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ORACLE.COM/JAVAMAGAZINE // JANUARY/FEBRUARY 2013 COMMUNITY 03 JAVA TECH ABOUT US JAVA IN ACTION blog 2012年12月4~6日にかけ、 ブラジルの サンパウロでJavaOne Brazilが開催され ました。中 南 米 は重 要 な 開 発 拠 点 で あり、ま た今年で3年目となるJavaOne Brazilも定 着しつつあります。「Javaの継続的イノベー ション推進に対する皆さんの努力に感謝し、 今年もまたやって参りました」とオラクルの Henrik Stahl は述べ、JavaOne初日の Java戦略基調講演およびJava技術基調講演 をスタートさせました。Stahlは、Javaの成功 が、技術的イノベーション、オラクルによる堅固 な管理、そしてコミュニティの参加によるもので あることを強調した後、「中南米(特にブラジル) のJavaコミュニティは、Javaへの積極的貢献 という点で模範となるものです」と述べました。 オラクルのGeorges Saabは近々予定さ れているJavaの最新の変更点について取り上 げ、「Java 7の漸進的改良点以外にも、サポート プラットフォームとしてLinux、Windows、およ びOracle Solarisだけでなく、Mac OS Xや、 Linux/ARMを追加して、Raspberry Piおよび 新たなARMベース・マイクロサーバなどのARM ベースPC用プラットフォームの充実を図りまし た」と説明しました。 オラクルの Staffan Friberg は、ラ ムダ式の導入、Permanent Generation (PermGen)ヒープの廃止、Date and Time APIの改良、セキュリティの強化など、Java 8 で実現される改善の概要を説明しました。 オラクルのJudson Althoffの講演は賑や かに開始されました。「Internet of Things(モ ノのインターネット)は今のままではビッグ・ データと衝突することになりますが、この状況 は開発者にとって非常に大きなチャンスでもあ ります」と語りました。Althoffは、燃費や温度、 タイヤ空気圧などのセンサーを組み込んだ車 は1日にペタバイト単位のデータを産み出す可 能性があることを指摘しました。 その次に、タブレットに搭載されたJavaFX やNetBeansのProject Easelなどを紹介す る一連のデモが行われました。 今回のカンファレンスでは、来場者は数十あ るセッションと6つのハンズオン・ラボから選ぶ ことができました。セッションの半分以上はコ ミュニティの選定によるものです。 // java nation / 写真: LUCIANA AITH、ORQUESTRA DE IMA- GENS 未来を見すえた JAVAONE JavaOne Brazil / Henrik Stahl Georges Saab 「Community Keynote」の基調講演 の後、演奏を披露するJavaバンド

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2012年12月4~6日にかけ、ブラジルのサンパウロでJavaOne Brazilが開催されました。中南米は重要な開発拠点であり、また今年で3年目となるJavaOne Brazilも定着しつつあります。「Javaの継続的イノベーション推進に対する皆さんの努力に感謝し、今年もまたやって参りました」とオラクルのHenrik Stahlは述べ、JavaOne初日の

Java戦略基調講演およびJava技術基調講演をスタートさせました。Stahlは、Javaの成功が、技術的イノベーション、オラクルによる堅固な管理、そしてコミュニティの参加によるものであることを強調した後、「中南米(特にブラジル)のJavaコミュニティは、Javaへの積極的貢献という点で模範となるものです」と述べました。オラクルのGeorges Saabは近々予定さ

れているJavaの最新の変更点について取り上げ、「Java 7の漸進的改良点以外にも、サポートプラットフォームとしてLinux、Windows、およびOracle Solarisだけでなく、Mac OS Xや、Linux/ARMを追加して、Raspberry Piおよび新たなARMベース・マイクロサーバなどのARMベースPC用プラットフォームの充実を図りました」と説明しました。 オラクルのStaffan Fr ibergは、ラ

ムダ式の導入、Permanent Generation(PermGen)ヒープの廃止、Date and Time APIの改良、セキュリティの強化など、Java 8で実現される改善の概要を説明しました。オラクルのJudson Althoffの講演は賑や

かに開始されました。「Internet of Things(モノのインターネット)は今のままではビッグ・データと衝突することになりますが、この状況は開発者にとって非常に大きなチャンスでもあります」と語りました。Althoffは、燃費や温度、タイヤ空気圧などのセンサーを組み込んだ車は1日にペタバイト単位のデータを産み出す可能性があることを指摘しました。その次に、タブレットに搭載されたJavaFX

やNetBeansのProject Easelなどを紹介する一連のデモが行われました。今回のカンファレンスでは、来場者は数十あ

るセッションと6つのハンズオン・ラボから選ぶことができました。セッションの半分以上はコミュニティの選定によるものです。

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写真: LUCIANA AITH、ORQUESTRA DE IMA-GENS

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Henrik Stahl

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「Community Keynote」の基調講演の後、演奏を披露するJavaバンド

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//java nation / JavaOne Brazil /

自転車が大好きというJavaのメンバーが、JavaOne Brazilが始まる直前の土曜日に、ヘルメットを着用しオラクルのマスコットDukeが描かれたサイクル・ジャージを着てサンパウロのライド・ツアーに集まりました。今や伝統となったこのプレカンファレンス・ライドには20人以上の自転車好きが参加し、Bicycle Parkから市の中心部まで、自転車専用レーンを使ってサイクリングを楽しみました。走行距離は30kmですが、参加者には途中で地下鉄を利用することが認められています。

ギーク・サイクリスト大集合

DUKE’S CHOICE LAD受賞者表彰今回のJavaOne Brazilでは、イノベーションにあふれるJavaの使い方を称賛する、地方都市では最初のDuke’s Choice Awardsの受賞者が表彰されました。 L A Dを受賞したのは、T Q T V D

Software、TIVIT Software、CPqD財団です。受賞したのはすべてブラジルの団体でしたが、候補は中南米全域から募りました。候補の中には、コロンビアからのNeoTropicのKuwaibaプロジェクトや、VortexbirdのZathura Code Generatorプロジェクトなどがありました。審査員には、SouJava BrazilのYara Senger氏とVinicius Senger氏、ColombiaJUGのAlexis Lopez氏が加わりました。

受賞者についてTQTVD SoftwareのAstroTVプロジェクトは、完全な双方向性、拡張コンテンツ・プログラミング、ポータビリティを実現するGinga仕様に準拠したブラジル製ミドルウェアです。JavaベースのGinga仕様は、デジタル受像機メーカーのハードウェア・プラットフォーム(セットトップ・ボックス)とは無関係に、デジタル・テレビの双方向アプリケーションの開発を可能にする中間ソフトウェア・レイヤーです。AstroTVには300万個以上のデバイスが組み込まれています。TIVIT SoftwareのCentral de

Cessão de Crédito(C3)プロジェクト

は、ブラジルの金融機関同士におけるすべての債権譲渡取引を仲介、管理し、また債権所有権のトラッキングを行う、Javaベースの高性能で、スケーラビリティを備えた、トランザクション対応の分散システムです。ブラジルの金融システムに43億レアルもの損失をもたらした金融機関同士の不適切な債権譲渡取引がBACEN(ブラジル中央銀行)により判明したことに端を発して開発されたものです。CPqD財団のSMTVI(Multiplatform

Services for Digital Interactive TV)プロジェクトは、多くのブラジル人のデジタル・リテラシーを劇的に向上させました。ブラジル国民は財政的理由から、新たに開発されるテクノロジーについて行くことが困難であり、テレビが唯一のテクノロジー・リソースです。このプロジェクトでは、健康、退職、雇用、チャット、天気、ニュース、電子商取引、教育、ゲームといった分野の双方向デジタル・テレビ・アプリケーションの開発を目指しています。Javaテクノロジーを採用したことで、分散型でスケーラブルなサービス・ベース・アーキテクチャの構築が可能になりました。

写真: LUCIANA AITH、ORQUESTRA DE IMAGENS

写真:TORI WIELDTWIELDT写真上:Stephen Chin、TQTVDのDavid Britto氏、Bruno Souza氏、Yara Senger氏(左から)写真中央:Souza氏、Chin、TIVITのEinar Saukas氏およびFabiano Cury氏、Senger氏(左から)写真下:Souza氏、Chin、CPqD財団のSonia Mayumi Kutiishi氏およびHugo Cesar氏、Senger氏( 左から)

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写真提供:DEVOXX

ヨーロッパ最大のJavaカンファレンスであるDevoxxが11月14~16日にベルギーのブリュッセルで開催され、40か国から3,400人が参加しました。チケットは口コミだけで6週間前に完売となり、キャンセル待ちリストには数百人に上る開発者が登録しました。Devoxxは「開発者のための、開発者による」カンファレンスであり、来場者によればこのカンファレンスこそが成功のカギと言われています。200を数える技術セッションで、190人の著名なJavaコミュニティ専門家が最新の製品、フレームワーク、Java言語の改良点などについての講演を行いました。カンファレンスで紹介されたイノベーションには、

Raspberry Pi上で動作するOracle Java SE Embeddedを使った室内ディスプレイ・モニター・インフラストラクチャや、セッションの良し悪しを来場者が評価できるレーティング・アプリケーションなど

がありました。オラクルのJasper Pottsは、カンファレンス来場者向けにJavaFXを使った双方向スケジュール管理システムを開発しました。JavaのEラーニングWebサイトParleysは、HTML5とGlassFishによって設計が一新され、講演者は事前にスライドをオンラインでポスティングし、スライドにサウンドトラックを同期させることが可能になりました。Devoxx 2012の期間中、来場者は体験型のワークショップに参加し、またStephen ChinのNightHackingと、Code Storyと呼ばれるライブ・コーディング・プロジェクトを取り入れたハッカーガーテン(hackergarten)では仲間と一緒にコーディングを楽しむことができました。.5体のダンシング・ヒューマノイドNaoロボットが、

オラクルのNandini Ramaniが行う、技術的進歩と最新のJava組込み技術に関する基調講演を華やかに紹介しました。「Javaは、私たちの周囲にある世界との双方向性を向上させるアプリケーションとデバイスの開発を続けて行きます」とRamaniは述べました。 オラクルの技術者らは、Javaプラットフォームの

改良点について詳細に説明しました。Joe DarcyとDalibor Topicは、JDK 7の最新アップデートおよび近々発表されるJDK 8の特徴について解説しました。Jasper Potts、Jonathan Giles、Jim Weaver、Michael Heinricksは、UIコントロール、TableView、Scene Builderを使った、JavaFXによる効果的なクライアント開発について8つのトーク・セッションを開催しました。Simon Ritter、Stephen Chin、Daniel Blaukopfは、Javaを組み込んだデバイスでのプログラミングやフロントエンド開発をテーマに講演しました。Shaun Smith、Marek Potociar、Arun Gupta、Jitendra Kotamraju、David Delabasseは、3日間にわたるセッション・シリーズで、Java Persistence、JSON処理、JAX-RS、WebSocketの進化について紹介しました。

//java nation /進化するDEVOXX 2012

Devoxx 2012の映像と音声を ご視聴ください。

Devoxxの参加者を迎えるNao ロボットたち(上)。Javaの未来に ついて語るNandini Ramani。

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第1回Devoxx4Kidsワンデー・コーディング・ワークショップが10月13日と20日に、ベルギーのブリュッセルで開催されました(使用言語はフラマン語とフランス語)。講演者の中にはNaoロボットも含まれていて、プログラミングを学ぶ楽しさを話し、空手の演武を披露しました。11歳から14歳までの生徒60人が3つのセッションに参加し、Lego MindstormやMars Roverロボットのプログラミングのほか、ドラッグ&ドロップ・プログラミング・インタフェースScratchを使って、双方向ストーリーやゲーム作りを楽しみました。人気の高いDevoxx Javaカンファレンスを陰で支えるオーガナイザ

のStephan Janssen氏は、自分の息子を見ていてこのイベントを思い付いたと言います。「11歳になる私の息子はプログラミングを勉強したがっていましたが、フラマン語で書かれたコンテンツがなかったのです」とJanssen氏は説明してくれました。Janssen氏は、将来科学やテクノロジー、工学、数学などの道に進もうという少女たちを支援する組織であるGreenlight for Girlsでロボット工学ワークショップを開催しているTasha Carl氏と手を組みました。11月に開催されたDevoxx 2012の基調講演でJanssen氏

は、Javaユーザー・グループや開発者に対して、それぞれの地域でDevoxx4Kidsイベントを開催できるよう、自分のコンテンツやWebインフラストラクチャを公開すると発表しました。「このワークショップは本当に楽しく、しかもやりがいのある経験となります」とJanssen氏は述べています。これまでに、Devoxx4Kidsイベントはオランダ、イギリス、フランスで

開催されています。

NightHacking TourJavaエバンジェリストであるStephen Chinは先頃、3週間かけてBMW製オートバイでヨーロッパを一周するNightHacking Tourを終えました。ChinはDevoxxとJFallの両カンファレンスのほか、5つのJavaユーザー・グループ・イベントに参加し、7か国30人以上のNightHackerにインタビューを行いました。ツアーのハイライトとしては、イギリスのロンドン、ドイツのミュンヘン、イタリアのトリノ、フランスのリヨンおよびパリで開催されたハッキング・イベントや、Aldebaran Roboticsでの舞台裏ツアーなどがあります。Chinによる全インタビューをぜひお聞きください。

Tridium、Oracle Excellence賞を受賞

エンタープライズへのデバイス接続に関するソリューションを開発しているT r i d i umが2012年度のOracle Excellence Award for Java Business Innovationを受賞しました。Javaをベースとした同社のNiagara Frameworkは、通信プロトコルに関係なく、多様なシステムやデバイスを、標準的Webブラウザを使ったインターネット経由の管理やリアル・タイムでのコントロールが容易な統一プラットフォームに統合したものです。このフレームワークは、リモート・エネルギー計測、ホーム・オートメーション、産業プロセス管理を促進するものです。Tridiumは、Java組込みテクノロジーやJava SEを使っ

て、デバイスやシステムの相互接続や双方向通信に加え、デバイスやシステムとコア・エンタープライズ・プラットフォームとの接続や双方向通信に新たな可能性をもたらす企業として知

られています。Niagara Frameworkはすでに、各種事業分野においてさまざまなアプリケーション環境に実装されています。Tridiumでは、組込みテクノロジーからエンタープライズまでJavaプラットフォームを全面的に取り入れ、マイクロデバイス同士を統合し、またマイクロデバイスがコンポーネントとなって構成しているエンタープライズ・アプリケーションへもリンク・バックする均質なソフトウェア環境を作り出しています。

DEVOXX4KIDS

オラクルのYolande Poirierと話すStephen Chin

TridiumのJohn Sublett氏(左)とオラクルのJudson Althoff

写真提供:DEVOXX。TRIDIUMの写真提供:ORANGE PHOTOGRAPHY

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TJavaOne 2012では、日立のOSGi SuperJ Engine Frameworkを配置し、(カンファレンス会場中に設置された)スマート・センサーから収集したデータとクラウドとを統合するデモを実施しました。OSGi SuperJ Engine FrameworkにはOracle Java SE Embeddedを使用しており、スマート・センサーの意思決定インテリジェンスと機器診断機能を実現しています。センサーが2日間に収集した、光、温度、湿度、およびエネルギーに関する測定値は20万件を超えました。生の測定データは(GlobalScale Technologies Miraboxデバイスで動作する)Java Embedded

SuperJ Engineアプリケーションによって処理されました。処理結果はSeeControlクラウドベース・グローバル・データ分析アプリケーションに送られ、照合およびグラフィック表示への処理が行われた後、Web上で公開されました。このデモは、最初のJava Embedded @JavaOneカンファレンスの中心テーマの1つであった、新たなマ

シンツーマシン(M2M)Internet of Things(モノのインターネット)の実例です。

画像: I-Hua Chen

オラクルが先頃、マシンツーマシン(M2M)のマーケット・リサーチ会社Beecham Researchに依頼した調査で、組込みデバイスのリモート・センサーによって収集した情報を分析のためにデータ・センターに転送する自動M2Mデータ処理パイプラインの開発が急激に増加していることが明らかになりました。このグローバル規模で行われた調査では、エンド・ユーザー、主要な相手先ブランド名製造(OEM)メーカー、システム・インテグレータ、モバイル・ネットワーク運営業者、M2Mプラットフォーム・プロバイダなどが対象となりました。 回答者の大半がM2Mデータ・パイプライン

を非常に重要なものであると認識していました。回答者の75%が、M2Mプロジェクトを活用して新しいサービスを作り出していると答えています。ただし、リモート組込みデバイスからデータ・センターに送られてくる大量のデータが新たなパフォーマンス問題を産み出しているとした回答者も85%に達しました。もう1つの課題として、タイムリーな意思決定に使用できるように、データの効率的なフィルタリングと処理が挙げられています。詳細はこちらで確認してください。

M2M 登場間近のデータ・パイプライン

日立、スマート・センサーとクラウドとを統合するデモを実施

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Java.netのMessage Session Relay Protocol(MSRP)プロジェクト(RFC 4975)は、2008 Google Summer of Codeプロジェクトの1つとして立ち上げられました。創設者のJoão Antunes氏が目指したのは、オープン・ソースのJavaビデオ・チャット・アプリケーションであるJitsiに、Session Initiation Protocol(SIP、RFC 3261)経由のファイル転送機能を付与するライブラリの作成でした。Antunes氏が望んだのは単なるJitsiクライアントではなく、ファイル転送機能を必要とするあらゆるJava SIPアプリケーションでコードを使用できるようにするフル・ライブラリを構築することでした。2010年にContactMakersのTom

Uijldert氏が総責任者としてAntunes氏からMSRPプロジェクトを引き継ぎました。現在、そのUijldert氏が開発の中心になって、MSRPライブラリが提供する機能にContactMakersを導入しました。「MSRPライブラリは、SIPコネクティビティと標準ベース・プログラミング・モデルにより、VoIP(Voice over IP)とチャットを1つのプラットフォームに統合する理想的手段です」とUijldert氏は話します。現在ContactMakersでは、ライブラリのコール・センター・プラットフォームへの統合を進めており、またMSRPプロジェクトの企業スポンサーにもなっています。このプロジェクトは短期間で大きな成果

を上げ、2012年11月末には、バージョン1.0.4がリリースされました。「現在、プロジェクトはMSRPピアの要件をすべて実装しています」とAntunes氏は述べています。

「実世界へ配置する準備は整っています」とUijldert氏も付言しています。では次に来るものは何なのか?Uijldert氏

は、Mobicents JAIN SLEEプラットフォームとの統合や、MSRPライブラリC#バージョンの開発など、可能性のある拡張をいくつかあげています。MSRPプロジェクト最大の課題は、セキュリティ保護された通信の追加と、RFC 4976で想定されるリレー機能のサポートであるとUijldert氏は述べています。「追加機能の開発に協力したいという方は、ぜひ連絡をください」とUijldert氏は、プロジェクトへの支援を積極的に呼びかけています。 オープン・ソースとMSRPプロジェクトの

ことを振り返り、Antunes氏は次のように述べました。「オープン・ソースの精神は偉大です。オープン・ソースによって、私たちは世界を前進させることができます。それに、オープン・ソース・プロジェクトへの取組みは、素晴らしい経歴となります。自作のコードに適切なコメントを添えて、効果的なコーディング規約を適用するという単純な作業ですが、プロジェクトで第三者からサポートしてもらえる最善の方法です」。

MSRP

下の図はMSRPコンセプトを図解したものです。

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注目のJAVA.NETプロジェクト

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フィラデルフィア地区Javaユーザー・グループ(PhillyJUG)は、技術系人材紹介業のDave Fecak氏と、ヴィラノーヴァ大学の前教授で、かつて人気を博したJavaテキストブックの共同著者であるJohn Lewis博士とによって2000年に設立されました。2000年3月に開催された第1回会合には約30人の開発者が出席しました。2005年、PhillyJUGはSunのTop 25

プログラムに指名され、その後拡大されたTop 50プログラムでも指名されました。SunのTop 25/Top 50プログラムとは、優秀なJavaユーザー・グループを評価する制度です。「SunのTopプログラムで評価されたことや有力なコネクションにより、Rod Johnson(Spring)、Gavin King(Hibernate)、Marc Fleury(JBoss)、

Neal Ford(ThoughtWorks)、Eric S. Raymond(‘The Cathedral and the Bazaar’)といった、業界で広く知られた人たちからも注目されるようになったのです」とFecak氏は説明してくれました。現在、同グループの電子メール・リストには

1,300人以上のメンバーが登録されています。年に約8回の会合が開催され、毎回100人を超えるメンバーが参加し、著名な講演者による200もの講演が行われています。グループの将来に関してFecak氏は次の

ように述べています。「私たちは今、Java言語からJVM(Java Virtual Machine)へと中心テーマを変えつつあります。その理由は、メンバーたちがJVMの方が最先端の業界トレンドに遅れずについて行けると考えているからです」。Fecak氏は、Javaユーザー・グループの

リーダーの役割についても重視しています。「Javaユーザー・グループのリーダーは常に、どのようにしてメンバーを支援して行くかを考えてもらいたいと思っています。(ベンダーから)グループ会合のスポンサリングの申し出があった場合、私は常にメンバーのために何を得られるかということを問うことにしています。スポンサーは参加者に訴求することを望んでおり、多くのスポンサーが、コミュニティ内に自社ブランドに対する企業の信頼を築こうとしていることを知っています」。しかし、PhillyJUGでは単なる製品デモや営業活動は受け付けていないとFecak氏は述べています。

フィラデルフィア地区JAVAユーザー・グループ

ビジネス上、意思決定にかかわる複雑で数学的な問題をミリ秒単位で解決しなければならず、またその結果が、顧客の財源にきわめて重大な影響を直接与えるとしたら、いったいどのようなプラットフォームを選択しますか。電子金融取引用ソリューションを開発するOptionsCity Softwareが選んだのはJavaでした。10月、そのOptionsCityのFreewayマルチアセット・アルゴリズム取引プラットフォームがChicago Innovation Awardを受賞しました。Chicago Innovation Awardは、シカゴ地域で市場化された革新的な新製品およびサービスに対して贈られる賞です。OptionsCityのクライアント・テクノロジー担当取締役Freddy

Guime氏は今回の受賞を「金融業界におけるJavaのシンデレラ・ストーリー」と呼んでいます。OptionsCity開発チームは「この分野で勝ち抜くために必要な、ミリ秒以下の取引プラットフォームに求められるパフォーマンスを実現するため複雑な問題を解決した」とGuime氏は言っています。 「わが社がプラットフォームとしてJavaを選んだ時、反対する者もありましたが、Javaを選んだことでこの分野にすばやく取り組むことができ、商業的に実現可能な(と私たちが考える)最初のAlgo Trading Platformが生まれたのです。Algo Trading Platformには、アルゴリズム開発者がアルゴリズムの“コンポーネント”を購入できるようにするAlgo Storeというイノベーションも含まれています」とGuime氏は語ってくれました。6年足らずで、無名だったOptionsCityは、シカゴやニューヨーク

のオプション取引プラットフォーム分野でのビッグ・プレーヤに成長しました。新製品の立ち上げに、信頼性に優れた、タイムクリティカルな数学アルゴリズム・パフォーマンスが必要なときは、ぜひJavaを検討してください。

OptionsCity、 Chicago Innovation Awardを受賞

JAVAユーザー・グループの紹介

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Adam Bien氏はドイツ出身で、起業家、アーキテクト、プログラマー、文筆家、講演者として活躍しています。2007年1月に、Java Championとなりました。Java Magazine:ご出身はどちらですか。Bien氏: ドイツ、バイエルン州の小さな町です。Java Magazine: コンピュータやプログラミングに興味を持つようになったきっかけは何ですか。Bien氏: 宇宙船とかエイリアン、UFO、ロボット、ブラックホールなどということにずっと興味がありました。そこからコンピュータへはごく自然に進んで行きました。最初にコンピュータに触ったのは8歳の時です。Java Magazine: 最初のコンピュータと、最初に習得したプログラミング言語を教えてください。B i e n 氏: 最初のコンピュータはZX Spectrum 128Kでした。手に入れたのは12歳の時で、すぐにBasicを使ってプログラミングを始めました。ところが私は、すべてがREMステートメントの中で実行されていると思っていたのです。

プログラムはエラーなくインタプリタされるのですが、実際には何も起こっていないのです。その理由をあれこれ調べました。基本を学んだ後は、GOTOではなくGOSUBという最初のパターンを学習したのが自慢です。Java Magazine: 最初に行ったプログラミングの仕事を教えてください。Bien氏: VAXに搭載された初期オラクル・データベースのワイヤ・プロトコルの最適化でした。VMS OSがなかったので、Linuxを使ってC++コードをコンパイルしました。Java Magazine: 趣味は何ですか。また、リラックスするためにどんなことをしていますか。Bien氏: 何でも楽しむように心がけています。人生は短いですからね。Javaを使ったプログラミングも趣味であり、リラクゼーションだと考えています。いつか、IT系ではない本をもっと読んだり、もっとスポーツをしたりしたいですね。残念ながら今は、そういった読書やスポーツに挑戦しようとして発生する、未チェックの

LackOfTimeExceptionを空のcatchブロックでキャッチしなければなりません。Java Magazine: お休みの日にはどんなことをしますか。Bien氏: できる限り家族と一緒に過ごすようにしています。ただ実際には休みはありません。フリーランサーは、休んだ日の翌日は後悔するものです。Java Magazine: あなたのキャリアの「副次的産物」として、あなた自身がもっとも楽しんでいるのはどのようなことですか。Bien氏: Javaに関しては、新しいことを学ぶ機会が無限にあることです。実際のところ、私にとってJavaは今でも常に新しく、わくわく

した気分にしてくれます。仕事が退屈だなんて感じることはありません。Java Magazine: Javaチャンピオンになったことで日常生活は変わりましたか。Bien氏: Javaチャンピオンとして、JUGリーダーたちと「接触する」ことがあり、世界中でどれだけ多くのJUGイベントが開催されているかを知りました。仕事で出かけて行った時は、ローカルJUGイベントで定期的に講演するようになりました。熱心で、才能がある、確固とした主張を持った多くのJavaチャンピオンと会うのも楽しみです。Java Magazine: 今後の数年間はどのようなものにしたいですか。Bien氏: Javaの近い将来においては、JavaFXやProject Nashorn、ラムダ式、Java EE 7など、興味深い事柄が数多く起きるでしょう。Jigsawが待ち切れません。Javaの未来は輝いています。

JAVA CHAMPIONの紹介

ADAM BIENJAVA SE 6の パブリック・アップ デート終了Java SE 7へのアップデートはお済みでしょうか。fork/join、NIO、Project Coinなどの優れた機能とともに、Java SE 7に関してはアップデートやパッチが定期的に公開されています。Java SE 7が発表されてからすでに1年以上が経過し、ダウンロードはいつでも可能です。JDK 6の最後の公開リリースは2013年2月

にリリースされる予定です。2月19日を過ぎると、Java SE 6およびJava SE 5の新しいセキュリティ・アップデート、パッチ、修正プログラムはMy Oracle Supportからのみ提供されるようになるため、オラクルとの商用ライセンス契約が必要になります。開発者やシステム管理者はJava SE 7に移行するか、Java SE Supportプログラムを通じてアップデートを入手する手続きが必要になります。 Java SE 7への移行準備が整っていないお

客様に関しては、重要なバグ修正プログラムやセキュリティ修正プログラム、さらにはJDK 6の一般的メンテナンスを引き続き利用できるよう、オラクルではJava SE Supportを提供しています。さらに、Oracle Java SE AdvancedおよびOracle Java SE Suiteによって、JavaベースIT環境のデプロイメント、モニタリング、メンテナンスにかかわるコストを最小限に抑える効果的な診断ツールと管理ツールが提供されています。

写真:PIOTR MALECKI/GETTY IMAGES