メッセージングサービスline@によるプッシュ型授業情報提供の効果 push type...

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メッセージングサービスLINE@による プッシュ型授業情報提供の効果 Push type learning information distribution through LINE@ messaging service 樋口三郎, 龍谷大学 理工学部 Saburo Higuchi, Ryukoku University http://hig3.net JSiSE研究会2016-05-14 LINE@プッシュ型授業情報提供( 樋口三郎) 1

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メッセージングサービスLINE@によるプッシュ型授業情報提供の効果

PushtypelearninginformationdistributionthroughLINE@messagingservice

樋口三郎,龍谷大学 理工学部

Saburo Higuchi,RyukokuUniversityhttp://hig3.net

JSiSE研究会2016-05-14 LINE@プッシュ型授業情報提供(樋口三郎) 1

メッセージングサービスLINE@プッシュ型授業情報提供• LINE

• LINECorporationの提供する,スマートフォンを主なターゲットにした無料チャット・通話サービス

• 若年層で利用率が高い

• LINE@• LINE:LINE@=メール :匿名登録メールマガジン• 参加=「友だち」登録• リアル店舗が本来の使用者

• プッシュ型授業情報提供• 主要な学習コンテンツが対面,紙,Web(=プル)で提供されて

いるときに,メール,手紙,メッセージなどで学習内コンテンツ(へのリンク),学習指示などを送信すること

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目的

• LINE@を授業で使うときのベストプラクティスは?• 利用してもらうには?• 他の媒体と同等/よりよく機能させるには?

• プッシュ型授業情報提供の媒体として,LINE@は他の媒体(メール…)とどう違う?

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Emailisdead(?)because…

• SNSのようなクローズドシステムに負ける• SPAM対策が容易でない “ブロック”• 送信者の確認が容易でない

• チャットインターフェースに負ける• 即時性が低い

• 「メール作法」の負担が多い

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発表の内容

• LINEとLINE@のサービス• 授業でのLINE@使用方法

• 使用例 実施担当=発表者

• 考察

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確率統計 高校数学

対象 大学理工学部2年 大学理工学部入学予定高校3年

形態 週1回対面+LMS(Moodle) オンライン(Moodle)

コース参加者数 90 148

LINEとLINE@のサービス

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仕組み

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友だち,トーク,通話 グループトーク

LINE@友だち,メッセージ1:1トーク

モバイルアプリ orWeb

LINE@の機能

• メッセージ(運営者からの一斉push)• 1:1トーク(利用者から開始するプライベートメッ

セージ)• アカウントページ,タイムライン,ホーム(pull型)

• リサーチページ(アンケート)• クーポン (リアル店舗で見せる)• ショップカード (リアル店舗で押してもらえるスタン

プカード)

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LINE@管理コンソール

モバイルアプリWeb

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LINE@導入方法(教授者側)• スマートフォンに LINEアプリをダウンロード

• LINEIDを登録(携帯電話回線と紐付け)• スマートフォンに LINE@管理アプリをダウンロード

• LINE@IDを登録 複数の教授者で共同管理可能• LINE IDごとに無料で4IDまで

• 学習者に登録方法を周知,「友だち」登録を指示• “LINE@ID”,または QRコードで• 登録ユーザ数のみが教授者に通知される

• LINE@メッセージを作成,送信

• 1000メッセージ/月 LINE@ ID まで無料• LINE@管理アプリ またはWebインターフェースで

• 1:1トーク (始められるのは学習者のみ)• ユーザの表示名だけが教授者に通知

• (任意)アカウントページ,ホーム(=タイムライン)を作成

• (任意)一般アカウント→認証済みアカウント,プレミアムID,有料プラン

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使用例1 確率統計使用例2 高校数学

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確率統計 高校数学

対象 大学理工学部2年 大学理工学部入学予定高校3年

形態

対面オンライン予習問題+時間内小テスト(週1回,2015年10月-1月)

紙ベースのノート作成・添削+オンライン小テスト(2015年12月-3月)

コース参加者数 90 148

LMS Moodle(LDAPで全学統合認証) Moodle(専用パスワードを郵送)登録メールアドレス

GoogleApps (全学統合認証) 初期はダミーアドレスを登録,個人アドレス登録を指示

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情報の種類 確率統計 高校数学

授業内学習情報

4 7オンライン予習問題+時間内小テストの情報

13 0

点数の通知の連絡

3 4授業外学習情報

4 5

送信メッセージ例

確率統計 高校数学

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実験(LINE@とメールの比較)

• push媒体の比較対象• LMS(Moodle)のニュースフォーラムの通知メール• LINE@メッセージ

• 運用と測定• 確率統計の初期

• LINE@への登録を促すためにLINE@を先行して送信

• 高校数学の中期• Moodleの使用を促すため LINE@ではニュースフォーラムのリン

クのみを送信

• 確率統計・高校数学の末期• 同内容で同時刻にpushして反応を測定

• 質問紙調査(記名),Moodlehttpd,LINE@ログ解析

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「友だち」登録してくれるか時間 対 友だち数

確率統計 高校数学

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メールアドレス/LINE@友だち登録した学習者数

高校数学

LINE@群

非LINE@群

不明群

メール登録

38 11 4

メール非登録

53 32 10

確率統計

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不明群は友だち6,それ以外8からなる.独立性の検定α=0.05で有意でない• Moodleへのメールアドレス登録は

動画で説明• LINE@友だち登録は ID,QRコード

と文章で説明

LINE@群 非LINE@群

メール登録

35 55

メール非登録

0 0

コース参加者全体メールアドレスは自動的に登録

なぜ「友だち」登録してくれないか?確率統計 高校数学

1:1トーク利用者 10 34

LINE@「友だち」登

録者

35 97

(比較 )メールアド

レス登録者

90 51

学習者総数 90 148

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終了後質問紙調査「友だち」登録しなかった理由(複数回答)

高校数学

LINEを使っていなかった 5

登録するタイミングを逃した 8

登録方法がわからなかった 8登録を試みたがうまくいかなかった

0

LINEで勉強や大学の情報を

受け取りたくなかった1

LINEIDのプライバシーが不

安だった4

連絡はメールやWebで十分

だと考えた13

登録しなかった回答者合計 45

LINE@登録の有無と成績

確率統計 高校数学

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LINE@群 N=91

非LINE@群 N=43

av sd av sd

課題1 13.74 3.86 13.30 3.21

課題2 16.90 3.36 15.93 3.92

テスト 14.22 4.57 15.17 4.01

LINE@群 N=27

非LINE@群+不明群 N=63

av sd av sd事前 8.39 2.69 8.31 2.72 Quiz 107.4 45.2 93.6 45.8事後1 81.19 14.61 74.33 16.80 事後2 65.74 14.96 59.56 19.00

事後テスト1のみMann-Whitney検定α=0.05で有意

高校数学学習者の主観評価質問紙調査LINE@メッセージは役立ちましたか回答 学習者

役立った 21

やや役立った 41役立ったとも役立たなかったとも言えない 11あまり役立たなかった 2役立たなかった 0回答者総数 75

役だった内容は?(複数選択)学 習者数

授業内情報(入学前学習課題のスケジュールや取り組み方の連絡)

46

点数の通知の連絡(確認課題の受取や成績の連絡) 36授業外情報(入学準備や入学後についての情報) 461:1トークによる相談 6その他 1回答者総数 75

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LINE@での質問・応答

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確率統計 高校数学

メール質問者 1

Moodle フォーム+フォーラム質問者

6

1:1トーク質問者 6 23

1:1トーク利用者 10 34

LINE@「友だち」登

録者

35 97

(比較 )メールアド

レス登録者

90 51

学習者総数 90 148

スクリーンショット,イメージを利用した1:1トークによる質問・応答

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初メッセージの敷居が低い

スクリーンショット,写真の使用が多い

メッセージ内のリンク経由のアクセス数 確率統計

LINE@群 非LINE@群

リン ク経 由でQuizを受

14 7

それ以外 21 35

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LINE@,メール, 受験締切

LINE@,メール(この順)は同程度の学習者をLMSに誘導

LINE@先,LMSアクセス数

確率統計 LMSアクセス数LINE@メール同時に成績通知事後2の答案公開 科目の成績公開

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高校数学メッセージ内リンク経由のLMSアクセス学習者数

LINE@のみ群

メールのみ群

LINE@+メール群

不明

LINE@経

由32 17

メール経由

6 4 3

LINE@経由+

メール経由

6

全体 53 11 38 14

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考察

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LINE@の長所(対メール)の活用

• 学習者が頻繁に使用するLINEスマートフォンアプリにメッセージやリンクを送り込める

• LINEに慣れている学習者は登録,使用が容易• QRコード,ID, (クーポン)

• 運営側の保守が容易• LINEID変更はまれ(メールアドレス変更との比較)• →共通メール基盤のない入学予定者(高校数学)用には適し

ていた

• 学習者がスマートフォン(Webブラウザなど)を学習に使っている場合,イメージ,スクリーンショットを利用した質問-応答が容易

• →pushから質問・応答に誘導

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LINE@の短所(対メール)と対策

• LMSや他のシステムとの連携が困難(だった)• → LINEBOTAPI(2016-04)• ログのCSVダウンロードは以前から可能

• 教育機関の認証基盤との連携が困難• ×「大学配布の LINEID」• →必須の内容はメールor紙でも送る• ×「LINE@ユーザとリアル学習者の対応付け」• →WebビーコンでLMSユーザと対応• ×「コース参加者全員がLINE@に登録したことを保証」• → クーポンで受信確認?• ×「コース非参加者が登録していないことを保証」• →QRコード,IDを授業内のみで配布

• 学習者の携帯電話必須• ×「持ってなかったら大学の計算機室のPC使って」

• アプリ再インストールでトーク履歴(学習記録)を失う危険• →ホームの利用• →LMSへの同時投稿

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