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中小企業 IT/IoT導入ロードマップ 【本編】 ~IT/IoT導入検討手順書~ 平成30年 2月 経済産業省 中国経済産業局

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Page 1: IT/IoT導入ロードマップ 【本編】 · 中小企業 it/iot導入ロードマップ 【本編】 ~it/iot導入検討手順書~ 平成30年 2月 経済産業省 中国経済産業局

中小企業

IT/IoT導入ロードマップ

【本編】 ~IT/IoT導入検討手順書~

平成30年 2月

経済産業省 中国経済産業局

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目次

目次

ロードマップの構成、利用方法 ......................................................................................................... 1

1.1. 本ロードマップの位置づけ ........................................................................................................... 1

1.2. ロードマップの構成 .................................................................................................................... 1

1.3. ロードマップの利用イメージ ......................................................................................................... 2

全体像 ........................................................................................................................................ 5

作業内容 ..................................................................................................................................... 8

3.1. 検討体制・計画の立案 ............................................................................................................ 8

3.2. 問題提起・課題発掘 ............................................................................................................... 9

3.3. IT/IoT導入の必要性検討 ....................................................................................................... 12

3.4. IT/IoT導入構想立案.............................................................................................................. 14

3.5. 導入効果・費用対効果試算 ................................................................................................... 15

用語集 ...................................................................................................................................... 18

【本書を利用するにあたって】

*が付いている用語については、『4.用語集』(p.18)に詳しい説明がありますので合わせて

確認して下さい。

文章中の『○○○』は、ロードマップの参照先を示しています。該当する箇所と合わせて確認

して下さい。

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1 ロードマップの構成、利用方法

1

ロードマップの構成、利用方法

1.1. 本ロードマップの位置づけ

IT/IoTが日常生活で不可欠な存在となるなか、企業活動においてもIT/IoTをうまく利活用することができ

れば、生産性、売上の向上などに繋げていくことができます。

しかし、全事業者数の99.7%を占め、日本経済を支える中小企業・小規模事業者(以下、中小企業)

においては、IT/IoT導入が進んでいないのが現状です。

その要因の1つに、中小企業にはIT/IoTに対する専門的な知識を有する従業員が少ないことが挙げられ

ます。

そこで、IT/IoTに関心はあるものの、どのようにIT/IoTの導入を検討し、投資判断を行えば良いのかがわか

らずに、苦慮されている中小企業において、専門的な知識が不足していても、IT/IoTの導入に向けて検討が

できるように、一連の手順をまとめたロードマップを作成しました。

なお、既にIT/IoTを利活用している中小企業においては、企業活動の変化に応じてIT/IoTの改修を行っ

ていく必要があります。本ロードマップ*は、そのような場合においても活用することができます。

1.2. ロードマップの構成

本ロードマップは、IT/IoT導入の手順の全体像について示した「ロードマップ(本編)」、IT/IoTを導入する

目標に応じて留意すべき事項についてまとめた「ロードマップ(実施ポイント集)」、検討する過程で作成す

る資料(アウトプット*)のひな型についてまとめた「ロードマップ(ひな型集)」の3つの文書から構成されて

います。

図表 1 ロードマップの文書体系

実施ポイント集

本編

中小企業において、IT/IoTを導入するまでの一連の

流れと工程・アクティビティの内容について記載した

文書

ひな型集

各アクティビティを実施するにあたり、具体的な方法

(ひな型の活用方法など)や実施ポイントをまとめ

た文書

各検討過程で作成する資料のひな型

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1 ロードマップの構成、利用方法

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1.3. ロードマップの利用イメージ

本ロードマップでは、全ての文書に目を通す必要はありません。

各中小企業のIT/IoT導入目標に応じて、該当する文書を参照しながらIT/IoT導入の検討をすることが可

能であり、時間が限られている中小企業においても短時間で効果的に検討が行えるように留意しています。

以下の手順に従って、活用して下さい。

『2. 全体像』(p.5)を確認し、今後、IT/IoT導入に向けて検討を進

める5つの工程と全体像を把握します。

その後、『図表 3』(p.6) に示した『3.1. 検討体制・計画の立案』

(p.8)の工程から順に検討を開始していきます。

『3. 作業内容』(p.8)にて、これから実施する工程がタイトルとなっている章立てを探し、本工程

で実施するアクティビティ*と、アクティビティで実施する作業内容について確認し検討を開始します。

全体像の把握

アクティビティの確認

Step.1 本編 実施ポイント集 ひな型集

Step.2 本編 実施ポイント集 ひな型集

タイトルにより実施する工程を検索

3.X:工程名 (X):アクティビティ名と対応

各アクティビティの概要を確認

サマリー 大まかな実施目標の記載

実施ポイント集 実施ポイント集の記載頁

作成アウトプット 次のステップに向け作成する資料名

(ひな型集の記載頁)

各アクティビティの作業内容を確認

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1 ロードマップの構成、利用方法

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本編で各アクティビティの検討を行うに際し、そのアクティビティについて『実施ポイント集』から該当

するアクティビティを参照し、具体的な方法や実施ポイントを確認します。

『3.2. 問題提起・課題発掘』(p.9)にて導入目標を設定した後は、『実施ポイント集』の頁横

(右又は左)にあるタグの該当するIT/IoTの導入パターンを参照して下さい。

Step.2にてアクティビティの作業内容を確認し、Step.3にて実施ポイントを確認しながら、検討作

業を行って下さい。

次のアクティビティに引き継ぐために、『ひな型集』を活用しながら検討作業を行った結果に係る資

料(アウトプット)を作成して下さい。

アクティビティが完了したら、次のアクティビティに移り、Step.2~Step.4を繰り返し、検討を進めて

下さい。

実施ポイントの確認

検討実施、アウトプット作成

Step.3 本編 実施ポイント集 ひな型集

Step.4 本編 実施ポイント集 ひな型集

本編アクティビティの項目に該当するヘッダー部分を検索

X:工程名 / (X):アクティビティ名と対応

該当するIT/IoTの導入パターン(背景青色白抜き文字)を

検索

各アクティビティの具体的な方法や実施ポイントを確認

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1 ロードマップの構成、利用方法

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ものづくりにおける生産管理システムや、サービス業における顧客管理システムなど、これまでの企業にお

ける「IT」システムは、売上向上、顧客満足度向上といった自社が抱える経営課題を解決する手段とし

て利活用されてきました。

近年、「IoT(モノがネットワークに繋がり、様々なモノから情報が集まり、情報を利活用できるように

なる世界)」を耳にする機会が多いですが、その利活用する目標も「IT」と大きく変わりはありません。

そのため本ロードマップでも、「IT」や「IoT」が、中小企業の抱える経営課題にどのように貢献し得

るのかを、中小企業自らが検討していくための流れを中心に記載します。

ただし、「IoT」の登場に伴い、特にものづくり企業では、経営課題の解決以外の用途でも利活用が

始まりつつあり、それをはじめに紹介しておきます。

それは、自社の経営課題を把握するために「IoT」を利活用することです。

自社が抱えている課題を正確に把握することは容易ではありません。ものづくりであれば、多くの機械や

従業員が稼働しているなか、「どの程度、機械が稼働しているのか」、「どの程度、機械が停止している」な

ど、経営者の目だけで現状を正確に把握することは困難です。しかし、課題を的確に把握していなければ、

解決策として「IT」や「IoT」を利活用することができません。

こうしたなか、センサーが安価に手に入るようになり、「IoT」が身近になってきたことから、現場の実態

を把握する手段として「IoT」が利活用される事例が出始めています。

「IoT」を利活用して現場の実態を把握することで、効果的な改善策を立案することができ、結果と

して有効な「IT」「IoT」システムによる改善に繋げることができるほか、経営者としては自社の状況が

一目でわかるなど、様々な効果を享受することができます。

今後、現場の実態を把握するための「IoT」利活用はさらに拡がると思われます。

他社の「IoT」事例を参考に、検討を始めてみてはいかがでしょうか?

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2 全体像

5

全体像

中小企業において、自社が抱える経営課題の解決のために有効な IT/IoTを導入する際には、『図表 2』

(p. 5)に示す5つの工程を行います。

図表 2 IT/IoTを導入するまでの5つの工程

各工程には、複数のアクティビティが含まれています。

各アクティビティでは、検討結果をアウトプットとして整理しながら検討を進めていくことになります。

5つの工程の全体像を『図表 3』(p.6)に示します。

各工程のアクティビティの詳細について、『3. 作業内容』(p.8)で紹介していきます。

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2 全体像

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図表 3 全体像

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2 全体像

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投資額が限られている中小企業においては、IT/IoTに関する専門的な知識を有する人材が不足してい

ます。設備面や人材面などは自社にもたらす効果がわかりやすいものの、IT/IoTシステムについては自社に

どのような効果が得られるかがすぐには試算しづらいことから、中小企業においてはIT/IoTシステムの普及が

まだまだ進んでいない状況にあります。

そこで本ロードマップは、こうした経営資源の限られた中小企業においても、自社におけるIT/IoTの目標

を設定し、自社にもたらす効果を試算しながら費用対効果を分析できる一助となることを期待しています。

企業活動において、IT/IoTを利活用する場面は様々ですが、代表的な事例としてブランド向上や情報

公開を目的としたホームページやソーシャルメディア*などによる情報発信が挙げられます。

こうした情報発信を目的としたIT/IoTシステムについては、自社のブランド向上や認知度向上といった目

標達成に貢献することが期待されています。そのため、中長期的には販路開拓等自社ビジネスへ波及して

いくことが期待されるものの、短期的にもたらされる売上増や原価抑制といった経済効果を試算することが

難しい側面があります。

そこで、情報発信を目的としたIT/IoT導入については、各社が取組んでいる広告宣伝活動の一環と位

置付けることができますので、チラシ、雑誌や新聞といった媒体による広告といった従来の手段と比較しなが

ら、IT/IoTによる広告宣伝活動に効果が見込め、対価に見合うかを比較しながら、検討を進めて行きまし

ょう。

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3 作業内容

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作業内容

3.1. 検討体制・計画の立案

(1) 検討体制・計画の立案

サマリー 自社の検討体制を整えよう!

着実に検討を進めるためにスケジュールなど

計画を作成しよう!

実施ポイント集 p.2~3

作成アウトプット IT/IoT導入検討計画

(『ひな型集』 p.1)

ア. 検討リーダーの選定

IT/IoT導入の検討を進めていくためには、社内の様々な部門から情報収集を行いながら進めていく必

要があります。また、場合によっては、ITベンダー*など社外の関係者ともやり取りが発生する場合があり

ます。

そこで、IT/IoT導入検討に取組むリーダーを選定して下さい。

また、リーダーの作業量が多いと思われる場合は、必要に応じて検討チームを形成して下さい。

イ. スケジュールの作成

着実に検討を進められるように、『図表 3』(p.6)に示す5つの各工程(『3.1. 検討体制・計画

の立案』(p.8)~『3.5. 導入効果・費用対効果試算』(p.15))と各アクティビティについて、いつ

頃までに作業を完了させていくのか、目標時期を設定します。

工程・アクティビティ毎の詳細なスケジュールについては、検討を進めて行く過程で随時詳細化して行き

ます。

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3 作業内容

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3.2. 問題提起・課題発掘

(1) 導入目標の設定

サマリー 自社にIT/IoT導入をする目標を設定しよ

う!

実施ポイント集 p.4~10

作成アウトプット 目標施策体系図

(『ひな型集』 p.2)

ア. ボトムアップアプローチとトップダウンアプローチ

IT/IoTを利活用できる場面は、生産現場や事務作業のほか、顧客管理や販路開拓など多岐に渡りま

す。そのため、あれもこれもと求めすぎると議論が発散するばかりでまとまらなかったり、なんでもかんでも

詰め込みすぎて自社にとって身の丈に合わないIT/IoT導入構想を立案してしまったり、といった事態を

引き起こします。

そこで、まず自社がIT/IoT導入に取組むための目標を設定します。

目標を設定する方法は、自社で発生している“問題点”や“ニーズ”を幅広く洗い出して自社が取組

むべき「IT/IoTの導入目標」を設定するボトムアップ*アプローチと、経営層の意思に基づいて「IT/IoTの

導入目標」を設定するトップダウン*アプローチがあります。

どちらを採用しても構いませんので、自社のやり易い方法を採用して下さい。

イ. ボトムアップアプローチの進め方

自社が行う様々な活動や場面において、現在抱えている問題点や、今後期待されるニーズを幅広く抽

出し、IT/IoTの利活用が期待される「IT/IoT導入目標」を設定します。

そのため、自社における様々な部門から意見を収集し、出てきた意見を適宜グルーピングしながら、

問題点やニーズを分類し、特に期待される分野を特定していきます。

なお、ここで意見を収集する目的は、目標を設定することにあるため、1つの分野について詳細に洗い

出すことを目的にするのではなく、自社で発生している事項を網羅的に抽出することを目的に実施しまし

ょう。

ウ. トップダウンアプローチの進め方

IT/IoT投資に決定権のある経営者層が、「IT/IoT導入目標」を設定し、検討リーダーに指示します。

自社で作成している「中期経営計画*」などを参考に、自社が達成すべき経営目標から、IT/IoTでの

貢献が期待される目標を設定します。

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3 作業内容

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(2) 課題抽出・最重要課題の設定

サマリー IT/IoT導入目標を達成する上で自社で解

決すべき課題を、社内で協力して漏れなく

洗い出そう!

実施ポイント集 p.11~20

作成アウトプット 問題点・ニーズ×課題

一覧(『ひな型集』 p.3)

ア. 現状調査

自社の業務内容やシステム化状況がわかる資料があれば、課題抽出を効果的に行うことが可能です。

そこで、業務フローやシステム構成資料などを探してみて、関係者へ共有するようにしましょう。

システム構成資料については、現在利用しているシステムを開発したITベンダーからの納品物に含まれ

ていると思われるため、確認してみましょう。

また、同じ導入目標を達成するために取組まれている同業種の取組み事例や、同業種向けに既に販

売されているシステムの事例を調査することで、具体的にイメージし易くなり、課題抽出の観点も拡がるた

め、積極的に調査しましょう。

イ. 関係者へのアンケート、ヒアリングによる抽出

『3.2(1) 導入目標の設定』(p.9)で設定した目標を達成するうえで、自社業務や取り扱っている商

品・サービス、顧客との関係などにおいて、現在、発生している課題について幅広く洗い出します。

課題の洗い出しに際しては、検討チームメンバーが全ての業務を把握していれば問題ありませんが、必

要に応じて関係部門の従業員へアンケートやヒアリングをしながら、漏れなく抽出するようにしましょう。

最低限、関係部門から1名ずつ協力していただきながら、自社に発生している課題を俯瞰的、かつ網

羅的に漏れなく抽出するようにしましょう。

ウ. 課題のグループ化、因果関係の整理

従業員から寄せられた課題については、同じような課題が含まれているものがあると思われます。

そこで、解決策を検討する前に、類似する課題をまとめて(グルーピング)、課題の数を減らしておき

ましょう。

なお、課題については、一方の課題が解決した後にもう一方の課題に取り組むことができる、といったよう

な前後関係がある場合もあるため、課題間の因果関係についても整理しておくと、効率的に解決策の検

討を行うことができます。

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3 作業内容

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エ. 最重要課題の設定

洗い出した課題のうち、導入目標を達成するうえで特に解決することが期待される課題(最重要課題)

を設定します。

多くの課題が抽出されている場合、全ての課題の解決策を検討するには多大な時間がかかるため、

以下の条件に該当する課題は除外して、この時点で課題の絞り込みを行っておきましょう。

課題を解決してもIT/IoT導入目標の達成効果が小さいと思われるもの

想定される解決策の実現性(コスト、期間、技術など)が低いと思われるもの

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3 作業内容

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3.3. IT/IoT導入の必要性検討

(1) 解決策検討

サマリー IT/IoT導入目標の達成に向けて自社の最

重要課題に対して解決策を洗い出そう!

実施ポイント集 p.21~22

作成アウトプット 解決策一覧

(『ひな型集』 p.4)

ア. 最重要課題についての解決策の検討

最重要課題について、解決策を検討します。

なお、必ずしもIT/IoTを利活用した方策が最適とは限りません。場合によっては、人的な対応などア

ナログ*な対応の方が最適な場合も多分にあります。

そのため、IT/IoTありきの解決策を検討するのではなく、また思い込みではなく想定されるあらゆる解

決策を検討するようにしましょう。

イ. 解決策の評価

自社が抱える課題は複数存在し、そのために期待される解決策も多数存在します。

しかし、解決策に取組むために充てることができる経営資源(人材・資金)は有限であるため、優

先順位を付けて取組んでいく必要があります。

そこで、解決策の評価を行います。

課題が多く寄せられているから重要というわけではありません。解決策に取組むことで『3.2(1) 導入

目標の設定』(p.9)で設定した目標が着実に達成できるか、という観点から評価するようにしましょう。

精緻な評価は後工程の『3.5. 導入効果・費用対効果試算』(p.15)にて実施するため、社内メン

バーのこれまでの経験を踏まえながら簡易的に実施しましょう。

ただし、“本当に実現できるのか?”といったようにこれまでの経験だけでは判断しづらい、技術面などの

事項については、必要に応じて外部の専門家へ照会しながら、判断していくようにしましょう。

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3 作業内容

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(2) 最優先解決策検討

サマリー IT/IoT導入目標の達成に向けて特に自社

が取組むべき解決策を絞り込もう!

実施ポイント集 p.23~24

作成アウトプット 解決策一覧

(『ひな型集』 p.4)

ア. 最優先解決策決定

『3.3(1)イ 解決策の評価』(p.12)で実施した評価結果をもとに、各解決策を比較し、自社で取組

むべき最優先の解決策を決定します。

社内メンバーで協議しながら、最終的には経営層の判断のもとで決定するようにして下さい。

決定した最優先解決策が、IT/IoTを利活用しない方法である場合は、IT/IoT導入に向けた検討はこ

こで終了となります。自社で個別に(IT/IoTシステム以外の)対策を進めて下さい。

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3 作業内容

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3.4. IT/IoT導入構想立案

(1) IT/IoT導入構想立案(RFI実施)

サマリー これまでの検討結果をもとにIT/IoT導入構

想をまとめよう!

ITベンダーの専門的な知識を活用して、

IT/IoT導入構想書の精度を高めよう!

実施ポイント集 p.25~29

作成アウトプット IT/IoT導入構想書

RFI依頼文書

RFI結果比較表

(『ひな型集』 p.5~7)

ア. IT/IoT導入構想の立案

これまでの検討結果を踏まえつつ、IT/IoTを導入することで、どういうデータを利活用してどのような処理を

行うのか、またどのような機器でIT/IoTを利活用するのか、といったIT/IoTを導入するための要件を、「IT/IoT

導入構想書」として取りまとめます。

なお、IT/IoT導入の実現方法は、利用する技術や方法により、多数存在します。当然ながら、採用する

方法によって、IT/IoTの導入に必要となる費用も異なります。

そこで、IT/IoT導入構想の実現にあたり、費用対効果の高い方式を選定するために、ITベンダーに導入の

実現方式や導入及び維持(概ね5年間)する際にかかる費用等について情報提供を依頼します。

イ. RFIの実施

① RFI依頼文書の作成

『3.4(1)ア IT/IoT導入構想の立案』(p.14)で作成した「IT/IoT導入構想書」を活用し、ITベンダー

へ依頼するための「RFI*依頼文書」を作成します。

「RFI依頼文書」には、回答期限のほか、費用やスケジュールなど情報提供を依頼したい事項を記載し

ておきます。

② ITベンダーへのRFI文書の送付・回答依頼

『3.4(1)イ.① RFI依頼文書の作成』(p.14)で作成したRFI依頼文書に『3.4(1)ア IT/IoT導入構

想の立案』(p.14)で作成した「IT/IoT導入構想書」を添付し、ITベンダーへ送付し、回答を依頼します。

③ ITベンダーからの回答比較

『3.4(1)イ.② ITベンダーへのRFI文書の送付・回答依頼』(p.14)で依頼したITベンダーからの回答

結果を、各社の提案内容を比較するために、一覧に取りまとめます。

なお、費用面の詳細な比較は次工程『3.5 導入効果・費用対効果試算 (1) 費用試算』(p.15)

で行うため、各社毎に「IT/IoT導入構想書」から逸脱した提案がなされていないか、提案内容の差異は何

かを把握することを目的に比較します。

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3 作業内容

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3.5. 導入効果・費用対効果試算

(1) 費用試算

サマリー IT/IoT導入構想を実現するために必要とな

る費用を把握しよう!

実施ポイント集 p.30~32

作成アウトプット 費用試算表

(『ひな型集』 p.8)

前工程のアクティビティ『3.4(1)イ.③ ITベンダーからの回答比較』(p.14)にて各社の回答内容の差異を

把握したあと、各社が提案する実現方式について、どれくらいのIT/IoT投資が発生するかを試算し、比較しま

す。

費用の試算に際しては、以下の2つのポイントに留意して比較するようにします。

ア. 開発から稼働後までのコストを比較

IT/IoT導入を実現するための費用は、開発中にかかる費用(いわゆる初期費用)だけではなく、稼働

後にかかる費用(いわゆる維持費用)も合わせて比較しましょう。

システムのライフサイクル*は一般的に5年間となっているため、開発費用と5年間の維持費用の全体

費用を最低でも比較するようにしましょう。

イ. システム構成要素に応じたコスト比較

IT/IoT導入の実現に係る費目は、IT/IoTシステムを利活用するための「付帯機器・備品」にかかる費用

と、機能や処理を実現するための「アプリケーション」にかかる費用、そしてアプリケーションが稼働するための

サーバーやソフトウェアといった「サーバー機器等」にかかる費用の、大きく3種類に分類できます(『図表

4』(p.15))。

図表 4 IT/IoTシステムの費目

そこで、3つの費目について、開発中、及び稼働後にかかる費用を細分化し、見積を比較しましょう。

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3 作業内容

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(2) 費用対効果分析

サマリー IT/IoT導入構想を実現した場合の費用対

効果を把握しよう!

実施ポイント集 p.33~35

作成アウトプット 費用対効果分析票

(『ひな型集』 p.9)

IT/IoT導入による費用対効果を分析します。分析結果をもとに、改めてIT/IoT導入に投資する価値があ

るか、導入可否を判断します。

なお、厳密に費用対効果を分析していくためには、経営へのインパクト等を考慮しながら、自社に合わせて

効果の評価軸を設定し、費用対効果を試算する方法を確立する必要があります。そのため、必要に応じて

専門家の助言を得ながら、費用対効果を分析するようにしましょう。

(3) IT/IoT導入計画立案

サマリー IT/IoT導入構想を実現する場合の計画を

作成しよう!

実施ポイント集 p.36

作成アウトプット IT/IoT導入計画

(『ひな型集』 p.10)

IT/IoTの導入に向けて取組むことになった場合は、IT/IoTを導入し、稼働するまでのスケジュールや調達方

法、費用計画等を作成し、計画案として取りまとめます。

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3 作業内容

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ITベンダーとの付き合いの無い中小企業においては、どこまでITベンダーにお願いしていいのか、ITベンダ

ーの言いなりにならないか、と不安に感じておられる方も多いのではないでしょうか?

そこで、IT/IoT業界の慣例について幾つかご紹介しましょう!

IT/IoT業界では、IT/IoTシステムの導入に伴う提案活動は、無償で行っていることが通例となってい

ます。そのため、やりたいことがあったり、できることが知りたかったりした場合は、気軽にITベンダーに相談し

てみましょう。

IT/IoTシステムは、人が設計し、プログラミング*を行って構築されます。そのため、IT/IoTシステムの構

造はそれを作った人が熟知しているため、必然的にIT/IoTシステムを構築したITベンダーが、稼働後の

維持も担っていることが通例となっています。(他社が構築したシステムを維持することは、リスクが高い

ため、あまり行わないのが一般的です。)

よって、新たにIT/IoTを利活用したい場面が発生した際に、現行のIT/IoTシステムを改修する場合に

は、現行ITベンダーの協力が不可欠となるため、現行ITベンダーに積極的に相談しましょう。

しかし、現行ITベンダーだけでは言いなりになる可能性もあるため、新規のITベンダーにも声をかけて

相談するようにしましょう。

IT/IoTシステムを構築するためには、情報技術に関する専門的な知識が求められます。

中小企業において専門的な知識が不足するなかで、ITベンダーからの提案(方法、コストなど)を

評価するためには、出来るだけ多くのITベンダーからの提案を受け、各社の提案内容を比較することが

重要と言えます。また、ITベンダーへ質問等のコミュニケーションを図ることで、ITベンダーが自社のやりたい

ことを理解し、更に精度の高い提案が期待できます。

出来るだけ多くのITベンダーと、コミュニケーションを密にし、検討を進めて行きましょう。

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4 用語集

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用語集

五十音順 アウトプット 対象から外部に何かが出てくること。また、出てきたもの。

【出典:IT用語辞典 e-Words http://e-words.jp/】

アクティビティ 「活動」という意味の英単語。ITの分野では、人間の行動や作業、シス

テムや通信回線の稼働状況、などの意味で用いられることが多い。

【出典:IT用語辞典 e-Words http://e-words.jp/】

アナログ 連続的に変化する物理的な量や状態、あるいは一定のプロセスなどを、

連続的な指標や量で表現すること。

【出典:IT用語辞典バイナリ http://www.sophia-it.com/】

ソーシャルメディア Web上で提供されるサービスのうち、ユーザーの積極的な参加によって成

り立ち、ユーザー間のコミュニケーションをサービスの主要価値として提供す

るサービスの総称。

【出典:IT用語辞典バイナリ http://www.sophia-it.com/】

中期経営計画 企業が中期的に目指す、あるべき姿と現状のギャップを埋めるための計

画。

【出典:グロービス経営大学院 MBA用語集 https://mba.globis.ac.jp】

トップダウン 組織・構造・構成の上位に位置する部分から下位へ向かって、あるいは

全体から細部へ向かって、手続きを進める方式のこと。

【出典:IT用語辞典バイナリ http://www.sophia-it.com/】

プログラミング コンピュータに人間が意図した動作を行わせるための指示の集まり(プロ

グラム)を作成すること。

【出典:IT用語辞典 e-Words http://e-words.jp/】

ボトムアップ 全体のうち下位に位置する側から上位に向かって手続きや伝達を進める

方式のこと。

【出典:IT用語辞典バイナリ http://www.sophia-it.com/】

ライフサイクル 人が誕生してから死ぬまでの過程を円環を模した図で表現したもの。ま

た、転じて、ビジネスの分野で、製品やサービスなどが生まれてから消える

までの過程のこと。

【出典:IT用語辞典 e-Words http://e-words.jp/】

ロードマップ 企業が将来どのような製品をリリースしていくかという計画を時系列でまと

めた図、あるいは表のこと。

【出典:IT用語辞典バイナリ http://www.sophia-it.com/】

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4 用語集

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A-Z ITベンダー 企業が必要とする情報技術に関連した機器やソフトウェア、システム、サ

ービスなどを販売する企業。

【出典:IT用語辞典 e-Words http://e-words.jp/】

RFI 情報システムの導入や業務委託を行うにあたり、発注先候補の業者に

情報提供を依頼する文書(Request for Information)。

調達条件などを決定するために必要な情報を集めるために発行するもの

で、一般的にはこれを元にRFP(提案依頼書)を作成し、具体的な提案

と発注先の選定に移る。

【出典:IT用語辞典 e-Words http://e-words.jp/】

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