instructions for use - huscap · 2019-03-18 ·...
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Instructions for use
Title 弾性砥石による鏡面仕上の研究 : 仕上面性状と加工条件について
Author(s) 三好, 隆志; 斎藤, 勝政
Citation 北海道大學工學部研究報告, 120, 33-44
Issue Date 1984-03-30
Doc URL http://hdl.handle.net/2115/41863
Type bulletin (article)
File Information 120_33-44.pdf
Hokkaido University Collection of Scholarly and Academic Papers : HUSCAP
;1ヒtiri道大学ユニニ単音ド研究幸侵告・
第1.20号・ ([…召牽059 ill>
Bulletin of the Faculty of F..ngineering,
}lol〈kaido University, No. 120 (1984)
弾性砥石による鏡面仕上の研究
仕上面性状と加工条件について
三好隆志 斎藤勝政 (昭和58年1.1月30日受理)
Study on Mirror-FiRishing by an
Elastic Grinding Wheel
-RelatioRs betweeR Finished Surface
Preperties and Grinding Conditions一
Takashi Miyos}一H and Katsui/nasa SAi’ro
(Receivecl }iNJTovember 30, 1983)
Abstruct
It is well known that the PVA sponge wheel (a kind of elastic grinding wheel) is a
very efficient tool for mirror-finishing of soft metals and difficult cutting materials
because of its particular elastic deformation. The mirror-finishing of soft metals
(Al 24 S, 4-6 Brass) and hard metals(SUS-27, S 55 C)are performed by using the
device based on the principle of superfinishing to obtain the relations between the
finished surface properties (surface roughness and specular reflection) and the grinding
conditions.
The following results are obtained :
Q) The surface properties finished with C一一abrasive grain is better than those finished
“Tith WA-grain. Especially, C-grain improves on the surface roughness of soft metals.
(2) The finished surface properties have a tendency to be better with the increase of
grinding speed. The grinding speed of about 450 m/min is suitable for the soft inetals,
while that of about 25e m/min is suitable for the hard metals.
(3) The finished surface properties are better for each material when the applied load
is O.1 MPa (about 1 kg/cm2).
(4) ”1’he PVA sponge wheel can finish the surface of each material to a mirror surface
of less than O.3”m Rmax, when the grinding length is about 150 m.
r。緒 言
鏡面とよばれるような面は,光の半波長(0.3μmRm。、)以下の粗さからなり,高い光沢を示
し,一般に耐摩耗盤,耐ふ食牲という点でも優れ,さらに加工変質層の少ない材’質的にも優秀な
面である。このように金属表面を鏡面に仕上げることは工業上重要なことであり,その加工法は,
加工物の形状,桝質,寸法精度に応じて種々あるが,多くの場合,砥粒加工によっている。
砥粒の摩擦,摩耗の理論およびポリシング機構については,Bowdenによる詳細な研究報告1)
雑『密コニ学禾斗 竪琴脚力日工学第一一講座
34 三好隆志・斎藤勝政 2
があり,砥石による代表的な鏡面仕上加工法である超仕上については,Swigert,浅枝,井上,
松井2)らによって研究されている。これらの研究に用いられた砥石の多くはビトリファイド砥石
であり,被削材は鋼のような比較的硬い金属に限られていた。とくにビトリファイド砥石は軟質
金属やステンレス鋼のような難削材の鏡面仕上には不適であり,このような材料の鏡面仕上には
弾性砥石とよばれるPVA砥石が用いられている。 PVA砥石はPoly Vinyle Alcholをアセター
ル化した縮合樹指発泡体を結合剤としており,この結合剤の特異な変形挙動によって光沢の高い
鏡面が得られるものと考えられている3)。しかしPVA砥石による鏡面仕上の加工条件,またそ
の鏡面仕上機構に関する研究4)は少なく,不明な点が多く残されている。
そこで本研究では,軟質金属であるアルミニウム合金(A124S),4-6黄銅,難削材であるス
テンレス鋼(SUS-27),比較的硬質な高炭素鋼(S55C)と性質の異なる金属材料を被嗣材とし
て用い,超仕上の原理に基づいて鏡面研削実験を行ない,研削面の仕上南国さと光沢の測定から
仕上面性状を評価し,鏡面を得るための加工条件を求めるとr司時にPVA砥石の研削特性および
その鏡面仕上機構について検討したので報告する。
2.実 験 方 法
平形PVA砥石の端面を用いた定荷重,往復運動方式によって鏡面研削実験を行なった。実験
装置(図1)には牧野フライス
斜道NC立フライス盤(KHNCP
-70)を用い,ベシト上に被削
材保持具と一体になっている荷
重装置と,研削液供給装置を固
定した。一方NC立フライス盤
主軸に平形PVA砥石を接着し
たアルミニウム製円板を取付
け,広範囲に可変な主軸の回転
運動に加えて,NC制御装置に
よるY軸方向の往復運動を主軸
に与えた。
実験条件は表1に示すとうり
である。また実験手順は次の要
領で行なった。塁壁材を地薄リ
ーペーパで一方向の条痕が残る
ように仕上げて草加工面を作
り,小坂式SE-3型粗を計で条
痕と直角方向の粗さ断面曲線を
とり,次に試作したファイバオ
プティクス光沢計5-6)で光沢を
測定した。本光沢計はオプティ
カルファイバを利用したもので,
白熱電球からオートコリメータ
.
Fig.
Counter weight
Ball be
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・くモ乙擬忠
∴、PVA sponge
Applied load 冒隠・・
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, Aluminium disk
Set up for obtaining the mirror surfaces
by PVA sponge wheel
3 弾性砥石による鏡彌仕上の研究一佳上雨性状と加工条件について一 35
を通して平行光線とし,この光束を入射光ファイバ東に通して試料表面に垂直に照射し,仕上面
からの正反射方向の反射光を受光ファイバ束で受け,その強度を光電導素子Cdsで電流に変換
し,記録計で読みとるものである。
Table l Experimental conditions
A124 S 4-6Brass SUS-27 S55 C
PVA sponge wheel C,WA400S1 C,WA400S1 C,WA400S1。o
iφ100×10×φ50whee1)
C,WA400S2
Grinding speed 113-754m/min
Grinding time 5-40sec
Applied Ioad 0.05-0.15MPa(0.5-L5kg/cm2)
Coolant kerosene(100cc/mi煎)
Feed rate in
x-axis directiQn0.72m/min(10mm reciprocal motion)
WQrk dimensions φ11.3×15(1cm2)
Pre-ground唐浮窒?ace roughneSS
1.5μmRm。。
i#600emery垂≠垂?r)
1.2μmRm、x
i#400emery垂≠垂?r)
1.0μmRm、。
i≠←320emery垂≠垂?r)
1.0μmRm、、
i紹20emery垂≠垂?r)
Dressing Single point diamond 10μmx5times
前加工面の光沢を測定した後,前便工
面の条痕が研肖扇面とほぼ一致するよう
に被削材を保持具に固定し,平衡荷重を
とり,研削面を砥石面に合せてから所定
の荷重を加え,水準器により水平度を確
かめ一定時問の研潮を行なった。仕上面
については,条痕に垂直方向の粗さ断面
曲線から仕上面面さRma.を求め,また
光沢の測定を行なった。さらに研削前と
研削後の試料の重さを0.01mgまで測定
可能な直示天秤で測定し,研削貸を研削
深さ(μm)に換算して求めた。
3.実験結果と考察
3.1仕上耐生状と加工条俳
ビトリファイド砥石(Vit.砥石)を用
いた超仕上において,ある圧力以上にな
ると砥石減耗が急増するいわゆる臨界圧
力3)が存在し,この臨界圧力以上では良
好な仕上面を得ることができない。そこ
1.6
i.4
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v :464rn/mirt t :15seco 4-6Brass
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e.os o.} o.ls o.2 o.2s
Applied load P CMPa)
Fig.2 Re}ations between applied load and
finished surface properties
でPVA砥石においても良好な仕上面を得るための砥石圧力を選定する必要がある。
図2は各被削材における砥石圧力Pと仕上面粗さRm。、および光沢1の関係である。被劇材に
よって若干の違いはみられるが,0.1MPa(1 kg/cm2)程度の砥石圧力で粗さ,光沢ともに良い
36 三好隆志。斎藤勝政 4
値を示している。これはVit.砥石とtt]twな一種の臨界現象と考えられ,砥石圧力が小さすぎると,
切削能力の小さいPVA砥石では前倒工面の粗さを完全に除去できず,また圧力が大きすぎると
研削抵抗が大きくなるばかりでなく,研削熱の増大によって軟化温度の低いPVA結合剤の結合
力は弱くなり,砥粒の脱落が急増し,仕上面が劣化する。したがって良好な仕上面を得るために
は,1kg/cm2程度の砥石圧力(Vit.砥石においてもP=0.5~1.5kg/cm2で鏡面が得られている2))
が適当であり,以下の実験においてこの砥石圧力を用いた。
1.6
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8窪唱愚錯言。.6
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o
pre-groundsurface rcottghness もエ ど レむ ベユ る
;、誌:: wheel C400S・PVA coolant dryO ls sec load O.IMPa
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rOr:’N.o
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pre-ground Ispecular re[lection
藁sssw seX
工00 200 300 400 500 600 700 800
Grinding speed V (rn/min)
Fig.3 Relations between qrinding speed and finished surface
properties in the absence of coolant
次にA124Sを例にとって,研削液を使用しない場合の研削速度Vと仕上面一さRm、、および光
沢1の関係を,悪筆塒問Tをパラメータにとって図3に示した。研削速度が250m/min程度に
なるといずれの研削時間においても粗さはほぼ改善され,T・・15secでは0.3μmRm。.以下の小さ
な粗さが得られている。しかしそれ以上の速度になると逆に劣化している。また光沢は速度の増
加とともに減少し,研削時間が長いほどその傾向は著るしい。これらの要因として,乾燥の場合,
研削速度が増加し,長時間の研削になると研削温度が高くなり,PVA結合剤は軟化して溶着す
るため光沢は減少しまた粗さも劣化するものと考えられる。以上のことから,良好な仕上面を得
るためには研削液の供給が必要であり,以下の実験では灯油を用いた。
図4はCおよびWA砥粒について各被削材における研削速度Vと仕上面粗さRm。、および光沢
1の関係を示している。(a>,{d)はA124S,4-6黄銅の軟質金属,(c},(b}はSUS-27, S55Cの硬
質金属の場合である。軟質金属の場合,仕上面粗さはC,WA砥石ともにV=450m/min以上に
なるとほぼ一定になっている。また粗さの改善度はC砥粒のほうがすぐれており,例えばV=
464m/min, T・・ 15secで, A124Sは0.3μmRm、.,4-6黄銅で0.2/LmRm、、の男好な仕上面にな
っている。
光沢は。,WA砥粒ともにv= 450m/min程度で最大となり,前傾工面の光沢と比較するとか
なり改善されていることから,研削液の冷却効果が大きいことがわかる。またC理容のほうが光
沢の改善に適しており,とくにA124Sについては顕著である。アルミニウム合金のようにねば
りのある金属は切屑が砥粒切刃に溶着しやすくまた目づまりが生じやすいため,鋭い切:刃をも
ち,へき開性の大きな切削性の良いC砥粒のほうが鏡面仕上に適しているものと考えられる。
5 弾姓砥石による鏡面仕上の研究一仕上面性状と加工条件について一 37
以上の結果から,軟質金属にはC砥粒が適していること,灯油を用いることによって光沢が改
善されること,研削速度は450m/min程度が適当であり,15sec程度の研削時間で迅速に鏡面が
得られることがわかる。
硬質金属の場合,仕上面粗さはC,WA砥粒ともにV・・250m/minになるとほぼ改善され,
V=226m/min, T==30secでいずれの被潮材も0.25μmRm、,の小さな粗さが得られている。光
沢は仕上面粗さと周様1( V・ 2SOm/min程度で最大となり,それ以上速度を増加すると逆に減少
する傾向がある。とく1( S55CのWA砥粒の場合,その傾向が強く, C砥粒のほうが光沢の改善
に適している。
1.6
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o
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surface roughness9摩;;:iin
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work ; A124S
wheel : 400SiPVA
load : e.IMPa
time : 15 sec幽一『馴”一『輯嶋縣一唱陶_璽_
re.9。。und濃
specular reflection
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leo 200 300 4eo soo 600 700 sooGrinding speed V {m/min)
(a) A124S
L41L,2
糞論1・o賃屍
蝕・,8
罷旧 ひの ゆ むロちロ
濡H 邸
s O O.弓u 旧e 掬Ω4 コσコ の
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pre-groundsurfiace roughness
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O WA-grain
e C-grain
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一一一一頓
p=e一一ground
specu ユズ ダむぜユ むしよむれ
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work : 4-6Brass
wheel : 400SiPVA
oolant : kerosene
工Qad O冒1麺Pa
ti冊e 工5 sec
⑧)Eilll:::EX=工a.:
loo 200 3eo 400 soo 600’ 700 soo
Grinding speed V (m/ndn)
(b) 4-6Brass
38 三好隆志・斎藤勝政 6
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pre-grouロd唐浮窒?ac? roughness
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work ;SUS-27@ whee1 : 400SLooPVAbOOlant ; kerosene
@ load ; 0。IMPa
@ ti膿e =30 sec
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leo 200 300 40e seo Grinding speed V Cm/min)
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(c) SUS-27
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pre-ground唐浮窒?ace rouqhness
OWA-grain
RC-garin
work ;S55C
@ wheel;400S2沿VAモ盾盾撃≠獅オ ; kerosene
@ load ;0。1MPa
@ time =30 sec陶 一一 一 哺駒
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pre幽ground唐垂?cu工ar reflection
、、、、@ 、、 、、 、、 、、 軸◎、 、
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IOO 2eo 3eo 400 soo 600Grinding speed v (m/rn±n)
70e 800
(d) S55C
Fig.4 Relations between qrinding speed and surface finished
properties of some different kinds of materials in the
presence of coolant
以上の結果から,軟質金属の場合ほど明確ではないが,C砥粒が仕上面性状の改善に適し,ま
た研削速度250m/min,30secの研削時間で硬質金属を鏡面仕上できることが分かる。軟質金属
7 弾性砥石による鏡而仕上の研究一仕上面性状と加工条件について一 39
の場合と異なるのは,研削速度が約1/2の低速になっていることで,これは研削長さL(VxT)
が同程度でも,高速になると研削墨が誠少するため硬質金属には前野工面の粗さを完全に除表で
きる比較的低い速度が適しているものと考えられる。
2.5
2.e
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冒
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speedo i13 m/nin
e 464 rn/min
画
SO IOO 150 200 Grinding length L {m}
2SO
Fig.5 Re}ations between qrinding length and stock removal
図5はS55Cを例にとって,研削長さしと研削量Hの関係を示したものである。研削長さが同
じであっても低速になるとあきらかに研削量は大きくなり,L=100mで, V ・464m/minの場合
H瞬1μmであるが,V・ 113m/minの低速ではH瞬2μmと2倍になり前加工面の粗さはほ
ぼ完全に除去される。
Table2 Micro-Vickers hardness and stock removal
Micro-VicRers?ardness Hv
148 137 362 260
Stock removaユ
@ (μm)8.2 9.3 L2 1.4
表2には各被削材のマイクロビッカースかたさHvと研削嶽Kを示した。研削長さはいずれの
場合も120mで,研削速度は軟質金属で464m/min,硬質金属で226m/minである。軟質金属の
研:削爆は8~9.5μmと大きいが,硬質金属では1~L5μmと小さな値を示している。したが
って前加工面粗さが仕上面に与える影響を考慮する必要があり,前加工面粗さが大きいときは,
低速で長時聞の加工が必要となる。
図6は研削速度をパラメータにとって,研削長さしと仕上面粗さRm、、および光沢1の関係を
{a)A124Sと(d}SUS-27について示したものである。粗さに関して,いずれの被削材も研削長さ
が長くなるにしたがって改善され,V ・754m/minの高速を除外すると,研削速度,研削蒔間が
異なっても,研削長さが同じであると,仕上面粗さは【司程度の値をとり,A124Sでし ・150m,
SUS-27でL= 100mになるとほぼ改善され,0.3μmRm、,以下の小さな粗さが得られる。
光沢に関しても,粗さの場合と同様な傾向を示し,国劇長さが長くなるにしたがって光沢は改
善されるがA124Sの場合,低速のほうが高い光沢を示し, SUS-27では,高速になっても光沢
は劣化せず高い値を示している。以上の結果から,被削材によって若千の違いはあるが,前加工
4e 三好隆志・斎藤勝政
面粗さが1~1.5PtmR.、、であるなら,120~460m/minの研削速度を用いると,
長さで仕上面性状はほぼ改善され0.3μmRm、,以下の鏡面を得ることができる。
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150mの研削
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£ Pre-ground唐父ムface rouqhness speed WQrk ;A124S
O l13 m/min wheel ;C400S PVA⑦ 188 m/min⑱ 226 m/熱in
“bOOよant kerosene ,「 464 m/min load = 0, 1MPa血 754 m/min
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140 160 180 200
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speedi113 m/m±n226 rn/min464 m/魚in754 m/min
work : SUS-27
wheel : C400SieoPVA
cooiant二 = kerosene
load : O.IMPa
φ噸㊥弓麟
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鑓π一臨寵=瓢=茜=膳幽一一一A『一嘗営一櫓
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ablAI“.,,,ws No
se IOO 150200 2so 30e 3soGrinding length L (m}
(b) SUS-27
400 450 500 5SO
Hg.6 Relations between qrinding length and finished surface properties in
different qrinding speed
9 弾性砥石による鏡蒔仕上の研究一仕上瀬性状と加工条件について一 41
3.2 仕上面糧さと光沢
図7は・4-6黄銅,SUS-27, A124Sの各組削材について全ての組み合せ実験(ただし砥石圧力
は0.05MPa,0.1MPaである)によって得られた仕上面一さRm、.と光沢1の関係を示したもの
である。同じ粗さでも,光沢に違いがみられるのは加工条件すなわち研劇速度,研削時間,砥石
圧力が異なると加工表面の物性値(反射率)に違いが生じるためと考えられる。
1.1
1.O
e.gヨ
g O.8:
’VO
g
属…
曇
蚕。.6
g身
o.s
o o.s e.7 o.6 o.s o.4 o.3 o.2 o.1 o.o Surface reughneSS RInax(h皿}
Fig.7 Relations between surface roughness and specular reflection
in some different kinds of materials
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pre曽ground唐垂?cular reflecヒion
㊦ 調毬一』し一一縛舗卿D③一’Φo
し
0 4-6Brassウ SUS-27
Q A124S
軟質金属の場合,仕上面粗さが小さくなるにしたがって光沢は高くなり,粗さと光沢に比例関
係がみられるが,SUS-27ではほぼ一定になっている。すなわち硬質金属になると前加工面に存
在する深いキズを完全に除去できないため仕上面粗さは前加工面のキズの深さに影響をうけるが,
仕上面の大部分はキズのない平溺な面になっており,照射面の平均強度である光沢はキズのない
鏡面と岡程度の高い値を示すものと考えられる。光沢の改善度(前門工面の光沢に対する0.3μm
Rm、.における光沢の比)は4-6黄銅が1.65と最:も高く,SUS-27の1.5, A124Sの1.35の順
になっている。この原因の一つとして,被肖卿性の違いがあり,4-6黄銅は被削性が良いため,加
工表面の変質層は小さく反射率が高くなっているものと考えられる。
次に実験によって得られた仕上面の鏡面の程度を判定するため,図8の(d)は1例としてS55C
の仕上面に市松模様を写し,その反射像を写真にとって,鮮明度光沢度をみたものである。また
{a)は各々の仕上面反射像に対応する仕上面粗さ断面曲線である。前加工面には1μmRm、。程度の
粗さが存在し市松模様の反射像はみられないが,研削速度226m/minで30sec研削すると
0.3μmRm、、の小さな粗さに変わり鮮明な市松摸様がみられ,光沢のあるいわゆる鏡面に仕上が
っていることがわかる。
42
4.検 討
4.1 PVA砥石とビトリファイ
ド砥石の研削機構
図9に示すようにSUS-27を
例にとって,研削時間Tと仕上
二二さRm。.および光沢1の関
係を使用したPVA砥石と同じ
粒度と砥粒率をもつVit.砥石を
用いて実験し,研削機構の比較
検討を行なった。なお加工条件
は,WA砥粒を用いた他は,
V=226m/min, P;0.1MPaと
PVA砥石の鏡面仕上加工条件
と同じである。
仕上面粗さはPVA砥石の場
合,研削時間が長くなるにした
がって改善され,20sec以上に
なるとほぼ一定になり,T=20sec
で0.3μmRm、、の小さな粗さが
得られているが,Vit.砥石では
時間の経過とともに逆に劣化す
る傾向にあり,T=20secで3.6
μmRm、.と前加工面の粗さより
大きくなっている。光沢はPVA
砥石の場合,T;10sec以上にな
るとほぼ一定になり,O.76Volt
の高い値を示しているが,Vit.
砥石では0.25Voltとなり,前
加工面の光沢以下の値を示して
いる。以上の実験結果から,
SUS-27の鏡面仕上にはPVA
砥石が適していること,そして
PVA砥石とVit.砥石の研削機
構に大きな相異のあることがわ
かる。
Vit.砥石による超仕上の場
合,一般に研削速度は低く数
m/min~数10m/minであり,研
削時間は長く数分である。低速
三好隆志・斎藤勝政 10
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(a) Surface roughness profiles
M V’4..一VS V
Rrnax 1.Ovm O.45um O.3vm O.2um
(b) Reflection images on the finished surfaces
Fig.8 Surface roughness profiles and reflection images
of hard rnetal (S55C)
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o PVA wheel
e vit. wheel
pre-ground/晶晶蹴自蜘ess
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Vg :grain size:
grain:
speed:
SUS-27coolant : kerosene
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28t 響400
WA 227 m/min
specular reflectioij
蝿_1,・c一一一一一一一閏つ一一一一一一一一〇一一口噂一一一一〇一一
1 [
ID 20 30 40 SO Grinding time T (sec)
Fig.9 Differences of finished surface properties between
PVA sponge wheel and Vit. grinding wheel
ll 弾性砥石による鏡礪仕上の研究一仕上面性状と加工条件について一 43
にすることは,仕上面に悪影響を与えるような砥石の振動や,大きな研削抵抗,研削熱の発生を
防ぐためと考えられる。そして超仕上の研削機構は適当な研糊のもとで,長時間研削することに
よって,砥石表面の目づまり,固つぶれを促進させ,この目つぶれ二二と被削材表面の摩擦によっ
て表面の微小突起を機械的または溶融的に平らにして鏡面が得られるものと考えられている1”2)。
しかしPVA砥石の場合,大きな独立気孔をもつ砥石構造のため,切りくずは気孔内部へ逃げ,
切刃表面への溶着や構成刃先は生じにくいこと,また通気性も良いため冷却効果が大きいことが
考えられる。さらに弾性変形が大きいため,砥粒切込み深さは平均化され,被削材表面に深いキ
ズをっけず,切残しのない均一な切劇が行なわれること,粘性も大きいため,砥石の振動を吸収
することが考えられる。このような理曲から,PVA砥石は軟質金属や難削材の鏡面仕上に適し
ているものと考えられる。
4.2 仕上面粗さと研肖帳さ
いずれの被削材の場合も,研削速度が120m/min~460m/min程度なら,仕上面粗さは研削長
さの増加とともに指数関数的に改善されることが3.1節から分った。そこで仕上面粗さRm。、と研
削長さしの関係式を次式のように仮定し,PVA砥石の各被削桝に対する研劇特性を検討した。
Rmax= (Roww Re) (L+ 1 )一a-1一 Re(1)
ここでR。は前門工面の粗さ,R,はし=。。のとき得られる最終仕上丁丁さ, aは仕上面の改善
の容易さを表わす忌数で被削材によって決まると考えられ,改善指数と呼ぶことにする。園10は
(1)式を用い,図6の実験値から最小二乗法によって求められたR,。ax-L曲線である。いずれの
被削材の場合も,士0.5μmRm、、の範囲内で実験値とよく一致していることから,(1)式はRm、.
としの関係を表わす回帰関数として,実用上十分であると考えられる。
1.6
L4
L2
1.O
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凝。・8
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O 4-6Brass
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Ro;pre-grounδ surface roughness R ● Einished surface
ougぬneSS
Rmax#e.04{L+1拶・46+0。工6
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1
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o
so100 ISO 200 250 Grinding Length L (m)
300 3SO
Fig.10 E’stimation of Rmax-L curves by using !east squares method
44 三好隆志・斎藤勝政 12
次に各被削材に対する研削特性を検討する。最終仕上面粗さR,は軟質金属の場合(マイクロ
ビッカースかたさHv嬬140),0.0μ!nRm。、となり,SUS-27の場合(Hv・・一 360),0.16μmRm、。
となることから,硬質金属になると長網間研削しても改善される仕上面粗さに限界がある。一方,
改善指数aも面面材によって異なり,SUS-27の場合0.46と軟質金属(A124Sでa=0.3,4-6黄
鋼でa= O.35)に比べて大きな値を示している。すなわち硬質金属にもかかわらず短かい研削長
さで仕上面粗さは改善されている。また同じ軟質金属でも4-6黄銅のほうがA124Sに比べ容易
に粗さは改善されることが分かる。ここで前打工面の粗さはSUS-27(!雌1Rmax),4-6黄銅
(1.2μmRm、。), A124S(!.5μmR田、のの順に大きくなっていることから,改善細数aは前加工
面の粗さに逆比例しており,粗さが小さいほど容易に改善される。
以上のことから,PVA砥石におけるRm、.としの関係は近似的に{1}式によって表わされる。そ
して改善可能な仕上面粗さは被削材のかたさHvに影響を受け,また改善の容易さは前加工面の
粗さと密接に三智していることがわかる。
5.結 論
PVA弾性砥石によって軟質金属であるアルミニウム合金(A124S),4-6黄銅,および比較
的硬い高炭素鋼(S55C),さらに難削材であるステンレス鋼(SUS-27)を超仕上の原理に基づ
いて,鏡面研削実験を行ない,仕上面性状(粗さと光沢)と加工条件の関係を求め,次のような
結論が得られた。
(1}いずれの被削桝の場合も,WA砥粒よりC砥粒のほうが仕上面性状の改善に適し,とくに軟質
金属に対して,その改善度は大きい。
(2)いずれの被削材の場合も,1kg/cm2程度の砥石圧力が仕上面性状の改善に適している。
(3研削速度の増加とともに,仕上面性状は改善され,最も適当と考えられる研削速度は軟質金属
の場合,450m/min,硬質金属では低速な250m/minである。
(4)120m/min~460m/minの研削速度を用いるなら,研削速度,時間が異なっても,研削長さが
周じであると仕上面粗さは同程度になり,約150mになるといずれの被削材の仕上面性状もほ
ぼ改善され,0.3μmRm、x以下の良好な粗さを得ることができる。
(5最終仕上面粗さは被削材のかたさHvに影響を受け,改善の容易さは前加工面の粗さに関係し
ている。すなわち,Hv,前加工面さが小さいほど良好な仕上面を容易に得ることができる。
参 考 文 献
1)曽田範宗監訳:固体の摩擦と潤滑,養賢堂(19 61>。
2)松艸正己,中里昭三:超仕.上イF業とその原理,養賢堂(19. 65).
3)たとえば
井上 賭:特殊といしPVAについて,日本機械学会誌,57,421(1954)131.
小原 蕉:PVA砥イ『1入門,機械と工具,9(1962)II9.
4)たとえば
五十嵐悟,斎藤勝政:PVA発泡体の内部構造と機械的性質,北大∫}=学部研究報書量,70(1974)26.
五十嵐悟,斎藤勝政二PVA砥石の内部構造と機械的性質,北大工学部研究報告,75(1975>24.
5>斎藤勝政,三好隆志:ファイパオプティクス光沢計の原理,精密機械,40,2(19. 74)129.
6>三好隆志,斎藤勝政:ファイバオプティクス光沢計の特性,精密機械,40,3(1974)227.