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iii.機関情報(マスタ管理機能) 機関情報では、地点登録、認証パスワード変更、入力対象種の設定、情報共有のためのマ スターデータ等の登録を行う。各利用機関がログイン後に利用できる機能である。 地点登録では、観測地点の緯度・経度、地点名、海域を入力し登録する。緯度・経度入力 後に地図上で位置を確認することができる。また、各機関が登録済みの地点を一覧表示し、 「テキスト検索」を行うことができる(図 6-20)。 iv.マスターデータ設定機能 入力地点、気象・海象、水質等の入力項目、並びに赤潮の入力対象種は入力機関でそれぞ れの項目について、各項目のマスターデータを設定することにより入力の対象もしくは非対 象を設定可能である。さらに、調査別にマスターデータを設定可能であり、入力時の操作の 簡便性が高まった(図 6-21)。 6-20.地点登録 6-21.調査別のマスターデータの詳細設定

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Page 1: iii.機関情報(マスタ管理機能) 機関情報では、地点登録、認証 … · ブラウザに分布図を表 ... 全体のセッション数のうち、デスクトップPC、モバイル端末(スマートフォン)及びタブ

iii.機関情報(マスタ管理機能)

機関情報では、地点登録、認証パスワード変更、入力対象種の設定、情報共有のためのマ

スターデータ等の登録を行う。各利用機関がログイン後に利用できる機能である。

地点登録では、観測地点の緯度・経度、地点名、海域を入力し登録する。緯度・経度入力

後に地図上で位置を確認することができる。また、各機関が登録済みの地点を一覧表示し、

「テキスト検索」を行うことができる(図 6-20)。

iv.マスターデータ設定機能

入力地点、気象・海象、水質等の入力項目、並びに赤潮の入力対象種は入力機関でそれぞ

れの項目について、各項目のマスターデータを設定することにより入力の対象もしくは非対

象を設定可能である。さらに、調査別にマスターデータを設定可能であり、入力時の操作の

簡便性が高まった(図 6-21)。

図 6-20.地点登録

図 6-21.調査別のマスターデータの詳細設定

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v.情報共有機能

本機能は、利用機関がウェブシステムにてログイン認証実施後、利用することができる。

各機関は管理者によって登録されたグループに所属し、所属するグループ内での情報の投

稿・閲覧を行うことができる。観測情報等に関連する意見や質問事項等を書き込むことで、

水質・赤潮観測の情報や意見の交換などの場として利用できる(図 6-22)。

vi.ドキュメント作成支援ツール

本機能は、利用機関がウェブシステムにてログイン認証実施後、利用することができる。

ログインした状態で「水質・赤潮分布表示」を表示すると「速報作成支援画面」ボタンが表

示され、モノクロ地図を表示する(図 6-23)。表示データはログイン機関のみ、全機関、参

照機関のみと選択可能としている(いずれも「公表可」のデータのみ表示対象)。

右下の「赤潮発生状況速報の出力」ボタンを押下すると画面の海区、海域、対象種、日付

の選択値でデータベースを検索し Excel ファイルに検索結果をセットし出力(ダウンロード)

する。検索対象となるデータは、ログイン者が「参照可能」なデータに限定されている。

図 6-22.情報共有(コメント入力、閲覧画面)

図 6-23.水質・赤潮分布表示(ログイン後)

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vii.分布図蓄積機能

本処理は Windows のタスクスケジューラで起動し処理を実行する。ブラウザに分布図を表

示させ画像データとして処理し蓄積するクライアントアプリと、クライアントアプリからリ

クエストを受け取って動作するウェブ側の処理からなる機能である(図 6-24)。

クライアント側のアプリケーションでは、分布図の取得、リサイズ、アップロード処理を

行う。分布図は、海区、海域、対象種、日付ごとに取得する。サーバ側ではリクエストを受

け取り、アップロードデータを受信し、該当のフォルダを生成し格納する。

viii.分布図検索機能

本機能は、利用機関がウェブシステムにてログイン認証実施後、利用することができる。

画面で、海区、海域、鞭毛藻等、珪藻、水質、開始日を選択し、表示ボタンを押下すると該

当する分布図を検索し画面上に一覧表示する(図 6-25)。またダウンロードボタンをクリッ

クすると検索結果を圧縮したファイルをダウンロードする。ダウンロードファイルは自己解

凍型で、ファイル名はそれぞれの日付、対象種名を含めている。

図 6-24.画像蓄積処理のイメージ

図 6-25.分布図検索画面

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ix.水温・塩分及び主要赤潮種の時系列図の公表

海域毎の表層(0~1 m)の水温・塩分及び赤潮の主要な 13 種・属の鞭毛藻および珪藻の変

動をグラフで閲覧可能とした。閲覧の開始月日と終了月日は任意とした(図 6-26)。

x.携帯電話での閲覧

「赤潮分布情報」の登録データを携帯電話で閲覧するウェブシステムである。有明海もし

くは八代海の地図上に、「赤潮分布情報」の入力データをプロット表示する。表示対象となる

日付はテキスト入力もしくはボタン操作で前日/翌日に切替える。地図下部には、詳細情報と

して、各地点の地点名・採取時刻・採水層・細胞数をテキスト表示する(図 6-27)。

図 6-27.有明海赤潮分布 携帯版

(詳細情報)

図 6-26.水温・塩分及び主要有害赤潮種の細胞密度の時系列表示

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xi.スマートフォンでの閲覧と情報共有

スマートフォン専用の表示例を図 6-28 に示す(Ver.5.1:平成 28 年 8 月 18 日から公表)。

また、スマートフォンからログインすることにより、「情報共有」への投稿、閲覧が可能であ

る(Ver.5.3:平成 29 年 3 月 1 日から公表)。

ウ データ移行作業

「赤潮等情報ネットワークシステム」と「赤潮分布情報」の統合にともない、平成 27 年度か

ら、「赤潮等情報ネットワークシステム」の下記の既登録データを整理し、「赤潮分布情報」に

順次登録して、データの利活用を図った。

・瀬戸内海全県(和歌山県、高知県を含む)の過去の調査地点情報の登録、水質・赤潮デー

タの整理。

・瀬戸内海西部広域共同調査(平成 20~平成 27 年度)データの整理・登録

② アクセス解析

赤潮分布情報(携帯版を含む)の平成 28 年 1 月から平成 29 年 12 月末までのページ閲覧数、

セッション数を集計した結果は以下の通りであった。

ア ページ閲覧数

平成 29 年の全体のページビュー数は 91,591、ページ別訪問数の合計は 53,693 であった。う

ち、主なページのページ別訪問数とページビュー数は 表 6-13 の通りであった。また、「赤潮

分布情報」の分布表示ページのページビュー数の合計は 56,197 で、その内、海区を指定して表

示した件数では、東シナ海:8,485、瀬戸内海:5,587 となっている。また対象種を指定して表

示した場合は、カレニアミキモトイ:6,030、シャットネラアンティカ:2,081、シャットネラ属:

1,533 と、2017 年夏季に広域に赤潮が発生した種が閲覧されたことがうかがえる。

平成 28 年から平成 29 年にかけて携帯電話用ページのページビューは 2,479 から 912 に減少

したのに対し、スマートフォン用ページのページビューは 2,581 から 9,187 に増加した。

図 6-28.スマートフォン用の表示例

左:「分布図」ページ、右:機関ログイン後の「情報共有」ページ

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表 6-13.ページ閲覧数一覧(平成 28 年と平成 29 年)

コンテンツ ページ ページ別訪問数*1 ページビュー数*2

平成28年 平成29年 平成28年 平成29年

赤潮ネット - 9,787 17,050 12,046 21,667

赤潮分布情報

分布表示ページ(初期表示) 8,653 7,781 20,607 19,551

分布表示ページ(東シナ海) 6,398 6,640 7,943 8,485

分布表示ページ(瀬戸内海) 5,637 4,468 6,963 5,587

分布表示ページ(カレニアミキモトイ) 1,907 1,749 4,415 6,030

分布表示ページ(シャットネラアンティカ) 725 981 1,569 2,081

分布表示ページ(シャットネラ属) 645 583 1,756 1,533

分布表示ページ(シャットネラ合計) 395 457 1,381 1,483

分布表示ページの合計 *3 28,551 29,194 51,587 56,197

時系列図 - - - 1,113

スマートフォン用(分布表示ページ合計) 1,227 4,788 2,581 9,187

携帯電話用(有明海・八代海のみ) ‐ ‐ 2,479 912

総計 *4 43,231 53,693 70,873 91,591

イ セッション数

セッションとはユーザーがサイトを訪問し、ページの閲覧などを行い、サイトを離れるまで

の一連の行動のことである。平成 28 年 1 月から平成 29 年 12 月末までの、セッション数の推移

と、デバイス毎、地域毎のセッション数をまとめた。

a.平成 28 年 1 月から平成 29 年 12 月末までのセッション数

平成 28 年のセッション数は、20,763、平成 29 年のセッション数は 26,686 であり、約 28%

増加している。2 年間の推移を図 6-29 に示す。詳細は不明であるが、平成 29 年 5 月のピーク

はシステムの更新による利用の増加が、8 月のピークはカレニアミキモトイ赤潮による増加が

理由と推察された。

図 6-29.平成 28 年 1 月~平成 28 年 12 月末までのセッション

*1:ページ別訪問数:指定したページが 1 回以上閲覧されたセッションの数。 *2:ページビュー数:閲覧されたページの合計数。同じページが繰り返し表示された場合も集計される。 *3:全ての分布表示ページのページ閲覧数の合計。 *4:全てのページ閲覧数

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b.デバイス毎の内訳

全体のセッション数のうち、デスクトップ PC、モバイル端末(スマートフォン)及びタブ

レット)の各デバイスの内訳は図 6-30 に示した通りで、平成 28 年はデスクトップ PC での利

用が約 79%、モバイル端末からの利用が約 19%であったが、平成 29 年にはモバイル端末から

の利用者が約 26%に増加しており、ユーザーの利用形態がデスクトップパソコンからモバイ

ル端末に移行する傾向がうかがえる。

c.地域毎の内訳

表 6-14.地域別セッション数(平成 28 年、平成 29 年)

地域 セッション

平成 28 年 平成 29 年

東京都 3,270 5,703

長崎県 2,394 3,966

神奈川県 800 2,919

大阪府 2,274 2,655

愛媛県 3,589 2,414

佐賀県 964 941

福岡県 1,351 958

熊本県 836 822

広島県 526 615

鹿児島 1,223 586

総計(国内) 19,950 26,334

図 6-30.ページ閲覧数一覧(平成 28 年と平成 29 年)

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平成 28 年の全体のセッション数 20,763 のうち、国内が 19,950 で、平成 29 年は全体 26,686

のうち国内が 26,334 となっており、国内の利用が 3 割程度増加している。平成 29 年のセッシ

ョン数の上位 10 の都府県は表 6-14 の通りで、現在の対象海域である東シナ海区、瀬戸内海区

に所属する地域からのアクセスが多い。東京都は国の機関及び関係者のアクセスが多いと推

定される。また、このセッション数の内、サイト内の 1 ページだけを閲覧した訪問数は 20%

台と低い数値となっており、サイト内の他のページを順次閲覧する利用者が多いことがうか

がえる。

3)広域赤潮等情報システムの収集・公表の実証試験

有害赤潮による漁業被害の軽減を目的として、本事業により、赤潮及び水質に関する情報を

迅速に収集し、ウェブ上で速やかに公表するシステムである「沿岸海域有害赤潮広域分布情報

システム(「赤潮分布情報」に改称)」を構築し、平成 25 年 6 月より管理・運用してきた。平成

27 年 6 月には、関連する複数の情報収集・提供サイトと統合したポータルサイト「赤潮ネット

(沿岸海域水質・赤潮観測情報)」を新たに開設し、運用を開始した。このことにより、これま

での主に船舶調査によって取得された赤潮の分布や水質に関する情報に加えて、自動観測ブイ

などを用いた連続観測によって得られた観測データや水温予報も同じサイトで収集・公表する

ことが可能となり、より多岐にわたる情報を収集・公表する体制が整備された。

ここでは、今年度、管理・運用したシステムのうち、「赤潮分布情報」及び「公共用水域水質

調査情報」における観測データの収集、公表の状況について記載する。

①「赤潮分布情報」の継続運用

平成 28 年度に「赤潮分布情報」の適用範囲を瀬戸内海東部及び周辺海域に拡張することによ

り、九州西岸域や瀬戸内海域及び周辺海域における関係県や市の機関、漁業協同組合、大学、

及び水産研究・教育機構などから水質や有害赤潮等の分布情報を迅速に収集し、公表すること

ができた。平成 29 年夏季には、伊万里湾、八代海及び豊後水道などの海域で、有害赤潮原因プ

ランクトンの一種カレニアミキモトイによる比較的大規模な赤潮が発生し、伊万里湾では長崎

県と佐賀県で計 6 億円を超える漁業被害が発生した。「赤潮分布情報」で収集、公表された伊万

里湾及び豊後水道における本種の細胞密度の分布を図 6-31、32 に示す。

また、これまでに本システムの観測情報の共有機能の付加や各県の水産試験研究機関等で取

得された赤潮の分布情報を関係機関に報告するためのドキュメント作成支援ツールの追加など、

システムの改良・改善を進めてきた。

本システムの特徴のひとつは、関係機関が取得した観測データ等の情報を、インターネット

環境を利用して自ら登録することにある。したがって、情報の迅速な収集と公表を図る上で、

ユーザーフレンドリーなシステムでなければならない。このため、平成 29 年度も、入力時の手

間を軽減できるように、入力シートの項目の並べ替えが可能となるように、各機関及び調査別

にマスターデータの設定を可能とする改訂を行った。今後も引き続き、インターフェースの改

良に取り組み、例えば、スマートフォンから水質及び赤潮のデータを登録する機能を追加する

など、本システムの改良・改善に取り組んでいく必要がある。

「赤潮分布情報」システムは、水質や赤潮プランクトンに関する情報を迅速に収集して公表

する機能に加えて、データベース機能も備えている。したがって、今後、蓄積された観測デー

タ等の解析を進めることにより、有害赤潮の発生機構の解明等に資することが期待される。

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図6-32.「赤潮分布情報」で収集・公表された豊後水道における有害赤潮原因種カレニアミキモト

イの細胞密度の分布(大分県農林水産研究指導センター水産研究部、愛媛県農林水産研

究所水産研究センターの調査結果による)

図 6-31.「赤潮分布情報」で収集・公表された伊万里湾における有害赤潮原因種カレニアミキモト

イの細胞密度の分布(長崎県水産試験場、佐賀県玄海水産振興センターの調査結果によ

る.カレンダーの黄色表示は、公表データが有ることを示す)

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②「公共用水域水質調査情報」及び「浅海定線調査情報」の開発と運用

有明海及び八代海等の関係県が実施している「公共用水域水質調査」の水質情報等のデータ

については、これまで「赤潮等情報ネットワークシステム」で収集、情報提供がなされてきた。

平成 27 年度に、「公共用水域水質調査」の水質情報等のデータを収集、情報提供するシステム

を新たに開発し、「沿岸海域水質・赤潮観測情報ポータルサイト」上で運用、管理を開始した(図

6-33)。システム構成および主要な機能については、「赤潮分布情報」とほぼ同様である。

平成 29 年度には、水質項目の時系列図表示及び分布図蓄積・検索機能を追加し、引き続き運

用した。本システム(「公共用水域水質調査情報」)で収集、公表された有明海における COD

分布を図 6-34 に示す。

図 6-33.「公共用水域水質調査情報」で収集・公表されたCOD(酸性法)の分布

(福岡県、佐賀県、長崎県及び熊本県の調査結果による)

図 6-33.「公共用水域水質調査情報」と「浅海定線調査情報」

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さらに、平成 29 年度には、有明海沿岸 4 県が毎月の朔の大潮期に実施する「浅海定線調査」

のデータを収集して情報提供するため「浅海定線調査情報」システムを開発した。「浅海定線調

査情報」のデータは「赤潮分布情報」に登録し、「赤潮分布情報」では浅海定線調査の水質デー

タの検索・閲覧が可能である。本システムによる一般への情報提供は平成 30 年 6 月から可能に

なると見込まれる。

今後、「公共用水域水質調査情報」及び「浅海定線調査情報」を運用することで、有明海及び

八代海等の関係県が実施している「公共用水域水質調査」及び「浅海定線調査」の水質情報等

のデータが順次収集され、赤潮だけでなく、貧酸素及びノリ養殖に関する水質環境の情報を漁

業関係者だけでなく、一般に広く提供することが可能となり、漁業振興に有益と考える。

3.5ヶ年のまとめ

(1)関係機関より提供された九州西岸域や瀬戸内海東部海域で取得される水温等の連続観測

データを分布図及びグラフ化し、リアルタイムで情報提供を行った。また、収集したデータを

データベース化し、データの共有を図った。水温の連続観測データなどをもとに、1~2 週間後

までの水温を予測し、水温予報として情報提供した。また、水温予測の精度向上に取り組んだ。

(2)平成 25~29年度における「水温予報」への年間アクセス数は、瀬戸内海域で 11,661~18,063

回(年平均 15,049 回)、有明海及び八代海で 4,695~9,319 回(平均 6,363 回)で、ノリ養殖の生

産工程などに大きく貢献した。両海域とも、ノリの育苗管理の時期にアクセスが増加しており、

単に利用が増加しているだけでなく、ノリの具体的な生産工程で水温予報が活用されているこ

とがうかがわれた。

(3)有害赤潮による漁業被害の防止・軽減を目的として、「赤潮分布情報」(旧称「沿岸海域

水質・赤潮分布情報」)を開発し、平成 25 年 5 月から九州沿岸域及び瀬戸内海西部海域におけ

る水質や有害赤潮プランクトンの細胞密度等のデータを迅速に収集し、情報を漁業者ならびに

一般向けに広く提供した。

(4)平成 27 年 6 月から、「赤潮分布情報」の適用範囲を瀬戸内海東部海域に拡張した。その

後も引き続きデータの登録や公表用のインターフェースを順次改善して、システムの利活用の

促進に取り組んだ。

(5)「赤潮ネット(沿岸海域水質・赤潮観測情報)」(旧称「沿岸海域水質・赤潮観測情報ポー

タルサイト」、https://akashiwo.jp/)を平成 27 年 6 月に開設し、関連する情報提供サイトを統合

して、水質及び赤潮細胞密度等の分布情報の迅速な収集と提供を推進した。

(6)「赤潮等情報ネットワークシステム」に既登録のデータを整理し、「赤潮分布情報」に移

管・登録する作業を進めた。

(7)「赤潮ネット(沿岸海域水質・赤潮観測情報)」のサイトに「公共用水域水質調査情報」、

「浅海定線調査情報」を開発、運用した。

以上により、有明海・八代海及び瀬戸内海における行政による水質と赤潮の観測情報が一カ

所に集約され、データの登録・閲覧が統一したインターフェースでできるようになった。今後、

このシステムを運用することにより、赤潮に関連する水質データ及び赤潮細胞密度の迅速な収

集と公表だけでなく、収集・蓄積されたデータを解析することが可能となり、赤潮発生の予察、

被害軽減に貢献するものと考える。

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平成 29 年度漁場環境・生物多様性保全総合対策委託事業

赤潮・貧酸素水塊対策推進事業

九州海域での有害赤潮・貧酸素水塊発生機構解明と

予察・被害防止等技術開発報告書

発 行 平成30年3月

国立研究開発法人 水産研究・教育機構

編 集 国立研究開発法人 水産研究・教育機構

西海区水産研究所

〒851-2213 長崎市多以良町1551-8

電話 095-860-1600

URL http://snf.fra.affrc.go.jp/