コンピュータシステム(sy)領域コンピュータシステム (sy)領域...
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コンピュータシステム(SY)領域 VLSI設計(VD)トラックの概要
LSI設計学講座 上級准教授 小平 行秀 (こひら ゆきひで)
[email protected] 居室:研究棟1階105-B
2017/4/18 1 コンピュータ理工学のすすめ
VDトラックの目的 コンピュータを中心として,携帯電話などの通信機器までの
動作原理を学び,それらを実現していく大規模集積回路(VLSI*)の設計に必要な基礎知識と回路技術を習得する *VLSI: Very Large Scale Integrationの略.日本語では大規模集積回路
キーワード 集積回路設計 VLSI技術 CMOS技術 レイアウト設計 アナログ回路設計
2017/4/18 2 コンピュータ理工学のすすめ
VLSIの用途 コンピュータ
CPU(中央演算ユニット),ネットワーク機器,など
デジタル家電 タブレット,スマートフォン,デジタルテレビ,など
自動車 カーナビ,エンジン制御,など
その他 ロボット,医療機器,ロケット,など
生活の様々なシーンで使われている 需要が多い ⇒ 生産量が多い ⇒ 多くの技術者が必要
日本の主要産業の1つ 世界的には,年率2~3%の成長産業
3 2017/4/18 コンピュータ理工学のすすめ
Intel Core i7 (@ITより)
(世界半導体市場統計より)
集積回路 コンピュータの中心で計算を行う電子回路 トランジスタと呼ばれる素子から構成
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外見 中 トランジスタ
(Intelより)
コンピュータ理工学のすすめ
トランジスタ 集積回路の基本素子
電流を流すスイッチ 電圧を加えることによりゲートが開閉→コンピュータが動作
トランジスタを組み合わせることによって所望の機能を実現
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論理否定の真理値表 入力信号 出力信号
0 1
1 0
+ + +
入力信号 出力信号
コンデンサ (電荷をためておくところ)
低電圧(0)
電源
接地
高電圧(1)
1 0
論理否定(出力は入力の反転) CMOS回路による 論理否定のトランジスタ回路図
正の電荷
ON
OFF
OFF
ON
コンピュータ理工学のすすめ
半導体の歴史
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珪 石 器 時 代 (シリコンLSI)
Intel Core i7 トランジスタ数:14億個 22nm(10-9m)のプロセス
真空管 1個
トランジスタ 1個
トランジスタ数:数個
1900年 2012年 1947年
世界初のGeトランジスタ (ベル研)
1958年
最初の集積回路 (キルビー@TI)
1971年
最初のCPU
Intel 4004 トランジスタ数:2300個 10μm(10-6m)のプロセス
現在のCPU
コンピュータ理工学のすすめ
CPU発展の歴史
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☆1965年、インテル共同設立者の Gordon Mooreの予測 「半導体チップに集積されるトランジスタの数は約2年ごとに倍増する」
x21
2∝ 2年で2倍の関数 20年で約1000倍
コンピュータ理工学のすすめ
微細なトランジスタの断面
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第10回アナログVLSIシンポジウム資料(東工大 松澤昭先生)より
コンピュータ理工学のすすめ
微細なVLSIの配線
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トランジスタ
トランジスタを接続するための配線
コンピュータ理工学のすすめ
VLSIの設計フロー 設計仕様
アーキテクチャ設計
論理設計
レイアウト設計
製造
製品テスト
コントロール ユニット
積算 除算器
汎用レジスタ ユニット
レジスタ他
ALU他
CPU_CORE
+
(どのような機能のチップを作るか決める)
(使う回路や接続関係を決める)
(回路の位置や配線を決める)
(回路が正常に動くか調べる)
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SDトラック
VDトラック
コンピュータ理工学のすすめ
VLSI設計を支える技術
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論理回路(ブール代数),VLSI設計技術
コンピュータ アーキテクチャ
組込みシステム
半導体デバイス (CMOS、バイポーラ)
電磁気学
電子回路(LCR,トランジスタレベル)
ソフトウエア工学
機能レベル
物理レベル
SDトラック
VDトラック
VLSIシス
テム全体の設計
個々のVLSIの設計
※ 赤字は,VDトラックの推奨科目
コンピュータ理工学のすすめ
VDトラック推奨科目 フーリエ解析 (2年前期) コンピュータ理工学実験 (2年前期) 複素関数論 (2年後期) 半導体デバイス (2年後期) 電子回路 (3年前期) 論理回路特論 (3年前期) VLSI設計技術 (3年前期) 電子回路特論 (3年後期) ディジタル通信システム (3年後期)
※ 赤字は,SDトラックと共通の推奨科目 VDとSDの違いを認識する必要はほとんどない
12 2017/4/18 コンピュータ理工学のすすめ
VD&SDトラック:卒業後の進路 ハードをベースに製品開発を行うメーカ全般
LSIを中心としてアナログ/デジタル両面からのハードウェア設計技術が要求される
ただし、この分野の採用は大学院修士(2年間)が主流 (全国的に理工系の大学院進学率は60%を越えている)
事業分野の例
LSI設計開発 (CPU,通信用LSI,画像処理LSI...) 民生機器 (携帯電話,家電製品,PC,電子楽器...) 自動車および関連産業 (カーナビ,安全装置...) 産業機器 (ロボット,製造装置...) ゲーム業界 (TVゲーム機器...) 医療機器 (MRI・CT装置...)
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(矢野経済 研究所より)
コンピュータ理工学のすすめ
VD&SDトラックのメリット 日本の大学では,VLSIを設計して実際のチップを試作する
ことができる ただし,設計・製造には時間が掛かるので,大学院修士課程までか
かる
会津大学では,Cadence社と契約をしているため,企業でも利用されている集積回路設計ツールも利用できる
会津大学では,集積回路設計ツールや,民生機器で利用されているFPGA(製造後に書き換え可能な回路)を使った演習が多い 就職後,即戦力になれる
14 2017/4/18 コンピュータ理工学のすすめ
まとめ プログラムの性能をとことん向上しようとする場合は,ハード
ウェアのことを知らないといけない 多くのハード系の研究室でも,プログラミングは必要(だろう) ハード系の研究室に入っても,ハード系の企業に就職するわ
けではない 逆に,ハード系の勉強を大学時代にしなければ,ハード系の
企業に入れない (ハード系のハードルは高い) ハードウェアを勉強するには,時間・お金・環境が必要
これからは,ハードウェアの時代! (クリス・アンダーソン“Makers”を参照)
自分が作りたいものをハードウェアで簡単に作れる コンピュータの世界を飛び出し,より実生活で役立つ
⇒ ハードウェアについて学生時代に勉強することは良いこと
15 2017/4/18 コンピュータ理工学のすすめ