national 2012 maritime research institute6)海洋資源・再生可能エネルギー開発技術...
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National Maritime Research Institute
National Maritime Research Institute
独立行政法人独立行政法人
2012
2 National Maritime Research Institute
海上技術安全研究所は、海事・海洋分野において、①安全安心な社会の実現へ貢献②環境と調和した社会の実現に貢献③海事産業の競争力強化に貢献、そして④未来を拓く技術の創造に貢献――を基本理念としております。そのもとで革新的新技術創出の拠点となること、安全・環境技術の拠点となること、そして戦略政策提言の拠点となることを経営ビジョンとして宣言しております。
経営ビジョンを具現化するためには比類なきレベルの中核技術、すなわちコア技術が必要です。次の六つが海上技術安全研究所のコア技術です。 1)環境に優しい新コンセプト船開発技術 2)環境影響評価・負荷低減技術 3)海難事故解析・運航安全性向上技術 4)経済合理性を考慮した構造安全性向上技術 5)広範かつ複雑な条件に対応したリスク評価技術 6)海洋資源・再生可能エネルギー開発技術 海上技術安全研究所は、海事・海洋分野におけるわが国唯一の公的な研究機関です。私たち所員はそのことを誇りに思い、六つのコア技術をもとに、社会・行政・産業から与えられる様々な問題・課題に対して高度な技術ソリューションを提供することによって託されているミッションを達成していく所存です。
2012 年度は、第 3期中期計画期間の第2年度目に当たります。昨年度から取り組んでいる重点研究は引き続き実施していきますが、いくつかの問題・課題については社会情勢の変化によって特段の力を集中的に傾注する必要があります。関連するコア技術を一層高めるために、以下の特命的な組織を設けております。 a) EEDI プロジェクトチーム 2013 年以降に建造される船舶に新たなCO2 規制が課せ
られます。このプロジェクトチームは「EEDI(Energy Effi ciency Design Index)認証」を得るための技術的支援を行い、基本理念②③を実現します。
b) 海難事故解析センター 海上技術安全研究所では、操船リスクシミュレータによる解析とともに、実海域再現水槽での実験に基づく力学的解析を併用した事故解析を行っております。運航・物流系における研究開発とも連携し、なお一層合理的な事故解析を行っていきます。安全安心は国民的課題です。基本理念①を実現します。
c) 海洋再生エネルギー研究開発支援プロジェクトチーム 東日本大震災を契機に、海洋再生可能エネルギーに関する研究開発の重要性が改めて見直されました。海洋再生エネルギー研究開発支援プロジェクトチームは、洋上再生エネルギー開発系を中心とした関連研究開発を特段に加速推進するための支援を行います。
d) 研究コーディネーターおよび産官学連携主管 理事長直轄の研究のコーディネーション機能および外部連携機能を強化するための専門職です。内外の機関・研究者とのプロジェクト研究の円滑かつ効果的な推進を図り、経営ビジョンの実現に努めます。
海上技術安全研究所の活動に関する最新情報はホームページで紹介しております。ホームページは今後一層充実させて参りますのでご覧下さい。また、海技研ニュースとして、季刊誌『船と海のサイエンス』を発行しております。ご希望の方に頒布しておりますのでご利用ください。
独立行政法人 海上技術安全研究所
理事長 茂里 一紘
ご 挨 拶
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海上技術安全研究所のポリシー
海技研の基本理念と所員が共有すべき行動規範及びコア技術を以下のように定めます。
■コア技術 コア技術とは、海技研の経営ビジョン(次頁参照)を実現するために保有すべき中核的技術です。
①環境に優しい新コンセプト船開発技術 実海域燃費性能評価、総合的排ガス評価に基づき、船型、機関、運航等に関する船舶のベストミックス評価技術を確立し、環境に優しい新コンセプトの船舶を提案
②環境影響評価・負荷低減技術 社会経済性を考慮した「合理的な政策・規制提案」、「新事業開始時や海洋汚染型事故発生時における環境影響把握・対処方針決定」のための海洋環境影響評価技術及び環境負荷低減技術を確立
③海難事故解析・運航安全性向上技術 船舶・海洋構造物の事故を再現・評価するための「海難再現手法」と、海難に起因する乗組員の状況を把握・改善するための「ヒューマンファクタ評価手法」に基づく、海難解析技術と効果検証を踏まえた安全性向上技術を確立
④経済合理性を考慮した構造安全性向上技術 船舶・海洋構造物の構造安全性と経済性を両立させる合理的な、構造安全性評価技術及び造船基盤技術を確立
⑤広範かつ複雑な条件に対応したリスク評価技術 人命、船舶、環境等への脅威となるリスクに対し、広範かつ複雑な前提条件に対応しうる系統的リスク評価技術を確立し、リスク低減のための対策を提案
⑥海洋資源・再生可能エネルギー開発技術 模型試験、数値シミュレーション、実海域計測の蓄積技術を高度化し、海洋資源・再生可能エネルギー開発プロジェクトの実施を支援するための海洋構造物の安全性評価技術を確立
■行動規範◆お客様の立場で考えます。 私たちは、海事・海洋に関する行政や産業、ひいては国民の皆様というお客様すべてにご満足いただける技術的ソリューションを提供するため、常にお客様の視点からのニーズの把握・対応に努めます。
◆社会動向を把握し、機動的に課題解決に取り組みます。 私たちは、日々変化する社会において次々に湧き起こる課題を迅速かつ的確に把握・分析し、直ちに課題解決のための行動に移していきます。
◆自らを変革し新たな可能性に挑戦します。 私たちは、個人の専門分野や既存の技術にとらわれることなく、新たな分野の開拓や前人未到の技術課題の解決に対して、常に前向きの意志をもって積極果敢に挑戦します。
◆健全な成果意識を持ちます。 私たちは、課題の解決で満足するのではなく、他の機関では実現できない高レベルな成果をお客様から高いご評価をいただける形で提供できるよう、常に心掛けます。
◆目標意識を明確にし、創造力を発揮します。 私たちは、この行動規範に基づき行動を起こす際には、各々が達成目標を常に念頭に置き、新たな創造力を発揮して目標の実現に向けて邁進します。
■基本理念安全安心な社会の実現へ貢献します
環境と調和した社会の実現に貢献します
海事産業の競争力強化に貢献します
未来を拓く技術の創造に貢献します
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行政セクター 産業セクター
Ⅰ 革新的新技術創出の拠点 イノベーション開発拠点Ⅱ 安全・環境技術の拠点 安全・環境のスペシャリストⅢ 海事戦略政策提言の拠点 政策支援・提言機能の充実
海事産業の競争力強化
研究連携人材育成
地球環境の保全
●豊富な専門的知見
●大型研究施設
●質の高い技術力
海技研のポテンシャル
達成に向けて
海技研の経営ビジョン
行政セクター、産業セクター、大学等と連携し、以下のアウトカムを目指します
技術の創造
行政・社会からの要請
重点研究分野に設定して迅速かつ的確に対応
④海上輸送の高度化
③海洋の開発②海洋環境の保 全
①海上輸送の安全の確保
大学等
安全安心な社会の実現
第3期中期目標・計画における海技研の方向性
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第3期中期計画の主な重点研究課題
第3期中期計画において基本理念を実現するため、4つの重点研究分野を設定しています。
国際条約等において技術的合理性に欠ける安全規制が導入されることを避け、真に船舶の安全性向上に資する安全規制体系の構築が求められています。また、海難事故は依然として後を絶たず、海難事故原因を迅速に解明するとともに、適切な事故再発防止対策の立案とその費用便益効果・社会合理性の検証が求められています。 海技研は、以下の研究により、海難事故の大幅削減と先進的な安全基準の構築への貢献を目指します。
● 波浪荷重から構造強度までを一貫して評価・解析可能となる先進的なプログラムの開発を行っています。● 舶用ハイブリッドシステム、舶用電気推進システム、舶用リチウム電池等の新たな技術に対する安全性評価手法の開発を行っています。
● リスクベース安全性評価手法等を適用した設計支援ツールの開発、LNG燃料船等の新たなシステムに対する安全に係るガイドラインの作成を行っています。● 経年船体構造の検査・診断技術の開発等を行っています。
NMRI-DESIGNによる全船荷重構造一貫解析
設計支援ツール開発例(避難シミュレーション)
① 海上輸送の安全の確保
先進的な構造解析技術等を活用した安全性評価手法、革新的動力システム等の新技術に対応した安全性評価手法の開発に関する研究
リスクベース安全性評価手法等を用いた合理的な安全規制体系化に関する研究
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2011 年度には、運輸安全委員会等から受託を受け、多数の事故解析を行っています。 2012 年度も引き続き、事故解析に協力するとともに、下記の研究開発を通じ、事故再現・原因解析から、適切な事故再発防止対策の立案まで一貫して行える体制・能力の高度化に取り組みます。
① 海上輸送の安全の確保
海難事故等発生時の状況を高精度で再現し、解析する技術の高度化、適切な対策の立案のための研究
● 実海域再現水槽と操船リスクシミュレータをリンクさせ、海難事故等の再現性向上・原因解析の迅速化等を図るシミュレーション技術の開発を行っています。● 海難事故原因、規制の社会費用便益等の観点を踏まえた運航規制等の安全性評価を可能とする海上交通流シミュレータの開発を行っています。
実海域再現水槽におけるフェリー大傾斜事故の再現
操船リスクシミュレータ上での自動避航の実現
第3期中期計画の主な重点研究課題
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技術的背景に裏付けされた合理的な環境規制体系を構築するとともに、国際的な規制と我が国海事産業の国際競争力強化の共存を目指す「国際ルール形成への戦略的関与」が重要となっています。また、戦略的に、新たな環境規制の導入や規制強化を実施するためには、対応する環境技術開発(グリーン・イノベーション)が必要です。 海技研は、以下の研究により、合理的な環境規制の実現への貢献を目指すとともに、環境インパクトの大幅な低減のための基盤的な技術開発を行います。
② 海洋環境の保全
環境インパクトの大幅な低減と社会合理性を兼ね備えた環境規制の実現に資する環境評価技術の高度化、環境規制体系の構築のための研究
NOX、SOX、PM等の大気汚染物質の削減、船舶の運航に起因する生態系影響の防止に資する基盤的技術、性能評価手法の開発に関する研究
● 大気汚染物質放出規制海域(ECA)設定に繋がる大気汚染物質低減効果の評価手法の開発を行っています。● IMO等での船舶に対する新たな環境規制導入の検討に利用可能な社会費用便益分析等の合理的・定量的評価手法の開発を行っています。
● 舶用 SCR システム等の IMO における NOX3 次規制に必要な実用化技術の確立や将来的なSOX、PM規制に対応した計測・評価技術等の開発を行っています。● 船体付着生物の船体付着・侵入リスクの評価手法の開発を行っています。
舶用SCRシステム
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第3期中期計画の主な重点研究課題
2011 年 7 月、国際海事機関(IMO)において、新造船のエネルギー効率設計指標(EEDI)等の義務化についての条約改正案が採択され、2012 年 3月には条約実施に不可欠なEEDI 計算ガイドライン等が採択されました。海技研は、IMOの議論に必要な各種の技術的根拠を提案し、これら条約及びガイドラインの策定に貢献しました。 2012 年度においても、EEDI での実海域での船速低下影響係数(fw)計算ガイドラインの作成等、引き続き IMOの議論に貢献するとともに、下記の研究開発を通じ、EEDI 値を改善するための船型改良や省エネデバイスの開発を行います。
② 海洋環境の保全
船舶のグリーン・イノベーションの実現に資する革新的な環境負荷低減技術、実海域における運航性能評価手法の開発に関する研究
● 実海域における運航性能評価手法の開発を行っています。 ・ 省エネ等の運航性能評価を行うためのシミュ
レータ (VESTA) ・ 省エネデバイス等の実海域性能評価を可能と
するCFDプログラム 等● CO2 排出削減技術に係る基盤技術の開発を行っています。
・ 2軸リアクションポッドシステム ・ 船尾流場制御技術を利用した実海域性能の高
い省エネデバイス 等
EEDI(Energy Effi ciency Design Index):新造船の効率を、設計・建造段階において「一定条件下で、1トンの貨物を1マイル運ぶのに排出すると見積もられるCO2 グラム数」としてインデックス化し、船舶の燃費性能を差別化するもの。
境界層吸い込みによる省エネデバイスの一例プロペラダクト一体型省エネデバイスの一例
VESTAメニュー画面
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政府の新成長戦略等では、海洋開発は、我が国の成長を支える基盤であり、資源・エネルギー、食料需給逼迫等、今後長期にわたり継続する構造問題解決に重要な役割をはたすものとして期待されています。 海技研は、内外の関係機関の連携のもと、以下のような研究を実施し、海洋立国を目指したナショナルプロジェクト・政策への技術的な貢献を目指します。
③ 海洋の開発
浮体技術を利用した海洋資源生産システムの基盤技術の開発、安全性評価手法の開発に関する研究
海洋の利用・開発に起因する環境影響の評価手法の開発等環境負荷の軽減に関する研究
● 洋上天然ガス生産システムの洋上出荷オペレーションシミュレータの開発や総合安全性評価手法の開発を行っています。● 海底熱水鉱床開発用サブシー(採鉱・揚鉱)システムの技術開発やその運用に係る安全性評価技術の開発を行っています。
● 海底鉱物資源開発における採掘等に伴う環境負荷推定手法の開発や海洋再生可能エネルギー生産システム開発に伴う環境負荷推定手法の開発を行っています。
海底鉱物資源開発における採掘機周辺の環境影響概念図
(株)三井三池製作所と共同開発した採掘要素技術試験機((独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構が実施している海底熱水鉱床の開発に向けた事業の一環として実施)
水中掘削試験の様子
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第3期中期計画の主な重点研究課題
現在、長崎県五島沖や福島県沖の海域で浮体式洋上風力発電の実証のためのナショナルプロジェクトが進行しています。海技研では、2012 年度に、浮体式洋上風力発電システムの風車-基盤浮体連成挙動一体解析プログラムを実用化技術まで高めるとともに、浮体式洋上風力発電システムの設計時、製造時、稼働時の安全評価ガイドライン案を作成する等、海洋再生可能エネルギーの実用化を目指したナショナルプロジェクト等への技術的貢献を行います。
③ 海洋の開発
浮体式洋上風力発電等の海洋再生可能エネルギー生産システムに係る基盤技術の開発、安全性評価手法の開発に関する研究
● 浮体式洋上風力発電システムの動揺制御技術の開発や安全性評価ガイドライン等の作成を行っています。● 複合再生可能エネルギー発電システムの安全性・性能評価手法の開発を行っています。
動揺環境下の風洞試験
マルチロータ性能試験
性能向上のための集流装置、マルチロータの例
スパー浮体+トート係留の例
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近年の大幅な為替変動による事業環境の悪化、少子高齢化や地域人口の過密化・過疎化の進展等の社会環境の変化が進む中、我が国経済の持続的発展を図るため、その基盤を支えている海上物流の効率化、海上輸送システムの総合的な改善、海事産業の競争力の強化が求められています。 海技研は、海上輸送を支える造船、海運、物流分野の基盤的技術開発を実施し、海上物流政策支援、海上輸送の新たなニーズへの対応を行います。
④ 海上輸送を支える基盤的技術開発
海上物流の効率化・最適化を政策的に評価する手法の開発に関する研究
海上輸送の新たなニーズに対応した運航支援技術・輸送システム等の開発に関する研究
● 内航フィーダー輸送活性化等の施策の事前評価が可能となるツールの開発や外航ネットワークと内航フィーダー航路のリンク評価プログラム等の開発を行っています。
● 内航船の省力化を進めるための陸上からの航海当直、機関運転支援システムの構築やメンテナンス、イニシャルコストの低減を実現するための基盤技術等の開発を行っています。● IT 技術を活用した衝突予防システムの開発や運航支援機器のユーザビリティー評価法の構築を行っています。
● 移動円滑化の促進と利用者の利便性向上を確保するガイドラインの作成を行っています。
内航フィーダー航路のリンク評価例
RFID を用いた機関点検支援システム
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研究成果の普及・社会還元
外板展開特許及び外板展開プログラム
船型設計のための流体解析システム
船型要目最適化システムHOPE LIGHT
波浪荷重評価ツールNMRIW
海技研では、研究開発で得られた、研究成果、知的財産(特許・プログラム等)の普及・社会への還元に積極的に取り組んでいます。
熟練技能を要した船舶の外板の局面加工について、船体外板の曲率線を算出し、この曲率線を用いて曲面外板を平面に展開する曲率線展開方法のプログラムも提供しています。また、この手法に基づく現場の曲げ加工の効率化に寄与する詳細なプレス施工(プレス位置、量)を指示するプレス施工支援プログラムも併せて提供しています。
CFD研究グループが開発した、船体周りの格子生成ソフト(HullDes) 及び流体解析ソフト(NEPTUNE, SURF)を、簡易な操作で格子生成・流体計算を行うパッケージソリューション“ワンクリックCFD”として提供しています。
規則波及び不規則波中での船体運動、加速度、波浪荷重、船体表面水圧分布を時系列で計算するプログラムを提供しています。非線形ストリップ法の考えに基づいて構築されており、様々な波高、波向、波周期、船速において時々刻々の流体力の変化を考慮して計算することが可能です。
必要最低限の船型要目を入力することで、2軸船を含むさまざまな船種に対するエネルギー効率設計指標(EEDI) や運航時のシーマージンなどの性能推定ができる船舶の基本設計支援ツールを提供しています。
展開された外板図 ぎょう鉄後溶接された外板
HullDes による自動格子生成
計算結果の可視化
実海域での全方位速力低下計算船型要目の入力
計算結果のアニメーション表示
EEDI
幅B(m)
ツインスケグ型パナマックスバルクのEEDI
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情報の提供
講演会・セミナー
船舶海洋工学研修
海技研ニュース「船と海のサイエンス」
技術相談
研究発表会
海技研では、民間企業等の皆様に研究開発の成果、IMO動向や各種技術情報の提供を行っています。
毎年6月頃に三鷹本所において研究成果の発表を行っています.
船舶海洋工学の基礎知識を習得するための「船舶海洋工学研修」(サテライト会場6ヶ所)を民間企業等の外部からの受講生を受け入れて実施しています。
海技研の研究紹介や我が国の技術情報、新造船紹介、新造船写真集、その他海技研のホットな情報を年 4回お届けしています。 ホームページ( http://www.nmri.go.jp/ )からダウンロードできます。
海技研の専門家が船舶、海洋、舶用工業、物流などのあらゆる技術的問題について、無料でご相談に応じます。
平成23年度講演会(於:東京・砂防会館)
平成23年度研究発表会(左)とポスターセッション
船舶海洋工学研修
ハイブリッド・インジェクション・システム(HIS)公開実験
毎年11月頃に当所が重点的に実施している活動と研究について、講演を行っています(東日本地区と西日本地区で交互に開催)。 また、特定のテーマについて、シンポジウム、セミナー等を年間数回開催しています。
公開実験 民間の研究者との意見交換、成果の普及等を行うため、公開実験を行っています。
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国際活動の推進・外部機関との連携
安全・環境に関する国際規則・基準の策定に対する貢献
外部機関との連携の推進
海上における安全確保及び環境保護のための規則・基準は、国際海事機関(IMO)、国際標準化機構(ISO)等の国際会議での審議を経て国際的に実行に移されています。これらの国際ルール形成への戦略的な関与は、我が国の海事政策及び海事産業にとって極めて重要です。 海技研は、これらの国際機関への我が国政府の取り組みに対して、技術的な裏付けのための調査・研究の実施や資料の作成、国際会議への専門家の派遣及び議長・幹事の役割の実行、関連する国際会議の誘致・開催など、積極的に貢献しています。
国土交通に関わる政策課題を解決するための研究を確実かつ円滑に実施するためには、産・学・他の公的研究機関との連携が必要不可欠であり、共同研究、受託研究等を通じて積極的に交流を進めています。 また、海技研が有する実験施設を活用し、海技研の知見・ノウハウと、大学や企業等のシーズ・知見を融合させる実効的な連携を構築するため、プラットフォーム機能等を有するオープンラボを運用しています。
研究活動の活性化、研究成果の普及促進のため、大学等からの要請により連携大学院制度に基づく研究指導、単位認定やインターンシップ生に対する研修を実施しています。 さらに、国際的な取り組みが必要な課題について、海外研究機関等との研究協力協定の締結、国際共同研究の実施、国際シンポジウムやセミナーの開催などに戦略的に取り組んでいます。
東京大学東京海洋大学横浜国立大学大阪大学
大阪府立大学工学院大学東京電機大学日本大学
九州大学流通経済大学
○オランダ海事研究所(MARIN)○サンパウロ大学(ブラジル)○韓国海洋水産開発研究院(KMI)○カンピナス大学
海技研が連携大学院協定等を締結している大学
大学・研究所等
海上技術安全研究所
支援
政府関係機関(国土交通省等)
支援
国際規則基準策定支援活動
リスク評価手法を用いた船舶設計(環境・安全)に関する国際ワークショップ開催
(2011年 10月 東京)
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組織・沿革
1916年7月 逓信省管船局所属の船用品検査所として発足1950年4月 運輸技術研究所設立1959年4月 三鷹第一船舶試験水槽(80m角水槽)完成1963年4月 船舶技術研究所設立1966年10月 三鷹第二船舶試験水槽(400m水槽)完成1967年3月 動揺試験水槽完成1974年3月 キャビテーション水槽完成1978年3月 海洋構造物試験水槽完成1980年3月 氷海船舶試験水槽完成2001年4月 独立行政法人海上技術安全研究所として発足 (第1期中期目標・計画)2002年6月 深海試験水槽完成2006年4月 第2期中期目標・計画へ移行2010年6月 実海域再現水槽完成2011年4月 第3期中期目標・計画へ移行
沿 革
産官学連携主管 (共同研究・受託等に関する窓口)
理事長
理 事
流体設計系
流体性能評価系
構造系
海洋環境評価系
動力システム系
運航・物流系
海洋リスク評価系
海洋開発系
洋上再生エネルギー開発系
海洋再生エネルギー研究開発支援PT
企画部
総務部
理 事
監 事
研究統括主幹
研究コーディネーター
プロジェクトチーム課題解決に向けた短期集中的研究展開等を行う。
センター所の横断的な組織として連携研究等を行う。
研究系・大阪支所中期計画に基づく研究を実施し、一定の継続性をもった研究展開とシーズ発掘、ボトムアップ型テーマ提言を行う。
大阪支所
海難事故解析センター
国際連携センター
EEDI PT
組 織
理事長 1理事 2監事 ※2職員 212
(事務職)(研究職)
43169
合計 217※内1名は非常勤
人数
区分 金額(単位:百万円)運営費交付金施設整備費補助金
2,70695
受託収入 612その他の収入 41計 3,454人件費
収入
支出
2,151業務経費 544
施設整備費補助金 95受託経費 574一般管理費 90計 3,454
予算(2012年度)
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研究組織
流体設計系
流体性能評価系
実海域性能研究グループ流体制御研究グループ水槽試験技術グループ
運動性能研究グループ耐航性能研究グループCFD研究グループ
海事産業の多様なニーズに対応できる新船型開発技術の高度化を目指し、境界層制御技術、実運航性能評価手法等の研究開発を行っています。また、最先端の計測技術を開発し、流体分野における基盤的な実験技術の向上を目指しています。
実海域における船舶の性能(推進、操縦、耐航、復原性)の評価、向上を目指した研究を行い、海難事故の原因究明や国際基準作りの技術支援を通じて、船舶の安全性向上に貢献しています。また、世界をリードする信頼性の高い船体周り流場解析用CFDソフトウエアを開発し、国内の造船所に提供しています。
模型船を用いた水槽試験
波浪中の自航試験
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構造系
海洋環境評価系
動力システム系
構造基準研究グループ構造解析・加工研究グループ保守管理技術研究グループ
環境影響評価研究グループ環境分析研究グループ伝熱システム研究グループ
動力システム開発研究グループ環境エンジン研究グループ
次世代動力システムセンター
安全かつ経済的な船舶の建造に資するため、合理的な構造強度評価法の確立が求められています。このため、波浪中の船体にかかる荷重推定手法及びこの荷重を入力とした全船荷重構造一貫解析手法の高度化についての研究ならびに材料の腐食特性、疲労強度などの研究を行っています。 また、技能講習用映像教材の作成、これを応用し工数の大幅な削減を目的とした新しい生産システム、生産工程の合理化技術など、生産技術に関する研究に取り組んでいます。
船舶や海洋構造物に関する環境保全を目的として、海洋・大気等に係る合理的な環境規制体系の実現に資する環境影響評価手法の高度化や船舶からのCO2をはじめ、NOX、SOX、PM等の削減に資する各種技術の性能等評価に取り組んでいます。
IMO(国際海事機関)を中心として、海洋環境保全が進んでおり、特に、2016 年からは、約 8割の削減を定めたNOX3 次規制がスタートする予定です。また、地球温暖化問題への対処や、代替燃料の安全利用技術の開発が求められています。 このため、動力システム系では、NOX3次規制に対応した排ガス脱硝装置(SCR)の高度化、船舶のハイブリッド化のための制御技術、代替燃料(LNG、LCO(ライトサイクルオイル)等)の利用技術に関する研究を行っています。
直接荷重による大型コンテナ船の全船解析例(応力分布)
SO2 濃度のシミュレーション計算結果例
電子制御燃料噴射装置
排気ガス分析計
18 National Maritime Research Institute
研究組織
運航・物流系
海洋リスク評価系
運航計画技術研究センター運航解析技術研究グループ物流研究グループ計測技術研究グループ
リスク解析研究グループシステム安全技術研究グループ
操船リスクシミュレータやコンピューターシミュレーションを用いて、航海システムの安全性を高める研究や、物流の高度化などに取り組んでいます。また、研究に必要な計測技術、様々なセンサー技術等の基盤技術の研究を行っています。
気象・海象条件を考慮した省エネ航海計画、輸送要請に適応した最適配船計画、輸送ルート、所要コストを考慮した海陸輸送計画等運航計画作成・評価技術に関する研究を行い、低炭素社会ひいては安全・安心な社会の実現に貢献します。
リスク解析、信頼性解析などの解析技術の高度化を通じて、費用対効果を考慮した国際基準の策定のための安全性評価(FSA:Formal Safety Assessment)、舶用機器の品質改善・故障予防のためのシステム信頼性解析手法の研究、放射性物質等の危険物輸送の安全確保の研究等を行っています。
操船リスクシミュレータにおける模擬操船の様子
HAZID手法を用いた合理的なLNG燃料船の安全基準の検討
運航計画技術研究センター
19 National Maritime Research Institute
海洋開発系
洋上再生エネルギー開発系
海洋システム研究グループ深海技術研究グループ
海洋エネルギー研究グループ海洋利用環境評価研究グループ
フロンティア海域(大水深・氷海域)での海洋開発の実現を目的として、洋上天然ガス生産や海底鉱物資源開発などを対象としたシステムや運用に対する安全性評価技術の開発など、先行・先端的技術に関する研究開発を進めています。
洋上風力や潮流・海流といった海洋再生可能エネルギーを対象として、発電システムに関する基盤技術の開発や設計ガイドラインの作成など、国家のプロジェクトの実施、加速に向けた研究開発を進めています。
シミュレーション計算による LNG出荷状況再現
深海水槽での生産ライザー管の模型試験
浮体式洋上風力発電システムの模型試験の様子
20 National Maritime Research Institute
研究組織
海難事故解析センター
国際連携センター
海難事故解析センターは、国土交通省海事局、運輸安全委員会等と連携を図りながら、海難事故発生時に迅速に情報を分析して事故原因を解析するとともに、重大事故では操船リスクシミュレータや実海域再現水槽などの利用により、事故の再現などのシミュレーションを行い、それらに基づいた事故防止対策の立案に貢献します。
国際連携センターは、国際海事機関 (IMO)、国際標準化機構(ISO)等に対する国際基準・標準案等の策定を支援するため、技術的なバックグラウンドの提供、国際会議への参画、議長への就任、国際シンポジウム・ワークショップの開催等を積極的に進めています。
明石海峡二重衝突事故のシミュレーション
IMO の会議で議長を務める海技研職員(中央)
21 National Maritime Research Institute
EEDI プロジェクトチーム
大阪支所
海洋再生エネルギー研究開発支援プロジェクトチーム
材料・艤装研究グループ
EEDI(エネルギー効率設計指標)の強制化にともない海事産業界は省エネ対応を加速させています。EEDI プロジェクトチームでは、この産業界の動きに歩調をあわせたタイムリーな研究開発を実施します。具体的には、産業界をリードする推進システムを含む先駆的な船型技術の開発、それら EEDI 改善技術を利用した民間サポートなどを実施し、海事産業の競争力強化という海技研の基本理念を実現します。
海洋再生エネルギー関連のプロジェクトが国内で相次いで立ち上げられています。 これらのプロジェクトに関連した研究開発に海技研の各研究系が有する技術力を有機的に連携させて、総合的に展開してゆくための所内の横断組織として設置しています。
バラスト水管理システムの腐食影響、特殊環境下での材料特性に関する研究、海底資源開発に係る揚鉱パイプ内管の摩耗に関する研究等、安全・環境に係る試験・分析に関する研究、西日本地区に多く立地する中小の舶用工業を技術支援する研究を行っています。
EEDI 基準ラインと低減目標
浮体式洋上風力発電システムのイメージ
船舶の主機関の排熱を利用したバラスト水処理装置の開発実験で使用の模擬バラストタンク
22 National Maritime Research Institute
高圧タンク
内径:1.1m高さ:3.0m圧力:水深6,000mを再現
海洋構造物試験水槽
長さ:40m X - Y曳航台車 幅:27m 造波装置深さ:2m 送風装置
実海域再現水槽
長さ:80m X - Y曳航台車幅:40m 全周分割吸収造波装置 深さ:4.5m 送風装置多分割式吸収造波装置 382台 造波装置
400m試験水槽
●世界最大級の水槽長さ:400m 水深:8m幅:18m 曳航台車(最大速度15m/s)
変動風水洞
●風洞計測部長さ15m×幅3m×高さ2m正弦的に変動する風を発生最大30m/s の定常風●水槽部長さ15m×幅3m×水深1.5m
深海水槽
最大水深:35m 上部:直径14m、深さ5m ピット部:直径6m、深さ30m造波装置、潮流発生装置、水中3次元挙動計測装置第1計測部:0.75mφ×2.25m 第2計測部:2×0.88× 8m
主な実験施設
海事分野における世界最高水準の大型実験施設を保有しています。
23 National Maritime Research Institute
構造材料寿命評価研究施設
操船リスクシミュレータ
材料・化学分析システム
4サイクルディーゼル機関
反力床:長さ12m×幅8m 反力壁:高さ4m×幅8m載荷容量:静的荷重±1,200kN 動的荷重±1,000kN ストローク±100mm
透過電子顕微鏡高分解能走査電子顕微鏡ガスクロマトグラフ質量分析装置液体クロマトグラフ質量分析装置X線回折分析装置
氷海船舶試験水槽
長さ:35m幅:6m水深:1.8m結氷速度:2.5mm/hr
大型キャビテーション水槽
●堅型減圧回流式高さ:10m 長さ:18m 第1計測部:0.75mφx2.25m圧力:0.005~ 0.2 MP 第2計測部:2×0.88x 8m
半径:6.5m円筒スクリーン 視野角:水平240° 垂直 40°模擬船橋:長さ4m 幅 4m 高さ 2.2 m船橋動揺装置:ピッチ±10°ロール±15°
シリンダ数:3シリンダ内径:230mm定格出力(回転数):350PS(420rpm)
三鷹駅 至新宿JR中央線
り通境蔵武
調布駅 京王線
バスのりば
線頭の井王京
甲州街道(国道20号)バスのりば
中央自動車道
至府中
至府中
神代植物公園
バス停(航研前)
野崎八幡宮
至立川
空航宙宇
構機発開究研 東八道路
至高井戸
至給田至仙川
所役市鷹三
局便郵鷹三〒
文
GS
GS
バス停(三鷹市役所前)
バス停(三鷹農協前)
署防消鷹三
三鷹総合保険センター
GS
大成高校
社神幡八
番交
丸井
吉祥寺駅
院病村野
至久我山
井の頭公園
三鷹一中
海上技術安全研究所
JA東京むさし三鷹支店
■海上技術安全研究所三鷹本所までの交通のご案内
【アクセス】❶JR吉祥寺駅公園口より小田急バスもしくは京王バス 武蔵境駅南口行 調布駅北口行 調布調布駅北口行で三鷹農協前下車
❷JR三鷹駅南口より小田急バス 仙川行又は晃華学園東行 野ヶ谷行で三鷹農協前下車
❸京王線調布駅北口より、小田急バスもしくは京王バス 吉祥寺駅中央口行、航研前下車◆詳しくはホームページのアクセスマップ 「三鷹本所の交通案内図」http://www.nmri.go.jp/main/overview/accessmap/accessmap_j.htmlをご覧ください。
◆独立行政法人 海上技術安全研究所 〒181-0004 東京都三鷹市新川6-38-1
◆大阪支所 〒576-0034 大阪府交野市天野が原町3-5-10
<パンフレット及びホームページ関するお問い合わせ先>
◆企画部 広報係[TEL]0422-41-3005 [FAX]0422-41-3258[E-mail][email protected] [HP]http://www.nmri.go.jp
乗り場3
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乗り場4 乗り場8
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バスのりば ❶