【no.15】「エシカル・ファッションを通した自己実現」の可能性(その1)

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Page 1: 【No.15】「エシカル・ファッションを通した自己実現」の可能性(その1)

ソーシャル・アジェンダ・ラボ( SAL )リサーチ・プロジェクト 100

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一般公開用資料

リサーチ・プロジェクト 100 事務局編

Page 2: 【No.15】「エシカル・ファッションを通した自己実現」の可能性(その1)

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ご注意

この資料内で取り上げる事例・データ・資料等に関しては、一部、インターネット、書籍をはじめとする、各種文献による情報をもとにしたものが含まれています。資料の作成には、本リサーチ・プロジェクトに参加したボランティアメンバーが最善の努力を払って取り組んでおりますが、万が一、事実関係に対して齟齬や誤認がある場合、あるいは、本資料の内容が最新の事実でない場合などがありましたら、お手数をおかけいたしますが、下記事務局までご連絡をいただければ幸いです。

この資料の内容の一部または全部を引用・転載される際には、「ソーシャル・アジェンダ・ラボ リサーチプロジェクト 100 報告書」と出典を明記いただきますよう、お願い申し上げます。なお、この資料の内容の一部または全部を引用・転載したことによって、万が一、損害や不利益等が発生した場合も、事務局では一切責任を負いかねますので、何卒ご了承願います。

ソーシャル・アジェンダ・ラボ リサーチ・プロジェクト 100 事務局 特定非営利活動法人 ETIC. 渋谷区神南 1-5-7   APPLE OHMI ビル 4 階  03-5784-2115

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ソーシャル・アジェンダ・ラボ( SAL )リサーチ・プロジェクト 100

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中間報告書

リサーチ・プロジェクト 100 事務局

2010 年 10 月 8 日版

Copyright© 2010 SAL Research Project 100. All rights reserved.

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もくじ1.  調査設計    1.1.  現状の整理    1.2.  調査設計2.  調査結果報告    2.1.  ヒアリング報告    2.2.  文献調査報告    2.3.  調査結果まとめ3.  マーケット分析    3.1.   4C 分析    3.2.   SWOT 分析4.  ステークスホルダー分析    4.1.  重要ステークホルダーの検証    4.2.  ターゲット分析5.  製造原価把握    5.1.  製造原価の暫定見積り 6.  中間報告まとめ

6.1. 今後に向けて ~ポジショニングの精緻化

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1.  調査設計

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1.1. 現状整理ヒアリング内容

( 第 1 回ヒアリング実施結果 )現行事業プランの課題 要検討事項 /TODO

ターゲット設定

・モードに関心がある男女・年齢は問わない

① ターゲットとなる消費者が具体的に絞れていない

起業家が目指すブランドイメージに沿ったターゲットの絞込みを行う

社会課題の理解と共有

エチオピアは、主輸出商品として羊皮を輸出しているが、国際価格競争に晒され、買い叩かれており、安定的な外貨獲得手段が無いため貧困状態から抜け出せない

②当該事業プランが、貧困削減に寄与できるのか明確でない

当該事業が貧困削減に寄与できる仕組みを検討する必要がある

事業の訴求方法

モード /ハイブランド = 先進国というイメージを覆し、エチオピア発のハイファッションを立ち上げることにより、アフリカのものづくりに携わる人の意識改革し、安定的な外貨獲得機会を提供する

③当該事業プランが安定的な外貨獲得機会を提供できるのか明確でない④アフリカのものづくりに携わる人々の意識改革方法の詳細が検討されていない

・安定的な外貨獲得機会を提供できる仕組み、方法を検討する必要がある・具体的な意識改革方法を検討する必要がある

商品・サービス

シープレザーを使った商品を日本市場で販売する女性向けには、アパレル製品男性向けには、小物等

⑤日本市場で、エチオピアにて製造した商品で収益が上げられるかが不明⑥エチオピアで安定した製造が可能か不明

・エチオピアでの製造原価の見積・エチオピアで、安定的に、高品質な製品が製造可能性の検討

提供価値

・エチオピアへの安定的な外貨獲得手段の提供による貧困削減・先進国に住む人への、アフリカ= 貧困、後進国等悪イメージの改革

⑦先進国に住む人の意識改革へ寄与できるか不明

・先進国に住む人へ、どのようにアプローチし、意識改革を促進するかを検討する必要がある

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中間報告事項①

中間報告事項②

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1.2. 調査設計

ヒアリング

対象者 収集できる情報 対応する事業プラン課題

(1) 製品製造者( 在エチオピア )

・現在エチオピアで生産している製品の品質・エチオピアでの生産原価

⑤日本市場で、エチオピアにて製造した商品で収益が上げられるかが不明⑥エチオピアで安定した製造が可能か不明

(2) 業界精通者 ・エチオピアの皮革産業・日本の製品購入者像

① ターゲットとなる消費者が具体的に絞れていない⑥エチオピアで安定した製造が可能か不明

(3)流通業者・セレクトショップで高級商材を購入する層・商材の仕入れ方法・マージン

① ターゲットとなる消費者が具体的に絞れていない⑤日本市場で、エチオピアにて製造した商品で収益が上げられるかが不明

(4)想定消費者( エシカルファッション購入者 )

・主要な購入チャネル・エシカルに対する印象・エシカルは購入銘柄決定に寄与するのか

① ターゲットとなる消費者が具体的に絞れていない⑦先進国に住む人の意識改革へ寄与できるか不明

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文献調査

文献 収集できる情報 対応する事業プラン課題

統計データ

・市場規模とトレンド・競合の動向・チャネルの状況・消費者の購買行動

① ターゲットとなる消費者が具体的に絞れていない⑤日本市場で、エチオピアにて製造した商品で収益が上げられるかが不明

web 検索

・ファッション性と社会メッセージを兼ねそろえた商品はどのようなものか・その際にフックとなるファクトは何か

②当該事業プランが、貧困削減に寄与できるのか明確でない

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2.  調査結果報告

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2.1. ヒアリング報告 1/2

対象者・プロフィール

① 製品製造者(在エチオピア )

業界精通者

社会課題における立場・要望

・当該事業に製品製造、指導者として参画予定 ・皮革デザイナーとして参画予定。

社会課題に対する取組みの現状

・エチオピアの貧困削減等の社会課題への取り組みは行っていないが、現在、日本人政府関係者向けの革製品をオーダーメードで生産している・安定的に受注しており、高品質な革製品の製造が可能

・エチオピア皮革製品製造技術の指導経験あり。

事業領域・商品・サービスの認知

・エチオピア発の西欧市場向けハイブランドの革製品に関する知見あり

・ 7年前まで靴業界で企画の仕事に従事。その後、 JOCV→JICA技術顧問員という経歴を持っており、製品の企画・製造段階に対する知識や理解は深い。

対象事業の印象

・エチオピアにて高品質な製品を製造するにあたり、安定した品質を保つため、工房員への技術指導が課題であると認識している・高品質な製品を製造するための、高品質かつ多岐に渡る原材料確保が困難であると認識している

・皮革製品は元来エシカルなので、今更訴求することでもない。・エチオピアの革製品を卸しているところは既にあるが、検品の技術や在庫の問題があり、高品質だとは言い難い。・皮革製品購入者は皮革製品が欲しくて購入するケースが多いが、最近の合皮技術の質は侮れず、潜在的には競合。

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2.1. ヒアリング報告 2/2

顧客層(3)流通業者 (4)想定消費者

社会課題における立場・要望

・最終製品の販売、顧客との接点 ・最終製品の購入者

社会課題に対する取組みの現状

・現状エシカル製品の販売実績はないが、以前に無名ブランドを展示会で発掘し、成功を収めた経験があり、今後も同じような状況に置かれたブランドの発掘や支援を行い、成功体験を共有したいと考えている。・若年層向けに仕入れた商品は中高年にも受け入れられるので、基本はデザイン性の高い商品を仕入れている。

・ご本人がそもそもエシカルやフェアトレードに強い関心をいだいていらっしゃるようで、ロンドンでのエシカル製品の事例やハイブランドの向きあい方にも精通。・ただし、エシカルだからと言ってアパレル関連製品を購入することはない。

事業領域・商品・サービスの認知

・かつては、アパレル製造メーカーでの勤務経験があり、川上工程にまで深い知見を持っている。

・ファッション関与度が高く、各セレクトショップに対しても具体的なイメージをお持ちで、目的に合わせて購入経路をチョイスしている。

対象事業の印象

・長年アパレル業界に携わっている経験からデザインと素材のクオリティに対しては厳しい見解を持ており、それなしでは売れないと断言。・コンセプト構築に先んじて製造現場の技術力向上を提言された。

・エシカルであるからと言って製品は購入しない。あくまでもデザイン性や素材の質、コストを鑑みて購入製品は決定する。・自分が購入した製品が結果的にエシカルであれば良いとは思う。

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2.2. 文献調査報告 - 高級衣料品・服飾雑貨市場規模リーマンショック後の 2009 年、 2010 年はピーク時である 1996 年の半分の水準にまで縮小。

11Copyright© 2010 SAL Research Project 100. All rights reserved.

ブランドブーム ブランドブーム ブランド直営旋盤店アウトレット拡大

(百万円)

<バブル景気> <平成不況> <金融不安> < IT バブル・投資ブーム>< 低金利時代>

出典:矢野経済研究所「インポートブランドマーケット」

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2.2. 文献調査報告 -高級衣料品・服飾雑貨市場規模市場縮小の要因は大きく 5 つ。ブランドの大衆化路線から始まった「ブランドのマス消費」の時代は終焉。

12Copyright© 2010 SAL Research Project 100. All rights reserved.

① リーマンショックによってラグジュアリーブランド消費の主役であったアッパーミドル層の所得の目減り

② 「団塊世代」の消費マーケットからの撤退( 2007 年問題)

③ 主力チャネルである「百貨店」の集客減

④ 「ユーロ安」が招いた 5~ 10% の単価の下げ調整

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2.2. 文献調査報告 -高級衣料品・服飾雑貨市場規模ラグジュアリーブランド消費の主役であったミドル層の所得の目減りや団塊世代の撤退は、市場縮小の最大要因になっている。

13Copyright© 2010 SAL Research Project 100. All rights reserved.

(千人)

ロウアーミドル( 300 ~ 600 万円)

ロウアー( 300 万円以下)

アッパーミドル( 600 ~ 1,000 万円)

アッパー( 1,000 万円超)

アッパー層とアッパーミドル層は 2007 年から2009 年にかけて約 10% の減少が見込まれる。

日本のマジョリティ「団塊世代」は市場から撤退。新たな労働市場への参入者だけでは補いきれない。

人口に占める団塊世代のインパクト

出典:矢野経済研究所「インポートブランドマーケット」

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2.2. 文献調査報告 -高級衣料品・服飾雑貨市場規模百貨店の不振や為替レートの急激な変動もインポートブランドの売り上げに大きく影響を与えていると考えられる。

14Copyright© 2010 SAL Research Project 100. All rights reserved.

(百万円)

売り上げ回復のために集客の「核」をインポートブランドからファストファッションブランドに

変更する百貨店も散見される。

内外格差是正のための単価切り下げは結果としてグロスの販売金額減少をもた

らす。

出典:矢野経済研究所「インポートブランドマーケット」 出典:日本経済新聞社

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2.2. 文献調査報告 - 競合の動向市場全体はカジュアル化に向かっているものの、 90 年代のブーム・拡大時とは異なり、それぞれが異なる方向を向き、八ヶ岳的にベクトルを示している。

15Copyright© 2010 SAL Research Project 100. All rights reserved.

非日常ステージ

日常ステージ

バッグ・宝飾系アパレル系

トラディショナル

アクセシブル

アルティメット

プレミアムカジュアル

トレンドセッター

アルティメット型  エルメス、シャネルに代表される。  真の富裕層のみをターゲットにセットし、  マーケットに決して迎合しない。  リーマンショック以前からスリム化体制を構築。

トラディショナル型  ルイヴィトン、グッチに代表される。   90 年代ブランドブームの主役。  「革小物」をエントリーアイテムとした大衆化路線を進み  ミドル層の背伸び消費を後押してきたが、  彼らの所得減少の煽りを受け、苦戦中。

アクセシブル型  コーチ、ミュウミュウに代表される。  グローバル生産体制ものと低コスト生産が心情。  近年、価格コンシャスなミドル層を取り込み、  マスマーケットの開拓に成功。  プレミアムカジュアル型  ディーゼル、モンクレールに代表される。  ラグジュアリーインポートマーケットにおいても  市場全体のカジュアル化が進んでいく中で、  いち早くこの領域を開拓。  団塊ジュニアや富裕層の子息の獲得に成功している。  

トレンドセッター型  クロエ、バレンシアガに代表される。  アパレルがブランドの核であり、トレンドを牽引。  若年層からの指示も獲得しているが、  ファストファッションの台頭により苦戦。  セカンドラインにより若年層の獲得を目指す。  

出典:矢野経済研究所「インポートブランドマーケット」

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2.2. 文献調査報告 - 競合事例 社会性 × ファッション性ファッション性を担保しつつも社会に対してメッセージを発信するケースは2006 年以降活発化。主要な製品ラインとは別に専用ラインを設けている様子。

16Copyright© 2010 SAL Research Project 100. All rights reserved.

2007年7月14日、銀座の直営店には開店時間に4000~5000人の購入希望者が殺到。セレブが持ち歩いたことで、世界的に人気が沸騰し、ロンドンの先行販売では1時間で2万個が完売。海外のネットオークションでは、定価の10倍以上の値がつく。日本での価格は2100円。

カルティエ「 LOVE チャリティキャンペーン」

アニヤハインドマーチ「エコバッグ」

6 月 8 日( LOVEDAY)の「 LOVE」コレクションの売上の 10%と「 LOVE」チャリティブレスレットの売上からの 10%、活動に協力するアンバサダーの6 人(坂本龍一、後藤久美子、中田英寿など)がそれぞれ選んだ各団体へ寄付される。

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AS-006AS-0062.2. 文献調査報告 - 競合事例 ラグジュアリー・リセット従来のコンセプトとは一線を画す「ナチュラルリュクス」をテーマに複数のハイブランドが製品を発売。こちらもエクステンション的扱い。

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「ナチュラルリュクス」

   ~ グローバルで可視化された社会において失われていく自然への憧憬

  ・上質な天然素材(オーストリッチ、カシミア、麻):エルメス、ボッテガ・ヴェネタ等

  ・オーダーバッグ展開:グッチ・フェンディ・プラダ等

  ・ファッションショー会場で「雪」を降らす:シャネル

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2.2. 文献調査報告 - チャネルの状況絶対的な売上の数値だけでなく、売上のシェアにおいても百貨店は苦戦。チャネル自体の生き残りの可否は、圧倒的な価格優位性を打ち出すか、よりエモーショナルな付加価値を提供できるか否かにかかっている。

18Copyright© 2010 SAL Research Project 100. All rights reserved.

前述の通り、百貨店は 2006 年から 2009 年にかけて大幅にシェアを縮小。

その分、コストに利のあるアウトレットが市場の 1割程度までシェアを拡大。

コアファンの比較的多い直営店やセレクトショップは辛うじてシェアを維持。

出典:矢野経済研究所「インポートブランドマーケット」

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ハイブランドのチャネル施策

•公式Web サイト(日本語)

•オンライン販売

•モバイルサイト・キャンペーン ( Luis Vuitton ユーザー登録者への特典コンテンツ提

供など)

•セレクトショップ・複合ビル出店  (Chanel AOYAMA の青山 Ao 出店など)

•カフェ・レストラン併設 ( GUCCI CAFE銀座など)

•ホテル事業展開 (BVLGARI Hotels & Resorts など)

2.2. 文献調査報告 - 競合事例 チャネル施策コアファン獲得やブランドの世界観浸透のために既存の直営旋盤店以外にも消費者との接点確保に励む。

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出典:WEB サイト

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2.2. 文献調査報告 - 消費者の購買意識感性に依存する商品を購入する際にも、そのデザイン性の高さだけでなく、価格の妥当性は重視される。価格コンシャスな現代の消費者像が伺える。

20Copyright© 2010 SAL Research Project 100. All rights reserved.

素材・原料を抜き、デザインの次には

価格の妥当性が重視される。

ハイブランドからファストファッション、グローバル生産体制を敷くブランドまでラン

クイン。消費性向が多様化している様子が伺える。

出典: JDS 「総合嗜好性調査」 出典: JDS 「総合嗜好性調査」

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2.3. 調査結果まとめ

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ヒアリング総括 文献調査総括

現行事業プランの課題に対する示唆

・エチオピアではオーダーメイドが主流だが、その中で (1) 製品製造者は安定的に受注することができており、その技術力はある程度担保されている。・エシカル訴求による売上拡大は困難。ただし、コアファン獲得のファクトとしては依然重要。・そもそも感性に訴えかける商材であるためデザインや素材の質感が最も重要。・若年層向けの製品でも中高年に受け入れられる。その逆は考えられない。・販売チャネルにもそれぞれコンセプトがあり、ELP のコンセプトと方向性が近いチャネルを選択しなければ将来的にブランド構築に支障をきたす可能性がある。・コンセプトの近いショップのバイヤーに展示会等で現物を見せてアピールしていく必要がある。

・市場規模はリーマンショックの影響を顕著に受け、縮小。・一方、プレーヤーの数は既に飽和状態で、各ブランドがそれぞれの方向性を模索している。・全般的にはカジュアルな路線に向かっている傾向がある。・各ブランドとも主要な製品ラインとは異なる社会性やナチュラルリュクスをテーマにしたラインを展開。・従来までの主力チャネルであった百貨店の地位は低下。一方で、アウトレットが勢力拡大。・コアファンの多い直営店や専門店はプレゼンスを維持。・各ブランドとも既存の販売チャネル以外の消費者接点の獲得に努めている。・消費者はデザイン性を重視しつつも価格関与度も高くハイブランドやファストファッション双方とも嗜好。

・エシカルやフェアトレードのみで勝負することは商材的に厳しい。・カジュアル方向に流れる市場でのターゲットを同定し、競合との差別化ポイントを明確化する必要がある。・デザイン性の高さを担保すると同時に適正価格を見極め、価格設定を行う必要がある。・ブランドの価値を増幅させうるチャネルを選別し、販売してもらう必要がある。

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3.  マーケット分析

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3.1. マーケット分析 - 4C 分析

顧客( Customer )

・ファッションで自己実現をしたい・皆が持っているものではなく、特別な価値があるものが欲しい。しかし、いき過ぎたデザインは嫌・デザインに拘り、少々高くても買う・価格に関してはシビア(価格同等もしくはそれ以上の価値が欲しい)

競合( Competitor )

・限定された販路(セレクトショップ、自社ショップ(高級ショップ))・独創的なデザイン・保障されている品質・エンドユーザーへの認知度とブランド位置の格付けの明確さ・手の届く価格帯(外資系ブランドと比較して)

自社( Company )

・エチオピアレザーのクオリティーの良さ・エチオピアと日本のコラボレーションによる、デザインの独創性・少量生産による希少価値の高さの煽り・生産ラインが柔軟が故のデザイン変更の容易さ(流行に柔軟に対応できる)

協力者( Cooperator )

・全国展開するセレクトショップの協力による販売網の確保・エコ、エシカルリテラシーが高い人からの情報発信

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ブランドが  提供する価値

20 ~ 30代のファッションにお金をかける女性をターゲットにし、「カジュアル&リュクス」を提供する

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3.2. マーケット分析 - SWO T 分析

強み 弱み

機会

・エチオピア × 日本という類を見ない(物珍しい)ブランド・ エコ、エシカル商品への意識の高まり・価格コンシャスなエンドユーザーへの訴求・おしゃれ!でもエシカルというギミック的な演出ができる。

・ブランド不認知が故のイメージ作りが可能・他のブランドとの融和

脅威

・良質な革であるエチオピアレザーのマジョリティー化(それまでにやる必要あり)・エシカルブランドの台頭

・商品の供給不安定・商品デザイン・販路の確保・ロス率等の物流不安定

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市場セグメント・競合分析に基づき、具体的な参入市場を想定し、事業プランが持つ強み、弱み、外部環境に対する競争要因を整理する。

想定参入市場 セレクトショップでの販売を行い、ブランド価値を高めていく、また商品は価格以上の価値を提供できる市場に参入する。

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4.  ステークスホルダー分析

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4.1. 重要ステークホルダーの検証

ステークホルダー

社会課題における立場・見解

規模(人数その他)

ニーズ 対象事業との関わり

製品製造者(在エチオピア)

ELP メインデザイナー 1 人

・事業の立ち上げによる経済的なもの・エチオピア発のブランドを立ち上げることで、デザイナーとしての地位確立

・ ELP のメインデザイナー・彼女が中核となる事業・クオリティーコントロール、デザイン含め、 ELP の要

製品製造者(在エチオピア)と働くメンバー

ELP商品製作者 複数名 ・事業の立ち上げによる経済的なもの

・(ハンドメイドブランドということであれば)彼らの技術力 UP が、 ELP のクオリティに直接作用する

ELP メンバー ELP メンバー 3人・ ELP の立ち上げにおいて、日本での事業創立に大きく関わってくる

セレクトショップ

・エンドユーザーへ商品を提供する情報発信者・重要販売チャネル

企業によって異なるが、 100店舗前後まで拡大可能

・各セレクトショップにしかないというブランドをそろえること・クオリティーは非常に重要・自社ブランドにイメージが合っているか

・商品の安定供給が出来るようになれば、販売チャネルとしたい。・ブランディング、商品販売という意味では非常に重要。

日本の技術者 日本伝統工芸の職人 各見地から、複数人

・日本の伝統工芸の認知、継承・日本以外の国での技術伝承による新たな需要の掘り起こし

・日本の伝統工芸とのコラボレーションを検討するのであれば、日本の技術をエチオピアに持っていってもらい、それを ELP に生かす

26

重要ステークホルダーと対象事業との関連性を分析する。

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4.2. ターゲット分析  参考資料  ELP提供資料

27

⇒ELP のターゲットイメージから仮説を立てると、次ページのエンドユーザーがターゲットになると想定できる

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4.2. ターゲット分析 エンドユーザー(レザー購入想定者)

28

・ 20 ~ 30代女性・年収 500 万円前後・ファッションで自己実現をしたい・自分はおしゃれだと思われたい・革に関しては少々値が張っても自分の好きなブランドのものが欲しい・人と同じものは嫌だ・信頼できるブランドにはお金を使う (ファストファッションと、一点豪華を使い分けている)

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5.  製造原価把握

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5.1. 製造原価の暫定見積り

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6.  中間報告まとめ

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6. 中間報告まとめ

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事業プランの検証結果

ターゲット設定:ファッションで自己実現をしたい        皆が持っているものではなく、特別な価値があるものが欲しい。            しかし、いき過ぎたデザインは嫌。デザインに拘り、少々高くても買う。

社会課題の構造:エチオピアは、主輸出商品として羊皮を輸出しているが、        付加価値が低く、国際価格変動の影響を受けやすい原皮に依存しており        貧困状態から抜け出せない

事業の訴求方法:中長期的には自信のブランド力で独自にポジションを獲得すべきだが        ローンチ直後は、コンセプトの近いセレクトショップにブランドの                        代弁者になってもらう。        商品・サービス:エチオピア産の皮革を使用し、エチオピアで最終製品に仕上げた

    レザージャケット、バッグ、皮小物

提供価値:「カジュアル&リュクス」

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Page 33: 【No.15】「エシカル・ファッションを通した自己実現」の可能性(その1)

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6.1. 今後に向けて ~ポジショニングの精緻化

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下記 3 つの内容を精緻化することで、ブランドのポジショニングを明確する。

① 価格設定→セレクトショップユーザに対する

     PSM 分析を行い適正価格を導出

② 日本の伝統工芸との協業方法の精緻化→日本およびエチオピア社会

  が享受できる価値の明確化

③ ポジショニングの精緻化→戦略ターゲットの設定→情緒+機能ベネフィットの定義→競合との差別化ポイントの明確化→主張を裏付ける根拠の明確化