「明⽇の安⼼」対話集会 in 鳴⾨1 「明 の安 」対話集会 in 鳴...

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1 「明⽇の安⼼」対話集会 in 鳴⾨ 〜社会保障と税の⼀体改⾰を考える〜 日時 平成24年7月14日(土)14:30~15:45 場所 鳴門市老人福祉センター (徳島県鳴門市) 参加者数 計272名 プログラム(司会:矢野 内閣官房社会保障改革担当室参事官) ・岡田副総理からの説明 ・会場参加者との質疑応答 集会の模様 ※一般参加者のお名前については、英文字に置き換えさせていただきました。 ○司会 お待たせいたしました。これから、「『明日の安心』対話集会 in 鳴門」 を始めさせていただきたいと存じます。 本日司会を務めさせていただきます、内閣官房社会保障改革担当室参事官を いたしております矢野と申します。 この対話集会は、社会保障と税の一体改革に関しまして、政府として国民の 皆さんの率直な御意見を伺わせていただきますとともに、併せてしっかりと皆 様に御説明をさせていただくということで、全国各地を毎週末に回らせていた だいておるものでございます。 ここ鳴門市での対話集会におきましては、一体改革の責任者である、担当大 臣でもございます岡田副総理が、皆様の御所見を伺いに参上させていただきま した。

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Page 1: 「明⽇の安⼼」対話集会 in 鳴⾨1 「明 の安 」対話集会 in 鳴 〜社会保障と税の 体改 を考える〜 日時 平成24年7月14日(土)14:30~15:45

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「明⽇の安⼼」対話集会 in 鳴⾨ 〜社会保障と税の⼀体改⾰を考える〜

■ 日時

平成24年7月14日(土)14:30~15:45

■ 場所

鳴門市老人福祉センター (徳島県鳴門市)

■ 参加者数

計272名

■ プログラム(司会:矢野 内閣官房社会保障改革担当室参事官)

・岡田副総理からの説明

・会場参加者との質疑応答

■ 集会の模様

※一般参加者のお名前については、英文字に置き換えさせていただきました。

○司会 お待たせいたしました。これから、「『明日の安心』対話集会 in 鳴門」

を始めさせていただきたいと存じます。

本日司会を務めさせていただきます、内閣官房社会保障改革担当室参事官を

いたしております矢野と申します。

この対話集会は、社会保障と税の一体改革に関しまして、政府として国民の

皆さんの率直な御意見を伺わせていただきますとともに、併せてしっかりと皆

様に御説明をさせていただくということで、全国各地を毎週末に回らせていた

だいておるものでございます。

ここ鳴門市での対話集会におきましては、一体改革の責任者である、担当大

臣でもございます岡田副総理が、皆様の御所見を伺いに参上させていただきま

した。

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本日は、まず岡田副総理の方から御説明をさせていただいた後に、皆様から

御意見、御質問をちょうだいしたいと存じます。

この対話集会につきましては、報道機関に公開をさせていただいております

とともに、実施報告をインターネットに掲載をさせていただきますことを、あ

らかじめお含みおきをいただきたいと存じます。

それでは、早速御説明をさせていただきます。岡田副総理の方からよろしく

お願いします。

○岡田副総理 皆さん、こんにちは。

今日は、多くの皆様ありがとうございます。岡田克也です。

鳴門市は、たしか代表をしておりました 2004 年、2005 年ぐらいだったと思い

ますが、今、お着きになった高井さんと一緒に、鳴門金時の生産農家を訪ねさ

せていただいて以来かと思っております。いずれにしましても、今日ここでお

話できることを大変うれしく思っております。

今日は、お話をする前に、一つは、まず今の国会の状況をお話ししておきた

いと思います。

報道などで御存じの方も多いと思いますが、衆議院では、この社会保障と税

の一体改革、これは全部で8本の法案があるのですが、これが既に圧倒的多数

で可決をされております。衆議院も特別委員会というのをつくりまして、100

時間を超える審議をいたしました。これは、法案の審議としては戦後2番目に

長い。一番長かったのが安保条約の改定。これが 長なのですが、それに次ぐ

長さということであります。

一口に 100 時間と言っても、ずっと私、その間答弁者として、安住財務大臣

や小宮山厚労大臣とともに座って答弁をしていたわけですが、腰が途中で痛く

なってしまい、なかなか大変な国会委員会でした。

しかし、そこでやはり 100 時間を超える審議をしていますと、だんだん論点

が明らかになってくるのです。そして、残された論点について、自民党、公明

党、民主党の3党で一つひとつ議論をいたしまして、そしてお互い譲り合って

合意に達したということです。

これを、口の悪い人は談合だと言いますが、勿論そういうことではなくて、

我々は、これを何とかして成立をさせたいと。そういうふうに考えますと、我

々は衆議院では多数を持っているのですが、参議院では多数がありません。自

民党、公明党が賛成しないと法律は成立しないのです。そういう前提の中で、

お互い譲るところは譲って、政府としてはかなり取れたと思っているのです。

一番大事なところは決して妥協はしなかったつもりですが、いずれにしても合

意ができて、そして、衆議院で圧倒的多数で可決成立をいたしました。そして、

今、参議院で議論が始まったところです。参議院でもしっかりと議論していき

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たいと思います。

よくある誤解で、何か消費税の引き上げだけやったのではないかと思われて

いる方もいらっしゃいます。そういう報道もありますから無理もないとは思い

ますが、これから御説明しますように、全体で8本の法案がありまして、税に

関するものはそのうちの2本です。国税に関するものが1本、地方税に関する

ものが1本。あとの6本は年金で2本、子ども・子育てで3本、そしてもう一

つ、後で説明します議員立法が1本ということで、別に税金、消費税を上げる

だけの話をしたわけではなくて、社会保障制度についてさまざまな改革、特に

年金と子ども・子育てについて行っているということであります。そこは、な

かなか正しく伝わっていないと思っております。

いずれにしてもそういう状況で、もう一つ、これも皆さんの中で御意見があ

ると思いますが、これは政府というより党の問題なのですが、マニフェストで、

消費税は4年間上げないと言ったではないか、どうなっているのだという御意

見、あるいはお気持の方もいらっしゃると思います。

私は今、政府の人間ですから余り民主党のことをこういう場で言うのはいか

がかと思いますが、どうせ御質問が出ると思いますので 初に申し上げておき

たいと思います。

実は、マニフェストには消費税は上げませんとは書いていないのですが、確

かに口では選挙のときに、4年間は上げませんというふうに多くの議員が申し

上げたし、私も、当時幹事長ですが、そういうふうに申し上げたわけです。

では、なぜ今回消費税を上げるということを決めざるを得なかったのか。勿

論、実際に上がるのは 2014 年の4月からですから少しまだ先なのですが、しか

し4年は上げないと言ったではないかという御批判は当然あります。私自身の

ことを言わせていただくと、総理も恐らく同じだと思いますが、やはり政権交

代した後、少なくとも二つの大きな変化があったということです。

一つは、ギリシャの危機に端を発するヨーロッパの経済危機です。この消費

税、社会保障・税一体改革ということを言い出したのは、実は野田総理ではな

くて菅総理なのです。我々の政権交代と同じ 2009 年、ギリシャでも政権交代が

あって、野党が当然与党になった。そこで、今までの政権がうそをついていた、

国の財政赤字はたいしたことはないと言っていたけれども、現実は大変な状況

だということを明らかにしたわけです。そこからギリシャの危機の話が始まる

わけです。

菅さんは、鳩山内閣の後半に財務大臣をやられたのですが、そこで、世界の

主要国の財務大臣同士が集まって、このギリシャ危機をどうするか、ギリシャ

だけならいいがヨーロッパ全体に広がったこの経済危機をどうやって乗り越え

るかということを、本当に神経をすり減らして対応せざるを得なかった。そこ

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で彼は、やはりここは、日本もいつどうなるかわからない。考えてみれば財政

状況の悪さという意味では、日本は世界で も厳しい。だから、社会保障・税

一体改革ということで前に物事を進めざるを得ないと判断して、菅総理のとき

に、この社会保障・税一体改革の内容について政府で議論を始めました。

ちょうど、与謝野さんを引っ張ってきて担当大臣に据えて、ですから、私の

前任者と言ってもいいと思いますが、そして、この社会保障・税一体改革の議

論をスタートし、野田さんになって、その議論がまとまって法案の形で出した

ということです。

ヨーロッパの経済危機は今も続いていますけれども、非常に厳しい不安定な

状態で、そういう中で、やはり日本の財政の悪さを放置できないと考えたこと

が一つです。

もう一つは、やはり昨年 2011 年の3月 11 日のあの東日本大震災。私は当時

幹事長で、菅さんが総理大臣でしたが、昨年は3回補正予算を組みました。そ

して、今年の予算。全体で、この大震災対策として 18 兆円ぐらいのお金を既に

使っています。それでも勿論足らないわけです。これからも、更に追加的に投

入しなければいけない。

国の財政がもともと非常に厳しい中にあって、脆弱な中にあって、更に 20兆、

あるいは将来考えれば、それが 25 兆とか、あるいは更にもっと増えるかもしれ

ません。そういう追加的な負担もかかってくる。しかし東日本大震災は、万全

の対策を講じていかなければいけない。そういう中で、やはりこれ以上国の財

政の厳しい状況を放置できないと私は実感しております。

だからこそ、この社会保障・税一体改革を急がなくてはいけない。そういう、

いわば 2009 年以降起きた大きな二つの出来事、これだけでも私は、次の選挙の

後回しにこの社会保障・税一体改革、あるいは消費税の増税を後回しにするわ

けにはいかない。与党にある者としての責任、そういうふうに感じているとこ

ろでございます。

この点については、また後ほどいろいろ御意見があればお答えさせていただ

きたいと思いますが、私としては、マニフェスト違反とまでは言えないにしろ、

皆さんの御期待に応えられなかったことは本当に申し訳ないと思いますが、こ

れだけ大きな出来事が二つ重なったにもかかわらず、マニフェストに書いてい

ないからやりませんということでは済まないことだ、どんな御批判をいただこ

うと、やるべきことはしっかりやっていかなければいけないと私は思っており

ます。

また後ほど、いろいろ御意見をいただければと思います。

さて、中身の説明を、30 分ぐらいかかるかもしれませんが、なるべく簡単に

いたします。

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まず、これが今年度の予算です。90.3 兆円の予算ですけれども、左の方を見

てください。歳出です。まず、国債費 21.9 兆円。これは何だと。過去に重ねた

借金の利払いと償還です。ですから、90 兆という大きな予算があっても、その

うちの 21.9 兆円はその借金のツケ払いに消えてしまっているということです。

借金が増えれば、この額はまた増えていきます。今、国債の金利は1%。将来

それが2%、3%に上がれば、この国債費はすごい勢いで増える。これも一つ

のリスクです。そういう問題を抱えています。

それから、地方交付税は 16.6 兆。これは地方に行くお金なのですけれども、

その他の歳出と社会保障関係費合わせて 52兆円、25.4兆と 26.4兆とあります。

その他の歳出は何かと言いますと、社会保障以外のものすべてです。ですから、

例えば教育。今日は高井副大臣がお見えですが、教育の予算です。それから、

農林水産、中小企業、防衛、公共事業、そういうものを全部引っくるめても 25.

4 兆円で、それよりも社会保障の予算の方が多いということです。

社会保障というと、何か保険料でやっているのではないかと思われる方がい

らっしゃると思います。年金とか医療とか。保険料も使っていますが、税金も

使っているのです。26.4 兆円の税金、あるいは借金が使われているということ

です。

右を見ていただきますと、収入の半分以上が借金だという異常なる事態です。

景気が回復すれば多少税収が増えることは期待できます。しかし、半分が借金

という状況をずっと継続していくわけにはいかないということは、多くの方は

御理解いただけると思います。

次、お願いします。

先ほどは一般会計だったのですが、これは保険料も含めた社会保障給付費の

全体の姿です。

一番右に合計額、これは 2012 年だったと思いますが、109.5 兆円と書いてあ

ります。109 兆円のお金が社会保障として使われているわけです。半分の 53 兆

円が年金です。だから、これは 2012 年で、今はもっと増えていますが、1年間

で 53 兆円のお金が年金として国民の皆さんに支払われているということです。

これは決して少ない額ではありません。それから、医療・介護、福祉その他と

いうことで 109 兆円です。

注目していただきたいのは、上の方に書いてありますが、毎年毎年1兆円ず

つ税金が増えているのです。税投入が増えている。ずっと増えています。なぜ

こんなに増えるのか。勿論、社会保障の分野でもなるべく無駄なものを削って

効率化しなければなりません。しかし、やはり高齢者の方の数が増えてきたし、

これからもずっと増えていきますので、毎年1兆円ぐらいはお金がかかるので

す。これをどうやって賄うかということを、きちんと答えを出していかないと、

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将来社会保障制度、この年金や医療・介護を守れなくなるという問題です。

次、お願いします。

その根底にあるのは人口構造の変化で、2010 年を見ていただくと、8,000 万

人を超える方が 15 歳~64 歳、65 歳以上の方は 2,900 万人。2050 年になります

と、高齢者の方の数は 3,700 万人台まで増える。そして、15 歳~65 歳以下の方

の数は 8,000 万人から 5,000 万人に減るということになります。

こういう構造問題をどうやって乗り越えていくか。別に一方的に悲観的にな

る必要はありません。例えば、65 歳以上でも、働く意欲があって健康な方には

働いていただける社会をつくる。それから、この緑の部分でも、例えば、子育

てで仕事をあきらめている方、そういう方に仕事も子育ても両立できる社会を

つくっていく。そういう形で、人口構成の変化だけで一方的に考える必要はな

いと思いますが、しかし、いずれにしてもこれからかなりの勢いで働く世代が

減って高齢世代が増えていくという構図にあることはわかりきったことなので、

それでもちゃんとやっていける仕組みをつくらなければいけないということで

す。

次、お願いします。

それにしても、日本は随分借金が増えました。GDP 比で世界一です。ギリシャ

がいろいろ言われていますが、ギリシャよりも勿論多いし、今、問題になって

いるヨーロッパの国よりもずっと借金は多い。今は日本はいいです。日本の国

債の金利は安定しています。ヨーロッパみたいに、国債金利が7%を超えると

か、そういう事態には日本はなっていません。円も買われています。つまり、

円が強く、ユーロは弱い。

だから、今はいいのですが、果たしてそういう状態がこれからもずっと続い

ていくのかどうかというと、私はそんなに楽観的にはなれない、客観的な数字

は、かなり日本もリスクを抱えているということを示していると思います。そ

のリスクをなるべく取り除いていかないと、やはり国の将来に対して責任を持

つ者として、将来はまた何とかなるでしょうでは済まないと思っているわけで

す。

次、お願いします。

さて、そういう中で、我々は消費税5%の引き上げをお願いさせていただき

ます。

全額を社会保障の財源に使うということをお約束しているわけです。これは

国と地方に分かれるのですが、国の取り分については、社会保障4経費、年金、

医療・介護、子ども・子育てに充てますということを法律で規定をすることに

なりました。したがって、ほかのことには使えないということです。

地方に行く分は、地方主権という考え方がありますから国が指図はできない

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のですが、しかし地方も、地方に来る分は社会保障のために使うということを

お約束いただいているわけです。では、その内訳はどうか。5%のうち、残念

ながら新しいことには1%しか使えないのです。先ほどのような財政状況です

から、4%は今の制度を守っていくために使う。1%は新しいこと。そういう

中身です。

この新しい話はこれから詳しく申し上げますが、緑のところをご覧ください。

4%、10.8 兆円をどう使うか。これは、使い手は国で使う分と地方がまざって

いますが、その中で、まず基礎年金国庫負担2分の 1、2.9 兆円、これは何かと

言いますと、皆さん年金に加入しておられて、会社員や公務員の方は厚生年金

や共済年金に入っておられます。そこのうちの基礎年金部分というのがありま

す。国民年金の方は国民年金丸々。そこについて、かつては3分の1が税金で、

3分の2がお払いいただく保険料でやりくりをしてきました。

しかし、先ほど言った人口構成の変化、その他がありまして、これではやっ

ていけないということで、自公政権の時代に、たしか坂口さんが厚生労働大臣

だったときだと思いますが、半分は税金でやることにせざるを得ないというこ

とになりました。その判断は、私は正しい判断だったと思います。

ただ問題は、そのための財源がはっきりしなかったことなのです。毎年毎年

やりくりして、あそこの埋蔵金を何とか持ってこようとか、そういうやりくり

をして2分の1、税金部分というのを賄ってきたのです。2.9 兆円というのは少

ない額ではありません。これを、今回の消費税引き上げの一部を充てるという

ことを法律で決めて、財源として安定させたということで、2.9 兆円使わせてい

ただくということです。

残りの大部分は、「後代の負担へのつけ回し軽減」と書いてあります。これ

は何かと言いますと、気ほど言いましたように、社会保障費は毎年毎年税金ベ

ースで1兆円ずつ増えていくのです。1兆円ずつ増えるということは、例えば、

今年1兆円増えたら、5年後には5兆円増えてしまうわけです。そういうお金

を賄うために使わせていただきたいと。これから増える分のために使わせてい

ただきたいということです。

では、今年は1兆円使っても、7兆円だから6兆円残るじゃないかと。残っ

た分は、今、借金で賄っている部分にこの税収を使わせていただきたい。これ

以上借金をどんどん増やすということにはしないようにさせていただきたいと

いうことです。これが7兆円。

一番下の 0.8 兆というのは、これは細かい話になりますが、よくこういう会合

でも御質問が出ます。年金生活をしておられる方からの御質問で、消費税が上

がったらその分年金生活者が厳しくなるではないかと、こういう御質問が出ま

す。その御質問は当然で、御心配はよくわかるのですが、実は、消費税を入れ

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て物価が上がります。物価が上がればその分は年金も上げるという約束になっ

ているわけです。物価スライド制というのですが。

ですから、消費税を入れて、ただ5%消費税を入れればやはり物価が何パー

セントか上がります。その分は年金の額は上げるというお約束で、そういうこ

とのために使うお金として 8,000 億円が準備されているということです。1%

は新しいことに、4%は、いわば現在の制度を前提に、その安定のために使わ

せていただくという構図になっています。

次、お願いします。

ちょっと話が横に飛びますが、実は消費税というのは、別に国が使うだけで

はないのです。地方にも使っていただくというお約束です。12 月に地方、特に

知事会の皆さんとかなり激しい議論をして、大体こう分けるということを決め

ました。これは法律で書いてあるのですが、国が 3.46%分、地方が 1.54%分、

金額でいうと 9.3 兆円と 4.2 兆円ということでこの5%の消費税を分けましょ

う、それぞれ社会保障のために使いましょうというお約束をさせていただきま

した。

したがって、消費税がもし上がらないと、地方もすごく困ります。都道府県

や市町村もすごく困ってしまうということであります。逆に言うと、消費税を

上げることで、地方のやっている社会保障について財源の裏付けができるとい

うことになります。

次、お願いします。

さて、新しいことに1%、2.7 兆円の内訳がこれです。子ども・子育てや年金

や医療・介護のために使うということです。

その中で、子ども・子育てについて、次を見ていただきたいと思います。

次、お願いします。

これが一つの目玉と言いますか、我々が是非やりたいと思ったことなのです。

日本の社会保障制度を見たときに、年金、医療・介護、これは世界的な水準で

見ても、勿論いろいろ問題はありますが、しかしまだいい方なのです。

例えば医療制度をご覧いただくと、アメリカなどは医療保険に入っていない

人がまだたくさんいるわけです。病気になったら、全部自前で払わなければい

けない。日本は皆保険です。年金も、勿論無年金者の存在は非常に大きな問題

ですが、仕組みとしては皆年金になっています。介護保険に至っては、介護保

険制度を持っている国というのは、まだ世界の中でドイツと日本、あと若干し

かないわけで、そもそもそういうものはないわけで、自前でやっている国が多

いわけです。

そういうことを考えると、年金、医療・介護は、今の制度を改善し、守って

いくことである程度カバーできる。後で抜本改革の話は年金について言います

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が、しかし、子ども・子育てはいかぬ。ヨーロッパの国々と比べるとかなり遅

れている。現に、働きながら子育てをするということが非常にやりにくい。特

に都市部では、そういったことが核家族化の中でできないような国になってい

る。そこを何とかしたいと考えております。

我々、マニフェストでもチルドレン・ファーストということを申し上げたわ

けですが、それが、この新しい仕組みです。

正直申し上げて、我々の目指す理想というのはもともとあったのです。政府

法案で出していたのですが、それから比べるとちょっと後ろに下がりました。

自民党・公明党さんと合意する過程で、ちょっと急ぎ過ぎているということで

後ろに下がりましたが、しかし、基本的に我々が目指しているものは譲ってい

ないと思っているのです。

目玉の一つは認定こども園の充実です。幼保連携型認定こども園。これは何

かと言いますと、今まで幼稚園と保育所というのがあって、それぞれ違うわけ

です。何が違うかというとお役所が違うのです。幼稚園というのは文部科学省

なのです。だから、地方に来ると教育委員会。保育所というのは厚生労働省。

保育に欠ける児童のための施設です。

でも、子どもさんに教育・保育をするための場だと考えれば、そんなに違う

違うと言う必要はない。だから、それはやはり一つにしていくべきだと考えた

わけです。それは、別に我々民主党が初めて考えた話ではなくて、自民党・公

明党政権時代にそういう発想がそもそもあって、認定こども園というのができ

たわけです。しかし、なかなかうまくいかない。これをもう一歩進めたいとい

うことで今回改革をして、ここに書きましたように、認可とか指導監督を一本

化する。

今までは認定こども園ということで、幼稚園と保育所のいいところをとった

施設をつくったわけですが、子どもさんにみんな色がついているのです。あれ

は島根でしたか、私も認定こども園に行ったときに責任者の方のお話を聞いて

なるほどと思ったのですが、この子どもは保育所、この子どもは幼稚園とそれ

ぞれ色がついていて、この子が使った画用紙は保育所の予算に請求する、この

子は幼稚園の子どもだからと、同じ一つの教室で遊んでいる子どもですが、非

常に繁雑で、お役所的に面倒くさい。そういうものを一つにして、認可・指導

監督も一本化して、財政支援も文部科学省や厚労省ではなくて、内閣府から市

町村、そして施設ということで一本化するということに変えました。

これで、この新しい認定保育園、今 900 ぐらいあるのですが、2,000 ぐらいつ

くろうとして 900 ぐらいしかできなかったのですが、私は飛躍的に増えるだろ

うと思います。そのことによって、都会に行くと保育所に入りたいけれども入

れない、そういった待機児童の解消に非常に有効だろうと思っています。

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それから、今あるいろいろな保育のための施設があります。例えば、過疎地

に行きますと保育所では成り立たない、子どもの数が少ない、だから小規模保

育、あるいは家庭的保育、それから、工場などに行きますと事業所の中に保育

施設があったりします。そういうものは今まで全部国の補助の対象外、それを

一定の要件を満たすものは対象の中に取り込もうということにいたしました。

そのことによって、一定のレベルのそういった小規模施設や、あるいは事業

所にある施設に対しても国のお金が行くことになりますから、そういう意味で

は、今、利用しておられる方の負担が軽減される。あるいは国のお金が行くよ

うになりますからもっと増える、そういうことが期待できるわけです。

後に、放課後児童クラブ。今まで3年生までだったのですが、4年生以上

の方にも適用するということになります。こういう子ども・子育て全体で 7,00

0 億円、このために新たに使わせていただく。今までは、こういった施設のため

のお金が2兆円ぐらい、そこに 7,000 億。3党の合意では、1兆円に近づけよ

うという約束になっていますが、いずれにしても、今までの子ども・子育て対

策が飛躍的に強化されるということです。

次、お願いします。

年金は、今ある年金制度を前提に、重要な改善を幾つかするということにし

ています。先ほど言いましたように、年金の関係法は2本。先ほどの子ども・

子育ては法律は3本あるのですが、その2本の中身は、大きく分けて四つある

のです。一つは、先ほどの国庫負担2分の1、これを法律でしっかりと書いて

恒久化するということです。今まで毎年毎年継ぎはぎでやってきたことをきち

んと法律で恒久化する。

それから、低年金・無年金対策の強化ということで、例えば、皆さん、年金

にお入りの方で、年金制度に 20 年入っておられる方は、年金を受け取ろうと思

って窓口に行くと、いや、あなたは年金もらえませんと言われるのです。25 年

入っていないと年金はもらえないというのが今の仕組みです。それは、今まで

国会で何度も問題になりました。厳し過ぎるのではないかということで、これ

は3党で合意して 10 年にします。10 年制度に入っていれば年金は受け取れると

いうことにいたします。

そうすると誤解する人がいて、10 年入ったら満額もらえるのかと。世の中は

そう甘くありませんので、そこは誤解なきように。10 年入っていれば、払った

保険料なりの年金しかもらえませんが、しかし、今だと 20 年入ってもゼロです

から、それと比べると、より公平な仕組みに変わるということです。

それから、パートの労働者への厚生年金の適用拡大いうことで、今パートで 3

0 時間以上働いておられる方は厚生年金なのです。逆に言うと、それ以下の方は

厚生年金に加入できません。したがって、国民年金、あるいは配偶者が会社と

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か公務員だとすると3号被保険者ということになります。国民年金と比べて、

厚生年金は保険料がより安くなり、もらえる年金がより多くなる可能性があり

ます。有利なのです。

なぜそうなのかと言いますと、それは事業主、会社が保険料の半分を負担す

るからなのです。本人の負担としては、厚生年金ということで国民年金より少

ない保険料負担で、年金はたくさんもらえる可能性がある。つまり、会社がそ

れと同じだけの保険料を出しているわけです。

我々としては、働き方によって正規か非正規か、パートかパートでないかと

いうことで、加入する年金制度が違うということをなるべく減らしたいと考え

て、このパート労働者への厚生年金の適用拡大ということを、今回の改革に盛

り込んだわけです。ただし、先ほど言いましたように、雇う側から見ると人件

費が増えてしまいます。保険料を負担しなければいけませんから。だから反対

も随分あります。

我々が目指していた 初の政府原案と比べると、自民党さんと調整した結果、

多少後退しました。しかし、方向性は出ましたので、これから状況を見ながら

拡大していくと考えているわけです。

それから 後に、公務員の共済年金と会社員の厚生年金で、今、2本立てに

なっています。よく出るのです、何か不公平ではないか、どうして違う制度な

のだと。これを今回一本化することになりました。公務員の方もこれからは厚

生年金です。同じ保険料を御負担いただければ同じ年金ということで、同じ仕

組みでやっていくということになります。

そういう非常に重要な改革が、今回の社会保障・税一体改革の中で増税とと

もに決まった、あるいは決まるということです。別に増税だけ決めたというこ

とではないということを申し上げておきたいと思います。

次、お願いします。

3党で合意して、この社会保障制度改革国民会議というのをつくることにし

ました。というのは、どうしても折り合いがつかない問題が幾つかあったので

す。特に大きいのは二つ。一つは、高齢者医療をどうするかという問題です。

民主党は、後期高齢者医療制度を廃止するということを考え方として持って

いるわけです。自民党、公明党さんの方は、後期高齢者医療制度は維持しよう

と。そこは折り合いがつかなかったので、この国民会議で1年以内に議論しま

しょうということを決めました。

もう一つは年金制度について。自民党、公明党さんは、今の年金制度を改善

していこうという考え方です。我々は、やはりそれだけでは無理ではないかと。

今、国民年金に加入していない人が非常に増えている。将来的な無年金者です。

そういったことを考えると、年金制度の抜本改革は不可欠ではないかと考えて

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いるわけです。だからこれも、この短期間では決着がつきませんから、この国

民会議で学識経験者を中心に政治家も入って議論するということにいたしまし

た。これは1年以内に答えを出さなければいけません。

これも、法律でこういったことを決めたということで、何か年金制度や高齢

者医療制度を棚上げしたという議論がありますが、決して棚上したのではなく

て、1年以内に結論を出すということを合意したということです。

次、お願いします。

あと、よく出る議論で、逆進性の議論。つまり、消費税というのは所得の少

ない方に厳しい制度ではないかということです。

時間が大分経ちましたので急ぎますが、三つ申し上げたい。

一つは、消費税で財源をつくって社会保障をするということは、それ自身が

所得の再分配機能があるということです。例えば、医療とか介護を考えていた

だくと、これは所得の少ない人も多い人もサービスは一緒です。だから、たく

さん消費する人は、所得の多い人が多いわけですけれども、たくさん消費税を

払ってもらえます。でも、サービスは、医療とか介護は一緒ですから、所得の

多い少ないにかかわりませんから、それ自身が所得を再分配しているというこ

とです。

加えて、今回の法案の中にいろいろな低所得者対策を盛り込みました。保険

料の軽減措置など、そういうものを盛り込みました。 後に残った問題、これ

も3党で実は決着がつかなかった問題が、そうはいっても、所得の少ない方に

対する何らかの対策を講じるべきだ、もう一つやるべきだということで、野党

の自民党、公明党の皆さんは、複数税率がいいではないかとおっしゃったわけ

です。

複数税率とは何かというと、ヨーロッパなどでやっていますように、例えば

食料品は安い税率、それ以外は高い税率という考え方です。この複数税率のい

いところは、わかりやすいということです。我々はしかし、それよりは給付付

き税額控除がいいと。この制度をどう説明したらいいかいつも非常に悩むので

すが、所得の少ない方に消費税収の一部をお返しするという制度です。

どちらかいいか、これは決着がつきませんでしたので、これから3党で協議

をして決める、いずれにしろちゃんとやるということはお互いに認め合ってい

るわけですが、そういうことです。複数税率その他について、御質問があれば

またしていただきたいと思います。

次です。

「増税の前にやることがある…?」、何かどこかの党の標語みたいで余り好

みませんが、一つは、やはり景気回復が先ではないかと。景気がむちゃくちゃ

悪いときに増税はできません。ですから、 終的には増税の直前にもう一度判

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断するということになっています。だけれども、景気がよくなるまで増税しな

いと言って、そしてずるずると 10 年 20 年経ったのが今の状況ではないでしょ

うか。ですから、景気の回復、経済成長はしっかりやるという前提で、しかし

そのことは条件にはしませんと。消費税は基本的に予定どおり増税させていた

だきます、よほどのことがあればそのときに考えますということだと思ってい

ます。

2番目、これは御質問がまたあると思います。政治家がまず身を切るべきだ

と。おっしゃるとおりだと思います。給料は大分減らしました。国会議員の歳

費は、年間 270 万を今年も削りました。去年は 300 万だったのです。民主党と

しては 300 万を提案したのですが、ほかの党と調整して 270 万になりましたが、

これは大体、国会議員の歳費の 13%ぐらいに当たります。

もう一つは、定数を減らせと。これもよく出る議論です。民主党は、今、国

会に既に法案を提出いたしました。ただ、なかなかほかの政党は賛成してくれ

ません。つまり比例を中心に減らそうということです。ただし、小選挙区の方

を五つ減らすことになっていて、徳島はそのうちの一つですから大変御関心も

高いと思いますが、これは定数是正の方です。 高裁で違憲判決。それは小選

挙区で五つ減らす。比例の方は、それとは別途 45。

それについて、なかなかほかの野党は、比例をそんなに減らすのはだめだと

おっしゃってまだ決着がついていませんが、もう法案としては国会に出ていま

すから、そこでしっかり議論して、会期末は9月7日ですから、それまでに決

着をつけるということです。

それから、行革が進んでいないではないかという御質問もあります。私は行

革の責任者ですから責任があるのですが、次、お願いします。

いろいろやっています。これを全部説明していたら時間が足りませんので、

もし御質問があればまたおっしゃってください。

例えば、国家公務員の給与を2年間とはいえ 7.8%下げているのです。国家公

務員の給与というのは民間準拠と言いまして、基本的に人事院が民間と比べて、

民間がこれだけ下がったからこれだけ下げろと勧告をして、それに基づいて下

げている。しかし今回は、その人事院の勧告に従わずに政府主導で下げたので

す。これは憲法違反の疑いが濃いと、政府の機関である人事院が言っています。

裁判も起きました。一部の労働組合の皆さんが、これは違憲である、憲法違反

だと言って裁判を起こしました。だけど、我々はやっているのです。7.8 下げる

ということは、相当大変なことだということは御理解いただきたいと思います。

あと、採用も相当削りました。申し訳ないですが 56%です。それから、官民

で退職手当が 400 万円差があるということがわかりましたので、これは是正し

ます。

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いろいろなことを進めております。独立行政法人改革も、よく天下りが問題

になるのです。独立行政法人に公務員が天下っているではないかと。従来、政

権交代前は 189 人いました。今は 45 人です。公募をやっているのです。公募を

やって、公務員出身者が再度選ばれるということはあります。それは、能力が

あるなら私はいいと思います。ちゃんと公正な手続でやっていますから。しか

し、結果的には8割減ってしまった、45 人になってしまったということも、是

非知っていただきたいと思います。

次、お願いします。

特別会計改革もやっていますし、昨日発表したのですが、役所のとっている

定期刊行物、新聞・雑誌、これは3割減らすことにいたしました。これは 10 億

円です。そういう形で、細かいことも含めて、いろいろなことに今、取り組ん

でおりますので、そして行革に終わりはありませんから、しっかりとこれから

も進めてまいりたいということを申し上げて、 後に鳴門大橋が出てきたとこ

ろで、御清聴ありがとうございました。

○司会 それでは、早速御質問・御意見をちょうだいしたいと存じます。

手を挙げていただきましたら、マイクをお持ちしますので、 初に恐縮です

がお名前を言っていただいて、時間も限られておりますので、是非多くの方に

御意見・御質問いただきたいと思いますので、恐縮ですが1分ぐらいでコンパ

クトに御質問をしていただきたいと思います。

では、手を挙げてください。

○質問者 岡田副総理、本日は貴重な機会をいただきまして本当にありがとう

ございました。

鳴門市在住のAと申します。

今日のテーマ、私もこの税について、特に消費税の増税について非常に関心

が高いのですけれども、私自身、結論としまして、この増税ということに対し

ては、徳島の経済や日本を破壊する一つの破壊装置であると認識しております。

徳島の企業の 84%は既に赤字という状態でございます。これ以上増税が進めば

景気も悪くなり、ますます雇用や消費が冷え込んでいくと考えております。

橋本内閣が消費税率を3%から5%に上げた 1997 年、増税をされましたけれ

ども、当時つぶれることはないと言われていた北海道の拓殖銀行や山一証券と

いったところが、どんどん連鎖的に崩れていきました。あわや日本が金融恐慌

に陥るかというほどの衝撃だったかと思っております。

その 97 年から消費も非常に冷え込んでおりまして、翌 98 年には経済成長率

がマイナス 1.5%、97 年から 98 年にかけて、戦後初の2年連続のマイナス成長

となっております。消費税率をたった2%上げただけで、これだけ日本の景気

が下がっているのです。更に経済苦による自殺者、これも 35%上がっておりま

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す。これもすべて、97 年以降起きていることでございます。

政府の方々が常套句としておっしゃるのが、増税しなければ国家財政が厳し

いということですが、97 年以降、増税をして一度も税収が 97 年を超えたことが

ないというデータもございます。それは消費者の心理を非常に冷え込ませて、

消費が冷え込んでいるのではないかと思っております。

所得税、法人税、財政、そうしたことも非常に大きく冷え込んでおりますの

で、この増税によって税収増を実現しようとする発想自体が、私はむしろ非常

に将来にツケを残すものなのではないかと感じております。

先ほど副総理が、経済成長による税収はそう多くは見込めないとおっしゃっ

た言葉が非常に私は印象的であり、民主党の考え方を象徴しているのかという

ふうにも思っております。福祉をするに当たって、私も福祉は非常に大切なも

のであると思いますし、子育ての問題も非常に大切なものでありますし、私た

ちも恩恵を受けておりますので感謝はしておりますが、同時に、やはり国家と

して明確な未来の経済発展のビジョン、こうしたものを強く出していただきた

いと思っております。

それから、一つお願いしたいことがございます。

○岡田副総理 済みません。1人1問で、また時間があれば当てますので。

○質問者 増税によるデメリット、増税による日本経済の混乱というものを予

測された場合、どのようなことが起きるかということを今後国会等で示してい

ただきたい、その上でまた増税の議論を進めていただきたいと、そのようにも

思っております。

どうぞ、よろしくお願いいたします。

○司会 増税の弊害というような観点の御意見でございます。

関連するようなことでも、それ以外のことでも。

○岡田副総理 もっと元気よく。

どうぞ。

○質問者 藍住町から来たBと言います。

簡単な質問なのですが、大臣が替わる、どんどん替わっていく。そのたびに、

やはりマスコミを通じて国民の意見を聞け、衆議院を先に解散して国民の意見

を聞けと。しかし、選挙をするたびに一向に政治がよくならない。私は、一つ

は、国民のレベル、有権者のレベルが非常に低いと思うのです。何か自分に与

えてくれるもの、福祉でも、自分に与えてくれるもの、政府は何を自分にして

くれるのだろうという期待感というか、やはりそういう人が圧倒的、7割以上

を占めていると思うのです。すると、やはり7割以上が占めたその意見が集約

されて政治に反映される。こういうふうなことに、簡単に言えばなっていくと

思うのです。

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だから、身体障害者、社会的に恵まれない人たち、また、社会的な弱者に、

自分がどういうふうな貢献ができるのだろうかという観点に立って選挙をする

というふうに国民の意識が変わっていけば、だんだんよい社会になっていくと

思います。

だから、野田総理が言っておられたように、結局、今までは目先のことにと

らわれて選挙をしてきた。減税してくれるおいしい言葉につられてどんどん行

く、期待をするから期待外れになる、その堂々めぐりが今の社会に十分に反映

されていると思うのです。

だから、やはり私は、政治主導でどんどんやっていってもらいたい。前に菅

直人さんが増税を叫びました。参議院で敗れました。今度1年も経たないうち

に野田さんがなりました。衆議院通りました。通ったら、今度それが現実味を

帯びてきたら、国民ははしごをおろすようなことをする。

○岡田副総理 わかりました。是非皆さん、1分ぐらいで質問をまとめていた

だきたいと思います。多くの方が御質問したいと思います。

今、お2人いただきましたので、まずそのお2人にお答えします。

初にAさんですが、前回の橋本内閣のときに消費税を上げて、拓銀とか山

一がつぶれたではないかと。これは事実に反すると私は思います。

つまり、消費税を上げたことで経済に影響がなかったとは言えません。しか

し、山一や拓銀が問題になったのは、バブルのときに不良債権を抱え込んで、

それをずっと表に出さずに抱え込んでいた。それが、アジア経済危機が消費税

を上げたときと同じタイミングで起きて、もう隠し切れなくなって破綻したと

いうことで、別に消費税の引き上げが原因ではありません。もともと非常に大

きなそういった不良債権を抱えていたことが国際的な金融危機の中でより明ら

かになって、耐えられなくなったというのが事実であります。

その後のいろいろな出来事をすべて消費税の引き上げに結び付けるというの

は、私は余り当たっていないのではないかと思っております。影響がないとは

申し上げませんが、例えば消費税を5%に上げたときに消費がどのぐらい減っ

たかというと、確かに瞬間は減っているのです。直前には駆け込み需要があり

ます。そして、消費税が上がったときにはその反動が来ます。しかし、それ以

上に消費が縮んでいるかというと、そういうことはないのです。それは後の数

字で証明されているということであります。むしろ、輸出とか投資が非常に影

響された。それは、やはりこの金融危機に基づくものだと考えております。

それから、経済成長をすれば税収が増える、そういう面は当然あります。た

だ、それにどこまで期待できるか。今までそういったことを言いながら、いつ

か経済成長をもっとするのではないかということで先送りしてきたのが今の結

果ではないかと思うのです。我々も、高度成長期のあの幻想からやはり離れな

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いと、民間の皆さんはもうそんな右肩上がりの高度成長が長く続くという時代

は過去のものだと、そういうことと訣別して、そして対応されているところが

多いと思います。そうでなければ、企業としてもつぶれてしまっているという

ことです。

国はそれがおくれたと思うのです。余り甘い右肩上がりの幻想に寄りかかっ

て、いろいろな決めるべきことを決めないで先送りする、結果的に次の世代に

どんどん負担をかぶせるということはやはり避けるべきだと、私は与党の政治

家として、そういうふうに考えております。

経済成長すれば、勿論税収が増えることは期待できますが、同時に金利が上

がることが考えられるわけです。景気がよくなれば、今みたいなゼロ金利など

ということはありません。金利も上がります。金利が上がれば先ほどの国債費

が増えます。それだけでも大変な支出が増えるわけで、経済成長は望ましいと

思いますが、いろいろな問題もはらんでいるということも考えておかなければ

いけない。1,000 兆円の借金を抱えた国で金利が1%上がるということは、どれ

だけの負担が増えるかということを考えると、私は非常に恐ろしくなるわけで

あります。そういうことも考えておかなくてはならないと思います。

それから、Bさんのお話で、おっしゃることはよくわかります。ただ、私は

国民はよく考えていただいていると思います。そう思うのは、私が民主党の代

表だった 2004 年の参議院選挙で、消費税を3ポイント将来的には上げざるを得

ないのだということを主張しました。すべての選挙区でそのことを申し上げま

した。

それで、聞いておられる方で身を後ろに引く方もいるのは演説していてよく

わかったのですが、でも多くの方は、演説を聞いてうなずいていただいたと思

うのです。2004 年の参議院選挙は、民主党は自民党に勝って、自民党よりも多

くの議席を得たわけです。

だから、今回もまさしく、我々は消費税を上げるということを決めて衆議院

選挙、あるいは来年の参議院選挙をやるわけです。つらいことですが、私はき

ちんと説明すれば、国民の皆さんはわかっていただけるはずだと信じているの

です。

いや、わかりません。けしからんと言って、我々非常に厳しい結果を得るか

もしれません。しかし、では先延ばしして、消費税をずっと上げずにどうやっ

てこの社会保障を賄っていくのですかということを、正面から議論させていた

だきたいと思っているのです。消費税引き上げに反対する政党もありますから、

代わりのプランは何があるのですかと、正面からしっかりと論争させていただ

ければ、多くの国民の方が、この段階で引き上げることを決めたこと、これは

やむを得ないと思っていただけるのではないかと思っています。

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ここは逃げずに、しっかりと説明していきたいと思っています。

○司会 続いて御質問いただきたいと思います。

前の方。

○質問者 団塊の世代でございます。

今日お聞きしたいのは、医療費のことです。国は何か医薬分業を進めている

みたいですが、私ら一般の患者にすれば、医者の方と調剤薬局等で手数料みた

いな形で取られて院内でもらうより高くなります。これはどういうことで国は

進められているのかということです。

それと、東北等の天災の場合、非常に医薬分業をされていて薬等の問題もあ

りました。津波などで、調剤薬局などの場合でしたら、病院等に医薬品がない

ということで、非常に一般は困るのではないかということも考えるのですが、

簡単でございますけれども、ここのところをお願いします。

○司会 ありがとうございます。

○質問者 271 番のCです。

今まで私は自民党を応援してきましたが、民主党がいいということで民主党

に入れましたが、今はばたばた。だからもう自民党の野田派に民主党の方は全

部替わって、早く消費税の問題で解散・総選挙をお願いします。終わり。

○質問者 小松島から来ましたDと申します。

一問一答ということなので、非常に質問しづらいことなのですが、議員定数

の削減で、昨日の報道でも参議院の4増4減が出ていました。徳島も小選挙区

で、0増5減の1県に入っています。ちょうど目の前に高井副大臣がおいでで

ありますので非常に言いづらいのですが、定数削減はいいのですが、やはり岡

田副総理、地方の声はだれが届けるかというと、地元選出の議員だと思うので

す。この辺をじっくり、やはり削減の前にその地域で議論していただく、そう

いう機会を是非持っていただいてこの削減に取り組んでいただきたい。

高井議員とは2月に懇談を持ちまして、そのことを質問したら、自分にはね

返ることなのですが、それはもう私ども政党の考えで仕方ありませんという御

回答でした。もう非常に紳士的な御回答でしたので、またその辺、よろしくお

願いしたいと思います。

○岡田副総理 ありがとうございました。3人の方から御質問いただきました。

まず、医薬分業というのは、これは国の方針で、この過去 15 年ぐらいで随分

進みました。結局医療機関が薬まで出すということになると、そこに差額みた

いなことで非常に不透明な収入になってしまう。だから、きちんと分けてやろ

うということで、その結果として非常に透明性が高まったと思います。

手数料というか、薬を受け取られる方が薬局から買うと不利になるというこ

とはありません。

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○質問者 でも、実質は 1,000 円ぐらい高くなるのではないですか。

○岡田副総理 いや、基本的に医療機関は出せないことになっていますから、

そういう比較がそもそもちょっとよくわからないのです。

それから、東日本大震災の話もちょっと私よく理解できなかったのですが、

いずれにしても、医療機関が薬まで出すという国は、実は余り多くないのです。

これは国として、全体の経費を合理化するために医薬分業というのを進めてお

りまして、そのことは、私は非常に意味のあることだと、医療費の無駄がその

分省けると考えております。

それから、Cさんからいただきましたが、自民党野田派と、そういうふうに

言う方もいますが、それは何をもって言っているか。消費税について言えば、

先ほど私、説明させていただきました。これは別に、自民党だ、民主党だとい

う話ではなくて、何を今、政治家が、あるいは政治がしなければいけないかと

いう問題で、党は関係ありません。

我々与党ですから、今の政治に責任があるのです。増税を先送りすることは、

それは簡単です。楽です。だけど、そういったことをやってきた結果が今の国

の借金ですから、我々はそういうことはできないということを申し上げていま

す。あとは、国民の皆さんに判断していただくしかないと思います。そういう

政治がいいのか、それとも先送りして次の世代にどんどん借金を重ねていくこ

とがいいのか、それはまさしく国民の皆さんの判断だと思います。

自民党が今回、我々の案に賛成して3党協議に応じてくれたことはありがた

いと思います。そうならないだろうという声も随分ありました。選挙を考えた

ら自民党は反対に回るのではないかという声もあったわけです。しかし、自民

党は協議に応じて 後は合意しました。それはいろいろな議論があります。わ

ざと民主党を分裂させるために合意したのだとか、そういう方もいらっしゃい

ますが、自民党の議員の皆さんの中にも、長く政権与党としてやってこられて、

今の国の財政の状況、これだけの借金をつくったことに対して責任を感じてお

られる、そういう議員がかなりいたということです。

だから、先送りするわけにはいかない、野田総理がそこまで言うなら一緒に

なってやろうじゃないかと考えてもらった。それが根本にあると思っています。

だから、日本の政治は捨てたものではないのです。自分たちの利害を考えたら、

ここは民主党を追い詰めて政権交代を再度やるチャンスだ、だから賛成なんか

しない方がいいという議論も当然あったと思いますが、やはりそれはまずいと

いうふうに、私は自民党の中で責任ある人たちが考えてくれたと思っておりま

す。

そういう意味で自民党と民主党が意見が一致したわけで、別に我々が自民党

野田派になったわけでは勿論ありません。これからも合意できないことはあり

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ます。だけれども、与党としていろいろなことをなし遂げようとすれば、参議

院で過半数はありませんから、野党の皆さんとも話し合いをして、妥協をして、

そしてときには忍びがたきも忍びながら、物事を前に進めなければいけない、

それが我々の責任だというふうに思っております。

あと、政権交代して、マニフェストが全然できていないという方もいらっし

ゃいます。しかし、今日は高井さんが来ておられますが、例えば文部科学関係

に関していえば、マニフェストはほとんど実現しています。35 人学級、高校の

授業料無償化、そういったことは、政権交代しなければできなかったことだと

私は思うのです。勿論できていないものもありますが、しかし、多くのことも

できているということも御理解いただければと思っております。

後、Dさんですが、よく、こういう会場で議員定数を削減しないのはけし

からんと言っておしかりをいただくのです。今日初めて、削減についてよく考

えろという御意見をいただいて、非常にありがたく思います。

ただ、衆議院の0増5減というのは、やはり憲法違反である、1票の格差が

これだけ広がると、もう憲法上問題があるという 高裁の判決を受けてやらな

ければいけないことなので、これはもう避けられないと思います。

したがって、その5減のうちの一つが徳島ですから大変深刻だと思います。

私は今、党におりませんのでそれ以上のことは申し上げられませんが、やはり

民主党の徳島県連、あるいは党本部に御相談いただいて、それぞれ立派な政治

家ばかりですが、どういうふうにするかお考えいただくしかないと思っており

ます。

○司会 ありがとうございます。

では、続けて、前の方。

○質問者 Eと申します。今日は岡田さん、どうもありがとうございます。

ただ、今、岡田さんが強調していろいろなことを言ってくれたのですけれど

も、本当に選挙のときに、結婚するときにいい話ばかり並べて選挙をしたわけ

でしょう。そして、そのマニフェストができなかったという、その国民の意思

というのは、やはり不満は残っているのです。確かにその残っているところを

どういうふうにして消化していくかということが、国民のいらいらで来ている

わけです。

ですから、今日の説明の中でも一般会計というのはあったけれども、特定財

源の報告というのがないです。この書類の中には。一般会計の方は書類は我々

に示してくれたけれども、一番大事な特定財源の方の説明というのはない。

それともう一つは、これから会議をして消費税を上げさせていただくのだけ

れども、子ども手当とかいろいろなものは会議で決めるのだということで理解

はいいのでしょうか。要するに、今、税は上げさせていただく、子ども手当と

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か基本のことはこれから国民会議で決めていくということで、今、説明した分

はまだ一つの案であって、正式な決定ではないのですか。これをはっきりして

ほしい。

それからもう一つは、 後に地元の国会議員の高井美穂さんがおりますけれ

ども、やはり、こういう大事なことは、各県の代議士さんもいるから、こうい

う短い時間でなしに、地方地方に本当に大事だったら説明して回るぐらいの国

民にやさしい政治を岡田さんにお願いしたいと思います。

ただ岡田さんが来て説明して、今日1時間 30 分で、はい、これで終わりまし

たというのではなしに、やはり政策としてこういうふうに掲げるのだったら、

国民にやさしいというのであれば、もっと国民の懐に飛び込んでくるような政

治をお願いしたいと思います。よろしく。

○司会 ありがとうございます。

では、青い服の方。

○質問者 鳴門のFと申します。

今回充実させるという子ども・子育て支援のことについて簡単に。要望にな

ります。

先ほどのお話もありましたが、認定こども園は、平成 19年に設立されてから、

目標 2,000 に対して 900 になっている。これなどにつきましても、手続とか制

度が非常に複雑になっています。

今回の制度改正でいろいろつくられるということになっていると思うのです

けれども、この制度を導入するに当たってはできる限り要件を緩和させていた

だく。それから、縛りを少なくすることによって地方に任せるものは地方にお

任せいただきたい。実務の担当者としてこれをお願いしたいと考えおります。

私からは以上です。

○司会 ありがとうございます。

ほかに。

後ろの背広をお召しの方。

○質問者 徳島のGです。

私も、子ども・子育て支援について確認させていただきたいと思います。

副総理さんおっしゃいましたとおり、確かに待機児童は非常に重大な問題だ

と思います。その一つとして、認定こども園を改善していこうと、これも確か

に非常に重要なことですが、ただやはり内容が一番大事。その中身です。質が

一番大事だと思います。

これまでも、子ども・子育て支援のシステム会議ですとか、あるいは3党合

意で、施設の、広い意味での保育の質が重要であると。そのためには、職員の

処遇をいかに上げていくか、これは上げないとだめだということで確認をされ

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たところかと思いますけれども、今日は時間が限られていたので、その辺り出

ていなかったのかと思いますけれども、是非その辺りの方針を教えていただけ

たらと思います。

よろしくお願いします。

○岡田副総理 ありがとうございます。

初のお話で、マニフェストの中でできていないことがある、その点につい

て、国民の中にいろいろな御意見があるということ、そのことはよく承知をし

ております。これは丁寧に説明しなければいけないと思うのです。

去年、私が幹事長のときにマニフェストの中間検証というのをやりまして、

いろいろなことをやってはいるのですが、しかし、やはり 16.8 兆円が出てくる

というのは、やや過大であったと。そういうところは、我々の見通しの甘さ、

そういうことについて大変申し訳ないという謝罪も、幹事長としてさせていた

だいたのです。

ただ一方で、先ほど言った 2009 年以降大きな変化もありました。私、幹事長

のときに、高速の無料化をやめると宣言したのです。これはマニフェストの大

きな柱だったのです。それから、小沢さんが幹事長のときには、ガソリン税の

減税をやめると言われました。特に私、高速の無料化をやめると言ったのは、3.

11 であれだけの被害があったときに、やはり国民全体として無料化をあきらめ

て、そのお金を被災地の道路の復旧や港湾の復旧に充てるべきだというふうに

私は考えて、やめるということを決めさせていただいたのです。

そういった一つひとつのことについて、丁寧に説明する必要があると思いま

す。

ただ、マニフェストに書いたことは、今でも何とか少しでも目標に向かって

近づけようとして、一生懸命各省庁で努力しているということも御理解いただ

ければ大変ありがたいと思います。

それから、子ども手当のお話というのは、これはちょっと別の話で、児童手

当という名前に戻って、しかし中身はかなり充実したものが3党でもう既に合

意されていますからこれは変わりません。ここで申し上げたのは、国民会議を

つくって、高齢者医療とか年金の話はそこで議論しますということを申し上げ

たのです。

それ以外のいろいろな既に決まっていることについては、法案は8本ありま

すから、税を除いても6本の法案がありますので、その中で既に決まっている

ということを御説明したわけで、それが改めてまた国民会議で議論されるとい

うことはありません。先ほど説明した中身がもう法案の中に書いてありますか

ら、法案が成立すれば、年金にしても、子ども・子育てについても、そのまま

実現するということです。

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それから、認定こども園について縛りを少なくすべきだというお話で、それ

はそのとおりであります。いろいろ面倒くさかったのは、基本的には、文部科

学省と厚生労働省という2本立てが認定こども園の中に残っていたことです。

そういうものをやめて、そして、認可・指導監督は一本化する。財政支援につ

いても、内閣府から市町村、市町村から施設ということで一本化する。そうい

うことで、非常に仕組みとしてはシンプルになるわけです。ですから、かなり

の程度は市町村にお任せして、国が細かく口出しをしないようにするというこ

とも、法案の中に書かせていただいたということであります。

保育の質についての御質問がありました。

実は、7,000 億と言いましたが、その中で量の拡充で 4,000 億、質の充実で 3,

000 億、ざっくりいってそういうふうに考えているわけです。質の充実に関して

いうと、一つは、やはり職員の配置基準を変える。子どもさん1人当たりの必

要な職員の数をより手厚くするということと、もう一つは、御指摘の職員の方

の待遇を改善するということを考えているわけです。そういったことを、質の

改善 3,000 億の中でやっていく。

それから、先ほどちょっと申し上げましたが、7,000 億というが本当は1兆円

だと。実は、3党間でやはり1兆円ぐらいは要るねということになっていまし

て、将来財源が確保できれば、そういった質の充実のために、待遇改善のため

に更に使っていきたいと考えているところです。

以上です。

○司会 予定の時間をちょっと過ぎてしまいましたが、あとお二方ぐらい。

では、そちらの。

○質問者 私、貧乏人の労働者のHといいます。

いろいろな無駄なことをなくすと民主党は言いましたが、まだまだ一つも無

駄なことをなくせていないと思うのです。

それで、時間がないので言いますけれども、公務員改革と言うから、どうし

て公務員改革と言うのかと思って、一昨年、鳴門市の鳴門港がありますが、そ

れを見た場合、職員がたしか 752 人で、支払っているのが 61 億 7,000 なんぼ払

っていたのです。それで、計算したら1人八百二十何万払っているのです。そ

れに負担金は別払いのはずなのです。そうしたら、1人大体 900 万ぐらい行っ

ているのです。

それで、大体実働が 200 日ぐらいです、公務員とか一般社会人の場合は。そ

れで割ったら、大体1日4万 5,000 円ぐらいの日当になるわけです。私ら肉体

労働者の場合でしたら、200 日労働で 高で 300 万しかないのです。

徳島県の人件費が1人大体 200 万ぐらいです。そこら辺の差額で、私は頭が

悪いから計算できないから差がないのか、それとも、いろいろ削減しています、

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削減していますと言っても、議員さんなんかでも数パーセント、職員さんでも

数パーセント。今の社会からいけば何十パーセントの削減なのです。すべての

ことが私らあほの労働者にとってはパフォーマンスにしか見えないのです。そ

こら辺どう思いますか。

○司会 行革に関する御指摘でございました。

ほかに、もうお一方ぐらいちょうだいしたいと思いますが、是非という方。

恐縮ですが、向こうの方。

○質問者 鳴門のIと申します。

今日のテーマは、「明日の安心」ということでございますが、先ほどから岡

田さんのお話では、消費税を 10%にしたら明日の安心が得られるかのようなお

話でしたが、今のこの社会保障を継続していくには 17%ぐらいに消費税を上げ

なければなかなかできないのではないかという話も聞こえてきます。

今回 10%にして、足らないから次は 15%にして、また足らないから 20%にす

る、こういうようなことで、消費税をだんだん上げてこられるのであれば、私

はこの「明日の安心」というものがなかなか得られないだろうと思います。

基本的に日本がどういう国家像を目指すか、いわゆる北欧型の大きな国家を

目指すのか、または、アメリカ型の小さな国家を目指すのか、そういう基本的

なところをちゃんと国民に示していただく、それが明日の安心につながるので

はないか、私はそんなふうに思っています。そこをよろしく。

○司会 ありがとうございます。

では、 後にもうお一方。

○質問者 つるぎ町のJです。

新聞報道になった野田内閣の支持率が 30%を切っているという、これは政治

不信だと思います。今、副総理が言ったように、消費税を上げなければいけな

いのはよくわかっているのですが、なぜ国民が反対するかというと、重要なこ

と、細かいことは言いませんが、長期で国がやらなければいけないことはある

と思うのですが、そういうことが国民に今まで説明されていない。そういうこ

とが政治不信につながっていると思うのです。沖縄基地問題とかいろいろあり

ますが、そういうことを今後どうしてくれるかということを聞きたいです。

○司会 ありがとうございます。

○岡田副総理 ありがとうございます。

初のお話ですが、公務員改革が十分でないと。私も、私が担当しているの

は国家公務員の改革ですが、これで十分だとは思っていません。さらなる改革

は必要です。公務員だけでなくて行政改革全体、しっかり見直しをしていかな

くてはいけないと思っています。

ただ、今おっしゃった具体的な話は市の職員の皆さんのことで、私ちょっと

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事実関係はよくわかりません。いずれにしても、市の職員の給与の話は市で決

めていただいている話で国が決める話ではないのです。だから、議会とかそう

いうところで御議論いただく話で、私が何か言う話ではないのかなと、事実関

係も含めてそういうふうに思っております。

それから、消費税はこれからどうなるのだ、もっと上がるのではないか、そ

もそも社会保障は日本は北欧型かアメリカ型かと。よく出る御質問なのですが、

アメリカ型でも北欧型でもない、そういう意味で、中福祉中負担だというふう

に思います。

アメリカ型というのは、例えば年金にしても医療にしても全員が入っている

わけではない。医療保険に全員が入れるようにしようとしたら、それに対して

国民が自由の侵害だといって大問題になってしまうような、そういう国民の考

え方があるわけです。しかし、やはり私は、医療や年金は、基本的に皆年金、

皆保険ということはやはり譲ることはできないと思うのです。そういう意味で

はアメリカ型ではない。

では、北欧型かというと、これも大変な、勿論消費税は 20%を超え、国民負

担率も大変高い高福祉高負担ということもまた国民の皆さんが必ずしも望んで

いるものではないし、そうだとすると、これは相当負担を増やさないと成り立

ちませんので、そういう意味で私は、その間、多くのヨーロッパの国々がとっ

ている中福祉中負担ということだと思います。

ただ問題は、今の日本の制度は中福祉低負担になっているということなので

す。今の状態で低負担かという御意見もあるかもしれませんが、その差額を借

金で賄っているという構図です。次の若い世代に負担をさせて今の社会保障を

賄っている。それはやはりやめなければいけない。何とか少しでも改善してい

かなければいけないというのが、今回のこの社会保障・税一体改革の背景にあ

る考え方です。

消費税を 10 にしたからといって、それで問題が解決するわけではなくて、な

お国の借金は増えます。けれども、だからといって何もしなければもっと破滅

的に増えていくわけで、それを変える重大な一歩が今回の社会保障・税一体改

革だと考えていただきたいと思います。

では、残りはどうするのかというお話はよく出ますが、それはもう少し先で

考えるしかない。まず、今回の改革を確実に実現した上で、率直に言ってもう

一度国民の皆様に御相談するしかないと思います。勿論経済成長ができれば、

ある程度税収が増えるということは期待できます。それから、行政改革をしっ

かりやっていけばそこで使うお金が減る、そういうことも期待できます。それ

でも足らざれば増税ということになります。その増税を消費税でやるのか、所

得税でやるのか、そのほかの税でやるのか、それはそのときにもう一回御相談

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するしかないと思っています。

しかし、1回で全部解決しないからといって今回の改革を先送りすれば、そ

れはどこかで財政的には成り立たなくなる、破綻してしまう、それを防ぐため

の重大な一歩だと考えているところです。

後に、野田内閣の支持率、私ももうちょっと上がってもいいのにと思うの

ですが、なかなかいろいろな難しい問題があります。原発の問題もありますし、

消費税だって、今までの竹下内閣や橋本内閣は、消費税を上げたこと、あるい

は導入したことで内閣がつぶれるようなそういう状態だったわけですから、そ

ういう意味では、国民の皆さんの御理解をまだいただいているというふうに私

は思っております。

もっともっと説明しなければいけないのはそのとおりで、今日も私、参りま

したが、手分けしていろいろな場で、総理を筆頭に、なぜ社会保障・税一体改

革が必要かということは説明していかなければならないと思います。これは、

政府だけではなくて党の方も同じで、またいろいろな機会で、高井さんも来て

おられます。高井さんも副大臣で、今、非常に忙しいのですけれども、仙谷由

人もいますし、みんなが手分けして、国民の皆さんの御理解をいただく、そう

いう説明をしっかりとやっていきたいと考えておりますので、よろしくお願い

申し上げたいと思います。

後に、本当に今日はありがとうございました。

十分な説明ではなかったかもしれませんが、私の思うところを少しは感じ取

っていただければ幸いです。

我々は与党になりました。おかげさまで、私自身は 15 年ぐらい野党をやって

いたのですが、15 年間野党で頑張って、2009 年の政権交代で与党にしていただ

きました。与党になった以上は与党の責任を果たさなければいけないと思うの

です。それはやはり、やるべきことをきちんとやる、先送りしないということ

です。

私は野田さんも偉いと思うのは、これだけ借金をつくったのは自民党の時代

なのだから自民党にやってもらえばいいと、そういうふうに言い切ることも不

可能ではなかったと思うのです。しかし、やはりヨーロッパの経済危機やある

いは大震災の状況を見れば、ここはもう時間を先送りできないという中で、あ

えて、この大変な厳しい仕事を野田総理は引き受けて、そして今、懸命に取り

組んでいるということであります。

そこのところを是非少しでも御理解いただいて、そして、御支援いただけれ

ば、後押ししていただければ大変ありがたいと思います。

どうもありがとうございました。

○司会 ありがとうございました。

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お手元にアンケート用紙というのがありますので、今日、どうしてもこれだ

けは言っておきたいということなどを書いていただければ、副総理の方は近日

中に必ずすべてに目を通させていただきますので、どうぞよろしくお願いいた

します。

今日はお忙しいところ、ありがとうございました。