国営開発農地を利用した

地元生産者との契約栽培

　

京つけものの老舗、株式会社西利で

は、「旬、おいしく、やさしく」の社業

を体現した品質の高い漬物作りを実現

するため、京都府丹後地域における国

営農地開発事業で造成された圃ほ

場を利

用し、自社農場（株）京つけもの西利フ

ァームを平成18年に設立。それととも

に、ＪＡ京都を介して地域の生産者と

契約し、ダイコン、カブ、ハクサイ、

ナスなどの漬物用野菜を栽培されてい

ます。

　

契約農家とともに品種の選定から栽

培まで一貫した管理で野菜を生産、そ

のまま最良の状態で漬け込むというす

べてを自社で行うシステムを構築され

ています。

　

その、西利さんの契約圃場にタキイ

の「冬神楽」が平成29年度導入されてい

ます。この度は契約部会の一つ、ＪＡ

京都弥栄町加工野菜部会の「冬神楽」圃

場に伺いました。

西利のもとめる漬物ダイコン

「市場規格からすると西利の『京のあ

っさり漬大根』は太め。見た目にもし

っかりとボリュームのある方がお客さ

まに満足感をもってもらえると思うの

で、そこにはこだわりたいですね」と

（株）西利の原菜仕入部門　

産地開発リ

ーダーの森岡さん。ひと回り大きく作

ることは生産者にもコツが必要で、契

約農家さんと栽培マニュアルを定めた

り、目合わせ会を行ったりすることで

規格をそろえる栽培を実現しています。

　

ボリューム感以外にこだわるのは、

歯ごたえと尻詰まりのよさ。特に重視

したいのが食味・歯ごたえです。

「皮をつけた状態で食感や風味をチェ

ックするのですが、やわらかいダイコ

ンだと歯ごたえが当社の求めるものと

は違ってしまいます」

　

肉質のかたさなどは品種特性による

ところが大きく、選定は厳選されてい

ます。

求める規格にあった

秋冬どりダイコン「冬神楽」

　ＪＡ京都弥栄町加工野菜部会では、

国営開発農地11

haを利用して8月20日

〜9月16日播種で秋冬ダイコンの契約

出荷を行っています。「冬神楽」はその

うちの９月13日、16日まき12月どりの

品種として導入されています。

　

当地では品種の切り替えに伴い、冬

どり作型で利用できる品種を探してい

ました。

「特に肉がかたい品種を求めていたの

ですが、『冬神楽』は肉質かためで根長

もとれることが導入の決め手になりま

した」と森岡さん。品種選定は西利と

部会で協議して行っています。

　

本年は寒さの影響で太りが鈍く、取

材に訪れた12月6日現在、収穫に遅れ

も出ていましたが、「冬神楽」は根長が

とれ圃場での秀品率は高めです。

「『冬神楽』は生育が遅めでやや不ぞろ

いな傾向がありますが、根長は天候に

左右されず出荷規格にあった長さがと

れています。青首部の緑色は薄めで内

部の肉色も問題ありません」

　ＪＡ京都弥栄支店生産課の田中課長

は「冬神楽」についてこう評価されてい

ます。来年の栽培については今作を見

て決定する予定です。

「製品化はこれからなので、しっかり

見極めていきたいですね」と森岡さん。

製品の出荷は12月中旬からですが、「冬

神楽」の漬物ダイコンとしての出来に

期待されている様子でした。

↑左：「冬神楽」、右：他社品種。９月13日播種。本年は寒さが厳しいが十分な根長がとれた。

↑ＪＡ京都弥栄支店　生産課田中広之課長（右）と、西利原菜仕入部門　産地開発担当の幡風美世さん。

↑（株）西利とＪＡ京都弥栄町加工野菜部会の「冬神楽」契約圃場　（撮影：2017年12月６日）。

↑（株）西利　原菜仕入部門産地開発リーダーの森岡真耶さん。

京つけものの老舗

　西利の「京のあっさり漬大根」原料に

「冬ふ

ゆ

神かぐ

楽ら

」を導入

ボリュームのある歯ごたえ抜群の漬物ダイコン〜

（編集部）

農業列島

産地ルポ

2018 タキイ最前線 秋種特集号　19