non online news 91 cdt パッケー …2018/07/25 · non online news 91(cdt...
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NON ONLINE NEWS 91(CDTパッケージ②)H30.7.24
時計描画テスト(CDT)
【B】数字の異常 数字の異常には 23種類のコードを設けました。認知症病型の中では、
DLB, FTD, PPAの3疾患で異常頻度が高いです。配列の乱れで、意識障害
を見つけるのにも役立ちます。
#12 人の顔
超高齢の女性しか描かない 人の顔を描いた9例は全員女性でした。平均 85.8歳と超高齢であり、しか
し改善してまた数字を描くようになる人もいるので全員が重症というわけで
もありません。
過去のデータからは、不思議と FTDと SDは人の顔を描きません。ですか
ら時計の概念がわからずに苦し紛れに描くわけでもなさそうです。
ヒトの顔を描く認知症はほとんどの場合、温厚で抑制系薬剤を処方してい
ない方です。「女は愛嬌」というとおり、周囲の人とうまくやってゆこうとい
う性格がこの絵を描かせるのかもしれません。
#13 外観のみ 「時計の絵を描いてください」と教示した場合、大半の方は文字盤を想起
するのですが、一部は外観をイメージしてそれを描きます。その行動が正常
かどうかという論議ですが、それは患者によって異なると思います。
外観のみ、末尾数字、針のみ、字、円の保続の5コードは患者数が少ない
ため、病型分析は統合しましたが、失語系が 5.5%と多いため、時計の概念
が喪失したためにこれらを描く患者が多いと推定します。
9375 この女性はいつも外観を描きますし、間違ってはいないため病的で
はないと判断できます。
腕時計を描く場合は、文字盤が 2.8cmより小さくなって 0.5の減点とな
る可能性は高まりますが、中に最低4個の数字(12,3,6,9)が自然に収まれ
ば、減点はそれだけにとどまります。彼女はいつも書式【C】で長短曖昧であ
るため、CDスコアはいつも 8.5です。
#17 字・漢字 数字でなく字を書いてしまうのは、言うまでもなく語義失語のせいです
が、それだけでなく時計の概念を喪失しているため、進行性失語ではじまっ
たとしても重症認知症にいきついていると考えられます。
9676 71歳男性、比較的若いですし HDS-Rスコアの下降があまりに早か
ったために、おそらく錯語の出ていた期間すら診察できず ATDを病理背景
としたSDを疑っています。数字を描いてくださいという教示に対して「ス
ージ」と書き、数字という感じにも至らない様子です。
10時 10分の針を描いてくださいという教示を聞いて「ふんのはり」と書
いたところは、分の意味すらわかっていない証拠です。
こういった失語系の治療は、ガランタミン、CDPコリン、バコパモニエラ
配合のサプリメントなどを使います。
#22 数字の過剰
1から12までの正常な数字以外に13以降も描くのを数字の過剰、1から
12までの数字はなくて、12以降だけ(例えば 24まで)を描くのを夢の
続き、と言い分けています。夢の続きになると意識障害系の患者が増えてき
ますので、両コードは意味が違うと考えています。
当院データでは、ATDがほかの病型の 2倍の3%に、数字の過剰が出現
します。ATDは総じて余計なものを描きすぎる傾向があります。DNTCが
8%と多いのですが患者数が 12例と少ないので結論は持ち越しとします。
数字過剰を示した3症例を紹介しましょう。
(3人分)
10242 標準型といえるくらい、よくある数字過剰です。文字盤の数字がい
くつあったかという記憶はありませんのでひたすら描いて、スペースがなく
なったら終了、それがたまたま15だったということです。本人は取り乱す
こともなく淡々と描きます。CTではあきらかにFTDでした。
10860 冠状断で海馬を観察するスライスは、上方の皮質は頭頂葉でなく前
頭葉だということを覚えてください。彼女はフロンタルレビーです。放射線
という典型的な意識障害系の描画の中に過剰な数字を描いています。13は重
複。数字の重複は、DLBと FTDに多いです。
2899 ADHDをベースに発症した DLBですから、数字にスピード感があ
り ADHDの多動症状が見受けられます。DLBの意識障害によって急激に数
字配列と個数が乱れましたが、また改善もしやすいはずです。
#23 数字の重複
8941など に 6例の数字重複を示します。うっかりミスを除いて、重複に
なるのには理由があります。部分偏位にともなう、逆回転に伴う、アパシー
による、意識障害による場合が挙げられます。
当院データでは、DLB, FTD, SDが、ATDの 2倍数字を重複して描きま
す。その理由は、意識障害、集中力のなさからくるものと考えます。ADHD
は、おっちょこちょいですばやく時計を描くものの、数字の重複にはなりま
せん。
数字を重複して描いた 32例(最新統計)の針の異常を見てみると、重篤
な針 13例、うっかり系の針 12例、正常針 7例となっていました。また
32例の海馬萎縮度は平均 1.3、HDS-Rスコアも平均 14.2、CDスコアも
平均 7.3と重症ではありません。年齢も 80.6歳と若かったです。
以上から、数字重複は必ずしも重篤指標ではないと言えそうです。
#24 「ゼロからの出発」 12の位置に0を描いて、そのあと平然と 1,2,3・・と描いて行く方は、当
然重症の認知症だろうと思われたのですが、そうではありませんでした、
に示すように、失語系、意識障害系がうっかりゼロを描くことは想像できな
いことはないですが、それでもこの3例の HDS-Rスコアは中等度の障害レ
ベルでした。ゼロを描くのは圧倒的にADHDに多く、心底驚きました。
いかなる心理状況で0を描くのかを推測すると、1,2,3・・は忘れないの
で、その前は何か、0だろうと勘違いするのでしょう。
ゼロを描いてしまう患者は、ADHDでは 6.9%になります。これは 3人を検
出した時点での占有率ですので、最新の 4人目を含めるとさらに頻度が上が
りました。この方々の HDS-Rスコアは恐ろしく優秀で、しかしCDでほか
にも異常を示しました。(CDスコア 7.5-8)
10834は側頭葉萎縮に左右差があり SPECTで FTDが証明された 57歳
で、書式A、Bともに平然と0を描きます。問題は彼が生来 ADHDであるこ
と。ゼロを描く確率は、FTD3.3%、ADHD5.9%と、この2疾患が多いので
すが、とても落ち着いた描き方をするので0以外にADHA らしさはないので
す。
もう一度図44の4人の数字を見直してください。非常にそわそわ落ち着
きません。これがADHDの描画なのです。ですからこの 57歳の男性のゼロ
は SD-FTDから来たものであることは否定できません。
ADHDの CDの異常性には目を見張る
10278 ADHD-DLBラインという医学的な関係があるのですが、DLB患
者の不調の時の CDは驚くほど異常です。それと同様に ADHDの中にも
HDS-Rが満点近いのに0を描き続ける、書損じ続ける患者がいて驚きます。
彼は、HDS-Rスコアがいつも 27ですが、平気で0を描いていました。コ
ンサータ、ストラテラ、コントミンの組み合わせで、ようやく完璧に好調に
なったとのこと。CDTでも0が消え、針の書き損じもなくなりました。
ついにとらえた。ADHDの「ゼロ仮説」を証明
10198 息をひそめてこの男性の CDにゼロが出現するのを待ち受けていま
した。いままでの統計でADHDは、ゼロからのスタートが多いということに
なっていました。ほかの研究者にそれを説明するのは困難が予想されまし
た。認知症でもないのに0から描くわけがないだろう、と批判されると思い
ました。
そして、ADHDどうしの結婚で妻の不手際にいらだっていた彼に今日は描
くだろうという予感がして、2回目の CDTから 1か月しかたっていないの
にもう一度 CDをお願いしたのです。
案の定落ち着かない彼が「また今日も描くのですか?」といぶかしげな顔
をして言いながら描き始めました。ついにゼロが出現しました。ADHDはゼ
ロを描きやすいということが証明できたと思います
#31 部分偏位、#32全体偏位
数字どうしの間隔がおおかた90度以上開いたものを全体偏位、それ以下を
部分偏位と呼んでいます。認知症全体の 9.3%がこの異常を示しますが、平
均 HDS-Rスコアは 13.6ということで重症指標というほどではありません
し、病型での特徴は出ていません。
全体偏位がおきる1つのパターンがあります。書式Aで過小となった方
は、書式Bでの大きな円に戸惑い、数字の均等配置ができなくなります。図
48 1436の方は、いつもこの失敗パターンを再現しています。
#32 円との乖離 円から離れて内側に数字を描くケースに対して、病的と考える基準は
1.5cmとしています。
は、許容範囲ぎりぎりの絵(正常)3例と乖離ありと判定される3例です。
こういった動揺しないバランス感覚のある症例を集積した結果、8cmの直径
の円における異常は 1.5cm以上とすることにしました。
当院データでは、円から離れて数字を描くのは、DLB,FTD,SDが ATDの
2倍の頻度です。ATDは頭頂葉が萎縮して道に迷うのですが、書式 Bでは
円というガードレールがあるために混乱はしませんし、そもそも書式 Aでは
自分でガードレールを描いたわけですから問題はないようです。
最新データで、円との乖離を描いたのは 16例で、平均 HDS-Rスコアは
12.1、CDスコア 6.6、年齢 80.0歳でした。異常コード数は平均 2.4個で
すから中等度の認知症が描くといえるでしょう。
#34 二列数字
時計の文字盤は丸い世界だったという記憶を失っているとすると、数字を
描くときに縦書きに 1列、2列と描いてしまうということが想像できます。
2899 71歳女性。生来アスペルガーであり、現在 DLB ということで 7年間、何の工
夫もなくドネペジルを継続しているだけでフェルラ酸含有食品も飲んでいない。今回 HDS-R
スコアは踏みとどまったが、数字がとんでもないことになった。この乖離が意識障害を思わ
せる。
10203 DLBの症状が揃っている 80歳女性。CDでは、全体偏位だったのが二列数
字に悪化。二列数位は FTDや SDに圧倒的に多いのですが、彼女の病理背景
が DLBだとしても、左側頭葉の萎縮(ブロッコリー)が反映して二列数字を
描かせると仮定すると、それはそれで話が合うと思えました。全体偏位は、
円の規模を無視していますし、二列数字は円の形状を無視しています。 10472 FTDの 71歳女性。生来 ADHA だったが、CT所見は FTD を示す。HDS-R スコアは悪化せずふ
みとどまっているが、CDでは書式A、Bとも二列数字である。数字が飛ぶのは統合失調症に似る。試行
中泣きだすという精神病のニュアンスを持っている。
以上、列数字は頻度は少ないですが認知症でも精神病・発達障害でも見られ
ます。同時描く異常数は列数字を含めて平均 3.0個ですから中等度以上の認
知機能低下です。FTD, DNTCで頻度が8%を超しており前頭葉症状と推定
されます。
#35 逆回転
逆回転は、患者の頭に固定して存在する異常ではなく、時々刻々変わるも
ののようです。8573 は、小さな円を描いたあと書式 Bでは逆回転に変わり
ました。ふつうは、書式 Bで全体偏位になることが予想されるのですが、珍
しいケースです。彼女の HDS-Rスコアは良好に推移しているため、能力の
ある部分、ない部分が混在して CDTも変化するのでしょう。5469もそう
ですが、さほど書式Aの円が小さくなくても、逆回転になる方もいます。
9358 83歳女性。ATD+NPHですが、シャント手術で逆回転数字は改
善しました。最近は、脳神経外科医も特発性 NPHに変性性認知症が合併し
やすいことを認識されており、タップテストのときに髄液アミロイドを調べ
る動きがあるようです。
ATDが合併していると、シャント手術成績を単純には評価できなくなりま
す。当然、変性を合併しない NPHでのシャント手術成績というものが、各
施設での能力評価ということになるでしょう。
彼女は側脳室がタラコ形状ですので FTDでなくATDと思いますが、今回
は ATDでなく NPHが逆回転を起こしたと思われます。
#36 二方向 数字が12を起点として右回りと左回りを両方描いてしまう現象で、稀な
現象です。
意識障害の影響は、硬膜下血腫より強し
3759 80歳女性。初診から 3年 3か月の間にHDS-Rが 26→21と推移
してきている。定期 CTにて左 CSHを発見し手術することになったのだが、
驚くことに CDは改善。半年前の CDは非常に重篤だったが、ガランタミン
やフェルラ酸含有食品の後発効果なのか、手の震えもなくなり、CDでは満
点に。
そもそもHDS-R21 というのは CDTで満点をとりうるレベルです。以前
の CDは意識障害による影響と考えてよいでしょう。二方向は稀ですが、
DLBと SDに2%未満で出現し、ほかの病型では絶対に出ないものです。
6568 もともと12が想起できなかった中等度認知症。CDが悪化した時、
12の位置に15が想起された。時分混同である。その続きとして、16、
17と書いてゆき「夢の続き」となってしまった。そして、その直後の書式
Bで、二方向となった。
海馬萎縮は軽いのですが、88歳という高齢脳のため勘違いが拡大されてゆ
くのでしょう。しかし、いよいよ数字が減ってゆくアパシー期よりはまだ期
待が持てます。
#37 外向き(内向き) CD試行中に紙を回してゆく方がいます。数字は外向きに向かって書かれ
てあるという記憶の誤りがあります。
珍しい異常コードが多発した超高齢者
94歳で歩行能力を保っている女性です。病型は SD-NFTと思われます
が、珍しい異常が多発しています。ヒトの顔、外向き(内向き)数字、ゼロ
からの出発です。そもそも 100歳に近い方のデータが少ないため珍しいとい
うことになります。
予備能力が低いために、書式を3つもこなすと回路がつながったり離れた
りで、書式によっては改善、別の書式では悪化ということになります。意識
障害ということではなく、高齢者脳の特性ということなのでしょう。
3書式とも改善した ATD+AS
10593 は、76歳女性。内向き数字が直っています。つまり内向きに描いた
のはおしゃれのつもりで描いたのではないと考えられます。
#38 竜巻
自分が描いた円が小さすぎるため、数字は 12個であることは覚えている
ため数字の後半が内側に回り込んでゆく描画です。
6例しか検出できなかったため疾患特異性は不明です。
#39 円外・線上数字
円の外に数字を描く患者は稀ではありません。この現象が正常範囲なのか
病的なのかの結論を出した症例があります。000は、円外数字に数字重複も
見られましたが、その後数字は円内に入っています。従って、円外に描くと
いうのはその人の癖ではなく、認知機能の低下による現象と考えてよいので
はないでしょうか。
10339 67歳女性。3年間ドネペジルを処方されてから初診。易怒があるということで
ガランタミンに変えてクロルプロマジ
ンを開始。9か月後 HDS-R スコアが満点近くに上がってきたことで、認知症以外の疾患を
考え始めた著者は、海馬に小さな石灰化がることに気づき、日中ぼーとすることがあるとい
う夫の証言を得て、また CDの数字が円内に入ってきたことから、意識障害系のてんかん
と判断し、抗てんかん薬を開始した。
10102 78歳男性。国立大学を出て 77歳まで会社役員。意識消失、幻聴、寝言
があり、海馬萎縮の強い DLBである。海馬萎縮 2.5+は悲観的な萎縮であるにかかわら
ず、彼の HDS-R スコアはなかなか落ちない。教育のなす踏みとどまり効果とみている。現
在フェルラ酸含有食品しか飲んでいないが、それはそれでいいと思われる。運転はやめる
べきである。
1994年出版の CDT専門書(Freedman)には、PDや PDDが円外数字
を描きやすいと記載されていますが、当時は DLBも知られていませんでした
し、数字がこうなるのはパーキンソニズムのせいではなく意識障害系だから
と考えます。
当院データでは、DLBは ATDの 6倍の頻度で描きますし、FTD,SDとい
った語義失語系も多く描き、その理由は文字盤概念の喪失と考えられます。
6164 94歳と超高齢で VDの合併がある AGD男性。HDS-R スコアの低下とともに数
字もどんどん外に出ていった。ちなみに目は見えている。
#41 時分混同
時計の文字盤は、ふつう時間の表示が数字で出ています。それを15,30,45などと描く場合は病的と考えられます。
スライドの左 2例は、80歳と比較的若く脳萎縮が少ないのに、このよう
な描画をする理由は意識障害系(VDの虚血、DLBの夢の世界)だからかと
推測しました。右の 2例は萎縮も強く超高齢の男性です。
最新データでは 8人描いており、男性が 5人含まれていました。年齢は
82.6歳、HDS-Rスコア 17.2、海馬萎縮 1.7というのが平均値。疾患はさ
まざまですが、決して重症指標ではなく、むしろインテリだった方(時間に
追われる仕事)が描くのではないかと思います。
左 3番目は 93歳男性 ATDですが、老化脳もあいまって予備能力が少な
いのでしょう。HDS-Rスコアは踏みとどまっていますが、ちょっとしたこと
で時分混同を起こしてしまいました。
CDTはMMSEと異なり、教育年数にあまり影響されないとはいいます
が、コウノメソッドの 3段階評価で CDTを行うと、男性2人が途中で修正
してゆく努力を見せており、やはり頭を使ってきたことから来ると感じま
す。
#42 夢の続き
数字の過剰は、1から 13以降も描くことですが、12以降だけを描く(例
えば 24まで)のを夢の続きと命名しました。文字通り DLB に多く、意識障
害系の最たるものです。
8773 DLB と思われる女性。近医からドネペジルが処方されているため、当方としては
大きな治療方針を転換することができず、悪化するのを見守ることしかできない。HDS-R も
CD も急激に低下。老人性うつ病を改善させたことで夢の続きが消失した
10255 78歳女性 ATD と老人性うつ病の合併。抗うつ薬で自殺念慮がきえたと同
時に CD も改善。こういう場合、ATDそのものよりうつ状態による仮性認知症の分が改善したというイメージになります。 動作性知能先行低下タイプの DLB2例
9944+10546
幻視のある DLB2例ですが、2人とも HDS-Rスコアは高いレベルで安定
し、一方 CDは非常に点が悪い例です。とくに女性の方は、二方向という認
知症の 0.44%にしか出ない異常に加えて、8-10がなくて右回転に夢の続き
(13 以上)が出ています。すべての数字が 14個なので過剰とも言いにくいで
す。彼女の CDはシチコリン 1000mg注射の 10分後には改善して全体偏
位だけになっています。2人ともいかにも意識障害系の描画と言えます。夢
の続きは、各病型で出現しますが DLB の 5.6%は、2.8%のATDの 2倍に
なっています。
#43 蛇足
蛇足(よけいなものを描くこと)は、ピック病、SD系といった FTLDグ
ループに多発するものです。したがって、もともとそのように描く人ではな
く病的と考えてよいでしょう。
この症例(10505)は DLBと思われますが、国家公務員というきっちり
した職務をこなしただけあって、4か所数字を分単位まで表すという蛇足が
生じました。同時に書式 Cで 10時の位置を認識できなくなっており(とり
あえず 12時)、書式 Bの蛇足とともに悪化しています。
7250の彼女は 71歳と若くATDのフロンタルバリアントと思われま
す。
#45 数字融合
に示すように、数字が融合してしまった3例は、のきなみ意識障害系である
ことがわかります。2人は DLB、1人は高血糖の時描いており、血糖が正常
化したときは正常描画になりました。
数字の数も少なく、数字概念どころか、数字自体の想起が難しくなりつつ
あるものと想像されます。
#46 数字保続
30年前の症例です。ピック病は常同行動が特徴的なのですが、CDでも同じ
数字を繰りかえすことに驚いた描画です。60代の患者だったと思います。
10580 CDTにおいて、数字が思い浮かばないよりも異常でもいいから数
字がたくさん出てきたほうが認知機能は高いと考えられます。この 83歳
ATD患者は、書式 Bにおいて数字が 4個だったのが 11個になりました。
書式 Cでは、珍しい数字の保続を見せたので紹介します。数字が増えたの
は、ドネペジルからガランタミンにスイッチしたからだと思います。(統計
表では、数字保続は VDにのみ出現としていますが、この症例は集計後に出
現したために、統計には入っていません)
おうむ返しと同じで数字を保続するだけになる 10860 幻視があり脳萎縮の強い 83歳女性。ATDか DLBか迷ってい
ます。CDTでも過剰数字(ATDに多い)、放射線(DLB に多い)が混在
し、鑑別しにくい絵となりました。このように当院データから確率論的に病
型鑑別に役立てられないか試みています。
数字の保続は非常に異常性が強いですが疾患特異性がなく、その心理は解
析が容易ではありません。 意識障害系の絵なのですが高齢者で HDS-R スコア8のレベルは、誰でも少しは意識が
危ういと考えるべきなのでしょう。しかも ATDと DLBは病理が重なります。