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三原市におけるコミュニティ FM 事業可能性調査 報告書 平成28年2月 三原商工会議所 コミュニティ FM 研究会

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三原市におけるコミュニティ FM事業可能性調査

報告書

平成28年2月

三原商工会議所

コミュニティ FM研究会

目次

はじめに i

第1章 コミュニティ FM事業可能性調査の背景 1

1-1. コミュニティ FM(コミュニティ放送)とは 2

1-1-1. コミュニティ FMの制度 2

1-1-2. コミュニティ FMの自治体連携 3

1-1-3. コミュニティ FMと商業 4

1-2. 運営会社の組織形態 5

1-3. 広島県内のコミュニティ FM局 7

第2章 三原市におけるコミュニティ FM 9

2-1. 三原市の現状 10

2-1-1. 三原市と防災~FM告知放送~ 10

2-1-2. ケーブルテレビ局 12

2-2. 三原市におけるコミュニティ FMの展開 14

2-2-1. 市民とコミュニティ FM 16

2-2-2. 教育とコミュニティ FM 19

2-2-3. 商業とコミュニティ FM 22

2-2-4. 三原のコミュニティ FM像 23

第3章 コミュニティ FM放送局運営会社の設立 27

3-1. 運営体制/組織 28

3-1-1. 株式構成 28

3-1-2. 運営組織 31

3-2. 開局準備 33

3-3. 経営計画(試算表・10カ年) 34

3-3-1. 収入源と業務内容 34

3-3-2. 売上見込み 35

3-3-3. 収支計画 37

3-4. 番組編成・番組制作 43

3-4-1. 番組編成 43

3-4-2. 番組制作 44

3-4-3. 三原市からの出稿 46

3-4-4. 番組審議委員会 49

3-5. スタッフ教育 50

3-5-1. 求められるスタッフ像 50

3-5-2. スタッフ研修 51

第4章 コミュニティ FM放送局の設備および経費 52

4-1. スタジオ用地 53

4-2. 放送設備 56

4-3. 送信所 58

4-3-1. 送信所の位置 58

4-3-2. 電波不感地域 60

4-4. 建設費用/ランニング費用 62

第5章 開局申請手続き 65

5-1. 申請課題 66

5-2. 開局までの工程表 67

第6章 コミュニティ FMと情報発信の多角化 69

6-1. ICT技術の利活用 70

6-2. 放送外業務の実施検討 71

第7章 結論 72

7-1. 三原市におけるコミュニティ FM事業可能性 73

資料編 74

行政ヒアリング 75

コミュニティ FM局調査 84

アンケート調査結果 121

添付資料: アンケート調査票、ヒアリングシート

図 1 コミュニティ FM局の事業者数の推移 ........................................ 2

図 2 事業手法の選択フロー ..................................................... 5

図 3 広島県内のコミュニティ FM局 位置図 ...................................... 7

図 4 告知放送システム構成図 .................................................. 11

図 5 コミュニティ FM開局への興味(市民・教育・事業者アンケート) ............. 15

図 6 市民のラジオ制作への参加意欲(市民アンケート) .......................... 16

図 7 ラジオ視聴(市民アンケート) ............................................ 16

図 8 ラジオの視聴時間帯(市民アンケート) .................................... 17

図 9 視聴媒体(市民アンケート) .............................................. 18

図 10 ラジオ視聴機会(市民アンケート) ....................................... 18

図 11 マスコミ取材(教育アンケート) ......................................... 19

図 12 取材元(教育アンケート) ............................................... 19

図 13 ラジオ制作への参加意欲(教育アンケート) ............................... 20

図 14 ラジオ制作への参加意欲(教育アンケート) ............................... 21

図 15 広告媒体(事業者アンケート)

図 16 年間広告費用(事業者アンケート) ....................................... 22

図 17 三原コミュニティ FM像の実現方法 ........................................ 26

図 18 出資参加希望(事業者アンケート) ....................................... 29

図 19 組織図................................................................. 31

図 20 有料会員・賛助会員への意欲(市民・事業者アンケート) ................... 34

図 21 コミュニティ FMの広告利用意欲(事業者アンケート) ...................... 35

図 22 施設の位置づけ ......................................................... 37

図 23 番組制作の関係図 ....................................................... 44

図 24 期待するラジオ番組(市民・教育・事業者アンケート) ..................... 45

図 25 三原らしいラジオ番組のパーソナリティ(市民アンケート) ................. 50

図 26 スタジオ用地(案) ..................................................... 53

図 27 オープンスタジオやサテライトスタジオの設置希望場所

(市民・教育・事業者アンケート) ........................................ 55

図 28 演奏所見取り図イメージ ................................................. 57

図 29 電界強度分布シミュレーション(エリア合成・広域) ....................... 59

図 30 不感が予想される地域 ................................................... 60

図 31 竜王山送信所の電界強度分布シミュレーション(旧三原市内の不感地域) ..... 61

図 32 周波数................................................................. 66

図 33 ICT利活用によるラジオ放送の受信 ....................................... 70

図 34 提携したら良いと思う事業(市民・事業者アンケート) ..................... 71

表 1 主要年表................................................................. 3

表 2 地上基幹放送事業者の収支状況 ............................................. 4

表 3 コミュニティ FMの運営形態 ................................................ 6

表 4 広島県内のコミュニティ FM局一覧 .......................................... 8

表 5 三原市整備計画 .......................................................... 10

表 6 CATVとコミュニティ FM比較表 ............................................ 13

表 7 アンケート調査概要 ...................................................... 14

表 8 コミュニティ FM局資本額 ................................................. 28

表 9 コミュニティ FM局資本構成(例) ......................................... 30

表 10 役職員構成(例) ....................................................... 32

表 11 開局準備費用........................................................... 33

表 12 初年度の売上試算 ....................................................... 36

表 13 初年度の売上目標 ....................................................... 37

表 14 収支計画............................................................... 38

表 15 三原市運営負担 ......................................................... 39

表 16 貸借対照表(補助金無し) ............................................... 40

表 17 貸借対照表(補助金有り) ............................................... 41

表 18 一般的な自主放送時間帯 ................................................. 43

表 19 災害情報(例) ......................................................... 47

表 20 行政番組月間テーブル(例) ............................................. 48

表 21 番組審議委員会メンバー構成(例) ....................................... 49

表 22 研修内容............................................................... 51

表 23 スタジオ用地分類 ....................................................... 54

表 24 スタジオの形状 ......................................................... 56

表 25 スタジオの数量 ......................................................... 56

表 26 建設費用............................................................... 63

表 27 設備維持費用........................................................... 64

表 28 工程表................................................................. 67

i

はじめに

本調査報告書は、三原市におけるコミュニティ FM局(コミュニティ放送局)の開局と運

営会社設立の事業可能性を検討した結果を取りまとめたものです。

検討にあたっては、市民、教育機関、事業者からのアンケート調査や三原市役所および

広島県内を中心としたコミュニティ FM局へのヒアリングを基に、三原市において求められ

るコミュニティメディアとしてのラジオ放送局がどのようなものであるかを理解し、より

実用的で継続可能な運営形態を把握することに努めています。

コミュニティ FMは、経営面での健全性が求められる一方、リアルタイムな情報配信と交

流がおこなえる魅力的なメディアです。平常時にも緊急時にも不可欠なコミュニケーショ

ンツールとして広く三原に根付くよう、事業性を見極め、地域振興に役立つものとなるこ

とを願っています。

平成 28年 2月

三原商工会議所

コミュニティ FM研究会

1

第1章 コミュニティ FM事業可能性調査の背景

2

1-1. コミュニティ FM(コミュニティ放送)とは

1-1-1. コミュニティ FMの制度

コミュニティ FMは、平成 4年に制度化された超短波放送(76MHzから 95MHz)で、市区

町村単位でのきめこまやかな情報発信がおこなえるのが特徴となっている。

地域情報を提供し、豊かで安全なまちづくりに貢献することを目的とした平常時の放送

だけでなく、平成 7年の阪神・淡路大震災以後は、災害情報発信源としての利用が注目さ

れ、事業者数は増加の傾向をたどっている。

平成 27年 12月時点で全国のコミュニティ FM局は 296局で、空中線電力の最大出力は制

度改革にともなって強化され、現在は 20W1となっている。

図 1 コミュニティ FM局の事業者数の推移2

1 一部電波干渉のない地域では、20W以上が許可されるケースあり。北海道稚内市の「FMわ

っぴ~」は 50W、沖縄県久米島町の「FMくめじま」は 80W。 2 出典: 総務省「情報通信統計データベース 放送・放送局数(平成 27年 3月 31日現在

(開局日ベース))」、日本コミュニティ放送協会 HP[平成 27年 12月アクセス]

1 5 10 14

38 25 26

14 7

13 11 5 10 15 17 16

12 13 13 9 13 14 7 -

1 1 1 2 2 2 3 3 4 1 1 -

1 6 16

30

68

93

118 132

139 152

163 167 176

189 204

218 227

237 246

255 268

281 287 296

0

50

100

150

200

250

300

350

4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27

新規事業者数 廃止事業者数 事業者数

(社)

(年)

3

表 1 主要年表

年次 事柄

平成 4年(1992年) CFM第 1号「FMいるか」(北海道函館)開局

平成 7年(1995年) 空中線電力 1Wから 10Wへ

平成 7年(1995年)1月 17 日 阪神・淡路大震災発生

平成 11年(1999年) 空中線電力 10Wから 20Wへ

平成 14年(2002年) 日本コミュニティ放送協会(JCBA)誕生

平成 20年(2008年) CFMがインターネット上でサイマル放送開始

平成 23年(2011年)3月 11日 東日本大震災発生

1-1-2. コミュニティ FMの自治体連携

さらに、平成 23年の東日本大震災の教訓を踏まえ、新たな情報伝達手段の一つとしてコ

ミュニティ FMを考える自治体も出てきている。

これは、平成 25年の災害対策基本法改正で、内閣府より「避難行動要支援者の避難行動

支援に関する取組指針」が発表されたことにも後押しされるもので、「第五十六条 市町村

の警報の伝達および警告」関連では「避難準備情報などの発令・伝達」や、「多様な手段の

活用による情報伝達」についても留意が促されている。

テレビやインターネット、新聞といった他メディアと比較した場合、コミュニティ FMな

どラジオ放送による情報伝達は即応性が高いこともあり、特に災害発生直後の情報収集源

として重視されており、自治体とコミュニティ FM局の間で協定3等を締結している事例や、

費用負担を取り決めたり、自治体等による緊急割込み装置の運用を行う等、災害時におけ

る確実な情報提供を図っているケースも多い。

また、自治体は、大規模災害発生時に最大出力 100Wの臨時災害放送局を設置することが

できるが、地域内の既存コミュニティ FM局との連携によって開局する場合には、スタジオ

や送信所の場所確保、機器の確保、人材や経費の確保といった問題が少なく、初動対応を

よりスムーズにおこなうことができるメリットがある。

3 コミュニティ放送における協定等締結状況

災害放送の協定等の締結あり 220/262局(うち、費用負担の取決め有 167局/うち、

自治体の費用負担を明記 17 局/うち、自治体等による緊急割込み装置の運用あり 146局

(H24.10月現在 総務省調べ)

4

災害対策基本法 (昭和三十六年十一月十五日法律第二百二十三号)

(市町村長の警報の伝達及び警告)

第五十六条 市町村長は、法令の規定により災害に関する予報若しくは警報の通知を受

けたとき、自ら災害に関する予報若しくは警報を知つたとき、法令の規定により自ら災害

に関する警報をしたとき、又は前条の通知を受けたときは、地域防災計画の定めるところ

により、当該予報若しくは警報又は通知に係る事項を関係機関及び住民その他関係のある

公私の団体に伝達しなければならない。この場合において、必要があると認めるときは、

市町村長は、住民その他関係のある公私の団体に対し、予想される災害の事態及びこれに

対してとるべき避難のための立退きの準備その他の措置について、必要な通知又は警告を

することができる。

1-1-3. コミュニティ FMと商業

防災面では注目度の高いコミュニティ FMではあるが、商業ベースでの運営については課

題がある。総務省の「地上基幹放送事業者の平成 25年度の事業収支結果の報告」に基づい

た収支状況取りまとめによると、コミュニティ FM局の当期損益は 253社の合計でマイナス

3億 3,600万円、1局あたりの平均売上では 130万円の赤字となっている。

理由としては、下記のような収入不足と投資回収見通しの暗さにあるといえる。

ラジオ業界全体の広告利用料の落ち込み

地域限定メディアとしてのスポンサー獲得の困難さ

上記から生じる初期投資の回収遅延

表 2 地上基幹放送事業者の収支状況4

(金額単価:百万円、下段 前年度比増減率)(N=253)

売上高

費用計 営業

損益

経常

損益

当期

損益 売上原価 販売費及び

一般管理費

コミュニティ FM局

(全体)

12,388 5,020 7,584 12,604 △214 △12 △336

+7.6% 14.1% 2.6% 6.9% - -166.7% -

コミュニティ FM局

(1局平均) 49.0 19.8 30.0 49.8 △0.8 △0.05 △1.3

4出典: 総務省「情報通信統計データベース 放送・収支・売上」[平成 27年 9月アクセ

ス]

5

1-2. 運営会社の組織形態

コミュニティ FM局の送信免許は自治体には許可されておらず、民間もしくは第 3セクタ

ーの会社が免許主体となる。

三原市における事業展開を考えた場合、事業そのものは地域防災環境の維持という行政

目的と一致しているが、前述の通りコミュニティ FM 事業自体が採算性の点で不安がある。

現在の放送法および総務省規定では、放送施設の設置・運営と放送業務の上下分離が可

能であることや、第 4 章で述べる送信所の設置予定地が消防無線局の中継所であることも

あり、行政と民間の運営リスク分散や用地の所有の点では、公設民営方式で放送施設を三

原市が整備・管理し、民間放送会社が放送業務の運営をおこなうという形式が考えられる。

図 2 事業手法の選択フロー5

5 第三セクター等の経営健全化等に関する指針「抜本的改革を含む経営健全化の取組に係る

検討のフローチャート」を参考に作成。

事業そのものの意義

(行政目的との一致度)

完全民営

設立 見合わせ

事業性 採算性 無

完全民営

第 3セクター

自治体等

完全民営 (放送会社)

第 3 セクター (放送会社)

≪公設民営の場合≫

事業手法の選択

採算性

完全民営

第 3セクター

補助金 関連会社からの

補てん

上下分離型

上下一体型

施設(資産・維持)

補助金

運営

6

運営会社を完全民間企業として新設するか、第 3セクターとするかといったことに関し

ては、事業の意義、将来見通しについて検討をおこない、行政・民間の役割を明確にした

効率的な実施が必要となる。

地域活性化に資する公共性・公益性が高く、民間からの資本参加がある程度見込める場

合には、第 3セクターとして民間企業のノウハウを活用しながら、自治体の後年度負担の

軽減や、市民参加を図るのも一案となる。

表 3 コミュニティ FMの運営形態

第 3セクター 完全民営

メリット

地元の行政・団体・企業の参加する

会社として株主や市民の安心が得られ、地域ぐるみでのスポンサー確保の動きが高まる。

地域協働のツールとして民間との

共生的自治がおこなえる。 行政と民間連携でしかおこなえな

い企画をもとに経営リソースの発掘ができる。

市民参加の促進や、市職員の広報マインド育成、企業・行政連携の向上に役立つ。

自己規制を緩和し、自由な発想に基

づいたコミュニティ放送を市内に提供できる。

民間企業の組織力とスピード感を生かし、柔軟な経営がおこなえる。

民間企業の運営手法の活用が期待

できる。

商業的な運営に基づく地域活性化が図れる。

デメリット

会計基準は出資元と第 3セクターの

両方の規定を満たさなければならない。

経営努力に対しての民間と行政の

責任分界点が決めにくい。

コミュニティメディアとしての立

場から行政評価を客観的におこなう。

広告媒体としての役割が強くなり、

市政との関わりが薄くなることが考えられる。

事業の継続性を含めた運営方針は行政目的に関わらず決定される可能性がある。

7

1-3. 広島県内のコミュニティ FM局

広島県内は、平成 8 年に中国地方で初めて開局したレディオ BINGO(福山)を皮切りに、

現在 6 局のコミュニティ FM 局が開局をしている。完全民間局である FM はつかいちと広島

経済大学の学生や教員が運営する NPO 法人のエフエムハムスターを除く 4 局はいずれも所

在地の自治体が出資する第 3 セクターとなっている。運営に際しては、経営形態に関わら

ず、自治体からの番組出稿料や諸契約料を受けている場合がほとんどで、三原市に隣接す

る尾道市や東広島市も同様である。

開局の目的や告知放送設備との連携状況については様々だが、すべてのコミュニティ FM

局が防災情報の配信をおこなっており、県市区など地方自治体や国土交通省河川事務所と

の防災協定を締結し、緊急放送を実施している。

図 3 広島県内のコミュニティ FM局 位置図

サービスエリア

凡例

CFM演奏所

8

表 4 広島県内のコミュニティ FM局一覧

開局

市区

町村

放送事業者名

[ステーションネーム]

運営

形態

資本金

(千円)

行政

委託料

(千円)

災害

協定 運用協定の概要 開局日

37 福山市

株式会社エフエム

ふくやま

[レディオ BINGO]

第 3 セクター

福山市 150,000 - 有

・市の要請による災

害緊急放送の実施

・通常番組への割込み

緊急告知放送設

備からの放送の実

・国土交通省福山河川

工事事務所の要請に

よる緊急放送の実施

H8. 8. 8

111 尾道市

尾道エフエム

放送株式会社

[エフエムおのみち]

第 3 セクター

尾道市 50,000 10,900 有

・市からの災害情報等

放送業務委託を受け

各種災害情報の放送

の実施

・国土交通省福山河川

工事事務所の要請に

よる緊急放送の実施

H11. 6. 1

122 広島市

中区

株式会社中国コミ

ュニケーションネ

ットワーク

[FM ちゅーピー]

第 3 セクター

広島市 300,000 - 有

・県警の要請による緊

急時の犯罪、事故、

災害情報、行方不明

者情報の放送の実施

・国土交通省太田川河

川工事事務所からの

要請による緊急放送

の実施

H12. 5. 1

204 廿日市市

株式会社 FMはつか

いち

[FM はつかいち]

完全

民間 34,100 4,600 有

・市の要請による災害

緊急放送の実施 H20. 2.23

221 広島市

安佐南区

特定非営利活動法

人エフエムハムス

ター

(広島経済大学)

[エフエムハムスター]

NPO - 0 有

・安佐南区役所の要請

による災害緊急放送

の実施

H21. 5.11

247 東広島市 株式会社 FM東広島

[FM 東広島]

第 3 セクター

東広島

84,700 8,300 有 ・市の要請による災害

緊急放送の実施 H23.10. 8

9

第2章 三原市におけるコミュニティ FM

10

2-1. 三原市の現状

2-1-1. 三原市と防災~FM告知放送~

広島県三原市では、平成 24年に「三原市災害時一斉情報伝達手段整備基本計画」を策定

し、有線・無線連携型の FM告知放送システムにより、全市への災害情報伝達をおこなう方

針で平成 25年度以降設計・施工を実施している。こうした防災環境整備に並行し、無線型

FM 告知放送システムの放送センターとなるコミュニティ FM 局の立上げを目標に、平成 29

年度のコミュニティ FM局開局と同時に旧三原市内への告知放送システム導入をおこなう予

定となっている。

表 5 三原市整備計画

防災 コミュニティ FM

平成 24年度 三原市災害時一斉情報伝達手段整

備基本計画策定

平成 25年度 三原市災害時一斉情報伝達手段整

備等実施設計

平成 26年度 告知放送システム更改工事

(久井工区)

三原市からの要請により、三原商

工会議所内でコミュニティ FM研

究会発足。

平成 27年度

(現在)

告知放送システム更改・新設工事

(本郷 1 工区・本郷 2工区)

(旧三原工区:前倒し分)

屋外拡声子局整備工事

(1工区 三原地区・本郷地区)

(2工区 久井地域・大和地域)

三原市におけるコミュニティ FM

事業可能性調査を実施中。

平成 28年度

(予定)

告知放送システム更改工事

(本郷 3 工区・大和工区)

送信所およびコミュニティ FM局

の実施設計・工事。

コミュニティ FM運営会社設立。

総務省への免許取得申請。

平成 29年度~

(予定)

告知放送システム新設工事・配布

(旧三原工区) 開局目標

11

本市では FM告知放送を活用した情報通信整備を防災対策の基軸としており、コミュニテ

ィ FMの放送網への割込みがおこなえる制御卓を防災放送の要所に配備する見込みで、三原

市役所に FM告知システムのメイン制御卓を、三原市消防・本郷支所・久井支所・大和支所

およびコミュニティ FM局にサブ制御卓を設置する。

三原市全戸に FM告知放送端末を配布することとなっており、これまで三原市が主導で光

ファイバ網の敷設をおこなってきた市北部の本郷・久井・大和地域には、有線接続に対応

した FM告知端末を設置している。しかし、行政による有線整備が難しい旧三原市内地域に

は、コミュニティ FM 局の開局に合わせて無線型の FM 告知端末を配布する見込みで、これ

により全戸への FM告知端末の配布が完了することとなる。また、人口集積地や沿岸部など

一部不感地帯が生じる可能性のある地域には、有線または無線接続された屋外拡声子局か

らの放送を想定している。

図 4 告知放送システム構成図

12

2-1-2. ケーブルテレビ局

三原市内のコミュニティメディアとしては、昭和 58年に設立されたケーブルテレビ局「三

原テレビ放送株式会社」があり、三原市全域にケーブルテレビ・インターネット・IP 電話

サービスを提供している。地域への思いやりのある取材姿勢やきめこまかなカスタマーサ

ービスに定評があるだけでなく、近年は高齢者のみまもりを重視した買物支援サービスの

提供や、産学官連携での糖尿病予防システムの導入検討もおこなっており、地域貢献活動

の盛んな企業として地域住民や行政、財界から厚い信頼を得ている企業といえる。

コミュニティ FM局とケーブルテレビ局は、地域に根差したコミュニティ情報を取り扱う

という点で大きな共通点があるものの、総務省の通達としては、有線一般放送の業務を行

う事業者は、例外を除き原則コミュニティ FM局の免許を受けることはできないとしている。

新規にコミュニティ FM会社を設立することが難しい中小規模の市町村などで、ケーブル

テレビ局併営6の許可を受けている例外的なコミュニティ FM局は全国 287局中 8局、ケーブ

ルテレビの 100%子会社が 4局存在するものの、そうした事例の中には、防災を目的とした

コミュニティ FM 局を通じた地域貢献活動としてボランティア運営している局があるなど、

経営的にはラジオ事業からの収益を重視したものでないケースも見られる。

これは、地域 CATV 局とコミュニティ FM 局は、制作やアナウンサーなど人材面では共通

点がある一方、収入形態等において大きな違いがあるためと考えられる。視聴者からの加

入料金を得ている CATV に対し、コミュニティ FM は視聴自体は無料で広告主からのスポン

サー料・CM料を収入源としており、営業手法やノウハウの点でも異なっている。

しかしながら、三原市の災害時一斉情報伝達手段整備基本計画(図 4 参照)でも示すと

おり、三原市全域に整備されたケーブルテレビ網は三原市の情報通信基盤の根幹であり、

コミュニティ FMの送信所等への電波送信においても不可欠な有線設備として機能すること

になっている。

今回のコミュニティ FM事業可能性調査のアンケートやヒアリングを通し、三原テレビ放

送がコミュニティチャンネルによる映像配信をおこなっていることが市の公益にかなって

いるといった事や、三原らしいラジオ放送をおこなうには、CATVとコミュニティ FMによる

連携運用などが必要であるといった意見も出ている。

これらを踏まえ、三原市地域においては、有線と無線の連携したシームレスで調和の取

れた情報発信基盤が必要であり、CATV局とコミュニティ FM局が相互協力する立場を取りな

がら、CATV事業との併営ではなくコミュニティ FM局の新設をおこなうことが望ましいとい

える。

6コミュニティ FM局調査「宇和島ケーブルテレビ株式会社/FMがいや」参照。

13

表 6 CATVとコミュニティ FM比較表

地域 CATV コミュニティ FM

放送種別 有線一般放送 特定地上基幹放送(超短波放送)

主たる

事業内容

地域内に敷設された情報通信基盤を

活用したテレビ放送およびインター

ネットサービス、その他 ICTサービス

の提供。

地域限定の超短波(FM 波)を利用し

たラジオ放送の提供。

※ インターネットを利用したサイマ

ル放送の配信をおこなう場合有。

収入源

加入者からの使用料金

情報通信基盤の IRU・指定管理契

約料金

付帯事業

広告主からのスポンサー料・CM料

付帯事業

三原市内

事業者

三原テレビ放送株式会社

設 立 昭和 58年 11月 26日

放送開始 昭和 60年 7月 1日

該当なし

本事業で新設

また、地域 CATV局とコミュニティ FM局の具体的な連携方法としては、大別して(1)放

送協力、(2)制作協力、(3)営業協力があり、2社がそれぞれの利点を生かしながら運営・

経営の効率化と高品質化を図っていくことが求められる。

(1)放送協力

コミュニティ FM の放送を地域 CATV 局のラジオ再送信やテレビ放送で配信したり、

ケーブルテレビの自主放送番組をコミュニティ FM局のラジオ放送で音声配信するなど、

放送コンテンツを相互共有することにより放送が充実する。

(2)制作協力

制作スタッフやパーソナリティなどの人材交流を通し、地域性豊かで円滑な番組制

作が実現する。

(3)営業協力

広告スポンサーの共同募集や共同イベントの実施など、営業活動の相互協力や手数

料契約による代行により、効率的な営業がおこなえる。

14

2-2. 三原市におけるコミュニティ FMの展開

三原市におけるコミュニティ FMの開局可能性を検討する上で、三原市民、教育機関、三

原市内事業者へのアンケート調査をおこなった。調査対象者や実施時期、手法等の概要は

下表のとおり。

調査の実施にあたっては、三原商工会議所コミュニティ FM研究会が三原市および三原臨

空商工会の協力を得て配布しており、回収率は民間事業者で実施した際の統計水準以上(市

民 21.6%、教育機関 77.5%、事業者 14.4%)となっている。

表 7 アンケート調査概要

調査区分 概要

市民調査

三原市内在住の 16~79才の男女 2,500名

年齢・性別・地域割付に基づいた無作為抽出

平成 27 年 10月 28日~11月 6日

郵送配布郵送回収

回収率 21.6%/539人

調査主体: 三原商工会議所コミュニティ FM研究会、三原市

教育機関調査

三原市内の教育機関の学校長 40校

全校配布

平成 27 年 10月 26日(月)~11月 6日(金)(第一次期間)

平成 27 年 11月 13日(金)~11月 25日(水)(未着督促)

郵送配布郵送回収

回収率 77.5%/31校

調査主体: 三原商工会議所コミュニティ FM研究会、三原市

事業者調査

三原商工会議所および三原臨空商工会会員企業の責任者もしくは経営

部門 2,296社(三原商工会議所 1,596 社、三原臨空商工会 700 社)

三原商工会議所および三原臨空商工会の会員企業への全社配布

三原商工会議所 平成 27年 10月 28日(水)~11月 6日(金)

三原臨空商工会 平成 27年 10月 30日(金)~11月 13日(金)

郵送配布郵送回収

回収率 14.4%/330社

調査主体: 三原商工会議所コミュニティ FM研究会

協 力: 三原臨空商工会

次頁に示すコンセプトを提示した上でのコミュニティ FM 局への興味は押し並べて高く、

半数前後が興味があるとしている。(市民 50%、教育機関 58%、事業者 48%)

15

コミュニティ FM局のコンセプト

図 5 コミュニティ FM開局への興味(市民・教育・事業者アンケート)

12

23

12

38

35

35

21

42

27

21

0

19

7

0

5

1

0

1

0% 20% 40% 60% 80% 100%

凡例

市民(N=539)

教育機関(N=31)

事業者(N=330)

非常に 興味がある

やや 興味がある

どちらとも 言えない

あまり 興味がない

全く 興味がない

無効・

無回答

16

2-2-1. 市民とコミュニティ FM

市民のパーソナリティとしてのラジオ放送への参加希望は 7%、サポーターとしての参加

希望は 12%となった。

図 6 市民のラジオ制作への参加意欲(市民アンケート)

視聴習慣の点では、ラジオを毎日視聴している人の割合(35%)とほとんど聞かない人

の割合(34%)はほぼ同じで、ラジオ習慣の有無がはっきりと分かれたものの、ほぼ半数

が 2~3日に 1回以上ラジオを聴いている。

図 7 ラジオ視聴(市民アンケート)

2

2

5

10

16

18

20

25

56

45

0

0

0% 20% 40% 60% 80% 100%

35%

17% 8%

2%

3%

34%

0%

毎日

2~3日に1回

1週間に1回

1か月に1回

数か月に1回

ほとんど聞かない

無効・無回答

是非 参加したい

やや 参加したい

どちらとも 言えない

あまり 参加したく

ない

全く参加 したくない

無効・

無回答

市民(N=539)

市民(N=539)

凡例

パーソナリティ

(ラジオの司会者)

サポーター

(特派員)

17

平日と休日を比較すると、平日の方が視聴する人の割合が多い傾向がみられた。(平日視

聴 71%、休日視聴 52%。)時間帯では、9時以降の夜中・深夜は視聴率が低く、早朝か

ら夕方にかけて(午前 5時から午後 8時台)が主要な視聴時間帯であるといえる。

図 8 ラジオの視聴時間帯(市民アンケート)

30

26

23

25

12

6

29

0 20 40 60 80 100

平日

15

21

19

16

9

4

48

0 20 40 60 80 100

休日

早朝(午前5時~8時台)

午前(午前9時~12時台)

午後(午後1時~4時台)

夕方(午後5時~8時台)

夜中(午後9時~12時台)

深夜(午前1時~4時台)

聴かない

市民(N=539) (%) (%)

18

ラジオの視聴端末のほとんどは、カーラジオ(58%)若しくはラジオ(CDラジカセ)・オ

ーディオ(43%)で、現段階で未整備地区の多い告知放送端末での視聴は 1%に留まった。

図 9 視聴媒体(市民アンケート)

視聴機会は運転・通勤中が最も多く(55%)、次いで家事や仕事中となった。

図 10 ラジオ視聴機会(市民アンケート)

58

43

8

3

2

1

0

10

0 20 40 60 80 100

カーラジオ

ラジオ(CDラジカセ)・オーディオ

携帯・スマートフォン

PC・タブレット

ワンセグテレビ・ラジオ

告知放送端末

CATV

その他

55

19

12

8

7

6

4

3

3

9

20

0 20 40 60 80 100

運転・通勤

家事

仕事

屋外作業

農作業

(ジョギング・体操など)運動

インターネット

勉強

読書

その他

特に何もしない

市民(N=539)

市民(N=539)

(%)

(%)

19

2-2-2. 教育とコミュニティ FM

三原市内には、市立・県立・国立・私立合せて 40 の教育機関があり、小学校が 22 校、

中学校 11校、高等学校 3校、中高一貫校 2校、専門学校 1校、大学 1校となっている。

これら三原市内の教育機関の多く(94%)は地域メディアやマスコミからの取材を受け

た経験があり、主にケーブルテレビや新聞から、特別事業や学校の取り組み、学校行事と

いった学校活動について取材されている。

取材方法としては、特に義務教育の小学校・中学校では、教員による児童・生徒の送り

迎えが禁止されていることや学習・生活などの活動範囲が自宅の近隣に限られていること

もあり、取材元のメディアが学校におもむいて校内で取材をおこなうという形式が取られ

ている。

図 11 マスコミ取材(教育アンケート)

図 12 取材元(教育アンケート)

94%

6%

はい いいえ

74

52

29

10

0

0 20 40 60 80 100

ケーブルテレビ

新聞

テレビ

ラジオ

雑誌 教育機関(N=31)

教育機関(N=31)

学校活動 特別授業、学校の取り組み、学校行事、 ボランティア、PTC・PTA、生徒会 内容 作文、防災・防犯教室、植物、学校施設

(%)

20

コミュニティ FM への放送参加意欲は非常に高く、6 割近い教育機関が肯定的にとらえて

いる。その理由としては、学校のお知らせなどの情報発信ができることや、生徒の学習意

欲向上・キャリア教育につながるなど、広い活動範囲を持つ開かれた学校への期待がある

といえる。

肯定的な意見

学校のお知らせができる

開かれた学校づくりができる

生徒の良い経験になる

生徒の学習意欲が増す

活動の場が広がる

情報収集・発信ができるようになる

キャリア教育になる

否定的な意見

時間確保が難しい

部活がない

詳細検討が必要

学校に負担がかかる

図 13 ラジオ制作への参加意欲(教育アンケート)

一方、放送部などの部活動がない学校もあり、放送番組制作を主体的におこなうには時

間確保や学校への負担が多いのではないかとの懸念が生じるため、具体的な参加方法につ

いては詳細な検討が必要となっている。

教育機関からの参加としては、教職員の参加の是非は現段階ではどちらとも言えないと

する学校が半数近く(45%)を占めるものの、生徒の参加については約 6 割(58%)が参

加して欲しいと回答している。

運営形態の面でも今後のラジオ番組の構想によって判断したいとする層が多いが、学校

負担が少ない、複数の学校が交代で番組を制作する形式(42%)の方が、単体で番組を制

作する形式(26%)よりも参加意向が強い傾向にある。

39%

19%

39%

3%

0%

0%

非常に良い やや良い どちらとも言えない あまり良いことではない 全く良いことではない 無効

教育機関(N=31)

21

図 14 ラジオ制作への参加意欲(教育アンケート)

19

39

29

10

16

19

13

16

45

35

35

45

13

3

10

13

6

3

13

16

0

0

0

0

0% 20% 40% 60% 80% 100%

凡例

教職員の参加

生徒の参加

凡例

交代で運営

単体で運営

是非参加 して欲しい

やや参加 して欲しい

どちらとも 言えない

あまり参加して欲しく

ない

全く参加 して欲しく

ない

無効・

無回答

是非 参加したい

やや 参加したい

どちらとも 言えない

あまり参加したくない

全く参加 したくない

無効・

無回答

教育機関(N=31)

22

2-2-3. 商業とコミュニティ FM

三原市内の事業者は全く広告をしていない企業が多く、約 4 割を占めている。広告をす

る企業では、新聞折り込みチラシ(23%)、Web広告(16%)、フリーペーパー(12%)とい

ったものを広告媒体として使用しており、地域メディアであるケーブルテレビ CM(2%)や

市の広報(4%)の利用率は高くない。

年間の広告費用は無効・無回答層が多く見られたが、広告費のある企業のうち、50 万円

以上の広告費用を持つ企業は 9%に留まった。

こうした状況から、コミュニティ FMの収入源である広告を幅広く利用してもらえる可能

性は低く、「広告媒体」として利用することがない 4割程度の事業者にも何らかの形でコミ

ュニティ FMと関わってもらう方策を考える必要があるといえる。

図 15 広告媒体(事業者アンケート) 図 16 年間広告費用(事業者アンケート)

43%

1% 7% 4%

10% 3%

6%

25%

なし 1~10,000円 10,001~50,000円 50,001~100,000円 100,001~500,000円 500,001~1,000,000円 1,000,001円+ 無効・無回答

23

16

12

5

4

4

4

3

2

2

22

41

0 20 40 60 80 100

新聞折り込みチラシ

Web広告

フリーペーパー

(広域)テレビCM

雑誌

商工みはら

市の広報

ラジオCM

交通広告

ケーブルテレビCM

その他

全く広告をしていない

事業者(N=330) 事業者(N=330) (%)

23

2-2-4. 三原のコミュニティ FM像

今回の事業可能性調査ではアンケート調査に加え、三原市の地域調整課、教育委員会学

校教育課、総務広報課、本郷・久井・大和支所、危機管理課を対象とした行政ヒアリング

を実施し、市民・教育機関・事業者・行政の持つコミュニティ FMへのイメージを具体化す

るための行政目的との関連性と役割についての把握をおこなった。

これらの結果を総合的に判断すると、行政・企業ともに地域共同型のコミュニティ FM局

運営を望んでおり、市民の期待や教育機関の参加希望も大変高いといえる。

理念としては、リスナーと運営側の垣根を越えた交流や地域ぐるみでのコミュニティ FM

局のサポートがおこなえる「聴く・参加する・育てる 三原のみんなのラジオ局」が求め

られているといえる。より具体的には、キーファクターである 5項目は以下に構成される。

(1)地域

市民参加型の新しいコミュニケーションツールの活用と、人が集い暮らしやすいまちづ

くりの実施。

ラジオは音声によって配信される身近な情報源であり、地域限定のコミュニティ FMは

三原市民専用のコミュニケーションツールといえる。開局にあたっては、コミュニティ

FM局のステーションネームやイメージキャラクターを広く市民から募集し、コミュニテ

ィ FMへの愛着を育むことで、将来的なリスナーの増加につなげることができる。

コミュニティメディアの魅力は、情報を受信することができるだけでなく、自らが主

体となって情報を配信することができる点にある。ゲストとして市民が参加できる番組

の企画や情報提供用の投稿ツールの整備、一般公募のパーソナリティやサポーターの採

用などにより、受信者と配信者が一体となった番組提供をおこなうことができる。

また、屋外からの中継やカーラジオでも受信できる環境整備、放送とリンクしたコミ

ュニティ FM局主催のイベントを通じ、生涯教育や文化活動、スポーツ活動など実生活と

結び付いたコミュニティメディアとして地域社会の活性化に寄与するといえる。

市民がつくる「コミュニティ FM」

地域交流を促す「コミュニティ FM」

24

(2)商業

新たな企業の PRの場での、地域理解や商品・サービスの認知度の向上による経済循環の

活性化。

コミュニティ FMの主な収入源である番組スポンサーや CMは、三原市民をターゲット

とする事業者にとって魅力的な新たな広告ツールとなる。

また、アンケート調査で 4割近く見られた業種や事業規模から広告を行わない事業者

であっても、三原市の番組内での事業者紹介など産業振興コンテンツを通し、会社情報

や販売情報をおこなうことで商業の活性化につなげることができる。

(3)教育

学校教育での活用による開かれた学校づくりと生涯教育。

映像配信型のメディアと比較し、制作負担の少ないラジオ放送は、子どもたちの活動

の場としても機能する可能性がある。また、開かれた学校づくりとして学校からのお知

らせや行事の紹介をしたり、児童・生徒が自らコンテンツを企画し、情報収集・発信力

の育成やキャリア教育につなげることも考えられる。

外国語講座やニュースの多言語配信などは、児童・生徒の語学力向上に役立つだけで

なく、生涯教育の一環として国際色豊かな生活環境づくりに結び付くものとして有益で

あるといえる。

商業の活力となる「コミュニティ FM」

子どもたちが活躍する「コミュニティ FM」

学び触れ合う「コミュニティ FM」

25

(4)行政

速報性のある広報による地域理解向上と産業振興。

三原市の既存の広報手段である、紙媒体の広報誌、電子媒体の Web・電光掲示板、CATV

の三原市チャンネルと比較し、コミュニティ FMによるラジオ放送番組の制作は手軽に音

声による情報配信がおこなえる。

自治体の理念やビジョンをタイムリーに広く浸透させ、地域住民との相互理解や産業

振興サポートをおこなう上で効果的なメディアであるといえる。

(5)防災

災害時における緊急情報伝達および平常時の防災、防犯情報の円滑な周知。

全戸配布される予定の FM 告知端末は、平常時にはコミュニティ FM放送の受信機とし

て利用することができ、緊急時には告知放送を強制配信する機能がある。コミュニティ

FMの開局により日頃の防災・防犯の啓発のみならず、市民が求める災害情報をリアルタ

イムで配信することが可能となる。

こうした理念をささえる 5つの主要素をベースとしてコミュニティ FMをまちづくり参

加できる地域情報発信メディアとして成長させるには、三原市の協力のもと、開局準備

段階からの市民、教育機関、事業者への参加呼びかけと意見交換が求められるといえる。

地域のラジオ局としての愛着を生む意味では、ステーションネームやイメージキャラ

クターは公募型をとり、番組の企画は基本提案に基づく共同企画型を多く採用すること

が効果的である。また、常時放送される三原市提供・出稿の番組については、より円滑

で充実したものとする様、庁内の情報集約についての考慮が必要となる。

未来へかがやく「コミュニティ FM」

安全・安心を提供する「コミュニティ FM」

26

図 17 三原コミュニティ FM像の実現方法

(1)地域 市民がつくる「コミュニティ FM」

(2)商業 商業の活力となる「コミュニティ FM」

地域交流を促す「コミュニティ FM」

(3)教育 子どもたちが活躍する「コミュニティ FM」

学び触れ合う「コミュニティ FM」

(4)行政 未来へかがやく「コミュニティ FM」

(5)防災 安全・安心を提供する「コミュニティ FM」

ステーションネーム・イメージキャラクターの公募

〔三原市〕上記公募協力

市民参加型番組の企画、投稿ツール(Web・メール・FAX・はがき)の整備、パーソナリティ(ラジオの司会者)・サポーター(特派員)の募集 イベントの企画

〔三原市〕受信環境の整備、広報番組の提供、 パーソナリティ・サポーターの公募協力

スポンサー・CM 募集、タウン・商業番組の企画作成

〔三原市〕スポンサー・CM募集協力、

三原市広報番組内での産業振興

三原市提供番組(教育)・教養講座の企画作成、教育機関への取材

〔三原市〕教育委員会による指導および 番組コンセプトの監修

災害放送の実施、防災・防犯の啓発

〔三原市〕FM告知放送端末の全戸配布および説明会 の実施、緊急放送の実施 防災協定、防災契約の検討

生涯教育番組の企画、外国語教育関連機関・企業、地

域グループ、福祉医療機関への協力依頼および企画 〔三原市〕教育委員会による指導および

番組コンセプトの監修

聴く・参加する・育てる

三原のみんなのラジオ局

行政提供番組の企画

〔三原市〕行政からの放送用情報の受け渡し方法検討 運営規則の検討

主要素 小項目 理念

27

第3章 コミュニティ FM放送局運営会社の設立

28

3-1. 運営体制/組織

3-1-1. 株式構成

(1)運転資金としての資本金

会社運営の資金として資本金を考えた場合、開業準備金とランニングコストを最低資金

として準備することになる。ランニングコストの考え方は業種によって様々であるが、コ

ミュニティ FMに関しては年払いの支出も多い。

本調査でおこなったコミュニティ FM局へのヒアリングでは、開局当初は制作と営業の業

務が煩雑になりがちで、スポンサー獲得はしばらく経ってから本格化する傾向にあり、資

本金の少ない局では初年度に資金繰りが困窮したという例も見られた。こうした事を考え

合わせ、開業準備金と 8~9 割の年間経費を資本金として用意しておく必要がある。

別途算出の開業準備金7は 3,000万~4,000万円、年間の運営費用は 3,500万~4,500万円

と想定されるため、6,000万~8,000万円程度を見込むこととなる。

(2)運営形態から考える資本金

運営形態は様々で、資本金 2億円以上の大規模商業型コミュニティ FMから、小規模の NPO

法人など非営利団体が運営するコミュニティ FMまで幅広い。資本金 6,000万円以上の局が

4 割近く(36%)いることから考えると、商業型のコミュニティ FM 局には一定の資本金額

が必要といえる。

表 8 コミュニティ FM局資本額

資本金額 局数 割合 割合

2億以上 15局 5%

36% 1億以上2億未満 40局 14%

8千万以上~1億未満 26局 9%

6千万以上~8千万未満 22局 8%

4千万以上~6千万未満 55局 19%

62% 2千万以上~4千万未満 61局 21%

2千万未満 62局 22%

不明 6局 2% 2%

7 第 3章「3-2. 開局準備」を参照のこと。

29

これら運転資金や他局の資本金規模を考え合わせると、商業ベースを意識した市全域を

カバーするコミュニティ FM 局の設立には、6,000~8,000万円程度の資本金が必要になると

考えられる。

しかしながら、三原市内の事業者を対象としたアンケートでは、コミュニティ FMの運営

会社への出資に興味のある企業は 9%と非常に少なく、アンケートに回答した 330 社中 28

社に留まった。コミュニティ FMについてイメージが湧かないなどの理由からどちらとも言

えないとする事業者も 3 割程度(32%)いたものの、出資に関して否定的な事業者が 6 割

近く(59%)を占めていた。

この結果から、公募をかけた場合でも、小口株主からの出資を募る裾野の広い株式構成

や大規模企業の設立は難しいと推測される。

また、別途おこなった主要株主候補へのヒアリング結果では、地域行政と地元財界が推

進する形式で開局することを前提に、三原市の資本参加を条件とした場合でも、コミュニ

ティ FM運営会社への出資見込み額は 5,000万円前後と考えられ、安定運営に必要とされる

資本金額を下回る可能性がある。

図 18 出資参加希望(事業者アンケート)

(3)出資比率の区切り

こうした状況下では、出資元である企業への経営負担を最小限に抑える必要性があり、1

社あたりの出資比率を関連会社の決算に損益が連結加算される 5 分の 1(20 %)未満と設

定するのが得策といえる。

6社, 2%

22社, 7%

106社, 32%

98社, 30%

96社, 29%

2社, 1%

非常に思う

やや思う

どちらとも言えない

あまり思わない

全く思わない

無効・無回答

事業者(N=330)

30

三原市と同額程度の出資をおこなう大口株主 1~3社程度と、その他中口・小口株主で構

成した場合、次に示す出資構成例の様になる。安定経営範囲といえる資本金額未満で開局

する場合には、初期の営業状況によらず継続的に運営をおこなっていくための公的支援の

検討が必要といえる。

表 9 コミュニティ FM局資本構成(例)

資本金 8,000万円の場合 資本金 6,500万円の場合 資本金 5,000万円の場合

株主比率 1株主あたり 1,600万円未満 1株主あたり 1,300万円未満 1株主あたり 1,000万円未満

構成例

三原市 1,500万円

大口株主 1,500万円x3社

中口株主 500万円x3社

小口株主 200万円x2社

100万円x1社

三原市 1,200万円

大口株主 1,200万円x3社

中口株主 350万円x4社

小口株主 150万円x2社

三原市 950万円

大口株主 950万円x3社

中口株主 200万円x4社

小口株主 100万円x4社

備考 安定経営範囲。 初期の営業状況によっては

安定した経営が難しく、公

的支援の検討が求められ

る。

資金面で不安があり、公的

支援が不可欠。

31

3-1-2. 運営組織

コミュニティ FM局の運営は少人数制の場合が多く、業務上は、責任者である局長を筆頭

に、常勤スタッフとパートタイムの事務補助、放送局免許上必須となる非常勤の無線従事

者など技術スタッフ、タレント契約のパーソナリティで構成される。

運営会社の社員である局長および常勤スタッフは営業から制作(パーソナリティ)、経理

まで幅広くこなすケースがほとんどで、省力化の課金管理システムや自動送出装置の導入

などにより、負担軽減を図るケースがみられる。パーソナリティに関しては、ボランティ

ア中心からプロ中心のもの、10名以下から 50名以上のものまで様々ではあるものの、商業

的な運営をおこなう場合には、放送のクオリティ維持の観点から、スタート段階では有償

パーソナリティで中小規模(10~20名)で放送するのが主流といえる。

組織面では、総務省では「役員」、「放送番組審議機関の委員」及び「主たる出資者」は

できる限り放送区域内に住所を有する者であることとしている。また、「放送番組審議機関

の委員」は 5 名以上であることが条件で、ボランティアの市民や有識者が放送内容につい

ての定期的な評価をおこなうのが一般的である。

図 19 組織図

局長

監査役 番組審議 委員会

執行役員

取締役会

代表取締役

株主総会 スタッフ(営業・制作)

技術管理 (電波・無線アンテナ)

機器ベンダー (スタジオ・編集機器)

事務補助

パーソナリティ

32

出資者への配当や役員手当の支払いについては、おこなっていないコミュニティ FM局も

多く、三原市におけるコミュニティ FMについても、運営会社の経営が安定し、補助金等の

市からの支援がない状態で利益が一定以上出る状況になった場合に支払うケースもあるた

め、経営的な判断により支払基準や時期について定める必要がある。

表 10 役職員構成(例)

人数 雇用形態

配当・

給与の

支払い

備考

出資者 10~15名 - 無※ ※配当基準要検討

代表取締役 1~2名 非常勤 無※ ※支払基準要検討

取締役 5~10名 非常勤 無※ ※支払基準要検討

監査役 1 名 非常勤 無※ ※支払基準要検討

番組審議委員会 5 名以上 月 1回 無 ボランティア

局長(執行役員) 1 名 常勤役員 有

スタッフ(営業・制作) 1 名 常勤社員 有

事務補助 1 名 パート 有

無線従事者 1 名 契約 有

パーソナリティ 10~20名 契約 有 タレント契約・時給

外部委託 1~2社 契約 有 技術関連サポート

33

3-2. 開局準備

コミュニティ FM局の開局までに必要な手続きとしては、(1)開局準備委員会および発起

人会の設立、(2)コミュニティ FM運営会社の起業、(3)開局に向けた放送番組の企画・営

業、スタッフ研修などがある。準備期間は特に定めがないものの、短期間で開局にいたっ

た事業者の場合、営業開始の遅れや制作の準備不足等により、初年度が赤字スタートとな

ることもままある。

後年度負担を軽減する上でも、開局までの準備期間は十分に設ける事が大切で、演奏所

(スタジオ)竣工までの期間は、遊休施設や株主関連施設を無償もしくは低価で賃借し、

開局準備をおこなう必要がある。その際には、簡易のオフィス機器などのみを(4)初期設

備として設置することとなる。

表 11 開局準備費用8

(単位:千円)

内訳 数量 金額

(1)創立費用 創立事務費用

設立準備委員会運営費用

1式 5,700

(2)登記費用 登記登録・手続き費用 1式 700

(3)開局準備費用 営業費

人件費

研修費

デザイン費

HP作成費

資料・消耗品費

諸経費

1式 18,000

~25,000

(4)初期設備 オフィス機器

オフィス什器

通信機器

車両

1式 5,600

~8,600

合計 30,000

~40,000

8 防災環境整備の観点から、コミュニティ FM 関連の実施設計は三原市が実施することを前

提に、開局準備費用には未計上。

34

3-3. 経営計画(試算表・10カ年)

3-3-1. 収入源と業務内容

コミュニティ FM局の収入源として考えられるものとしては、主業務である放送業務に対

してのスポンサー料や広告料の他、一般の有料会員からの年会費、事業者からの賛助会員、

その他付帯業務がある。

事業可能性調査でおこなったアンケートでは、有料会員に登録したい人の割合は 1 割に

満たず(7%)、登録したくない人の割合が半分以上(53%)を占めている。また、事業者

向けの賛助会員についても同様の傾向がみられ、登録したい人の割合は 17%である一方、

登録したくない人の割合が半分以上(54%)となった。今後のコミュニティ FM局の開局 PR

にともない、興味を持つ層が増えてくる可能性はあるものの、会員管理や会員に対しての

メリット提供の難しさから制度を廃止した局があることを考え合せると、現段階での有料

会員や賛助会員の募集は難しいといえる。

その他付帯業務としては、他のコミュニティ FM局をみると、イベント企画やフリーペー

パーなどの広告代理業などあるが、いずれも経費および人件費の観点から、将来的な売上

増加の策として後述することとし、放送に対してのスポンサー料および広告料を開局当初

の売上見込業務として考えることとする。

図 20 有料会員・賛助会員への意欲(市民・事業者アンケート)

チケット・招待券

コンサートの割引券・招待券・優先予約

加盟店(飲食店・スーパー)の割引券、招待券、ポイント

1

3

6

14

30

29

28

28

35

26

0

0

0% 20% 40% 60% 80% 100%

凡例

市民(N=539)

有料会員

事業者(N=330)

賛助会員

どちらとも 言えない

全く 思わない

あまり 思わない

やや思う 無効・

無回答

非常に思う

35

3-3-2. 売上見込み

コミュニティ FMの広告に興味のある人の割合は 20秒 CMで 16%、4分番組の提供(スポ

ンサー)で 12%、54分番組の提供で 10%となった。この結果を基に、現時点で興味を示し

ているコア層を実数換算し、次頁に示す方式で試算をおこなった場合の広告契約見込み額

は約 100万円となった。

今後の開局告知や営業等により、広告契約数が増える可能性はあるものの、どの事業者

に対しても初めての営業活動となることを考え合せると、実数換算による見込み以上に売

上げるためには下記が必須条件となる。

売上確保のための必須条件

開局前の営業活動

魅力的な番組づくり

コア層の確保(イノベーターへの口コミ営業)

開局当初からの円滑な運営による利用定着(リピーター)

こうした条件が揃った場合には、統計データを基に三原市内の事業者全体で見た場合で、

1,570万円程度の広告契約が見込める試算となる。

図 21 コミュニティ FMの広告利用意欲(事業者アンケート)

2

2

1

14

10

9

23

24

24

19

22

21

35

35

38

7

7

7

0% 20% 40% 60% 80% 100%

凡例

20秒CM

4分番組提供

(スポンサー)

54分番組提供

(スポンサー)

どちらとも 言えない

全く 興味がない

あまり 興味がない

やや 興味がある

無効・

無回答

非常に 興味がある

事業者(N=330)

36

表 12 初年度の売上試算

実数計算の場合の試算 (N=330)

非常に興味がある 受注予測係数 0.5

区分 単価 実数 受注予測 計

20秒 CM 29,000 円 6 社 3 社 87,000 円

4分番組スポンサー 27,000 円 7 社 3.5 社 94,500 円

54分番組スポンサー 32,000 円 4 社 2 社 64,000 円

245,500 円

やや興味がある 受注予測係数 0.25

区分 単価 実数 受注予測 計

20秒 CM 29,000 円 45 社 11.25 社 326,250 円

4分番組スポンサー 27,000 円 32 社 8 社 216,000 円

54分番組スポンサー 32,000 円 29 社 7.25 社 232,000 円

774,250 円

合計

1,019,750 円

母体数に反映させた場合の試算 (N=5,078)

非常に興味がある 受注予測係数 0.5

区分 単価 母体数x% 受注予測 計

20秒 CM 29,000 円 92 社 46 社 1,334,000 円

4分番組スポンサー 27,000 円 108 社 54 社 1,458,000 円

54分番組スポンサー 32,000 円 62 社 31 社 992,000 円

3,784,000 円

やや興味がある 受注予測係数 0.25

区分 単価 母体数x% 受注予測 計

20秒 CM 29,000 円 692 社 173 社 5,017,000 円

4分番組スポンサー 27,000 円 492 社 123 社 3,321,000 円

54分番組スポンサー 32,000 円 446 社 111.5 社 3,568,000 円

11,906,000 円

合計

15,690,000 円

37

しかしながら、コミュニティ FM局の開局時の番組表などをみると、現在は番組スポンサ

ーが豊富な局であっても、会社立上げや開局当初の制作の混乱により、開局時にはスポン

サーが数社しかいないといった局もある。こうした状況を考え合わせ、受注予測の約 75%

を初年度の受注目標とした場合の売上高はおよそ 1,180万円となる。

表 13 初年度の売上目標

区分

受注予測

(1回換算)

年間契約

(受注予測/12回)

初年度

年間契約目標

20秒 CM

219 社 ( 18.3 社 )

13.7 社

4分番組スポンサー

177 社 ( 14.8 社 ) 目標設定

受注予測の

75%

11.1 社

54分番組スポンサー

142.5 社 ( 11.9 社 ) 8.9 社

合計

15,690,000円

11,767,500円

3-3-3. 収支計画

開局初年度売上 1,180万円とした場合の収支計画は次頁に示す通り。開局前の事業可能

性調査の段階では広告希望事業者が 2割に満たないという厳しい現状を受け、開局当初は

小規模な経費削減型の運営体制を取ることとし、(1)人件費は最小限、(2)家賃は公共施

設もしくは出資会社施設内で無償貸与可能な場所に設置し、通常 3,500万~4,500万円かか

る支出を最小限の 3,000万円以下に設定した。

また、防災情報配信に不可欠な施設として位置づけられる送信所およびヘッドエンド機

器関連経費については、上下分離型の考え方に従い、三原市の負担として切り分けて算出

している。

図 22 施設の位置づけ

送信所

送信所

放送設備

告知関連機器

演奏所

(スタジオ・オフィス)

防災設備/三原市負担

オフィス機器

什器

38

表 14 収支計画

(単位:千円)

1年目 2年目 3年目 4年目 5年目

平成 29年 平成 30年 平成 31年 平成 32年 平成 33年 収入

一般営業売上 11,800 12,200 13,000 16,000 18,200 市の委託金

(放送出稿料) 8,000 8,000 8,000 8,000 8,000

市の委託金(防災) 4,000 4,000 4,000 4,000 4,000

計 23,800 24,200 25,000 28,000 30,200

支出

放送費 4,000 4,000 4,500 4,400 4,400

人件費支出 18,800 18,800 18,800 19,800 19,800

その他の支出 6,800 6,700 6,700 7,000 7,000

ランニングコスト積立金 200 700 700 700 700

家賃(社屋) 0 0 0 0 0

計 29,800 30,200 30,700 31,900 31,900

合計(収入-支出) -6,000 -6,000 -5,700 -3,900 -1,700

備考 サイマル

放送開始

事務員増員 検査実施

6年目 7年目 8年目 9年目 10年目

平成 34年 平成 35年 平成 36年 平成 37年 平成 38年 収入

一般営業売上 20,700 24,800 34,000 34,000 34,000 市の委託金

(放送出稿料) 8,000 8,000 8,000 8,000 8,000

市の委託金(防災) 4,000 4,000 4,000 4,000 4,000

計 32,700 36,800 46,000 46,000 46,000 支出

放送費 4,400 4,400 4,400 4,400 4,400

人件費支出 19,800 22,700 24,800 24,800 24,800

その他の支出 7,000 7,700 10,100 10,100 10,100

ランニングコスト積立金 700 700 700 700 700

家賃(社屋) 0 0 0 0 0

計 31,900 35,500 40,000 40,000 40,000

合計(収入-支出) 800 1,300 6,000 6,000 6,000 備考 ※

増資要検討

新規事業

準備9

売上の 1/3

が市

機器更新

従業員増員

新規事業

準備

売上の 1/4

が市

新規事業

開始

売上の 1/4

が市

売上の 1/4

が市

検査実施

9 第 6章「6-2. 放送外業務の実施検討」を参照のこと。

39

表 15 三原市運営負担

(単位:千円)

1年目 2年目 3年目 4年目 5年目

平成 29年 平成 30年 平成 31年 平成 32年 平成 33年

運営費

出稿料 8,000 8,000 8,000 8,000 8,000

防災契約料 4,000 4,000 4,000 4,000 4,000

技術費

保守管理委託費 1,000 1,000 1,000 1,000 1,000

送信所維持管理費※

電力費 600 600 600 600 600

放送専用回線使用料 1,200 1,200 1,200 1,200 1,200

送信所家賃 0 0 0 0 0

合計 14,800 14,800 14,800 14,800 14,800

備考 検査実施

6年目 7年目 8年目 9年目 10年目 合計

平成 34年 平成 35年 平成 36年 平成 37年 平成 38年 平成 29-38年

運営費

出稿料 8,000 8,000 8,000 8,000 8,000 80,000

防災契約料 4,000 4,000 4,000 4,000 4,000 40,000

技術費

保守管理委託費 1,000 1,000 1,000 1,000 1,000 10,000

送信所維持管理費※

電力費 600 600 600 600 600 6,000

放送専用回線使用料 1,200 1,200 1,200 1,200 1,200 12,000

送信所家賃 0 0 0 0 0 0

合計 14,800 14,800 14,800 14,800 14,800 148,000

備考 機器更新

サーバ類

検査実施

算出根拠

電力料: 送信所 1カ所当たりの電力消費 100V・1500Wとした場合の 2カ所の年間電力料

月額 25,000円x2箇所x12カ月=600,000円

放送専用回線使用料: 三原テレビ放送の専用回線を 2本借り上げた場合の年間利用料

月額 50,000円x2箇所x12カ月=1,200,000円

※ 電力費、放送専用回線使用料は自家発電設備の整備状況や三原市の空き回線利用の可否、

設置箇所により大幅に異なる。また、将来的に中継局を設置する場合には、それに応じ

て変動する。

※ 三原市消防無線中継所を利用するため、送信所家賃は不要。

40

この収支計画では、段階的に売上が成長し、開局 6年目に単年度黒字となる見込みであ

る。三原市の運営負担に関しては、出稿料や防災放送契約料、公設の設備維持に係る技術

費および送信所維持管理費が 1,480万円あるが、これにより通常時にも利活用できる防災

情報配信施設を維持することができる。

しかしながら、開局 5年目までの累積赤字を解消するのは、8年目以降は平均的に 600万

円の利益が見込めると仮定した場合に 18年目となり、開局準備から軌道に乗る 5年目まで

の初期負担が非常に大きいと言える。

また、前述したように資本金の調達は難航する可能性が高く、6,500 万円以下での設立に

至った場合には、開局 5年以内に債務超過に至ることとなる。

表 16 貸借対照表(補助金無し)

(単位:千円)

開業準備 1年目 2年目 3年目 4年目 5年目

平成 28年 平成 29年 平成 30年 平成 31年 平成 32年 平成 33年

流動資産

現金預金 65,000 19,000 13,000 7,300 3,400 1,700

創業費・開業費 - 40,000 - - - -

流動負債

資本金 65,000 65,000 65,000 65,000 65,000 65,000

累積欠損金 -6,000 -52,000 -57,700 -61,600 -63,300

備考

6年目 7年目 8年目 9年目 10年目 18年目

平成 34年 平成 35年 平成 36年 平成 37年 平成 38年 平成 46年

流動資産

現金預金 37,500 38,800 44,800 50,800 56,800 104,800

創業費・開業費 - - - - -

流動負債

資本金 100,000 (増資 35,000)

100,000 100,000 100,000 100,000 100,000

累積欠損金 -62,500 -61,200 -55,200 -49,200 -43,200 4,800

備考 増資

新規事業

準備

新規事業

準備

新規事業

開始

41

こうした状況を回避し、安定して永続的な放送業務をおこなうためには、創業支援補助

金や運営支援補助金の取得や費用圧縮について検討をする必要がある。創業および開業に

係る自社の初期負担を 2,000万円内に収め、開業後数年間の赤字補てん型補助金を取得で

きた場合、累積赤字解消を 10年目におこなうことができる。

表 17 貸借対照表(補助金有り)

(単位:千円)

開業準備 1年目 2年目 3年目 4年目 5年目

平成 28年 平成 29年 平成 30年 平成 31年 平成 32年 平成 33年

流動資産

現金預金 85,000 39,000 45,000 45,300 46,800 47,200

創業費・開業費 - 40,000 - - - -

流動負債

補助金 20,000 - 6,000 6,000 5,700 3,900

純資産

資本金 65,000 65,000 65,000 65,000 65,000 65,000

累積欠損金 -6,000 -26,000 -25,700 -23,900 -21,700

備考 立上げ補助

半額 赤字補てん

補助金 赤字補てん

補助金 赤字補てん

補助金 赤字補てん

補助金

6年目 7年目 8年目 9年目 10年目

平成 34年 平成 35年 平成 36年 平成 37年 平成 38年

流動資産

現金預金 47,500 47,100 53,100 59,100 65,100

創業費・開業費 - - - - -

流動負債

補助金 1,700 - - - -

純資産

資本金 65,000 65,000 65,000 65,000 65,000

累積欠損金 -19,200 -17,900 -11,900 -5,900 100

備考 赤字補てん

補助金

増資なし

新規事業

準備

新規事業

準備

新規事業

開始

42

また、実運用にあたっては、契約件数確保のため、マーケティング上の方策を勘案した

サービスプランの設定やパッケージ戦略をおこなう必要がある。

マーケティング例

54分番組よりも安価で 4分番組より割安な 30分の番組枠の設定

行事に合せたスポット契約

イベント協賛型割引

関連企業とのタイアップ契約

年間契約特典

43

3-4. 番組編成・番組制作

3-4-1. 番組編成

コミュニティ FM局の自主放送番組の割合は、総務省では一週間の 50%以上、一般社団法

人日本コミュニティ放送協会では 60%以上を目指すことを指針として掲げている。

これに従うと、24時間放送をおこなう場合には 1日あたり 12~14.4 時間の自主放送番組

が必要となり、朝 7 時~夕方 18 時もしくは夜 21 時半頃までは少なくとも自主放送番組の

配信をし、夜間は CS放送を通じたミュージックバードなど番組配給会社の番組を再放送す

ることとなる。そのうち平日の朝 7~9時、夕方 17~18時をスポンサー料金や CM料金が通

常の 1 割から 4 割程度高い S タイムとし、その他の時間帯を通常料金の A タイムとして区

分するのが一般的である。

表 18 一般的な自主放送時間帯

7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21

平日

土・日

Aタイム

Sタイム

番組制作にかかる労力や放送費用負担の軽減のため、指針以下の自主放送時間の局や夜

間の放送をおこなわない局もあるが、総務省の「放送法関係審査基準」では、コミュニテ

ィ FM局は地域に密着した各種情報(地域の行政情報・タウン情報・交通情報・観光情報等)

を配信することを目的として運営されるべきものとされており、自主放送番組の重要性が

うかがえる。

番組の入れ替わりの多いコミュニティ FM局は随時番組編成をおこなっているが、基本は

4 月・10 月の年 2 回の編成で、変更の都度週間放送番組表を添付して、総務省に「週間放

送番組の編集に関する事項」の届出をすることとなる。

また、放送番組の編集については、放送法により次のように定められており、メディア

としての責任ある放送が求められている。

放送法 (昭和二十五年五月二日法律第百三十二号)

(国内放送等の放送番組の編集等)

(第4条)国内放送等の放送番組の編集等

一 公安及び善良な風俗を害しないこと。

二 政治的に公平であること。

三 報道は事実をまげないですること。

四 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにす

ること。

44

3-4-2. 番組制作

放送番組の制作にあたっては、三原のコミュニティ FM 局で作成するオリジナル番組と、

放送関連団体や企業から提供を受ける配給番組を効果的に組み合わせることとなる。

オリジナルの番組は、番組企画を立て、スポンサーからの要望を受けながら、市民・教

育機関・事業者・三原市と協議の上、制作をする。こうした自主制作番組が三原のコミュ

ニティ FM局の個性とイメージを創り出すこととなる。

一方、制作負担を抑えるためには、地域 CATV 局や CS 放送を通した配給会社からの番組

提供、新聞社からのニュース原稿購入も必要となる。

日本コミュニティ放送協会に所属のコミュニティ FM局は、地区毎の交流があり、有料も

しくは無料で放送番組のやりとりをおこなっているケースも見られる。広島東部の備後地

方には、レディオ BINGO(福山)、エフエムおのみち、FM東広島の 3 局がすでに開局してお

り、将来的にこれらコミュニティ FM局との連携体制が構築できれば、備後地方のニュース

やタウン情報の配信などこれまでにない番組づくりがおこなえることとなる。こうした備

後地域のコミュニティ FM網の実現には、自治体の広域連携による防災情報の相互提供など

の動きに応じて活発になる可能性がある。

図 23 番組制作の関係図

・パーソナリティ ・サポーター ・投稿 ・出演(ゲスト)

・出資 ・スポンサー ・CM ・出演(ゲスト)

・素材提供 ・出演(ゲスト)

・番組配給 (ミュージックバード) ・ニュース素材 (中国新聞) ・交通情報 ・天気予報

・放送協力 ・制作協力 ・営業協力

・出資 ・スポンサー/出稿 ・防災契約 ・緊急告知放送

・報告 ・審議

事業者 市民 教育機関

三原市 三原テレビ放送 民間配給会社

番組審議

委員会 総務省 コミュニティ FM局

・交流 ・番組提供

近隣 CFM局

JCBA 自治体

・広域連携

45

市民、教育機関、事業者に求められる番組としては、防災・防犯、天気予報を含めたニ

ュース、音楽、地域関連(商店街情報、生活・タウン)、医療・福祉、スポーツなどがあり、

教育機関では教養・教育番組についても興味関心が高かった。

図 24 期待するラジオ番組(市民・教育・事業者アンケート)

65

55

54

50

46

39

35

35

32

23

17

14

13

12

9

6

4

5

90

71

39

77

23

68

29

39

32

29

13

10

52

81

3

19

0

6

71

55

46

52

39

50

45

46

32

23

14

21

11

13

7

3

1

8

0 20 40 60 80 100

防災情報

ニュース

天気予報

防犯情報

音楽

行政情報

商店街情報

生活・タウン

医療・福祉

スポーツ

娯楽

求人情報

教養

教育

料理

朗読

ドラマ

その他

市民(N=539)

教育機関(N=31)

事業者(N=330)

46

3-4-3. 三原市からの出稿

コミュニティ FMが開局することにより、三原市は新たな情報配信チャネルを持つ事とな

るが、利活用方法としては、コミュニティ FMの「地域」・「商業」・「教育」・「行政」・「防災」

など 5 つの主要素に則した情報を行政の観点から提供することが可能となる。スポンサー

料や制作費の設定によるが、年間の出稿料 800 万円と防災契約料 400 万円とした場合の行

政番組例は下記に示す通り。

(1)地域連携

みはらの人 (①)

市民や団体(趣味のグループ・町内会)をスタジオのゲストに招いて日頃の取組を

紹介。

月に 2~3回 30分前後/平日・週末 2回放送

スポーツ大会中継 (②)

三原市民体育大会、ビーチボールバレー大会、グランドゴルフ大会、ゲートボール

大会、白竜湖ふれあいグリーンマラソン大会、トライアスロンさぎしま大会、など三

原市主催のスポーツ大会の屋外中継。

年に 6回/開催日に生放送

みはらの健康福祉 (③)

三原市民の健康増進・高齢化対策のための情報番組。福祉関係の大学や専門学校、

高等学校などの教育機関との共同番組制作。

月に 2~3回 30分前後/平日・週末 2回放送

(2)商業振興

みはらの会社 (④)

三原の地場産業や小規模事業者など知られている様で知られていない企業やお店を

訪問し、インタビューする。

月に 2~3回 30分前後/平日・週末 2回放送

(3)教育

みはらの子 (⑤)

学校からの一般情報や行事の紹介や、児童・生徒による校歌の合唱、作文発表、意

見発表などメディア教育につながる情報配信。

週に 1回 15分前後/平日・週末 2回放送(学校持ち回り)

47

外国語ニュース (⑥)

外語専門学校や英会話教室との連携により、三原のニュースや身近な話題を外国語

で配信。三原市在中の外国人との文化交流、多言語共生や生涯教育としての語学学習

に役立てる。

週に 1回 15分前後/平日・週末 2回放送

(4)広報

広報ラジオみはら (⑦)

明日行われる行事のお知らせなど即時性のある情報の提供や、施政方針の公表、意

見募集など三原市からの通常の市政情報の提供。

平日 15分前後/朝・昼・夕 3回放送

議会ラジオ中継 (⑧)

三原市議会、委員会の音声中継。

議会開催時期のみ/生放送もしくは夜間放送

(5)防災・防犯

みはらの見張り番 (⑨)

火災予防啓発、消費相談や注意喚起など防災や防犯の意識向上のための情報番組。

月に 2~3回 30分前後/平日・週末 2回放送

災害情報・緊急告知放送(⑩)

下表に示す台風や津波、土砂崩れ、火災などの災害情報のラジオ放送や、告知放送

の強制割込みによる緊急情報の伝達。

緊急時に随時

表 19 災害情報(例)

区分 内容

各種警報・注意報 災害予兆情報、豪雨、乾燥

台風情報・津波情報 河川、水位の様子

有事情報 J-ALERTからの緊急情報

防災情報 消防からの火災発生の告知情報

避難所情報 開設されている避難所の紹介、様子、状況

避難勧告の情報 被災状況に応じた情報

生活関連情報 給水情報、健康管理情報、各種相談窓口紹介、生活必需品を販

売する店舗の開店情報

48

現在の行政番組の月間編成例では、平日・休日ともに 45分~1時間 15分程度の三原市の

スポンサー番組が放送され、週末は広報ニュース以外の「地域」・「商業」・「教育」・「防災」

番組の再放送がおこなわれる構成となっている。

表 20 行政番組月間テーブル(例)

月 火 水 木 金 土 日

第 1週

地域・商業 ① ①

福祉 ③ ③

教育 ⑤ ⑥ ⑤ ⑥

広報 ⑦ ⑦ ⑦ ⑦ ⑦

第 2週

地域・商業 ④ ④

防災 ⑨ ⑨

教育 ⑤ ⑥ ⑤ ⑥

広報 ⑦ ⑦ ⑦ ⑦ ⑦

第 3週

地域・商業 ① ①

福祉 ③ ③

教育 ⑤ ⑥ ⑤ ⑥

広報 ⑦ ⑦ ⑦ ⑦ ⑦

第 4週

地域・商業 ④ ④

防災 ⑨ ⑨

教育 ⑤ ⑥ ⑤ ⑥

広報 ⑦ ⑦ ⑦ ⑦ ⑦

第 5週

地域・商業 ①

福祉

教育 ⑤

広報 ⑦ ⑦

① みはらの人 30分

② スポーツ大会中継 年 6回

③ みはらの健康福祉 30分

④ みはらの会社 30分

⑤ みはらの子 15分

⑥ 外国語ニュース 15分

⑦ 広報 15分

⑧ 議会中継 定期・臨時

⑨ みはらの見張り番 30分

⑩ 災害情報・緊急告知 随時

49

3-4-4. 番組審議委員会

コミュニティ FMの番組内容については、番組審議委員による定期的な評価および確認を

受けることが義務付けられている。一般的には、地域理解のある住民や企業家、地域メデ

ィアに造詣の深い知識人や有識者により構成されることが多い。

番組審議委員会は原則毎月 1回、少なくても年 6回以上開催することが制度上義務付け

られており、放送番組審議会の議事の概要と運営会社からの回答もしくは意見に対して講

じた措置については、所定の様式に則って総務省に届出をおこなうこととなっている。

また、審議の答申又は意見の概要の公表は、(1)放送番組内での通知、(2)事務所への

備置き、(3)日刊新聞紙等への掲載、(4)ホームページへの掲載、(5)社内報への掲載な

どを通じて公表されている。コミュニティ FM 局の多くは審議内容を HP に掲載し、自助努

力として今後の番組制作に役立てている。

表 21 番組審議委員会メンバー構成(例)

区分 人数

三原市民 一般 1名

企業家 会社役員 1名

教育関係者 教育委員会、教育長経験者 1名

防犯関係者 警察幹部、経験者 1名

文化人 文筆家、芸術家、音楽家、大学職員、教授 1名

50

3-5. スタッフ教育

3-5-1. 求められるスタッフ像

(1)局長・社員

コミュニティ FM局の運営人材である局長やスタッフは、少人数精鋭のため、営業から取

材、録音、編集、事務までをこなすオールラウンドな人が求められる。

また、アンケート調査やヒアリングでは、コミュニティメディアとして地域に溶け込ん

で行くことのできる積極性やバイタリティが求められる傾向にあった。地域に密着した運

営をおこなっていく上で、三原に理解があり、継続して勤務できる人が適しているといえ

る。

(2)パーソナリティ

番組の顔であるパーソナリティは、三原に愛着のある方で、若く明るくかつ経験豊かな

人が好まれる傾向にある。

また、市民参加の観点からすると、公募で受かったパーソナリティを育成し、親しみや

すさを感じてもらうなどの工夫も必要となる。

個性・特長

明るい人、楽しい人、聞き取りやすい声の人、知識の豊富な人、経験のある人、元気

な人、話が上手な人

属性

若い人、公募で受かった人

地域について

三原出身者、三原に住んでいる人、三原に詳しい人、三原が好きな人

図 25 三原らしいラジオ番組のパーソナリティ(市民アンケート)

51

3-5-2. スタッフ研修

開局前のスタッフの事前研修は重要で、円滑な放送運営をおこなうだけでなく、リスナ

ーの定着を図る上でも、一定の品質を確保できるスキルを身に付けた技術者とパーソナリ

ティによる放送番組の制作が求められる。

立上げ時には外部からの講師派遣や専門の講習の受講が必要となるが、運営開始後は先

輩スタッフからの個別指導や勉強会の実施など、OJTに基づく社内研修が主となる。

表 22 研修内容

区分 項目 内容

技術研修 座学 音響・音声の基礎理論

機器操作 操作卓、録音機器、編集機器

音声技術 スタジオ音声、ロケ音声

編集 整音、レコーディング、ミキシング

進行管理 番組企画、提案、構成表作成

パーソナリティ研修 座学 文章伝達、音の特性

アナウンス技術 発声、発音、滑舌、読み上げ

表現技術 自己 PR、フリートーク、実況

取材技術 インタビュー、リポート

52

第4章 コミュニティ FM放送局の設備および経費

53

4-1. スタジオ用地

コミュニティ FM局は、電波を送出する「送信所」と放送をおこなう「演奏所」で構成さ

れる。演奏所は、送出設備の整ったヘッドエンド設備と併設された「メインスタジオ」の

他、日時を決めて公開放送などをおこなうのに適した離れた場所に設置されるスタジオと

して「サテライトスタジオ」がある。

「演奏所」は人口集積地域や中央機能が整った情報集積地域に設置される傾向にあり、

三原市の中心部である三原駅から 3km圏内では、地域の情報通信拠点である地域 CATV局や

三原市情報センターや、駅前や道の駅といった交通拠点、市民ホールやスポーツセンター、

図書館など公共施設、大型ショッピングモールなど商業施設が設置候補地として考えられ

る。

図 26 スタジオ用地(案)

収支計画の状況から、開局当初に設置されるメインスタジオは無償貸与可能な公共施設

もしくは出資会社施設内が優先的な候補地となるが、経営状況が安定した段階では、売上

増加や FM放送定着の自助策の一つとして、スポンサー契約に結び付きやすい施設へのサテ

ライトスタジオ開設も検討することが必要となる。

凡例 情報通信拠点

交通拠点

公共施設

商業施設

再開発地域

54

表 23 スタジオ用地分類

分類 説明 例

情報通信

拠点

地域の情報通信インフラ拠点。パーソナリティなどの人

的ネットワークや情報の集積がしやすい。

有線でのラジオ放送の配信。

地域 CATV局

情報センター

交通拠点

交通の便が良く、イベント会場や要路のランドマークと

して三原内外から人が来やすい環境にある。

ボランティア参加や外から見えるオープンスタジオ、カ

フェなど憩いスペース併設に適している。

駅前

道の駅

公共施設

施設利用や映画の上映、コンサートなどで一般の方が来

やすい環境にある。

三原市所有の施設で三原地域指定避難所。

市民ホール

スポーツセンター

図書館

商業施設

三原中心地の大型商業施設。集客拠点。

ボランティア参加や外から見えるオープンスタジオに

適している。臨時サテライト向き。

ショッピングモー

コミュニティ FM事業可能性調査のアンケートでは、オープンスタジオやサテライトスタ

ジオの設置希望場所は、市民、事業者ではほぼ同じ傾向が見られ、大型スーパー・量販店

内への設置を望む声が 6割弱(市民 57%、事業者 56%)と最も多く、駅等交通拠点近くが

4割前後とそれに次いだ(市民 36%、事業者 43%)。

一方、教育機関では、大型スーパー・量販店への設置希望はさほど多くなく(29%)、駅

等交通拠点近く(教育機関 61%)や市民ホール内(教育機関 45%)が挙げられた。

こうした結果から、オープンスタジオやサテライトスタジオを開設する際には、用途や

コンセプト、対象者層にあった場所選びが必要となる。

55

図 27 オープンスタジオやサテライトスタジオの設置希望場所

(市民・教育・事業者アンケート)

57

36

28

27

4

7

29

61

45

19

0

19

56

43

25

24

3

8

0 20 40 60 80 100

大型スーパー・量販店内

駅など交通拠点近く

市民ホール内

道の駅

飲食店内

その他

市民(N=539)

教育機関(N=31)

事業者(N=330)

(%)

56

4-2. 放送設備

放送設備の形式や数量は、各局の制作方針や整備時期により異なるが、大別するとスタ

ジオと操作卓(ミキサー機器)が一室に収まった「一体型」とガラス窓付きの壁で区切ら

れた「セパレート型」、一つのスタジオですべてをこなす「単数スタジオ型」と収録用のサ

ブスタジオを配した「複数スタジオ型」に大別される。

表 24 スタジオの形状

一体型 セパレート型

形状

特徴

ミキサー機器がスタジオ内に設置されているタイプ。

ワンマンパーソナリティによる生放送を中心とした局に向いている。

小規模 CFM向け。

ミキサー室とスタジオが仕切られているタイプ。

現在の主流。

表 25 スタジオの数量

単数スタジオ型 複数スタジオ型

形状

特徴

ワンマンパーソナリティによる生放送を中心とした局に向いている。

自主放送時間中に編集をおこなう場合には工夫が必要。

メインスタジオはゲストを招いた生放送などに使用。

CM や番組の収録用として第 2 スタジオを使用。

第 2スタジオは小型のものも多い。

57

現在の主流の構成としては、セパレート型の複数スタジオ設置が設計形式として採用さ

れており、三原でのコミュニティ FM局を考えた場合にも、利便性が高い本形式が適してい

ると考えられる。

スタジオはゲスト訪問者やスタッフとのコミュニケーションが取りやすいよう、ミキサ

ー室や編集室と外部との間にガラスはめ込み式の窓加工などを施してあることが望ましい。

演奏所面積 120㎡(8mx15m)

図 28 演奏所見取り図イメージ

58

4-3. 送信所

4-3-1. 送信所の位置

総務省への無線免許申請にあたっては、コミュニティ FMの送信所は、「電波法関係審査

基準」(平成 13年総務省訓令第 67号)により放送区域は放送をおこなおうとしている地域

以外の放送区域はできる限り小さくなるよう送信所をなるべく低い場所に設置し、方角や

角度についての対策を講じたものとするとの指針がある。

現在の建設予定地は、竜王山および宇根山の消防無線局中継所が用地として想定されて

おり、市全域を 2カ所で広くカバーできる一方、高台で近隣地域への影響が大きい。用地

取得や防災上の利便性を優先し、現在の建設予定地に送信所を設置する場合には、総務省

の基本指針に最大限準じた空中線の設置が求められることになる。

特に瀬戸内海に面した竜王山は四国地方への与干渉が懸念されることもあり、近隣への

影響を最小限に抑止した詳細設計が必要となる。一般的に、室内での良好なラジオ受信に

必要な電界強度は 0.25mV/m(48dBμV/m)以上とされ、旧三原市内は 1.0 mV/m(60dBμV/m)、

本郷・久井・大和町は 0.25mV/m(48dBμV/m)が法定電界強度とされている。

現在の送信場所および設計条件で電界強度10分布のシミュレーションをおこなった場合、

図 29に示す様に広島県東部および四国の愛媛県、香川県に 0.25mV/m(48dBμV/m)以上の

電界強度が広くあらわれていることが分かる。今回の事業可能性調査業務で実施した総務

省(中国総合通信局)への事前照会およびヒアリングでは、諸事情によりやむを得ず高台

に送信所を設置する場合の留意点としては、希望区域外への 0.25mV/m(48dBμV/m)以上の

はみ出しを極力抑えることが付されており、今後の送信設備の実施設計に際してはこれを

考慮した確認作業が必要となる。

しかしながら、地理など諸条件により、変更後の設計で他地域への与干渉が十分に抑え

られなかった場合、もしくは反対に受信可能エリアが十分に確保できなかった場合には、

送信所の設置場所の変更や不感地域対策として中継所の設置を検討することとなる。

本件の建設工事に際しては、三原市内の現在の電波状況を事前に確認する「潜在電界測

定」や「周波数検討調査」のほか、コミュニティ FMの送信所からの電波の到達状況を確認

する「電波伝搬調査」を慎重におこない、建設負担を抑えた確実な電波を確保することが

求められる。

10 ある地点における電波の強さを示す数値。

59

図 29 電界強度分布シミュレーション(エリア合成・広域)

60

4-3-2. 電波不感地域

無線を使用した伝搬は不感地域の発生が不可避で、山間部や沿岸部、島しょ部、ビル陰

など地形や建物の位置により、ラジオ放送が受信しづらい地域が生じる。先に述べた送信

所の詳細設計により正確な位置状況は今後変更となるが、現在のところ、大和町、八幡町、

高坂町、木原町、幸崎町、鷺浦町周辺で不感がおこる可能性がある。

三原市の災害時一斉情報伝達手段整備では、公設で有線網の整備された本郷・久井・大

和地区は告知放送端末を配布しており、同じく公設で有線網が整備され加入率が 70%以上

ある八幡町や高坂町も先行して配布をおこなう予定となっている。

しかしながら、民設民営で有線網が整備されているエリアや加入率が比較的高くない旧

三原市内及び島しょ部での無線型の FM告知放送端末の全戸配布を目標とした場合、不感地

域への電波配信をおこなう中継局の増設が別途必要となる。

図 30 不感が予想される地域

有線型告知放送端末配布中の地域

有線型告知放送端末先行配布予定の地域

無線型告知放送端末配布予定の地域

不感が予想される地帯

凡例

大和町

鷺浦町

木原町

幸崎町

八幡町

高坂町

竜王山

宇根山

61

竜王山送信所からの旧三原市内及び島しょ部の電界強度分布シミュレーション図では、

0.25mV/m(48dBμV/m)以下の地域は木原町、幸崎町、鷺浦町周辺で広範囲に渡っており、

地形により住宅地や中間活動人口が少ないエリアも含まれるものの、ラジオ受信に障害が

でる見込みである。特に呉線沿いの幸崎町と島しょ部の鷺浦町周辺は、今後の設計変更に

より不感が広がる可能性が高く、中継局を設置する場合の優先地域と考えられる。

図 31 竜王山送信所の電界強度分布シミュレーション(旧三原市内の不感地域)

将来的な整備では、従来から三原市で活用されている地域情報通信基盤であるケーブル

テレビ網と連携した有線・無線連携型の配信技術を強化していくことを前提とし、一般視

聴者への配慮として、インターネットによるサイマル放送の実施についての検討を進める

ことも有効といえる。

また、こうした状況下では、市民からの受信状況や告知放送端末の利用方法についての

問合せが生じる可能性があり、問合せ窓口の設置や対応マニュアルの整備なども必要とな

る。

不感が予想される地帯

62

4-4. 建設費用/ランニング費用

今回のコミュニティ FM 事業可能性調査を基に検討した結果、「聴く・参加する・育てる

三原のみんなのラジオ局」を実現するには、送信所設備、中継局、スタジオ構築、省力化

関係システム(自動番組送出装置、運営支援システム)、オフィス系ネットワークシステム

等における配慮が必要であることが明らかになった。

送信所設備

三原市内でのコミュニティ FM向け周波数の取得に向け、地域外への電波の影響を抑

え、かつ市全体に電波が届くように、アンテナの設置環境および設備の詳細を再検討

する必要がある。

中継局

送信所設備の変更に伴い、当初以上の不感地域が発生する可能性があるため、受信

状況に応じた中継局の増設が予想される。

セパレート型複数スタジオの構築

一体型や単数型のスタジオは、自主放送番組の編集と収録の工夫が必要で、番組数

が増えるに従って利便性が低くなる可能性がある。

ゲストがスタジオに訪れやすく、CM 収録や番組編集が滞りなくおこなえるよう、業

務効率が良く現在の主流であるセパレート型複数スタジオが望まれる。

省力化関係システム(自動番組送出装置、運営支援システム)の導入

コミュニティ FM局の多くは社員数が少なく、少数精鋭ですべての業務をこなすこと

になる。地域振興や営業活動に注力するためには、制作負担の軽減が必要となる。

番組配信を自動でおこなえる APSや運営支援の EDPSを導入することで、番組送出の

停止などの放送事故防止や、運営体制の充実化を図ることができる。

ネットワークシステム等

円滑な事業運営には、演奏所(スタジオおよびオフィス)内の ICT 利活用として、

通信環境を整える必要がある。

聴きやすい 電波環境づくり

働きやすい 雇用づくり

集いやすい 場所づくり

63

建設に際しては、スタジオ・送信所用地の決定と、最も重要な電波伝搬等に関する詳細

検討を含む実施設計が必要となるが、当初計画から変更になっている項目を踏まえ、演奏

所 1カ所にスタジオを 2室、送信所を 2カ所設置した場合の第 1期工事の建設費用はおよ

そ 1億 5,000万円から 2億円となる。

また、不感地域への対応については、第 1期工事の実施設計を踏まえ、中継局の設置場

所および箇所数を決定することとなる。

表 26 建設費用

第 1期工事 (送信所・演奏所整備) (単位:千円)

内訳 数量 金額

スタジオ設備

番組送出設備

1式 51,000

~60,000

◎ スタジオ用事務所改築 (メインスタジオ・第 2 スタジオ)

◎ 自動番組送出装置

◎ 運営支援システム 可搬式サテライトシステム 放送機材

◎ 空調

◎ 什器

センター機器 ◎ 送信所設備

1式 91,000

~130,000 送信所引込 建柱・装柱

登録点検・ネットワーク

◎ 社内 LAN・電話

1式 8,000

~10,000

◎ ルーター

◎ セキュリティ

同期放送調整

登録点検・調査

合計 150,000

~200,000

第 2期工事 (中継局整備) (単位:千円)

内訳 数量 金額

センター機器 ◎ 中継局 未定 1局あたり

10,000 ~20,000

※ 第 1期・第 2期工事ともに実施設計費用、用地取得費用は別途。 ※ 中継局は第 1期工事の実施設計により、不感地域整備エリアと設置箇所数を決定。

◎ = 当初計画から変更になっている項目

参考: サテライトスタジオ (単位:千円)

内訳 数量 金額

演奏所外の遠隔スタジオ 改装・放送設備・什器 未定 5,000

~15,000

※ スタジオの面積・形状・既存資材により異なる。

64

また、コミュニティ FMの放送システム全般に関わる経費を三原市負担、社屋や放送免許

に関わる経費を運営会社の負担とした場合の設備維持費用は次に示すとおり。

三原市においてのコミュニティ FM整備が防災と密接な関係にあることから、送信所など

主要設備の維持管理費用については三原市が負担し、機器更新をおこなうことを前提とし、

オフィス機器の更新と無線免許に関わる検査費に関しては運営会社の負担とした場合の 10

年間の推移となる。

三原市負担については経年劣化を配慮した機器補修費が毎年かかるのに加え、サーバ等

機器の耐久年数である 7年目には、更改費用が必要となる。また、運営会社については、5

年に 1度の検査費の他、什器・備品の回収費用として年間一定額を積み立てていくことと

なる。

表 27 設備維持費用

(単位:千円)

1年目 2年目 3年目 4年目 5年目

平成 29 年 平成 30 年 平成 31 年 平成 32 年 平成 33 年

三原市

CFM設備

機器更新 200 200 400 800 1,600

合計 200 200 400 800 1,600

運営会社

社屋・免許

什器・備品更新 積立 0 500 500 500 500

支払 -100 -100 -100 -100

検査費 積立 200 200 200 200 200

支払 -1,000

合計 200

700

-100

700

-100

700

-100

700

-1,100

累計 200 800 1,400 2,000 1,600

備考 検査実施

6年目 7年目 8年目 9年目 10年目 合計

平成 34 年 平成 35 年 平成 36 年 平成 37 年 平成 38 年 平成 29-38 年

三原市

CFM設備

機器更新 3,200 20,000 1,600 3,200 6,400 37,600

合計 3,200 20,000 1,600 3,200 6,400 37,600

運営会社

社屋・免許

什器・備品更新 積立 500 500 500 500 500 4,500

支払 -100 -2,500 -100 -100 -100 -3,300

検査費 積立 200 200 200 200 200 2,000

支払 -1,000 -2,000

合計 700

-100

700

-2,500

700

-100

700

-100

700

-1,100

6,500

-5,300 累計 2,200 400 1,000 1,600 1,200 1,200

備考 機器更新

サーバ類

検査実施

65

第5章 開局申請手続き

66

5-1. 申請課題

近年の周波数割り当て制度の変更にともない、コミュニティ FM局向けに開放されている

周波数帯は 76~90MHz から 76~95MHz へと拡大された。受信機についても広範囲の周波数

を取得できるワイド FM受信機の製造が開始され、市販のラジオ端末でも視聴できる帯域が

広がっている。三原市が全戸配布予定の FM告知放送端末も同様で、高い周波数であっても

受信は可能な仕様となっている。

しかしながら、カーラジオや既存機器での受信を考えた場合、従来の FM帯域(76~90MHz)

での周波数確保が最も望ましく、リスナーの確保が容易でスポンサーにとっての広告効果

も高いといえる。

現在のところ、三原市内で利用できる空き周波数の存在は確認できているものの、従来

の FM帯域、新帯域合せてもごく限られており、周波数の確保は申請に際しての最大の課題

といえる。

また、99~108MHzについては、デジタルコミュニティ放送について今後の導入に向けた

技術基準その他の制度整備が進められており、将来的な映像や音声、Web情報を連携させた

配信等について動向が注目されている。

図 32 周波数

従来の FM 帯域

(76-90MHz)

V-LOW帯域

(90-108MHz)

70MHz 76MHz 85MHz 90MHz 95MHz 99MHz 108MHz

コミュニティ放送

(76-95MHz)

FM放送

AM放送の FM補完局

※難視聴対策

アナログテレビ

用ガードバンド

の廃止

ガードバンド

地方ブロック向け

マルチメディア放送

(中四国地域)

※デジタルコミュニティ放送:

今後の導入に向けて技術基準そ

の他の制度整備を進める。

三原市に設置の FM告知放送端末(70-108MHz)

告知放送(70-108MHz/制御 1ch、音声 4ch)

ワイド FM受信機(76-108MHz)

従 来 の FM 受 信 機(76-90MHz)

67

5-2. 開局までの工程表

平成 28年度は、準備年として株主募集および実施設計をおこない、年度内の放送予備免

許交付が目標となる。免許申請には、運営会社の登記完了は必須でないものの、運営会社

もしくは設立予定の運営会社の組織形態に関する詳細資料の提出が義務付けられており、

主たる出資者などの株式状況、組合契約書や事業計画、放送計画、運営に関する契約書、

定款などの提出が求められる。

平成 29年度は開局に向けた工事着手と本格的な事前営業活動の開始、パーソナリティの

一般公募などを経て、竣工および開局を向かえる。開局にあたっては、PR イベントを実施

するなど、認知度向上と定着を図る事が望ましく、平成 29年度であれば、築城 450周年の

最終イベントである浮城まつり等との連携でゲスト等を招いた記念ラジオ放送をおこなう

ことが考えられる。

また、全戸への告知放送端末配布による災害時一斉情報伝達手段の整備完了を目標とし

た場合には、平成 30年度には不感地域解消のための中継局整備が必要となる。

表 28 工程表

度 月

三原市 準備委員会

運営会社 総務省申請

整備 手続き・協力

28 4

設立準備委員会発足

5

6

6月補正予算計上

補助金交付要領(案)

提示

発起人引受承諾書

7 第 1期工事実施設計

入札

主たる出資者

株式引受承諾書

8 第 1期工事実施設計

着手

発起人総会開催 組合契約書・定款

9

補助金申請

10 補助金交付 役員/番組審議委員の決

11 第 1期工事実施設計

完了

設備・運営契約書

(案)作成

社員募集開始

CFM局現地研修

事業計画・放送計画

契約書(案)

12

出稿形態検討 放送・営業プラン作成 放送免許申請

1

2

設立準備委員会解散

(新会社へ引き継ぎ)

予備免許交付

3 広報でのステーショ

ン名募集協力

法人設立

ステーション名募集

コーポレートデザイン

HP作成

無線従事者選任届

(法人)確認申請書

68

度 月

三原市 準備委員会

運営会社 総務省申請

整備 手続き・協力

29 4 第 1期工事入札・

着手

広報での三原市民へ

の開局 PR開始

営業活動開始 工事着手

5

パーソナリティ一般公募

6

7

パーソナリティ研修

8 演奏設備設置工事

完了

CM・番組収録開始

(デモ録音・データ蓄積)

9 送信所設備設置工事

完了

10 第 1期工事竣工 設備・運営契約締結 試験放送開始

試験電波発射届

工事落成届

完成検査受験

免許状交付

11 第 1期旧三原工区告

知端末配布

災害協定締結

告知端末説明会

第 1決算期開始

開局イベント

(築城 450周年浮城まつり)

12

1

2

3

30 4 第 2期工事実施設計

入札

5 第 2期工事実施設計

着手

6

7 第 2期工事実施設計

完了

中継局申請

8

9

許可

10 第 2期工事入札・

着手

工事着手

11

第 2決算期開始

12

1

2 第 2期工事竣工

3 第 2期旧三原工区告

知端末配布

告知端末説明会

69

第6章 コミュニティ FMと情報発信の多角化

70

6-1. ICT技術の利活用

コミュニティ FMの放送方法としては、FM波による無線放送の他、ケーブルテレビ網を経

由したラジオ再送信、ケーブルテレビのテレビ放送チャンネルを利用した音声送信、イン

ターネット回線を利用したサイマル放送などがある。

三原市における視聴では、通常のラジオ受信に使用されるカーラジオやラジオ(CD・ラ

ジカセ)・オーディオが主な受信端末であるが、放送配信のバリエーションが豊かになるこ

とで、不感地域でのラジオ放送の受信環境整備や、ラジオ離れの懸念される若い世代をリ

スナーとして確保するのに有益であるといえる。

インターネット経由のサイマル放送には、通常放送の制作費用の他、オンライン配信用

の著作権料等が必要となるが、電波エリア内外からのアクセスが可能なため、広域連携や

既存のオンライン型防災情報配信システムと連携させたアプリケーション開発などの点で

メリットが高い。

無線 有線 インターネット (ケーブルテレビ) (サイマル放送)

図 33 ICT利活用によるラジオ放送の受信

PC・タブレット

スマートフォン

ラジオ端末

テレビ (ケーブルテレビ・音声)

告知放送端末

ラジオ端末

カーラジオ

告知放送端末

71

6-2. 放送外業務の実施検討

開局後数年経過し、通常の放送業務が一定の成果を上げられるようになった段階では、

事業内容の充実と収益の増加のため、新規事業に着手する必要がある。

主な事業候補としては、アンケート調査を通じ、放送以外の業務としてラジオ局と提携

したら良いと市民や事業者が感じたイベント企画(市民 53%、事業者 51%)や大型スーパ

ー・量販店(市民 27%、事業者 20%)、コンサート・チケット販売(市民 24%、事業者 26%)

が考えられる。

特に、イベント企画に関しては、パーソナリティによる司会やスポンサー企業とのコラ

ボレーションや、番組制作の応用での豊かな企画力を生かせる可能性も高く、地域振興の

一環として三原市が委託する自治体主催のイベントややっさ祭りなど地域の四季の行事を

通した受注が期待される。

また、これら以外にも、局の HP上でのバナー広告や有料型イベント後援など、通常の放

送業務の運営上でできる売上向上策もあり、経費削減と細かな経営努力をおこなうことで

早期の経営安定につなげることが必要となる。

図 34 提携したら良いと思う事業(市民・事業者アンケート)

53

27

24

24

14

13

7

5

3

23

51

20

26

16

21

12

8

8

2

18

0 20 40 60 80 100

イベント企画

大型スーパー・量販店

コンサート・チケット販売

道の駅

広告代理業・出版

飲食店

オンラインショップ

冠婚葬祭(司会)

その他

特になし

市民(N=539)

事業者(N=330)

(%)

72

第7章 結論

73

7-1. 三原市におけるコミュニティ FM事業可能性

三原市に新たなメディアとしてコミュニティ FMが開局することに関しては、市民・教育

機関・事業者ともに興味と期待を持っており、市民交流や地域活性化の観点から考えても、

有益であると言える。

しかしながら、現段階では、コミュニティ FM局を設立するための経営環境は厳しく、継

続的で安定した運営をおこなうには、下記に示す諸条件が付される。それらは、三原市に

よる行政支援のもと、当商工会議所がコミュニティ FM研究会を前身とする設立準備委員会

を設置し、コミュニティ FM局が開局・運営していく中で解決可能なものであり、商工業振

興と行政目的である三原市の災害時一斉情報伝達手段整備を達成する上でも、事業の実現

可能性を示す指標であるといえる。

≪ 概念 ≫

コミュニティ FMが行政上の防災の観点から必要不可欠であるということ。

不感地帯への対応も含め市全域で有線もしくは無線でラジオが受信できる環境を継続

的に維持すること。

三原のコミュニティメディアである CATV局との友好的な協力体制が築けること。

≪ 会社組織 ≫

1株主当たりの出資比率 20%未満で公設民営(第 3セクター)であること。

資金繰りが困窮しない様、開局準備期間の補助および開局後 3~5年間程度の赤字補て

ん型補助等の優遇措置があること。

≪ 運営 ≫

三原市からの安定的な出稿料・防災関連契約料があること。

スポンサー募集、番組制作等に対して三原市の人的協力が得られること。

多数のゲスト参加や人が集う場所での収録、サテライトスタジオの設置など、身近な

「三原のみんなのラジオ局」としての放送が提供できること。

放送業務の運営が安定した後、早い段階で行政と民間の連携による経営リソースの発

掘など収益性の高い放送外業務にも着手し、広告やスポンサー料以外の収入源を確保

すること。

74

資料編

76

三原市 担当課 目的

地域調整課 地域連携

教育委員会 学校教育課 教育

総務広報課、本郷・久井・大和支所 広報

危機管理課、消防総務課 防災・防犯

三原市が考えるコミュニティ FMの有り方

1. 行政と地域メディア

〔 新たな地域メディア活用の意義 〕

行政情報の発信媒体が増えることで、広報の拡充につながる。

地域に限定された詳細情報を伝達できるということは、行政にとって意義がある。

市がメディアに情報提供をしてメディアが取り上げるのを待つという「受動的な体制」を取る

のとは違い、市が地域に情報発信のチャンネルを持つことで確実に情報発信できることは大き

な強みといえる。

〔 取り組み方 〕

市のビジョンに基づいた目的と戦略を構築する必要がある。

特に、既存の地域メディアである CATVや緊急情報発信の告知放送システムとの違いや役割定義

の明確化が重要となる。

地域連携

広報

防災 教育

75

行政ヒアリング

77

2. コミュニティ FMの可能性

〔 ラジオの特長 〕

ラジオは速報性があるメディアのひとつであるため、リアルタイムでの情報の伝達がしやすい。

放送に対する自由度が高い。(対応の自由度が高い)

市の行政情報、イベント情報、災害情報、防災・防犯情報、生活支援情報などをタイムリーに

放送できる。

地域内の情報を共有し、色々な情報を発信することができる。

幅広い年齢層に受け入れられる情報を多く配信することで、まちづくりに大きく寄与する。

人や地域のつながりを生み、にぎわいづくりなど地域の活性化につながる。

ケーブルテレビに加入していなくても、FMの周波数に合わせれば、誰でも聞くことができる。

テレビやインターネットと比較しても可搬性が高く、便利である。

「ながら聴き」や自動車の運転中に聴くことができる。

〔 災害について 〕

コミュニティ FMの導入は、災害時の情報伝達手段の確保が目的にある。

災害時の緊急情報の伝達手段としての利便性が高い。

災害発生時の光ケーブル等有線設備の損傷は、狭い範囲で発生するのではなく、通常はかなり

広い範囲で発生することが予想されるため、災害時の伝達手段として有効だと思われる。

〔 課題 〕

既存の情報伝達手段との差別化。

- 携帯電話のメール機能

- ラジオ放送(NHK、民放の AM/FM放送)

- 三原テレビ放送によるケーブルテレビ放送

固定リスナーを得るためいかに魅力的な番組をつくるか。

(家での視聴習慣の向上やラジオのリスナー人口の増加などラジオ自体の定着も必要。)

防災拠点としてどこまでの情報発信をするかなど、コミュニティ FMの位置づけの明確化。

運営主体となる機関・企業の位置づけ。

78

3. 取り組んでみたいと思う番組企画

〔 広報 〕

通常の市政情報

各担当課からの情報を集めた市政情報(明日行なわれる行事のお知らせ)

各課の紹介

広報を読む(朗読ボランティアの録音放送)

施政方針、市の行なう事業説明、意見募集

議会、委員会の中継(議会報告)

〔 教育 〕

学校(保育所・幼稚園・こども園・小学校・中学校)からの一般情報

各学校の校歌の紹介(児童生徒が歌ったものを録音し、定期的に流す)

行事等の紹介、合唱や発表、音楽会、作文発表会、意見発表

〔 防災・防犯 〕

緊急・災害情報

防災、防犯の内容の番組(火災予防啓発、消費相談や注意喚起)

救急車適正利用の広報

〔 地域連携 〕

市民の声 Q&A(市民からの質問に市が答える)

町内会主催のイベント情報の発信(イベントの中継)

まちづくり活動団体の PR、メンバー募集など

商工業者紹介(商工振興との連携)

〔 その他 〕

三原市の健康(健康情報等を市の保健師や看護師が語る)

観光情報などの番組

79

4. 放送方法

〔 番組枠 〕

情報発信番組内での発信。

- 放送原稿を送り、パーソナリティが紹介

- 行政職員担当者へのインタビュー

- 番組内での電話出演

定時に 10分程度のお知らせ

CM形式の紹介・告知

〔 緊急放送 〕

緊急割込み装置の使用

災害や防災防犯などの即応性が求められるものについては随時放送

(アナウンサーによる番組途中での読み上げ)

〔 インターネット配信 〕

PC版・スマホ版などインターネットでの発信(インターネットの利用が多い若者世代向け)

5. CFMの開局運営に関して

〔 採算性確保と支援 〕

コミュニティ FMと市との関係を明確化した上で、コミュニティ FMの運営会社が自律・独立性

を確保しながら利益が確保できるシステムを構築する。

放送エリアが限定されているため、大手スポンサーの獲得難が予想される。経営安定のために、

開局時の出資金と開局後 3~5年間の補助金の支出の必要について検討する余地がある。

経営が軌道に乗った段階では、市の出稿料や防災契約料のみの支出とする。

〔 制作と運営負担軽減 〕

放送ボランティアや市民との協働により、地域に根ざした細やかな情報を発信・提供が大切。

他のコミュニティ FMとの連携、番組制作での協力などによる制作負担軽減が必要。

80

6. 市民への期待

〔 市民レポーター 〕

小さい行事や取り組みでも情報提供してもらうことで、地元の FMとして親近感のあるものにで

きる。

市民が主体となる市民参加型の情報発信をおこなえる体制づくりが必要。

- 特派員登録(特に若い起業家や学生)

- フリーダイヤル 24時間録音可能

- ツイッター

- 専用アプリ作成

〔 情報発信・意見交流 〕

行政、市民、事業者が共用できる情報発信ツールとして、コミュニティ FMを通してまちづくり

参加できる。

幅広く様々な人が番組参加し、意見交換することで、あらゆる情報(店舗情報等の街角情報や

流行・話題など)の場として利用が促進される。

市民の自主企画番組やパーソナリティやゲスト参加を通した放送参加や情報発信があると良

い。

コミュニティ FM局の運営自体についても、意見交換の場を設定すると良い。

〔 その他 〕

一口株主や賛助会員としてのコミュニティ FM局への出資・投資

音楽関係等のグループ発表、個人発表(映画紹介・趣味紹介)

7. 事業者への期待

〔 経営・営業 〕

多くの企業によるスポンサー参加が望ましい。

番組スポンサー、CMや協賛等を増やしていく働きかけが必要。

宣伝効果が見えるような仕掛けづくりも必要。(お店で○○番組を聞いたと言えば割引など)

小売り店舗内や会社の休憩時間等に放送を流し、コミュニティ FM の存在を PRするなど、コミ

ュニティ FMでの宣伝が効果的という印象を持ってもらう工夫があると良い。

〔 企業紹介 〕

地元の企業の紹介する番組で自社の PRをおこなうなど、地場産業や小規模店の活性化につなげ

る。

81

地域連携

担当課 地域調整課

運営会社との関わり方 コミュニティ FMの開局に関する代表窓口。運営方針取りまとめ。

ラジオへの期待 人や地域のつながりを生む独自性を持ったメディアとして、にぎわいづく

りなど地域の活性化の原動力になる。

今後の取組 コミュニティ FM開局準備と運営サポート。

平成 29年の 2月から 10月に実施される築城 450周年事業と連携した PR。

今後の課題

開局および運営に対しての支援方針。(規模・形態・費用)

公共施設の提供方針。

コミュニティ FMと地域連携についての検討。

広域行政情報の伝達についての検討。

教育

担当課 教育委員会 学校教育課

運営会社との関わり方 市政情報としての教育番組制作を通した監修。

ラジオへの期待 多言語配信や異文化交流など、生涯学習につながる情報配信がおこなえ

る。

今後の取組 他地域での教育参加などのノウハウに基づいた円滑な運営方法の検討。

今後の課題

三原市内の学校連携の取り組み方法を考慮した上での、コミュニティ FM

の番組制作。

- 個人名などの特定情報の取り扱い

個人名や所属の公表や、児童・生徒の写真の掲載等については、用途毎に

各学校に確認をし、必要に応じて学校から保護者に同意書を取っている。

- 学校からの放送参加方法

教員による送迎は許可されていないため、市の生徒会連合会などで遠方か

ら行事参加が必要な場合には、タクシーなどを利用している。

学校の施設内での地域メディアの取材は大きな問題なくおこなわれてい

るが、学校の通常運営に支障の無い範囲内で参加依頼する必要がある。

82

広報(本所)

担当課 総務広報課

運営会社との関わり方 コミュニティ FMへの出稿に関する代表窓口。広報情報の受け渡し。

ラジオへの期待

制作にかかる時間的な制約が少なく、原稿が整えばすぐに情報発信でき

る。

放送に柔軟性があるため、即応性が必要な情報は番組の途中に挟むことが

できる。

今後の取組 広報みはら、三原市チャンネルを通した運営会社のネーミングの公募記事

掲載や開局の告知。

今後の課題

緊急度に応じた情報ルートの整備。

市や市長からの情報発信の頻度や時間の設定、企画についての検討。

新庁舎内へのサブスタジオ設置是非の検討。

広報(支所)

担当課 本郷・久井・大和支所

運営会社との関わり方 総務広報課を経由したコミュニティ FM局への情報提供。

ラジオへの期待 各戸配布している回覧物の軽減や、地域のイベント情報配信につながる。

今後の取組 FM告知放送システムを活用した日々の告知。

コミュニティ FMを通じて配信したい情報の配信。

今後の課題

現行の告知放送での取り組みを考慮した上でのコミュニティ FM 局の運営

の検討。

- お悔み放送

死亡届を提出に来た方に対しての無料サービスとして告知放送でのお悔

み放送をおこなっている。久井・大和では利用率や視聴率も高いため、お

悔み放送の中止や有料化は検討しづらい。また、居住地域外への放送依頼

は高くないのではないかと予想される。

- JAとの連携方法

大和および久井では告知放送を使用して JA からのお知らせも放送してい

る。大和は JA広島中央、その他地域は JA三原の管轄区域となっている。

- 回覧情報

地域限定のお知らせを支所から回覧している。

83

防災

担当課 危機管理課

運営会社との関わり方 緊急時の防災情報伝達(強制割込み)。

ラジオへの期待

コミュニティ FM が平常時にも行政・地域情報を放送することで、災害時

の情報伝達手段としての利用が高まる。

FM告知端末が配備された世帯への確実な情報伝達が可能となるため、緊急

割込み放送による災害発生時の初動対策と、災害発生後のきめ細やかな生

活支援情報(食料・物資の配給、各種手続きの開始案内等)の伝達が可能

になる。

今後の取組 告知放送システムとコミュニティ FMを活用した緊急情報の配信。

今後の課題

強制割込みを含む、緊急情報配信や防災放送の取決め。

(メール配信など情報受け渡し放送など。)

防災協定や防災放送契約の有り方についての検討。

防災

担当課 消防総務課

運営会社との関わり方 火災情報の伝達。緊急時の防災情報伝達(強制割込み)。

ラジオへの期待 地域や関連機関への取材に基づいた、コミュニティメディアとしての防災

情報や災害情報の配信がおこなえる。

今後の取組 告知放送システムとコミュニティ FM を活用した緊急情報・火災情報の配

信。

今後の課題

強制割込みを含む、緊急情報配信の取決め。(メール配信)

消防無線局の共用にともなう運用・保守規定の策定。

火災情報などプライバシー関連の取扱方針の決定。

コミュニティ FMの電波による消防無線への影響確認。

消防の合併等の体制変更が生じた場合の対応。

コミュニティ FM局調査(P84~P120)は HP掲載省略

121

アンケート調査結果