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FPDの画像品質管理について
富士フイルム(株)
メディカルシステム開発センター
桑原健
本日は、弊社CALNEOシリーズを例にとり、FPDの画像形成の仕組みからどのような画像品質項目があるか、それらがどのように管理されているかをご説明いたします。併せて、S値/EI値についてもご説明いたします。
■FPDの画像品質管理について• 画像の品質管理とは• FPDとは / FPDでの画像取得の流れ• 品質管理することが推奨されている項目
本日本日本日本日のののの内容内容内容内容
• 品質管理することが推奨されている項目• FPDにおける画像品質自動調整• 1ショットQCファントムPlus/ QCの手順• FPDの画像品質安定化の結果
■S値/EI値について• S値とは/EI値とは• EI値の利用方法• EI値の注意 (線質・ポジショニング)
画像の品質管理とは
画像品質管理とは、以下のプロセスからなる。① 管理項目の変動が一定の管理幅に収まっていることを確認する。② 変動があればそれを調整し、是正する。
画像品質管理
①管理項目確認 ②調整
昨今の国際規格の流れは、画像品質管理は、ユーザーに任せて行こうというトレンド
TFT読取
FPDFPDFPDFPD信号読取
a-Se光電変換層
X線→電荷変換
半導体
X線一般撮影において、近年様々なFPDが開発され、医療機器に適用されるようになってきた。
FPDとは
X線→光子→電荷変換
直接変換方式
信号読取
CsI:Tl (CsI) 蛍光体
CRCRCRCR
PMT読取
BaFX 蛍光体
輝尽性蛍光体
TFT読取蛍光体+フォトダイオード
Gd2O2S:Tb (GOS) 蛍光体
潜像→光子変換
レーザー走査
X線→潜像形成 光子→電荷変換,信号読取
間接変換方式
GOS蛍光体 CsI蛍光体
画像取得の流れ
X線装置
アナログ信号(電圧)X線
電荷
FPD
撮像装置から画像データに至る流れは下記の通り。このうちアナログの部分が変動する可能性がある。
デジタル信号補正済みデジタル信号
補正処理
プリアンプ蛍光体/TFT
表示AD変換
X線装置
PMT
アナログ信号(電圧)
デジタル信号
X線励起
IP レーザーでスキャン
光
CR補正済みデジタル信号
補正処理 表示AD変換
品質管理することが推奨されている項目
下記の画像品質が変動することが考えられ、管理することを推奨されている。
①管理項目 発生原因 ②調整方法
感度変動(経時での平均値の変動)
オフセット変動ゲイン変動
補正・キャリブレーション
画像ムラ(同一画像内の非一様性)
オフセット変動ゲイン変動
補正・キャリブレーション(同一画像内の非一様性) ゲイン変動
消去性能変動 残像 補正・キャリブレーション
鮮鋭度変動 (FPDでは変動しない) (不要)
線形性変動 (FPDでは変動しない) (不要)
ジッター(CRのみ)(縦の直線のギザギザ)
ポリゴンミラー速度ムラ(CRのみ)
ポリゴン調整(CRのみ)
幾何学ゆがみ(CRのみ)(縦と横の長さのズレ)
副走査速度ムラ(CRのみ)
フォーマットIP調整(CRのみ)
FPDにおける画像品質自動調整
CALNEOシリーズでは画像品質管理のうち、負荷軽減のため、②調整を自動化
CALNEOシリーズの画像品質管理
①管理項目確認ユーザーによる確認
②調整ユーザーによる調整FPDによる自動調整
FPDにおける画像品質自動調整
自動調整方法・補正
画像から、被写体信号以外の擬似的な信号(アーチファクト)や変動要因を除去して、画像品質を一定に保つ処理。
・キャリブレーション補正に必要な情報を得るため、事前に決められた条件で取得した画像を加工し、
自動調整によりユーザーが調整する負荷がなくなった。
①管理項目 発生原因 ②調整方法
感度変動(経時での平均値の変動)
オフセット変動ゲイン変動
補正・キャリブレーション
画像ムラ(同一画像内の非一様性)
オフセット変動ゲイン変動
補正・キャリブレーション
消去性能変動 残像 補正・キャリブレーション
補正に必要な情報を得るため、事前に決められた条件で取得した画像を加工し、変動パターンとアーチファクトを記録する処理。
FPDによる自動調整
FPDにおける画像品質自動調整
対象 特徴 補正・キャリブレーション
オフセット TFTに常時流れている電流による画像ムラ
X線量に関係しないため、低線量ほど画像に悪影響。FPD温度によっても変動。
撮影していないタイミングで自動読取実施し、撮影画像から減算。温度差も補正する仕組みあり。
ゲイン 蛍光体やTFTの X線量に比例するため、線 事前に一様曝射画像を得てゲイン 蛍光体やTFTの感度ムラによる画像ムラ
X線量に比例するため、線量によらず画像に悪影響。時間や温度による変動はほとんどない。
事前に一様曝射画像を得ておき、撮影画像から除算。
残像 前撮影で読み出し切れなかったTFTの残留電荷による残像
高線量撮影の後の低線量撮影で悪影響となる。時間とともに減衰する。
撮影直前に自動読取した画像と、時間減衰モデル関数で推測した係数との乗算結果を、撮影画像から減算。
1ショットQCファントムPlus
位置合わせマーカー
線形性鮮鋭度
多くの管理項目の確認を簡易化するため、富士フイルムでは1ショットQCファントムPlusを製品化
幾何学ゆがみ
ジッター
鮮鋭度
バーガーファントムワイヤーメッシュ
1mR一様画像撮影S=100となる線量で
QCファントム撮影
100mRでQCファントム
撮影(残像やきつけ)無曝射画像撮影
コンソールアドバンスと組み合わせて1ショットQCファントムPlusを使用すれば、以下の手順で簡単に管理項目が確認可能
QCの手順 (1ショットQCファントムPlus)
感度変動
画像ムラ
鮮鋭度変動
線形性変動
ジッター
幾何学歪み
消去性能変動
1ショットQCファントムPlusの使用結果は、コンソールに表示・記録
QCの手順 (1ショットQCファントムPlus)
結果表示
日々の結果の推移表示
FPDの画像品質安定化がもたらすもの
一般にFPD画像品質は低線量で変動しやすい。
CALNEOシリーズではFPDによる自動調整によりCALNEOシリーズではFPDによる自動調整により低線量でも安定した画質を維持。
線量を下げても安心して使用可能。さらに付加価値ある画像処理も可能に。
FPDの画像品質安定化がもたらすもの
ダイナミック処理では低濃度部でのコントラストを上げても自然な粒状
従来処理従来処理従来処理従来処理ダイナミックダイナミックダイナミックダイナミック処理結果処理結果処理結果処理結果
FPDの画像品質安定化がもたらすもの
バーチャルグリッドでは低線量の画像でも散乱線推定が可能
実実実実グリッドグリッドグリッドグリッドグリッドなしグリッドなしグリッドなしグリッドなしバーチャルグリッドバーチャルグリッドバーチャルグリッドバーチャルグリッド処理結果処理結果処理結果処理結果
FPDの画像品質管理まとめ
� 画像品質管理には、①管理項目確認と、②調整があり、定期的に画像品質管理することで、FPDの画質を一定に維持。
� 昨今の国際規格の流れから、画像品質管理はユーザーに任されるトレンド。
� ①管理項目確認: 簡易化のため、富士フイルムでは、1ショットQCファントムを製品化。
� ②調整: CALNEOシリーズでは、FPDによる自動調整により、ユーザーによる調整の負荷なし。
� 画像品質管理をすることで、安心して低線量で撮影可能。付加価値のある画像処理も実現可能に。
本日は、弊社CALNEOシリーズを例にとり、FPDの画像形成の仕組みからどのような画像品質項目があるか、それらがどのように管理されているかをご説明いたします。併せて、S値/EI値についてもご説明いたします。
■FPDの画像品質管理について• 画像の品質管理とは• FPDとは / FPDでの画像取得の流れ• 品質管理することが推奨されている項目
本日本日本日本日のののの内容内容内容内容
• 品質管理することが推奨されている項目• FPDにおける画像品質自動調整• 1ショットQCファントムPlus/ QCの手順• FPDの画像品質安定化の結果
■S値/EI値について• S値とは/EI値とは• EI値の利用方法• EI値の注意 (線質・ポジショニング)
S値とは
直接
線部
1023
L値
Qmax
� 撮影部位毎の濃度安定化を目的として導入された感度指標。
� 撮影メニューに応じて関心領域のヒストグラムから自動検出。
� 濃度と関連する指標であるため、変更し、濃度調整可能。
輝尽発光量
頻度
肺
野
縦隔
軟
部直接
線部
0
511
0 2 3 41
20000 200 202000
S値
SmaxSmin
Qmin
SminSminSminSminSmaxSmaxSmaxSmax
X線画像のピクセルのデジタル値でヒストグラムを作成することで、大まかな臓器に分類することができる。
X線画像とヒストグラム
撮影部位メニュー毎に画像を安定化させるための特徴的なポイントを自動検出する。
S値とは
代表的な各社の感度指標値
� 各社の感度指標は異なっており、装置間の比較はできない。
� このため、国際規格でEI(Exposure Index)値が制定されることとなった。
メーカー 指標の名称 補足
富士フイルム S値富士フイルム S値
コニカ S値 富士フイルムのS値とは異なる
Canon REX値
Siemens EXI値
CareStream EI値 国際規格のEI値とは異なる
Philips EI値 国際規格のEI値とは異なる
国際規格におけるEI値とは
画像を代表する画素値(Vi)を抽出(規定なく各社それぞれ)
代表画素値ViからEI値への変換(規定あり各社共通。線量に比例)
画像全域ヒストグラムで計算 FF, Canon, GE
FPDの到達線量を管理する目的で規定された指標
コニカ, Philips
メーカー毎に異なる
イメージを表示できません。メモリ不足のためにイメージを開くことができないか、イメージが破損している可能性があります。コンピュータを再起動して
イメージを表示できません。メモリ不足のためにイメージを開くことができないか、イメージが破損している可能性があります。コンピュータを再起動して再度ファイルを開い
てください。それでも赤い x が表示される場合は、イメージを削除して挿入してください。
IECで標準化
特定ROIのヒストグラムで計算
E IT(Target EI)を施設のポリシーに応じて決めておき、運用時にはEIとEITとの差分指標であるDI(Deviation Index)をゼロに近づけるように線量の修正をすることで、最適な線量に近づけることが可能。
EI表示と利用のイメージ
EI値の利用方法
撮影 EI計算
EI=500
DI=+3.0
EI表示 次撮影 EI計算 EI表示
EI=250
DI=0.0
すぐにすぐにすぐにすぐに条件修正条件修正条件修正条件修正
DIが大きい DIがゼロ付近
EI値の注意(線質)
500
600
700
Exposure
Index
1mR(8.76μGy)におけるEI値
GOS
CsI
CR800
1000
1200
Exposure
Index
1mR(8.76μGy)におけるEI値
GOS
CsI
CR
� EI値には決められた校正条件がある。
� 校正条件以外では、装置ごとに異なるので比較するときは注意。
校正条件はRQA5(70kV, AL21mm付加)
管電圧が高いほどEI値は高い値を示す傾向がある。
0
100
200
300
400
40kV 60kV 80kV 100kV 120kVExposure
Index CR
0
200
400
600
800
RQA3 RQA5 RQA7 RQA9
Exposure
Index
校正条件
EI値の注意(ポジショニング)
頸椎など、ポジショニングの影響を受けやすい部位があるので注意
� 頸椎側面の例: 前屈時・後屈時で肩の高さが変化
� 肩が上がるとそこで吸収され、FPD到達線量は変化⇒EI値が変化
EI:73 EI:78
後屈時前屈時
S値/EI値についてのまとめ
S値とEI値はそれぞれの目的に応じた使用が必要(同じ撮影条件での目安にはなるが、線量計の代わりにはならない)
S値 EI値
目的 濃度安定化 最適線量の管理
線量との関係 反比例 比例
撮影後の調整 可 不可撮影後の調整 可(濃度調整するため)
不可(FPD到達線量指標のため)
ポジショニングの影響 なし あり
校正の仕組 なし あり
装置間比較 不可 RQA5でのみ可
EI値は、各社共通に近い指標を定めること以外に、目標線量の設定と、線量実績との乖離を把握・是正を、ユーザーに任せて行こうとするトレンドに合わせて国際規格制定
14x17GOS
17x17GOS
CALNEO Smartラインナップ
14x17CsI
17x17CsI
四切サイズCsI
本日のQC, S値, EI値に関する話は弊社CALNEOシリーズすべてのFPDで共通です。
ご静聴ありがとうございました。