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2018年度 初等中等教育におけるGISを活用した授業に係る優良事例表彰「毎日新聞社賞」
GISを活用した生徒主体のアクティブラーニング型授業の提案
桐蔭学園中学校・高等学校
社会科教諭 石橋 生
桐蔭学園中学校・高等学校
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桐蔭学園の教育
Ø全学でアクティブラーニング型授業を実施毎年11月にアクティブラーニング公開研究会を実施し、全国から
教員が授業見学に来校
Ø恵まれたICT環境教諭・講師・中学生にiPadを貸与(全授業教室でWifi環境完備)
Ø探究活動「未来への扉」大学のゼミのような形態で教員がゼミ生を指導(研究→論文)
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GISを活用したモデル授業を提案する際に考えたこと
①GISは中学校・高等学校の地理・歴史分野だけでなく、公民分野でも導入可能
②最新のデジタルツールを活用して、生徒も教師も楽しくて深く考えたくなる授業
③GISのスペシャリスト教師だけができる授業ではなく、どんな教師でも実施可能な授業
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GIS関連で情報収集のため、参加した出張・勉強会など
日程 場所内容
2012年8月12日 平和記念資料館(広島)地理情報システム学会中国支部主催 「ヒロシマ被曝体験を次世代に継承するための原爆痕跡地図作成GISワークショップ」
慶應義塾普通部 太田弘教諭
2016年11月25日 日本科学未来館(東京) 国土交通省主催 Geoエデュケーションプログラム(G空間EXPO2016)
2017年3月17日 慶應義塾大学 地理情報システム学会IoT×GIS分科会「超スマート社会に向けてのマッピング新技術」
2017年10月4日 ESRIジャパンもっと使おう!ArcGISセミナー2017「Web GISを実現するArcGIS Enterprise」、「Portal for ArcGIS 10.5最新情報」、
「知って得する!?ArcGIS Serverのあんな機能やこんな機能」、「ArcGISで実現するリアルタイムGIS〜データの受信と蓄積から解析まで〜」
2017年10月20日 ESRIジャパンもっと使おう!ArcGISセミナー2017「地図の Webアプリケーションを作成し、さまざまな用途で活用してみよう!」、
「Excelで始める現地調査〜Survey123 for ArcGIS〜」、「Office365で業務データの位置情報を活用」
2017年11月16日 ESRIジャパンもっと使おう!ArcGISセミナー2017「GISデータ入門〜賢いデータ活用でもっと広がるGISの世界」、
「知っておきたい!ArcGISでアドレスマッチング」、「GISで活用できる統計データのご紹介」
2017年12月9日 首都大学東京GIS Day in東京
Bコース「地理必修化に向けてGISを活用した授業体験」、Dコース「Carto Builderを用いた授業教材用Web GISの作成」
2018年3月24日 東京学芸大学日本地理学会公開講習会
ESRIジャパン主催「オープンデータを活用したGIS講習会」、「スマホ・タブレットで行うフィールドワーク」
2018年6月29日 アドソル日進株式会社
地理情報システム学会IoT×GIS分科会 ベルモント・フォーラム国際共同研究「持続可能な都市化に向けた国際イニシアチブ:食料−水−エネルギーのネクサス」慶應義塾大学 厳網林教授
「CPSプラットフォームの開発(ジオラマ地形の変化と水流計算による防災シミュレート)」アドソル日進株式会社 社会システム事業部 村上佳史氏
2018年3月16日2018年6月5日
2018年7月12日桐蔭学園中学校・高校 桐蔭学園GIS講習会(ESRIジャパン)
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https://www.esrij.com/products/k-12-grant/6
研究対象授業
①中3公民「模擬請願(地方自治体)」
4クラス(女子3クラス計75名、男子1クラス29名)
→6/23授業参観(女子1クラス28名)
②高2女子理数科「GISゼミ」2名(2018年5月〜)
「GISで分析する町田市の子育て支援のあり方について」
→9月から高1男子「GISゼミ」17名を立ち上げた
→他の地理科教員もGIS関連のゼミを立ち上げた 7
6/23 中3公民の授業参観
中3公民「模擬請願」の授業参観で、Survey123 for ArcGISで作成したアンケート項目にスマホやタブレットで回答する生徒・保護者参加型の授業を実施
本校で実施している授業(ロイロで生徒が発表)と結びつけやすく、保護者からもICTを活用した新しい授業だと好評だった
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ESRIジャパンの配布資料から引用
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関連先行研究事例3/24日本地理学会(@東京学芸大学)
「スマホ・タブレットで行うフィールドワーク」
https://blog.esrij.com/2018/04/03/post-29772/
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Survey123 for ArcGISを活用した
生徒・保護者の参加型授業
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生徒主体のアクティブラーニング型授業
請願先の首長の名前とプロフィールを調べてみよう→写真をつけてロイロで提出
役割分担①発表 ②ロイロ ③偵察 ④質問・感想
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首長の名前
横浜市長 林文子(はやし ふみこ)
川崎市長 福田紀彦(ふくだ のりひこ)
町田市長 石阪丈一(いしざか じょういち)
神奈川県知事 黒岩祐治(くろいわ ゆうじ)
東京都知事 小池百合子(こいけ ゆりこ)
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ロイロノートに提出された生徒回答
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アクティブラーニング型問題
自治体への要望内容を話し合ってみよう
役割分担
①発表 ②ロイロ ③偵察 ④質問・感想18
AL型問題
資本主義と社会主義と違いを明確にした
上で、どちらが理想的か話し合ってみよう
役割分担
①発表 ②ロイロ ③偵察 ④質問・感想
アクティブラーニング型問題中3公民 経済分野
黒のアント(対義語(アントニム)の略)は、白。けれども、白のアントは、赤。赤のアントは、黒。
太宰治『人間失格』(1948)
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中3公民「模擬請願」→高2「GISゼミ」
請願する自治体①横浜市、②川崎市、③町田市、④その他
興味・関心のある分野①教育、②福祉、③ごみ・環境、④交通、⑤街づくり
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GISゼミの特徴
①Survey123 for ArcGIS
②ArcGIS Online
③Story Maps最新のデジタルツールを活用しながら、
アンケート項目・分析・地図作成を通して、GISに親しむこと
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産学官との連携
産:ESRIジャパン
学:東京大学空間情報科学研究センター
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科
官:東京都町田市子ども生活部保育・幼稚園課
町田地域子育て相談センター
神奈川県立こども医療センター22
研究の流れ1. 研究テーマ・課題の設定、マインドマップ作成、文献調査2. 6/5・7/12 桐蔭学園GIS講習会(ESRIジャパン)3. Survey123 for ArcGISでアンケート項目作成4. フィールドワーク・インタビュー調査
6〜8月 町田市産婦人科・小児科8/17 神奈川県立こども医療センター8/20 東京都町田市子ども生活部保育・幼稚園課
町田地域子育て相談センター5. Survey123 for ArcGISで分析、ArcGIS Onlineで地図作成、Story Maps作成6. 研究発表会
7/12 ESRIジャパン7/13 東京大学空間情報科学研究センター11月 慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科
東京都町田市子ども生活部保育・幼稚園課7. 研究論文作成、文献調査 23
フィールドワーク(6〜8月)
町田市Ø産婦人科(18箇所)
Ø小児科(53箇所)
Ø子育て相談センター(5箇所)24
夏のGISゼミの活動内容
日時 場所 活動内容
7月12日 桐蔭学園中学校・高校GIS講習会・研究発表会
鈴木瑛莉さん・小澤有貴さん(ESRIジャパン)
7月13日東京大学
空間情報科学研究センター
研究発表会小口高教授・山内啓之特任研究員
大学院生羽田康孝さん・宗佳麗さん
8月17日 神奈川県立こども医療センター
インタビュー調査・施設見学望月昭彦医師(産婦人科)池田頌子医師(産婦人科)佐々木恵医師(産婦人科)豊島勝昭医師(新生児科)
8月20日
町田市役所子ども生活部保育・幼稚園課
インタビュー調査太田耕平係長
町田地域子育て相談センターインタビュー調査・施設見学
上野佳代所長
町田市合同フィールドワーク
河合豊明教諭(品川女子学院高校)25
ESRIジャパン(6/5・7/12)
桐蔭学園GIS講習会6/5(第1回講習会)
Survey123 for ArcGISの使い方
(アンケート項目作成・分析方法について)
ArcGIS Onlineの使い方
(エクセルでまとめた住所録から
GISマップを作成する方法について)
7/12(第2回講習会)
Story Mapsの作り方
(効果的な見せ方について)
研究発表会 26
東京大学CSIS(7/13)
•東京大学空間情報科学研究センターの小口高教授の研究室で研究発表
•山内特任研究員・大学院生たちから今後の研究方針やGISマップの色彩など具体的なアドバイスを受けた 27
神奈川県立こども医療センター(8/17)
産婦人科の15年前との変化
• 技術は進歩したが仕事内容はほとんど変わらない
• 当直や過重労働が減った
• 慢性的な人手不足
• 地方の病院の減少
• 医師の数が少ない病院は大病院に集約された
産婦人科医が考える人口減少の対策
• 単純労働者の給料を上げる
• 若い人の養育に国がもっとお金をかける
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町田地域子育て相談センター(8/20)
上野佳代所長へのインタビュー調査・町田地域子育て
相談センターの施設見学
町田市の取り組み• 「マイ保育園」登録促進・家庭
訪問の実施• 送迎保育ステーションで保育児
童の分散化• 次年度以降、小規模保育施設を
増設し、待機児童0を目指す
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合同フィールドワーク(8/20)
品川女子学院高校の河合教諭と合同フィールドワーク
FieldAccess2(スマホアプリ)を使用し、今と昔の地形を見比べ、人の流れと商業施設の関連性を考察しながら、町田市内を探索
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学園祭での教室展示
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外部とのつながりØ 東京大学空間情報科学研究センター 小口高教授 7/13
Ø 慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 厳網林教授 6/29、11月
Ø 東京大学空間情報科学研究センター 山内啓之特任研究員 7/13
Ø 東京大学大学院新領域創成科学研究科自然環境専攻修士課程 羽田康孝さん 7/13
Ø 東京大学大学院新領域創成科学研究科自然環境専攻修士課程 宗佳麗さん 7/13
Ø ESRIジャパン 鈴木瑛莉さん 6/5、7/12
Ø ESRIジャパン 小澤有貴さん 6/5、7/12
Ø 町田市子ども生活部保育・幼稚園課 押切健二課長 11月
Ø 町田市子ども生活部保育・幼稚園課支援係 太田耕平係長 8/20、11月
Ø 町田地域子育て相談センター 上野佳代所長 8/20
Ø 神奈川県立こども医療センター産婦人科 望月昭彦医師 8/17
Ø 神奈川県立こども医療センター産婦人科 池田頌子医師 8/17
Ø 神奈川県立こども医療センター産婦人科 佐々木恵医師 8/17
Ø 神奈川県立こども医療センター新生児科 豊島勝昭医師 8/17
Ø 品川女子学院高等学校 河合豊明教諭 6/19、8/2032
研究の目的
日本では合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産むと見込まれる子供の数)は1.43(2017 年)であり、人口を維持するための水準は2.07とされ、日本の人口は減少傾向である。こうした中で、居住地の町田市では女性にとって子供を産みやすい環境なのか、子育てしやすい環境なのか、実際に足を運んで調査したいと考え、①Survey123 for ArcGIS、②ArcGIS Online、③Story Mapsを活用して分析・研究を行った。
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マインドマップ(中3作成)
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マインドマップ(Aさん作成)
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マインドマップ(Bさん作成)
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マインドマップを作成して
情報の関連性を整理するのに効果的Ø男性医師が産婦人科・小児科を敬遠する傾向
Ø海外では少子化を改善している国もあり、解決策や合計特殊出生率の高い国の対策を日本にも導入すべきかを検討
Ø産婦人科・小児科の女性医師は増加しているものの、女性医師の晩婚化や子育て支援のあり方など、病院、子育て施設、自治体、家庭のサポートが必要
居住地(町田市)の産婦人科・小児科・
地域子育て相談センターの現状を知るために現地調査を実施37
町田市の将来人口推計(年齢3区分)
町田市のホームページから引用
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町田市の将来人口推計(市内10地域)
町田市のホームページから引用
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町田市の人口ピラミッド
2015年 2030年
町田市のホームページから引用
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手書きのアンケート項目
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Survey123 for ArcGISで作成したアンケート項目
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Survey123 for ArcGISで作成したアンケート項目
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Survey123 for ArcGISで作成したアンケート項目
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Survey123 for ArcGISの分析結果
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紙の地図に情報を詰め込んだもの
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産婦人科と15~34歳女性の相関関係をあらわしたGISマップ
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小児科と0~14歳人口の相関関係をあらわしたGISマップ
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幼稚園・保育園と0~4歳人口の相関関係をあらわしたGISマップ
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Story Maps
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Story Maps
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Story Maps
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研究結果
Ø産婦人科は町田駅周辺に立地しているものの、小児科は分散しているØ南大谷周辺には保育園・幼稚園がほとんど見られないØ18歳から22歳の女性は大学・専門学校周辺に居住するが、学校を卒業した後は駅周辺に分散しているØ年齢構成比と病院との相関は想定していたより関係がなかった
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考察
ØSurvey123 for ArcGISを使うとアンケートの集約に効果的
ØGISマップを作成してみると、年齢構成比と病院の立地には相関関係があまり見られないものの駅や大きな道路沿いなど、街づくりとの相関関係の方が強い
Ø町田市の優れたシステムを他地域にも紹介
Øフィールドワークで得られた結果をもとに社会学と関連させながら、町田市の子育て支援のあり方について論文にまとめる 55
秋以降のGISゼミの活動内容
日程 内容
9月23・24日 学園祭教室展示・口頭発表
9月26日締め切り第62回学芸・サイエンスコンクール(旺文社)
サイエンス分野人文社会科学研究部門 応募
11月11日 第24回神奈川県高等学校社会科研究発表大会 研究発表・展示発表
11月慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 研究発表会(厳教授)東京都町田市子ども生活部保育・幼稚園課支援係
研究発表会・請願書提出(押切課長・太田係長)
12月 校内研究論文提出
2019年3月 日本地理学会春季学術大会高校生ポスターセッション 56
GISを活用したモデル授業のまとめ
Ø模擬請願の主権者教育以外にも、東大・慶應、外資系企業、大病院で働く医師など生徒が目標としている大学や職業の方々と研究を通して交流できたことで大学訪問、キャリア教育につながった
ØSurvey123 for ArcGISのアンケート回答の結果から授業を組み立てるのが簡単で、他教科でも応用可能
Ø本校でのGIS教育が私以外の社会科教員にも広がり、他教科の教員も関心を持ってくれている
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参考文献①
• 朝日孝輔 他『統計・防災・環境情報がひと目でわかる地図の作り方』(2015)技術評論社
• 内田樹 編『人口減少社会の未来学』(2018)文藝春秋
• 浦川豪『GISを使った主題図作成講座』(2015)古今書院
• 柴田悠『子育て支援と経済成長』(2017)朝日新書
• 仙田満『こどもを育む環境 蝕む環境』(2018)朝日新聞出版
• 地理情報システム学会教育委員会編『授業のためのGIS教材』(2017)古今書院
• 日本地理学会公開講座(2018.3.24) 『スマホ・タブレットで行うフィールドワーク』(ESRIジャパン)配布資料
• 藤井直弥 他『Excel 最強の教科書』(2017)SBクリエイティブ
• 松木洋人『子育て支援の社会学』(2015)新泉社
• 溝上慎一『アクティブラーニング型授業の基本形と生徒の身体性』(2018)東信堂
• 森泰三『GISで楽しい地理授業 概念を理解する実習から課題研究ポスターまで』(2014)古今書院
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参考文献②
• 日本地理学会公開講座(2018.3.24)『スマホ・タブレットで行うフィールドワーク』(ESRIジャパン), https://blog.esrij.com/2018/04/03/post-29772/ ,2018.6.12
• ようこそ町田市ホームページへ, https://www.city.machida.tokyo.jp/ ,2018.6.12
• ArcGIS逆引きガイド, https://www.esrij.com/cgi-bin/wp/wp-content/uploads/documents/ArcGISOnline_user_guide.pdf , 2018.6.12
• ESRIジャパン, https://www.esrij.com/ , 2018.6.12
• e-Stat 政府統計の総合窓口, https://www.e-stat.go.jp/ , 2018.7.7
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ご静聴ありがとうございました
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