hotel first app michal tost - 2015年5月号

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●月刊ビデオジャーナル ● 昭和 43 年 3 月 1 日創刊 ●【発行所】株式会社伸樹社 ●【発行人】立石伸雄 ●〒 160-0006 東京都新宿区舟町 4-4-101 ● TEL.03-3353-9508  ● FAX.03-3357-4846 ● 年間購読料 10,800 円(税込)・一部 980 円(税込) http://www.videojournal.co.jp [email protected] 5 2015 Vol.1300 May ◆ INDEX ◆ 2015 NAB SHOW ◆ 会期中の 4 月 14 日付で発表された 登録入場者数は、103,042 人(暫定値)。 昨年の最終登録入場者数 97,915 人に 比べ、5,127 人(約 5.2%)の増加と なった。入場者数が 10 万人を超える のは、ファイルベース・ワークフロー 2015 NAB SHOW 開催 に焦点が当たった2010年以来のこ ととなる。さらに、今年の出展面積は 1,015,000 平方フィート(94,296.59 平方メートル=東京ドーム約 2 個分) とも発表があったが、出展面積が 100 万平方フィートを超えるのは、LVCC 現サウスホールが完成する前、サン ズ EXPO セ ン タ ー も 使 用 し て い た 2000 年まで遡る(当時の出展面積は 1,023,522平方フィート)。 現在でも、日本・米国・韓国以外の 各国放送市場では、まだまだファイル ベース化・HD 化への移行期ではある が、素材としての 4K 収録は始まって きている地域も出てきている。そんな なか、4K 制作を見つめながら、ファ イルベース制作をスムースに行うため の次世代ワークフローの構築に向けた 関心が高まってきているようだ。昨年 の NAB SHOW では、スポーツなど の速い動きのある番組などで 4K を活 用するためには、60p での収録が標 準として受け入れられるようになり、 風向きが変わった。それに伴い、今年 の NAB SHOW では、4K60p の制作 環境をどのように構築するのか、HD 制作環境からのマイグレーションも含 めて、関心が高まった。 振り返れば、入場者数 10 万人超・ 出展面積100万平方フィート超と なった 2000 年は、次世代コンテン ツ制作環境として HD リアルタイム編 集環境と HD リアルタイム合成環境 の素材をネットワーク活用で共有する ワークフローに焦点が当たった年だっ た。以降、2005 年にテープレスカメ ラが登場しファイルベース化の産声が 聞こえるまで、ワークフローのダウン サイジングと効率化の模索が続いた。 今年の NAB SHOW は、当時の激 変するワークフロー変革期にも似た会 場の雰囲気が感じられた。高解像度・ 高品質・大容量ファイルをいかにス ムースに流し、効率的に制作を行い放 送/配信し、制作後にアーカイブして いくか。既存の設備をどのようにリプ レイスしていくのか。これからの数年 は、まさに新しい次世代コンテンツ制 作に最適化した次世代ワークフローの 構築期に入る。制作時の単なる素材管 理だけでなく、撮影、インジェスト、 編集、アーカイブ、送出/配信、2 次 利用など、制作ワークフロー全体で次 世代環境を模索していくことになるこ とを感じさせる NAB SHOW だった。 (イメージアイ 秋山謙一) 次世代コンテンツ制作に最適化する 新たなワークフロー構築時期が到来 2015 NAB SHOW(全米放送機器展、主催:全米放送事業者協会)がラス ベガスコンベンションセンター(米国ネバダ州ラスベガス、以下 LVCC)で 4 月 11 日から 16 日まで(展示は 13 日から)6 日間の日程で開催された。 4K60p の必要性が理解された昨年の NAB SHOW を受け、今年は次世代高 精細コンテンツ制作するためのワークフロー構築に向けて動き出した。 ◎ 2 面:ソニー、4K スタジオカメラ、4K プレーヤーなど 4K コンテンツ制作に必要な機材を拡充 ◎ 4 面:パナソニック、4/3 型センサーと V-Log L を搭載したフル 4K カムコーダー AG-DVX200 を発表 ◎ 5 面:池上通信機、既存レンス資産を生かす 2/3 型センサー 4K システムカメラを技術展示 ◎ 5 面:Bluefish444、各カードが Avid Media Composer / DNxHR に対応 ◎ 6 面:キヤノン、4K / UHD 制作向けに EOS C300 Mark II と XC10 を出展 ◎ 7 面:朋栄、撮影からスイッチングまで信号処理に関わる 4K ソリューションを展示 ◎ 10 面:岡英史の ViewFinder 〜 2015 NAB SHOW 〜

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Page 1: Hotel First App Michal Tost - 2015年5月号

●月刊ビデオジャーナル ● 昭和 43 年 3 月 1 日創刊●【発行所】株式会社伸樹社 ●【発行人】立石伸雄●〒 160-0006 東京都新宿区舟町 4-4-101● TEL.03-3353-9508  ● FAX.03-3357-4846● 年間購読料 10,800 円(税込)・一部 980 円(税込)● http://www.videojournal.co.jp ● [email protected] 2 0 1 5

Vol.1300May

◆ INDEX ◆ 2015 NAB SHOW ◆

 会期中の 4 月 14 日付で発表された登録入場者数は、103,042人(暫定値)。昨年の最終登録入場者数 97,915 人に比べ、5,127 人(約 5.2%)の増加となった。入場者数が 10 万人を超えるのは、ファイルベース・ワークフロー

2015 NAB SHOW 開催

に焦点が当たった 2010 年以来のこととなる。さらに、今年の出展面積は1,015,000 平方フィート(94,296.59平方メートル=東京ドーム約 2 個分)とも発表があったが、出展面積が 100万平方フィートを超えるのは、LVCC

現サウスホールが完成する前、サンズ EXPO セ ン タ ー も 使 用 し て い た2000 年まで遡る(当時の出展面積は1,023,522 平方フィート)。 現在でも、日本・米国・韓国以外の各国放送市場では、まだまだファイルベース化・HD 化への移行期ではあるが、素材としての 4K 収録は始まってきている地域も出てきている。そんななか、4K 制作を見つめながら、ファイルベース制作をスムースに行うための次世代ワークフローの構築に向けた関心が高まってきているようだ。昨年の NAB SHOW では、スポーツなどの速い動きのある番組などで 4K を活用するためには、60p での収録が標準として受け入れられるようになり、風向きが変わった。それに伴い、今年の NAB SHOW では、4K60p の制作環境をどのように構築するのか、HD制作環境からのマイグレーションも含めて、関心が高まった。 振り返れば、入場者数 10 万人超・出展面積 100 万平方フィート超となった 2000 年は、次世代コンテン

ツ制作環境として HD リアルタイム編集環境と HD リアルタイム合成環境の素材をネットワーク活用で共有するワークフローに焦点が当たった年だった。以降、2005 年にテープレスカメラが登場しファイルベース化の産声が聞こえるまで、ワークフローのダウンサイジングと効率化の模索が続いた。 今年の NAB SHOW は、当時の激変するワークフロー変革期にも似た会場の雰囲気が感じられた。高解像度・高品質・大容量ファイルをいかにスムースに流し、効率的に制作を行い放送/配信し、制作後にアーカイブしていくか。既存の設備をどのようにリプレイスしていくのか。これからの数年は、まさに新しい次世代コンテンツ制作に最適化した次世代ワークフローの構築期に入る。制作時の単なる素材管理だけでなく、撮影、インジェスト、編集、アーカイブ、送出/配信、2 次利用など、制作ワークフロー全体で次世代環境を模索していくことになることを感じさせる NAB SHOW だった。

(イメージアイ 秋山謙一)

次世代コンテンツ制作に最適化する新たなワークフロー構築時期が到来

2015 NAB SHOW(全米放送機器展、主催:全米放送事業者協会)がラスベガスコンベンションセンター(米国ネバダ州ラスベガス、以下 LVCC)で4 月 11 日から 16 日まで(展示は 13 日から)6 日間の日程で開催された。4K60p の必要性が理解された昨年の NAB SHOW を受け、今年は次世代高精細コンテンツ制作するためのワークフロー構築に向けて動き出した。

◎ 2 面:ソニー、4K スタジオカメラ、4K プレーヤーなど 4K コンテンツ制作に必要な機材を拡充◎ 4 面:パナソニック、4/3 型センサーと V-Log L を搭載したフル 4K カムコーダー AG-DVX200 を発表◎ 5 面:池上通信機、既存レンス資産を生かす 2/3 型センサー 4K システムカメラを技術展示◎ 5 面:Bluefish444、各カードが Avid Media Composer / DNxHR に対応◎ 6 面:キヤノン、4K / UHD 制作向けに EOS C300 Mark II と XC10 を出展◎ 7 面:朋栄、撮影からスイッチングまで信号処理に関わる 4K ソリューションを展示◎ 10 面:岡英史の ViewFinder 〜 2015 NAB SHOW 〜

Page 2: Hotel First App Michal Tost - 2015年5月号

VIDEO JOURNAL May 2015 | VOL.1300 |(2)2015 NAB SHOW

■最大 8 倍速 HD スローを搭載したHDC-4300 ソニーが 7 月 1 日に発売予定と発表したのは、マルチフォーマットポータブルカメラ HDC-4300 だ。HDC-4300 は、これまで番組制作に活用している HDC シリーズのカメラシステムを有効に活用しながら、4K / HDの混在運用を可能にするシステムカメラとして開発。4K カメラとしては世界初となる 2/3 型 CMOS イメージセンサーの 3 板式を採用し、高精細/広色域の ITU-R BT.2020 に対応した撮影を可能にしている。 2/3 型イメージセンサーを搭載し、HD 用 B4 マウントレンズをそのまま取り付けられるようにしたことで、従来の放送用 HD カメラと同様の奥行き感や被写界深度を得られる。高性能ダウンコンバーターを搭載して HD出力も可能にしているため、HD カメラとの混在もできるほか、オプションで 4K 映像から 2 個所の HD 切り出し機能も搭載できる。既存の豊富なレンズ資産を有効活用しながら 4K への移行が可能になったと言えるだろう。大型レンズアダプター HDLA-1500シリーズと組み合わせて、高倍率大型ズームレンズを使用でき、スポーツ生中継などにも利用可能だ。 HDC-4300 は、4K 撮影時に 120pの 2 倍スローのオプション対応を検討しているほか、HD 撮影時に標準で180p の 3 倍スロー、オプションで480p の 8 倍スーパースローに対応する。価格は、ビューファインダー、ベー

スバンドプロセッサーユニット、カメラコントロールユニット、リモートコントロールパネルの組み合わせで約1,400 万円。

■ 4K 素材の現場確認を円滑にするPMW-PZ1 撮影した 4K 映像素材を確認するための業務用 4K メモリープレーヤーPMW-PZ1 も 6 月下旬に 56 万円(税別)で発売する。 PMW-PZ1 は、前面パネルに SxSメモリーカードスロットと USB3.0端子、小型モニターを持つメディアプレーヤー。前面パネルの小型モニターで素材確認ができるほか、背面にあるHDMI 端子または 4 つの 3G/HD-SDI端子を使用して 4K ディスプレイに接続しての再生も可能だ。音声出力はRCA×2 のステレオ出力に対応している。 再生可能なコーデックは、XAVC Intra のフル 4K から UHD 解像度/フル HD の XAVC Intra/Long の再生に対応する。発売時は、XAVC コーデ ッ ク の み だ が、XAVC S、MPEG HD422、MPEG HD の各コーデックについても 2015 年秋にソフトウェアアップデートを予定している。 PMW-PZ1 は プ レ ー ヤ ー と し ての機能のほか、SxS メモリーカードのメディアバックアップにも対応。USB3.0 端子に接続した外部ストレージに SSD、HDD、オプティカルディスク・アーカイブを接続してコピーボタンを押すだけで、バックアップをと

ることが可能だ。確実なバックアップをするためのベリファイ機能にも対応していく予定とのこと。

■第 2 世代のオプティカルディスク・ドライブ ソニーは、両面ディスクを 8ch レーザーで読み書きする第 2 世代のオプティカルディスク・ドライブも技術参考展示した。プロトタイプの第 2 世

代オプティカル・レーザーモジュールを使用すると、転送速度 2Gbps で容量 3.6TB の記録が可能(現在は転送速度 1Gbps・容量 1.5TB)になるという。この第 2 世代のオプティカルディスク・アーカイブ製品は、2016年度に投入予定であるとした。

■ HDR 映像への取り組みもアピール ブースでは、ハイダイナミックレンジ(HDR)映像を使用したワークフローと表示技術への取り組みも紹介。4K 有機 EL マスターモニター BVM-X300 と現在開発中の HDR 対応ブラビアを使用して、HDR 映像とノーマル映像を比較して見せた。太陽の光が反射する川面や、夕景の空のグラデーションなど、ノーマル映像では白く飛んでしまう映像が、HDR を利用することにより諧調豊かに表現できることをアピールしていた。HDR 対応ブラビアは、今年中に発売される見込みだ。

2015 NAB SHOW:ソニー4K スタジオカメラ、4K プレーヤーなど 4K コンテンツ制作に必要な機材を拡充

2/3 型 3 板式 4K イメージセンサーを搭載して登場した 4K/HD システムカメラ HDC-4300。

SxS メモリーカードや USB3.0 外部ストレージの XAVC 4K60p コンテンツを再生を可能にする PMW-PZ1。

第 2 世代のオプティカルディスクドライブも開発機を参考展示。ベリファイ時間も含めた実効転送速度で 2Gbps を実現しているという。

 ソニーは 2015 NAB SHOW において、放送局での 4K コンテンツを視野に入れた 4K ソリューションの提案を行った。これまでは、F65 のライブ制作活用、PMW-F55 のショルダー撮影利用などで、放送局における 4K コンテンツ制作を提案してきたが、システムカメラが登場したことで、これまでのレンズ資産を生かしながら 4K 番組制作へもスムースに移行できそうだ。