lhc-atlas実験におけるh->ττ->lh を用いた ヒッグ...

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日本物理学会 秋季大会 京都産業大学 2012913慶太 、中村浩二 A 金信弘、受川史彦、原和彦 筑波大数理、東大セ A LHC-ATLAS実験におけるH->ττ->lh を用いた ヒッグス粒子の探索 2012 9131 日本物理学会 秋季大会 はなわ けいた

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日本物理学会 秋季大会

京都産業大学

2012年9月13日

塙 慶太、中村浩二A

金信弘、受川史彦、原和彦

筑波大数理、東大セA

LHC-ATLAS実験におけるH->ττ->lh を用いたヒッグス粒子の探索

2012 年9月13日 1 日本物理学会 秋季大会

はなわ けいた

2012年3月27日 日本物理学会 春季大会 塙 慶太 2

ヒッグス探索とタウチャンネル •新粒子(ヒッグス?)発見 質量:126.0±0.4(stat)±0.4 (sys): ATLAS

•次のステップ

1.質量測定

2.スピン → 標準模型ならスピン0

3.結合定数の測定

タウチャンネルを用いたヒッグス探索

•フェルミオン/レプトン結合の直接観測 •湯川結合(Yτ)の測定

•125GeV付近で崩壊比が大きい。

→早期(今年中?)に実現可能。

Thanks nature!

2012年3月27日 日本物理学会 春季大会 塙 慶太 3

タウチャンネル解析概要

Channel Br. Characteristics

H→ττ→ll+4v 12.4% Clean

H→ττ→hh+2v 42.0% Large Br.

H→ττ→lh+3v 45.6% Large Br. and clean

-lhチャンネル事象選択 1.Trigger:

- lepton trigger

- lepton+tau trigger(低運動量レプトン事象を拾うため)

3.異符号のleptonとhadronic τ (奇数本の荷電トラック, jetの細さ)

4.leptonと横方向消失エネルギー(MET)

の横方向質量(mT<50GeV)

2.横運動量:pT(e)>20, pT(mu)>18, pT(τ)>20GeV

τl (e/mu)

終状態 ν -タウの崩壊に応じて3種類の終状態

(τl: leptonic decay, τh: hadronic decay)

13aSH2

(森永)

τh

中庸は徳の至れるものなり

2012年3月27日 日本物理学会 春季大会 塙 慶太 4

質量再構成と背景事象

主な背景事象

•Z→τ τ :終状態が信号と同じ(Z→μ μ データから評価) •W+jets :タウ粒子の誤認識(jet →τ fake)

•QCD multi-jets: jet→τ fake, jet→レプトンの両方

•その他: Z->ee/mumu, ttbar, diboson

→MCやデータを用いて見積もる。

(詳細は後述)

質量再構成 - タウ粒子の質量は自身の運動量に比べて小さいため、

崩壊粒子の方向はタウの方向に近い。

•Visible mass

- ニュートリノを無視した質量

•Collinear mass

- タウ粒子から崩壊したものが同じ方向と仮定

•MMC(Missing Mass Calculator) mass

- タウ粒子の方向と再構成可能な崩壊粒子の角度分

布を仮定して質量解を得る。

数, 分布ともにデータから評価

本解析ではMMCを使用。

2012年3月27日 日本物理学会 春季大会 塙 慶太 5

事象選択: トポロジカル -Event topologyを利用した標準模型ヒッグスに特化した事象選択。

•Vector boson fusion(VBF)

- LHCで2番目に大きい生成過程。

- ユニークな生成過程により強力に背景事象を抑制。

- 本解析で最も感度が良い。

•前後方に高運動量ジェット。

•中央にQCD過程が少ない。 High pt jet, mjj, Δηjj

等の要求

•Boosted

- ヒッグスがブーストされる事象は背景事象との分離が良い。

→崩壊粒子で組んだ横方向運動量が高い等の要求

- 質量分解能が向上し、分離能力の向上。

*その他の事象もジェットの数毎に事象を分離し、それらに特化した事象選択を行った。

2012年3月27日 日本物理学会 春季大会 塙 慶太 6

背景事象の見積もり W+jetsとQCD事象(τ誤同定)

•Same sign(SS)事象を用いてQCD/W+jets見積もる。

→少ない系統誤差でコントロール!

①QCD (OS=SS)

data,MCで確認,~5%の精度でOS/SS=1

②W+jets(OS>SS)

Wとjetには電荷の相関がある。→補正が必要

補正量(OSの超過分:Add On)はWのcontrol

regionから見積もる。→10%精度

W+jets AddOn

Same Sign

top CR

Top事象

Z→ll事象

•Control regionよりMCの補正量を測定。→10%精度

(要求:高横方向質量、事象中にb-jet)

•CRで確認。→MCの補正はなし(~20%精度)

(要求:低消失横方向エネルギー,事象中にJetがいない)

2012年3月27日 日本物理学会 春季大会 塙 慶太 7

背景事象の見積もり(VBF)

Same Sign

- VBF過程ではさらに2つの見積もり手法を用いる。

Fake Factor method

•OS-SS methodでは、VBF選択後にSSが少ない。

→系統誤差も大きく、分布も正しく見積もれない。 •τ同定されなかった事象(QCD/W+jets CR)から

Fake Factor(FF)でSR分を見積もる。

•系統誤差~50%

(FFを求めるサンプルの違い)

•SS事象を用いてチェック。

Z+jets モデリング •VBFでは2jetsの運動学量情報を使う。

→MCモデリングの理解が重要。

•Z→(μμ/ee)+jets事象を用いて確認。

•Δηjj分布の補正→補正後すべての分布が良い一致。

•Z+jets VBF CRより、規格化定数を求めた。

Δηjj補正後

Fake

ATLAS work in

progress

2012年3月27日 日本物理学会 春季大会 塙 慶太 8

系統誤差 - 事象数に対する不定性(VBF category@ 8TeV)

主な系統誤差 Signal (VBF) Z→ττ ttbar Fake τ

Jet/τ energy scale 16% 18% 14% -

Missing Et 0.9% 1.6% 1.2% -

τ 同定効率 4.0% 4.2% 4.1% -

Electron同定効率 2.9% 2.5% 2.9% -

Muon同定効率 0.7% 1.4% 0.9% -

Luminosity 3.6% 3.6% 3.6% -

理論 7.3% 13% - -

Fake Factor - - - 50%

Jet/τ energy scaleが支配的。

→最終結果にはMMC massの分布の違いも考慮する。

2012年3月27日 日本物理学会 春季大会 塙 慶太 9

結果: MMC mass分布

プロセス 事象数(±stat.±sys.)

Signal(125GeV) 4.3 ± 0.3 ± 0.5

Total backgrounds 52.9 ±3.7±11.7

Z→ττ 30.3 ± 1.8 ±10.9

Z→ll 2.5 ± 1.2 ±0.7

ttbar 9.8 ± 1.6 ±1.7

Single top 0.5 ± 0.2 ±0.1

Diboson 1.2 ± 0.3 ±0.6

Fake τ 8.8± 2.5 ± 4.4

- VBF事象選択後のMMC mass分布(最終分離変数)

全ての系統誤差を考慮し、標準模型ヒッグス断面積の上限値を推定。

(次のページ)

2012年3月27日 日本物理学会 春季大会 塙 慶太 10

制限(期待値のみ)

•標準模型棄却能力なし。

•σ/σ(SM)<2.0

(95%CL@mH=125GeV)

•VBFが最も感度が良い。

2011年データ(4.6fb-1:7TeV)と

2012年データ(9.6fb-1:8TeV)をコンバイン

Expected only!

2012年3月27日 日本物理学会 春季大会 塙 慶太 11

まとめと展望 •2011, 2012年取得された4.6(7TeV), 9.6(8TeV)を用いてヒッグス探索、主にττがレプトンとハドロニックタウに崩壊するモードの解析を行った。

•標準模型ヒッグス生成断面積の2倍の発見感度。

Higgs生成の上限期待値:

- σ/σ(SM)<2.0 (95%CL@mH=125GeV)

- 5.1(2012年春) →2.0(本研究結果)

展望

•2012全データ(30fb-1)で予想される

発見感度: 2.0→1.6 @125GeV

•ll,hhチャンネルコンバインでさらなる発見感度向上。

•2012年データを用いた解析最適化。

(現在:2011年データに最適化した解析。)

2012年3月27日 日本物理学会 春季大会 塙 慶太 12

Back up

2012年3月27日 日本物理学会 春季大会 塙 慶太 13

MMC mass 分布(VBF)

VBF(SLT)

2011年 2012年(single lepton trigger)

2012年3月27日 日本物理学会 春季大会 塙 慶太 14

Fake Factor(F.F) Method τ として同定(ID)されない事象(W+jets/QCD dominant)に、Jet→τ のfake factor

をかけることで、fake τ の背景事象を見積もる。

F.FMIX

Anti-τ events - τ IDにかからなかった事象

ATLAS work in progress

Fake Factor

W+jets,QCDのCRで求めたそれぞれのF.Fを、Anti-τ event中のW+jets/QCD比で混ぜたもの。

系統誤差:

•FFのq/gの違いが支配的。

•quark richなsample

(W+jets)で求めたFFのみを使った期待値とgluon

rich(QCD)なFFの差を系統誤差とした。

→50%

2012年3月27日 日本物理学会 春季大会 塙 慶太 15

Jet modeling

Δη(j1,j2)

Z→mumu事象を使ってMCのjet modelingのcheck

Mjj

VBF cutで使う変数はデータとMCシミレーションと良い一致。

DataとMCをΔηjj分布で補正。以下の分布は補正後のもの。

ATLAS work

in progress

ATLAS work

in progress

2012年3月27日 日本物理学会 春季大会 塙 慶太 16

Z→ττ background : embedding method Embedding method - 実データのZ->mumuからZ->τ τ の”shape”を見積もる手法(NormalizationはMC)

1. データからZ->mumu候補を選択する。

2. このmumuをτ τ に置き換えて、その部分だけGeant4simulationを行う。

3. [実データ(mumuの部分は除去)]+[τ τ simulation結果]を混ぜて、イベントを再構成する。

τ 以外は全てdata-driven(pile-up , underlying and Jet activity)

→Jet energy scaleの不定性等を減らすことができる(34%→11%)。

各カットステージでのアクセプタンス

ATLAS work

in progress

Normalization - τ 要求後のMCの数に合わせる。

(Jet,MET等の不定性を防げる)

Normalization後のMass(lep, τ )

Shape - τ 以外全てデータなのでMCより

信頼できる。

ATLAS work

in progress