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「演習で学ぶ現代制御理論

新装版」

サンプルページ

この本の定価・判型などは,以下の URL からご覧いただけます.

http://www.morikita.co.jp/books/mid/091782

※このサンプルページの内容は,新装版発行当時のものです.

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i

まえがき

現代制御は,状態方程式を用いて時間領域で解析・設計をすることでシステムの内

部の状態や構造に立ち入った解析や設計が可能となり,所望の制御系を設計できるか

どうかの見通しがよくなった.その代わり,理論が難解になったのも事実である.古

典制御に比べて現代制御がむずかしいと感じるにはそれなりの理由がある.

(a) 状態方程式というものになじめない

(b) 行列計算についていけない

( c ) 定理と証明ばかり目立ち,その目的が見えない

(d) 肝心のアルゴリズムがまとめられていない

本書は,現代制御理論に関する必要最小限の内容を理解するための例題演習本であ

る.ここに書かれている内容と節の対応を下図に示す.本書の特徴を上の問題点 (a)~

(d)に対応した形でまとめると以下のようになる.

本書の構成

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ii まえがき

(a) いったん状態方程式でシステムを表現してしまえば,化学プラントもジェット

機も同じように扱うことができるのが状態方程式の特徴の一つである.本書では,電

気回路,機械振動系などのシステムを状態方程式で表現する演習を行う.具体例を通

して状態とは何かの答えを探る.

(b) 現代制御では行列計算を多用する.行列式の展開,逆行列計算,対称行列の性

質,重複固有値をもつ場合の固有ベクトル計算などは,数多くの数値例を通して理解

を深めることができる.また,行列のランク計算,行列の正定・半正定・負定の判定

は,比較的大きなテーマであるのでそれぞれ一つの節を設けている.

(c) 例題演習本であるので,基本的には定理の証明は行わない.しかしながら,数

値例を通して,定理をどの時点でどのように活用するかの解説を心掛けている.

(d) 多くの教科書では,解析手順,設計手順を箇条書きでまとめ直すことはしてい

ない.したがって肝心のアルゴリズムが見えてこない.一般的に,一つの目的をもっ

て何らかの処理をするときには,それをいくつかのステップに分けることができる.

本書では,ステップに分けて「まとめ」で解説した後,ステップに分けて「数値演習」

を行う.

本書は,「まとめ」 1割,「設問」 3割,「数値演習」6割で構成されている.「まと

め」で記述している内容をテスト形式で導出や証明して確認することは,知識を定着

させるのに役立つ.「設問」は,そのような問題を指す.

現代制御の現場での適用を考えたとき,計算機と MATLAB は必要不可欠な道具で

あろう.しかしながら,それらは,現代制御理論を理解した後にいよいよ実際に使っ

てみるときに必要となる道具であって,いま理論を理解しようとするときには,便利

すぎる MATLAB はかえって邪魔になる.それは,どうしても,現代制御理論の理解

よりも MATLAB の使い方に興味が走ってしまい,プログラムの入口と出口の引数設

定方法の解釈に留まり,肝心の中身を軽んじるからである.

指数,対数,三角関数などの意味や原理がまったくわからなくても手元に電卓があ

れば即座に答えを手に入れることができる.この場合,単位や入力方法の勘違いで間

違った答えが出ていても気が付かないであろう.もっと極端に,電卓が壊れてまった

く違う答えを表示していても,それを信用するであろう.これは非常に危険なことで

ある.答えを簡単に入手できるMATLAB はこの電卓と同じだと思わなくてはならな

い.現代制御理論を十分に理解しないままでは,MATLAB に使われ振り回されてい

るのであって,それを道具として使っているとはいえない.

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まえがき iii

教科書に書かれている式の展開を,自分の手で一つひとつ確認することで行間を読

み,はじめて現代制御理論を自分のものにすることができる.本書は,数値例を通し

て教科書に書かれている内容の理解を深めることができるように数々の工夫を凝らし

ている.入門的な教科書の例題演習本として,また少し視点を変えての要約本として

使いやすい本を目指して書いたつもりである.本書が読者の現代制御理論の理解に少

しでも役立てば,著者の本望である.

2003年 2月

森 泰親 

■新装版発行にあたって現代制御理論の習得に苦労している人のために生まれた本書は,定理の厳密な証明

よりもその使い方に重点をおき,厳選した数値例を手計算で解くことで少しずつ階段

を登るように現代制御の基礎を理解できる仕組みになっている.誕生から 10年が経

ち,この度,出版社のご好意で 2色刷となった.本書は,現代制御の成書としては珍

しく図を多用しているので,カラーにすることでとても見やすくなった.また,これ

を機会に,併合系の固有値解析において座標変換を用いる手法を加筆した.

現代制御理論を本気で学ぼうとするすべての人に,よりわかりやすく生まれ変わっ

た本書を捧げる.

2014年 8月

森 泰親 

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iv

目 次

第 1章 システムを状態方程式で記述する 1

章末問題 ······························································································ 8

第 2章 システムの応答と安定性 9

2.1 状態遷移行列 ················································································· 9

2.2 固有値の位置と応答の関係 ····························································· 12

章末問題 ···························································································· 15

第 3章 可制御性 16

3.1 座標変換とは ··············································································· 16

3.2 対角正準形に変換する ··································································· 18

3.3 可制御性とその条件 ······································································ 28

3.4 行列のランク ··············································································· 32

章末問題 ···························································································· 41

第 4章 可観測性 42

4.1 可観測性とその条件 ······································································ 42

4.2 双対性の定理 ··············································································· 47

4.3 可制御性と可観測性の判定 ····························································· 55

章末問題 ···························································································· 58

第 5章 極配置法 59

5.1 フィードバック係数ベクトルを直接計算する ····································· 59

5.2 可制御正準形に変換する ································································ 64

5.3 可制御正準形による極配置 ····························································· 73

5.4 アッカーマン法による極配置 ·························································· 80

章末問題 ···························································································· 84

第 6章 最適レギュレータ 85

6.1 評価関数と最適制御 ······································································ 85

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目 次 v

6.2 重み行列と正定・半正定 ································································ 91

6.3 最適制御系の安定性 ······································································ 96

6.4 リカッチ代数方程式を解く ····························································· 98

章末問題 ··························································································· 107

第 7章 折返し法 108

7.1 折返し法による制御系設計 ···························································· 108

7.2 折返し法による固有値の移動 ························································· 117

章末問題 ··························································································· 123

第 8章 サーボ系 124

8.1 内部モデル原理に基づくサーボ系の構造とは ···································· 124

8.2 サーボ系を設計する ····································································· 129

8.3 サーボ系設計条件 ········································································ 135

章末問題 ··························································································· 138

第 9章 状態観測器 139

9.1 状態観測器の構造 ········································································ 139

9.2 双対性を用いた状態観測器の設計 ··················································· 141

9.3 併合系の固有値 ··········································································· 146

章末問題 ··························································································· 149

章末問題の解答 ···················································································· 150

索 引 ································································································ 179

演習および章末問題の内容の分類ベクトル・行列(A) ベクトル

演習 3.7,章末問題 3.3,3.4

(B) 行列の対角化

演習 3.8,3.9,3.10,3.11,章末問題 3.1

(C) 行列のランク

演習 3.15,3.16,3.17

(D) 行列の性質

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vi 目 次

演習 3.4,6.2

(E) 対称行列の固有値

演習 6.8

第 1章 システムを状態方程式で記述する(A) 数式モデル

演習 1.1,1.2,1.3,章末問題 1.1

(B) 状態方程式

演習 1.4,1.5,1.6,章末問題 1.2,1.3

第 2章 システムの応答と安定性(A) 状態遷移行列

演習 2.1,2.2,章末問題 2.1

(B) 時間応答

演習 2.3,章末問題 2.2

(C) 固有値が実数のときの応答

演習 2.4,2.6

(D) 固有値が複素数のときの応答

演習 2.5,2.7

第 3章 可制御性(A) 座標変換

演習 3.1,3.2,3.3

(B) 対角正準形

演習 3.5,3.6,章末問題 3.2

(C) 可制御性行列の正則性

演習 3.12,3.13

(D) 可制御性の判定

演習 3.14

第 4章 可観測性(A) 可観測性行列の正則性

演習 4.1,4.2

(B) 可観測性の判定

演習 4.3,4.4

(C) 双対なシステム

演習 4.7,4.10,章末問題 4.1

(D) 双対なシステムの可制御性と可観測性

演習 4.5,4.6,4.8,4.9,4.11,4.12,章末問題 4.2,4.3

(E) 可制御性と可観測性の判定

演習 4.13,章末問題 4.4

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目 次 vii

第 5章 極配置法(A) 直接法による極配置

演習 5.1,5.2,5.3,5.4

(B) 可制御正準形

演習 5.5,5.6,5.7,5.8,5.11,章末問題 5.2

(C) 可制御正準形による極配置

演習 5.9,5.12,5.13,5.14,章末問題 5.3

(D) アッカーマン法による極配置

演習 5.15,5.16,5.17,5.18,章末問題 5.4,5.5

(E) フィードバック係数ベクトルの逆変換

演習 5.10

(F) 閉ループ系の固有値

章末問題 5.1

第 6章 最適レギュレータ(A) 評価関数と最適制御

演習 6.1,6.3,6.4

(B) 正定・負定判定

演習 6.5,6.6,6.7,章末問題 6.1,6.2,6.3,6.4

(C) リアプノフ方程式

演習 6.9,6.10

(D) リカッチ代数方程式の解法

演習 6.11,6.12,6.13,6.14

第 7章 折返し法(A) 評価関数

演習 7.1,7.4,7.5,章末問題 7.2

(B) 折返し法による設計

演習 7.2,7.3,章末問題 7.1

(C) 固有値の移動

演習 7.6,7.7,7.8,7.9,章末問題 7.3,7.4

第 8章 サーボ系(A) サーボ系の構造

演習 8.1,8.2,8.3,章末問題 8.1

(B) サーボ系の設計

演習 8.4,8.7

(C) 閉ループ系の固有値

演習 8.5,章末問題 8.2

(D) 定常偏差

演習 8.6,章末問題 8.3

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viii 目 次

(E) 制御系の設計

演習 8.8,8.9,8.10,章末問題 8.4

第 9章 状態観測器(A) 状態観測器の構造

演習 9.1,9.2

(B) 状態観測器の設計

演習 9.3,9.4,章末問題 9.1

(C) 併合系の固有値

演習 9.5,9.6,章末問題 9.2

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1

第1章システムを状態方程式で記述する制御したい対象を希望どおりに「制し御する」ためには,その対象の特性を十分

に把握しておく必要がある.システムや構成要素の特性を数式で記述することをモ

デル化とよんでいる.この章では,簡単なシステムを実際に解析しながら,状態の

概念を明らかにする.

 

システムの特性をつぎの形の数式で表現する.

x(t) = Ax(t) + Bu(t) (1.1)

y(t) = Cx(t) (1.2)

式 (1.1)の u(t)は入力変数であり,内部の状態を表す状態変数 x(t)を介して式 (1.2)

の出力変数 y(t) に影響を及ぼしている.式 (1.1)の 1階の連立微分方程式を状態方程

式,式 (1.2)の代数方程式を出力方程式という.

演習 1.1 熱系

図 1.1に示す電気炉の特性を表す数式モデルを作成せよ.

図 1.1 熱系(電気炉)

解 ヒーターが単位時間あたりに発生する熱量を qi,単位時間あたりに熱が放散する量を qo

とするとき,この差が炉内温度に時間的変化を与える.微小時間 Δtでの温度変化を Δθ と

するとき,次式が成立する.

CΔθ = (qi − qo)Δt (1)

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2 第 1 章 システムを状態方程式で記述する

ここで,C は熱容量を表す.式 (1) で Δtの極限を考えることで,

Cdθ

dt= qi − qo (2)

を得る.また,放散する熱量は

qo = Dθ (3)

なので,状態方程式はつぎのようになる.ここで,qi が入力変数,θ が状態変数である.

dt= −D

Cθ +

1

Cqi (4)

また,炉内の温度を出力とすれば,出力方程式は,

y = θ (5)

で記述される. ▲

演習 1.2 電気回路

図 1.2に示す電気回路において,vi を入力電圧としたときのコンデンサ端子電圧

vc の変化の様子を表す数式モデルを作成せよ.

図 1.2 RLC 直列回路

解 電流 i と入力電圧 vi との関係は次式で表すことができる.

vi = Ri + Ldi

dt+

1

C

∫i dt (1)

式 (1) は微分と積分が混在している.微分方程式にするには,電荷 q と電圧 vi との関係

式に直せばよい.

Ld2q

dt2+ R

dq

dt+

1

Cq = vi (2)

ここで,

i =dq

dt(3)

の関係を用いた.また,出力電圧 vc は,

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第 1 章 システムを状態方程式で記述する 3

vc =1

Cq (4)

となる.式 (2) を 1階の連立微分方程式に書き換えなくてはならない.まず,電荷 q を状態

変数 x1 とおく.

x1 = q (5)

さらにその微分を考え,状態変数 x2 とする.

dq

dt=

dx1

dt= x2 (6)

以上から,式 (2) はつぎのように書くことができる.

Ldx2

dt+ Rx2 +

1

Cx1 = vi (7)

また,式 (4) は

vc =1

Cx1 (8)

となる.入力変数を u,出力変数を y で表して式 (6)~(8) をまとめて表現すれば,

d

dt

[x1

x2

]=

⎡⎢⎣ 0 1

− 1

LC−R

L

⎤⎥⎦[

x1

x2

]+

⎡⎢⎣ 0

1

L

⎤⎥⎦u (9)

y =[

1

C0

][ x1

x2

](10)

が得られる. ▲

演習 1.3 機械振動系

図 1.3に示すように,ばねとダンパでつ

図 1.3 機械振動系

ながれた台車の動きを考えてみよう.外力

f を図の方向に加えるとき,平衡点からの

ずれ x を表す数式モデルを作成せよ.

解 ばねの弾性係数を K,ダンパの粘性摩擦係数を D,台車の質量を M とし,台車は摩擦

なく床を動くものとすれば,力の釣り合いは次式となる.

Mx + Dx + Kx = f (1)

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4 第 1 章 システムを状態方程式で記述する

状態変数を

x1 = x, x2 = x1 (2)

とおけば,式 (1) は

Mx2 + Dx2 + Kx1 = f (3)

となる.したがって,入力変数 u と出力変数 y をそれぞれ外力 f,位置 x としてまとめる

と,つぎのようになる.

d

dt

[x1

x2

]=

⎡⎢⎣ 0 1

− K

M− D

M

⎤⎥⎦[

x1

x2

]+

⎡⎢⎣ 0

1

M

⎤⎥⎦u (4)

y =[

1 0

][ x1

x2

](5)

演習 1.4 振り子

図 1.4に示す振り子がある.鉛直線からの振れ角 θ の動

図 1.4 振り子

きを表す状態方程式を求めよ.ただし,重りの質量を m,

ロープ長を l とする.

解 回転運動を表す運動方程式は,

Jθ = T (1)

である.ここで,J は慣性モーメント,T はトルクである.重力 mg の支点 O まわりの時

計方向のトルクは lmg sin θ であり,また,支点 Oまわりの慣性モーメントはml2 である.

よって,運動方程式は次式となる.

ml2θ = −lmg sin θ

∴ θ = −g

lsin θ (2)

上式は三角関数が含まれている非線形微分方程式である.振れ角 θ が小さい場合には,図

1.5に示すように直線で近似できる.

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図 1.5 sin θ

第 1 章 システムを状態方程式で記述する 5

d sin θ

∣∣∣θ=0

= cos θ|θ=0 = 1 (3)

なので,原点における接線の傾きは 1である.したがって,θ

が小さい場合は

sin θ = θ (4)

とすることができ,式 (2) はつぎのようになる.

θ = −g

lθ (5)

x1 = θ, x2 = x1 とおくと,式 (5) は,

x2 = −g

lx1 (6)

なので,振り子の運動方程式はつぎの状態方程式で記述できる.

d

dt

[x1

x2

]=

⎡⎣ 0 1

−g

l0

⎤⎦[ x1

x2

](7)

演習 1.5 振り子

演習 1.4と同じ振り子において,鉛直線からの振れ角 θ の動きを,ラグランジュ

法を用いて導出せよ.

解 重りの周速度は半径 × 角速度で得られるから,lθ である.したがって,運動エネル

ギーは,

T =1

2m(lθ)2 (1)

となる.また,重りが鉛直線の位置にあるときを基準にすればポテンシャルエネルギーは,

U = mgl(1 − cos θ) (2)

である.ラグランジュ関数 L = T − U を用いて運動方程式は次式で与えられる.

d

dt

(∂L

∂qi

)− ∂L

∂qi= 0 (3)

L =1

2m(lθ)2 − mgl(1 − cos θ) であるから,θ を一般化座標として偏微分すれば,

∂L

∂θ= −mgl sin θ,

∂L

∂θ= ml2θ (4)

となる.式 (4) を式 (3) に代入して

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6 第 1 章 システムを状態方程式で記述する

ml2θ + mgl sin θ = 0 (5)

を得る.式 (5) は演習 1.4の式 (2) と一致するので,以降の過程は同じである. ▲

演習 1.6 天井走行クレーン

図 1.6に示す天井走行クレーンにおいて,M は

図 1.6 天井走行クレーン

台車の質量,x は台車の位置,f は台車の駆動力を

表す.天井走行クレーンの動きを状態方程式で表現

せよ.

解 鉛直下向きに y 軸をとる.荷の座標 (xG, yG) は,

xG = x + l sin θ, yG = l cos θ (1)

であるから,

xG = x + lθ cos θ, yG = −lθ sin θ (2)

となる.したがって,荷の速度は,

v =√

xG2 + yG

2

=

√(x + lθ cos θ)2 + (−lθ sin θ)2

=√

x2 + 2xlθ cos θ + l2θ2 (3)

で与えられる.台車と荷を合わせた運動エネルギーは次式となる.

T =1

2Mx2 +

1

2m(x2 + 2xlθ cos θ + l2θ2

)(4)

また,ポテンシャルエネルギーは演習 1.5と同じく,

U = mgl(1 − cos θ) (5)

である.ラグランジュ関数 L = T − U を用いて,運動方程式は次式で与えられる.

d

dt

(∂L

∂qi

)− ∂L

∂qi= fi (6)

ここで,fi は外力を表し,この場合は台車の駆動力がそれにあたる.θ を一般化座標として

偏微分すると,

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第 1 章 システムを状態方程式で記述する 7

∂L

∂θ= −mlxθ sin θ − mgl sin θ (7)

d

dt

(∂L

∂θ

)=

d

dt(mlx cos θ + ml2θ)

= mlx cos θ − mlxθ sin θ + ml2θ (8)

であるから,式 (7), (8) を式 (6) に代入して

x cos θ + lθ + g sin θ = 0 (9)

を得る.また,x も一般化座標として計算して,

(M + m)x + mlθ cos θ − mlθ2 sin θ = f (10)

を得る.式 (9), (10) が天井走行クレーンの運動方程式である.振れ角 θ が小さい場合は,

sin θ = θ, cos θ = 1, θ2 = 0 (11)

と近似することができるので,式 (9), (10) はつぎのように線形化される.

x + lθ + gθ = 0 (12)

(M + m)x + mlθ = f (13)

x, θ について解いた後まとめると,状態方程式

d

dt

⎡⎢⎢⎢⎣

x

θ

x

θ

⎤⎥⎥⎥⎦ =

⎡⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎣

0 0 1 0

0 0 0 1

0mg

M0 0

0 − (M + m)g

Ml0 0

⎤⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎦

⎡⎢⎢⎢⎣

x

θ

x

θ

⎤⎥⎥⎥⎦+

⎡⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎣

0

0

1

M

− 1

Ml

⎤⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎦

f (14)

となる.また,x と θ を出力するとき,出力方程式は,

y =(

1 1 0 0

)⎛⎜⎜⎜⎝

x

θ

x

θ

⎞⎟⎟⎟⎠ (15)

となる. ▲

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8 第 1 章 システムを状態方程式で記述する

章末問題

1.1 電気回路 図 1.7に示す電気回路において,

図 1.7 RLC はしご形回路

vi を入力電圧としたときのコンデンサの端子電圧 vc

の変化の様子を表す数式モデルを作成せよ.

1.2 剛体振子 図 1.8に示す質量 m の剛体振子がある.支点から重心までの距離を l,

重心まわりの慣性モーメントを J とするとき,鉛直線からの振れ角 θ の動きを表す状態方程

式を作成せよ.

1.3 倒立振子 図 1.9に示す倒立振子において,M は台車の質量,x は台車の位置,f

は台車の駆動力を表す.倒立振子の動きを状態方程式で表現せよ.

図 1.8 剛体振子 図 1.9 倒立振子

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59

第5章極配置法

第 2章の 2.2節において,固有値の複素平面上の位置と時間応答波形の関係が明

らかとなった.本章では,閉ループ系の固有値を指定した位置に一つひとつ正確に

配置するフィードバック制御系の設計法である極配置法について,代表的な手法の

いくつかを修得する.

 

5.1 フィードバック係数ベクトルを直接計算する

1入力 n 次元定係数線形システムの制御対象

x(t) = Ax(t) + bu(t) (5.1)

は,状態変数 x1(t)~xn(t)が直接観測できるとする.このシステムに対して状態フィー

ドバック制御

u(t) = −fx(t) (5.2)

を施して,好ましい応答をする閉ループ系を構成しよう.式 (5.2) を式 (5.1) に代入

すると,閉ループ系は

x(t) = (A − bf)x(t) (5.3)

となり,また,その解は

x(t) = exp(A − bf)t · x(0) (5.4)

で与えられる.したがって,行列 A − bf のすべての固有値を安定な固有値にするこ

とができれば,閉ループ系は漸近安定となる.

固有値の複素平面上での位置と時間応答との関係に基づいて,行列 A − bf のすべ

ての固有値をあらかじめ指定しておき,それら指定した固有値になるようにフィード

バック係数ベクトル f を求めることを考える.所望のフィードバック係数ベクトル f

を求める手順は,以下のようにまとめられる.

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60 第 5 章 極配置法

《直接法による極配置》

Step 1 可制御性をチェックする.

Step 2 フィードバック係数ベクトル f を要素で表現して,行列 A− bf を計算する.

Step 3 閉ループ特性多項式を求める.

Step 4 指定した固有値の値から所望の閉ループ特性多項式を計算する.

Step 5 二つの特性多項式から係数比較法により f を求める連立方程式を導出する.

Step 6 連立方程式を解いてフィードバック係数ベクトル f を得る.

演習 5.1 直接法による極配置

つぎのシステムを制御対象とするとき,閉ループ系の固有値を−3, −4とする状

態フィードバック係数ベクトル f を求めよ.

x(t) =

(5 −4

6 −5

)x(t) +

(1

1

)u(t) (1)

解 Step 1 可制御性行列はつぎのようになる.

[b Ab

]=

(1 1

1 1

)(2)

この行列の行列式は

∣∣∣ b Ab

∣∣∣ =∣∣∣∣∣ 1 1

1 1

∣∣∣∣∣ = 0 (3)

となり,制御対象は不可制御であることが判明した.したがって,任意の位置に閉ループ系

の固有値を配置することはできない.本来はこの時点で設計をあきらめなくてはならないが,

ここでは特別に先に進むことにする.

Step 2 制御対象は 2次元であるから,フィードバック係数ベクトル f を

f =[

f1 f2

](4)

とおく.閉ループ系のシステム行列 A − bf はつぎのようになる.

A − bf =

(5 −4

6 −5

)−(

1

1

)[f1 f2

]=

[5 − f1 −4 − f2

6 − f1 −5 − f2

](5)

Step 3 したがって,閉ループ系の特性多項式は次式となる.

|sI − A + bf | =

∣∣∣∣∣ s − 5 + f1 4 + f2

−6 + f1 s + 5 + f2

∣∣∣∣∣

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5.1 フィードバック係数ベクトルを直接計算する 61

= s2 + (f1 + f2)s + (−1 + f1 + f2) (6)

Step 4 閉ループ系の固有値を −3, −4 とする特性多項式は次式である.

(s + 3)(s + 4) = s2 + 7s + 12 (7)

Step 5 式 (6) が恒等的に式 (7) と等しくなるためには,s のそれぞれの次数の係数どうし

が等しくなくてはならない.このことから,フィードバック係数ベクトル f の要素,f1, f2

を求めるための連立方程式として,

f1 + f2 = 7 (8)

− 1 + f1 + f2 = 12 (9)

を得る.

Step 6 上の連立方程式を解く.式 (9) は

f1 + f2 = 13 (10)

となる.式 (8) と式 (10) を同時に満足する f1, f2 は存在しない.よって,指定した位置に

閉ループ系の固有値を配置することはできない.Step 1で可制御性を調べたときに不可制御

であったことから,当然の結果であるといえよう. ▲

演習 5.2 直接法による極配置

つぎの 2次元のシステムを制御対象とするとき,閉ループ系の固有値を−2, −3

とする状態フィードバック係数ベクトル f を,直接法により求めよ.

x(t) =

(1 2

−3 −4

)x(t) +

(2

3

)u(t) (1)

解 Step 1 可制御性行列の行列式を計算すると,

|Uc| =

∣∣∣∣∣ 2 8

3 −18

∣∣∣∣∣ = −60 �= 0 (2)

となるので制御対象は可制御である.したがって,指定の位置に閉ループ系の固有値を配置

することができる.

Step 2 フィードバック係数ベクトル f は 2次元の横長ベクトルである.

f =[

f1 f2

](3)

これより,閉ループ系のシステム行列 A − bf は,

A − bf =

(1 2

−3 −4

)−(

2

3

)[f1 f2

]=

[1 − 2f1 2 − 2f2

−3 − 3f1 −4 − 3f2

](4)

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62 第 5 章 極配置法

のように計算される.

Step 3 したがって,閉ループ系の特性多項式はつぎのようになる.

|sI − A + bf | =

∣∣∣∣∣ s − 1 + 2f1 −2 + 2f2

3 + 3f1 s + 4 + 3f2

∣∣∣∣∣= s2 + (3 + 2f1 + 3f2)s + (2 + 14f1 − 9f2) (5)

Step 4 一方,固有値を −2, −3 とする特性多項式は次式である.

(s + 2)(s + 3) = s2 + 5s + 6 (6)

Step 5 式 (5) が恒等的に式 (6) と等しくなるためには,s のそれぞれの次数の係数どうし

が等しくなくてはならない.これより,f1, f2 を求めるための 2本の連立方程式を得る.

3 + 2f1 + 3f2 = 5 (7)

2 + 14f1 − 9f2 = 6 (8)

Step 6 連立方程式を解いて,フィードバック係数ベクトル f をつぎのように求めること

ができる.

f =[

f1 f2

]=(

1

2

1

3

)(9)

演習 5.3 直接法による極配置

つぎの 2次元のシステムを制御対象とするとき,閉ループ系の固有値を−0.3±j0.2

とする状態フィードバック係数ベクトル f を,直接法により求めよ.

x(t) =

(1 0.4

0 0.6

)x(t) +

(0.1

0.4

)u(t) (1)

解 Step 1 可制御性をチェックする.

|Uc| = | b Ab | =

∣∣∣∣∣ 0.1 0.26

0.4 0.24

∣∣∣∣∣ = −0.08 �= 0 (2)

となるから,制御対象は可制御であることがわかる.

Step 2 フィードバック係数ベクトル f は 2次元の横長ベクトルである.

f =[

f1 f2

](3)

閉ループ系のシステム行列 A − bf は,つぎのように計算される.

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139

第9章状態観測器

制御系設計として,極配置法,最適レギュレータ,折返し法,サーボ系の基礎を

まとめた.以上では,すべての状態変数 x1(t)~xn(t) は直接観測が可能であると仮

定したが,実際にはそのような場合は少ない.このときには,検出可能な操作量と

出力から状態を再現し,再現された状態を使って状態フィードバックを実現してや

ればよい.状態を再現する機構を状態観測器あるいはオブザーバという.

 

9.1 状態観測器の構造

制御対象は,入力 m,出力 r,n 次元定係数線形システム

x(t) = Ax(t) + Bu(t) (9.1)

y(t) = Cx(t) (9.2)

で表されているとする.このとき,状態観測器の動特性は,次式で記述される.

˙x(t) = Ax(t) + Bu(t) − L{y(t) − y(t)}= (A − LC)x(t) + Ly(t) + Bu(t) (9.3)

演習 9.1 状態観測器の構造

制御対象と同じモデル

˙x(t) = Ax(t) + Bu(t) (1)

を用意しておいて,同一の入力 u(t) を与えるのでは状態観測器として役に立たな

いことを明らかにせよ.

解 図 9.1において,制御対象の状態 x(t) とモデルの状態 x(t) との差を考えてみよう.

η(t) = x(t) − x(t) (2)

とおき,両辺を微分したうえで式 (9.1) と式 (1) を使うと,

η(t) = ˙x(t) − x(t) = Ax(t) + Bu(t) − {Ax(t) + Bu(t)}

= A{x(t) − x(t)} = Aη(t) (3)

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図 9.1 モデルをそのままシミュレータとして使

う方法

140 第 9 章 状態観測器

となる.ただし,初期値は η(0) = x(0)−x(0) である.式 (3) の誤差システムが

漸近安定,すなわち行列 A のすべての

固有値の実数部が負ならば,η(t) → 0,

t → ∞ となる.このことは,初期値に

おける誤差 η(0) = x(0) − x(0) �= 0 の

影響は時間経過とともに単調に減少し,

やがて x(t) は x(t) に漸近的に収束する

ことを意味する.しかしながら,ここで

収束の速度は行列 A の固有値に依存し,

設計者の立場でこれを調整することはで

きない.ましてや,誤差システムが漸近

安定でない場合は,x(t) は x(t) の再現値とはなり得ない. ▲

演習 9.2 状態観測器の構造

状態観測器の動特性を式 (9.3) にすれば,演習 9.1で指摘した問題は解決するこ

とを示せ.

解 演習 9.1と同じく,図 9.2において,制御対象の状態 x(t) とモデルの状態 x(t) との差

図 9.2 状態観測器

を考える.

η(t) = x(t) − x(t) (1)

式 (1) の両辺を微分して,式 (9.3), 式 (9.1) および式 (9.2) を代入すると,

η(t) = ˙x(t) − x(t)

= (A − LC)x(t) + Ly(t) + Bu(t)

− {Ax(t) + Bu(t)}= (A − LC)x(t) + LCx(t) − Ax(t)

= (A − LC){x(t) − x(t)}= (A − LC)η(t) (2)

となる.この解は,

η(t) = e(A−LC)tη(0) (3)

であるから,A−LC が漸近安定な行列であ

れば,次式が成立する.

limt→∞

η(t) = 0, ∀η(0) (4)

すなわち,式 (9.3) で表すシステムが所望の状態観測器となり得る. ▲

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9.2 双対性を用いた状態観測器の設計 141

9.2 双対性を用いた状態観測器の設計

行列 A − LC を漸近安定な行列にする L の設計は,つぎのようにまとめることが

できる.

《状態観測器の設計》

Step 1 可観測性をチェックする.

Step 2 AT → A∗, CT → B∗ と置き換える.

Step 3 行列 A∗ − B∗F を漸近安定な行列にする F を求める.

Step 4 L = FT とする.

演習 9.3 状態観測器の設計

演習 7.3,演習 8.4で用いた制御対象と同じ

x(t) =

(0 1

−5 −2

)x(t) +

(0

1

)u(t) (1)

y(t) =(

1 0)

x(t) (2)

に対して,状態観測器を設計せよ.ただし,行列 A − lcの固有値を −3, −4に配

置すること.

解 Step 1 まず,可観測であるかどうかを調べる.

cA =(

1 0

)( 0 1

−5 −2

)=(

0 1

)(3)

であるから,可制御性行列の行列式を計算すると,

|Uo| =

∣∣∣∣∣ c

cA

∣∣∣∣∣ =∣∣∣∣∣ 1 0

0 1

∣∣∣∣∣ = 1 �= 0 (4)

となる.したがって,制御対象は可観測である.

Step 2 置き換えをする.

A∗ = AT =

(0 −5

1 −2

), b∗ = cT =

(1

0

)(5)

Step 3 行列 A∗ − b∗f を漸近安定な行列にするベクトル f を求める.

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142 第 9 章 状態観測器

f =[

f1 f2

](6)

とおいて A∗ − b∗f を計算すればつぎのようになる.

A∗ − b∗f =

(0 −5

1 −2

)−(

1

0

)[f1 f2

]=

[−f1 −5 − f2

1 −2

](7)

したがって,状態観測器の固有値は,つぎの特性多項式で決定される.

|sI − A∗ + b∗f | =

∣∣∣∣∣ s + f1 5 + f2

−1 s + 2

∣∣∣∣∣ = s2 + (f1 + 2)s + 2f1 + f2 + 5 (8)

一方,固有値を −3, −4 に配置するための特性多項式は,

(s + 3)(s + 4) = s2 + 7s + 12 (9)

である.式 (8) と式 (9) の係数比較から,つぎの連立方程式を導くことができる.

f1 + 2 = 7 (10)

2f1 + f2 + 5 = 12 (11)

これを解いて,

f =[

f1 f2

]=(

5 −3

)(12)

を得る.

Step 4 したがって,行列 A − lc の固有値を −3, −4 に配置するベクトル l は,

l = fT =

(5

−3

)(13)

と求められた. ▲

演習 9.4 状態観測器の設計

演習 5.14で用いた制御対象と同じ

x(t) =

⎛⎜⎜⎝

−2 1 0

1 −3 1

0 1 −2

⎞⎟⎟⎠x(t) +

⎛⎜⎜⎝

1

0

0

⎞⎟⎟⎠u(t) (1)

y(t) =(

1 1 0)

x(t) (2)

に対して,折返し法を用いて状態観測器を設計せよ.

解 Step 1 最初に可観測性をチェックする.

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9.2 双対性を用いた状態観測器の設計 143

|Uo| =

∣∣∣∣∣∣∣1 1 0

−1 −2 1

0 6 −4

∣∣∣∣∣∣∣ = 8 − 6 − 4 = −2 �= 0 (3)

であるから,このシステムは可観測と判断される.

Step 2 置き換える.

A∗ = AT =

⎛⎜⎝ −2 1 0

1 −3 1

0 1 −2

⎞⎟⎠ , b∗ = cT =

⎛⎜⎝ 1

1

0

⎞⎟⎠ (4)

Step 3 以下において,行列 A∗ − b∗f を漸近安定な行列にする f を折返し法を用いて求め

る.まず,開ループ系の固有値を計算する.

|sI − A∗| =

∣∣∣∣∣∣∣s + 2 −1 0

−1 s + 3 −1

0 −1 s + 2

∣∣∣∣∣∣∣ = (s + 1)(s + 2)(s + 4) = 0 (5)

から,−1, −2, −4 と求められる.ここでは,設計のパラメータ α を 3に選定して,折返し

線 Re [λ] = −3 で折り返した結果,−4, −4, −5 となることをもくろむ.

リカッチ形方程式は,

(A∗ + αI)T P + P (A∗ + αI) − Pb∗1

rb∗T P = 0 (6)

である.ここで,

A∗ + αI =

⎛⎜⎝ −2 1 0

1 −3 1

0 1 −2

⎞⎟⎠+

⎛⎜⎝ 3 0 0

0 3 0

0 0 3

⎞⎟⎠ =

⎛⎜⎝ 1 1 0

1 0 1

0 1 1

⎞⎟⎠ (7)

である.r = 1 としてハミルトン行列をつくると,つぎのようになる.

H =

⎡⎣ A∗ + αI −b∗

1

rb∗T

0 −(A∗ + αI)T

⎤⎦ =

⎛⎜⎜⎜⎜⎜⎜⎜⎜⎝

1 1 0 −1 −1 0

1 0 1 −1 −1 0

0 1 1 0 0 0

0 0 0 −1 −1 0

0 0 0 −1 0 −1

0 0 0 0 −1 −1

⎞⎟⎟⎟⎟⎟⎟⎟⎟⎠

(8)

ハミルトン行列の固有値を計算する.

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144 第 9 章 状態観測器

|sI − H| =

∣∣∣∣∣∣∣∣∣∣∣∣∣∣

s − 1 −1 0 1 1 0

−1 s −1 1 1 0

0 −1 s − 1 0 0 0

0 0 0 s + 1 1 0

0 0 0 1 s 1

0 0 0 0 1 s + 1

∣∣∣∣∣∣∣∣∣∣∣∣∣∣=

∣∣∣∣∣∣∣s − 1 −1 0

−1 s −1

0 −1 s − 1

∣∣∣∣∣∣∣∣∣∣∣∣∣∣

s + 1 1 0

1 s 1

0 1 s + 1

∣∣∣∣∣∣∣= s(s − 1)2 − 2(s − 1)

{s(s + 1)2 − 2(s + 1)

}= (s − 1)2(s + 1)2(s − 2)(s + 2) = 0 (9)

から,安定な固有値は,λ1 = λ2 = −1, λ3 = −2 であることがわかった.固有値 λ1 = −1

に対する固有ベクトルを求める.(λ1I − H) w1 = 0 より,⎛⎜⎜⎜⎜⎜⎜⎜⎜⎝

−2 −1 0 1 1 0

−1 −1 −1 1 1 0

0 −1 −2 0 0 0

0 0 0 0 1 0

0 0 0 1 −1 1

0 0 0 0 1 0

⎞⎟⎟⎟⎟⎟⎟⎟⎟⎠

⎡⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎣

w11

w12

w13

w14

w15

w16

⎤⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎦

= 0 (10)

を解けばよい.第 1要素を 1にして求めると,つぎのようになる.

w1 =(

1 −2 1 0 0 0

)T

(11)

ハミルトン行列 H の安定な固有値 λ1 と λ2 は重根である.λ2 に対する固有ベクトル w2

は,いま求めた w1 を使って,

(λ2I − H) w2 = −w1 (12)

を満足するベクトル w2 として求めることができる.上式は,w2 の要素 w21, w22, w23, w24,

w25, w26 を用いて,⎛⎜⎜⎜⎜⎜⎜⎜⎜⎝

−2 −1 0 1 1 0

−1 −1 −1 1 1 0

0 −1 −2 0 0 0

0 0 0 0 1 0

0 0 0 1 −1 1

0 0 0 0 1 0

⎞⎟⎟⎟⎟⎟⎟⎟⎟⎠

⎡⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎣

w21

w22

w23

w24

w25

w26

⎤⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎦

=

⎛⎜⎜⎜⎜⎜⎜⎜⎜⎝

−1

2

−1

0

0

0

⎞⎟⎟⎟⎟⎟⎟⎟⎟⎠

(13)

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9.2 双対性を用いた状態観測器の設計 145

と表すことができる.この場合も上と同様に第 1要素を 1に決めると,

w2 =(

1 5 −2 6 0 −6

)T

(14)

と得られる.λ3 = −2 に対する固有ベクトル w3 は,(λ3I − H) w3 = 0 を解いて,

w3 =(

1 3 −1 3 3 3

)T

(15)

となる.以上で求めた固有ベクトルを上下半分ずつに分けて,vi, ui, i = 1, 2, 3 を定義する.

w1 =

[v1

u1

]=

⎛⎜⎜⎜⎜⎜⎜⎜⎜⎝

1

−2

1

0

0

0

⎞⎟⎟⎟⎟⎟⎟⎟⎟⎠

, w2 =

[v2

u2

]=

⎛⎜⎜⎜⎜⎜⎜⎜⎜⎝

1

5

−2

6

0

−6

⎞⎟⎟⎟⎟⎟⎟⎟⎟⎠

, w3 =

[v3

u3

]=

⎛⎜⎜⎜⎜⎜⎜⎜⎜⎝

1

3

−1

3

3

3

⎞⎟⎟⎟⎟⎟⎟⎟⎟⎠

(16)

これらから,リカッチ形方程式 (6) の解はつぎの計算から得られる.

P =[

u1 u2 u3

] [v1 v2 v3

]−1

=

⎛⎜⎝ 0 6 3

0 6 3

0 −6 3

⎞⎟⎠⎛⎜⎝ 1 1 1

−2 5 3

1 −2 −2

⎞⎟⎠−1

=

⎛⎜⎝ 3 −3 −9

−3 9 21

−9 21 51

⎞⎟⎠ (17)

正定,半正定を調べると,

3 > 0, 9 > 0, 51 > 0,

∣∣∣∣∣ 3 −3

−3 9

∣∣∣∣∣ = 18 > 0,

∣∣∣∣∣ 9 21

21 51

∣∣∣∣∣ = 18 > 0,

∣∣∣∣∣∣∣3 −3 −9

−3 9 21

−9 21 51

∣∣∣∣∣∣∣ = 1377 + 567 + 567 − 729 − 1323 − 459 = 0 (18)

から半正定であると判定された.ベクトル f はつぎのように求められる.

f =1

rb∗T P =

1

1

(1 1 0

)⎛⎜⎝ 3 −3 −9

−3 9 21

−9 21 51

⎞⎟⎠ =

(0 6 12

)(19)

Step 4 したがって,求める l は,

l = fT =

⎛⎜⎝ 0

6

12

⎞⎟⎠ (20)

となる. ▲

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150

章末問題の解答

■第 1章1.1 演習 1.2で扱った回路に比べて,図 1.7の回路は,コンデンサに並列に抵抗が付け加えられている.まず,電圧に関して次式が成り立つ.

vi = R1iL + LdiLdt

+ vc (1)

つぎに電流については,

iL =vc

R2+ ic (2)

の関係がある.コンデンサに流れる電流と電圧の関係は,

vc =1

C

∫icdt (3)

であるから,両辺を微分して次式を得る.

Cdvc

dt= ic (4)

式 (4) を式 (2) に代入する.

iL =vc

R2+ C

dvc

dt(5)

式 (1) と式 (5) を整理することで,つぎの 1階の連立方程式を得る.

diLdt

= −R1

LiL − 1

Lvc +

1

Lvi (6)

dvc

dt=

1

CiL − 1

CR2vc (7)

入力電圧 vi を入力変数 u に置き換え,コンデンサの端子電圧 vc を出力変数 y として状態方程式を作成すれば,つぎのようになる.

d

dt

[x1

x2

]=

⎡⎢⎣ −R1

L− 1

L1

C− 1

CR2

⎤⎥⎦[ x1

x2

]+

⎡⎣ 1

L

0

⎤⎦u (8)

y =(

0 1) [ x1

x2

](9)

1.2 運動エネルギーは,並進運動と回転運動の和で求められる.

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章末問題の解答 第 1 章 151

T =1

2m(lθ)2 +

1

2Jθ2 (1)

ポテンシャルエネルギーは

U = mgl(1 − cos θ) (2)

であるから,

L = T − U =1

2(J + ml2)θ2 − mgl(1 − cos θ) (3)

となる.θ を一般化座標としてラグランジュの運動方程式を求める.

∂L

∂θ= −mgl sin θ,

∂L

∂θ= (J + ml2)θ (4)

と計算されるから,

(J + ml2)θ + mgl sin θ = 0 (5)

となる.式 (5) において,sin θ = θ の近似をすれば状態方程式はつぎのようになる.

d

dt

θ

]=

[0 1

− mgl

J + ml20

][θ

θ

](6)

1.3 鉛直上向きに y 軸をとる.振り子の重心の座標 (xG, yG) は,

xG = x + l sin θ, yG = l cos θ (1)

なので,

xG = x + lθ cos θ, yG = −lθ sin θ (2)

となる.よって,振り子の並進運動のエネルギーは,

1

2mv2 =

1

2m(xG

2 + yG2) =

1

2m(x2 + 2xlθ cos θ + l2θ2

)(3)

と求めることができる.これに,振り子の回転運動のエネルギーと台車の運動エネルギーを加えて運動エネルギーの総和はつぎのようになる.

T =1

2Mx2 +

1

2m(x2 + 2xlθ cos θ + l2θ2

)+

1

2Jθ2 (4)

また,ポテンシャルエネルギーは,

U = mgl cos θ (5)

である.ラグランジュ関数は,

L = T − U

=1

2(M + m)x2 + mxlθ cos θ +

1

2(J + ml2)θ2 − mgl cos θ (6)

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179

索 引

あ 行

アッカーマン法 80, 130

有本 ― ポッターの方法 98

位数 32

運動エネルギー 5, 6

オブザーバ 139

重み行列 91

折返し線 108

折返し法 108

か 行

階数 32

階段行列 32, 33, 35

可観測性 42

可観測性行列 42, 43, 45, 48

可観測性グラム行列 42, 43, 48

拡大系 129

可制御性 16

可制御性行列 29, 31, 48

可制御性グラム行列 29, 48

可制御正準形 64, 68

過渡応答 9

慣性モーメント 4, 8

機械振動系 3

基本操作 32

行列指数関数 9

行列の対角化 22

行列のランク 32

極 ― 零点相殺 56

極配置法 59

クラインマンの方法 98, 99

係数比較法 60

剛体振子 8

固有値 12

固有値の移動 117

固有ベクトル 12

さ 行

最適制御 85

最適レギュレータ 85

座標変換 13, 16, 65

座標変換行列 16, 18

座標変換と固有値 16

座標変換と固有ベクトル 17

座標変換と伝達関数 17

サーボ系設計条件 135

サーボ系の構造 124

サーボ系の設計 129, 132

時間応答 9, 11

システムの安定性 9

システムの応答 9

重根をもつ行列の対角化 25

首座小行列式 91, 94

主小行列式 92, 94

出力変数 1

出力方程式 1

小行列式 32

状態観測器 139

状態観測器の構造 139

状態観測器の設計 141, 142

状態遷移行列 9, 10, 11

状態フィードバック制御 85

状態変数 1

状態方程式 1

初等変換 32

自律システム 13

シルベスターの判定条件 94

正規化 27

制御対象の零点 136

正定対称行列 85

正定・負定判定 92

積分特性 124

漸近安定 59

線形結合 32

線形従属 32

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180 索 引

線形独立 12, 20, 32

前置補償器 124

双対性 42, 141

双対性の定理 47

双対なシステム 48

た 行

対角正準形 18, 19, 55, 56

対角正準形と伝達関数 20

対角変換行列 19

対称行列の固有値 95

対称行列の対角化 26

直交行列 26

定常偏差 124, 132

電気回路 2, 8

天井走行クレーン 6

倒立振子 8

トルク 4

な 行

内部モデル原理 124, 136

2 次形式評価関数 85

熱系 1

は 行

ハミルトン行列 104, 116

半正定対称行列 85

フィードバック係数ベクトル 59

不可観測 58

不変零点 137

振り子 4

併合系の固有値 146

閉ループ特性多項式 60

ポテンシャルエネルギー 5, 6

ま 行

モデル化 1

モード 13

モード展開 13

ら 行

ラグランジュ関数 5, 6

ラグランジュ法 5

ラプラス逆変換 10

ランク 32, 35, 50

リアプノフ方程式 96, 97

リカッチ形方程式 108

リカッチ代数方程式 85

リカッチ微分方程式 98

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著 者 略 歴森 泰親(もり・やすちか)

1976 年 早稲田大学理工学部電気工学科卒業1981 年 同大学院理工学研究科電気工学専攻博士課程修了(工学博士)1999 年 防衛大学校機械システム工学科教授2003 年 東京都立科学技術大学電子システム工学科教授2005 年 首都大学東京システムデザイン学部教授

現在に至る電気学会上級会員(2005 年)計測自動制御学会フェロー(2010 年)

著 書 制御理論の基礎と応用(共著,産業図書,1995 年)大学講義シリーズ 制御工学(コロナ社,2001 年)演習で学ぶ基礎制御工学(森北出版,2004 年)演習で学ぶ PID 制御(森北出版,2009 年)演習で学ぶディジタル制御(森北出版,2012 年)わかりやすい現代制御理論(森北出版,2013 年)

編集担当 千先治樹(森北出版)編集責任 石田昇司(森北出版)組 版 ウルス印 刷 エーヴィスシステムズ製 本 ブックアート

演習で学ぶ現代制御理論 新装版 C© 森 泰親 2014

【本書の無断転載を禁ず】2003 年 2 月 25日 第 1版第 1刷発行2003 年 8 月 25日 第 1版第 2刷発行2004 年 11月 30日 第 1版第 3刷発行2006 年 7 月 31日 第 1版第 4刷発行2007 年 10月 30日 第 1版第 5刷発行2009 年 3 月 20日 第 1版第 6刷発行2010 年 6 月 30日 第 1版第 7刷発行2012 年 2 月 15日 第 1版第 8刷発行2013 年 3 月 5 日 第 1版第 9刷発行2014 年 10月 6 日 新装版第 1刷発行

著 者 森 泰親

発 行 者 森北博巳

発 行 所 森北出版株式会社東京都千代田区富士見 1–4–11(〒102–0071)電話 03–3265–8341/ FAX 03–3264–8709

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Printed in Japan/ISBN978–4–627–91782–8