シンポジウム「感染症対策の未来」 配布資料 · 2016年10月10日...

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シンポジウム「感染症対策の未来」 配布資料

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Page 1: シンポジウム「感染症対策の未来」 配布資料 · 2016年10月10日 「感染症対策の未来」 長崎大学医学部記念講堂 共 催:長崎大学、文部科学省

シンポジウム「感染症対策の未来」 配布資料

Page 2: シンポジウム「感染症対策の未来」 配布資料 · 2016年10月10日 「感染症対策の未来」 長崎大学医学部記念講堂 共 催:長崎大学、文部科学省

2016年10月10日 「感染症対策の未来」 長崎大学医学部記念講堂 共 催:長崎大学、文部科学省

感染症教育研究拠点で私たちが目指すもの

長崎大学 熱帯医学研究所 安田 二朗

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H1N1 SFTS

MERS

クリストスポリジウム症 薬剤耐性結核

薬剤耐性マラリア

重症急性呼吸器症候群(SARS)

大腸菌-O157 (H7)

インフルエンザ(H5N1)

バンコマイシン耐性 黄色ブドウ球菌

重症熱性血小板減少症候群

ニパウイルス感染症

ヘンドラウイルス感染症

手足口病

中東呼吸 器症候群 (MERS)

サル痘

ペスト

リフトバレー熱

エイズ

ジフテリア

ラッサ熱

ウエスト ナイル熱

C型肝炎

ライム病

変異型クロイツフェルト・ヤコブ病

クリプトスポリジウム症

バンコマイシン耐性 黄色ブドウ球菌

大腸菌-O157 (H7)

サル痘

インフルエンザ(H1N1)

炭疽菌 (テロ活動)

ホワイトウォターアロヨウイルス出血熱

ハンタウイルス 肺炎症候群

デング熱 黄熱病

コレラ マールブルグ病 エボラ 出血熱

デング熱

出展: Nature, 2004, 430, 242-249に長崎大学が加筆

世界の新興・再興感染症の現状

名前を四角囲いしているのは、 BSL-4病原体による感染症

ジカ熱

南米出血熱

クリミア・コンゴ出血熱

腸チフス

*赤字:新興感染症(1970年以降に発生した感染症)

青字:再興感染症(1970年以前に知られていた感染症で最近再び公衆衛生上の問題となっている感染症)

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感染症を克服するためには

病原体の特性を知る

ワクチンや治療薬の開発 診断法の開発 感染状況の調査

病原体の感染や発症のメカニズム解明

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・病原体を安全に取り扱うことができる研究・検査施設が必要 ・人材育成も必要 ・行政レベルでの感染症対策の策定 ・国際的な情報共有

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BSLは、Biosafety Level(生物学的安全性レベル)の頭文字を集めたもの

Pは、Physical containment (物理的封じ込め)の頭文字のP

食中毒細菌、インフルエンザウイルス、 はしかウイルス等

エボラウイルス、天然痘ウイルス、

ラッサウイルス等

BSL-4

SFTSウイルス、結核菌、狂犬病ウイルス、高病原性鳥インフルエンザウイルス、HIV等

BSL-3

ワクチン等のヒトに無害な病原体

BSL-1

BSL-2

病原体のリスクレベル 検査室の安全管理レベル

P4

P3

P2

P1

WHOが制定した実験室生物安全指針に基づき、各国で病原体の危険度に応じて4段階のリスクグループが定められている。

病原体を安全に扱う基準

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レベル4(BSL-4)

重い病気を起こし、尚且つ予防・治療法がないような病原体を扱う。

レベル3の要件に加えて、

・実験室を密閉構造にする。 ・入室管理などがより厳しくなる。

・排気のヘパフィルターを2重にする。 ・陽圧防護服を着用する。

ウイルス:エボラ、クリミア・コンゴ出血熱、ラッサウイルス など

ヘパフィルター

オートクレーブ 安全キャビネット

実験室 更衣室、 シャワー室 スーツ室 薬液シャワー室

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緩衝ゾーン

実験室 廊下

(緩衝ゾーン)

BSL-4施設の主な安全対策

緩衝ゾーン

廊下 (緩衝ゾー

ン)

Box in box(箱の中の箱)構造

タンクに貯めて、消毒薬、高温処理により滅菌

排水

実験で使ったもの(動物死体含む)の滅菌処理

両扉のオートクレーブで滅菌して、実験室の外に出す

完全に滅菌されたことを確認してから捨てる

排気は2重以上のへパフィルターを通す (安全キャビネットにもへパフィルターはある)

粒子を補足する原理 ① さえぎり ② 慣性 ③ 重力 ④ 粒子のブラウン運動 ⑤ 静電気力

大きい粒子 に効果的

小さい粒子 に効果的

微粒子を99.97%以上捕捉する性能を持つ

ヘパフィルター

(給気もへパフィルターを通す)

実験室から出る空気の対策

①:ドライエリア擁壁 フェンス、鋼製スライドゲート等

③:管理区域 入退室管理システム(扉)

②:建物外壁 コンクリート壁、入退室管理システム(扉)、手荷物検査システム等

④:BSL-4実験室 入退室管理システム(扉)

① ② ③ ④

安全区画の設定

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病原体の運搬時の対策

作業する人の管理を徹底

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病原体の保管管理の徹底

・保管庫は複数の鍵で施錠 ・病原体にアクセスできる人を制限 ・使った数、廃棄した数をデータベースで管理 ・在庫管理を徹底(定期的なチェック)

病原体が漏れない容器にいれ、積載車両および伴走車両により車列を組み、複数人で運搬(公安委員会からの許可)。

保管庫

BSL-4施設の安全対策

作業者の人物審査とトレーニング

厳しい入室管理 複数人での作業

廊下

前室

更衣室 シャワー室 スーツ室

薬液シャワー室

免震層

実験室

耐火構造 予備電源の設置

監視

地震、火災、盗難などへの対策

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事故を起こした作業者はすぐに隔離します。

データベースを用いて複数人で管理します。

日常、定期点検を徹底します。

実験室、飼育箱に逃亡防止措置をとります。

実験室は虫が入り込む隙間はありません。

作業者の審査、警備・監視を厳重にします。

自治体や国の関係機関との連携を図ります。

震度7を想定した免震構造をとります。

規定に基づいた耐火構造をとります。

実験室は建物の中心部に配置します。

予備電源を設置します。

① 針刺し事故

② 病原体の不適切な在庫管理

③ 空調設備の整備不良

④ 実験動物の逃亡

⑤ 害虫の侵入

⑥ 病原体の盗難

⑦ 施設へのテロリストなどの侵入

⑧ 地震

⑨ 施設の火災発生

⑩ 施設の大規模な損傷(自然災害等)

⑪ 施設の総電源喪失

考えられるリスク 主な対策

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BSL-4施設の安全対策

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日本ではBSL-4施設でのBSL-4研究が行われていない。

世界で稼働中及び稼動予定のBSL-4施設 (既に23か国・地域52か所以上が稼働中)

●:稼働中 ○:稼働予定 ▲:日本(国立感染症研究所)のBSL-4施設は、BSL-4病原体を扱っていない。

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スウェーデン(ストックホルム市内)

カロリンスカ大学構内(感染症対策研究所) ドイツ(ハンブルグ市内)

ベルンハルト・ノホト熱帯医学研究所

フランス(リヨン市内) 国立健康医学研究所 アメリカ (ガルベストン) テキサス大学医学部構内

研究・診断目的のBSL-4施設は市街地に作られているものが多い

多くは病院と隣接しています。 BSL-4施設から近隣地域への漏出事故等は1例もありません。

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長崎大学は世界の感染症制圧のための研究に力を尽くしてきた、わが国で最も歴史や実績のある大学です

ケニアにおける住血吸虫症の研究(昭和50年)

後部が検査室になっている車両でのエボラの野外診断検査(平成27

年ギニア共和国)

長崎大学が、BSL-4施設を設置して研究できる環境が最も整っています

・ 世界に貢献する感染症の研究

・ 診断・予防対策の研究開発

・ 人材の育成

・ 大学の医学水準向上

・ 国内での感染症発生事態への対応

地域・国・世界の安心・安全への貢献

BSL-4施設

東北大学 長崎大学 北海道大学

九州 大学

東京 大学

大阪 大学

東京医科歯科大学

神戸 大学

慶應義塾 大学

BSL-4施設を中核とした感染症研究拠点の形成

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医学部 大学病院 動物実験施設

熱帯医学研究所

① BSL-4施設が機能を発揮できる立地であること

-上下水道、電気、ガスなどの供給、研究用資材の入手など

③ 医学部、熱帯医学研究所、大学病院があること。

-感染症の研究者、医療従事者が集積、共同実験施設・設備(大型解析装置の使用や動物の繁殖など)の活用など

④ 大学病院に「一類感染症病床」があること

-患者発生の緊急時対応、患者の迅速な診断と治療など

② 施設の安全な運営にとって最も適切な地であること

-地形、天候、警察署・消防署等、安全な運営に必須のインフラ、機器のメンテナンス・修理が容易など

長崎大学では坂本キャンパスを候補地としています

BSL-4施設

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・今すべきことをする。 ・子や孫の代に問題解決を先送りしない。 ・感染症はワクチンや治療法が見つかれば脅威ではなくなる。

感染症研究の世界的な拠点

優秀な人材が長崎に集結

長崎から国内外に人材を輩出

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国際的な感染症関連学会や国際会議の誘致・新たな産業の発展

新たな治療薬 ワクチンや 治療法の開発 を通じた 国際貢献

若年人口の吸引・定着や各界への人材供給への長崎大学の貢献

長崎大学病院 とともに、 長崎への 感染症侵入に 対する備え

BSL-4施設

坂本キャンパス設置による研究・人材育成効果

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ご清聴ありがとうございました。

ギニア共和国コヤ市で開催されたエボラ撲滅キャンペーンにて

• 海外で発生している感染症がいつ日本に入ってくるかわかりません。

• 私たちは、感染症の克服に向かって、世界に貢献する研究を行います。

• BSL-4施設は、安全対策を万全にした研究施設です。安全な管理運営に関して皆さまに信頼していただけるように努めてまいります。

• 長崎大学の取り組みについて、ご理解いただけたら幸いです。

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長崎大学の感染症教育研究拠点 設置に向けたこれまでの取組み

平成28年10月10日

長崎大学 副学長・学長特別補佐

調 漸

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シンポジウム

「感染症対策の未来」

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BSL-4施設設置に向けた長崎大学の取組み

2006~ 2008年度

国立感染症研究所、北海道大学、東京大学等とともに、内閣府のBSL-4施設を必要とする進行感染症対策に関する調査研究に参画。

2010年5月 BSL-4施設設置の検討を開始することを学長メッセージとして公表。

2012年7月 BSL-4施設の坂本キャンパス設置計画に関する基本的考え方を学長メッセージとして公表。

2014年1月 北海道大学、東京大学など国内有数の感染症研究機関とで、感染症研究のコンソーシアムを結成し、長崎大学をBSL-4施設の設置候補とすることを決定。

2014年2月 「マスタープラン」決定(日本学術会議)

重点大型研究計画「高度安全実験(BSL-4)施設を中核とした感染症研究拠点の形成」

2014年8月 「ロードマップ」決定(文部科学省 科学技術・学術審議会) 「高度安全実験(BSL-4)施設を中核とした感染症研究拠点の形成」

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1.長崎市議会への請願

2014年12月 1日 長崎市議会議長へ「長崎大学における感染症研究拠点の早期整備 を求める請願書」を提出

2014年12月 5日 総務委員会で請願可決(参考人招致)

2014年12月12日 長崎市議会本会議で採決 賛成36、反対2、退席1 2.長崎県議会への要望(陳情)

2014年12月 1日 長崎県議会議長へ「長崎大学における感染症研究拠点の早期整備 を求める要望書」を提出

2014年12月10日 文教厚生委員会で要望書聴取(参考人招致)

2014年12月18日 長崎県議会本会議で議会から知事への意見書(動議)について採決 賛成41、反対1、退席1、欠席1

地元議会への請願・要望・地元自治体との基本協定

3.長崎県、長崎市との感染症研究拠点に関する基本協定締結 2015年 6月17日 3者が、協力して感染症対策を推進するとと

もに、住民理解に対する万全の対応を図りながら、長崎大学における世界に貢献できる感染症研究拠点の整備を推進することを目的に、基本協定を締結

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地域社会との共生に向けた取組み

2014 2015 2016

長崎県議会 長崎市議会

長崎県 長崎市

長崎大学に設置した 有識者会議

長崎県・長崎市・長崎大学の連絡協議会

住民参加の地域連絡協議会

12月

有識者からなる会議を設置し、客観的な立場から、長崎大学の取組みを検証。2015年7月に論点整理を発表し、施設設置にあたっての課題を提示。

2月 7月

2015年6月に、長崎県・長崎市・長崎大学により、感染症研究拠点整備に関する基本協定を締結。

6月

2015年8月から、基本協定に基づき、長

崎県・長崎市・長崎大学による連絡協議会を設置し、施設設置にあたっての課題解決に向けた協議を進めている。

8月

4月 地域住民の方や公募委員にも参画していただき、幅広くご意見をお聞きしつつ検討を行うための協議体として、本年4月に「地域連絡協議会」を設置。

・ 施設設置予定地となる長崎市において35回を超える感染症に係る公開講座のほか、住民説明会を70回開催するなど、地域住民に我々の取組みを知っていただくとともに、その声をお聞かせしていただきたく活動を続けている(平成28年9月5日現在)。

・ 長崎の議会、行政などとも協議を図っているところ。

予 定

予 定

長崎県及び長崎市の議会では、2014年12月に感染症研究拠点の早期整備を求める要望・請願を行い、大多数の賛成をもって採択された。

4月 2015年7月の論点整理における課題について、取組状況を確認。

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○有識者会議で残された課題

1 国の関与のあり方

2 施設の設置運営に伴い第三者に被害が発生した場合の補償対応

3 ヒューマンエラー対策やテロ対策を含む安全確保

4 地域との共生

長崎大学高度安全実験(BSL-4)施設に関する有識者会議

※ 長崎大学高度安全実験(BSL-4)施設に関する有識者会議 「これまでの議論を振り返って(論点整理)」(平成27年7月公表)より

加藤史子 じゃらんリサーチセンター 主席研究員

西條政幸 国立感染症研究所 ウイルス第一部長

滝 順一 日本経済新聞社 論説委員

寺島実郎 多摩大学学長

朝長万左男 日赤長崎原爆病院 名誉院長

濱田篤郎 東京医科大学病院渡航者医療センター教授

福﨑博孝 弁護士(議長)

蒔本 恭 長崎県医師会長

宮﨑辰弥 日本労働組合総連合会 長崎県連合会

事務局長

山下 肇 弁護士

吉田茂視 長崎商工会議所 副会頭

第1回: 平成27年2月

会議の概要について

第2回: 平成27年4月

BSL4施設の必要性・安全性について

第3回: 平成27年5月

BSL4施設の設置場所、情報開示・運営体制

第4回: 平成27年6月

地域と共生するBSL-4施設の設置運営

第5回: 平成27年7月

論点整理、その説明のあり方等

・長崎大学が進めてきたBSL4施設の設置計画について、客観的な立場から、長崎大学の基本的考え方など を検証し、その計画の具体化に当たっての課題を議論。

※ 第6回(平成28年4月)では、上記の課題における大学の取組み状況を確認した。

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長崎県・長崎市・長崎大学の3者による連絡協議会

① 設置の趣旨 昨年6月17日に締結した基本協定に基づき、課題の明確化とその対応等について協議するため、感染症研究拠点整備に関する連絡協議会を設置。

② 連絡協議会の構成員

(1) 長崎県福祉保健部長 (2) 長崎市企画財政部長 (3) 長崎市市民健康部長 (4) 長崎大学長が指名する学長特別補佐 (5) 長崎大学熱帯医学研究所長

③ 協議事項

(1) 安全・安心の確保及び住民理解の促進に関すること (2) 施設の設置場所に関すること (3) 国の関与のあり方に関すること (4) その他施設設置及び管理運営に関し必要と認める事項

④ 開催実績 8月26日 第1回 施設の設置場所について① 10月21日 第2回 施設の設置場所について② 11月20日 第3回 施設における安全確保の方策① 12月21日 第4回 施設における安全確保の方策② 2月18日 第5回 国の基本計画の説明/安全確保の方策③/国の関与/地域住民参加の協議会① 3月22日 第6回 地域住民参加の協議会② 4月26日 第7回 地域住民参加の協議会③

・ 昨年6月に締結した基本協定に基づいて、長崎県、長崎市、長崎大学の3者で、昨年8月26日に連絡協議会を設置。施設設置にあたっての課題の明確化等について協議。

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地域連絡協議会について

② 構成 ・ 近隣連合自治会長・自治会長(7名)、その他地域住民等(公募委員4名を含む6名)、学識経験者・専門家(7名)、長崎県・長崎市(3名)、長崎大学(3名)の合計26名。

・ 4月1日~14日の期間で委員の公募を行い、応募があった6名から、4名を公募委員として選考。

③ 開催実績

① 目的

長崎県、長崎市及び長崎大学の3者連絡協議会において、地域住民の方々も交えた地域連絡協議会を設置し、BSL-4施設の検討状況に関する情報を地域住民の皆様へ提供するとともに、地域住民の皆様の安全・安心の確保等について協議している。

開催日 主な議題

5月12日 第1回 BSL-4施設設置計画

6月 2日 第2回 ウイルスの特徴、立地の地価等

6月30日 第3回 施設の安全対策、施設のリスク対策等

7月13日 第4回 国の関与、立地の安全性等

7月24~29日 熱研BSL-3施設の見学

8月 3日 第5回 委員からの質問・意見①

8月31日 第6回 委員からの質問・意見②

9月 9日 国立感染症研究所の視察

9月27日 第7回 委員からの質問・意見③

坂本キャンパス周辺の連合自治会・自治会

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感染症研究体制推進プロジェクト

〇最新設備を備え、安全性の確保に最大限配慮したBSL4施設を中核とした感染症研究拠点の形成について、

長崎大学の検討・調整状況等も踏まえつつ必要な支援を行うなどにより、基礎研究能力の向上、危険性の高い病原体等の取扱いに精通した人材の育成・確保、医薬品創出のための研究開発の促進等を図る。

協議会の設置

内閣官房に関係省庁・自治体・大学等で構成される協議会を設置し、支援方策等を検討・推進

• BSL4施設の具体的な活用方策等(感染症に関する基礎研究・人材育成、医薬品創出のための研究開発等や、そのためのネットワークや連携・協力の在り方)

• BSL4施設の機能及び運営方法等の在り方

・一類感染症の病原体等に係る基礎研究の実施・推進

・治療薬・診断薬・ワクチンの開発

・危険性の高い病原体等の取扱いに精通した人材の 育成・確保

産学官が連携し、感染症に備える

・BSL4施設整備・運営支援

・研究、人材育成等の推進

高度安全実験(BSL4)施設

・医薬品創出のための研究開発

・感染症に関する研究・人材育成

関係省庁等 文部科学省、厚生労働省 等

・・・ ・試験検査、予防及び治療等に係る機能推進

・BSL4施設の運営管理等に必要な人材の育成

国立感染症研究所

大学・研究機関等

感染症研究機能強化に向けたネットワークの構築

平成28年2月に総理が主宰する関係閣僚会議において本プロジェクトを重点課題とすることを決定。

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住民の方々や団体への説明会について(最近の例)

自治会説明会 ・本尾町自治会 (7月9日) ・江平自治会 (9月28日) ・平和町自治会 (10月3日) ・家野町自治会 (予定) ・平野町山里自治会 (予定)

経済・観光業界向け説明会 ・長崎国際観光コンベンション協会 (7月9日) ・長崎経済4団体 (10月3日) (商工会議所・経済同友会・経営者協会・青年会議所)

子育て関係向け説明会 ・PTA連合会正副会長会議 (8月16日) ・熱帯医学ミュージアム見学会 (7月18日・25日、8月9日・26日)

医療関係向け説明会 ・長崎県看護協会 (8月6日) ・長崎県医師会 (9月8日) ・長崎市医師会 (9月8日) ・長崎県歯科医師会 (9月23日) ・長崎市薬剤師会 (9月26日) ・長崎県薬剤師会 (10月2日) ・長崎市歯科医師会 (10月4日)

31%

67%

1% 1%

①可能性が高い ②可能性がある ③入ってくると思わない ④未回答

医療関係者87人にお聞きした エボラウイルスが長崎に入る可能性

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長崎大学が取り組んでいる基本構想の作成

市民目線の安全対策の検討

主要設備に関わる 技術的見地からの検討

我が国有数の感染症研究機関 との検討

諸外国の BSL-4 施設の情報収集

BSL4施設

東北大学 長崎大学 北海道大学

九州

大学

東京 大学

大阪 大学

東京医科歯科大学

神戸 大学

慶應義塾 大学

BSL-4施設の基本的なコンセプト=基本構想の作成

将来的な予定

施設の設計・組織体制の整備

施設の建設・安全性の検証

研究内容を情報公開し、 地域に開かれた施設の運営

住民の声をお聞きし

ながら推進

監視カメラ インターロック制御された高気密扉

中央監視 高圧蒸気滅菌処理

設備

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国際観光都市を目指す長崎にとって、BSL-4施設は感染症克服への貢献を通じて長崎のプレゼンスを高める「矛」となり、また、感染症の脅威から長崎を守る「盾」となります。

長崎大学は、40年以上にわたり世界各地で安全に運営されてきた叡智を吸収しながらBSL-4施設を活用し、21世紀の長崎を支えていきたいと考えています。

21世紀における長崎のグローバル化を 支える感染症研究拠点を目指して

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国立感染症研究所における BSL-4施設稼働とバイオセーフティ・バ

イオセキュリティ

西條政幸

国立感染症研究所ウイルス第一部

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国立感染症研究所の概要

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国立感染症研究所 National Institute of Infectious Diseases

設立:

昭和22年

<業務内容> 「感染症のレファレンス」 「感染症のサーベイランス」 「生物製剤国家検定・検査」 「国際協力」 「人材育成」 「感染症に係る基礎・応用研究」

〔村山庁舎〕 設置:昭和36年 建物:武蔵村山市

〔ハンセン病研究センター〕 設置:平成9年 建物:東村山市

<役割>

『感染症に関する厚労省行政施策に関して 科学的根拠を提供する』

〔戸山庁舎〕 設置:平成4年

建物:新宿区戸山

職員数: 常勤職員 360人 非常勤職員 128人

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国立感染症研究所のミッション

国家検定・検査、 品質管理業務と研究

感染症の発症メカニズム、予防、診断、治療に関する研究

科学的研究能力、成果

厚生労働行政への科学的支援

感染症発生の 情報収集・解析、疫学調査、 病原体検査、サーベイランス (国際機関等との連携・協力)

感染症の制御: 国民の健康維持に向けて

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(Yahoo JAPANより)

国立感染症研究所 村山庁舎

9号棟

1号棟

6号棟

8号棟

2号棟

設備棟

管理棟

10号棟

7号棟

5号棟

3号棟

武蔵村山市学園4-7−1

8号棟

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実験室の封じ込めレベル

BSL4

BSL2

BSL3

BSL1

エボラ出血熱、ラッサ熱等のウイルス

MERS、SARS、H5N1等

食中毒菌、季節性インフルエンザ、はしか、水痘等

病原体のリスクの程度

病原体のバイオセーフティレベル

レベル4

レベル3

レベル1

レベル2

実験室の封じ込めの程度

最も封じ込めの厳しい実験室

封じ込めの厳しい実験室

一般的な実験室

ヒトに無害な病原体を扱う実験室

実験室のレベルと病原体のレベル分類

ヒトに無害な病原体 生ワクチン等

病原体は危険ではない!! (起こす病気が異なる,伝搬の仕方が異なる)

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病原体の安全な取扱いと管理

• バイオセーフティ

–研究者が病原体を安全に取り扱うことの管理

• バイオセキュリティー

–病原体を適切に管理するためのシステム

• デュアルユース

–科学の持つ二面性

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建物と設備機器

人員と組織

規則と基準

訓練と警備

地域との連携

災害・事故対応

BSL4施設における安全の確保

ハード面(施設や設備)とソフト面(運用)、

両方を組み合わせて安全を確保

ハード

ソフト

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感染研で実施されている バイオセーフティとバイオセキュリティ(1) • 規程

– 国立感染症研究所病原体等安全管理規程 – BSL-4 実験室安全操作指針 – 標準手順書

• 委員会 – バイオリスク管理委員会 – 高度封じ込め施設運営委員会(外部委員を含む) – 安全監視委員会(外部委員を含む) – DNA組換え実験委員会 – 動物実験委員会 – 国立感染症研究所村山庁舎施設連絡協議会

• 組織 – バイオセーフティ管理室 – 動物管理室 – 品質保証・管理室

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感染研で実施されている バイオセーフティとバイオセキュリティ(2) • ハード面でのセキュリティ強化

– BSL-4施設へのアクセス制限

– セキュリティの強化(警備員の配置,ゲートの設置,塀を高くする等の対策,他)

• ソフト面でのセキュリティ強化 – BSL-4施設にアクセスすべき職員等の質の確保

– 職員,スタッフへの教育とトレーニング

– 職員,スタッフの健康管理

– 職員,スタッフ間の協調性,情報共有の強化

– 地域の方々との密な交流

一言で言えば透明性

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BSL4施設における安全確保の方法 排気用高性能フィルター

(ヘパフィルター) クリーンな排気

クリーンな排水

室内は外部より空気の圧が低い

高圧蒸気滅菌器

薬液消毒槽

給気

排気

給気

施設外

室外

室内

排水

病原体を扱う箱

外壁 内

空気は室外から室内に一方通行

排気用のファン

安全キャビネット

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BSL4施設内部で使用している安全キャビネット

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まとめ

• 国立感染症研究所の概要の説明

• 国立感染症研究所での,BSL-4施設に関連するバ

イオセーフティ・バイオセキュリティについて説明した.

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参考資料

※シンポジウムにおいて、国の関与についても質問がございましたので、 7月13日開催の第4回地域連絡協議会において発表した

「BSL施設整備に係る大学の対応と国の関与に係る検討状況」を 参考資料として掲載いたしました。

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BSL4施設整備に係る大学の対応と国の関与に係る検討状況

平 成 2 8 年 7 月 1 3 日

内 閣 官 房 国 際 感 染 症 対 策 調 整 室

文部科学省研究振興局研究振興戦略官付

厚 生 労 働 省 健 康 局 結 核 感 染 症 課

本資料は、内閣官房国際感染症対策調整室、文部科学省研究振興局研究振興戦略官付

及び厚生労働省健康局結核感染症課が、「感染症研究拠点の形成に関する検討委員会」

を構成する他の内閣官房(健康・医療戦略室、副長官補(事態対処・危機管理担当)付)、

国立感染症研究所、並びに警察庁及び消防庁と調整の上、とりまとめたものである。

また、本資料は、「国際的に脅威となる感染症対策の強化に関する基本計画」(平成

28年2月9日国際的に脅威となる感染症対策関係閣僚会議決定)において「国内の大

学等の研究機関における感染症に係る基礎研究能力の向上及び危険性の高い病原体等の

取扱いに精通した人材の育成・確保等を図るため、病原体解析、動物実験、治療法・ワ

クチン開発等の研究開発が可能な最新の設備を備え、安全性の確保に最大限配慮した

BSL4施設を中核とした感染症研究拠点の形成について、長崎大学の検討・調整状況等も

踏まえつつ、必要な支援を行うなど、我が国における感染症研究機能の強化を図る。」

としたこと、及び、その後の長崎大学の検討・調整状況等を踏まえ、国の関与に係る検

討状況を示したものである。

BSL4施設を中核とした感染症研究拠点の形成については、国の責任を果たすことによ

り推進することとし、その際、特定第一種病原体等所持者としての義務が果たせるよう

感染症法に基づき適切に監督等を行うとともに、万が一事故・災害等が発生した場合に

は、事態収拾に向けて対応する。

1.総 論

【大学の対応】

長崎大学は、事業実施主体として責任を持って世界最高水準の安全性を備えた

BSL4施設の整備を推進するなかで、

・ 安全・安心を確保するため多様な専門家による検討体制の強化

・ 施設に関する詳細な設計や感染症発生予防規程、施設管理や研究に係る規程、

作業・実験マニュアル等の作成

・ 先進事例となる海外施設等への情報収集

等を通じて、病原体を用いた研究の安全管理が確保されるよう検討を進める。

その際、

・ 施設の稼動後も、国内外の先進的な事例を取り入れて、常に最新の情報に基づ

く安全対策の見直しを行う。

・ 感染症法の規定に基づいて、多重の安全対策を講じ、その上で更なる被害回避

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対策も講じる。

・ 事故・災害等に対してスムーズに対応するため、シミュレーションや訓練を重

ねる。

・ 事故・災害等が発生した場合には、関係自治体、関係省庁等と連携して事態収

拾を図る。

・ 地域との共生の観点から、自治体・住民への情報提供、協議を継続的に実施す

る。

【国の関与】

国は、長崎大学が設置計画を推進する BSL4施設において行う病原体を用いた研究

の安全性を確保できるよう、次の対応を講じるものとする。

① 感染症法等に基づく適切な監督・指導・助言等

・ 長崎大学が、施設に関する詳細な設計や、施設管理や研究に係る規程、作業・

実験マニュアル等を作成するに当たり、安全管理の観点から、厚生労働省及び

国立感染症研究所が WHO 指針や主要国の規則も参考にして、技術的な助言等を

実施する。

・ 現行感染症法施行令の規定では、長崎大学は第一種病原体等所持者の指定を

受けることができないことから、法人要件以外の基準を満たしていると認めら

れた時点で、政令改正を行う。

・ BSL4 施設の維持管理に当たり、厚生労働省は特定第一種病原体等所持者への

定期的な立入検査の実施など感染症法に基づく監督・指導を適切に行うととも

に、国立感染症研究所において、必要に応じ、技術的な助言等を実施する。

・ 文部科学省においては、厚生労働省と連携し、長崎大学に対して監督・指導・

助言等を行う。

② 施設の安全性確保

・ 文部科学省において、長崎大学が整備する BSL4施設の安全性確保に対する指

導・助言など必要な支援を行う。

③ 関係省庁等による会議の開催

・ 施設の設計・建設段階においては、「感染症研究拠点の形成に関する検討委員

会」を継続的に開催し、計画の進捗状況を定期的に把握して、関係省庁間で必

要な調整等を行い、長崎大学を指導・助言する。

・ 施設の整備後の管理運営に当たり、BSL4 施設に関わる関係省庁による会議を

通じて、内閣官房国際感染症対策調整室が中心となって関係省庁間で必要な調

整等を行い、政府一体となって対応する。

④ 事故・災害等への対応

・ 事故・災害等に備え長崎大学で実施されるシミュレーションや訓練に、関係

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省庁も参加するなど国として支援する。

・ 万一事故・災害等が発生した場合の対応は、「特定病原体等に係る事故・災害

時対応指針」(平成19年10月厚生労働省健康局結核感染症課)に従って直ち

に厚生労働省が関係省庁等を招集して必要な措置を講じる。

・ 重大な被害のおそれがある緊急事態が発生した場合には、「緊急事態に対する

政府の初動対処体制について」(平成15年11月21日閣議決定)に基づき、

政府一体となった初動対処体制を採る等必要な措置を講じる。

・ 事故・災害等が発生した場合には、厚生労働省及び文部科学省等は、直ちに

職員及び専門家を現地に派遣して長崎大学に対する技術支援や指示を行うなど、

関係自治体及び長崎大学と連携して事態収拾に向けて対応する。

2.管理運営体制の整備

【大学の対応】

・ 施設内の組織として、施設長、研究部門等とともに、病原体等の保管・輸送・

廃棄、実験動物の適正管理、情報管理等の施設の安全管理に関する業務を専門に

行う部門(施設管理部門)を置く。システム構築や機器の維持管理を行うシステ

ムエンジニア等も常勤・専従で配置する。

・ また、施設の管理運営を監視する体制として、バイオセーフティオフィサー(仮

称)を学長の直下に施設とは独立して配置し、施設の安全管理と合理的運営を監

査する。併せて学内外の有識者で構成される「研究・施設利用審査委員会」(仮称)

を設置し、研究・施設利用の状況等について監視を行う。

・ 警察や消防等の地元関係機関や、国の関係省庁、9大学コンソーシアムと連携

した管理運営体制を構築する。

【国の関与】

・ 施設の整備後の管理運営に当たり、BSL4 施設に関わる関係省庁による会議を通

じて、内閣官房国際感染症対策調整室が中心となって関係省庁間で必要な調整等

を行い、政府一体となって対応する。【再掲】

・ 文部科学省は、長崎大学において適切な管理運営が行えるよう、指導、助言な

ど必要な支援を行う。

3.バイオセーフティ対策

【大学の対応】

長崎大学は、すべての関係者に施設管理や研究に係る規程や作業・実験マニュア

ル等を遵守させるとともに、作業者の未熟な技術、無意識のトラブル、設備の不良

など、過失によって起こる事故・災害等を防止するため、次のような安全対策を講

じる。

・ 施設設備について、地震に対しては免震構造とするほか、火災に対しては耐火

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建築物とするなど災害に対して強靭性を持たせるほか、津波、地崩れなどの恐れ

の少ない立地に設置する。

・ 施設管理や研究に関わる人物や研究計画を厳格に審査し、安全性に問題のある

者や研究計画を未然に排除する。

なお、BSL4 実験室の利用者は、身元が明らかな国内の研究者に限定し、かつ、

厳格な事前研修等によって適格性が確保された者のみに利用を認めることとする。

将来的に、施設利用対象者を拡大する場合には、予め関係各省と協議して安全確

保方策を講じた上で、三者連絡協議会に諮るなど地域の理解を得ることとする。

・ 作業者の資質向上、安全な作業手順の徹底等のため、定期的にトレーニングを

行う。

・ 感染症法の規定等に基づく施設面、運用面の多重の安全対策により病原体が漏

出したり、感染したりすることがないよう措置を講じる。

・ 作業時の具体的な安全対策については、諸外国や感染研等の事例を参照しなが

ら、病原体を用いた研究の安全管理が確保されるように、作業・実験マニュアル

等を整備する。作業・実験マニュアル等は、定期的又は新たな科学的知見が得ら

れたときに評価を行い、その結果に基づいて不断の見直しを行うとともに、適切

に技術導入が図られるよう、安全対策面からの研究を行う。

【国の関与】

・ 感染症発生予防規程の策定、大学による人物審査等の具体的手法の検討や運用、

研修トレーニングプログラムの整備や運用、作業時の具体的な安全対策等につい

て、文部科学省、厚生労働省等が適切に関与して、監督、指導、助言を行う。

・ 国立感染症研究所において、維持管理スタッフの研修受け入れ、施設利用者向

け研修への講師派遣等の支援を行う。

・ ヒューマンエラーなど人為的ミスによる事故を防止するために有効な情報を収

集し、関係者との情報共有に努める。

4.バイオセキュリティ対策

【大学の対応】

研究者や他の内部関係者による万が一の病原体の不正な持ち出し・使用、不審者

の侵入等を防止するため、次のような安全対策を講じる。

・ 施設管理や研究に関わる人物や研究計画を厳格に審査し、安全性に問題のある

研究者や研究計画を未然に排除する。

なお、BSL4 実験室の利用者は、身元が明らかな国内の研究者に限定し、かつ、

厳格な事前研修等によって適格性が確保された者のみに利用を認めることとする。

将来的に、施設利用対象者を拡大する場合には、予め関係各省と協議して安全確

保方策を講じた上で、三者連絡協議会に諮るなど地域の理解を得ることとする。

【再掲】

・ 施設の監視・警備等を厳重に実施し、研究者や他の内部関係者の不審行動を早

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期に発見するとともに、不審者の侵入を防止する。

・ 施設内で用いるシステムには、最新の情報セキュリティ対策を施すとともに、

研究情報管理担当の教員を配置する。

【国の関与】

・ 大学における警備の計画や運用に当たって、文部科学省、警察当局等において、

技術的助言や指導・監督を行うなど、安全対策に万全を期す。

5.地域との共生

【大学の対応】

長崎大学は、地域との共生を前提とした発展を目指しており、BSL4 施設の設置運

営に当たっては、透明性を確保し積極的な情報公開や地域との双方向のコミュニケ

ーションを推進することとし、地域住民の理解と支持を得るために、次のような取

組を行う。

・ 施設の設計・建設段階においては、「長崎大学における感染症研究拠点整備に関

する地域連絡協議会」を継続的に開催し、地域住民との対話により不安解消と理

解促進に努めながら施設整備を推進する。

・ 施設の整備後は、地域住民の意見を十分取り入れて施設の安全な管理運営が実

施できるよう、「施設運営に関する地域連絡協議会」(仮称)を設置・開催し、地

域住民と対話しながら維持管理を実施する。

・ 広く市民を対象とした説明会や市民公開講座を定期的に開催し、施設整備の進

捗状況、安全管理の状況、感染症研究の成果等を広報することにより、理解促進

に努める。

【国の関与】

・ 地域との共生のための長崎大学が実施する取り組みに対し、文部科学省等は必

要な支援を行う。必要に応じ、文部科学省等の担当者が、地元での説明会等に参

加して、説明を行うなど、国としても地域住民の不安解消と理解促進に努める。