ハシトニリンセイホウタイニモテヲミモノトyヲカ...

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感じたところを云えば、その他、現在の宗学者が遺文中の名 外に一言も言及していない箇所が多いことに気付きます。それはな それから、この問題は「余所に書するが如し」というて省略される場合 広く朝師の全著作を検討しなければ、所在がわからない。これも重要な作 の用意をしたのですが、二十五分の発表時間ということで切りつめ、切りつめし 告です。 管見というのは、今回日蓮宗宗学全書の第 な注釈ぶりに恐れ入りました。しかも最初の遺文 そのなか、このたびは朝師の「これはこれは」と感 朝師御書見聞管見(浅井) 一、遺文の中の用語の読み方 はじめに 御言見 井円道 -7-

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Page 1: ハシトニリンセイホウタイニモテヲミモノトyヲカ …感じたところを云えば、その他、現在の宗学者が遺文中の名句として等しく尊重している聖句について、朝師は案

感じたところを云えば、その他、現在の宗学者が遺文中の名句として等しく尊重している聖句について、朝師は案

外に一言も言及していない箇所が多いことに気付きます。それはなぜか。このことを考えねばならぬところですね。

それから、この問題は「余所に書するが如し」というて省略される場合も多い。余所とは他の遺文注釈書に限らず、

広く朝師の全著作を検討しなければ、所在がわからない。これも重要な作業だと思います。等々についても或る程度

の用意をしたのですが、二十五分の発表時間ということで切りつめ、切りつめして三点にしぼりました。さて、

告です。

管見というのは、今回日蓮宗宗学全書の第十五・十六・十七巻所収の朝師御書見聞を通読したのですが、その精綴

な注釈ぶりに恐れ入りました。しかも最初の遺文注釈書でしょう。

そのなか、このたびは朝師の「これはこれは」と感じ入った言葉を蒐集整理して、これを三点にまとめた結果の報

朝朝師御書見聞管見(浅井)

一、遺文の中の用語の読み方

師はじめに 御

言見聞管見

井円道

-7-

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朝師御書見聞管見(浅井)

スヲ

ハノ

ハノ

ー、犬戎胤浪夷敵伺國等事史記云犬戎裁二幽王一、愚童訓云、蒙古是犬子孫、日本則神末葉也、』山海經云、黄帝曾

トテノ

ヲハ

ヲハ

孫奇明生二白犬一、白犬有一三牝牡一是爲二犬戎一・私云東夷南蟹西戎北狄四方エビス相替しり、夷ユミモチエゾ、戎ホコ

弓夕ハ

イタダキエゾ、蟹カミミダレエゾ、狄カハキヌエゾ、牝索州俺媚博物志云東九夷、南六蟹、西七戎、北八狄、或

ヲハ

スヲ

ノエヒスモリ

抄二種々御振舞御書』定九五九?)云文永五年戊辰後正月自二西戎一牒状渡し之、同年東夷浮圖起累年之間合戦無一

断絶一也云云、(安國論私抄、喝ノ六)

〈メモ〉夷・戎・蟹・狄の読み方がおもしろい。

フムタフンタ

2、牒字事千字文云賎牒簡要私云牒状トハ、フムダト讃ベキヤラン可し尋し之。(同旧ノー三)

〈メモ〉辞書を引くと、「賎Ⅱ北周以後ハ表」「牒Ⅱふだ、役所のまわしぶみ」とあるから、ふだ↓フムダと靴

カハネミモノトノ

キニ

ックリカハヲミモノヲルーストヲヘルニタリヲ

3、臥し屍爲レ観者観字ヲバミモノト可レ讃也、薑文章錐し存二見レ革之観一、飾以二虎皮一云言有し之、文粋載レ之可レ思レ

ハシトニリンセイホウタイニモテヲミモノトyヲカハト

之、並レP作し橋者、江河ヒキ捨ダル禮歎。三教指歸云鮮鱗生毛不レ退二片食一臥し屍作し槻流し血爲レ川云云、糠識憩鵬武

抄見聞妬ノー八五)

〈メモ〉『開目基

〈メモ〉

したか。

カハネ

の。、臥沙二死審局

〈メモ〉「臥し屍爲レ観」(安國論冒頭の文)の「観」は「ミモノ」と読まねばならぬといい、その証拠に「本朝

文粋』、空海の二一教指帰』の句を示している。岩波の文学大系本の『安国論』は頭註にこのよみを出している。

●●●●●●●●●●●●●●

4、尋云今ニハロキ者ノ手本ヲ桀封桀討云云、如何、答、世上二人ヲキヤッノ、等云ハ、桀討桀討云事也云云(開目

「開目抄』に桀討桀討とあるのは今時世上で「キヤッノー」(彼奴)と悪口するのと同じ意味だという

(同喝ノ三八)

-8-

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ヲハニルソ

ーナ

ー、整巷事或云莞ハォ暗畜類死スルヲタヲレ物ト云是也、或云死依レ物申替也、凡人倫ニモ品品有し之、価禮記云天子

ヲトヲトヲシユットヲ

卜ヲト

ノヲ

ノクッルルニト

死日レ崩、諸候日し莞大夫日し卒士日二不祗一庶人日し死云云、凡天子死崩御卜申ハ山崩如ク世無し隠云事也、又諸候

コウ

ノルル

莞卜申ハ山崩聲也、是無し隠意也、其外吾朝ニテハ出家ヲバ圓寂、在家ヲ(他界ナンドト申、此等不レ凱可レ云事也、

一一

卜スノ

ノテカト

今牛馬オ、セテ艶書御座事文章勢、此等ニテアルベキ也、又后死昇霞云事アリ、(安国論私抄妬ノ三四)

〈メモ〉階級による死の異称。

トハヲyヲ

トハ

2、縦存其名等義破名借事有し之也。或小有不當則有去取假令光宅因教果人四一ヲ立ルヲ破し之、今家ニハ教行人理四

yハヲy

ストヘ

ニストニ

ーヲ立玉フ、等也、凡光宅理一不し立し之因果ヲ存見タリ、今家破レ之玉フ様ハ、理印無し之故同二魔説一云云、或小不當

ハノ

ヲy

ノ卜

是ナルベシ、然ドモ今家四一ヲ立玉フ時、教一人一ヲ(光宅如ク立レ之玉ヘリ、是有取義也、因果不し立一種行一立玉

ヲト

ノノリテヲ

ハニ

ヘリ、是有去云也、是則因果不同ナレドモ、行卜云へルハ従因至果進趣取レ義只行一卜立玉フ者也、今家此外理一ヲ

ー一

、ン

立玉フ虚ニテ理印有し之、故同二魔説一失無レ之可レ思し之(同旧ノー五二)

朝師御書見聞管見(浅井)

のか、あるいは桀紺が転誰してキヤッとなったのだという意味か。再考

一一一一

セイシユ

クワツ

ハッユイキンケンカムテニヒノ二

5、古抄云一全雅、二元政、三宗叡、四寶月、五義眞、六法全、七惟謹、八元侃、圓仁於一》大唐一値二此八大徳一玉ヘ

リ云云、(本尊問答抄見聞Ⅳノ八七)

〈メモ〉円仁の入唐八大徳の名の読み方。「日蓮聖人遺文辞典』は元政を「ゲンショウ」(安然の大法対受記によ

る)、宗叡を「シュウエイ」と表記する。元侃の名は遺文中にはみえないか。

二、珍らしい解説

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レシ

ノヲ

3、如法經ヲ行事ハ、大日經等眞言密教ニ移り金蘇両部疏作ラレシ以前歎以後歎可レ尋し之、尋云前後相如何、答杉洞

ハノ

Dノハ

如法經淳和御宇天長十年癸丑(八二三)ナリ、入唐五十四代仁明御宇承和五年戊午ナリ、同十四年歸朝アリ、雨部疏

ノヲ

五十五代文徳御宇仁壽〈元年(八五二金疏〉齊衡〈二年(八五五)蘇疏〉年號ナリ、理同事勝義述玉フ事天長承和

ノノヲ

ヘノノノ

嘉群齊衡五年號經玉フト見タリ、サレバ如法經時分ハ唯顯法華行者ニテ御坐歎、(同砺ノー八○)

〈メモ〉円仁は一方では法華経の如法経の書写をおこない、一方では真言密教を鼓吹したのではなく、はじめは

如法経、二十二’三年のちに金蘇両疏を書いたという。

ニノ

yノヲハyセニキヲノノヲシ玉フyノ

4、尋云大唐儒毒澤三教有し之、今何此等起蓋不レ載、和漢雨朝無し之加二外道一、儒外内三不同分別乎、凡弘法大師三

ニストヲヘ

教指歸卜云ヘル書ハ儒道鐸三教ヲ上中下巻書し之見タリ、今亦可レ然如何、答道家トハ仙術ヲ教等也、是ヲ(儒家ニ

シヲもト

ノト

クヲ

へ〃〆ハノ

攝レ之只儒云テ儒外内三云云、価儒教上二外道置し之、其上二置二佛教一玉フト見タリ、委如二御書一、(開目抄私見聞砺

〈メモ〉唐の文化や日本の空海の『三教指帰』は儒道釈を東洋思想の代表とするのに、なぜ聖人は儒外内とされ

たのかの説明。うっかりして見落しがちなところである。

ノノニ

ニハノヲテノースョリヲ卜

5、第二ノ鳳詔也者、私云三禮詩第二茂陵詩増註云、鄭中記詔書用二五色紙一着二木鳳口中一飛二下端門一、謂二之鳳詔一美、

Bトハ

或紗云鳳詔宣旨也、鳳衙鳳勅論旨総言勅宣朝宣紫泥紫沼、同紗云唐ニハ黄紙二書し之、和ニハ黒紙二書し之、幡磨國カ

ヤノ郡ョリ貢進也、カヤ紙卜云也。(同妬ノ三二六)

ノー一七’八)

〈メモ〉法雲の重

きさつをのべる。

朝師御書見聞管見(浅井)

毛法雲の「義記』の因教果人の四一を天台は「文句』方便品釈などにおいて教行人理の四一に改正したい

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〈メモ〉鳳詔の異名、並びに紙の色や紙質についての説明。

6、此等ノ經文ヲ法華經ノ已今當六難九易二相對スレバ等者尋云六難九易ト云ル分文ハ天台御鐸ニハ不し見如何、

ノニトへ

一一

二ソヤ

答妙樂御澤井山家御舞有し之見タリ、五百間論下云經從二諸餘典一至二是則爲難一者何耶、答日總有二六難一皆有二對比一、

メハノノハノノハノノハノノハノ

ケグ

・ン

初五行説難、次二行書難、次二行讃難、次二行説難、次三行蕊難、今謂分文甚善(同明ノ三三二’三)

〈メモ〉聖人の造語である宝塔品の偶の「六難九易」という呼び名は、最澄の「法華秀句』の「多宝分身付属勝

九」と六祖妙楽大師湛然の『五百問論」下巻に由来するとの指摘。

7、御書云、玄義十巻一千丁等云云、或紗云玄義十巻合四百丁、紙二百六十枚、一巻痒二巻痒三巻禅四巻再五巻

王堂ハ巻迦升七巻一存八巻権升九巻一拝十巻聿升鐸鑛十巻合四百丁、紙數二百二十枚、一巻誌十二巻皿十三巻胆汁四巻垂升五巻

ナリ

泗画ハ巻琶升七巻一件八巻仁軒九巻聿升十巻塾吋文句合四百九丁、紙二百二十五枚、一面七行紙、一巻に画一巻に吐一看極汁四

巻五軒五巻晒型ハ巻罹升七巻玉升八巻面十九巻亜汁十巻皿十疏記十巻合七百九丁、紙三百五十五枚、一巻士吐一巻砿廿二巻訓升

四巻弾五巻神六巻拝七善十八巻拝九巻拝十巻裸、止観十巻合四百丁、紙二百三十五枚、一巻梓二巻年三巻二一汗

四巻一存五巻六巻七巻姻升八巻皿升九巻十巻迄汁弘決十巻合七百四十四丁、紙三百六十二枚、一巻茎鉾二巻極汁三巻

塾升四巻珪汁五巻紳誌廿城ロハ巻訓升七巻乳汁八巻酔升九巻一評十巻匡升已上總合一二千七百七十四丁、紙數千五百三十九枚云云、

(撰時抄私見聞旧’四○二

〈メモ〉三大部の丁数の数を調べたところが珍しい。

ー一

8、御書云、弘法大師之十住心論秘藏寶鋪二激論等云云、眞言宗談義云、嵯峨宗論之後勅アル様ハ、現證ハ既見了、

ノノ

但宗宗淺深趣難し知し之歎、其重重可レ致二注進一之由宣旨アリ、其時十住心ヲ一巻ヅ、二書し之名二十住心論一献し之了、

朝師御書見聞管見(浅井)

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朝師御書見聞管見(浅井)

即叡覧アテ云玉ヒケルハ、餘二廣惇ニシテ其理難し辨云云、依レ之後省署シテ寶鋪三巻被二書進一云云、

(同旧’四一二)

〈メモ〉天長六宗本書の一つ『十住心論』は十巻もあり、これを縮小せよとの勅令によって「秘蔵宝鋪』三巻と

したという経緯は「聖愚問答抄』(定遺三六五)にみえるが、その典拠が示きれる。ただし「眞言宗談義」との

みあり、朝師著述、所持本等を検くる必要がある。

ーー

ノ二yツ

9へ一切義成就菩薩六年苦行後、至二菩提樹下一金剛寶石上安座、先一道無爲心二住シテ髪本ヲ至極トシ玉フ虚ヲ、金

ノノ

ーy

ノスルハ

一一

一一

ノノト

ノル

剛界油麻諸佛虚空現前、只今汝住虚非二至極一、其外猶最極究寛秘密法有し之驚覺シ玉フ時、サテハ左様極理有し之耶ト

ーノ

云ヘル心地二進虚ヲ第九住心ト云也、其後既密乘三密四曼極理二悟入スル虚ヲ第十ノ住心トスル也云云、守護經等二

成毘盧遮那佛等ト云ヘルハ是ナルベシ、脂’四一三)(同妬’四一五’六㎡)

(同

〈メモ〉眞言宗では「守護国界主陀羅尼経』により、一切義成就菩薩(悉多太子)が成道したのは金剛界諸仏の

「驚覚」によるという法門があるが、実は『法華経』の此土六瑞や神力品の十神力等も言葉をかえれば聴衆に対

する「驚覚」である。御遺文にも「南無とは驚覚の義なり」(道場神守護事、定遣一二七四)とある。

ノニハ

ノノ

ノヲハト

トヘ

ハノール

蛆、尋云東寺義、天台華嚴所し明妙覺佛尚名二無明邊域一見タリ、是三妄執外立二微細妄執一義門也云云其相如何、答

ノニ

ノハ

ノニ

トスルハノ二

此事眞言宗内東寺山門異義也、東寺意、麓妄執細妄執極細妄執外立二微細妄執一、四妄執成歎、是大日經中、此四分之

ノニト

テノハy

ヲセ

ヲニノ

一度於信解云文有し之、此四分瀞三妄執外有二微細妄執一聞タリ、佃顯宗佛但噺二一二妄執一不し断二微細妄執一、故尚無明邊

卜フ

ニハスヲ

ノニ

ヲニ

ニノ

域云也、尋云山門許二此義一歎如何、答不し許し之見タリ、其故ハ經論常途説、五住三惑外全不レ立二惑障一、故大日經所レ

ハケ〃・ノ

ーア

セハ

ソセンヲ卜

説三妄執如レ次見思塵沙無明三惑ト見タリ、価義鐸云若一生度二此三妄執一即一生成佛、何論二時分一耶云ヘリ、但四分

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〈メモ〉空海が『秘蔵宝鋪』において天台宗の仏は「無明の辺域」なりと艇したのは、「大日経』の「四分之こ

の文によって四妄執を立て、第四の微細妄執を超えていないから「無明の辺域」なりというのであるが、実は

「四分之こは惑障に四段階があるという意味ではなく、初地以上の智品の分別である。故に空海の義は「大日

経義釈』に相違しているという新見解。

レノテ

ノノ

Ⅱ、尋云浬藥經云如法華中八千聲聞等云云、指二何聲聞一耶、答就し之法相天台靜有し之、法相宗ニハ萬二千聲聞中ノ

ノニハナルカニ

ーー

ハナルニ

ーー

八千ヲ指卜云云、意(序品の)万二千中四千決定性故於二法華一不し得二授記一、八千不定性故於二法華一得二記荊一也、

二ストノヲ

価勘二此文一法華得記ノ聲聞ヲ不定性ト申也卜、天台ニハ非二萬二千一指二持品八千一申也、授決集極率獅糘魂八正法華歓悦品

クノ

ーー

シ玉へヲスニニノノタルヲ二

云八千比丘、復白し佛言、大聖自安、勿二以爲画盧、亦當レ宣二布他方一、妙本云、學無學八千人得二受記一者、亦願三他方

セントヲ

ニノ

流二通此經一、浬藥如來性品、如三法華八千聲聞、得し授二記荊一如三秋収冬藏更無二所作一、而或經本云、八千比丘、価

ナリ

ノハノニソ

トニ

ノ二

解鐸不同、今天台疏擴二此妙經一決爲二八千一、冥同二正本諜一(報恩抄私見聞焔ノ五)

朝師御書見聞管見(浅井)

ノハ

ノニハ一ア

ーー

ノ-ヲ

ニーナ

ノ二

之一文非二惑障事一、於二初地以上一以二三句大宗二爲二三分一、此外立二上上方便一爲第四分一、是於二十地佛果功徳一立一》四

‐ヲルニ

ーー一一

一テニ

ノニニyヲ

分一、至二初地一時至二四分之一一、故四分之一等説也、依レ之義程云、於二三句中一更開二佛地一爲二上上方便心一、至二第四

少時名二究童切智地一、故日二此四分之一度於信解云ヘリ、運到一一一句犬宝初地蕊心一通已去藤八地已上舗零佛

二ヲ

卜ニト

、ニ

ルニノニテ

一一

口トハ

ーー

カソ

地狂睡故從二初地一至二佛地一三句上加二上上方便一作二四分一也、全於二惑障一四分有し之不レ見し之、既違二義鐸一末學争可レ

ハーア

ノヲスルノー

トノヲへ

許し之耶、若爾以二天台等妙覺一属二無明邉域一義不し可レ爾云云或紗云弘法大師立二五重無明一見タリ、不二無明、自一

一ナ

一一

心無明、随一心無明、多一心無明、八識無明云云、価大日覺王ヲモ名二不二無明一、只是智品名也非し迷也云云

(同略ノ四一四)

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朝師御書見聞管見(浅井)

〈メモ〉『大般浬藥経』の「法華八千声聞」は「法華経』勧持品で他士流通を願い出た「学無学八千人」を指す

ということについての検討。

スヲし

一一

一一

一ア

ーー

皿、私云記主往往多破二慈恩一、彼不し明二界外一故唯鴎二藏通一、彼云二破二明一一不し會二菩薩一、若爾歸レー者應レ歸二藏佛一、

ノヲ

ノ二

故以二彼佛一層二婆沙佛菩薩一也、(同脇ノー七)

〈メモ〉六祖湛然がしばしば法相宗の慈恩を破したのは、慈恩は界外(三界の外)を云わないから、三蔵教と通

教にのみ視野を置いたことになり、菩薩を開会しないから破二明一といって破三明一といわず、その一も蔵仏に

外ならない所を破したのであると。

ノノノ

田、凡無畏一行義ハ眞言天台理圓云云、新來眞言家空海義ハ天台法華宗ヲハ事理倶二密教ョリモ劣也云云故二無畏

ーー

スノヲ

説ヲ一行筆者トシテ書玉フ大日經疏ニハ大相違セリト云事ヲ浪二筆受之相承一トハ書玉ヘリ、(同猫ノ三七)

〈メモ〉最澄の『依畷天台集』の序に「新来の真言家は筆授の相承を浪し」とある句についての解釈。解釈もい

ろいろあるが、これは『日蓮聖人遺文辞典』歴史篇の解釈と同じ。

ニナ

トハニスラクハレハレ

理御書云、妙樂彼(吉藏)ヲ責云二穀在其中一等云云、尋云其穀者如何見ダル耶、疏八云有師解、已是般若、當是

ナリノハ

セリノハニスル可ヲハレノメノナリニトニテヲ

混藥、法華之前小大相隔、法華已後已得二會同一、此經正是會三之始歸一之初、故言二第一一、尋云此義何由穀二法華一

卜キ

ノノ

、ン

yヲ

義可レ云耶、答彼師意法華ヲ三説ノ中ノ今説卜云うが故二、穀二法華一義也卜判玉ヘリ、価本書二歎二法華一在二已今當

二ノケリヲ

シテヲ

ノニノンヲ

ヲナリヤタノヲヤ

外一、此師閾二一節一云云、妙樂消し之、穀在二其中一何成二弘讃一、嘉群猶然況復餘者云云(同肥’七二

〈メモ〉法師品ノ「已今当説最為難信難解」の解説の中で湛然の『文句記」は三論宗の吉蔵の解釈を責めて「穀

其の中に在り」といったが、その意味は吉蔵が「今説とは法華である」といったからである。実は今説とは『無

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〈メモ〉朝廷からの贈与ではなく、私大師号の人々の列名。

ノノ

ストヲへノシスハ二

陥、眞言教ニハ理具加持顯得三種即身成佛明レ之見タリ、然二理具顯得二種ハ餘家ニモ可し談し之、加持ノ即身成佛殊

テノ

以密宗希奇也、凡加擶習行者ノー一蘂ノ清淨ナルハ持也、諸佛由レ之加レ應之虚ヲ加卜云也、諸佛ノ應ヲ加玉ヘバ凡夫ノ

テニスルヲ

、ン

スル

ヲレ

ーア

ノノ

當禮二不思議ノ紳憂等ヲモ現也、サレドモ猶是凡位ナルガ故二鱸凡夫ノ形二還ル也、例嵯峨宗論時、弘法現二砒盧遮

ノヲ

一一

しラ

・ン

那身一即還二本身一玉ヒシ、是併加持ノ即身成佛ノ現證也、所詮如レ此加持ノ即身成佛密教二限ル虚ヲ宗論ノ時ハ顯玉フ

スヤノー

也云云、私云如レ此規模二申虚ヲ天魔ノ所愛ト知ルハ、豈非二本化智用一乎、貴貴(同随’八九’九○)

〈メモ〉空海が『孔雀経音義』の中で、自分は「金色ノ毘盧遮那と成り、すなはち本体に還帰す」といっている

のは、加持の即身成仏のことであると。

Ⅳ、御書云、我滅度後後五百歳中廣宣流布於閻浮提無令断絶悪魔魔民諸天龍夜叉鳩藥茶等得其便也等云云、疑云諸天

ニ、ト

ンソニシヲ

龍紳等於二法華一可レ加二擁護一見タリ、今何魔類出し之得其便也等宣玉フ耶、答此事一虚ノ御書ノ中二御評判有し之、出レ

シム

ノニタルカ

ノヲ

一一

之可レ知し之也、御書(顕仏未来記定七三九)云如レ文兎先生持二得四味三教乃至外道人天等法一、今生受二悪魔諸天

ノヲ

yノヲキ

諸人等身一兎見二聞圓實行者一可レ致二留難一之由説し之云云、

(同略’一○二

朝師御書見聞管見(浅井)

量義経』を指し、『法華経』は「已今当の外」なのである。

嗅御書云、圓澄ハ寂光大師天台塞一ノ座主也云云、或天台宗抄云、日本四大肌靜傳教、弘法、慈覺、智證是也、

朝ノ大師ノ御輝ナドト公場ニテ可レ申也、其外ハ私ノ大師ヲバ論席等ニテ本朝ノ大師トハ不し可レ云也云云、尋一蚕

師智何等耶、南山大師相應和尚認峨付大樂大師慧亮和尚別當大師光定修種大師義眞寂光大師圓澄慈慧大権

智證是也、本

云、尋云私大

慈慧大師良

陥’八五)

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朝師御書見聞管見(浅井)

〈メモ〉薬王品に「詣天竜神」とあるのはおかしい。元来は擁護の神ではないかということに就ての吟味。

ニノ

ノ玉フ

タル

レモノ

ーア

略、次身延澤ト申也、此名ヲ呼歎、又身ヲ延ルト云ヘル名言一入祇言二聞歎、或人云小湊池上身延澤何水邊字也、定

フノニ

有し意歎、所詮萬人潤二本化法水一ベキ義歎、又水ハ物令二生長一徳有し之故歎、(身延山御書見聞刑’三八二)

〈メモ〉小湊、池上、身延沢はいづれも水に縁があるが、その訳は云云と。

ノノ

ハ一アノノ

的、一、住家御住房ナルベシ、當寺本堂跡是也、初房以外草屋ニテ御座ケルニヤ、以後十間四面御房造立有し之見ヘ

ノノハ

タリ、今本堂柱大概其御房柱ヲ残置ルトヤラン古老僧申傳タリ

(同賂’三八二)

〈メモ〉日朝上人が身延山上に造立した本堂の柱は、日蓮聖人が最後に建てられた十間四面の房の柱を使用して

ノノ

別、尋云華嚴別教卜般若別教起壼如何、答推し之華嚴別教ハ以別助圓別也、般若別教ハ以通助別別也、

(曾谷入道書見聞坊’四一○)

〈メモ〉『華厳経』が兼ねている別教は円教を助けるための別教であり、『般若経」が帯びている別教は通教に

よって助けられる別教(別接通か)であると。

一、(法門可申抄云)山寺ノ小兒ノ倶舎讃等事或人云、古今倶二四ヶ寺ニハ小兒ノ學問ハ倶舎論也、サレバ山門中

ノキノ

古名匠東陽和尚童鵲時、西塔維那懲ノ歌ヲマヒラセヶルトナム申傳タリ、

我懲ハ減道諦ノ惑ナレヤ、思ヘト君ハ随増モナシ維那

我懲ハ苦集二諦ノ惑ナレヤ、思う人ニハ随増アラム兒

二クスルニノノ

此歌ハ兒モ法師モ倶舎論ノ諸漏於レ中等随増故等文意ニテ讃玉ヘル也(如説修行抄見聞脇’四四○)

〈メモ〉日朝上人率

いるということか。

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〈メモ〉山寺の小僧には『倶舎論」を読む習いがあるとされる事例。

ノーニハフ

トニハフトヲモテyストノノニヲニルニハ

ーー

凪、(倶舎)頌疏八云、梵云二那落迦一、此云二苦具一、義翻爲二地獄一、以二地下有ウ獄故、非二正翻一也、集解云、其字

へニフ可ノニ

シノヒトヤハカウョウカル

從レ言從二二犬一者、所二以守一也、若此方獄皐陶所レ造也、私云篇モ作モ犬ろ也、中二言アリ犬ノ人ヲ吠ル義也

(顕誇法抄私見聞Ⅳ’一六二

〈メモ〉地獄の説明ユニーク。

型御書云、誇二上中下雑アリ等云云、私云、此事ハ梵網十重禁ノ第十誇三寶戒ヲ鐸ル下二見タリ、其要文一代五時

二スヲシルヲス

ノニ

チシyリニハニハニハ

記(定遺未収録力)第十七帖出し之可レ見し之指し之歎、梵網疏云、邪見推書、條緒乃多、署有二四種二上邪見、二中、三

下、

四雑1

二中邪見

一種

一上邪見

ノ、

ナリ朝

師御書見聞管見(浅井)

‐具誇螂浬他博子二

失し戒

溌三一切都無二因果一

失し戒

計成I同鰭

一法相異l

|不二失し戒

計不レ成I同癖謂郷雌

二非法相異I同許霊“率

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ハルトニフテヲ

尋云、中下邪見中法相異、非法相異兎其意如何、義云、法相熟冠音萱一寶祇弧一外五恩、小乘勝二大乘恵、以し之

ノノニ

ノトハノ

ーー

クノト

ルノヲ

ロトハニハハルニ

ハルトニ

ニハハ叩〃ニ

ハDr右毎

名二法相異一、是即定二勝劣法相一故也、非法相意三寶勝二外道一、大乘勝二小乘一思ヘドモロ三寶劣二外道一、大乘不レ如二

二クハニセノヲニテヲル

小乘一説也、是意不レ成二勝劣相一、故以レ之名二非法相一也、可レ思し之、(同Ⅳ’二二’二)

〈メモ〉四種誇法の解説

三、佐渡前後法門異相

ノノ

ソノト

ニノ

ハニ

ーアハ

ー、尋云本化迩化弘經師各別ナルベシ、何天台沙門書し之玉フ耶、答凡於二吾宗一二血脈有し之、委餘所書し之、価今天

卜ヲ

ノニ

メッカタハノ

台傳教爲二師資一相傳立玉フー筋ナルベシ、或義云於二元姐御弘通一始末有し之、始津方天台沙門根本大師門人等書玉

ノノハ

ノノ

ヘリ、末津方御書撰號或本朝沙門扶桑沙門ナンドト書玉ヘリ、凡安國論一一モ文永六年御自筆本ニハ天台沙門無し之、

一一

、ノハ

其本下總中山有し之、又建治年號ニテ再治安國論トテ有し之、其本ニモ天台沙門言無し之、所詮此等用與適時化道ニテ

芹声

雑邪見

rrr斗四三二

思暫 雑偏義念信執僻小 |謬乘計一」す|農||罪計垢一

成輕 偏執垢

壼矢部諺’小計|成犯輕二垢輕

六種

三下邪見同上棄レ大取レ小

朝師御書見聞管見(浅井)

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〈メモ〉聖人の撰号の推移

ハモノトヘ

ソノ

ヲyトノ卜

○撰號事尋云元岨上人恭本化降誕見タリ、何迩化垂迩ダル天台爲二租師一天台沙門等書玉フ耶、答此事尤可レ存二知

ーヘ

之一歎、凡御書撰號色色見タリ、安國論ニハ天台沙門等云云、其以後三大部観心(本尊)紗等ニハ或本朝沙門或扶桑

ハトー

ノノノ

沙門或鐸子等書玉ヘリ、又安國論ニモ文永六年御眞筆下總中山二有し之、天台沙門無し之、又建治年號再治本ニモ無レ

ーー

ニハ

之見タリ、此等ハ用與適時意ニテ御坐之與、傳云凡上人ハ御弘通始終有し之、初津方大概天台沙門或根本大師門人等

ノニハソ

ハハノヲ

ハノヲ

ノト

書玉ヘリ、末津方御書別不し出し之、所詮初随他意義門存玉ヘリ、以後随自意邊見セ玉フト習也、尋云天台傳教門人書

フニテノト

ソノ

ーー

ハノニ

ノニクス

ニン

玉事、何由随他意邊可レ得し心耶、答凡今家師資相承雨邊有し之、此事一通御書有し之、其下委書し之可レ見し之、大概述レ

ノトヘ

ノハノヲyトー

之、天台等爲二組師一玉フハ外相邊見タリ、是即五時八教等ノ教相依用シ玉フ邊也、内證血脈上人御開悟爲レ本、直以ニ

ハシメッカタノ

ヲトノト

ーー

鐸迦上行一爲二岨師一玉ヘリ、サレバ初津方御書ニハ外相師資相傳爲レ本天台門人等書玉ヘリ、是非二御本意一、只是念

ハノ

佛漉戒等ヲ破シ玉フ日、暫天台宗ヲイタハッテ如レ此書玉ヘリ、是即随情義門也、以後内證御相傳顯シテ或樺子トモ

ハヲ

ハニ

ーナ

或本朝共書玉ヘリ、是随自意顯シ玉フ事勿論也、返返此趣餘所有し之追可レ尋し之、(同鳩ノー五五’六)

〈メモ〉聖人の撰号の推移。

ノニ

ーー

ノ二

2、傳教義眞慈覺智證等云云事疑云虚虚御書慈覺智證誇法等云云、今何依用アル様書し之玉フ耶、答御一期化導始

ニハテノーノ

ク二

終有し之、随他随自重重也、佐渡以前就二彼法門一随情邊有し之云云、此等也委餘所書し之、(同咽ノー八二

〈メモ〉台密の慈覚、智証批判は「佐渡以前」の御書には見えない。

ソヲルヤ

ソテ

ニノー

ト0へ

3、尋云、唱法華題目抄ニハ色色ヲ翠玉ヘリ、今何只題目畢耶、答、凡就二御本尊一始終弘通其不同有し之見タリ、唱

朝師御書見聞管見(浅井)

可し有し之也、

(安國論私抄咽’三二

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ラノノ

ー、価當世諸人諸乗一佛乗卜開會ス等云云、此義ハ専當世天台宗學兎ノ申趣卜覺タリ、

ニノ

○大莊嚴等ノ八萬大士、施權開權廃權ノイハレヲ得意分玉ヒテ領解シテノタマハク等事、傳云就二施開慶一三重習有レ

ーー

ーー

之、別可レ傳し之、仰云凡就二次第一能能可レ得し心仔細有し之、施開腰ハ佛意爲レ本次第スルナルベシ、施權慶權開權ハ

朝師御書見聞管見(浅井)

夕ク

ノシカシカ

法華題目抄ハ文應元年庚申五月廿六日之云云、其比未如二御内證一然然卜御本尊ノ様ヲバ弘玉ハズ、次第次第二甚深ニ

ーア

仰出タリ、文永建治ノ年號マデハ尚以素意ヲ残シ玉フ歎、弘安年中ノ御本尊二正ク素意ヲ書顯シ玉フト習也、サレバ

・ン

テヲス卜

本尊問答抄ハ以前ョリ一入本尊ノ意趣ヲ顯玉フ、故二末法相應ノ御本尊ヲサシ當テ以二題目一爲二本尊一云云、此條一段

シスヲノクキス

ラス

ノ相傳ノ趣也、始終ノ御本尊ノ習連連可レ書し之、此事深可二存知一也、努努不し可二馴爾一云云、

(本尊問答抄私見聞昭ノ八九)

〈メモ〉『唱題抄』は文応元年の御書であるから、御本尊の様を「第一に本尊は法華経八巻、一巻一品、或は題

目を書て本尊と可し定、法師品並に神力品に見えたり。又たへたらん人は釈迦如来・多宝仏を書ても造ても法華

経の左右に可レ奉レ立し之」(定遺二○二頁)とて、正しくは述べておられない。弘安二年以後まさに提婆・阿闇世

を加えた十界勧請の様が図顕されたと。

一一。

ニキス

テキ

4、私云、御法門ノ初ハ建長五年癸丑ナリ、八年後文應元年庚申御書也、此頃ノ御書等ハ可二存知一事有し之、追可レ

ス申也(唱法華題目抄事Ⅳノー五○)

〈メモ〉「存知すべき事これ有り」とは聖人一期の化導の始終についてである。

四、施開廃と折伏と

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ノヲス

ヲソ

機情邊爲レ本次第ニテ有し之也、尋云此約束未し得二其意一、凡擴其法禮問慶倶時卜鐸スレバ、佛意ハ開屡次第不し可し有し

ソノ

ーー

之卜覺タリ如何、答凡施開慶次第ハ玄文止観虚虚二其色色ヲ分別シ王ヘリ、餘所大概害し之、今取レ要可し申し之、今御

ノト

義二開慶ハ佛意次第云ハ義一先示方便即是眞實、既識實已永不用權ノ耀意卜覺タリ、廃開ハ機情次第卜云ルハ、十重

顯一時破唐開曾卜次第スルヲバ、前四重兎機情昇進卜程スル可レ思し之、サレバ約機邊ニテハ何ニモ塵ヲ爲レ先

(如説修行抄見聞略ノ四三三)

〈メモ〉蓮華三書のときの「施・開・廃」は仏意を本と為す次第で、開廃同時である。開会されれば所開の権教

の名はないから。「施廃開」は『玄義」の十重顕一の次第であり、機情に約した次第である。

ヲニノノ

ハノナリハ

2、又云又一切聖教不し出二四悉一故四悉中世界爲人即攝受意、對治即是折伏意也云云

レハノ

○法華浬藥攝折二門配立重重有し之事尋云法華折伏破權門理等云云、是玄九輝也、文句止観鐸ニハ法華攝受、浬藥

ーー

ツノ

ーー

折伏等云云、相違如何、答凡就二攝折一重重相貌有し之、先教行異有し之、価就レ教攝折ヲ判ズル時、玄九二破權門理等

ハ0トハ

ノニハヲ

レノ

云云、法華折伏浬藥攝受此義也、又就二行攝折一言し之、安樂行遠離豪勢、或不穂長短等云云是行攝受也、大經持弓

ハノ

帯箭等行折伏ニテ有し之、可レ思し之、尋云法華二行折伏有し之乎、答頭破七分等云云、尋云浬藥二行攝受有し之乎、答

二ノル

ヌク

ソヤ

住一子地等云云、尋云上件就二攝折一教行不同有し之由聞了、抑如レ此施設スルハ所用何事耶、答虚庭程義二攝受折伏ヲ

ーノ

ヲハ

ナル

ノヲ

(適時而已云云、尋云先就二大經一破法人ヲ禁トシテ、或断二命根一或駈遣等云云、何時可レ用二此折伏一乎、浬藥疏云、

ノハルノノヲ

ヲシヲマサシク

ラニ

Dノハ

出家在家護法取二其元心所爲一、棄レ事存し理匡弘二大教一、故言二護持正法一、不し拘二小節一故言二不修威儀一、○昔時

二yルーテ

ヲノハニソルヲヲ二ニヲニヲ

平而法弘應レ持レ戒、勿レ持レ杖、今時嶮而法鬚、應レ持レ杖勿レ持レ戒、今昔倶嶮、應二倶持疹杖、今昔倶卒、應二倶持ロ戒、

一アヲ

ニス

ノヲテ

、ン、ン

取捨得し宜不レ可二一向一尋云若折伏時攝受ヲ行セバ可レ有二何失一乎、浬藥經三云、若善比丘見二壌法兎一置不二呵責駈遣

朝師御書見聞管見(浅井)

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朝師御書見聞管見(浅井)

ノナリクシシセハレ

ステ

翠虚一、當レ知是人佛法中怨、若能駈遣呵責學虚、是我弟子眞聲聞也、浬藥疏四云、若善下結、即判二眞億一、不し治二段

ヲセハヲ

ノノ

ノノクスル

カヲ

ノクスル

禁一壌二凱佛法一、佛法中怨、無し慈詐親、是彼人怨、能糺治兎是護法聲聞、眞我弟子、爲レ彼除レ悪、即是彼親、能呵責

ノノ

ロトハノ

兎、是我弟子、不二躯遣一兎、佛法中怨、尋云如二今御書一末法今時ハ折伏ノ如説修行ヲ用云云所し言折伏兎教折伏歎、

ルニノヲ

ハラノ

行折伏歎、答見二御書始終一上人所し用専教折伏ト見タリ、尋云行折伏ヲ用ル義不レ可し有し之歎、私云安國論云、夫繰迦

ノノ

之以前佛教錐レ斬二其罪一、能仁之以後經説則止二其施一等云云、尋云大經所説執持刀杖等ノ行折伏ハ、正像末中ニハ專

レノ

ノスルノヲ

何時ヲ説玉フ乎、答經説相ハ専正法時歎卜覺タリ、其故ハ持戒人制二破戒比丘一時ノ相ヲ説玉フト見へタルガ故也、但

しノ

セムヲ

二セハヲ

何時也トモ國王等ノ威カヲモテ護二持正法一時、若背二王命一壊二正法一断二命根一等ノ事可し有し之歎可レ尋し之、

(同脇’四四四’五)

〈メモ〉法華・浬藥の両教を比較すると摂受、折伏に約教と約行との区別があるという見解は、早くも朝師に見

〈メモ〉法華・浬拠

えるところである。

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