- 地域教育文化学部 の 今 - フィールドプロジェクト文...
TRANSCRIPT
p.2 学部長あいさつp.6 研究室紹介 坂本明美研究室「フレネ教育」p.7 研究室紹介 佐藤宏平研究室「解決志向の心理支援」p.10 新任紹介p.12 卒業生の就職・進路状況
特集Ⅰ
新コース学生インタビュー
児童教育コース・文化創生コース
特集Ⅱ
フィールドプロジェクト
- 地域教育文化学部 の 今 -
p.4
p.8
No.26
地域教育文化学部長
出口
毅
百年の計―記念の年を迎えて―
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現在、大河ドラマで描かれている西郷隆盛を盟主として起こった西南戦争は、1877(明治10)年の出来事です。その1年後の 1878(明治11)年9月に山形師範学校が創立され、今年、140 周年を迎えます。また、教育学部が設置された、1949(昭和 24)年から、来年には山形大学が 70 周年を迎えます。
山形大学において、本学部は改組を繰り返し、学部名称の変更を行いながらも、これまで、義務教育を中心に一貫して教員養成を行ってきました。平成に入ると、いわゆるゼロ免課程の設置を経て、非教員養成学部(一般学部)への改組、そして、少子高齢化に伴い、大幅な規模縮小が行われました。
13 年前にスタートした地域教育文化学部は、教員需要の変動への柔軟な対応を行うという、国立大学においては特異な存在意義を有しており、それでも人材育成の観点からは、地域での社会的役割は大きくなっていると実感しています。私たちの使命は、時代が変わっても、力量ある教員や地域で活躍する有為な人材を社会に送り出すための教育の充実であります。
今般、18 歳人口減が進んだ 2040 年ごろの社会を見据えて、大学など高等教育の将来構想の大胆な提言が検討されています。その中で、約 780 ある国公私立大学の「連携・統合」が具体的に話題となっています。国立大学も例外ではありません。全都道府県に少なくとも 1大学は整備され、地方での有力な進学先にもなっている国立大学が、今後は大学内にとどまらない学部・学科等の大幅な再編などが行われる可能性が大きくなりました。
小職は、4 月から大学改革、大学間連携を担当する副学長を兼務しております。議論されている改革は、大学をたそがれに向かわせるのではなく、大学における教育や研究の質を向上させることが目的でなければなりません。
学制により県立師範学校の設置を奨励した明治時代、「米百俵」の教育にまつわる故事が有名です。140 周年という記念すべき年に、この精神を忘れないようにしたいと思います。
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平成 29 年 4 月から本学部は 1 学科 2 コース制に生まれ変わりました。児童教育コースには「小学校教育プログラム」と大学院教育実践研究科に進学することを前提とした 6 年一貫の「チャレンジプログラム」が、文化創生コースには「心身健康支援プログラム」と「芸術文化創生プログラム」、そして大学院地域教育文化研究科に進学することを前提とした 6 年一貫の「チャレンジプログラム」が用意されており、学生は各コースに所属し、入学後に目標に合わせた履修プログラムを選択します。
今号ではこの春に 2 年生となった 6 人の学生の皆さんに本学部を選んだ理由・現在取り組んでいること・将来の夢や目標について語っていただきました。
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私が、この学部を選んだ理由は、教師になるという夢を叶えるために選んだというのが一番大きいです。私は中学校の数学教員を目指しており、山形大学の地域教育文化学部で数学を勉強して幅広い知識をつけたいと思いました。また、海外に行って教育現場で働いてみたい、海外の教育についても知りたいと思い、この学部を選びました。
大学2年生となって、専門の講義が増えてきて1年生の時よりも忙しくなりましたが、より充実していると感じています。講義では、習ったことのない新しい内容を学べるのでとても発見が多いです。また、講義外の空きコマ等を利用して、友達と出かけたり、海外の友達とご飯を食べたり語学を一緒に学んだりしています。自分の中でやってみたいと思うことを思う存分できています。
今後はさらに、自分の夢である数学の教師になるためにも幅広く知識を増やしていこうと思います。さらに、海外の教育現場で働いてみたいという夢もあるので、語学についても学んで、出来れば留学してさまざまな人と出会って、世界にも目を向けていきたいと考えるようになりました。大学生活の中で自分のやりたいことを全部やって、夢を叶えます。世界でも活躍できるような人になりたいです。
児童教育コース小学校教育プログラム選択 西塔 夏貴
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下段中央が西塔さん
特 集 Ⅰ 新 ーコ スイ ン タ ビ生学 ュ ー
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童童童童童童児児児児児児児私がこの学部を選んだ理由は、将来、地元でもある山形県の小学
校教員になりたいと考えていたからです。そのために、山形に根ざした教育をどの大学で受けられるかと考えたときに山形大学が候補に挙がりました。また、私達の学年から「チャレンジプログラム」が開設されるということもあり、このプログラムに魅力を感じたのも理由の 1 つです。
私は、チャレンジプログラムを専攻しているため、教職大学院の先生が開講する授業も履修しています。チャレンジプログラムを選択して良かったなと思う点は、先生方から実践に基づいた話を沢山お聞きすることが出来るという点です。実務家教員の先生方も沢山いらっしゃるので、実体験に基づいたお話を聞けるのがとても魅力的です。2 年生になり、教育について深く考える機会が増えたように感じます。
児童にとってわかりやすく、そして児童達が成長できる指導を行える教員になりたいです。大学生になり高校生の時より誰かに指導する機会が増え、相手の立場に立って指導することの難しさを感じています。自分に与えられた 6 年間という時間で「児童が成長できる教育」について追求し、児童の気持ちに寄り添うことができる教員になりたいです。
児童教育コースチャレンジプログラム選択 黒澤 里彩
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出身高校:山形県立山形西高校
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出身高校:山形県立寒河江高校
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私が山形大学を選んだ理由は、国立大で音楽をしっかりと学べるからです。私は小さい頃からピアノと作曲に触れる機会があったので、大学でもどちらも勉強したいと思っていました。オープンキャンパスに参加した時、ピアノも作曲も勉強できるということを知り、山形大学に決めました。
1 年生の頃は基盤科目と音楽の両立が大変でしたが 2 年生になってからは音楽に集中できる時間が増えました。ピアノの練習を中心に、作曲を勉強したり、オペラに関わらせていただいたり、やりたいことをやっているので毎日楽しく、1 日 24 時間では足りないくらい充実した学生生活を送っています。
将来の夢は決まっていないので今後の目標になってしまいますが、ピアノはここには書ききれないくらいたくさんの課題があるので、レッスンでご指導していただいたことや、伴奏させていただく中で得たこと、作曲で勉強したことなどすべてを活かして、楽しんで聴いてもらえるような演奏ができるようになりたいです。
文化創生コースチャレンジプログラム選択 及川 優希奈 創創創創創創創
生生生生生生化化化化化化化
文文文文文文文創
文わたしが地域教育文化学部を選んだ理由は、総合大学ならで
はの多くのことが学べるからです。わたしは、美術以外にも、食や心理などにも興味を持っていました。美術以外の観点からも学ぶことで、多様な視野から学び、柔軟な考えが持てるという魅力を感じたのです。
大学生活二年目となった今、わたしは、様々な美術分野の基礎の授業を受けています。造形史、立体造形、平面造形、彫刻、絵画、工芸、デザインなどです。わたしが学びたかった「美術と食」や「食と心理」のように、二つの異なる分野が密接に関わった授業ももちろんありました。例えば、工芸基礎の授業で木を使ったスプーンを作ったりしました。
今後もわたしは、美術はもちろんのこと、他にも広い視野を養うために様々な分野のことを学んでいきたいです。わたしは山形が好きなので、将来は、「地域に貢献できるような職業に就きたい」と考えています。だから、地域と密接に関わったプロジェクトに積極的に参加していきたいです。様々な分野を学ぶことで、将来したいことの選択範囲を広げていきたいです。
文化創生コース芸術文化創生プログラム選択 白林 野花
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生生生
育育育創創創創創創創
生生生生生生化化化化
文文文文私が本学部を選んだのは、小学生の頃より励んできた剣道を学べる大学を模
索していたところ、山形大学剣道部の顧問である竹田隆一教授の研究内容や活動内容を目にする機会に恵まれ、深く共感しました。それを機に竹田先生のもとで剣道について学びたいと思ったからです。
授業では、1 年目に比べてスポーツに関することを様々な視点から学ぶことができており、また、部活動では剣道部員として週に 5 回の練習に取り組んでいます。学業以外のところでは、アルバイトに励んでおり、剣道で鍛えた身体を活かして運搬業を行なっています。
決して「楽な」日々ではないですが、剣道部や同コースの仲間たちと切磋琢磨しながら、充実した学校生活を送っています。
剣道だけでなくスポーツ全般において「感覚的に」ではなく、科学的な視点から技術面のことやコンディショニングなどについての見識を深めていきたいです。そして、それらを活かして、より多くの人たちにスポーツをすることの楽しさやスポーツをすることによってもたらされる恩恵などについて理解してもらい、心身ともに健康な人々を増やせるような仕事に就きたいです。
文化創生コース心身健康支援プログラム選択 藪内 崇彰
生
出身高校:山形県立寒河江高校
出身高校:和歌山県立橋本高校
出身高校:岩手県立水沢高校
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私は、鳥取大学教育学部小学校教員養成課程の授業で、「フレネ教育」に出会いました。「フレネ」とは、セレスタン・フレネ(Célestin FREINET :1896 ~ 1966)というフランスの教育者の名前に由来しています。フレネは、教師が一方的に子どもたちに知識を詰め込む伝統的・画一的な授業を批判しました。「フレネ教育」の実践で大事にしていることについて、少しご紹介させていただきます。
子どもたちの興味・関心をもとに教育の道筋を創出する。子どもたちが思考し、判断し、自ら表現し、その表現を他者とコミュニケーションを図り共有し合うことによって、子どもたち同士の間に対話的関係が生まれ、共同体としての関係を築きながら学ぶ。子どもたちが一人一人の学習リズムに合わせて、学習を自主運営する。子どもたちが自律し、他者と協同する。子どもたちの個性を尊重する。「フレネ教育」では、「フレネ技術」と学習材が柱になっ
ています。「フレネ技術」には、「学校印刷」、「自由テク
スト」、「学校新聞/学校文集」、「学校間通信」、「学校協同組合」、「コンフェランス[自由研究の発表]」、「仕事の計画」などがあります。学習材には、子どもたちが一人一人の進度に合わせて学習するためのカードや、興味・関心のあるテーマについて調べ、深い学びを進めていくための、子ども向けのテーマ別資料小冊子などがあります。フレネはさまざまな教育理論や教育実践を参照しつつ、批判すべき点を明らかにし、自分なりに応用していきました。そして、教師たちを中心とした協同的な教育運動の展開を通して、上述した「フレネ技術」の形成と、学習材の開発に取り組みました。「フレネ教育」は「現代学校運動」と呼ばれ、1957 年には「現代学校運動国際連盟」という組織も創られました。
本学部の生活科に関わる私の担当授業でも、「フレネ教育」から着想を得て、表現とコミュニケーションの実践として、「ふれあいのコーナー」という時間を設けています。
「フレネ教育」
鳥取県鳥取市出身。東京大学大学院教育学研究科博士後期課程を単位修得満期退学。関東地方の複数の大学・小学校・高等学校看護専攻科などの非常勤講師を経て、2005 年 4 月に山形大学教職研究総合センターに講師として着任。2009 年 5 月に同准教授。2015 年4 月より学術研究院(地域教育文化学部担当)准教授。専門は教育方法学。
学術研究院 准教授 坂本 明美 SAKAMOTO Akemi
「生活の基礎」(前期)と「教育実践(生活)」(後期)の授業の冒頭で、毎回数名ずつ、皆に伝えたいことを自由なテーマで発表してもらっています。その発表内容をもとに、受講生同士で交流し合い、コミュニケーションを図っています。
「ふれあいのコーナー」の様子
坂 明 美 研 究 室本
究
室
紹
介
研
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藤 研 室宏 平 究佐
専門は心理支援に関する実践の学である臨床心理学で、学部では、「心理学概論」「臨床心理学概論」といった公認心理師関連の科目や「生徒指導・進路指導」といった教職科目等の講義を担当しています。
また大学院地域教育文化研究科では、将来臨床心理士や公認心理師の取得を目指す学生に対する講義の他、松波キャンパスにある心理教育相談室にて大学院生と共に地域の方を対象とした相談業務を行っています。
一口に心理支援と言っても、その領域は、①教育、②福祉、③保健医療、④司法・矯正、⑤産業とさまざまで、支援の方法も多岐に渡ります。
そうした中、特に力を入れている心理支援の領域は、教育領域や産業領域であり、教育領域では不登校の問題、産業領域では、抑うつや職場不適応の問題です。
また、心理支援を行う上で大切にしている視点のひとつに「解決志向(solution-oriented あるいは solution-focused)」と呼ばれる視点があります。「解決志向」とは、問題に焦点を当て、問題を解決しよ
うとするよりも、すでに存在する解決 ( 問題が存在しない時や望ましい事柄、うまくいっている対応、解決のための資源 ) に焦点を当て、解決を積極的に増やしていくことを重視する考え方です。「勉強になかなか集中できない」といった問題を例にと
ると、勉強に集中できない原因を探し、それを取り除こうと考えるのではなく(問題志向)、比較的勉強に集中して取り組めた時に焦点を当て、その要因や条件を探っていきます。「どうして集中して勉強できないのか」ではなく、「どうして(その時に限って)集中することができたのか」を尋ねます。
この文章を読まれる方の中には、受験生の方も少なからずおられると思いますが、私も今年、公認心理師試験を受けなければならず、数十年ぶりに受験生になりました。なかなか受験勉強にあてる時間が取れない中ではありますが、「こんなときこそ解決志向!」で受験勉強に取り組みたいと思います。
山形県山形市出身。東北大学大学院教育学研究科博士課程後期修了。日本文理大学経営経済学部講師を経て、2003 年 10 月に山形大学教育学部附属教育実践総合センター講師として採用。2015 年4月より学術研究院(地域教育文化学部担当)准教授。専門は臨床心理学。
学術研究院 准教授 佐藤 宏平 SATO Kohei
「解決志向の心理支援」
民話がうまれた地も訪れ、総合的に民話を学ぶ。
小・中学生が自然に親しむために、本学部は山形市理科教育センターと連携して科学体験教室を開催しています。-196℃の液体窒素を使って花やバナナを凍らせたり、一人 1 台ずつ顕微鏡を使って微生物を観察するなど、普段の学校の授業では体験することができない物理・化学・生物・地学の様々な分野の趣向を凝らした実験を行っています。フィールドプロジェクト C ( 科学体験教室 ) では、学部 3 年生がこれらの企画や運営に携わり、子ども達と一緒に科学実験を楽しむことで通常の講義や教育実習では得られない実践的な知識と技能を習得します。理科や子どもが少し苦手…という学生でも、1 年経つと活き活きと子どもと自然に触れ合うことができるようになります。理科離れが叫ばれて久しいですが、子どもは理科が大好きです。目を輝かせて実験に取り組む子ども達の創造性や科学的思考を育む活動に参加してみませんか ?デジカメで顕微鏡写真を撮影する方法を真剣に学ぶ様子。
子どもと自然を楽しもう
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このプロジェクトでは、①鶴の恩返しの舞台である山形県南陽市で語り継がれてきた民話を語り部の方々からご指導を受けて学習し、②憶えた民話を山形市の学童保育で子どもたちに語り聞かせます。①の民話学習を通じて、山形の伝統文化や歴史を体験的に学ぶだけでなく、年長者から学ぶ積極性や自身の成長につなげる柔軟性を育成します。また、②の民話語りでは、子どもたちを楽しませる表現力や企画実行力などを養います。このように、山形の魅力にふれながら、社会人として求められる能力の向上を図るのが、本プログラムのねらいです。
学生たちからは「この体験を通して、地元山形についての理解を存分に深められた」「わかりやすい話し方など人前で話す際の技術を身につけられた。社会に出た時に活かしたい」と感想が寄せられています。
このような学習を通じて、地域の次世代を担う人材の育成を目指しています。
憶えた民話を豊かな表現力で語る。
語 部り 体 験民 話
フィールドプロジェクトフィールドプロジェクト3 年次に開講される本学部の中心科目「フィールドプロジェクト」。この授業は「専門的な “ 知 ” を総合的な “ 実践 ” へとつなげ、地域社会の自律的発展に寄与しうる実践力」を培うことを目的としています。今号ではその中から 3 つのプロジェクトを紹介します。
特集Ⅱ
体 教科 験学
フィールドプロジェクト
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このプロジェクトでは、山形大学文化ホールでピクニックコンサートを行っています。これは小学生以下の子どもたちを対象にしたもので、曲の解説や楽器紹介など、お話を交えながら進行し、子どもたちに音楽のよさや楽しさを味わってもらうことを目的としています。プログラムの一例を紹介すると、まずはジャンケン列車などの音遊びで大学生と子どもたちが仲良くなり、空気が温まったところでピアノ連弾や金管五重奏を解説付きで鑑賞します。最後はみんなで声を合わせて合唱をするといったものです。コンサート終了後は、大学の中庭でお弁当やおやつを食べるピクニックの時間です。演奏した学生も子どもの輪に交じって仲良くピクニックを楽しみます。みなさんもピクニックコンサートに、どうぞ!
液体窒素を使って発生させた人口雲に大喜び。
ニピ ック クコ ン サ ー ト へ よ う こ そ !
室
新しく地域教育文化学部を担当することになった 6 人の教員を紹介します。
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新
任
紹
介
私の専門は日本史で特に日常生活史を研究しています。古い時代ばかりではなく、現代も対象としています。山形市内をブラブラすると、出身の大阪(西)と東北(東)の生活文化の違いをよく感じます。例えば次のようなものです(あくまで主観ですが)。
自動車が自転車や歩行者に対し停止してくれる。関西ではあまり止まる気配はありません。スーパーマーケットに5㎏入り食塩パックが販売されている。関西ではこのサイズを見ません。食パンの種類が少ない。紅ショウガの天ぷらがない。
取るに足りない文化差と思われるでしょう。でも本州中央部を南北に走る U 字型の大地溝帯を境に、日本社会は旧石器時代より東西にわかれ、言葉、風俗、習慣などの文化が異なるといわれています。
つまり他愛もない文化差はきわめて古い東西の文化差に淵源があるかもしれないのです。なぜ文化差が生まれたのか、過去から絡まった糸をほどくのが私の研究です。皆さんも一緒にほどいてみませんか。
ブラ山形~東西文化の違いがオモシロイ~
学術研究院 教授 菅藤 健一 KANTO Kenichi福島県福島市出身。東北大学教育学部卒業。法務省の施設である少年鑑別所、刑務所に勤務し東北地方を中心に転勤を重ねる。北は北海道釧路市から西は石川県金沢市での勤務経験がある。昨年 1 年間、東北学院大学学生支援室に勤務し、障害を有する学生への修学支援のコーディネートを行い、2018 年 4 月より学術研究院(地域教育文化学部担当)教授。主な著書に『犯罪心理学事典』(丸善出版、2016 年)共同執筆他。専門は犯罪心理学、臨床心理学。
これまで長く矯正の現場で勤務し、定年退職後本学に採用されました菅藤でございます。私、山形での生活は、実は 2 度目なのです。1 度目は同じ小白川にある山形少年鑑別所で 2 年間勤務したときです。温かな人情、美味しい食べ物等、懐かしい気持ちがありますが、そこは一期一会、気持ちを新たに頑張っていこうと思います。
日頃心がけていることがあります。ふだん生活している中で、素朴な疑問が生じたら、それを十分にあたためて、繰り返し考える。粘り強く、粘り強く。そうした中でひょんなことからそれが宝物に変わる可能性があるように思うのです。止めたら終わってしまいます。あきらめないで、継続する。このことをこれからも実行していきたいと思っています。
二度目の山形
養護教諭の魅力を伝えたい!「くろやなぎせんせー!」友だちがけがをしたとき、誰かが教室で泣いているとき、下校途中で転んだとき等々、私が勤務してき
た学校の保健室には、何か一大事があると必ず子どもたちが駆け込んできた。養護教諭の職務は法にも示されているところである
が、すべてが児童生徒理解を土台に進められ実際の対応を通してさらにその深化につながるものである。特に養護教諭の行う健康相談は、児童生徒の身体に関する訴えから、職務遂行のなかで得た情報を総合的に活用して心的背景を把握し、子どもを取り巻く人々とつながりながら子どもの自己解決を支えていく。
このことが、特別の場ではなく学校の日常としてあるところがすばらしいところであり、その中核を担う養護教諭の魅力を伝えていくことを今後の私のライフワークとしたい。
山形県新庄市出身。千葉大学教育学部卒業。県内小学校及び山形大学付属小学校養護教諭として 28 年間勤務、その間、山形大学大学院教育学研究科修了。山形県教育庁スポーツ保健課、山形県立特別支援学校教頭を経て、2018 年4月より学術研究院(地域教育文化学部)准教授。 専門は養護教諭論。
学術研究院 准教授畔柳 まゆみ KUROYANAGI Mayumi
大阪府枚方市出身。龍谷大学文学部卒業。京都ノートルダム女子大学非常勤講師・本願寺史料研究所上級研究員を経て、2018 年 4 月より学術研究院(地域教育文化学部担当)教授。主な著書に『神や仏に出会う時』(吉川弘文館、2014 年)。専門は日常生活史 ・ 古文書学。
学術研究院 教授大喜 直彦 Daiki Naohiko
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山形大学に赴任して 3 ヶ月が過ぎようとしています。学部卒の院生、そして現職教員の院生等の皆さんと、「よりよい学校経営や学級経営の在り方等について」学んでいます。また、学外の研修会では、日々最前線で子供の指導にあたられている現場の先生方と、同じようにこのテーマについて語り合う機会があります。そこで出会う学生や先生方に共通する印象は「子供の幸せを心から願っている」素敵な方々だということです。
現在の私は、直接子供を指導し、彼らの成長に関わることはできません。私の大学での役割は、このような素敵な学生や先生方の心に、更なる火をともし、目の前の未来ある子供のために新たな挑戦ができる一助になることだと思っています。一言で言えば、「先生方を元気にすること!」です。
先生の笑顔が学校に溢れれば、そこで暮らす子供も、きっと笑顔になることを信じています。
先生の笑顔輝く学校に!
「キラッキラ!」
昨年の 10 月に、地域教育文化学部の講師として着任いたしました。これまで山形にはご縁がありませんでしたが、初めて山形の風景を見たときに、非常に親近感を抱きました。それは、私の地元の長野の風景とよく似ていたからです。地元を懐かしみながら、四季折々に変化する景色を存分に楽しんでいきたいと思います。
私は、数学教育学の分野に関する研究を行っています。特に、小学校や中学校の子どもたちが算数・数学の授業において、何を考えて、それをどのように表現するのかということについて関心があります。そして、どのようにして子どもたちの思考や表現の質を高めていくかについて考えています。今後も、研究活動を通じて山形の算数・数学教育の発展に貢献したいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
学術研究院 講師平林 真伊 HIRABAYASHI Mai長野県上高井郡小布施町出身。筑波大学大学院人間総合科学研究科博士後期課程学校教育学専攻修了。筑波大学人間系特任研究員を経て 2017 年 10 月より学術研究院(地域教育文化学部担当)講師。専門は数学教育学。
四季折々の変化を楽しみつつ
山頂に残る雪の白。若葉の爽やかな黄緑。さくらんぼの赤。4 月に着任してまだ間もないのに、もうこんなに色鮮やかな自然のもてなしぶりにビックリ目を奪われ
つつ、命の洗濯をさせて貰っています。そして感性や感受性が一番敏感で豊かな年頃の学生諸君も、各々キラッキラと眩しくオーラを発し、
輝いています。自身で体験した事や経験こそが全て音になるのが音楽家。良い事も悪い事も糧になっていけば、お客
様と共有できる部分も増えるのです。だから、これからもまだまだ知らない事に沢山出
会っていけると思うとワクワクします!『みんなちがって みんないい』( 金子みすゞの詩
にあるように ) 彼等からもバンバン刺激や感動を貰い、私自身一音楽家としてまだまだ肥っていけるチャンスを頂いた事に、今私はとても感謝しています。
そうそう、山形の自然は私の青春時代を過ごしたオーストリアの風景に似ているのですよ。本当に。懐かしく、襟を正している今日この頃です。
東京都出身のピアニスト。ウィーン国立音楽大学ピアノ科卒業。2018 年 4月より学術研究院(地域教育文化学部担当)教授。主な著書に『やっぱりピアノが好き!』(土曜美術社,2004 年)。CD も多く発売。専門はピアノ。
学術研究院 教授三輪 郁 MIWA Iku
山形県山形市出身。山形大学教育学部小学校教員養成課程卒業。山形県内公立小学校 14 年・山形県教育センター8年・山形県教育庁教職員室2年の勤務経歴。昨年度まで山形市内の公立小学校に勤務。2018 年4月より学術研究院(大学院教育実践研究科担当)准教授。主な著書に『平成 29 年改訂 小学校教育課程実践講座 総合的な学習の時間』(ぎょうせい、2017 年)分担執筆他。専門は学校・学級経営、生活科・総合的な学習の時間。
学術研究院 准教授高野 浩男 TAKANO Hiroo
Creation26 号をお届けします。表紙は造形芸術コース 3 年生の佐藤 歩さん(イラスト)と金子さつきさん(デザイン)に担当していただきました。
本誌は昨年号から年 1 回増ページでの発行となっております。今号は 2 年目を迎えた新コースの学生インタビュー、3 年次開講の学部の中心科目であるフィールドプロジェクト、6 人の新任教員の紹介に 2 名の教員の研究室紹介等々盛りだくさんの内容でお送りいたしております。なお、最新のニュースについては学部のホームページでもご覧になれますので、是非ともご覧ください。
今後、より良い誌面とするために皆様からのご意見・ご感想を寄せていただければ幸いです。
編集後記
学部ホームページ随時更新中 !http://www.e.yamagata-u.ac.jp/
主 な 就 職 先 教員 北海道教員,岩手県教員,秋田県教員,宮城県教員,山形県教員,福島県教員,栃木県教員,茨城県教員,群馬県教員,
埼玉県教員,千葉県教員,東京都教員,仙台市教員,さいたま市教員,川崎市教員 他
国・自治体 北海道労働局,仙台法務局,東北経済産業局,東北地方刑務官,山形県,千葉県,仙台市,酒田市,鶴岡市,寒河江市, 東根市,山形市,米沢市,長井市,山形県警察 他
企業
JR 東日本㈱,㈱ NTT 東日本 - 東北,アイジー工業㈱,アイリスオーヤマ㈱,㈱エイチ・アイ・エス,オリエンタル酵母工業㈱, カメイ㈱,関東グリコ㈱,協同薬品工業㈱,㈱きらやか銀行,㈱さくらんぼテレビジョン,㈱七十七銀行,㈱シェルター, 全日本空輸㈱,ソフトバンクグループ㈱,㈱でん六,東北電力㈱,㈱ニチレイフーズ山形工場,日新製薬㈱,日東ベスト㈱, 日本食研ホールディングス㈱,㈱富士通システムズ・イースト,㈱星野リゾート,㈱ミツカンホールディングス, 明治安田生命保険 ( 相 ),山形放送㈱,山崎製パン㈱,㈱山野楽器,㈱山形銀行,㈱ワコール 他
進学 秋田大学大学院,大阪大学大学院,お茶の水女子大学大学院,国立音楽大学大学院,東京学芸大学大学院,東北大学大学院 , 福島大学大学院,宮城教育大学大学院,明治学院大学大学院,山形大学大学院 他
進路別
就職者
進学者
その他
卒業者数
業 種 別 教員
企業
農業・林業
鉱業・砕石業・砂利採取業
建設業
製造業
電気・ガス・熱供給・水道業
情報通信業
運輸業・郵便業
卸売業・小売業
金融業・保険業
不動産業・物品賃貸業
学術研究・専門・技術サービス業
宿泊業・飲食サービス業
生活関連サービス業・娯楽業
教育・学習支援業 医療・福祉
総合サービス業
サービス業(
他に分類されないもの
)
公務員(
他に分類されないもの
)
就職者
幼稚園
小学校
中学校
高等学校
特別支援学校
栄養教諭
その他の職種
その他の教育・学習支援業
人数 61 134 21 17 233 0 0 10 16 0 15 3 24 14 0 2 2 7 3 35 19 1 2 1 1 5 2 1 7 25 195
地域教育文化学部 平成 29 年度卒業生 ( 平成 30 年 3 月卒業 ) の就職・進路状況
地域教育文化学部広報誌 Creation 第 26 号 2018 年 8 月 1 日発行
発行:山形大学地域教育文化学部
編集:山形大学地域教育文化学部広報委員会
http://www.e.yamagata-u.ac.jp/
平成 30 年 4 月 1 日現在