m エマージング・マーケット・マンスリー 2014年10月号 情 …2014年4-6月期...

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巻末の「本資料に関してご留意頂きたい事項」および「本資料中で使用している指数について」を必ずご覧ください。 KOKUSAI Asset Management Co., Ltd. M 1 Contents ※「エマージング諸国」とは、アジア、中南米、東欧・ロシアなどの新興諸国を指します。 【タイ】 クーデター後のバーツ相場上昇の背景と持続性を考える * http://www.kokusai-am.co.jp エマージング・マーケット・マンスリー M 2014 10 月号 情報提供資料 【図1輸入減少による純輸出の寄与も成長率の回復に貢献() 【図2クーデター直後より大きく改善した消費者信頼感() 出所)タイ国家経済社会開発庁(NESDB)CEIC *注)本稿は、「アジア・マーケット・マンスリー」からの転載です。 投資情報部 【タイ】クーデター後のバーツ相場上昇の背景と持続性を考える ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1ページ 【台湾】 総合物価が上昇する中、政策金利の据え置きを続ける当局 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6ページ 【エマージング・マーケット・ウォッチ】 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9ページ 4-6月期の実質GDPの前期比は反発し、景気後退を回避 出所) タイ銀行(BoT)、タイ商工会議所大学、タイ国家経済社会開発庁(NESDB)CEIC -15 -10 -5 0 5 10 15 20 2004 2006 2008 2010 2012 2014 民間消費 純輸出 在庫投資 固定資本 投資 政府消費 ) 直近値は 20144-6月期 実質GDP前年比と支出項目寄与度 (%) GDP () -40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40 50 60 2004 2006 2008 2010 2012 2014 実質GDP成長率 (四半期) (%) 前年比 () 前期比年率 (: 季節調整済) ) 直近値は 20144-6月期 () -20 -15 -10 -5 0 5 10 15 20 25 2006 2008 2010 2012 2014 建設 ) 直近値は 20144-6月期 製造 (%) 産業別GDPの前年比 (年次) 農林水産 (年) サービス 25 30 35 40 45 50 55 60 65 70 75 80 85 90 95 100 2005 2007 2009 2011 2013 消費者信頼 感指数(左軸) ) 直近値は 企業景況感: 20147消費者信頼感: 同年8消費者信頼感と企業景況感(月次) () 企業景況感指数 (右軸) タイでは、522日のクーデター以降、政治混乱の一時的な収束と景気の回復への 期待が高まり、バーツ相場は反発、5月末から7月末までの相場上昇率は他の主要ア ジア通貨を上回りました。本稿では、同国の景気物価動向を概観するとともに、金 融政策の方向性につき考察し、今後の為替相場動向について分析します。 同国では、昨年11月より深刻化した政治対立(本レポート6月号、以下「資料」 1頁参 )に伴って、消費者信頼感が悪化し、海外からの来訪者は急減。また、インフラ投 資の実行も遅延しました。12月の国会解散とその後の総選挙の無効判決に伴って政 策執行能力を失った政府は財政刺激策の導入もできず、また、大型直接投資の認可 が停止される事態に至りました。昨年初より政府の財政刺激策が相次いで期限切れ となったことに伴って鈍化していた景気は一層冷え込み、今年1-3月の実質GDPは前 年比▲0.5%、前期比年率▲7.3%と急落しました(資料 3-4頁参照)しかし、5月のクーデターによる政治混乱の一時的な収束に伴って景気は底を打っ たとみられます。818日に政府が公表した4-6月期の実質GDPは前年比+0.4%に反発。 季節調整済の前期比年率も+3.5%となり、2期連続のマイナス成長を回避しました(1)。しかし、在庫投資を除く内需の前年比は▲1.5%と前期の▲3.9%より改善しつ 4期連続のマイナス、成長率を押上げた純輸出の寄与(1)は輸出の伸びでなく輸 入の落込みによるなど、今後の回復速度への不安も残ります。民間消費は前年比 +0.2%と前期の▲3.0%より反発し4期ぶりのプラスとなり、前期比年率も+9.1%と前 期の▲2.7%より大きく反発しました。クーデターによる政治混乱収束の期待から消 費者信頼感が改善したこと(2)、暫定政権が米担保融資制度にかかわる未払い金 を農家に支払い、LPガスや軽油の価格を低く抑えたことも、同消費の改善に貢献し たとみられます。一方、政府消費は前年比+1.9%と前期の+4.2%より鈍化しました。

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巻末の「本資料に関してご留意頂きたい事項」および「本資料中で使用している指数について」を必ずご覧ください。 KOKUSAI Asset Management Co., Ltd.

エマージング・マーケット・マンスリー 2014年10月号 M 国際投信投資顧問/投資情報部

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tent

s

※「エマージング諸国」とは、アジア、中南米、東欧・ロシアなどの新興諸国を指します。

【タイ】 クーデター後のバーツ相場上昇の背景と持続性を考える*

http://www.kokusai-am.co.jp エマージング・マーケット・マンスリー M

2014年10月号 情報提供資料

【図1】 輸入減少による純輸出の寄与も成長率の回復に貢献(右)

【図2】 クーデター直後より大きく改善した消費者信頼感(左)

出所)タイ国家経済社会開発庁(NESDB)、CEIC

*注)本稿は、「アジア・マーケット・マンスリー」からの転載です。

投 資 情 報 部

【タイ】クーデター後のバーツ相場上昇の背景と持続性を考える ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1ページ

【台湾】 総合物価が上昇する中、政策金利の据え置きを続ける当局 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6ページ

【エマージング・マーケット・ウォッチ】 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9ページ

4-6月期の実質GDPの前期比は反発し、景気後退を回避

出所) タイ銀行(BoT)、タイ商工会議所大学、タイ国家経済社会開発庁(NESDB)、CEIC

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20

2004 2006 2008 2010 2012 2014

民間消費

純輸出

在庫投資

固定資本投資

政府消費

注) 直近値は

2014年4-6月期

実質GDP前年比と支出項目寄与度(%)

GDP

(年)

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2004 2006 2008 2010 2012 2014

実質GDP成長率 (四半期)(%)

前年比(線)

前期比年率(棒: 季節調整済)

注) 直近値は

2014年4-6月期

(年)

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2006 2008 2010 2012 2014

建設

注) 直近値は2014年4-6月期

製造

(%) 産業別GDPの前年比 (年次)

農林水産

(年)

サービス

25

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60

65

70

75

80

85

90

95

100

2005 2007 2009 2011 2013

消費者信頼感指数(左軸)

注) 直近値は企業景況感: 2014年7月消費者信頼感: 同年8月

消費者信頼感と企業景況感(月次)

(年)

企業景況感指数(右軸)

タイでは、5月22日のクーデター以降、政治混乱の一時的な収束と景気の回復への

期待が高まり、バーツ相場は反発、5月末から7月末までの相場上昇率は他の主要ア

ジア通貨を上回りました。本稿では、同国の景気物価動向を概観するとともに、金

融政策の方向性につき考察し、今後の為替相場動向について分析します。

同国では、昨年11月より深刻化した政治対立(本レポート6月号、以下「資料」 1頁参

照)に伴って、消費者信頼感が悪化し、海外からの来訪者は急減。また、インフラ投

資の実行も遅延しました。12月の国会解散とその後の総選挙の無効判決に伴って政

策執行能力を失った政府は財政刺激策の導入もできず、また、大型直接投資の認可

が停止される事態に至りました。昨年初より政府の財政刺激策が相次いで期限切れ

となったことに伴って鈍化していた景気は一層冷え込み、今年1-3月の実質GDPは前

年比▲0.5%、前期比年率▲7.3%と急落しました(資料 3-4頁参照)。

しかし、5月のクーデターによる政治混乱の一時的な収束に伴って景気は底を打っ

たとみられます。8月18日に政府が公表した4-6月期の実質GDPは前年比+0.4%に反発。

季節調整済の前期比年率も+3.5%となり、2期連続のマイナス成長を回避しました(図1左)。しかし、在庫投資を除く内需の前年比は▲1.5%と前期の▲3.9%より改善しつ

つ4期連続のマイナス、成長率を押上げた純輸出の寄与(図1右)は輸出の伸びでなく輸

入の落込みによるなど、今後の回復速度への不安も残ります。民間消費は前年比

+0.2%と前期の▲3.0%より反発し4期ぶりのプラスとなり、前期比年率も+9.1%と前

期の▲2.7%より大きく反発しました。クーデターによる政治混乱収束の期待から消

費者信頼感が改善したこと(図2左)、暫定政権が米担保融資制度にかかわる未払い金

を農家に支払い、LPガスや軽油の価格を低く抑えたことも、同消費の改善に貢献し

たとみられます。一方、政府消費は前年比+1.9%と前期の+4.2%より鈍化しました。

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巻末の「本資料に関してご留意頂きたい事項」および「本資料中で使用している指数について」を必ずご覧ください。 KOKUSAI Asset Management Co., Ltd.

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来訪者の低迷でサービス輸出が大きく悪化 【図3】 7月は製造業生産と輸出とも前月比がマイナスに

【図4】 他の東南・南アジア諸国に比べ高齢化の進展の早いタイ(右) 改善する電子部門と低迷する自動車部門

出所) タイ工業省、タイ商務省、CEIC

出所) タイ商務省、国際連合、CEIC

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-30

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0

10

20

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2008 2010 2012 2014

注)季節調整済直近値は2014年7月

前年比(線)

(%) 製造業生産の伸び率 (月次)

前月比(棒)

(年)-50

-40

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20

30

40

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-20

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-5

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5

10

15

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25

2008 2010 2012 2014

前年比(線: 右軸)

前月比:季節調整済(棒:左軸)

(%)

注) 米ドル建通関統計直近値は2014年7月

輸出の伸び率 (月次)

(年)

(%)

-120

-100

-80

-60

-40

-20

0

20

40

60

80

-60

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-20

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0

10

20

30

40

2009 2011 2013

輸入(右軸)

輸出(右軸)

注) 輸出入: 通関統計

米ドル建て額

の前年比、

直近値は2014年7月

貿易収支(左軸)

(億米ドル) (%)輸出入前年比と貿易収支(月次)

(年)

45

50

55

60

65

70

75

80

1950 1970 1990 2010 2030 2050

インドネシア

マレーシア

フィリピン

タイ

インド

2015年以降は国際連合予測値

(%) 生産年齢人口比率

(年)

注) 期間は、

1950年~2050年(5年毎)

4-6月期の固定資本投資は同▲6.9%と前期の▲9.3%より改善し、前期比年率は

+10.7%と4期ぶりにプラスになりました。公的建設は前年比▲0.3%と前期の▲14.3%よ

り大きく改善。鉄道を中心とするインフラ投資の進展に伴って、国有企業の建設投資

が同+9.0%伸びました。民間投資は前年比▲7.0%と前期の▲7.4%に続き不振でした。

民間建設が同▲5.2%と前期の▲7.8%より改善(住宅建設のマイナス幅が減少)するも、

民間設備投資は同▲7.5%と前期の▲7.3%よりやや悪化、設備稼働率が低下を続ける中

で、企業は投資に慎重な模様です。在庫投資の寄与度は▲3.6%ポイントと前期の

▲2.1%ポイントよりマイナス幅が拡大、企業の売上見通しの悪化も背景とみられます。

外需では、総輸出が前年比▲0.7%と前期の▲0.5%に次ぐマイナスに。財輸出は

+1.5%と前期の+0.8%に続き小幅な伸びを維持したものの、来訪者数の低迷などでサー

ビス輸出が同▲8.4%と前期の▲4.4%より悪化しました。総輸入は同▲9.2%と前期の

▲8.6%より悪化し3期連続のマイナスに。内需が勢いを欠く中で、財輸入の伸びが

▲10.8%と前期の▲12.0%に次ぐ2桁のマイナスとなった影響です。この結果、純輸出

の寄与度は+5.2%ポイントと前期の+4.6%ポイントより上昇しました。

生産側に目を転じると、製造業の一部が財輸出の緩やかな回復の恩恵を受けて改善

した一方、来訪者数の落込みの影響からサービス部門の一部の低迷が深刻化するなど、

部門ごとに明暗が分かれました。

農林漁業は前年比+2.2%と前期の+1.4%より加速(図2右)。耕地拡大によるパーム油生

産の増加、米とトウモロコシの収穫増、エビの早死症候群(EMS)の拡大鈍化による水

産生産の落込みの緩和などが背景です。鉱業は同▲1.7%と前期の▲1.5%よりやや悪化

し4期連続のマイナスに。石油ガス生産の低迷によります。製造業は同▲1.6%と前期

の▲2.7%より改善しつつ5期連続のマイナスに。財輸出の回復でコンピュータ/部品な

どが緩やかに改善した一方、内需低迷で自動車生産の不振が継続。前政権による自動

車初回購入者への優遇措置による需要先食いからの反動の影響が継続している模様で

す。公益部門は同+3.4%と前期の▲3.1%より反発。電力生産の回復によります。建設

業は同▲3.2%と前期の▲11.9%より改善、公的建設投資の回復の影響です。サービス

部門は同+1.7%と前期の+1.8%に続き低い伸び。金融や運輸・倉庫・通信が底堅く伸びた

一方、来訪者数の低迷を受けホテル・レストランの落ち込み幅が拡大しました。

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巻末の「本資料に関してご留意頂きたい事項」および「本資料中で使用している指数について」を必ずご覧ください。 KOKUSAI Asset Management Co., Ltd.

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力強さを欠く7月の製造業生産 【図5】 最低賃金の大幅引上げ(左)、近年生産性を上回る賃金の上昇(右)

【図6】 他のアジア諸国に比べ、近年さえない電子輸出の伸び(左) 輸出構造の悪化も近年の輸出低迷の一因か

出所) タイ労働省、タイ工業省、タイ国家統計局、CEIC

出所) 各国統計局、タイ銀行(BoT)、CEIC

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-10

0

10

20

30

40

2005 2007 2009 2011 2013

労働生産性と賃金の前年比(%)

労働生産性(線)

製造業平均賃金

(棒)

注) 生産性は3ヵ月移動平均、直近値は、生産性: 2014年7月賃金: 2014年4-6月期

(年)

120

140

160

180

200

220

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260

280

300

320

2001 2003 2005 2007 2009 2011 2013

1日当たり最低賃金(月次)(バーツ)

注)主要都市の単純平均

都市は、バンコク、サラブリー(中部)、ナコン・ラーチャシーマー(東北部)、チェンマイ(北部)、ソンクラー(南部)ラチャブリー(西部)直近値は2014年9月

(年)

-60

-40

-20

0

20

40

60

80

100

2010 2011 2012 2013 2014

マレーシア

フィリピン

タイ

韓国

台湾

電子輸出の前年比 (月次)

注) 米ドル建て額の

3ヵ月移動平均の前年比、

直近値は2014年7月

(%)

(年)

40

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60

65

70

75

80

85

2003 2005 2007 2009 2011 2013

家計債務のGDP比(四半期)(%)

注) 直近値は2014年1-3月期末

(年)

4-6月期のGDPは前期より反発したものの、7月以降の景気指標を見る限り、力強い

回復の持続は期待できません。7月の製造業生産は前年比▲5.2%と前月の▲6.3%より

改善しつつ16ヵ月連続のマイナスに。前月比も▲0.1%と前月の▲2.8%に続くマイナス

の伸びとなりました(図3左)。業種ごとの前年比を見ると、外需の回復を受けて電子部

門が緩やかに反発し、卑金属も大きく伸長。しかし、その他部門の殆どはマイナスの

伸びであり、とりわけ国内販売が不振な自動車の落込みの大きさが目立ちました。

輸出の動きもさえません。8月27日に公表された通関統計では、7月の輸出(米ドル建

て)は前年比▲0.9%と前月の+3.9%から反落しました(図3右)。自動車が前年比+9.3%と

前月の+2.6%から急伸し、加工食品等も+3.7%と前月の▲3.1%から反発した一方、電子

は同▲1.5%と前月の+1.9%から反落し、電器も同▲0.1%と3ヵ月連続のマイナスに、金

属・鉄鋼も同▲4.5%と前月の▲2.0%よりマイナス幅が拡大しました。輸出先では、米

国、日本、欧州向けがプラスの伸びとなる一方、東南アジアや豪州向けが2桁台のマイ

ナスとなりました。主要先進国の景気回復の恩恵を、主要な輸出先であるアジア太平

洋地域向け輸出の低迷が打ち消した模様です。

7月の輸入は、前年比▲2.9%と前月の▲14.0%より改善。変動の大きい商用航空機の

上ブレによるとみられます。同項目を除くと資本財輸入の伸びはマイナス。とりわけ

一般機械やコンピュータ・部品などは大幅なマイナスとなっており、弱い民間投資需要

が背景とみられます。自動車・部品も前年比▲23.8%と低迷が継続、国内自動車販売の

低迷が背景です。貿易収支は▲11億ドルと前月の+18億ドルから反落しました(図4左)。

7月の輸出の落込みは、変動の大きい金輸出の反落など、一時的な要因にもよります。

しかし、近年の同国の輸出の伸びは近隣諸国を下回っており、中期的な輸出競争力の

低下も懸念されます。2011年の洪水被害以降、海外企業の一部は、電子部品や自動車

部品の製造拠点を徐々に近隣諸国に移転している模様です。東南アジア諸国の中でも

高齢化進展の速い同国では(図4右)、既に一部の部門で労働力不足が顕在化。前政権に

よる最低賃金の引上げも(図5左)、生産性を上回る賃金上昇をもたらしました(図5右)。また、電子輸出の伸びは、昨年半ばより近隣諸国に劣後(図6左)。同国の電子部門は

ハード・ディスク・ドライブ(HDD)等の比重が高く、スマートフォンやタブレット端末

の普及に伴う構造的な需要減少の影響も受けているとみられます。

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年後半も緩やかな景気回復を見込む 【図7】 作物価格下落で低迷する農業所得(左)、低下する設備稼働率(右)

【図8】 物価圧力が限定的な中で(左)、4回連続で政策金利を据置き(右) 落着いた物価の下で政策金利据置きを続ける中央銀行

出所) タイ銀行(BoT)、タイ工業省、CEIC

出所) タイ銀行(BoT)、Bloomberg

-40

-20

0

20

40

60

80

2003 2005 2007 2009 2011 2013

農業所得と作物価格の前年比(月次)(%)

農業所得(棒)

作物価格(線)

注) 直近値は

2014年7月

(年)

40

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65

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75

80

80

100

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160

180

200

220

2005 2007 2009 2011 2013

生産と設備稼働率 (月次)(2000年=100)

製造業生産(左軸)

設備稼働率(右軸)

注) 季節調整済

直近値は2014年7月

(%)

(年)

-6

-4

-2

0

2

4

6

8

10

2004 2006 2008 2010 2012 2014

コア物価

総合物価

消費者物価の前年比 (月次)(%)

注) 直近値は

2014年8月

(年)

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

4.0

4.5

5.0

2009 2010 2011 2012 2013 2014

(%) 政策金利と国債利回り (日次)

政策金利

10年債

2年債

注) 直近値は2014年9月25日

(年)

今年後半の経済は、インフラ投資の伸びや民間消費の回復に支えられるでしょう。

クーデター直後より、政治混乱に伴い停滞していたインフラ投資を再加速させる動き

が強まり、バンコクの旅客鉄道(紫線、青線、緑線)、北部高速鉄道、水路改善事業、

天然ガス輸送設備などの投資が進展しています。なお、暫定政権の作成した来年度予

算案(~2015年9月)は、公共投資など資本歳出を抑え、財政赤字のGDP比を1.8%と前年

度の2.0%以下に抑制。インフラ投資は中央政府の支出ではなく、国有企業が調達した

資金を中心に実施される模様です。一方、民間消費に関しては、家計部門が高水準の

負債を抱えていること(図6右)、農産物価格の低迷によって足元で農業所得も鈍化して

いることを考慮すると(図7左)、回復の速度は緩やかなものに留まるとみられます。

輸出企業を中心に設備稼働率が低迷する中で企業の投資意欲は低いとみられ(図7右)、民間部門の設備投資の回復には時間がかかりそうです。また、輸出部門が構造的な弱

さを抱える中で、輸出の伸びは今後も緩慢なものに留まるでしょう。今年通年の成長

率は+1%台前半と昨年の+2.9%を下回り、今年の減速からの反動が生じる来年通年でも

+4%前後と、景気回復の速度は緩慢なものとなると予想されます。

景気回復の速度が緩慢な中、足元の物価上昇圧力は限定的です。8月の総合消費者物

価は前年比+2.1%と前月の2.2%より低下しました(図8左)。食品物価が前年比+3.9%と

前月の+4.2%を下回り総合物価を押下げました。野菜・果物が前月に続きマイナスの伸

びとなり、肉や魚の価格も鈍化した影響です。燃料物価も同+2.9%と前月の+3.1%より

鈍化、軍事政権によるガソリン物品税引下げの影響とみられます。政府(商務省)によ

る生活必需品価格の監視も、物価上昇の速度を抑えていると思われます。コア物価の

前年比は+1.8%と前月と変わらず。景気の低迷が続き設備稼働率が低下するなど産出

ギャップが拡大する中で、需要側からの物価上昇圧力は限定的とみられます。

9月17日、タイ銀行(BoT)は政策金利を2%で据置くことを決定(図8右)。据置きは4月以降4回連続、Bloomberg集計でエコノミスト21人全員が予想した通りの決定でした。

BoTの声明は、民間部門の信頼感が改善し民間と公的部門の支出が内需を支えている

と、内需に関して楽観的な見通しを示し、海外からの来訪者も、正常なトレンドに向

けてゆっくりと回復を始めたとしました。一方、財輸出に関しては、供給側の制約(労働力不足等)と低い農産物価格が輸出に影響を与えていると慎重な見方を提示しました。

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5

政策金利は当面据置きで、利上げ開始は来年半ば以降か 【図9】 6-7月に近隣通貨を上回る上昇を見せたバーツ相場(左)

【図10】 足元で改善基調の経常収支(左)、来訪者数も底打ちの兆し(右) 6-7月に急伸したバーツ相場も今後は上昇率が鈍化か

出所)タイ銀行(BoT)、タイ債券市場協会(TBMA)、Bloomberg

出所)タイ銀行(BoT)、タイ移民局、CEIC

0

50

100

150

200

250

-30

-20

-10

0

10

20

30

40

2008 2010 2012 2014

来訪者数と伸び率 (月次)(%) (万人)

月間来訪者数:(線: 右軸)

来訪者数前月比(左軸)

注) 季節調整済

直近値は2014年7月

(年)

-20

-15

-10

-5

0

5

10

15

20

25

2000 2003 2006 2009 2012

(%)

注) 直近値は2014年7月

(年)

12ヵ月移動平均

(太線)月次(細線)

経常収支のGDP比(月次)

28.5

29.0

29.5

30.0

30.5

31.0

31.5

32.0

32.5

33.0

33.5

34.01,600

1,700

1,800

1,900

2,000

2,100

2,200

2,300

2011 2012 2013 2014

(億米ドル) (バーツ/米ドル)為替相場と外貨準備

広義外貨準備(外貨準備と先物持高)棒: 左軸、

直近値:2014年9月12日

バーツ相場(線:右軸)

直近値:2014年

9月25日

(年)

バーツ高

バーツ安

0.0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

2013 2014

外国人の債券買越額(日次)

注) 期初来累計額

期間は2013年1月2日~2014年9月25日

(兆バーツ)

(年)

BoTの金融政策声明は、インフレは引き続き安定的としました。同声明は、現状レ

ベルの金融緩和は、景気回復の初期段階にある経済にとって未だに必要なものであり、

金融の安定性をリスクにさらさないと記述、足元の景気回復を支えるために政策金利

を低位で据置いたことを示唆しました。景気回復の速度が緩やかな中、BoTは、景気

回復を支えるため当面は政策金利を据置くとみられます。現在の低金利の修正は、景

気回復に伴う産出ギャップの縮小を待って行われるとみられ、BoTは、来年半ばにか

けて金利の正常化に向けた利上げ開始の時期を慎重に探ると予想されます。

タイ・バーツは、5月末から7月末にかけて+2.0%と、主要アジア通貨最大の対米ドル

相場上昇率を記録(図9左)。クーデターによる政治混乱収束の期待から、海外投資家の

債券投資資本が流入した影響です(図9右)。また、経常収支の安定化も通貨を支えたと

みられます。2011年に+2.6%であった経常収支のGDP比は、洪水被害の復旧・復興投資

や政府の内需刺激策に伴う輸入の増加で2013年6月までの12ヵ月間に▲1.5%に悪化(図10左)。その後、内需刺激策の期限切れや政治混乱に伴う景気悪化から輸入が急減した

ため同収支は改善し、2014年7月までの12ヵ月間に+3.2%となりました。

今年1-6月期のサービス収支は▲3.5億ドルと前年同期の+10.2億ドルより悪化。来訪

者数の減少に伴って、旅行収支受取額が180.0億ドルと前年同期より29.3億ドル減少し

た影響が大きかった模様です。しかし、減少基調が続いた季節調整済みの来訪者数は7月に反発(図10右)。クーデター後の治安状況の改善、6月中旬の夜間外出禁止令の全面

解除、平年より降雨量が少なく快適な気候などが背景とみられます。未だに残る戒厳

令の下で早期の急回復は期待できないものの、観光シーズンの年末年始にかけて緩や

かな来訪者の増加が続けばサービス収支の改善につながるでしょう。一方、インフラ

投資に伴う資本財輸入などで貿易収支は今後徐々に悪化するため、経常収支の改善は

大きく進まず、今年通年の同収支のGDP比は+2%半ばとなると予想されます。

資本収支に関しては、政治状況の安定化や緩やかな景気回復が証券投資資本の流入

を促すと予想されます。しかし、昨年末以降の政治混乱に伴う債券と為替市場におけ

る同国資産保有の抑制(アンダーウェイト)は今年5-7月の資本流入でほぼ解消されたと

みられます。今後は、バーツを近隣諸国通貨以上に押上げる原動力は乏しく、同相場

の騰落率はアジア通貨平均並みのものとなることが予想されます。(入村)

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6

【図1】 外需の回復にけん引されて順調に回復する景気

【図2】 3月以降、拡大する輸出

足もとの輸出の持ち直しなどに伴って、台湾経済は順調に回復し、総合

物価も高まっています。一方、インフレ圧力が限定的な中、景気の下支え

のために、中央銀行は当面、政策金利をしばらく据え置くと思われます。

順調に回復する経済

【台 湾】 総合物価が上昇する中、政策金利の据え置きを続ける当局

外需の持ち直しなどに支えられ、台湾の実質GDP成長率は4-6月に前年比+3.7%(確定値)と、2012年10-12月期以来の高水準となりました。需要項目を見ると、総

輸出は前年比+4.4%と、好調さが維持されたほか、政府消費と固定資本投資はそれぞ

れ同+3.7%、+1.0%と、1-3月期より伸び率が加速しました。民間消費も1-3月期と同

じく、同+2.5%と堅調に推移しています(図1)。また、景気の一致/先行指数も7月にそれぞれ106.3、104.9と、昨年からの回復が続いています。

iPhone6等のスマートフォン部品の輸出好調にけん引され、8月の輸出は281億米ド

ル(通関ベース、再輸出含む)、前年比+9.6%と、過去2番目の高水準となりました

(図2左)。ユーロ圏を含むほぼ全ての輸出先向けは堅調に推移し、日本向けも8月に同+17.8%と、前月の同▲2.0%より大幅なプラスに転じました。輸出品目別では、

ハイテク関連の部品のほか、化学材料など幅広い業種で回復が見られます。

また、輸出受注は通信機器や電子機器を中心に、8月に382億ドルと、前年比+5.2%(7月:同+5.7%、以下、括弧内は7月)と、7ヵ月連続のプラスとなっています(図2右)。地域別では、中国同+3.1%(+9.3%)、米国同+5.3%(+1.5%)、EU同+5.7%(+3.3%)、日本同+7.1%(+2.0%)となっています。2015年前半にかけて、米国を

中心とする先進国の安定した需要に支えられ、輸出の回復が見込まれます。

しかし、輸出回復の先行きには懸念も残ります。足もとで最大の貿易相手である

中国は景気が緩やかに減速しています。また、これまで当局は輸出拡大のために、

環太平洋経済連携協定(TPP)への協議参加を意思表明するなど、他国との自由貿易

協定(FTA)の締結を積極的に推進してきました。しかし、中国とのFTAに関しては、

一部の住民は中国への過剰な依存や雇用の喪失などを理由に、馬総統が昨年6月に署

名した台中間のサービス貿易協定(CATS)に反対しています。同法案の強行採決に

反対する大学生らは今年3月に国会議事堂を約3週間占拠し続け、国会審議を妨害す

る事態に発展しました。一方、中国市場でのライバルでもある韓国は7月3日に、韓

中FTAの年内妥結・早期発効を宣言し、同市場への参入に積極的な姿勢を示しまし 注)直近値:左右両図とも2014年8月 出所)行政院主計総処、CEIC、Bloomberg

(年)

(年) (年)

出所)行政院主計総処、CEIC

-15

-10

-5

0

5

10

15

2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

(%) 台湾実質GDP成長率(2006年基準、需要項目別、前年比)

民間消費 政府消費固定資本投資 在庫投資純輸出 実質GDP

2014年4-6月期

+3.7%

-20

-15

-10

-5

0

5

10

15

20

25

0

100

200

300

400

500

2011 2012 2013 2014

(%)(億米ドル) 台湾 輸出受注残高

前年比(右軸)

輸出受注残高(左軸)

-30

-20

-10

0

10

20

30

40

50

60

-20

0

20

40

2011 2012 2013 2014

(億米ドル)(%)台湾 対外貿易(通関ベース、前年比)

貿易収支(右軸)

輸出(前年比、左軸)

輸入(前年比、左軸)

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7

【図3】4%以下に低下する失業率

【図4】3月以降、急速に回復した民間消費

足もとの景気の好転に伴い、総合消費者物価の伸びが上昇し、8月の同物価は前

年比+2.1%(7月:同+1.8%)となりました(図5)。天候不順のため、野菜価格が

前年比+11.2%(7月:同▲1.5%)と急騰するなど、食料品価格の上昇傾向が続いて

います。加えて、コア物価(食料品とエネルギー除く)も同+1.7%(7月:同

+1.6%)と、2ヵ月連続の上昇となりました。一方、9月上旬に台湾の主要メーカー

が安価な廃油などを正規品と混ぜた食用油を不正販売していたことが発覚しました。

今後、問題の是正に伴って、外食産業を含むサービス価格の上昇が見込まれ、民間

需要が回復するなか、総合物価の更なる上昇につながる可能性が高そうです。その

ため、2014年通年では総合物価が2%台半ばまで上昇していくと思われます。

中央銀行(CBC)は2011年央にかけて5回にわたり、政策金利である公定歩合を

史上最低の1.25%から1.875%に引き上げた後、世界景気の減速などを理由に、2011年9月以降の13会合連続で、同金利を据え置き、景気を支えようとしています。今

後、景気の急減速に伴う政策金利の引き下げの可能性は低く、インフレ圧力が緩や

かに上昇するなか、CBCは景気浮揚を念頭にしばらく同金利を据え置く見通しです。

9月以降、米国の早期利上げの観測が浮上し、新興国通貨の買い持ちを解消する

動きが出るなか、台湾ドルの対米ドル直物相場は年央に比べて、約1.1%の下落とな

り、足もとで1米ドル=30.3台湾ドル付近で軟調に推移しています(図6、7)。しか

し、今後、恒常的な国際収支黒字などに支えられ、同通貨は底堅く推移していく見

通しです(図8)。もっとも通貨高圧力が高まる局面では、当局はドル買い介入に

よる上昇ペースの抑制を行う可能性もあるでしょう。(洪)

政策金利を据え置き続ける金融当局

出所)行政院主計総処、CEIC

(年)

(年) 出所)行政院主計総処、CEIC 注)直近値:2014年8月

注)直近値:2014年8月

た。今後、対中融和政策に関する議論が活発化すると見込まれるものの、今年11月に地方統一選挙を控える現政権は、与党多数の国会の中でもCATSの承認法案を精

力的に推進しないでしょう。CATSを巡る判断は2016年初の総選挙後まで先送りさ

れる可能性が高く、当面、輸出拡大の足かせとなると予想されます。

一方、外需の回復などにけん引され、鉱工業生産は8月に前年比+7.0%と、2014年初来の拡大基調が維持されました。半導体受託生産で世界最大手の台湾積体電路製

造(TSMC)をはじめ、多くのIT企業が4-6月期に過去最高の増益を達成。企業の活

発な採用活動に伴い、8月の失業率は3.9%(季節調整済み、図3)と、5ヵ月連続で

低下しています。また、雇用環境の改善を受け、小売売上高は7月に前年比+5.2%(3ヵ月移動平均)と、改善が続き、自動車販売台数も8月に同+10.3%と、耐久財の

消費が堅調に推移しています(図4)。今後、内外需ともに回復が続くことに伴い、

2014年通年のGDP成長率は3%台前半と、昨年の実績値+2.1%を上回る見通しです。

3

4

5

6

7

40

50

60

70

80

90

2007 2009 2011 2013

(%)(ポイント) 台湾 消費者信頼感指数と失業率

失業率(右軸)

消費者信頼感指数(6ヵ月先、左軸)

-20

-10

0

10

20

30

40

50

60

-5

0

5

10

15

2011 2012 2013 2014

(%)(%) 台湾 小売と自動車販売(前年比、3ヵ月移動平均)

自動車販売台数(前年比、右軸)

小売売上

(前年比、左軸)

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8

出所)台湾中央銀行、CEIC 出所) Bloomberg 注)直近値:2014年4-6月期

【図5】伸び続ける総合物価

【図7】 海外勢の動向に連動しやすい株式相場

【図6】 9月以降、再び対米ドル安に転じる台湾ドル

【図8】経常黒字などに支えられる国際収支構造

(年)

(年) 出所)行政院主計総処、CEIC 注)直近値:2014年8月

(年)

出所) Bloomberg、BIS 注)直近値:左右両図とも2014年9月23日

(年)

注)直近値:2014年9月23日

-2.72

-1.87

-1.82

-1.43

-1.16

-1.08

-0.88

-0.02

0.43

1.02

-4 -2 0 2

韓国 ウォン

フィリピン ペソ

シンガポール ドル

インド ルピー

マレーシア リンギ

台湾 ドル

インドネシア ルピア

香港ドル

タイ バーツ

中国元

(%)

アジア主要通貨対米ドル相場騰落率(2014年7月1日-9月23日)

-2

-1

0

1

2

3

4

2011 2012 2013 2014 2015

(%) 台湾 消費者物価(前年比、項目別寄与度)

総合物価

コア物価

(食料品・

燃料除く)

食料品

燃料等

-400

-300

-200

-100

0

100

200

300

400

2005 2007 2009 2011 2013

(億米ドル) 台湾 国際収支

経常収支 直接投資(FDI)証券・ディリバティブ投資 その他投資(銀行貸付等)

誤差脱漏 国際収支

2.80

3.00

3.20

3.40

3.60

3.8028.5

29.0

29.5

30.0

30.5

31.02013 2014 2015

(日本円

/台湾ドル)

(台湾ドル

/米ドル) 台湾ドル 直物相場

対日本円(右軸)

対米ドル(左軸)

台湾ドル高

米ドル安

日本円安

台湾ドル安

米ドル高

日本円高

6,000

7,000

8,000

9,000

10,000

-50

0

50

100

150

200

250

300

2012 2013 2014 2015

(ポイント)(億米ドル) 台湾 株価指数(加権指数)

株式市場における海外資金の流入額(2012年初来累計、

左軸)

加権指数(右軸)

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9

【エマージング・マーケット・ウォッチ】 ①新興国の債券・株・金利スプレッド

注2:信用スプレッドは米国債との利回り格差。ハイ・イールド社債はBB格以下の投機的等級の社債。

出所)Thomson Reuters Datastream、The BofA Merrill Lynch

注: 自国通貨建て債券指数には、JPMorgan GBI-EM Broadを使用。

出所)Thomson Reuters Datastream

出所) Thomson Reuters Datastream

(年) 注)ドル建て債券指数には、JPMorgan EMBI Global Diversifiedを使用

出所) Thomson Reuters Datastream

注1:メリルリンチ米国ハイイールド・ボンド・インデックス、JPMorgan EMBI Global Diversifiedより、同社の許諾を得て作成。 0

100

200

300

400

500

2005 2007 2009 2011 2013 2015

MSCIエマージング株価指数(05年初=100)

中南米

中東欧

新興国全体

中近東・

アフリカ

アジア

08年9月 リーマン・ブラザーズ破綻

注:直近値:2014年9月25日

07年7月~ 米国サブプライム問題深刻化

(年)

80

100

120

140

160

180

200

220

240

260

2005 2007 2009 2011 2013 2015

新興国 ドル建て債券指数(2005年初=100)

08年9月リーマン・ブラザーズ破綻

中近東

中南米新興国

アフリカ

アジア

中東欧

注)直近値:2014年9月25日

07年7月~米国サブプライム問題深刻化

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014

(ベーシスポイント:bps)新興国債券と米国高利回り債券の利回りスプレッド

98年ロシア危機

02年アルゼンチン危機

07年7月~サブプライム問題

深刻化

08年9月リーマン・ブラザーズ

破綻

米国高利回り債券

新興国債券

2014年9月25日

501.1bps

274.3bps

(年)

90

140

190

240

290

340

2005 2007 2009 2011 2013 2015

新興国 自国通貨建て債券指数(2005年初=100)

07年7月~米国サブプライム問題深刻化

08年9月リーマン・ブラザーズ破綻

中南米

中東欧

新興国

全体

中近東・

アフリカ

アジア

注)直近値:2014年9月25日

(年)

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10

【エマージング・マーケット・ウォッチ】 ②主要新興国通貨の対ドル相場:過去3年間

自国通貨高 米ドル安

自国通貨安 米ドル高

自国通貨高 米ドル安

自国通貨安 米ドル高

自国通貨高 米ドル安

自国通貨安 米ドル高

(自国通貨/1米ドル)

出所) Bloomberg 注) 直近値は2014年9月25日

170

180

190

200

210

220

230

240

2502011 2012 2013 2014

ハンガリー・フォリント

(年)

6.0

6.1

6.2

6.3

6.4

6.5

6.62011 2012 2013 2014

中国・人民元

(年)

8,0008,5009,0009,500

10,00010,50011,00011,50012,00012,500

2011 2012 2013 2014

インドネシア・ルピア

(年)

1,000

1,050

1,100

1,150

1,2002011 2012 2013 2014

韓国・ウォン

(年)

1.4

1.6

1.8

2.0

2.2

2.42011 2012 2013 2014

トルコ・リラ

(年)

6

7

8

9

10

11

122011 2012 2013 2014

南アフリカ・ランド

(年)

3.0

4.0

5.0

6.0

7.0

8.0

9.02011 2012 2013 2014

アルゼンチン・ペソ

(年)

1.4

1.6

1.8

2.0

2.2

2.4

2.62011 2012 2013 2014

ブラジル・レアル

(年)

26

28

30

32

34

36

38

402011 2012 2013 2014

ロシア・ルーブル

(年)

40

45

50

55

60

65

702011 2012 2013 2014

インド・ルピー

(年)

11

12

13

14

152011 2012 2013 2014

メキシコ・ペソ

(年)

2.6

2.8

3.0

3.2

3.4

3.62011 2012 2013 2014

ポーランド・ズロチ

(年)

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11

【エマージング・マーケット・ウォッチ】 ③主要新興国通貨の対ドル相場:過去6ヵ月間

(自国通貨/1米ドル)

自国通貨高 米ドル安

自国通貨安 米ドル高

自国通貨高 米ドル安

自国通貨安 米ドル高

自国通貨高 米ドル安

自国通貨安 米ドル高

出所) Bloomberg 注) 直近値は2014年9月25日

7.90

8.00

8.10

8.20

8.30

8.40

8.502014/4 2014/7

アルゼンチン・ペソ

(年/月)

215

220

225

230

235

240

245

2502014/4 2014/7

ハンガリー・フォリント

(年/月)

6.10

6.15

6.20

6.25

6.302014/4 2014/7

中国・人民元

(年/月)

58

59

60

61

622014/4 2014/7

インド・ルピー

(年/月)

11,200

11,400

11,600

11,800

12,000

12,2002014/4 2014/7

インドネシア・ルピア

(年/月)

1,000

1,020

1,040

1,0602014/4 2014/7

韓国・ウォン

(年/月)

2.00

2.10

2.20

2.302014/4 2014/7

トルコ・リラ

(年/月)

10.00

10.50

11.00

11.502014/4 2014/7

南アフリカ・ランド

(年/月)

2.10

2.20

2.30

2.40

2.502014/4 2014/7

ブラジル・レアル

(年/月)

33.0

34.0

35.0

36.0

37.0

38.0

39.02014/4 2014/7

ロシア・ルーブル

(年/月)

3.00

3.05

3.10

3.15

3.20

3.25

3.302014/4 2014/7

ポーランド・ズロチ

(年/月)

12.8

13.0

13.2

13.42014/4 2014/7

メキシコ・ペソ

(年/月)

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エマージング・マーケット・マンスリー 2014年10月号 M 国際投信投資顧問/投資情報部

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