h23第3回八重山 資料04 普及啓発 part2

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13 1.1.3 海岸清掃活動について学ぶ 海ごみ(漂着ごみ)問題について調べて、考えてみましょう。 ● 海ごみ(漂着ごみ)問題を調べる 海岸清掃活動に参加する前に、海ごみ(漂着ごみ)問題とは何が問題なのか、なぜ起きて いるのかを調べてみましょう。 県やボランティア団体、NPO等民間団体(前出表 1-1~表 1-3参照)が、海ごみ(漂着ごみ) 問題への認識を深めることを目的とした海岸の漂着ごみに係る環境教育・普及啓発教材を作 成しています。探して調べてみましょう。海ごみ問題の教材例として、平成 22 年度に沖縄県 が作成した「海ごみ 15」を図 1-6に紹介します。 図 1-6 海ごみ問題の教材例 「海ごみ15」(作成:沖縄県)の一部

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1.1.3 海岸清掃活動について学ぶ

海ごみ(漂着ごみ)問題について調べて、考えてみましょう。

● 海ごみ(漂着ごみ)問題を調べる

海岸清掃活動に参加する前に、海ごみ(漂着ごみ)問題とは何が問題なのか、なぜ起きて

いるのかを調べてみましょう。

県やボランティア団体、NPO等民間団体(前出表 1-1~表 1-3参照)が、海ごみ(漂着ごみ)

問題への認識を深めることを目的とした海岸の漂着ごみに係る環境教育・普及啓発教材を作

成しています。探して調べてみましょう。海ごみ問題の教材例として、平成 22 年度に沖縄県

が作成した「海ごみ 15」を図 1-6に紹介します。

図 1-6 海ごみ問題の教材例 「海ごみ 15」(作成:沖縄県)の一部

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1.2 海岸清掃活動への参加

1.2.1 海岸清掃活動前

早めに①集合・受付をして、②開会式で活動ルールや方法を確認しましょう。

① 集合・受付をする

当日は会場や集合場所、駐車スペース付近に目印となるのぼり旗が立てられていることが

あります(図 1-7)。自家用車は参加申し込み時に主催者に指定された駐車スペース(図 1-8)

にとめましょう。

遅れないように集合場所へ行き、早めに受付を済ませましょう。受付では氏名や住所、連

絡先等を記入します。このときに主催者から、手袋やごみ袋が配布される場合があります。

受付が済んだら、開会式が始まるまで集合場所付近で待機しましょう。

図 1-7 会場付近に立てられたのぼり旗(石垣市 提供:海 LOVE ネットワーク事務局)

図 1-8 駐車スペースの様子(竹富町)

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図 1-9 受付の様子(石垣市 写真右提供:海 LOVE ネットワーク事務局)

② 開会式に参加する

開会式では海岸清掃活動の進め方や守るべきルール等の重要な説明があります。主催者や

地域ごとに異なるので、過去に活動に参加したことがある場合でも、必ず参加しましょう。

● 活動を始める前に確認すること

・ 当日のスケジュールと活動内容(活動場所・範囲等)

・ 休憩場所、トイレの場所

・ 集めるごみの種類、ごみの分別方法

・ 注意事項(体調管理、危険な場所・動植物・ごみ、自然環境への配慮等)

図 1-10 漂着ごみの分別一覧(石垣市)

「HOW TO ビーチクリーン」(発行:海 LOVE ネットワーク事務局)

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1.2.2 海岸清掃活動中

①体調、②自然災害、③危険な動植物・ごみ・場所、④動植物・自然環境に注意して海

岸清掃活動をしましょう。

開会式が終わり、各自準備ができたら、ごみ袋を持ってごみを集め始めます。大きなごみ

が目につきますが、細かいごみも拾うようにしましょう。集めたごみの分別作業を行うにあ

たっては、主催者の指示に従います。

海岸清掃活動とは、ごみを集めて、分別してまとめ、集積場所まで運び、適正に置くこと

までであると認識しておきましょう。

図 1-11 海岸清掃活動の流れ

(石垣市 左上:ごみを集める様子、右上:分別作業の様子、下:集積場所の様子)

活動中は次の①~④に注意しましょう。

① 体調管理をする

気温が高い日や日差しが強い日は、特に脱水症や熱中症、日射病に注意が必要です。帽子

をかぶる等の対策をして、水分は早めに、多めに補給しましょう。また、無理をせず、こま

めに適度な休息をとります。体調が悪いと感じたら、自主的に休憩を取りましょう。ケガ等

に気をつけ、重いものは周りの仲間と協力して運びましょう。

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② 自然災害時に備える

自然災害時(天候悪化・地震・津波等)には主催者の指示に従い、自ら安全を確保しまし

ょう。

③ 危険な場所・動植物・ごみに注意する

● 危険な場所

海岸清掃活動範囲内に岩場がある場合は、足元が不安定で滑りやすいので、不要な時は近

づかないようにします。また、子どもと参加する場合は、大人の目が届く範囲内で活動させ

て、岩場や波打ち際、水辺等の危険な場所に近づかせないように注意しましょう。

図 1-12 海岸付近の水辺の様子(石垣市)

● 危険な動植物

波打ち際には有毒のクラゲ、植生帯付近には蜂やハブ、アダンのような危険な動植物が生

息しています。肌を露出しない服装で対策して、危険な動植物を見かけたら近づかない、触

れないことを徹底します。

図 1-13 危険な動植物(竹富町 左からカツオノカンムリとカツオノエボシ、アダン)

● 危険なごみ

海岸には危険なごみが漂着していることがあります。主催者が開会式で説明した注意事項

に従い、よくわからないごみは自己判断せず、触れる前に主催者に相談しましょう。危険な

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ごみの対応例を表 1-6に示します。主催者が対応するまで、危険なごみの発見場所を見失わ

ないように、近くに目印となる旗ざおをさすとよいでしょう。

表 1-6 危険なごみの対応例

危険なごみ 対応(理由)

割れ物(ガラス・陶器等) 素手でさわらない

(ケガの危険性あり)

割れ物

(蛍光灯・電球)

素手でさわらない

割らないで集める

他のごみと混ぜない

(破裂の危険性あり)

スプレー缶

他のごみと混ぜない

(破裂や引火の危険性あり)

ライター

他のごみと混ぜない

(引火の危険性あり)

廃油ボール

素手でさわらず、割り箸等を

使用する

他のごみと混ぜない

(引火の危険性あり)

引火性のもの

(ガソリン・軽

油・灯油等)

廃油入りペットボトル

他のごみと混ぜない

(引火の危険性あり)

医療系廃棄物

(注射器・針等)

針とバイアル(薬品容器)

参加者が注意して集める

素手でさわらない

他のごみと混ぜない

(ケガ、感染の危険性あり)

爆発性のもの

(信号弾・発炎

筒・爆竹・高圧ガ

ス等)

船舶用発炎筒 ガスボンベ

中身のわからない

液体等が入ったも

の(ポリタンク・

ドラム缶等)

動物の死体

(有毒・感染の恐れがあるもの・調査対象のもの)

《主催者対応》参加者が集めない

※発見者は発見場所に目印

として旗ざおをさす

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④ 貴重な動植物や自然環境に配慮する

海岸は様々な動植物の生息地でもあります。海岸清掃活動時の侵入や踏みつけによって、

生息地を破壊、景観を損ねることのないように配慮しましょう。

また、海岸に漂着している植物や貝殻、海藻、流木等、自然にあるものを住処や餌として

いる動物がいます。それらは回収せずにそのままにしておきましょう。主催者の指示で例外

的に回収する場合もあります。

図 1-14 貴重な植物の例(竹富町 左からマングローブ林、ハマシタン)

図 1-15 回収しない漂着物の例(竹富町 コウイカの甲)

図 1-16 主催者の指示で回収する場合がある漂着物の例(竹富町 流木)

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1.2.3 海岸清掃活動後

閉会式で海岸清掃活動の成果を確認しましょう。

● 閉会式に参加する

主催者から海岸清掃活動終了の合図があってから、各自で身の回りの片づけをして、閉会

式会場に移動しましょう。主催者から借りたものがあれば、このときに返却しましょう。閉

会式では活動報告やイベント等があります。当日の活動成果を確認しましょう。

この活動経験を活かして、以後も積極的に参加しましょう。

図 1-17 活動報告例

(恩納村「海をきれいに!」日記HPよりhttp://umikirei.ti-da.net/)

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お疲れ様でした。また一緒に活動しましょうね。

活動メモ

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2 【中級者編】海岸清掃活動を主催する

【中級者編】は沖縄県内で海岸清掃活動を計画したい方を対象にしたものです。

中級者編では、海岸清掃活動の計画・運営の基本を解説します。本編は、海LOVEネットワ

ーク事務局(石垣市)が原案・作成し、平成 22 年度に沖縄県が発行した「自分でやってみる?

ビーチクリーン活動(図 2-1)」の詳細な解説版としての役割を持っています。

本編には海岸清掃活動を主催するにあたって関連する情報を可能な限りのせています。こ

れは海岸清掃活動を計画する方が、活動の目的や規模、地域、環境に応じて、必要な情報を

選択して利用できることを目的としているためです。活動するために本編の全項目を実施す

る必要はありませんが、特に重要と思われる項目について、P24 の「自分でやってみる?ビ

ーチクリーン活動」と中級者編の関係図内に★マークをつけました。

図 2-1 「自分でやってみる?ビーチクリーン活動(表)」(1)

(発行:沖縄県/原案・作成:海 LOVE ネットワーク事務局)

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図 2-1 「自分でやってみる?ビーチクリーン活動(裏)」(2)

(発行:沖縄県/原案・作成:海 LOVE ネットワーク事務局)

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「自分でやってみる?ビーチクリーン活動」と中級者編の関係図

2.1 海岸清掃活動の企画・準備

2.1.1 場所・日にち・人数を決める(★)

2.1.2 役割分担とスケジュールを決める

2.1.5 場所や施設を確認・確保する

2.1.6 用具・備品を準備する(★)

2.1.7 【開催日が近づいたら】

スケジュール、参加者への説明

事項、安全対策等を整理する

2.2 海岸清掃活動の実施

2.2.1 海岸清掃活動前

2.2.2 海岸清掃活動中

2.2.3 海岸清掃活動後

2.3 事後活動の実施

2.3.1 行政機関や関係者への終了報告

2.3.2 活動記録の整理と情報発信

2.3.3 参加者への事後報告

2.1 海岸清掃活動の企画・準備

2.1.8 広く参加者を募る

2.1 海岸清掃活動の企画・準備

2.1.3 行政(市町村・海岸管理者)へ

申請・調整(★)

2.1.4 地域関係者へのあいさつ

※海岸清掃活動を実施する上で特に重要と思われる項目には★マークをつけています。

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2.1 海岸清掃活動の企画・準備

2.1.1 場所・日にち・人数を決める

①どこの海岸で、②いつ、③何人で活動するか決めて、企画を具体化しましょう。

【「ちゅら島守り隊」沖縄県環境生活部環境整備課より】

① 海岸を決める

海岸にごみがたくさん漂着している様子を見て、「きれいにしたい」と思うことから海岸清

掃活動の企画がはじまります。活動が初めてであれば、まず一度、他団体の活動に参加して

みる(初級者編参照)と企画しやすくなるでしょう。

企画するときには、活動を行うにあたっての必要事項を確認するため、必ず実際に海岸の

下見を行いましょう。 ● 確認すること ・ 過去の活動実績 ・ 海岸へのアクセス道路の状況 ・ 海岸の足場(砂浜、岩浜かどうか) ・ ごみの漂着状況(量と種類)

海岸を決める際に参考となるのが、過去の活動実績(開催日時、回収したごみの量、

参加者数、必要な用具・備品、地域情報等)です。県内の活動をとりまとめて提供す

るネットワークやボランティア団体、NPO等民間団体の一部が前出の表 1-2~表 1-3に

整理されているので、参考にして活動情報を集めましょう。また、インターネットで

検索したり、市町村に地域で活動しているボランティア団体やNPO等民間団体を紹介し

てもらうとよいでしょう。

次に、実際に海岸の下見を行い、海岸へのアクセス道路を確認しましょう。アクセ

ス道路がなく藪をかき分けて入る場所や岩場を上り下りする場所、海からしかアクセ

スできない場所は避けましょう。小学生や年配者でも安全に海岸に降りられる場所を

選びましょう。

海岸の足場は活動の安全性や作業性に影響します。参加者が活動に慣れるまでは、

活動自体に集中できるように、岩浜等のような、足場に注意しながら活動しなければ

ならない海岸は避けましょう。

また、慣れないうちは、ごみが多量にある場所を避けましょう。人力で回収できな

いごみが多い海岸も避けましょう。ごみの量は波や風の影響を受けて変化するので、

開催日が近くなったら、再度下見をして確認しましょう(2.1.7 ④参照)。

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岩浜写真 図 2-2 海岸の足場の様子(竹富町、左から砂浜、岩浜)

補足

参加者が集まりやすく、回収しやすい海岸で頻繁に活動が実施され、逆にアクセス道路

がない等の理由で回収しにくい海岸では活動があまり行われず、漂着ごみが多くたまって

いる傾向があります。活動に慣れた仲間が増えてきたら、初級者には難しいような海岸に

挑戦することも検討しましょう。

② 日程を決める

● 季節

天候や気温が安定した 10~4 月に実施することが適していますが、秋季は台風に注意が必

要です。特に海水浴シーズン前は地域からの要望もあり、県内で一斉に活動が開催されてい

ます。

図 2-3 季節とごみの漂着状況の関係イメージ(第 1 期モデル調査結果より)

補足 これまでの調査結果から、海岸が北向きなら冬季に、南向きなら夏季にごみが漂着しや

すいことがわかっています。この季節の直後に活動すると、長期間きれいな状態を維持で

きて効果的です。

● 日にち

活動日を決めるために、海岸付近の地域情報を集めましょう。 集める情報 ・ 海岸付近で学校行事やお祭り等のイベントがないか ・ 同時期に同じ場所で他団体が海岸清掃活動を予定していないか

活動日と行事やイベントの日程が重なると、活動がそれらの障害となったり、海岸

付近の地区から参加者が集まらない可能性があるので避けましょう。逆に行事やイベ

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ントの直前に活動すると、成果が参加者以外にも実感できて効果的です。

同時期に同場所で他団体が活動する場合は、情報共有して、協力しましょう。

補足

海岸清掃活動とイベントを共催すると、活動に関心のない人にも参加を促すことができ

ます。「3 【上級者編】海岸清掃イベントを主催する」を参照してください。

● 時間

海岸清掃活動時間を決めるポイントは気温と時間の長さです。

・ 夏季は気温が上がらない午前中か夕方が適している

・ 活動時間は 1~1.5 時間(開・閉会式を含めて 2時間)を目安にする

活動時間を決める際は季節を考慮して、脱水症や熱中症、日射病になりにくい時間

帯を選びましょう。

また、活動時間が短いと活動に慣れるまでに終了してしまい、長すぎると、集中力

が途切れて思わぬ事故につながりかねません。適切な活動時間を設定しましょう。

③ 人数を決める

参加者の安全を確保することが大原則です。

・ 慣れないうちは身近な仲間と小規模(2~5 人)の活動を考える

・ 子どもが参加する場合は、大人と一緒に活動できる企画とする

参加者を増やしたい場合は、主催者が企画・準備・開催に慣れてから、少しずつ周

囲に声をかけるようにしましょう。

中学生以下の子どもが参加する場合は、安全のため、大人と一緒に活動できるよう

な企画としましょう。その場合、大人が単独で活動したときよりも、回収できるごみ

の量が少なくなることを考慮しましょう。

補足

参加者を募る場合は後述の「2.1.8 広く参加者を募る」、大規模にイベントと共催する場

合は「3 【上級者編】海岸清掃イベントを主催する」を参照してください。

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2.1.2 役割分担とスケジュールを決める

①役割分担と②スケジュールを決めて動き出しましょう。

① 役割分担を決める

小規模に海岸清掃活動をする場合は、複雑な役割分担をせず、必要最小限としましょう。

表 2-1 海岸清掃活動の役割分担例(参加者 50 名程度を想定した場合)

役割 準備 当日

リーダー 企画及び全体の取りまとめ

参加窓口係 参加連絡の窓口・参加者名簿作成 受付

計画・進行係 スケジュール決定 進行

用具・備品係 用具・備品の発注・管理 用具・備品の配布及び回収

地域調整係 市町村・地域関係者等との調整 市町村・地域関係者等との事後調整

会場係 下見、駐車場・トイレ等の場所確認 会場設営・施設管理・会場案内

清掃作業係 海岸清掃活動の監督(緊急時も同様)

救護・避難係 緊急時に備えた対応の検討 緊急時の救護・避難誘導

連絡通報係 緊急時の備えた対応の検討 緊急時の関係者(病院等)への連絡

② スケジュールを決める

海岸清掃活動をする海岸や日程は約 1ヶ月前に決定して、準備を計画的に進めましょう。表

2-2に開催するまでのスケジュール例を示します。

表 2-2 海岸清掃活動を開催するまでのスケジュール例

主催者 参加者

1 ヶ月前 下見、海岸・日程・スケジュール決定

(参加者募集)

(参加申し込み)

20 日前 用具・備品準備

あいさつ・調整、分別・安全対策確認

10 日前 (参加者確認)

3 日前~前日 会場再確認、(実施判断、連絡)

8:30~

9:30~10:00

10:00~10:10

10:10~11:30

11:30~11:50

11:50~12:00

実施判断、連絡、現地集合、記録

受付

開会式(説明、用具・備品配布)

片付け、記録

閉会式(報告)

片付け、解散

現地集合、受付

開会式

活動(休憩含む)

片付け、記録

閉会式、解散

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2.1.3 行政(市町村・海岸管理者)への申請・調整

①市町村に相談・申請して、②海岸管理者と調整を行い、連携して開催しましょう。

【「ちゅら島守り隊」沖縄県環境生活部環境整備課より】

① 市町村に相談・申請する

海岸清掃活動の企画・準備段階で、わからない点や不安な点があれば、海岸のある市町村

担当課に相談してみましょう。この時点で、回収したごみの分別・集積方法、海岸管理者や

地域関係者、市町村から受けられる支援内容(ごみ袋、手袋、用具レンタル、広報等)を把

握しておく必要があります。なお、市町村がボランティア支援を行っている場合、支援を受

けるためには、所定の申込書に記入、提出しなければならない場合があります。市町村担当

課の指示に従いましょう。 ● 伝えること ・ 開催場所、日時、参加人数 ・ 団体名、代表者名、連絡先 ● 把握すること ・ 市町村の担当課と連絡先(ごみ回収の担当課、自然環境の担当課等) ・ 回収したごみの処理方法(分別方法、集積方法等) ・ 海岸管理者 ・ 地域関係者(地区公民館、地権者) ・ 市町村からの支援内容(ごみ袋、手袋、用具レンタル、広報等) ・ 地域情報(地域のイベントの有無、注意点)

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宮古島市長  殿

 下記のとおりボランティア清掃を実施したいので、申請します。

氏名・団体名

代表者(団体のみ) 電話番号

清掃実施日

清掃場所

清掃人数

ボランティア袋申請枚数

以上

【自己搬入について】

自己搬入の日時

搬入に使用する車(車種・台数等)

備考

【情報公開・参加者の募集について】 本清掃の情報を「宮古島 海の環境ネットワーク」ホームページへ掲載してよいか、 また、同ホームページ上で本清掃への参加者を募集するかどうか、御回答下さい。

情報提供

参加募集

課長 係長 係 受付者

平成  年  月  日受付

平成   年   月   日

宮古島市清掃ボランティア申込書

この度は清掃ボランティアを行っていただき、有難うございます。ごみはしっかり分別して、市クリーンセンターまで運んでいただくよう、お願いします。

平成   年   月   日

図 2-4 ボランティア清掃申込書例(作成:宮古島市)

② 海岸管理者と調整する

海岸管理者とは、指定された海岸保全区域及び一般公共海岸区域の管理を行う行政機関の

ことです。市町村担当課に相談した際に、担当部局を紹介してもらいましょう。海岸清掃活

動の企画段階で、海岸管理者に計画を説明して、意見調整を行うことを心がけてください。 ● 伝えること ・ 開催場所、日時、参加人数 ・ 団体名、代表者名、連絡先 ● 相談すること ・ 活動中に危険物が発見された場合の対応

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2.1.4 地域関係者(地区公民館・地権者)へのあいさつ

①地区公民館、②地権者に海岸清掃活動計画を説明して、要望を聞き、協力を得ましょ

う。

① 地区公民館に説明する

海岸付近の地区公民館(区長)に海岸清掃活動計画を説明して、地域情報や活動時の要望

や注意事項等を聞きましょう。また、参加者を広く募るときに地区公民館(区長)に募集を

お願いする場合があります(後述2.1.8参照)。活動の理解を得て、協力してもらえるよう働

きかけましょう。

② 地権者に協力してもらう

参加者の駐車スペースや回収したごみの集積場所として、私有地を一定期間借りることが

あります。地権者に海岸清掃活動の計画を説明して、借りる日時や場所、範囲を明確に伝え

ましょう。説明の際には地図を利用するとより確実です。

2.1.5 場所や施設を確認・確保する

①ごみの集積場所、②駐車場、③受付・開会式、④休憩、⑤トイレの場所、⑥病院・診

療所、⑦AED 設置場所等を確認・確保しましょう。

① 回収したごみの集積場所の確保・確認

市町村がごみの収集・運搬を行ってくれる場合、あらかじめ集積場所を指定されることが

ありますが、その場合でも主催者が予め下見をして、確認する必要があります。

主催者が集積場所を確保する際は、下記の項目を確認しましょう。集積場所は廃校グラン

ドや港の脇、空き地等が適しています。土地を借りる場合は関係者と調整が必要です。 ● 確認すること ・ 運搬車両が入って作業できるスペースがあるか ・ 人力で海岸からごみを移動できる距離か ・ ごみをどのくらい置くことができるか(適度なスペース) ・ ごみを置くことで近隣に迷惑をかけないか(民家や施設に近すぎない) ・ ごみが散乱し難い環境か(風や波の影響を受けない)

補足 ごみを集積場所に移動した後、直ちに収集・運搬されることは稀です。一定期間(1~3

日間程度)集積場所に置かれることを想定して、場所を確保・確認する必要があります。

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図 2-5 集積場所の様子(石垣市)

② 駐車場の確保

活動場所付近に、参加者のための駐車スペースを確保する必要があります。確保する広さ

は参加人数を基に考えましょう。土地を借りる場合は関係者と調整が必要です。

図 2-6 駐車スペースの様子(竹富町)

③ 受付や開・閉会式の場所の確保

受付や開・閉会式は名簿の記入、備品配布、説明が落ち着いてできる場所が適しています。

海岸は風が強く、用具・備品が飛び、説明が聞こえ難いため適しません。土地を借りる場合

は関係者と調整が必要です。

図 2-7 受付と開・閉会式の場所例

(石垣市(明石公民館を活用した例) 左から受付、開・閉会式)

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④ 休憩場所の確保

休憩場所は活動場所から近く、脱水症や熱中症、日射病を避けることができる施設や木陰

にしましょう。条件のあう場所が付近にない場合はテントをはる等、休憩場所を確保しまし

ょう。テントをはる場合や土地を借りる場合は関係者と調整が必要です。

図 2-8 休憩場所としてテントをはった例(石垣市)

⑤ トイレの確保

活動場所付近にトイレがあるか確認しておきましょう。付近の施設にトイレを借りる場合

は関係者と調整が必要です。

⑥ 病院・診療所の確認

活動場所の最寄りの病院や診療所について、連絡先と場所を確認しておきましょう。参加

人数が多数見込まれる海岸清掃活動の場合には、病院や診療所にあらかじめ活動計画を説明

して、緊急時の対応を相談しておくとスムーズです(後述2.1.7③参照)。

⑦ AED設置場所の確認

万が一に備え、活動場所の最寄りの AED設置場所を確認しておきましょう。AEDは主に、

消防・海上保安部関係施設や医療施設、市町村役場、介護福祉施設、公共交通機関、学校・

保育施設、文化娯楽施設(図書館等)、宿泊施設に設置されています。インターネット上に

AED検索サイトがあります。 【AED設置場所検索:http://www.qqzaidan.jp/AED/aed.htm】 【日本全国AEDマップ:http://aedm.jp/】

補足 大規模開催の場合は有料で AED をレンタルすることも検討しましょう。 【参考:救急コム:http://www.kyumei.com/】

Page 22: H23第3回八重山 資料04 普及啓発 Part2

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2.1.6 用具・備品を準備する

必要な用具・備品を準備しましょう。

【「ちゅら島守り隊」沖縄県環境生活部環境整備課より】

用具・備品は表 2-3を参考にして、参加人数に応じた数量を準備してください。

表 2-3 準備する用具・備品例

品目(必須☆) 備考

手袋(☆) ・軍手が安価、手の平側がゴムコーティングされた手袋が便利

・市町村から支給される場合がある

ごみ袋(☆) ・45L はひとりで持ち運びできる

・60L はペットボトルや発泡スチロール等の軽いごみ専用とする

・市町村から支給される場合がある

飲み物(☆) ・各自に持参してもらう場合でも、必ず主催者側でも準備する

・夏季は脱水症や熱中症予防のため、十分な量を準備する

密閉式ビニール袋(☆) ・廃油ボールやライター、医療系廃棄物等の小さな危険ごみを入れる

救急セット(☆) ・傷口を洗うきれいな水、ウェットティッシュ、絆創膏等

ラジオ(☆) ・主催者が緊急情報を入手するために必要

携帯電話(☆) ・緊急時に関係者と連絡をとるために必要

筆記用具・カメラ ・受付用、記録用

自立式の万能袋 ・ごみをまとめて運ぶのに便利(参考 1 用具例参照)

トング(ごみばさみ) ・基本的には手袋をして手でごみを回収するが、必要に応じて貸出す

鎌、ナイフ ・絡まったごみを回収しやすく処理するために使用する

割り箸 ・廃油ボール回収時に使用する

ビニールシート ・参加者の荷物置き場や休憩場所として使用可能

・回収したごみを広げて、一斉に分別する時に使用可能

のぼり旗 ・活動場所・駐車スペース案内に便利

旗ざお ・危険なごみが発見されたときの目印として便利

トランシーバー ・主催者が仲間と連絡を取り合うのに適している

補足 用具・備品を大量に必要とするときは早めに手配し、当日まで保管しておく場所を確保

しましょう。ごみ袋などの消耗品以外は使い捨てを避け、積極的に再利用しましょう。

Page 23: H23第3回八重山 資料04 普及啓発 Part2

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【参考 1 用具例 海岸清掃マニュアル(回収事業編)(作成:沖縄県)より】

回収用具等の種類 使用目的・方法等 必要数算出の目安

買い物かご

砂浜の回収作業において、手で回収し辛い小さなごみに付着した砂を落とす場合に有効である。

回収の役割分担にあわせ適宜。細かいごみが多い場合には多数用意する ※消耗品ではなく、繰り返し使用できる

45・90ℓ のごみ袋

片手で回収できるサイズのごみを回収するのに使用する。90ℓのタイプを使用した方が効率が上がる場合もある。袋の色で回収するごみの種類を分ける

5枚/人/日

土のう袋

主にガラス類(破片、瓶)や電球・蛍光灯、空き缶等の金属類の回収に使用する。 1枚/3人/日

密閉式ビニール袋

廃油ボールやライター、ボンベ類、医療系廃棄物等、海岸で分別しておきたい小型のごみの回収に使用する。

0.5枚/人/日

自立式の万能袋

プラスチック製の漁業用ブイや流木など、ビニール袋での回収に不向きな比較的大きなごみの回収に使用する。また、無作為にごみを回収し、後で分別する場合でもビニール袋を使用するよりも効率良く回収できる。収納容量の種類は多いが、200ℓ程度のものが取り回しが良く、ごみを多く収納しても重くなり過ぎないため使いやすい。

0.5~1枚/人

※消耗品ではなく、繰り返し使用できる

フレコンバッグ(トン袋)

本来は集積したごみを最後にまとめるために使用するが、海岸に発泡スチロールやペットボトル等の重量の軽いごみが多く漂着している場合には、海岸で使用すると効率が良い。

漂着量 m3×枚

クーラーボックス、

メディカルペール

クーラーボックスは注射器やバイアル等の医療系廃棄物、薬品瓶等の危険物の回収に使用する。危険物は密閉式ビニール袋に入れた上でクーラーボックスに回収する。容積は 12ℓ程度の小型のものが使いやすい。メディカルペールは最終的に収集・運搬業者に回収物を引き渡すときに使用する。一度ふたをするとはずせない構造になっている。

危険物担当者数

漁網等の切断用具(冷凍包丁)

等)

冷凍食品専用の包丁(写真)は、波状の両刃の包丁であり、漁網やロープ等の切断に便利である。その他、「なた」、「電熱カッター」もロープ等の切断に適している。

切断担当者数

Page 24: H23第3回八重山 資料04 普及啓発 Part2

36

2.1.7 【開催日が近づいたら】スケジュール、参加者への説明事項、安全対策等を整理する

①スケジュールを調整し、②参加者への説明事項、③安全対策をまとめましょう。

④海岸へのアクセス道路・回収したごみの集積場所を確認しましょう。

可能であれば、⑤早めの実施可否の判断をしましょう。

① 当日のスケジュールを調整する

前出表 2-2のスケジュールについて、必要に応じて時間調整をしましょう。

② 参加者への説明事項をまとめる

● 参加者に合わせた企画とする

参加者に子どもが多い場合には、活動内容を工夫しましょう。

・ 活動範囲を決める(安全な場所、活動時に移動距離が少ない場所)

・ 大人と一緒に学びながら活動できるような企画とする

● ごみの回収方法を決める

ごみの回収方法は分別するタイミングによって主に 2種類あります。

・ 回収してから分別する方法

・ 大まかに分別しながら回収する方法

参加者が見つけたごみを全て回収して、後に参加者が一斉にブルーシート等にごみ

を広げて分別する方法と、参加者がごみを種類別に大まかに分別しながら回収する方

法があります。どちらの方法を適しているかは、参加者の熟練度や参加人数、ごみの

種類や量によって、主催者が判断します。分別作業に慣れるまでは前者の方法をとり、

分別方法をよく理解している人を中心としたグループをつくって一斉に分別するほう

が、精度も高く、効率的です。参加者が分別しながら回収した場合は、ごみをまとめ

る段階で、主催者が正しい分別ができているか確認しましょう。また、危険なごみ等

のような特定のごみを専門的に回収するチームをつくって海岸を回る方法もあります。

図 2-9 分別作業(回収してから分別する方法)の様子(石垣市)

Page 25: H23第3回八重山 資料04 普及啓発 Part2

37

● ごみの分別方法をまとめる

市町村に相談したごみの分別方法を、一覧にしてまとめておきましょう。漂着ごみは、家

庭ごみと分別方法が異なる場合があるので、参加者にわかりやすくまとめるようにしましょ

う。

図 2-10 漂着ごみの分別例(石垣市)

「HOW TO ビーチクリーン」(発行:海 LOVE ネットワーク事務局)より転写

● 危険なごみの対応をまとめる

海岸には危険なごみが漂着していることがあります。主催者が開会式で説明した注意事項

に従い、よくわからないごみは自己判断せず、触れる前に主催者に相談しましょう。危険な

ごみの対応例を表 2-4に示します。主催者が対応するまで、危険なごみの発見場所を見失わ

ないように、近くに目印となる旗ざおをさすとよいでしょう。

Page 26: H23第3回八重山 資料04 普及啓発 Part2

38

表 2-4 危険なごみの対応例

危険なごみ 対応(理由)

割れ物(ガラス・陶器等) 素手でさわらない

(ケガの危険性あり)

割れ物

(蛍光灯・電球)

素手でさわらない

割らないで集める

他のごみと混ぜない

(破裂の危険性あり)

スプレー缶

他のごみと混ぜない

(破裂や引火の危険性あり)

ライター

他のごみと混ぜない

(引火の危険性あり)

廃油ボール

素手でさわらず、割り箸等を

使用する

他のごみと混ぜない

(引火の危険性あり)

引火性のもの

(ガソリン・軽

油・灯油等)

廃油入りペットボトル

他のごみと混ぜない

(引火の危険性あり)

医療系廃棄物

(注射器・針等)

針とバイアル(薬品容器)

参加者が注意して集める

素手でさわらない

他のごみと混ぜない

(ケガ、感染の危険性あり)

爆発性のもの

(信号弾・発炎

筒・爆竹・高圧ガ

ス等)

船舶用発炎筒 ガスボンベ

中身のわからない

液体等が入ったも

の(ポリタンク・

ドラム缶等)

動物の死体

(有毒・感染の恐れがあるもの・調査対象のもの)

《主催者対応》参加者が集めない

※発見者は発見場所に目印

として旗ざおをさす

Page 27: H23第3回八重山 資料04 普及啓発 Part2

39

● 貴重な動植物や自然環境に配慮する

海岸は様々な動植物の生息地でもあります。貴重な動植物の生息状況を市町村の自然環境

担当課や地元の保護団体等に確認して、動植物の活動時期を避けた計画を立てましょう。活

動時の侵入や踏みつけによって、生息地を破壊、景観を損ねることのないように努めます。

また、海岸に漂着している植物や貝殻、海藻、流木等、自然にあるものを住処や餌として

いる動物がいます。それらは基本的に回収しませんが、動植物の活動の障害となる場合のみ、

市町村の環境部局や地元の保護団体等と相談して、例外的に回収するか判断しましょう。

図 2-11 貴重な植物の例(竹富町 左からマングローブ林、ハマシタン)

図 2-12 回収しない漂着物の例(石垣市 コウイカの甲)

図 2-13 例外的に回収する場合がある漂着物の例(竹富町 流木)

Page 28: H23第3回八重山 資料04 普及啓発 Part2

40

③ 安全対策を考えて備える

海岸清掃活動中に想定される事故や災害の例をあげます。

・ごみを回収する際に指を挟んで骨折した

・植生帯付近に入って、蜂にさされた

・活動中に大地震が発生して、津波注意報が発令された

・天気が急変して、活動が困難になった

事故やケガは発生直後に主催者が連絡を受け、主催者が中心となって、迅速に対応するこ

とが重要です。下記にあげる連絡体制づくりや対応策を考えておくことが活動に役立ちます。

● 海岸清掃活動中の連絡体制

緊急時は、主催者に直ちに連絡することが重要ですが、活動範囲が広い場合や参加人数が

多い場合、主催者を見つけることが難しい可能性があります。その場合、参加者 10 名程度で

チームをつくり、チームリーダーを決めて、チームごとにまとまって近くで活動しましょう。

チームリーダーは主催者に直接連絡できるような手段を持ち、迅速に対応しましょう。

補足 チームリーダーが連絡を取り合えるよう、携帯電話や省電力型トランシーバーを用意し

ましょう。海岸によっては電波が届かないこともあるので、機器が使用できるかどうかの

事前確認が必要です。

● 緊急時の連絡体制

緊急時や活動で困ったこと(大量の流木が漂着している等)が起きたら、主催者から関係

者に連絡して迅速に対応します。あらかじめ緊急連絡先となる警察、消防署(救急車)、病院・

診療所、海上保安本部、当該市町村等の電話番号を調べて、図 2-14のようなフロー図を作成

しておくとよいでしょう。

● 自然災害(天候悪化、地震、津波)への対応を考える

当日、常に最新情報(天気、災害情報等)を入手するために、主催者はラジオを準備しま

しょう。また、予め地震や津波が発生した際の避難所の場所を調べて、図 2-14のようなフロ

ー図に記入しておきましょう。

補足

参加者のケガ等に備えて、ボランティア保険(P42 参考 2 参照)を活用しましょう。

Page 29: H23第3回八重山 資料04 普及啓発 Part2

41

人身災害・事件・事故・自然災害発生連絡体制

初期対応、救護

発見者

通報事項 ①いつ ②どこで ③だれが ④どのように

主催者

名前(携帯)090-****-****

連絡通報係

リーダー:名前(携帯)090-****-****サブリーダー:名前(携帯)090-****-****

清掃作業係救護・避難係

トランシーバー、携帯電話

トランシーバー、携帯電話

速やかな通報・連絡

名前(携帯)090-****-****

名前(携帯)090-****-****

避難場所

① △会館住所:         電話:0980-**-****

② △小学校住所:         電話:0980-**-****

連絡先

0980-**-****

市町村●●市町村 ●●課

0980-**-****

●●漁業協同組合 0980-**-****

生物保護団体 ●●会 0980-**-****

●●警察署 0980-**-****

●●診療所

●●市町村 消防本部 0980-**-****

●●海上保安部 0980-**-****

0980-**-****

●●病院 0980-**-****

事件・事故

水上事故

ケガ・病気

活動で困ったこと

沖縄県 海岸管理者●●部 ●●課

110番

119番

118番

●●市町村役場電話:0980-**-****

図 2-14 緊急発生時の連絡体制フロー図例

Page 30: H23第3回八重山 資料04 普及啓発 Part2

42

【参考 2 ボランティア保険】

【「ちゅら島守り隊」沖縄県環境生活部環境整備課より】

ボランティアで海岸清掃活動をする場合は、民間の保険会社が提供するボランティア保険

に加入することができます。積極的に活用を検討しましょう。一般的な海岸清掃活動の場合、

保険掛け金は 1人あたり数百円程度です。補償内容については、保険会社とよく相談しまし

ょう。掛け金の一部を、参加者に参加費として負担してもらうこともあります。

・参考:ボランちゅねっと http://volunchu.net/?q=node/8

表 2-5 ボランティア保険掛け金の例

保険掛け金

(円/人) 補償内容 備考

A 社 28 円 ケガ(死亡、後遺障害、入院、手術、通院)、

賠償責任 最低加入人数あり

B 社 289 円 死亡・後遺障害、入院・通院保険

C 社 500 円 障害、賠償責任、死亡見舞金

● 危険な動植物によるケガの応急処置を学ぶ

波打ち際には有毒のクラゲ、植生帯付近には蜂やハブ、アダンのような危険な動植物が生

息しています。参加者には肌を露出しない服装で対策してもらい、危険な動植物を見かけた

ら近づかない、触れないように呼びかけましょう。

それでも危険な動植物によって参加者がケガ等をしてしまったときに備えて、病院や診療

所に運ぶ前に現場でできる応急処置を学んでおきましょう。

表 2-6 危険生物によるケガの応急処置例

危険生物 応急処置

クラゲ(ハブクラゲ等) ①触手を取り除く ②海水で洗い流し冷やす

オニヒトデ ①棘を取り除く ②患部を 40~45 度の湯につける

蜂(ツマグロスズメバチ等) ①毒を絞り出す ②水で洗って冷やす ③薬を塗る

ハブ(サキシマハブ等)

・専用吸引器(ない場合は口)で毒を吸い出す

※ハブにかまれた場合は緊急的に毒を除去する必要がある。

※「口の中に傷があると軽い炎症を起こすこともあります

が、心配いりません。また毒は飲み込んでも、胃の中で分解

されるので害はありません。」(沖縄県衛生環境研究所 HP よ

り抜粋 http://www.eikanken-okinawa.jp/)

Page 31: H23第3回八重山 資料04 普及啓発 Part2

43

図 2-15 危険生物によるケガの応急処置例

「気をつけよう!!海のキケン生物」(作成:沖縄県福祉保健部)の一部

図 2-16 危険生物によるケガの応急処置例

「ハブに注意!」(作成:沖縄県衛生環境研究所)の一部

Page 32: H23第3回八重山 資料04 普及啓発 Part2

44

● 熱中症の応急処置を学ぶ

気温が高い日や日差しが強い日は、参加者に脱水症や熱中症、日射病に注意するように呼

びかけましょう。参加者には帽子を着用する等の対策をしてもらい、水分をしっかり補給す

るように伝えましょう。また、無理をせず、こまめに適度な休息をとってもらいましょう。

参加者が熱中症になったと疑われるときに、病院や診療所に運ぶ前に現場でできる応急処

置を学んでおきましょう。

図 2-17 熱中症の応急処置例

「気をつけよう!熱中症 熱中症の応急処置」(作成:沖縄県福祉保健部)

Page 33: H23第3回八重山 資料04 普及啓発 Part2

45

④ 海岸へのアクセス道路・ごみの集積場所の整備と会場確認

海岸を決めるための下見をした(2.1.1①参照)後に、台風等の被害を受けて倒木が漂着し

たり、植物が生い茂ったりして、海岸へのアクセス道路が通れないことや集積場所が荒れて

いることがあります。開催 2~3 日前に再度状況を確認しましょう。

また、海岸清掃活動範囲内のごみの量が、下見時から非常に変化している場合は、当日ま

でに対応策を考えておきましょう(P55 参考 4 参照)。他に危険なごみが漂着していないか、

活動するにあたって注意が必要な危険な場所ができていないか確認しましょう。

● 確認すること

・ 海岸へのアクセス道路等に障害物(倒木、植物の繁茂)がないか

・ 活動範囲内に目立った危険なもの(爆発性のもの等)や場所がないか

障害物がある場合は市町村担当課に相談して、危険なものは警察や市町村担当課に相

談して撤去してもらいましょう。水辺が崩れている等、危険な場所がある場合は開会式

で注意を呼びかけましょう。

図 2-18 海岸へのアクセス道路の様子(石垣市)

図 2-19 水辺の様子(石垣市)

⑤ 早めの実施可否の判断をする

予め天気予報から開催日に台風の接近や大雨、暴風雨が想定される場合は、その時点で中

止あるいは順延の決断をして、参加者に連絡しましょう。

Page 34: H23第3回八重山 資料04 普及啓発 Part2

46

2.1.8 広く参加者を募る

海岸清掃活動に慣れてきたら、①募集媒体、②募集要項を決めて、広く参加者を募りま

しょう。③申し込みに対応して、参加者名簿を作成しましょう。

① 参加者募集のための募集媒体を決める

募集媒体には無料や有料、情報の伝わりやすさ等の違いがあります。活動目的や内容にあ

ったものを選択しましょう。

表 2-7 募集媒体別の長・短所

用 媒体 長所 短所 備考

HP 全国的に伝わる

・インターネットを使用

できる人のみに伝わる

・興味がある人のみに伝

わる

地域ネットワーク

の活用(表 1-2)

市町村報 興味のない人に伝わる 市町村内に限定される 市町村の協力が必

回覧板 地域に伝わる

興味のない人に伝わる 地域が限定される

地区公民館

に依頼 地域に伝わる 地域が限定される

名簿から

連絡

興味と経験のある人に

伝わる 参加者が固定化される 名簿が必要

新聞 地域全域

興味のない人に伝わる 費用がかかる

ポスター 興味のない人に伝わる 見る人が限定される 貼る場所の協力が

必要

ビラ 興味のない人に伝わる ポイ捨てされやすい

② 参加者募集のための募集要項を検討する

次に募集要項を検討します。いつ、どこで、誰が、どのような活動をするのかわかりやす

く伝えることが必要です。

● 伝えること

・ 日時(開催時間、集合時間)

・ 場所(開催場所、集合場所)

・ 主催者(団体、個人)

・ 注意事項(参加条件、持ち物、雨天・荒天時の対応、活動時の注意点)

・ 連絡先(代表者名、電話番号、FAX 番号、Eメールアドレス)

・ 参加申し込み方法

・ その他情報(参加申し込み時に必要な情報、地域情報等)

Page 35: H23第3回八重山 資料04 普及啓発 Part2

47

その他情報

(地域情報、生息する動植物)

連絡先(代表者名・電話番号)

注意事項

(持ち物、雨天・荒天時の対応

活動時の注意点)

集合場所・時間

日時・場所・主催者

図 2-20 海岸清掃活動の参加者募集ポスター例

(石垣市 八重山環境ネットワークHPよりhttp://www.churaumi.net/) 補足 同じ海岸を対象とした海岸清掃活動を定例化できた場合は、事前申し込みを不要とした

自由参加形式の開催も可能です。 ③ 参加申し込みへの対応

参加申し込みがあった場合、下記の参加者情報を確認して、必ず返信しましょう。開催直

前であれば FAX、E メールを避け、電話で連絡を取り合うほうがよい場合もあります。必要に

応じて、参加確認の意味で場所、集合場所、集合時間等を再度連絡しましょう。

参加者が決定したら、名簿を作成します。この名簿は前述のボランティア保険(P42 参考 2

参照)の加入に使用したり、今後の海岸清掃活動で連絡を取るときに必要となります。

● 確認すること ・ 日時・場所 ・ 氏名、性別、年齢、住所、電話番号 ・ 当日の朝に必ず連絡が取れる連絡先(携帯番号、携帯メールアドレス) ・ 自家用車利用の有無、送迎バスの予約等 ● 伝えること ・ 集合場所、時間 ・ 駐車スペースの場所 ・ 当日の服装と持ち物 ・ 注意事項(雨天・荒天時の対応等) ・ 当日に必ず連絡の取れる主催者の連絡先(携帯番号)

Page 36: H23第3回八重山 資料04 普及啓発 Part2

48

2.2 海岸清掃活動の実施

表 2-8 当日のスケジュール例

主催者 参加者

8:30~

9:30~10:00

10:00~10:10

10:10~11:30

11:30~11:50

11:50~12:00

実施判断、連絡、現地集合、記録

受付

開会式(説明、用具・備品配布)

片付け、記録

閉会式(報告)

片付け、解散

現地集合、受付

開会式

活動(休憩含む)

片付け、記録

閉会式、解散

2.2.1 海岸清掃活動前

①実施可否の判断をして、中止あるいは順延の場合は緊急連絡をしましょう。

②受付・活動の準備をして、集合した人から順に③受付をします。時間になったら④開

会式をはじめましょう。

① 当日の実施判断をする

当日の天気予報から大雨や強風が予想されたり、台風の接近が確実であったり、大雨、洪

水、暴風、波浪警報等が出ている場合は中止あるいは順延の決断をします。その場合は参加

者に緊急連絡をしましょう。注意報が出ている場合は、関係者に相談をするとよいでしょう。

② 受付・活動の準備をする

主催者は参加者の集合時間の 1~2 時間前に集合して準備を始めます。

● 受付の準備をする

参加者が会場を見つけやすいように、看板等を設置しましょう。

・ 集合場所(テント、看板、のぼり旗の設置)

・ 駐車スペース(看板設置、駐車場整理担当者の配置)

・ 受付(名簿の準備、手袋やごみ袋の配布準備)

Page 37: H23第3回八重山 資料04 普及啓発 Part2

49

図 2-21 会場付近に立てられたのぼり旗(石垣市 提供:海 LOVE ネットワーク事務局)

● 海岸清掃活動の準備をする

活動範囲の状況を確認します。活動記録を残したり、後に HP 等で紹介することを想定して、

活動前の海岸の様子を撮影しておくとよいでしょう。また、参加者以外の海岸利用者がいる

場合は配慮して活動するようにしましょう。

・ 漂着したごみや海岸の状況

・ 活動記録(活動前の海岸の状況)

・ 参加者以外に海岸を利用している人がいるか

③ 受付をする

受付で参加人数等を確認し、同時に参加者の服装を確認しましょう。日差しの強い日には

帽子の着用、ビーチサンダル等よりは運動靴が海岸清掃活動に適していることに留意してく

ださい。また、参加者に手袋やごみ袋等を配布します。

図 2-22 受付の様子(石垣市 写真右提供:海 LOVE ネットワーク事務局)

Page 38: H23第3回八重山 資料04 普及啓発 Part2

50

④ 開会式をする

【「ちゅら島守り隊」沖縄県環境生活部環境整備課より】

開会式の時間になったら、集まった参加者に声をかけて開会式をはじめましょう。

● 海岸清掃活動の内容を説明する ・ 主催者からのあいさつ ・ 当日のスケジュールと活動内容(活動範囲等) ・ 駐車スペース、トイレ、休憩場所、集積場所 ・ 回収するごみの種類 ・ 回収したごみの分別方法

● 注意事項を説明する 季節や天候、地域特性に合わせた注意事項を説明しましょう。 ・ 体調管理(脱水症、熱中症、日射病対策) ・ 自然災害への対応(天候悪化、地震、津波) ・ 危険な動植物、場所、ごみ ・ 貴重な動植物や自然環境 ・ ケガ等の緊急時の対応

Page 39: H23第3回八重山 資料04 普及啓発 Part2

51

図 2-23 開会式の様子(石垣市)

2.2.2 海岸清掃活動中

海岸清掃活動中は①安全管理を行い、②参加者が休憩をきちんとれるように指示しまし

ょう。回収したごみは③分別してから、④記録を行い、⑤集積場所へ移動しましょう。

開会式が終わったら、海岸清掃活動をする海岸へ移動し、活動範囲内のごみの回収作業を

はじめます。目につきやすい大きなごみだけではなく、1cm 以上のごみは回収してもらうよ

うにしましょう。

① 安全管理を行う

活動範囲外との境界がわかりにくい場合は、境界付近に主催者が立つようにして、参加者

が間違えて入らないようにしましょう。

活動中は参加者の動きを注意深く観察して、体調の悪い人やケガ等をした人がいないか確

認しましょう。また、緊急時や困ったことが起きたときは、前述2.1.7で作成したフロー図に

従い、関係者に連絡して、迅速に対応しましょう。

主催者は天候に注意しながら、ラジオ等から最新情報を得て、警報が発令された場合は直

ちに活動を中止しましょう。注意報が出された場合には、前述 2.1.7 で作成したフロー図に

ある関係者に相談をしましょう。

② 適度な休息をとってもらう

30 分ごとを目安に、参加者に休憩を取るように指示しましょう。汗をかく時季は、休憩時

間に主催者が飲み物を配布することを検討しましょう。

③ 分別する

参加者が分別作業するにあたり、分別に迷うものがないか、分別ルールが守られているか、

危険なごみが混ざっていないか確認しましょう。危険なごみは主催者がまとめて、他のごみ

とは別に管理しましょう。危険なごみの種類によっては、事前に行政機関と調整して(前述

2.1.3参照)、適切な処理をお願いしましょう。

Page 40: H23第3回八重山 資料04 普及啓発 Part2

52

④ ごみの量を集計して海岸清掃活動後の状況を記録する

参加者と共に、分別したごみの種類毎にごみ袋数を数えて記録します。ごみ袋数からごみ

の重量を推定する方法があります(下記参考 3参照)。

また、活動後の海岸の様子を撮影しましょう。

図 2-24 ごみの量を記録する様子(石垣市)

【参考 3 ごみ重量をごみ袋数から推定する計算方法】

(例)回収したごみが 45L ごみ袋で 100 袋ある場合

ごみ袋 1袋に入っているごみの量(体積)を約 40L として、

40(L)×100(袋)=4,000(L)

第 1 期モデル調査の結果より、沖縄県内の一般的な漂着ごみの比重が

0.16 であることから

4,000(L)×0.16=640(kg)

(推定重量)640kg

⑤ ごみを集積場所へ移動する

ごみは参加者と共に、集積場所まで移動して、ビニールシートで覆ったり、ロープで固定

する等、収集・運搬されるまでに風雨等で飛散しないようにしましょう。

必要に応じて、集積場所に主催者の名前の入った看板やプレートを準備して、収集・運搬

されるまでのトラブル発生時に対応しましょう。

Page 41: H23第3回八重山 資料04 普及啓発 Part2

53

2.2.3 海岸清掃活動後

閉会式で活動報告をします。参加者が全員帰ったら、最終確認をしましょう。

【「ちゅら島守り隊」沖縄県環境生活部環境整備課より】

● 閉会式で活動報告する

閉会式では、ごみ袋数、推定容量(L)、推定重量(kg)等の活動成果を伝えましょう。また、

発見された危険なごみや漂着したごみの特徴等も報告するとよいでしょう。

● 後片付け

参加者が全員帰るまで、主催者は安全管理を心がけましょう。参加者の忘れ物はないか、

やり残したことはないか、集積場所の状況はどうなっているかを最終確認します。

Page 42: H23第3回八重山 資料04 普及啓発 Part2

54

2.3 事後活動の実施

2.3.1 行政や関係者への終了報告

行政機関や関係者に海岸清掃活動終了報告を行いましょう。

後日、市町村担当課や海岸管理者、地権者に活動内容を伝え、終了報告を行いましょう。

活動の成果や当日困ったことがあれば伝えて相談します。さらに、活動を通して地域からの

要望があれば聞いておきましょう。今後の活動の参考になります。

2.3.2 活動記録の整理と情報発信

海岸清掃活動の記録を整理して、今後の参考としましょう。

活動記録を整理して、ホームページで公開したり、地域メディア等に報道依頼するときに

利用しましょう。前出の表 1-2に整理した県内の活動をとりまとめて提供するネットワーク

に情報提供することも検討しましょう。

● 記録事項

・ 活動日時 ○○年○○年○月○日 ○:○○~○:○○

・ 活動場所 沖縄県○○市町村○○海岸

・ 活動範囲 海岸線長○m(地図に情報をのせる方法もあり)

・ 参加人数 合計○人(男性○人、女性○人、子供○人)

・ 回収したごみの量 約○○kg(○○L)

・ ごみの特徴(種類、危険ごみの有無)

・ ごみの集積場所 沖縄県○○市町村○○

(地権者:○○○○様 連絡先 TEL:○○○○-○○-○○○○)

・ ごみの運搬方法 ○○市町村・自己

・ 準備した備品 手袋○○双、ごみ袋○○枚、飲料水○○本、合計○○円

・ 準備した備品の調達先 ○○店からネット注文

・ 市町村から提供のあった備品 手袋○○双、ごみ袋○○枚

・ 緊急時連絡体制フロー図

・ 写真(海岸清掃活動前、活動中、活動後)

・ 活動を通して地域から得られた情報:

例:参加者の路上駐車で近隣住民が困った等の苦情

きれいになって嬉しいという感想

Page 43: H23第3回八重山 資料04 普及啓発 Part2

55

2.3.3 参加者への事後報告

後日参加者へ海岸清掃活動報告を行うと、参加者の活動に対する意欲や意識向上に役立

ちます。

前述2.3.2で整理した情報を参加者に伝えましょう。メール等で送付する方法がありますが、

予め参加者に主催者のホームページURLを周知しておくとよいでしょう。

【参考 4 海岸清掃活動内容の調整】

実際に活動するときには、当日の漂着ごみの状況(種類と量)や参加人数、参加者の熟練

度に応じた調整ができれば理想的です。ただし、原則は「参加者が無理なく、ごみを回収す

ること」です。漂着ごみの量(多・少)に応じた対応例を下記に示します。

● ごみが多い

⇒活動範囲を狭くする

⇒回収するごみの種類を限定する(例:ペットボトル限定等)

● ごみが少ない

⇒余った時間を漂着ごみの学習時間に当てる

⇒関連イベントを行う

例えば、参加者が少ないときに漂着ごみの量が非常に多い場合は、活動範囲を海岸全体で

はなく一部に区切って、限定された範囲を回収する方法があります。また、海岸に目立って

多く漂着している種類のごみに限定して回収する方法もあります。

逆にごみが少なすぎる場合には、余った時間を使って、ごみについているラベルやバーコ

ードから生産国を調べる等の漂着ごみの学習時間や関連イベントにあてるとよいでしょう。

図 2-25 漂着ごみの量が異なる海岸の様子

(左からごみが非常に多い海岸(粟国村筆ん崎) ごみがほとんどない海岸(竹富町ペムチ浜))

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3 【上級者編】海岸清掃イベントを主催する

【上級者編】は沖縄県内で大規模にイベントと共催して海岸清掃活動を計画したい方を

対象にしたものです。

上級者編では、「海・LoveLove フェスタ 2011 実行委員会(海 LOVE ネットワーク事務局)」

(石垣市)が 2011 年 11 月 13 日に開催した「第 3回海・LoveLove フェスタ in 石垣島 2011」

を例として、イベントと共催する海岸清掃活動の計画・運営を解説します。

図3-1 海・LoveLove フェスタ チラシ(表)(1)(作成:海 LOVE ネットワーク事務局)

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図3-2 海・LoveLove フェスタ チラシ(裏)(2)(作成:海 LOVE ネットワーク事務局)

海・LoveLove フェスタ in 石垣島 2011 の工程

3.1.1 目的を明確化する H21 年○月○日頃

3.1.2 実行委員会を立ち上げる H23 年○月○日頃

3.1.3 日程・会場を決める H23 年○月○日頃

3.1.4 詳細をつめる H23 年○月○日頃

3.1.5 早期の準備 H23 年○月○日頃

3.1.6 広報する H23 年○月○日頃

3.1.7 支援をお願いする H23 年○月○日頃

3.1.8 開催のための準備 H23 年○月○日頃

3.1.9 当日スケジュールと事後調整 H23 年○月○日頃

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3.1 目的を明確化する(H21 年○月○日頃)

開催目的を明確にして、持続的に海岸清掃活動することを目指しましょう。

何を目的にしたイベントなのか目的を明確にし、一度限りの打ち上げ花火で終わらせない

ようにする。海・LoveLove フェスタの企画の動機は、「ゴミは捨てるものではなく、拾うも

の」をキャッチフレーズに石垣島のきれいなビーチを再現し、未来の子供たちに美しい自然

を護り継承していくことを目的とし、漂着ゴミ清掃活動の推進と不法投棄防止を呼び掛ける

ために開催し、一人でも多くの方に参加してもらい活動の輪とゴミを捨てない心を広げたい

という思いから。

図3-3 「海・LoveLoveフェスタ」のイベント趣旨及び参加条件(海LOVEネットワーク事務局

(石垣市)HPよりhttp://www4.ocn.ne.jp/~umilove/sannkajyoukenn.html)

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3.2 実行委員会を立ち上げる(H23 年○月○日頃)

①趣旨に賛同する仲間を集め、②実行委員会を立ち上げましょう。開催に向けて③役割

分担を決めます。

① 趣旨に賛同する仲間を集める

趣旨に賛同し、コミュニケーションを取れる仲間から始め、仲間の輪を広げる。

※常に中心になって動けるメンバーは、数人(5~6 人)必要。

※趣旨に賛同し、行政や企業に人脈の厚い人がいると良い。(行政や企業からの後援・協

賛・寄付等、協力を得やすくなる。)

② 実行委員会を立ち上げる

仲間が集まったら、実行委員会を立ち上げる。実行委員会の口座を開設する(寄付の振込

先や経費管理に必要となる)。

口座開設時には、実行委員会の規約と印鑑が必要となる。実行委員会にて規約の承認と役

割分担の役員、承認を各委員より得る。

③ 役割分担を決める 各班の作業内容については別紙にて説明す

る(中級編でだいたい記載あり)。

<運営本部>

総合プロデューサー・・・行政や企業への対応、顧問的な役割

実行委員長 ・・・全体の統括、関係先への対応

副実行委員長・・・実行委員長の補佐

書記 ・・・実行委員会等の記録

会計 ・・・運営費等会計

<運営班>

ビーチクリーン運営班 ・・・イベントのメインとなる海岸清掃の企画と運営

会場設営班 ・・・会場のステージやテント等の設営

受付班 ・・・参加者名簿等作成や当日の受付や会場での参加者への

案内

接遇班 ・・・昼食時のリユースカップ手配や貸出しから片づけ、リ

ユースカップ返却

安全対策班 ・・・駐車場での案内と誘導、道路での参加者の安全対策

記録班 ・・・フェスタ前後の記録をする(写真・ビデオ撮影)

救護班 ・・・万が一の為に救護テントに救急用品と可能であれば看

護師さんのボランティアがいると良い。

アート班 ・・・漂着物アートの企画・運営

給食班 ・・・昼食の材料手配、昼食を準備して下さる地域の方と打

ち合わせ

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3.3 日程・会場を決める(H23 年○月○日頃)

①日程を決め、②下見をした上で、③地域関係者と調整して、④会場を決めましょう。

① 日程を決める

他の行事に重ならない方が良い。

※遅くとも半年前には決定した方が良い(県外からの参加者考慮)

② 会場候補地下見

海岸清掃に適した海岸(足場や危険個所がないか、漂着ゴミの堆積状況等確認する)、アク

セスが良い、トイレや水設備があると良い、駐車場が確保し易い、開会式等行う広場がある

と良い。

③ 会場としたい地域(公民館)を訪ねて協力依頼をする

地域住民が協力的であるところが望ましい。

→海 Love の場合は、あらかじめ、総合プロデューサーが公民館長に協力依頼を打診し、あ

る程度調整してから、実行委員長等のスタッフが公民館を訪ねるという流れになっている。

④ 会場を決める

公民館の協力を得られる確約が取れたら、会場を決定する。

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3.4 詳細をつめる(H23 年○月○日頃)

①イベント概要を作成して、②実行委員会を開き、③スケジュールと④予算を決め、④

助成金の申し込みをします。

① イベントの概要を文書にまとめる(別紙参照→海 Love の概要)

趣旨、開催日時、会場、イベント内容等記載

② 実行委員会を開く

プログラム、タイムスケジュール等決める。フェスタ当日まで数回実行委員会を開き詳細

な打ち合わせをする。

③ 開催日前後までの実行委員のスケジュールを決める

実行委員会からフェスタ開催当日までの大まかな予定表(実行委員会の日程、ポスター・

チラシ作製、マスコミ発表の日にち等。

④ 予算をたてる

各班必要なものの予算等

⑤ 助成金申し込み

→海 Love の場合は、美ら海・美ら山募金推進協議会へ助成金の申し込みをしている。

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3.5 早期の準備(H23 年○月○日頃)

関係者と調整が必要な場合は早期に準備をはじめましょう。

① 借用物リスト作成と依頼

借用物は、班毎にリストを作成し責任者を決める。

→海 Love の場合は、石垣市管理公社より物品の借用をしている。それにより、大分経費削

減となっている。

*リユースカップの利用・・・環境に配慮したリユースカップの利用が好ましい。

② 環境省へ建設物(テント設営)許可申請

会場となる明石海岸は、西表国立公園の一部であるため、海岸にテント等設営する場合に

は、環境省の許可が必要となる。

③ 駐車場確保

実行委員と参加者用の駐車場を確保する。

④ 送迎バス手配

送迎バスを出す場合は、手配する。

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3.6 広報する(H23 年○月○日頃)

イベントを多くの人に知ってもらうように広報しましょう。

① マスコミ発表

実行委員会開催日に合わせて取材に来てもらい、イベント開催の記者発表を行う。

② 広報活動

ラジオや新聞等メディアを利用して宣伝する。

③ ポスター・チラシ作成

宣伝用のポスターとチラシを作る。できれば、実行委員の中で PC の得意な人が版下まで作

り、印刷だけ外注すると経費節減になりより良い。

④ ポスター・チラシを配る、貼る

実行委員が手分けして店舗などにポスターを貼らせてもらう。

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3.7 支援をお願いする(H23 年○月○日頃)

イベントを開催するにあたって、支援をお願いしましょう。

① 後援依頼、寄付、協賛集め

後援依頼文書の送付と配布。

② 市役所、海岸管理者、学校、地域住民、各団体に協力依頼

③ タレント等参加者の航空券等協賛依頼

④ 市役所へ清掃申し込み

ボランティア清掃の申し込みとイベントでの協力のお願い。通常より参加者が多いので軍

手やゴミ袋の数が多くなる。

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3.8 開催のための準備(H23 年○月○日頃)

開催日が近づいてきたら、本格的に準備をはじめましょう。

① 必要物品購入

② マスコミへ取材依頼

イベントが近づいて来たら、記者クラブを通じてイベント当日の取材依頼をする(あまり

早くから依頼をすると忘れられる心配があるので近づいてきてからの方が良い)。

どんな看板が必要なのか説明する。 ③ 事前に製作物を作成

看板や展示物等作成する。

各地域の社会福祉協議会の URLと具体的な金額を掲載

④ ボランティア行事保険加入

社会福祉協議会にてボランティア行事保険に安価で加入できる。

⑤ 会場設営、機材搬入、会場清掃・整備

前日までに会場に搬入できる物は搬入し、会場設営できるものは設営する。

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3.9 当日スケジュールと事後調整(H23 年○月○日頃)

開催のための準備をはじめたら、①詳細な進行スケジュールを検討しましょう。

また、②開催後に行う事務手続き等についても検討します。

① 当日スケジュール

会場設営等準備

後援・協賛・寄付の掲示

展示物の展示

送迎バス

(ボランティアガイド班による車内での説明等工夫する)

受付

(氏名・住所・年齢記入、参加人数をカウントする)

開会式

移動

ビーチクリーン

(回収・分別・アート製作・撮影・集積場所への移動)

ランチ

ライブ

閉会式

送迎バス

片づけ

② 事後調整

借用物返却

(班毎の責任者に借用物の返却確認をする)

お礼状作成

お礼状配り、発送

会計報告

助成金報告書提出

最後に以下の記載をしたい

①事務局長の中川久美さんからのメッセージ的な文書

②海 Love フェスに対する地域行政機関からの期待・評価・感想的な文書

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