わが国企業の csr 経営の動向 2008 - 日本総研 · 2016-11-08 ·...

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わが国企業の CSR 経営の動向 2008 2008 年度「わが国企業の CSR 経営の動向」 アンケート調査結果 報告サマリー 2009 1 株式会社 日本総合研究所

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Page 1: わが国企業の CSR 経営の動向 2008 - 日本総研 · 2016-11-08 · (1)経営における環境問題対策の重要性高まる<グラフ7> 中期経営計画等の経営戦略の中で、環境問題対策を明確に位置づけていると回答した企

わが国企業の CSR 経営の動向 2008

2008 年度「わが国企業の CSR 経営の動向」 アンケート調査結果

報告サマリー

2009 年 1 月

株式会社 日本総合研究所

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1

調査内容の要約

1.調査の趣旨 当社は、社会的責任投資のための企業情報提供を業務の一つとしている。企業情報の提出先

は以下の金融機関である。 <2009 年 1 月末現在>

・UBS グローバル・アセット・マネジメント ・住友信託銀行 ・住信アセットマネジメント ・大和証券投資信託委託 この度、2008 年度の企業情報の更新に当たり、東京証券取引所第一部上場企業 1,663

社、及び、その他の市場に上場している時価総額上位企業、計 2,000 社に対してアンケート調査

を実施した(2008 年 7 月 9 日案内書発送、8 月 29 日回答締切)。

2.調査の概要 (1)実施主体: 株式会社日本総合研究所 (2)実施期間: 2008 年 7 月 11 日~同年 8 月 29 日 (3)調査対象: 東京証券取引所第一部上場企業 1,663 社、

及び、その他の市場に上場している時価総額上位企業 計 2,000 社 (4)調査方法: 「わが国企業の CSR 経営の動向調査」各社専用サイトにアクセスするための

ID とパスワードを送付し、ウェブ画面上で回答、インターネット経由で受領。 本年度より、業種特性にあった設問とするため、調査票を製造業と非製造

業に分けて調査を実施。なお、「水産・農林業」、「鉱業」、「建設業」、「電気・ガ

ス業」といった業種は、通常は非製造業に分類されることが多いが、回答しや

すさという点を考慮し、本調査では製造業に分類して実施。

製造業に分類した業種

水産・農林業、鉱業、建設業、食料品、繊維製品、パルプ・紙、化学、医薬品、石油・石炭

製品、ゴム製品、ガラス・土石製品、鉄鋼、非鉄金属、金属製品、機械、電機機器、輸送用

機器、精密機器、その他製品、電気・ガス業

非製造業に分類した業種

陸運業、海運業、空運業、倉庫・運輸関連業、情報・通信業、卸売業、小売業、銀行業、証

券・商品先物取引業、保険業、その他金融業、不動産業、サービス業

(5)回収回答数: 全体 398 社(回答率 19.9%) 調査票「環境編」395 社(回答率 19.7%) 調査票「社会・ガバナンス編」371 社(回答率 18.5%)

(いずれも締切後提出分も含む)

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(6)調査項目: 調査項目は下記の表に示すとおりである。

調査票 環境編 調査票 社会・ガバナンス編 1.環境コミュニケーション 2.環境マネジメント 3.環境パフォーマンス 4.サプライチェーン・マネジメントの観点 からの環境対策 5.生物多様性 6.事業機会としての環境問題対応

1.企業統治 2.公正な経済取引 3.顧客に対する誠実さ 4.労働慣行 5.仕事と生活との両立支援 6.グローバル市場への的確な対応 7.社会活動への積極関与 8.社会的課題の解消に資するビジネス

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3.調査結果の概要 本報告サマリーでは、業種での調査票への有効回答数が少なくとも 10 社以上存在する計 17

業種をもとに分析を試みている。 証券コード協議会が定める中分類は、33 業種分類であるが、ここでは、繊維製品と化学を「繊

維・化学」に、鉱業、パルプ・紙、石油・石炭製品、ゴム製品、ガラス・土石製品を「素材・材料」に、

鉄鋼、非鉄金属、金属製品を「金属」に、精密機器、電気機器を「電気機器・精密機器」に、陸運

業、海運業、空運業、倉庫・運輸関連業を「運輸」に、銀行業、証券・商品先物取引業、保険業、そ

の他金融業を「金融」に、不動産業、サービス業を「サービス・不動産」に、食料品、水産・農林業

を「食料品」に、それぞれ業種を統合して集計を行った。 ただし、環境編と社会・ガバナンス編の回答率(グラフ 1 とグラフ 19)については、証券コード協

議会が定める 33 業種中分類で集計を行った。

(1)経営における環境問題対策の重要性高まる<グラフ 7> 中期経営計画等の経営戦略の中で、環境問題対策を明確に位置づけていると回答した企

業は全体の 6 割である。環境問題対策が経営においても、一層重要性を増している。

(2)15%の企業が排出権利用で温室効果ガス削減目標を達成<グラフ 8> 温室効果ガス削減目標に対して、「自社の活動と排出権取得・購入をあわせると達成傾向

にある」と回答した企業は、全体の約 15%となり、排出権利用がなければ削減目標が達成で

きない企業の存在が明らかになった。

(3)3 割以上の企業が環境税・排出量取引導入を肯定<グラフ 9> 国別総量削減目標については全体の 7 割以上が肯定しており、環境税・排出量取引導入

についても、全体の 3 割以上の企業が肯定しているという結果が得られた。

(4)海外での土壌、地下水の汚染状況の把握企業は全体の 1 割<グラフ 10> 事業所敷地内および周辺における土壌、地下水の汚染状況の把握をしている割合は海外

事業所及びグループ企業(海外)では全体の 1割程度であり、国内に比べて海外での汚染状

況の把握がされていない実態が窺えた。

(5)生物多様性減少リスクを業務全体から見直すことが必要<グラフ 14、15、16> 本業を通した生物多様性の保全に関する取組みがあるとする企業が約 3 割ある一方で、

その方針や中長期目標を設定しているとする企業は 2 割に満たなかった。業務を生物多様

性との関係から見直し、適切な方針と具体的な取組みに落とし込むプロセスの進展が望まれ

る。

(6)対象範囲を拡大した内部通報制度設置の動きが広まる<グラフ 21> グループ会社や非正規雇用の従業員まで対象範囲を拡大した内部通報制度を設置した

企業は全体の約 7 割であった。また、7 割以上の企業が「設置した」と回答した業種は全て製

造業であった。

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(7)「名ばかり管理職」問題防止、非製造業に遅れ<グラフ 29>

「名ばかり管理職」の問題を防止するために、講じている取組みを聞いた。製造業に比べ

て非製造業では遅れている状況が明らかになった。 (8)育児休業整備には積極的、課題は女性の能力活用の取組み<グラフ 31、グラフ 33>

法定を上回る育児休業制度は全体の 6 割を超えている。女性活躍を支援するための取組

み実施企業は全体の 4 割だが、支援メニューを増やすなど取組みの余地が残る。長く働ける

環境を整備するだけではなく、職場の中でいかに女性の能力を活用するかも課題である。

(9)海外の内部通報制度の設置は製造業全体で 1 割<グラフ 36> 現地採用も含めた海外の従業員を対象とした内部通報制度を設置している企業は製造業

全体で 1 割であり、海外事業所等の法令遵守の強化が望まれる。

(10)発展途上国をテーマに事業化の視線が向けられ始めている<グラフ 40> 社会的課題の解消に資するビジネスとして、途上国の生活環境改善の事業化が、昨年度

から増えている。

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グラフ一覧

【調査票 環境編 分析結果】 グラフ 1 環境 IR 対応の積極性(調査票「環境編」への業種別回答率) .............................8 グラフ 2 環境債務の公表(複数選択可)..........................................................................9 グラフ 3 ステークホルダーから意見を得る定期的な機会 ...............................................10 グラフ 4 外部環境監査の実施 ...................................................................................... 11 グラフ 5 環境会計の結果を経営に反映 ........................................................................12 グラフ 6 気候変動による影響に適応するための取組み(複数選択可)............................13 グラフ 7 中期経営計画等の経営戦略の中での環境問題対策の位置づけ ......................14 グラフ 8 温室効果ガスの排出(絶対量)の削減目標達成に対する自己評価....................15 グラフ 9 国別総量削減目標、排出量取引、環境税についての見解 ................................16 グラフ 10 国内外での土壌、地下水の汚染状況の把握状況...........................................17 グラフ 11 再生可能エネルギーの利用・生産(複数選択可) ............................................18 グラフ 12 市場からの要請の認識 .................................................................................19 グラフ 13 物流に関する環境負荷削減の取組み(複数選択可) ......................................20 グラフ 14 生物多様性減少についてのリスク認識(複数選択可).....................................21 グラフ 15 生物多様性の保全に関する方針、中長期目標の策定 ....................................22 グラフ 16 本業における生物多様性保全のための取組み ..............................................23 グラフ 17 事業機会創出のため環境問題対応を切り口とした研究開発がある企業..........24 グラフ 18 途上国での製品再生・処分の取組み状況 ......................................................25 グラフ 19 社会 IR の積極性(調査票「社会・ガバナンス編」への業種別回答率) ..............27 グラフ 20 法令遵守の状況を監査、評価するための取組み(複数選択可) ......................28 グラフ 21 内部通報制度の設置状況.............................................................................29 グラフ 22 環境・社会問題に関する株主からの働きかけ等への対応事例(複数選択可) ..30 グラフ 23 連結対象子会社を含めた過去 4 年度の違反事例(複数選択可) ....................31 グラフ 24 国内の購買取引における公正確保のための取組み(複数選択可)..................32 グラフ 25 移転価格税制の追徴課税回避の取組み(複数選択可) ..................................33 グラフ 26 顧客からの要望・苦情に対応するための取組み(複数選択可) .......................34 グラフ 27 製品事故を防ぐための取組み (複数選択可) ................................................35 グラフ 28 過去の製品・サービスに関する事故を教訓とした取組み (複数選択可)..........36 グラフ 29 「名ばかり管理職」問題防止のための取組み (複数選択可) ..........................37 グラフ 30 社外カウンセラーの設置状況 ........................................................................38 グラフ 31 女性の活躍を支援するための取組み(複数選択可) .......................................39 グラフ 32 両立支援の制度利用促進のための取組み(複数選択可)...............................40 グラフ 33 育児・介護休業支援のための制度(複数選択可) ...........................................41 グラフ 34 男性の出産・育児休暇制度(年次休暇とは別に設けられた有給の休暇や配偶者

の就業有無に関わらず取得可能な育児休業等)取得の支援....................................42 グラフ 35 グローバルな人材の活用・管理の取組み (複数選択可)................................43

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6

グラフ 36 海外の従業員のための安全衛生・健康改善のための取組み(複数選択可) ....44 グラフ 37 社会貢献活動の効果検証.............................................................................45 グラフ 38 国内外の NGO/NPO との協働の取組み(複数選択可) ..................................46 グラフ 39 国内外の小中学校との協働での取組み.........................................................47 グラフ 40 社会的課題の解消に資するビジネス .............................................................48

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調査票 環境編 分析結果

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環境 IR、電気・ガス、空運、保険がトップクラス

当社では、調査票「環境編」への回答の多寡(回答率)を当該業種における環境 IR の積極度を

示すひとつの指標と考えている。今年度調査の対象企業数は 2,000 社で、そのうちの 395 社から

調査票「環境編」への回答を得た(有効回答率 19.7%)(締切後提出分も含む)。 業種(証券コード協議会が定める 33 業種中分類)別に見ると、電気・ガス業(78.9%)が環境情

報の開示にもっとも積極的で、次に空運業(50.0%)と保険業(44.4%)が続く。トップ 3 の傾向は昨

年と同様だが、今年度は非鉄金属(40.7%)、海運業(40.0%)、その他製品(37.7%)、石油・石炭

製品(33.3%)といった業種が、昨年度と比較して大きく伸びたのが特徴的であった。 グラフ 1 環境 IR 対応の積極性(調査票「環境編」への業種別回答率)

N=2,000(調査対象企業)

(%の分母は各業種の調査対象企業数)

19.8%

20.0%

16.7%

21.1%

27.5%

21.3%

23.1%

28.6%

19.5%

33.3%

14.3%

20.6%

5.4%

40.7%

9.8%

17.5%

28.4%

22.5%

17.2%

37.7%

78.9%

12.5%

40.0%

50.0%

8.7%

16.9%

16.7%

11.2%

17.0%

12.5%

44.4%

25.0%

8.2%

6.1%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90%

全体

水産・農林業

鉱業

建設業

食料品

繊維製品

パルプ・紙

化学

医薬品

石油・石炭製品

ゴム製品

ガラス・土石製品

鉄鋼

非鉄金属

金属製品

機械

電気機器

輸送用機器

精密機器

その他製品

電気・ガス業

陸運業

海運業

空運業

倉庫・運輸関連業

情報・通信業

卸売業

小売業

銀行業

証券、商品先物取引業

保険業

その他金融業

不動産業

サービス業

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環境コミュニケーション

環境債務の公表をしている企業が1割

企業会計基準委員会から「企業会計基準第 18 号資産除去債務に関する会計基準」が公表さ

れており、2010 年度から企業会計に適用されるが、当基準の適用に先立ち、環境債務を公表し

ているかどうかを尋ねたところ、公表していないと回答した企業が全体の 67.8%であった。一方、

「環境報告書で公表している」が 6.6%、「有価証券報告書等で公表している」が 5.6%であり、全

体の 1 割の企業しか環境債務の公表をしていないという結果となった。 グラフ 2 環境債務の公表(複数選択可)

N=395(調査票環境編への有効回答企業)

67.8%

10.4%

5.6%

6.6%

0% 20% 40% 60% 80%

公表していない

(参考)上記のどちらかで公表している

有価証券報告書等で公表している

環境報告書で公表している

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10

環境コミュニケーション

ステークホルダーとの定期意見交換、実施は 4 割

環境活動に対してステークホルダーから意見を得る機会を定期的に作っていると回答した企業

は、全体で 42.5%となった。電気・ガスが最も高く 86.7%となったが、その他の業種には大きな開

きがあり、5 割以上となったのは繊維・化学、輸送用機器、素材・材料、電気機器・精密機器、医薬

品であり、機械、情報通信、サービス・不動産の実施率は 2 割以下となった。 グラフ 3 ステークホルダーから意見を得る定期的な機会

N=395(調査票環境編への有効回答企業)

42.5%

14.3%

14.3%

16.0%

30.4%

35.0%

35.3%

38.5%

39.1%

40.0%

40.6%

46.2%

50.0%

50.9%

52.9%

56.3%

60.4%

86.7%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

総計

サービス・不動産

情報通信

機械

建設

その他製品

金属

卸売

食料品

小売

金融

運輸

医薬品

電気機器・精密機器

素材・材料

輸送用機器

繊維・化学

電気・ガス

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環境マネジメント

7 割の企業が外部環境監査を実施

外部環境監査の実施について尋ねたところ、全体では 72.9%の企業が実施していると回答し、

昨年度(75.7%)と比べ大きな進展は見られなかった。電気・ガス、輸送用機器では 100%の実施

率となったほか、卸売(88.5%)、素材・材料(88.2%)では約 9 割の実施率となった。昨年度最下

位であった金融(37.5%)は、今年度は 43.8%と若干の伸びを見せていた。

グラフ 4 外部環境監査の実施 N=395(調査票環境編への有効回答企業)

72.9%

38.5%

43.8%

45.0%

50.0%

52.4%

55.0%

64.0%

78.3%

78.3%

82.4%

84.2%

85.4%

87.5%

88.2%

88.5%

100.0%

100.0%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

総計

運輸

金融

小売

サービス・不動産

情報通信

その他製品

機械

食料品

建設

金属

電気機器・精密機器

繊維・化学

医薬品

素材・材料

卸売

輸送用機器

電気・ガス

(参考)2007 年度調査結果 N=350(調査票環境編への有効回答企業)

75.7%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

総計

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環境マネジメント

環境会計結果を経営に反映する取組みは進まず

環境会計の結果を経営の意思決定に反映させているか尋ねたところ、反映させていると回答し

た企業は、全体の 34.2%であり、昨年度(35.7%)よりも少し低い結果となった。電気・ガス

(53.3%)、電気機器・精密機器(52.6%)が 5 割以上となったが、金融(18.8%)、卸売(15.4%)、

その他製品(15.0%)、情報通信(14.3%)とサービス・不動産(14.3%)の 5 業種については、2 割

以下の結果となった。 グラフ 5 環境会計の結果を経営に反映

N=395(調査票環境編への有効回答企業)

34.2%

14.3%

14.3%

15.0%

15.4%

18.8%

30.8%

32.0%

34.8%

35.0%

35.3%

37.5%

37.5%

39.1%

41.2%

43.8%

52.6%

53.3%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60%

総計

サービス・不動産

情報通信

その他製品

卸売

金融

運輸

機械

建設

小売

素材・材料

医薬品

輸送用機器

食料品

金属

繊維・化学

電気機器・精密機器

電気・ガス

(参考)2007 年度調査結果 N=350(調査票環境編への有効回答企業)

35.7%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60%

総計

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13

環境マネジメント

気候変動適応のための取組み、実施は半数以下

日本国内もしくは海外の事業活動について、温室効果ガスの削減といった環境負荷を低減(緩

和)する取組み以外に、気候変動による影響に適応するための取組みについて尋ねた。何らかの

取組みを行っているのは、全体の 49.1%であり、半数以下の結果となった。最も多かったのは「従

業員の熱中症対策を行っている」(27.1%)であり、それでも全体の 3 割以下であった。 グラフ 6 気候変動による影響に適応するための取組み(複数選択可)

N=395(調査票環境編への有効回答企業)

49.1%

5.8%

7.8%

9.6%

14.2%

21.0%

27.1%

0% 20% 40% 60%

(参考)上記のいずれかの取組みがあると回答した有効回答企業の割合

工場における防波堤を整備している

原材料の調達元を変更している

その他の取組みを行っている

浸水対策を行っている

工場などにおける冷却効率の低下への対策を行っている

従業員の熱中症対策を行っている

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14

環境パフォーマンス

経営戦略として環境問題対策が認識されている

中期経営計画等の経営戦略の中に、温室効果ガス削減などの環境問題対策を明確に位置づ

けているか尋ねたところ、全体の 63.5%が「位置づけている」と回答をした。電気・ガス(100%)、

輸送用機器(93.8%)、素材・材料(82.4%)、電気機器・精密機器(80.7%)が 8 割以上であり、2割以下は情報通信(19.0%)のみであった。 グラフ 7 中期経営計画等の経営戦略の中での環境問題対策の位置づけ

N=395(調査票環境編への有効回答企業)

63.5%

19.0%

28.6%

34.6%

40.0%

40.6%

60.0%

62.5%

68.0%

69.2%

69.6%

69.6%

70.6%

75.0%

80.7%

82.4%

93.8%

100.0%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

総計

情報通信

サービス・不動産

卸売

小売

金融

その他製品

医薬品

機械

運輸

食料品

建設

金属

繊維・化学

電気機器・精密機器

素材・材料

輸送用機器

電気・ガス

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15

環境パフォーマンス

15%の企業が排出権利用で削減目標達成

温室効果ガス又は二酸化炭素の排出の絶対量について、長期的に業界又は自社の設定した

削減目標達成傾向について、「自社の活動のみで達成の傾向にある」と回答した企業は、全体の

45.1%であり、「自社の活動と排出権取得・購入をあわせると達成傾向にある」と回答した企業は

全体の 14.9%であった。排出権を利用しなければ温室効果ガス削減目標を達成できない企業の

存在が明らかになった。 グラフ 8 温室効果ガスの排出(絶対量)の削減目標達成に対する自己評価

N=395(調査票環境編への有効回答企業)

29.9%

1.5%

6.1%

14.9%

45.1%

0.0% 10.0% 20.0% 30.0% 40.0% 50.0%

排出絶対量を、業界又は自社の

削減目標として設定していない

ので、上記に該当しない

自らの削減活動と排出クレジットの

自ら取得・購入をあわせても排出

絶対量の削減目標を達成する方向にない

自らの削減活動で排出量絶対量の削減

目標を達成する方向になく、排出クレジットの

自ら取得・購入も予定していない

自社の活動と排出権取得・購入を

あわせると達成の傾向にある

自社の活動のみで達成の傾向にある

(参考)2007 年度調査結果 N=350(調査票環境編への有効回答企業)

28.5%

0% 10% 20% 30% 40% 50%

達成の傾向にある

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16

環境パフォーマンス

3 割以上の企業が排出量取引・環境税の導入を肯定

京都議定書の第一約束期間に入り、日本は温室効果ガスを基準年対比 6%削減することが求

められている。そこで、日本の温室効果ガス削減を促進するために排出量取引や環境税の導入

が議論されているが、国別総量削減目標、排出量取引、環境税についての考えを尋ねた。国別

総量削減目標については、「賛成している」が 16.2%、「導入はやむをえないと考えている」が

53.7%となり、7 割近い企業が肯定している。排出量取引については、「賛成している」が 10.1%、

「導入はやむをえない」が 43.8%、環境税については、「賛成している」が 3.8%、「導入はやむを

えない」が 31.6%となり、排出量取引、環境税について、その導入に柔軟な意見を有する企業も

少なからず存在していることが明らかとなった。 グラフ 9 国別総量削減目標、排出量取引、環境税についての見解

N=395(調査票環境編への有効回答企業)

排出量取引

10.1%

43.8%

11.6%

30.1%

4.3%

賛成している

導入はやむをえないと考えている

反対している

どちらともいえない

未回答

環境税3.8%

31.6%

25.3%

35.2%

4.1%

賛成している

導入はやむをえないと考えている

反対している

どちらともいえない

未回答

国別総量削減目標

16.2%

53.7%

3.8%

21.5%

4.8%

賛成している

導入はやむをえないと考えている

反対している

どちらともいえない

未回答

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17

環境パフォーマンス

海外での土壌、地下水の汚染状況の把握が課題

事業所敷地内および周辺における土壌、地下水の汚染状況の把握の範囲を尋ねたところ、国

内事業所では 49.4%、グループ企業(国内)では 31.9%であったが、海外事業所では 13.2%、グ

ループ企業(海外)では 11.9%という結果となり、国内に比べて海外での土壌、地下水状況の把

握がされていないという実態が明らかになった。 グラフ 10 国内外での土壌、地下水の汚染状況の把握状況

N=395(調査票環境編への有効回答企業)

49.4%

13.2%

31.9%

11.9%

26.1%

12.9%

26.8%

19.0%

20.0%

44.8%

30.4%

47.8%

0% 20% 40% 60% 80%

国内事業所

海外事業所

グループ企業(国内)

グループ企業(海外)

把握している 一部把握している 把握していない

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18

環境パフォーマンス

再生可能エネルギーを利用・生産、大きな進展はない

事業活動にともなうエネルギー投入に関して、本年度は、再生可能エネルギーを積極的に利用

していると回答した企業は全体で 33.2%、自ら生産しているとする回答した企業は 18.7%であり、

昨年度(再生可能エネルギーを積極的に利用していると回答した企業は全体で 36.3%、自ら生産

しているとする回答した企業は 19.1%)に比べ、大きな進展は見られなかった。再生可能エネルギ

ー生産の主体と考えられる電気・ガスを除くと、再生可能エネルギーの積極的な利用について、

輸送用機器(62.5%)が 6 割以上となり、再生可能エネルギーを自ら生産すると回答した企業は、

輸送用機器(37.5%)と電気機器・精密機器(33.3%)が 3 割以上となった。回答企業の中では医

薬品、運輸、サービス・不動産の 3 業種を除く全ての業種で再生可能エネルギーの生産が確認さ

れた。 グラフ 11 再生可能エネルギーの利用・生産(複数選択可)

N=395(調査票環境編への有効回答企業)

33.2%

11.5%

14.3%

14.3%

15.0%

23.5%

24.0%

25.0%

25.0%

29.2%

30.4%

37.5%

43.5%

47.4%

52.9%

53.8%

62.5%

66.7%

18.7%

11.5%

0.0%

9.5%

10.0%

11.8%

28.0%

0.0%

10.0%

16.7%

8.7%

0.0%

21.7%

33.3%

17.6%

7.7%

37.5%

80.0%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

総計

卸売

サービス・不動産

情報通信

小売

金属

機械

金融

その他製品

繊維・化学

建設

医薬品

食料品

電気機器・精密機器

素材・材料

運輸

輸送用機器

電気・ガス

再生可能エネルギーを事業所、工場等で生産している

再生可能エネルギーを事業所、工場等で積極的に利用している

(参考)2007 年度調査結果 N=350(調査票環境編への有効回答企業)

36.3%19.1%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

総計

再生可能エネルギーを事業所、工場等で生産している

再生可能エネルギーを事業所、工場等で積極的に利用している

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19

サプライチェーン・マネジメントの観点からの環境対策

市場からの要請が業種をまたいでさらに広がっている

顧客から、環境問題に配慮することが要請され、製品・サービスの購入意思決定にそうした要

因が反映されるようになってきたかどうかを尋ねたところ、全体で 58.2%となり、昨年度(56.0%)

を上回る結果となった。さらに、輸送用機器(87.5%)、電気機器・精密機器(86.0%)、金属

(82.4%)、電気・ガス(80.0%)の 4 業種については、8 割以上の企業が市場からの要請を受けて

いると判断する結果になった。製造業を中心に業種をまたいで市場からの要請が広がっている状

況にあるといえる。昨年度最下位であった金融(25.0%)は、今年度は、34.4%と若干の伸びを見

せている。 グラフ 12 市場からの要請の認識

N=395(調査票環境編への有効回答企業)

58.2%

25.0%

28.6%

34.4%

35.0%

35.7%

43.5%

45.0%

46.2%

52.2%

53.8%

58.8%

64.0%

70.8%

80.0%

82.4%

86.0%

87.5%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

総計

医薬品

情報通信

金融

小売

サービス・不動産

建設

その他製品

卸売

食料品

運輸

素材・材料

機械

繊維・化学

電気・ガス

金属

電気機器・精密機器

輸送用機器

(参考)2007 年度調査結果 N=350(調査票環境編への有効回答企業)

56.0%

0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0% 100.0%

総計

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20

サプライチェーン・マネジメントの観点からの環境対策

物流に関する環境負荷削減の取組みが進む

物流に関する環境負荷削減の取組みとしては、梱包荷物の軽量化や積載方法の効率化が全

体で 74.9%となり、物流拠点やルートの見直しが 68.1%と続いた。50%を超えた取組みはこの二

つのみで、EMS の実施やバイオ燃料の導入などはまだ取組み事例が少ないという結果になった。

また、全ての取組みが昨年度の結果を上回り、物流の環境負荷削減の取組みが進んでいる状況

が窺える。 グラフ 13 物流に関する環境負荷削減の取組み(複数選択可)

N=395(調査票環境編への有効回答企業・2008 年度)

N=350(調査票環境編への有効回答企業・2007 年度)

4.9%

18.0%

23.4%

41.7%

65.4%

66.9%

7.6%

21.8%

27.8%

47.8%

68.1%

74.9%

0% 20% 40% 60% 80%

バイオ燃料を導入している

EMS(エコドライブ管理

システム)を実施している

3PL(サードパーティロジスティック)の

採用など業務の効率化を図っている

低公害車を導入している

物流拠点やルートの

見直しを行っている

梱包荷物の軽量化や積載方法

の効率化を行っている

2008年度

2007年度

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21

生物多様性

生物多様性減少に対するリスク認識は進まず

生物多様性の減少について、自社の事業等のリスクとして取締役会で議論したり、有価証券報

告書等への記載を行っていない企業は 88.6%にのぼっており、リスクとして認識しているという回

答も内容別に全て 1 割未満の結果となった。会社方針として、生物多様性減少が業務執行上のリ

スクであるという認識が進んでいない状況があらわれている。

グラフ 14 生物多様性減少についてのリスク認識(複数選択可)

N=395(調査票環境編への有効回答企業)

3.0%

3.8%

4.1%

7.1%

88.6%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

消費者やNGO/NPOによる不買運動

操業許可の喪失

調達先の喪失サプライチェーンの分析

ブランドイメージの悪化

記載の事例はない

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22

生物多様性

生物多様性、中・長期目標の策定が今後の課題

生物多様性の保全に関する方針、中・長期目標を策定している割合は、有効回答企業全体で

16.8%という結果になり、昨年度(16.3%)からほとんど進展の見られない結果となった。策定して

いると回答した企業で、最も多かったのは医薬品(50.0%)であり、電気・ガス(40.0%)、素材・材

料(35.5%)、運輸(30.8%)、建設(26.1%)の 5 業種では 4 分の 1 を超えるという結果となった。

回答しているとする企業が全くなかったのは、サービス・不動産のみの 1 業種であった。 グラフ 15 生物多様性の保全に関する方針、中長期目標の策定

N=395(調査票環境編への有効回答企業)

16.8%

0.0%

5.0%

7.4%

8.7%

10.6%

11.1%

11.8%

12.0%

12.5%

15.4%

15.0%

21.1%

26.1%

30.8%

35.3%

40.0%

50.0%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60%

総計

サービス・不動産

情報通信

金融

食料品

繊維・化学

金属

その他製品

機械

輸送用機器

卸売

小売

電気機器・精密機器

建設

運輸

素材・材料

電気・ガス

医薬品

(参考)2007 年度調査結果 N=350(調査票環境編への有効回答企業)

16.3%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60%

総計

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23

生物多様性

本業を通じた生物多様性保全の取組みは 3 割

本業を通じて生物多様性の保全に資する取組みを行っていると回答した企業は、電気・ガス

(80.0%)が 8 割を超え、医薬品(50.0%)、輸送用機器(50.0%)については半数になるという結

果となった。しかし、取組みを行っていると回答した企業が 3 割未満の業種は 8 業種もあり、本業

における生物多様性保全のための取組みには、業種による温度差があらわれている。

グラフ 16 本業における生物多様性保全のための取組み N=395(調査票環境編への有効回答企業)

30.8%

8.3%

12.0%

16.7%

20.0%

21.3%

26.7%

26.9%

29.4%

30.4%

32.1%

35.3%

35.0%

38.5%

47.8%

50.0%

50.0%

80.0%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

総計

サービス・不動産

機械

金属

情報通信

繊維・化学

金融

卸売

その他製品

食料品

電気機器・精密機器

素材・材料

小売

運輸

建設

輸送用機器

医薬品

電気・ガス

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事業機会としての環境問題対応

環境問題対応を切り口とした R&D は 6 割

事業機会創出のための環境問題対応を切り口とした研究開発(R&D)があると回答した企業は、

全体の 61.3%であり、昨年度(62.0%)と比較をするとほぼ横ばいの結果となった。 グラフ 17 事業機会創出のため環境問題対応を切り口とした研究開発がある企業

N=349(2005 年)、361(2006 年)、350(2007 年)、395(2008 年)

(調査票環境編への有効回答企業)

41.9%

52.6% 54.2%58.7%

62.0% 61.3%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

2003 2004 2005 2006 2007 2008

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事業機会としての環境問題対応

途上国での製品再生・処分の取組みが課題

途上国において製品の適切な再生・処分を促進する取組みがあると回答した企業は全体の

11.1%であり、取組みはないと回答した企業が全体の 49.7%であった。途上国における製品再

生・処分を促進する取組みを実施している企業が少ない実態が明らかになった。 グラフ 18 途上国での製品再生・処分の取組み状況

N=395((調査票環境編への有効回答企業)

35.9%

11.1%

49.7%

0% 20% 40% 60%

自社の事業活動には馴染まない

取組みがある

取組みはない

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調査票 社会・ガバナンス編 分析結果

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社会 IR、電気・ガス、空運、保険がトップクラス

当社では、調査票「社会・ガバナンス編」への回答の多寡(回答率)を当該業種における社会で

の IR の積極度を示すひとつの指標と考えている。今年度調査の対象企業数は 2,000 社で、その

うちの 371 社から調査票「社会・ガバナンス編」への回答を得た(有効回答率 18.5%)(締切後提

出分も含む)。 業種(証券コード協議会が定める 33 業種中分類)別に見ると、社会 IR への積極性と同様に、

電気・ガス業(68.4%)がトップ、空運業(50.0%)と保険業(44.4%)が続き、海運業(40.0%)、そ

の他製品(35.8%)といった業種が、昨年度と比較して大きく伸びたのが特徴的であった。

グラフ 19 社会 IR の積極性(調査票「社会・ガバナンス編」への業種別回答率) N=2,000(調査対象企業)

(%の分母は各業種の調査対象企業数)

18.6%

20.0%

16.7%

20.2%

27.5%

21.3%

23.1%

28.6%

17.1%

25.0%

21.4%

17.6%

5.4%

29.6%

9.8%

15.4%

25.1%

19.7%

17.2%

35.8%

68.4%

12.5%

40.0%

50.0%

8.7%

16.9%

14.7%

11.8%

17.0%

12.5%

44.4%

22.2%

8.2%

5.3%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80%

全体

水産・農林業

鉱業

建設業

食料品

繊維製品

パルプ・紙

化学

医薬品

石油・石炭製品

ゴム製品

ガラス・土石製品

鉄鋼

非鉄金属

金属製品

機械

電気機器

輸送用機器

精密機器

その他製品

電気・ガス業

陸運業

海運業

空運業

倉庫・運輸関連業

情報・通信業

卸売業

小売業

銀行業

証券、商品先物取引業

保険業

その他金融業

不動産業

サービス業

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企業統治

監査室の拡充など社内での業務監査の強化が進む

法令遵守の状況を監査、評価するために実施している取組みについて尋ねた。「監査室の拡充

など業務監査の強化を行っている」(88.1%)と回答した企業は、昨年度(80.1%)からさらに伸び

て、全体の約 9 割であった。監査室の拡充など業務監査の強化が進んでいる状況が窺える。 そのほか、「経営トップが各部門(部署)の管理担当者から遵守状況に関する報告を受けてい

る」(55.5%)、「実態把握を目的とする全事業部門に対する調査を定期的に行っている」(52.3%)、

「第三者機関の監査を受けている」(17.3%)においても、昨年度を上回る結果となった。 グラフ 20 法令遵守の状況を監査、評価するための取組み(複数選択可)

N=371(調査票社会・ガバナンス編への有効回答企業・2008 年度)

N=336(調査票社会・ガバナンス編への有効回答企業・2007 年度)

N=361(調査票社会・ガバナンス編への有効回答企業・2006 年度)

13.3%

42.4%

45.4%

72.6%

15.2%

50.6%

51.5%

80.1%

17.3%

52.3%

55.5%

88.1%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

第三者機関の監査を受けている

実態把握を目的とする全事業部門に対する調査を定期的に行っている(無記名の従業員調査等)

経営トップが各部門(部署)の管理担当者から遵守状況に関する報告を受けている

監査室の拡充など業務監査の強化を図っている

2008年度

2007年度

2006年度

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29

企業統治

対象範囲を拡大した内部通報制度設置は約 7 割

グループ会社や非正規雇用の従業員まで対象範囲を拡大した内部通報制度のある企業は全

体の 68.7%であった。素材・材料(87.5%)、医薬品(85.7%)、電気・ガス(84.6%)、金融

(83.9%)、輸送用機器(78.6%)、金属(78.6%)、建設(77.3%)、繊維・化学(75.0%)、食料品

(73.9%)、その他製品(73.7%)の 10 業種が 7 割以上であった。製造業を中心に内部通報に対し

て積極的に対応する姿勢が窺える。 グラフ 21 内部通報制度の設置状況

N=371(調査票社会・ガバナンス編への有効回答企業)

68.7%

38.5%

45.5%

52.4%

57.1%

60.8%

61.5%

65.2%

73.7%

73.9%

75.0%

77.3%

78.6%

78.6%

83.9%

84.6%

85.7%

87.5%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

総計

運輸

機械

小売

情報通信

電気機器・精密機器

サービス・不動産

卸売

その他製品

食料品

繊維・化学

建設

金属

輸送用機器

金融

電気・ガス

医薬品

素材・材料

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30

企業統治

株主からの働きかけには個別回答が過半数

環境問題・社会問題に関連する株主からの働きかけ等への対応事例として、「個別の問い合わ

せや要望に、個別に回答を行った事例がある」と回答した企業が、全体の 54.7%と昨年度

(51.5%)を上回る結果となった。さらに、「直近の株主総会で質疑応答を行った事例がある」

(28.8%)や「株主懇親会の議題とした事例がある」(3.2%)についても、昨年度を上回る結果とな

った。環境問題・社会問題に関連したテーマが、株主とのコミュニケーションにおいて、とりあげら

れることが多くなっている状況が窺える。 グラフ 22 環境・社会問題に関する株主からの働きかけ等への対応事例(複数選択可)

N=371(調査票社会・ガバナンス編への有効回答企業・2008 年度)

N=336(調査票社会・ガバナンス編への有効回答企業・2007 年度)

2.1%

19.6%

51.5%

3.2%

28.8%

54.7%

0% 20% 40% 60%

株主懇談会の議題とした

事例がある

直近の株主総会で質疑応答を

行った事例がある

個別の問い合わせや要望に、

個別に回答を行った事例がある

2007 2008

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31

公正な経済取引

製造業全体の約 2 割が独占禁止法もしくは刑法違反事例あり

連結対象子会社を含めた過去 4 年以内の違反事例について尋ねたところ、製造業では、「独占

禁止法違反(警告を含む)もしくは刑法違反(競争入札妨害罪、談合罪)の事例」が 18.5%と最も

高く、つづいて「下請法違反(警告を含む)(建設業法で規定される部分も含む)」が 13.3%であっ

た。非製造業では、「景品表示法違反(警告を含む)の事例」が 9.8%と最も高く、つづいて「下請

法違反(警告を含む)(建設業法で規定される部分も含む)」が 6.6%であった。「不正競争防止法

違反の事例」については、製造業、非製造業ともに 1%に満たなかった。 グラフ 23 連結対象子会社を含めた過去 4 年度の違反事例(複数選択可)

N=249(調査票社会・ガバナンス編への有効回答企業・製造業)

N=122(調査票社会・ガバナンス編への有効回答企業・非製造業)

0.8%

1.6%

9.8%

6.6%

1.6%

0.8%

2.0%

3.6%

13.3%

18.5%

0% 5% 10% 15% 20%

不正競争防止法違反の事例

インサイダー取引違反の事例

景品表示法違反(警告を含む)の事例

下請法違反(警告を含む)

(建設業法で規定される部分も含む)

独占禁止法違反(警告を含む)もしくは

刑法違反(競争入札妨害罪、談合罪)の事例

製造業

非製造業

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32

公正な経済取引

購買組織の独立性確保が 7 割に満たない

国内の購買取引において、公正な経済取引を確保するための取組みについて尋ねた。最も多

かったのは、「購買組織を営業部門など社内の他部門から独立させている」で全体の 67.1%であ

り、7 割に満たない結果となった。最も少なかったのは、「透明性の高い調達を行うべく、インター

ネットに新規購買窓口を設置している」の 21.8%であった。 グラフ 24 国内の購買取引における公正確保のための取組み(複数選択可)

N=371(調査票社会・ガバナンス編への有効回答企業)

21.8%

35.0%

59.8%

64.2%

67.1%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

透明性の高い調達を行うべく、インターネットに新規購買窓口を設置している

購買取引の担当窓口を社外に明示している

取引相手などからの贈答品の授受に関しての社内規定を定めている

購買取引ガイドラインを策定している

購買組織を営業部門など社内の他部門から独立させている

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33

公正な経済取引

移転価格の実態把握、半数の企業が取組む

企業グループ間で取引を行う際に、その価格が適正でないことを理由に利益を不正に他の国

に移したとみなされる事例が増えている。不適切な移転価格により追徴課税されることを回避す

るため、「グループ間の移転価格の実態を把握・検証している」と回答した企業が全体の 48.5%で

あり、ほぼ半数の企業が取組みを実施しているという結果となった。 グラフ 25 移転価格税制の追徴課税回避の取組み(複数選択可)

N=371(調査票社会・ガバナンス編への有効回答企業)

10.8%

16.7%

22.9%

48.5%

0% 20% 40% 60%

全社レベルでの移転

価格に対する考え方を

統一し、明文化している

事前確認制度を活用し、

事前確認の申請を行っている

移転価格税制を念頭に置いて

海外拠点も含めたタックスプラン

ニングを行っている

グループ間の移転価格の

実態を把握・検証している

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34

顧客に対する誠実さ

製造業、要望・苦情を分析・製品開発に活用

顧客からの要望・苦情に対応するための取組みについて、「収集した情報の分析・製品開発に

活用している」と回答した企業が製造業では 85.1%、非製造業では 55.7%、「情報を社内で共有

するための部署を設置している」と回答した企業が製造業では80.3%、非製造業では71.3%であ

った。製造業では、要望や苦情を分析・製品開発に積極的に活用しているという状況が反映され

ている。 グラフ 26 顧客からの要望・苦情に対応するための取組み(複数選択可)

N=249(調査票社会・ガバナンス編への有効回答企業・製造業)

N=122(調査票社会・ガバナンス編への有効回答企業・非製造業)

23.0%

30.3%

45.1%

53.3%

47.5%

71.3%

55.7%

17.3%

26.1%

43.0%

50.6%

60.2%

80.3%

85.1%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

顧客から寄せられた要望・苦情の内容を対応策と共に開示している

外部モニター、顧客関連専門資格者の意見を反映させている

顧客に対して要望・苦情への対応方法や手続きを開示している

顧客アンケートを積極的に実施している

顧客から要望されたカスタマイズに対応している

情報を社内で共有するための部署を設置している

収集した情報の分析・製品開発に活用している

製造業非製造業

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35

顧客に対する誠実さ

高齢者などへのリスク情報提供、取組みの余地あり

製品事故を防ぐための取組みを尋ねたところ、「社内の部署を横断的に指示できる権限を有す

る製品安全担当部署を設置している」(62.2%)と、「製品の使用に伴うリスクの洗い出しや評価を

行い、顧客へ情報提供を行っている」(59.4%)は約 6 割であった。一方、「子どもや高齢者や障が

い者の製品使用時のリスクについて、顧客へ情報提供を行っている」(26.1%)と回答した企業は

3 割未満であった。

グラフ 27 製品事故を防ぐための取組み (複数選択可) N=371(調査票社会・ガバナンス編への有効回答企業)

26.1%

59.4%

62.2%

0% 20% 40% 60% 80%

子どもや高齢者や障がい者の製品使用時のリスクについて、顧客へ情報提供を

行っている

製品の使用に伴うリスクの洗い出しや評価を行い、顧客へ情報提供を行っている

社内の部署を横断的に指示できる権限を有する製品安全担当部署を設置している

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36

顧客に対する誠実さ

製造業の事故再発防止体制の整備は 9 割

過去に製品・サービスに関する事故・欠陥があった場合、それを教訓として対策を講じた事例に

ついて尋ねた。「原因分析・再発防止の取組みを整備した」と回答した企業が製造業では 90.4%、

非製造業では 72.1%、「他社の事故事例等を踏まえ予防体制を整備した」と回答した企業が製造

業では 55.4%、非製造業では 43.4%、「製品・サービスの安全を主眼とした調査機関を設置して

いる」と回答した企業が製造業では 28.5%、非製造業では 19.7%であった。製造業の製品・サー

ビスに関する事故・欠陥の再発防止への意識の高さが窺える。 グラフ 28 過去の製品・サービスに関する事故を教訓とした取組み (複数選択可)

N=249(調査票社会・ガバナンス編への有効回答企業・製造業)

N=122(調査票社会・ガバナンス編への有効回答企業・非製造業)

4.9%

19.7%

43.4%

72.1%

4.8%

28.5%

55.4%

90.4%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

これまで、製品・サービスに関する事故・欠陥がなかった

製品・サービスの安全を主眼とした調査機関を設置している

他社の事故事例等を踏まえ、予防体制を整備した

原因分析・再発防止の体制を整備した

製造業

非製造業

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37

労働慣行

「名ばかり管理職」問題防止、非製造業に遅れ

管理職として扱われているにも関わらず、実態が労働基準法で定められた要件を満たしていな

い「名ばかり管理職」の問題を防止するための取組みを尋ねた。「管理職にも、業務負担が過重

にならないよう労働時間等を管理・監視する仕組みを有している」と回答した企業が製造業では

59.4%、非製造業では 45.2%、「自社の管理職の範囲が、要件を満たす適正なものであるか点

検を実施している」と回答した企業が製造業では 44.6%であり、非製造業では 29.3%であった。

その他の取組みについても非製造業が製造業を下回る結果となった。製造業に比べ、非製造業

の「名ばかり管理職」問題防止のための取組みへの遅れが見られる。 グラフ 29 「名ばかり管理職」問題防止のための取組み (複数選択可)

N=249(調査票社会・ガバナンス編への有効回答企業・製造業)

N=122(調査票社会・ガバナンス編への有効回答企業・非製造業)

9.6%

22.9%

29.3%

45.2%

13.3%

36.1%

44.6%

59.4%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

管理職に対し、業務負担、健康管理、賃金等につい

て、中立的な立場で直接意見を聴取する機会を設

けている

管理職に対する深夜の割増賃金の支払いが適正

かどうかを組織的に確認している

自社の管理職の範囲が、要件を満たす適正なもの

であるか点検を実施している

管理職にも、業務負担が過重にならないよう労働

時間等を管理・監視する仕組みを有している

製造業

非製造業

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38

労働慣行

メンタルケア対策、社外カウンセラー設置広がる

従業員の家族が職場環境や従業員の抱える問題等について社外の専門カウンセラーに相談

できるような体制を整備しているか尋ねた。全体では 63.6%の企業が設置しており、食料品

(47.8%)以外の業種は全て 5 割以上であった。 グラフ 30 社外カウンセラーの設置状況

N=371(調査票社会・ガバナンス編への有効回答企業)

63.6%

47.8%

52.4%

53.8%

54.5%

57.1%

58.1%

58.3%

61.5%

62.7%

66.7%

68.8%

69.2%

71.4%

73.9%

78.6%

81.8%

84.2%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90%

総計

食料品

小売

サービス・不動産

機械

金属

金融

繊維・化学

運輸

電気機器・精密機器

情報通信

素材・材料

電気・ガス

医薬品

卸売

輸送用機器

建設

その他製品

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39

労働慣行

女性活躍への支援、取組みの余地あり

女性の活躍を支援するための取組みを尋ねた。「女性中堅層を対象としたキャリアデザイン研

修等を実施している」と回答した企業が最も多く、全体の 21.8%であった。その他、「総合職以外

の一般職員等の女性従業員を対象としたキャリアアップ研修を実施している」と回答した企業、

「女性の活躍を支援するための専門部署を設置している」と回答した企業はともに 16.4%であっ

た。何らかの取組みを行っている企業は全体の 4 割に過ぎず、支援メニューを増やすなど、今後

も取組み拡大の余地があると考えられる。 グラフ 31 女性の活躍を支援するための取組み(複数選択可)

N=371(調査票社会・ガバナンス編への有効回答企業)

41.0%

16.4%

16.4%

20.5%

21.0%

21.8%

0% 20% 40% 60% 80%

(参考)上記のいずれかの取組みがあると

回答した有効回答企業の割合

女性の活躍を支援するための

専門部署を設置している

総合職以外の一般職員等の女性

従業員を対象としたキャリアアップ

研修を実施している

女性管理職比率を高めるための、

具体的なアクションプランを策定している

女性の活躍を支援する意識を

醸成するため、管理職向けの

研修を実施している

女性中堅層を対象としたキャリア

デザイン研修等を実施している

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40

仕事と生活との両立支援

両立支援制度利用促進、該当部署の人員補充が 5 割

仕事と育児や介護との両立を支援する制度について、制度の利用を促進するための取り組み

を尋ねた。「制度の利用者が出た場合に部署の人員構成を考えて人の補充等を行っている」と回

答した企業が最も多く、全体の 50.9%であった。半数以上の企業では一時的な休業などで制度

利用者以外の従業員に負担が増えることに対する対策を実施しているということになる。「不公平

感がないように制度対象者以外にも配慮した制度を設けている」と回答した企業は全体の 11.6%と低い結果となっており、人の補充等にとどまらず、制度対象者以外の不公平感是正に向けた取

組みが望まれる。 グラフ 32 両立支援の制度利用促進のための取組み(複数選択可)

N=371(調査票社会・ガバナンス編への有効回答企業)

8.9%

11.6%

35.6%

36.9%

39.1%

48.2%

50.9%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

全従業員を対象にワーク・ライフ・バランスをテーマと

した教育・研修機会を設置している

不公平感がないように制度対象者以外にも配慮した

制度を設置している

管理者に対し研修等を通じ、該当者が利用しやすい

環境作りを行うことを徹底している

推進委員会やプロジェクトチームを立ち上げ、制度の

推進・改善を図っている

制度利用者に対する理解をより広める為に、全従業

員に対する説明を行っている

両立支援への積極的な取組みの考え方を、経営や

人事の方針として明文化している

制度の利用者が出た場合に、部署の人員構成を考え

て人の補充等を行っている

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41

仕事と生活との両立支援

法定を上回る育児・介護休業制度整備は約 6 割

育児または介護中の従業員を支援するための取組みでは、昨年度と比べると、大きな変化は

見られなかった。本年度は、「法定を上回る育児休業制度」は 62.3%、「法定を上回る介護休業制

度」は 57.4%で約 6 割程度となった。一方、「介護関連の費用補助制度」は 31.8%、「育児または

介護中の経済的支援制度」は 31.0%と 3 割程度であった。法定を上回る育児及び介護のための

休業支援に比べ、経済的な支援については、取組みを行っている企業は多くはないという実態が

表れている。 グラフ 33 育児・介護休業支援のための制度(複数選択可)

N=371(調査票社会・ガバナンス編への有効回答企業・2008 年度)

N=336(調査票社会・ガバナンス編への有効回答企業・2007 年度)

34.2%

31.5%

26.5%

44.3%

66.4%

63.7%

31.0%

31.8%

33.4%

43.4%

57.4%

62.3%

0% 20% 40% 60% 80%

育児または介護休業中の経済的支援制度(雇用保険から支給される介護休業給付を除く)

介護関連の費用補助制度(ホームヘルパー、介護サービス等の利用補助等)

法定を上回る子の看護補助制度

出産・育児関連の費用補助制度(ベビーシッター、託児施設等の利用補助等)

法定を上回る介護休業制度

法定を上回る育児休業制度

2007年度 2008年度

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42

仕事と生活との両立支援

男性の出産・育児休暇制度、約半数が支援

男性も取りやすい出産・育児休暇制度を支援している企業は、全体では 48.8%であり、ほぼ半

数の結果が得られた。電気・ガスが 84.6%と最も高く、医薬品が 71.4%と次に高い結果となった。

出産・育児において、男性に対しても支援を行うという意識が定着してきていると考えられる。一

方、卸売(30.4%)、金属(28.6%)の 2 業種が約 3 割以下の結果となった。 グラフ 34 男性の出産・育児休暇制度(年次休暇とは別に設けられた有給の休暇や配偶者

の就業有無に関わらず取得可能な育児休業等)取得の支援 N=371(調査票社会・ガバナンス編への有効回答企業)

48.8%

28.6%

30.4%

36.4%

42.9%

42.9%

43.8%

45.8%

46.2%

46.2%

47.4%

52.2%

52.4%

52.9%

58.1%

59.1%

71.4%

84.6%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

総計

金属

卸売

機械

小売

輸送用機器

素材・材料

繊維・化学

運輸

サービス・不動産

その他製品

食料品

情報通信

電気機器・精密機器

金融

建設

医薬品

電気・ガス

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43

グローバル市場への的確な対応

海外の従業員対象の満足度調査、実施企業は少ない

海外の事業所での現地採用の従業員も含めたグローバルな人材の活用・管理を促進するため

に本社が主体となり行われている取組みを尋ねた。最も多かったのは「現地採用の従業員を対象

とした人材育成・能力開発プログラムを提供している」(34.8%)であった。一方、「現地採用の従業

員を対象とした満足度調査を実施している」(7.8%)が全体の 1 割未満と最も少なく、他の取組み

に比べ際立って低かったことが特徴的であった。 グラフ 35 グローバルな人材の活用・管理の取組み (複数選択可)

N=371(調査票社会・ガバナンス編への有効回答企業)

7.8%

23.5%

23.7%

32.6%

34.8%

0% 20% 40% 60%

現地採用の従業員を対象に従業員満足度調

査を実施している

現地採用の従業員を対象とした企業倫理や

行動規範に関する研修を実施している

本社においてグローバルな人材の人事管理

を行っている

現地採用の従業員を対象としたリーダー育

成支援を実施している

現地採用の従業員を対象とした人材育成・能

力開発プログラムを提供している

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44

グローバル市場への的確な対応

海外の従業員対象の通報制度設置は製造業全体の 1 割

製造業企業に対して、現地採用も含めた海外の従業員の安全衛生・健康の改善のために、本

社が主体となって行っている取組みを尋ねた。最も高かったのは、「安全衛生・健康に関する取組

みの実態を、本社側に定期的に報告する体制を整備している」(31.3%)であった。最も低かった

のは、「現地採用の従業員を対象とした通報制度」(11.2%)であり、製造業全体の 1 割程度となっ

た。海外事業所等での法令順守の状況を監査及び評価する上でも、安全衛生・健康に関する視

点からも、海外で通報制度の設置を検討する余地が残されている。 グラフ 36 海外の従業員のための安全衛生・健康改善のための取組み(複数選択可)

N=249(調査票社会・ガバナンス編への有効回答企業・製造業)

11.2%

14.9%

23.3%

31.3%

0% 20% 40% 60%

現地採用の従業員を対象とした

通報制度を設置している

海外事業所の労災発生率について

目標値を設定し管理を行っている

海外事業所に対して安全衛生・健康

に関する監査を実施している

安全衛生・健康に関する取組みの

実態を、本社側に定期的に報告する

体制を整備している

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社会活動への積極関与

社会貢献活動の効果検証は過半数で行われていない

社会貢献活動の効果検証について、活動効果を検証し、次期の活動に反映させているとする

企業は、検証結果を公表していないとする企業も含めて、全体の 41.5%という結果となった。持続

的な社会貢献が課題とされる中で、社会貢献活動継続の根拠となるべき効果検証が進められて

いない実態が明らかになった。 グラフ 37 社会貢献活動の効果検証

N=371(調査票社会・ガバナンス編への有効回答企業)

8.6%

32.9%

50.9%

7.5%活動の結果を検証し、検証結果を公表した上で、次期の活動に反映させている

活動の効果を検証し、次期の活動に反映させている

活動の効果検証は特に行っていない

未回答

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46

社会活動への積極関与

国内外の NGO/NPO との協働、資金助成がメイン

国内外の NGO/NPO との協働として、どのような取組みがあるか尋ねた。資金の助成

(47.4%)が最も多く、新規製品・サービスの共同開発(5.1%)と海外サプライヤーの CSR の取組

みの実態把握は 1 割未満であった。現在の NGO/NPO との協働は、資金の助成といった社会貢

献活動の要素が強い事例が多く、本業における事例は少ないと考えられる。 グラフ 38 国内外の NGO/NPO との協働の取組み(複数選択可)

N=371(調査票社会・ガバナンス編への有効回答企業)

1.9%

5.1%

13.5%

21.3%

22.1%

25.3%

26.1%

39.6%

47.4%

0% 20% 40% 60%

海外サプライヤーのCSRの

取組みの実態把握

新規製品・サービスの共同開発

教育支援(ラーニング制度、

スタッフ研修など)

自社CSR活動に反映させる

ための定期的な意見交換

従業員の派遣

設備・機器の提供

意見・情報交換を目的とした

会合の定期的な開催

プロジェクト・イベントの共催

資金の助成

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47

社会活動への積極関与 国内外の小中学校との協働、社会見学が約 7 割 国内外の小中学校との協働での取組みを尋ねたところ、社会見学の受入れが 73.2%と一番高

く、昨年度(73.2%)よりもやや高い結果となったが、その他、従業員を講師として派遣(47.2%)、

授業・講座の提供や共催(37.5%)、教員の社会体験受入れ(31.5%)については、特に顕著な変

化が見られることはなかった。 グラフ 39 国内外の小中学校との協働での取組み

N=371(調査票社会・ガバナンス編への有効回答企業・2008 年度)

N=336(調査票社会・ガバナンス編への有効回答企業・2007 年度)

33.0%

38.1%

53.0%

73.2%

31.5%

37.5%

47.2%

73.3%

0% 20% 40% 60% 80%

教員の社会体験研修の受け入れ

授業・講座の提供や共催

従業員を講師として派遣

社会見学の受け入れ

2007 2008

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48

社会的課題の解消に資するビジネス 途上国の生活環境改善に本業としての取組みが増える

16の社会的課題をあげ、それらの解消に資するビジネスが既に事業化されているか尋ねた。

他の取組みに比べ最も伸びていたのが、昨年度に比べ 21.4%から 24.3%に上昇した「発展途上

国の生活環境改善」の取組みであった。発展途上国にかかわるテーマに企業の視線が向けられ

始めている状況が反映されている。

グラフ 40 社会的課題の解消に資するビジネス N=371(調査票社会・ガバナンス編への有効回答企業・2008 年度)

N=336(調査票社会・ガバナンス編への有効回答企業・2007 年度)

8.3%

11.3%

14.9%

14.6%

17.9%

15.5%

21.7%

22.0%

24.4%

21.4%

32.7%

39.6%

40.2%

43.2%

44.9%

44.0%

9.4%

9.7%

12.9%

14.8%

15.4%

16.2%

20.8%

21.0%

24.0%

24.3%

31.8%

36.9%

39.9%

41.5%

42.0%

42.6%

0% 10% 20% 30% 40% 50%

若者の意欲向上・自立支援

財政の再建

外国人の暮らしやすい社会の実現

人間関係の希薄化の是正

心の健康の維持・改善

少子化問題の克服

女性の社会進出

自己啓発・能力開発の促進

地域コミュニティの再生

発展途上国の生活環境の改善

食糧確保・食の安全の確保

治安・セキュリティの維持・改善

障がいをもつ人の暮らしやすい社会の実現

自然災害に強い社会の実現

身体の健康の維持・改善

高齢化問題の克服

2008年度

2007年度

Page 50: わが国企業の CSR 経営の動向 2008 - 日本総研 · 2016-11-08 · (1)経営における環境問題対策の重要性高まる<グラフ7> 中期経営計画等の経営戦略の中で、環境問題対策を明確に位置づけていると回答した企

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本調査に関するお問い合わせ先: 株式会社日本総合研究所 創発戦略センター 松本明子

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