mosfetのしきい値電圧を 参照した極低電力lsi用基準電圧源回路 ·...
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次世代集積回路技術として,何が求められるか?[現在の技術]計算機,コンピュータ,携帯,携帯端末
– 人が 「意識する」 アプリケーション
[次世代技術]人が 「意識しない」 アプリケーション
– 常に,監視・モニタするアプリケーション– 定期的に,動作するアプリケーション
何が集積回路 (LSI) に求められる?– 超低消費電力
• 数年間にわたる連続動作
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超低電力 半導体集積回路設計技術
超低電力
– 集積回路の低消費電力化– サブマイクロワット(sub-μW)の電力
小型バッテリ– CRコインバッテリ(35 mAhの場合)
• 1 mAの消費電流の場合 : 35時間 ~ 1.5日• 1 μAの消費電流の場合 : 35,000時間 ~ 1500日 ~ 4年
エネルギーハーベスティング
– 太陽光– 振動– 温度差
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超低電力LSIの新しい応用開拓超低電力LSIシステムの応用– 環境モニタリング・センシング技術
• 機能温度ログ• 温度ログ• 流通管理タグ
– 生体補助(ライフアシスト)• 補聴器• ペースメーカー
– 生体情報モニタ(ライフログ)• 体温• 脈拍
出典: http://japan.zdnet.com, http://www.gearfuse.com
センサネットワークアプリケーション
電子タグ医療機器
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MOSFETの電流電圧特性
線形表示 対数表示
MOSトランジスタの電流電圧特性
⎟⎟⎠
⎞⎜⎜⎝
⎛ −=
T
THGSDS V
VVIIη
exp0
1 μA
nAオーダーの微小電流
ナノアンペアオーダーの電流を用いることで超低電力特性を実現
通常の動作領域> 10 μA
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超低電力を実現する電流の問題点
⎟⎟⎠
⎞⎜⎜⎝
⎛ −=
T
THGSDS V
VVIIη
exp0
製造プロセスバラツキの影響しきい値電圧 VTH ~ ±0.1 の変動⇒回路動作が正常に行えない
温度変動の影響-20 ~ 100°C
0
VGS (V)
I D (A
)
10−3
2.01.0 1.50.5
10−11
10−9
10−7
10−5
10−13
10−15
3-4桁の電流変動 3-4桁の電流変動
プロセスバラツキ 温度変化
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既存の基準電圧源回路
抵抗素子を用いない微小電力で動作する基準電圧源回路
・消費電力が大きい
・低消費電力化に高抵抗が必要
動作時の電力:数百 μW~数 mW×(サブスレッショルドシステムの電力:数 μW 以下!)
低電流動作:高抵抗が必要(チップ面積増大) ×
微小電力LSIに適用した場合
1. シリコンのバンドギャップ参照型2. sub-バンドギャップ参照型3. しきい値電圧の差分出力型4. ゲート電極の仕事関数差を利用
など…5. しきい値電圧参照型
バイポーラ素子・ダイオード素子
抵抗素子
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既存のMOSFETのしきい値電圧参照型電圧源** T. Matsuda, et al., IEICE, ELECTRON., Vol. E88-C, No.5, May 2005.
強反転線形 強反転飽和
VREF =VTH0
問題点
(強反転線形・飽和MOSFET)異なる動作領域特性を使用
・デバイスミスマッチの増大
・設計パラメータによる調整が必要
(絶対零度でのしきい値電圧)
消費電力:30 μW
しきい値電圧参照型基準電圧源回路の提案
・消費電力
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提案する参照電圧生成アーキテクチャ
TemperatureV
olta
ge
Σ
⎟⎟⎠
⎞⎜⎜⎝
⎛+=
0KIIVVV DS
TTHGS lnη
⎟⎟⎠
⎞⎜⎜⎝
⎛=Δ
1
22,1 ln
KKVV TGS η
ゲート・ソース間電圧
電圧差分 一定電圧
PTAT(温度と共に増加)
CTAT(温度と共に減少)
Temperature
Vol
tage
Temperature
Vol
tage
2,1GSGSREF VVV Δ+= α
VGS~CTAT
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PTAT(正温度係数)電圧生成方法差動対回路
⎟⎟⎠
⎞⎜⎜⎝
⎛+=⎟⎟
⎠
⎞⎜⎜⎝
⎛ −=
00 ln,exp
KIIVVV
VVVKII DS
TTHGST
THGSDS η
η
⎟⎟⎠
⎞⎜⎜⎝
⎛=−=−=
2
11212 ln
KKVVVVVV TGSGSP η
熱電圧:qTkV B
T =
サブスレッショルドMOSFETの電流電圧特性
K1/K2 を 1 より大きく設計する⇒ 温度と共にVPは増加⇒ PTAT電圧
V2とV1の電圧差
K1… M1のトランジスタサイズK2… M2のトランジスタサイズ
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シミュレーション結果
ΔVREF /VREF = ± 0.16 %
電源電圧変動に対する出力電圧特性シミュレーション結果
ΔVREF /VREF = ± 0.5 %
VDD = 1.0 V以上で動作
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製造プロセスバラツキを考慮したシミュレーション
ミスマッチ
モンテカルロシミュレーション(統計に基づいた製造バラツキ予測)-プロセス変動(均一分布バラツキを想定)- トランジスタミスマッチ(正規分布バラツキを想定)
プロセス変動
x
f(x)
x
f(x)
シリコンウェハー シリコンチップ
製造プロセスのバラツキ-ウェハー間のバラツキ-チップ間のバラツキ-チップ内のバラツキ
プロセス変動
トランジスタミスマッチ変動
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性能比較
本研究 G. De Vita[3] K. N. Leung[4] M. –H. Cheng[5]CMOSプロセス 0.35-μm, CMOS 0.35-μm, CMOS 0.35-μm, CMOS 0.35-μm, CMOS温度範囲 -20 – 80°C 0 – 80°C 0 – 70°C -25 – 125°C電源VDD 1.4 – 3 V 0.9 – 4 V 1.4 – 3 V 1.4 – 3 V
出力電圧VREF 745 mV 670 mV 309.3 mV 579 mV消費電力 0.3 μW(@1.4 V) 0.036 μW(@0.9 V) 29.1 μW(@3 V) 4.6 μW(@2 V)温度係数 7ppm/°C 10ppm/°C 36.9ppm/°C 62ppm/°C電源感度 20ppm/V 2700ppm/V 800ppm/V 6700ppm/V
電源周波数感度 -45dB(@100 Hz) -47dB(@100 Hz) -47dB(@100 Hz) -84dB(@1 kHz)
面積 0.055 mm2 0.045 mm2 0.055 mm2 0.126 mm2
[3] G. De Vita and G. Iannaccone, IEEE JSSC, vol. 42, no. 7, pp. 1536-1542, Jul. 2007. [4] K. N. Leung and P. K. T. Mok, IEEE JSSC, vol. 38, no. 1, pp. 146-150, Jan. 2003. [5] M. –H. Cheng and Z. –W. Wu, Electron. Lett., vol. 41, no. 10, pp. 572-573, 2005.
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新技術の特徴・従来技術との比較
従来技術では,安定性に課題があったが,提案技術を用いることでこれを解決することに成功.
特に,しきい値電圧に依存しない動作電流アーキテクチャを開発することにより安定性の向上を実現.
本技術の適用により,ナノワットオーダーの集積回路実現が期待でき,ボタン電池駆動LSIや自然エネルギーを利用した集積回路開拓が期待できる.
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想定される用途
出力電圧VREFの意味を考慮すると,オンチップしきい値電圧モニタとな
ることから,低電圧集積回路におけるバラツキ補正技術に向けた要素回路技術として有用.
超低電力であることが必要なアプリケーション,特に,スマートセンサデバイス,医療応用エレクトロニクスへの展開が有用.
想定される業界
利用者・対象
半導体集積回路設計に関わるメーカー,研究所等
エレクトロニクス製品開発に関わるメーカー
物流・電子タグ事業等に関わる業界
医療アプリケーションに関わる業界
など
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実用化に向けた課題
これまで,提案回路の安定動作を確認.現在,その他のアナログ・ディジタル集積回路要素回路技術の開拓研究を推進中.
今後,アプリケーション開拓に向けた研究を推進予定.
企業への期待
超低電力 半導体集積回路の開拓は未だ発展途上の技術分野であり,
現在欧米諸国の研究者が注目している技術分野.
欧米諸国では,ディジタル応用中心であるが,我々はアナログ技術分野において先進技術を保有しており,今後アプリケーションの開拓が不可欠.
数年にわたる長期連続動作を実現したいアプリケーションの展開を検
討される企業との共同研究を希望.
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本技術に関する知的財産権
発明の名称 :REFERENCE VOLTAGE GENERATION CIRCUIT
出願番号 :特願2009-524458(PCT/JP2008/062830)
公開番号 :WO/2009/014042出願人 :北海道大学
発明者 :廣瀬哲也,浅井哲也,雨宮好仁,上野憲一