jstqb al テストアナリスト 概要資料
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©Akira Ikeda
池田 暁(長崎IT技術者会)
於 太田文化の森(東京大田区)
長崎IT技術者会 第1回勉強会
JSTQB Advanced Level テストアナリストの概要
©Akira Ikeda
JSTQBについて
• JSTQBは,NPO法人ASTERが事業としている,ソフトウェアテスト技術についての認定資格
• ISTQBの日本下部団体として,ISTQBに加盟している
• 現在,初級者向けのFoundation level および中級者向けのAdvanced Levelが展開中 (上級者向けのExpert Levelは未展開)
• 日本国内でのソフトウェアテスト技術の認定資格としてはデファクトの位置
• 受験するためには
– 受験費用は21,600円
– ALは受験条件あり(実務年数等)
– 次回は2015/8/29(土)の予定
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Advanced Level テストアナリスト
• Foundation Level の上位に位置
– 上位にExpetrt Level,下位にFoundation Level
• Advanced Level の一つ
– 他にテストマネージャーと,テストテクニカルアナリスト
• 日本語版シラバスがJSTQBによって2015/3/28に公開されたばかり(Version2012.J01)
– 時期的に2016年2月度で試験開始???
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テストアナリストシラバスの概要
• 本資料は池田がシラバスを読んでの印象をベースにまとめています
– 従って,本来ISTQBが意図するところとは違った理解になっている可能性もあります
– 概要解説としてはJSTQBにより,すでに「ISTQBテスト技術者資格制度Advanced Level シラバス 日本語版 概要 Version 2012.J01」が公開されていますので,そちらも参照するとなお良いでしょう
• シラバスを学習するにあたって気をつけないといけないなというところを中心にまとめています
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テストアナリストができること
1. 適切なテスト活動を開発プロセスに適切に実行する(盛り込む).
2. リスク分析による情報をテスト活動の優先順位に反映する.
3. 定義されたカバレッジ基準に基づいて,十分なレベルの信頼性確保を保証するために適切なテスト技法を選択する
4. テスト活動に関連する十分なレベルのドキュメントを提供する.
5. 実行されるべき適切な機能テストのタイプを決定する.
6. 与えられたプロジェクトについてユーザビリティテストのための信頼性を仮定する.
ISTQB:Advanced Level Syllabus (2012) Overview より引用,池田訳
http://www.istqb.org/downloads/finish/46/93.html
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テストアナリストができること
7. 成果物に作り込まれる典型的なミスの知識を応用して,効果的にステークホルダによる公式・非公式のレビューに参画する.
8. 分類されたディフェクト体系を設計・実装する.
9. 効率的なテストプロセスをサポートするためにツールを適用する.
ISTQB:Advanced Level Syllabus (2012) Overview より引用,池田訳
http://www.istqb.org/downloads/finish/46/93.html
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シラバスの目次構成
1. テストプロセス
2. テストマネジメント:テストアナリストの責任
3. テスト技法
4. ソフトウェア品質特性のテスト
5. レビュー
6. 欠陥マネジメント
7. テストツール
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各章の概要
• 1章.テストプロセス
– テストプロセスについて解説しているが,Foundation Level よりも詳細になっている(分析・設計・実装・実行)
• FL:「計画,モニタリング,およびコントロール」「分析と設計」「実装と実行」「終了基準の評価とレポート」「終了作業」
• AL:「計画,モニタリング,およびコントロール」「分析」「設計」「実装」「実行」「終了基準の評価とレポート」「終了作業」
• 特に分析と設計に力点が置かれている印象
– テスト設計にてテストケースを作り,テスト実装でテストの自動化実装や実行順番を決定したり,テストデータを作成するとされ,違和感を生じる可能性があることに注意
– Vモデルのような開発ライフサイクルに加えてイテレーティブ開発・インクリメンタル開発にも言及
– 本性の理解のためにはあらためてISTQBとしてのライフサイクルを理解し,自身の状況と対応づけることが必要である (たとえば池田の場合はテストケース作成は「実装」で行う)
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各章の概要
• 2章.テストマネジメント:テストアナリストの責任
– テストアナリストがテストマネージャに対して,どのような情報やデータを提供するべきかについて解説
– リスクベースドテストを基本的な考え方とし,メトリクスやカバレッジなどに対する適応をについて解説されている印象
– 分散テスト,アウトソーステスト,インソーステストのような24時間テストについての解説
– リスクベースドテストについて,比重を重くして解説
• リスク分析やリスク識別,リスクアセスメントといったことについて解説
• 実際には何か例を挙げて学習をする必要があるが,これまで国内であまりやられてこなかったテストリスク分析についての考え方を導入できるのは有益だと思う
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各章の概要
• 3章.テスト技法
– 仕様ベース,欠陥ベース,経験ベースの技法について解説
– 取り上げられている技法は基本的にFounfation level と大差ないが,解説が深くなっている
• 技法選択のポイントやテストデータ(テストパラメータ)・基準の選択などが解説されているため,実践的にテスト技法を使えるようになるためのガイドとしても良いと思う(Foundatuon Level ではそういった技法があるという理解までにとどまるのでは?)
– 技法としてクラシフィケーションツリーやユーザーストーリーが追加されたが,これは現場で使うかと言われるとちょっと?なところもあるので参考程度にしたほうがよいのかもしれない
• もちろん試験対策として理解しておく必要があるが
– 書かれている内容をうまく利用しようとすると「技法の組み合わせ」についての観点が必要であり,SQuBOKの該当項目が参考になるかもしれない
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各章の概要
• 4章.ソフトウェア品質特性のテスト
– ソフトウェア品質特性モデルの基礎知識を持っておかないと理解が難しくなる
• ISO9126の品質特性を事前学習しておくべきだと思う
– テストアナリストとテクニカルテストアナリストでは扱う特性が異なることに注意
• TA:機能性(セキュリティ以外),使用性
• TTA:機能性(セキュリティ),信頼性,効率性,保守性,移植性
• TTAシラバスと合わせて読んだほうがいい印象
– TAではビジネスドメインとしての機能テストに重点を置いて解説
• 関連する非機能にテストについても解説
• 使用性のテスト,アクセシビリティ
– 今後参照するモデルがISO25000シリーズになることも考えられるため注意
• また,すでに自身の現場が25000シリーズに移行している場合違和感を生じる可能性がある
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各章の概要
• 5章.レビュー
– 欠陥分析やマネジメントの基礎知識が必要であると思う
– レビュー時のテクニックとしてチェックリストがページを割いて挙げられているが,こと日本では昔からチェックリストが多用されてきたため,今さら何で?と思うかもしれない
– 例として挙げられているチェックリスト項目はチェック時の観点として利用できるが,ドメインを網羅しているわけでは無いため,あくまで例としてとどめるのがよさそう
– レビュー時のチェックリストを開発しなければならないという結論のように読める
– TAとしてレビューに参画時の心構え等についてもほとんど解説がなく,学習目標を達成するためには解説が足りないので,これを使える知識とするならば別途レビュー技法そのものを学習する必要がある(3章並みに解説されていれば良かったのだが…)
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各章の概要
• 6章.欠陥マネジメント
– テスト時に発現する欠陥の評価や追跡するための情報,欠陥の分類,根本原因分析について,その考え方を解説
– 日本の企業であれば当たり前のようにやっていることが書かれており,理解は容易だと思う
• 逆に,欧米ではこのあたりやられてないのか?と不思議に思う
– ISTQBとしての欠陥マネジメントは欠陥の分類とステータス管理にしか興味が無く,PDCAのための情報としては考えていない?
• 7章.テストツール
– TAの作業において活用すべきテストツールについて解説
• テスト設計,テストデータ準備,テスト自動実行
• キーワード駆動自動化についても解説あり
– 日本国内ではテストエンジニアはExcelでシコシコみたいな場面を沢山見かけるので,個人的にはこれを手がかりとしてテスト作業のIT化を計ってほしい
©Akira Ikeda
各章の概要
• 7章.テストツール
– TAの作業において活用すべきテストツールについて解説
• テスト設計ツール,テストデータ準備ツール,テスト自動実行ツール
• 主にテスト自動実行ツールに重きが置かれており,
• キーワード駆動自動化についても解説あり
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全体の印象
• 「アナリスト」という単語から受けるイメージと,解説内容は異なる印象
– 名称から,所謂「ビジネスアナリスト」「データアナリスト」的なものをイメージすると違和感が生じる
– テスト活動の中での「分析」という行為に対して焦点が当てられていると理解すると良い
• 非機能テストで扱う特性など「テストテクニカルアナリスト」と分担しているものがあるため,TATシラバスも合わせて読む方がよさそう
– テストマネージャはそれほど結びつきは強くないが,テストテクニカルアナリストとは結びつきが強い印象
• EL-AL-FLの関係を意識して勉強する方がよさそう
– ALのモジュールの分担を理解するために
• テストを少し勉強している人であれば理解は難しくなさそうだが,試験は難しいかもしれない(欧米寄りの印象のため)
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ディスカッション
• TAの考え方について理解できましたか?
• 全体の構成について理解できましたか?
• 各章の概要について理解できましたか?
• 学習するにあたって
– 注意しておくことがありそうですか?
– 業務に役立つことがありそうですか?
– 事前に学習しておくべきことがありそうですか?
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今後の進め方
• 大まかな進め方
– 各章ごとに担当者を決める
– 担当者はその章を自分なりにスライドにまとめてくる
– 合わせて,まとめる際に生じた疑問点を整理してくる
– 参加者は,テーマとなる章を事前に読んで規定のフォーマットに疑問点や議論したいことについてまとめてくる
– 毎回議事録を取る
• 勉強会当日の進め方
– 担当者による発表
– 担当者の疑問点についてディスカッション
– 参加者の疑問点についてディスカッション
– まとめ,議事録の配布(後日でも良い)