養が必要である者に対して医学的管理下における介護や日常生活支援を目的とした施設である。介護医療院の開設にあたっては、問合せ窓口の設置や移行支援研修会の開催など行っている。また、開設にあたって厚生労働省はかなり要件を緩和している。○介護人材の確保について 介護福祉士養成施設では入学者が定員を下回っており、外国人に依存するようになってきている。国は、学校においても介護に関する教育を行うこととしており、小学校では令和2年度から中学校では令和3年度、高等学校では令和4年度からそれぞれはじまり、中学・高等学校では実技も行われる予定である。また、介護事業所でのインターンシップ・職場体験の導入促進も行われている。○ACP(アドバンス・ケア・プランニング)について 厚生労働省は平成30年3月に「人生の最終段階における医療・ケアのための決定プロセスに関するガイドライン」を改定し、本人との話が繰り返し行われることが重要であるなどが追記された。文書作成による意思表示であるAD(アドバンス・ディレクティブ)よりもACPの普及拡大が期待されている。ACPでは患者、家族、医療従事者があらかじめ話し合う自発的なプロセスと定義され、QOL向上などの研究成果も多いとされている。この結果は多く海外の研究を基

にした考え方で、日本人の哲学・文化・風習になじんだACPの蓄積が今後期待される。また、チームでの合意形成の上で得られる結果が尊重されることが共感できる点である。第3分科会 地域医療・地域保健 報告 第3分科会の地域医療・地域保健は、日本医師会の釜萢敏日本医師会常任理事をコメンテーターに迎えて、各県からの提出議題7題、日本医師会への要望・提言7題について協議した。本会からは、平松恵一会長、豊田秀三・桑原正雄・津谷隆史各副会長、中西敏夫・森美喜夫・渡邊弘司・西野繁樹・山﨑正弘各常任理事らが担当した。 以下、分科会を簡単に報告する。Ⅰ.各県からの提出議題および回答(要旨) 進行の中澤宏之高知県医師会常任理事より、前半は議題1、2、5について、後半は議題3、4、6、7に分け議論する旨の報告があり、分科会が開始された。1  医師会立の看護職員養成施設の状況について (鳥取県) 提案要旨:入学者の確保とその質の担保が難しいことから困難な運営状況にある。各県の運営状況と持ち出しの状況、今後の方向性についてお聞きしたい。【各県回答】 正看護師養成施設の増加により准看護師を目指す生徒が減少することや、教員不足により募集定員を少なくしていることなど各県から課題や取り組み状況が報告された。本会からは本会が会員医療機関を対象に調査した「准看護師の雇用に関するアンケート」の結果から、会員医療機関においては診療・運営に准看護師の存在が必要不可欠な状況であることを指摘した。釜萢敏日本医師会常任理事は、国の方針を解説し、日本医師会として准看護師制度を存続する意向であるとして、引き続き運営環境改善のための仕組みづくりを検討したいと述べた。2  医療過疎地の病院での医師・看護師確保について (島根県) 提案要旨:地方の医師不足、人手不足を解消するため地域の医師会と連携し地域医療連携推進法人が設立された。中核病院の勤務医と開業医とが互いに協働し医療従事者のU・I ターンを促す効果を期待している。各県の取り組み状第2分科会

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広島県医師会速報(第2423号)(19)2019年(令和元年)10月25日 昭和26年8月27日 第3種郵便物承認5  医師確保計画における「医師偏在指数」について (広島県) 提案要旨:厚生労働省から三次医療圏(都道府県)と二次医療圏の新たな医師偏在指標が示された。特に二次医療圏の指標は実態に則していないと考える。面積やアクセス、医師の年齢構成も勘案し、医師偏在指標を示してほしい。今回公表された「医師偏在指数」について各県での実情と対応を伺いたい。【各県回答】 各県からも地理的要件などが加味されていないことや、県外の近隣医療圏への流出入も考慮されていないことが指摘され、指標は医師多数区域から少数区域へ移動させる強制力にはなり得ず、現場の意向を重視すべきとの意見が寄せられた。釜萢敏日本医師会常任理事は、医師確保計画の策定に向けては医師数のみの設定ではなく、方向性を打ち出し地域の実情を示すことが望ましいとして、指標はあくまでも参考として対応してほしいと述べた。また、指標が現場感覚と異なっていることについて国に指摘しているとともに、医師偏在指標の計算式を公表するよう求めていることを報告した。6  シーリングに対する各県の取り組みについて (徳島県) 提案要旨:専攻医採用数に対するシーリング設定は今後の研修医の専門科の自由な選択に多大な影響が考えられる。厚生労働省はシーリングの見直しを拒んでおり、今後さらに専攻医の人数制限が強化されると思われる。各県の取り組みと日本医師会の見解を伺いたい。 【各県回答】 岡山県からは県知事から厚生労働省に対し要望書が提出されたことが、高知県からは医師法第16条の8の規定による手続きがなされていないことが指摘された。釜萢敏日本医師会常任理事は、全国の知事会を通じて国に対しさまざまな要望が寄せられていると述べた上で、日本医師会としてもしっかり対応していきたいとコメントした。7  障害児を社会全体で見守り育てる地域づくりについて (高知県) 提案要旨:各県における発達障害者支援センターの設置・活動状況や課題について伺いたい。【各県回答】 各県における発達障害者支援センターの設置・活動状況について報告があり、人材育成や

況はいかがか。 【各県回答】 医療スタッフの高齢化、新規確保の課題や、官民一体となった取り組みの重要性が指摘された。本県からは備北医療圏で設立された「備北メディカルネットワーク」の取組状況を報告し、日本医師会や厚生労働省への要望として、地域医療連携推進法人のメリットを活かすため、ネットワーク内で医療法上の人的配置基準の緩和や医薬品・医療材料などの融通措置といった医療法および税法上の配慮を求めた。また、多くの人口を抱える圏域においては圏域全体で議論することが難しいことや、圏域の一部に取り込まれている過疎地域への配慮に理解を求めた。3 今後の一次救急について (山口県) 提案要旨:医師や職員の高齢化、閉院に伴う医療機関の減少により、地域の一次救急は当番を回すことが困難な状況である。急患センターの運営や再編など含めた対応について各県の状況や対応を伺いたい。 【各県回答】 各県とも都市部においては運営できているものの人口20万人未満の中小都市においては出務医の高齢化や、産科医・小児科医の減少により対応が困難になることが指摘された。その他、地域によって専門医の医師を求めるなど保護者の意識の違いや、専門医制度や働き方改革などにより大学からの医師派遣が減少していることも問題点として指摘された。4  診療科の偏在対策 (岡山県) 提案要旨:診療科偏在の問題に対しては、大学病院からの医師派遣、社会医療法人のへき地医療支援のほか、総合診療医の配置、医療機関の集約が必要との意見もある。県医師会としてどのような対策を打ち出すべきか伺いたい。 【各県回答】 各県から医師偏在指標による評価と実情の相違や県独自で実施している勤務医実態調査の報告があり、いずれも診療科ごとに必要な医師数の計算や分析について日本医師会の見解を問う意見が出された。釜萢敏日本医師会常任理事は、地域の実情を把握し不足している診療科をはっきり見える形で打ち出していくことが大切であるとした上で、医師偏在を解消するためには、医師の養成課程を通じ、学生の時から地域の医師不足などの共通認識を醸成し、診療科選択の参考にできるような取り組みを考えているとした。

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昭和26年8月27日 第3種郵便物承認 2019年(令和元年)10月25日(20)広島県医師会速報(第2423号)普及啓発不足、センター機能が十分に発揮できていない点や、かかりつけ医との連携による地域で対応可能な体制構築などが課題として指摘された。また、小児科領域では、乳児期後半から2歳の段階で発達障害が疑われる患者のあたりがつくようになってきたことから、1歳半~3歳児健診という早い段階で患者をピックアップし、グレーゾーンの子どもも含めた地域全体での対応体制や、保護者を支援する動きを求める意見も寄せられた。Ⅱ.日本医師会への要望・提言1   健康食品について (島根県) 説明:健康食品は多種多様のものが存在しているが、マスコミではさまざまな民間療法の情報が毎日のように流され、患者によっては誤解のもとに生活習慣の改善や健診受診から遠ざかり治療を中断する例もある。医師会として正しい情報を発信していただきたい。 【日本医師会 釜萢敏常任理事コメント】 特保や機能性表示食品は届出制であり基準が不十分である。日本医師会も健康被害の情報収集や国民への発信は非常に重要であると考える。会内に健康食品安全委員会を立ち上げ、会員からの情報提供や国民向けのポスターを作成し呼びかけている。2   医師偏在対策について (広島県) 説明:厚生労働省が算定した医師偏在指数について、面積などを勘案せず全国の二次医療圏を一律の算定方式で評価・昇順表示し、医師多数地域や少数地域と区分することは地域の実情を反映していない。地域医療構想をさらに進めるためとして、診療実績が少ないまたは近隣医療機関と同様の機能があることを理由に、再編・統合の議論が必要な病院として実名で報道がなされた。このようなやり方について、各県とも対応に苦慮しながら地域医療構想を進めている中で良い影響を与えるものなのかどうか、しっかりと考えてほしい。【日本医師会 釜萢敏常任理事コメント】 これまで日本医師会として地域医療構想調整会議が活性化し地域に役立つ議論が進むよう中川副会長を中心に検討を進めてきた。私も実名報道は予想しておらず自身の出身県でも非常に頼りにしている病院名が公表されたが、これは地域の実情が反映されていないためである。名前が出た病院に不利益が決して起こらないよう、地域で必要とされる医療機関をしっかり支えてほ

しい。2019年度に各県が策定する医師確保計画は、地域で困っているところの改善に役立つ計画としてほしい。医師数だけを見ていては良い方向にいかない恐れもあるので、しっかりと検討していただきたい。3   学校医と学校産業医(健康管理医)の契約個別化について (山口県) 説明:学校医の業務増加のみならず、学校産業医(健康管理医)の業務強化も求められているが、その契約については曖昧な部分も多く、学校医と学校産業医(健康管理医)の契約を明文化し、別々に契約することが求められる。全国的に契約が進められるよう、日本医師会より関係機関への働きかけを要望する。【日本医師会 釜萢敏常任理事コメント】 教育現場でも働き方改革から教職員の健康管理が重視されている。教育委員会としっかり協議し契約書が取り交わされるよう日本医師会として取り組んでいきたい。また健康管理医の手当ては産業医の一般的な手当てと比べても安いので、学校現場教職員の健康管理という観点からも訴えていきたい。4  医師の地域偏在解消に向けた日本医師会の重点的取り組みについて (徳島県) 説明:日本医師会として①総合診療医と総合診療専門医の育成、②医師少数区域配属のインセンティブ、③AI も取り入れた医療ネットワークを推進するために紙カルテver2.0のような現在の電子カルテの良好なデータ化への取組推進に注力していただきたい。【日本医師会 釜萢敏常任理事コメント】 総合診療専門医は学問的に指導的な立場に立つことが望ましい。受講者が増えているかかりつけ医機能研修をしっかりと行っていく。医師少数区域配属のインセンティブは現在の認定だけでは難しいので医師確保計画の中で各都道府県がどこに困っていてどこに手当をするのか、今後しっかり議論し実効性の伴うことを行っていかなければならない。電子カルテは各医療機関の希望に応じてカスタマイズされていることもあり、統一は現状において難しい。電子カルテに登録されている内容が共通コードで出力されるようなデータ利用が必要と考えており、日本医師会としてしっかり取り組んでいく。

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広島県医師会速報(第2423号)(21)2019年(令和元年)10月25日 昭和26年8月27日 第3種郵便物承認5  医師の働き方改革における財源・人材の確保と医師の事務作業の軽減について (香川県) 説明:医師の働き方改革の実現のため、医師数の増加やタスクシフティングを行うための医師事務作業補助者らの増員など医療人材の確保、必要となる人件費を賄う財源の確保、診療報酬上の専従項目の見直しなどが必要である。また、医師の効率的労働を図るために、診療報酬規程の柔軟な運用についても配慮をお願いする。【日本医師会 釜萢敏常任理事コメント】 日本医師会として事務作業補助者の確保ができるような診療報酬体系は求めてきたが、遅々として進んでいない。中医協の議論によりしっかりと取り組んでいきたい。わが国は薬剤師が多いが、ほとんどが調剤薬局勤務であり病院薬剤師の確保が難しい。医師の事務負担は病院薬剤師の活躍により軽減が期待できるので看護職員の確保と併せ取り組んでいきたい。6  地域医療介護総合確保基金について (愛媛県) 説明:今後、将来的に医療費の増加分はすべて消費税で賄うことになるが、自然増の部分も含めて消費税で賄うことになれば、地域医療介護総合確保基金は将来的に先細りとなると考えられる。今後の見込みなどについて伺うとともに継続を強く要望する。【日本医師会 釜萢敏常任理事コメント】 地域医療構想の実現に向けて地域包括ケアシステムをしっかり維持・運営することが重要であり、2025年だけではなく2040年を見据えて対応しないといけない。2025年で基金が終わるものではないと日本医師会は認識している。看護学校への補助金は基金により増額が難しくなった。財務省は付け替え部分まで踏み込んで削減するとしているが、しっかり注視しながら対応していく。7  医療・介護施設においてのプラスチックごみの逓減について (高知県) 説明:医療・介護施設で使用されるプラスチックは飛躍的に増えている。地球環境を守る観点から、日本医師会もこの問題に関心を持ち、今から対策をしていくことが必要だと考えるが、いかがか。【日本医師会 釜萢敏常任理事コメント】 日本医師会として関心は持っているが成果が出ていない。横倉会長が参画している会議でも課題となっており、日本医師会として意見を述

べていきたい。患者の利便性・安全性を高めつつ、いかにゴミを減らしていくのか両方の視点を持って対応していきたい。令和元年度中国四国医師会連合勤務医委員会 第3分科会に続いて、令和元年度中国四国医師会連合勤務医委員会が開催された。 本委員会委員には、各県の勤務医担当理事と勤務医委員会部会長に就任要請があり、山崎正弘常任理事と木矢克造部会長が委員として、そして桑原正雄副会長がオブザーバーとして出席した。 冒頭、高知県医師会の臼井隆副会長より挨拶があり、勤務医委員会設立経緯について以下のとおり説明があった。 平成28年の日本医師会勤務医委員会答申において、各ブロックで勤務医の意見を集約し、日本医師会へ上げていくフレームワーク作りの重要性が指摘されたことを受けて、中国四国ブロックでは平成30年3月の「中国四国医師会常任委員会」で「勤務医委員会」の設置が承認された。その後、岡山県医師会および愛媛県医師会の尽力により、委員会規約が策定されるとともに、第一回目となる「勤務医委員会」を「令和元年度中国四国医師会連合総会」に併せて開催する運びとなった。なお、常設の勤務医委員会が設置されるのは中国四国ブロックが全国初である。議案および協議結果⑴ 中国四国医師会連合勤務医委員会の位置付けについて 「勤務医委員会」を「中国四国医師会連合総会各分科会」と同日開催とするか、独立した委員会として年に1~2回、岡山で開催するか、「日医女性医師支援センター事業 中国四国ブロック会議」と同日開催とするかなどさまざまな意見が出た。最終的には、「中国四国医師会連合総会各分科会」へ意見をつなげられるように、「総会

第3分科会

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昭和26年8月27日 第3種郵便物承認 2019年(令和元年)10月25日(22)広島県医師会速報(第2423号)各分科会」と同日に別途時間を取って開催することとした。開催時間については担当県に任せることとなった。⑵ 中国四国医師会連合勤務委員会委員長の選出について このことについては、委員の互選とされており、日本医師会勤務医委員会の中国四国選出委員の清水信義岡山県医師会副会長が委員長に承認された。⑶ 2020年度専攻医募集のシーリング案について 直前に開催された「第3分科会」においてすでに協議された内容であったので、意見を述べるのみとなった。シーリング案と新専門医制度が厚労省の医師偏在対策のコントロールのために使われ始めたと懸念する声があった。 最後に釜萢敏日本医師会常任理事より挨拶があり、中国四国ブロックで「勤務医委員会」が立ち上がったことを日本医師会でしっかり報告し、他のブロックの参考になるようにしたいと述べられた。e‐広報室に下記を追加いたしました。  通達文書●予防接種法施行規則の一部を改正する省令の公布および「定期の予 防接種等による副反応疑いの報告等の取扱いについて」の一部改正について●使用薬剤の薬価(薬価基準)の一部改正等について●セファゾリンナトリウム注射用「日医工」が安定供給されるまでの対応について●医療機関における外国人患者の受入れに係る実態調査について(協力依頼)新着のお知ら新着のお知らせせ新着のお知ら新着のお知らせせ学会・研修会等 Web申込受付一覧広島県医師会HPから下記の申し込みを受け付けております。   10/27㈰ 開催 産業医研修会   11/24㈰ 開催 第72回広島医学会総会   12/7土 開催 日医認定健康スポーツ医再研修会(県民フォーラム)   12/15㈰ 開催 産業医研修会R2 1/14㈫ 開催 広島がん高精度放射線治療センターオープンカンファレンス(脳腫瘍) 1/9締切   1/18土 開催 日医認定健康スポーツ医再研修会(福山会場)   3/11㈬〜16㈪ 県民文化センター・3/18㈬〜4/26㈰ 広島県医師会館  開催            第51回広島医家芸術展 作品募集   12/23締切 広島県医師会 医師のみなさまへ   検索 お知らせ