ハイブリッドレジンブロックの耐摩耗性cad/cam...

CAD/CAMWear resistance of hybrid resin blocks for CAD/CAM CAD/CAM20144CAD/CAMCAD/CAMCAD/CAM1 , 2 , 1 ,1 Takagi N 1 , Nakayama M 2 , Ueno T 1 , Kumagai T 1 1 ), 2 ()1 GC , 2 GC dental products Table.1 使 CERASMART(CE) 300nm GRADIA BLOCK(GR) 110μm A B 10μm C 10μm D 10-20μm 3CAD/CAMGM-1000GCFig.131000300(5-5510,000) PMMA : = 1 : 1300g20,0000GC60010002400400023300g20,0000Fig.1 Fig.2 23.0 8.3 4.3 7.7 7.7 14.0 8.3 11.5 11.0 12.0 8.0 49 0 10 20 30 40 50 60 70 CE GR A B C D μmsample 未処理 TC10000 0.13 0.10 0.16 0.38 0.21 0.45 0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 CE GR A B C D (mm) sample Fig.3 Fig.4 SEMFig.5 32Fig.6 Fig.3CECEFig.4BDFig.5Fig.6CEGR3ABCDCERASMARTCE GR A B C D -20 -15 -10 -5 0 50 100 150 200 250 -20 -15 -10 -5 0 50 100 150 200 250 -20 -15 -10 -5 0 30 130 230 330 -20 -15 -10 -5 0 30 130 230 -20 -15 -10 -5 0 10 110 210 -20 -15 -10 -5 0 30 130 230 CE GR C B A D (μm) 学術情報 第 65 回 日本歯科理工学会学術講演会

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CAD/CAMハイブリッドレジンブロックの耐摩耗性 Wear resistance of hybrid resin blocks for CAD/CAM

近年、スキャナーや加工精度の向上、メタルフリー修復の背景もありCAD/CAMシステムを用いた治療が普及している。また、2014年4月より歯科用CAD/CAMシステムを用いたハイブリッドレジンによる歯冠補綴物への保険適用が認められ、CAD/CAM用ハイブリッドレジンブロックへの注目が高まっている。本発表ではCAD/CAM用ハイブリッドレジンブロックの咬合摩耗試験を行い、耐摩耗性について比較したので報告する。

○高木暢人1, 中山瑞樹2, 上野貴之1,熊谷知弘1

Takagi N1 , Nakayama M2 , Ueno T1 , Kumagai T1

1株)ジーシー , 2(株)ジーシーデンタルプロダクツ 1GC , 2GC dental products

目的

材料・試験方法

Table.1 使用材料

サンプル フィラータイプ 平均フィラー粒径

CERASMART(CE) ナノフィラー 300nm

GRADIA BLOCK(GR) 有機フィラー 1、10μm

既存製品A ポリマー+ セラミックネットワーク

既存製品B ナノクラスター 10μm

既存製品C ナノクラスター 10μm

既存製品D マイクロフィラー 10-20μm

結論

① コントロール、熱劣化における3体摩耗試験 材料

・咬合摩耗試験サンプルの作製 CAD/CAMハイブリッドレジンブロックをGM-1000(GC)で、Fig.1に示す形状に加工し、サンプルを作製した。 あ

・3体摩耗試験 ①作製したサンプルを咬合摩耗試験機(東京技研)にセットし,1000番の耐水研磨紙で左右運動で300回摩耗させ,面出しを行った。 ②熱劣化試験を行ったサンプルは、サーマルサイクル(5℃-55℃、10,000回)にかけた。 ③サンプルの厚みをマイクロメーターで測定し初期値とした。 ④対合をアクリル板、PMMA : グリセリン = 1 : 1のスラリーを疑似食物として、荷重300g、上下左右運動で20,0000回衝突摩耗させた。 ⑤摩耗後のサンプルの厚みをマイクロメーターで測定し、初期値との差を摩耗量とした。

・対合エナメルの作製 ①牛歯エナメルをユニファストⅡ(GC)で包埋し、水中で硬化させた。 ②包埋体を600番 →1000番 →2400番 →4000番で研磨しエナメルを露出させ対合エナメルを作製した。 あ

・対合にエナメルを用いた2体摩耗試験 ①初期値測定まではコントロールの3体摩耗試験と同等に行った。 ②エナメル表面が乾燥しないように蒸留水で満たし,荷重を300gとして左右運動で20,0000回滑走摩耗させた。 ③摩耗後のサンプルの厚みをマイクロメーターで測定し,初期値との差を摩耗量とした。 ④レーザー顕微鏡で対合エナメルの摩耗量を測定した。

Fig.1 サンプル形状と耐摩耗試験の模式図 Fig.2 摩耗試験機

② 対エナメルにおける2体摩耗試験

3.0 8.3

4.3 7.7 7.7

14.0 8.3 11.5 11.0

12.0 8.0

49

0

10

20

30

40

50

60

70

CE GR A B C D

摩耗量(μm)

sample

未処理 TC10000

0.13 0.10 0.16

0.38

0.21

0.45

0.0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

CE GR A B C D

摩耗量

(mm

)

sample

Fig.3 コントロールおよび熱劣化後の各ブロックの摩耗量

Fig.4 熱劣化サンプルの摩耗後のSEM画像

Fig.5 対エナメルにおける各ブロックの摩耗量

試験結果・考察

① コントロール、熱劣化における3体摩耗試験 ② 対エナメルにおける2体摩耗試験

Fig.6 エナメルの摩耗量 Fig.3よりコントロールにおける摩耗量はフィラー粒径に依存しており、CEの摩耗量が最も少ない結果となった。CEは表面処理を最適化したことで、フィラーの脱落が起こりにくく、平均フィラー粒径も小さいため凹凸が発生しにくいためであると考えられる。 サーマルサイクル後のサンプルでは、いずれもコントロールに対して摩耗量が増加した。サーマルサイクルによって、シラン処理の加水分解やフィラーとレジンの熱膨張率の差による応力集中などが起こることによって、フィラーとマトリックスの結合力が弱くなり,コントロールより摩耗したと考えられる。 Fig.4より、B、Dのような摩耗表面に亀裂のみられたサンプルがあり、サーマルサイクルによってフィラーとマトリックス界面に亀裂が入りやすくなったと考えられる。

Fig.5、Fig.6よりCE、GRにおいてサンプルおよび対合エナメルの摩耗量が少なかった。 この結果については3体摩耗試験と同様の考察ができる。 凹凸が発生しにくいことから、滑沢な表面を維持できるのでエナメル側の摩耗量も少なかったと判断できる。 Aはセラミックに近い組成であるためサンプルの摩耗量は少なかったが,エナメルを大きく摩耗させる結果となった。 B、C、Dはフィラー粒径が大きいため,表面の凹凸が発生しやすいと考えられ、エナメル側を摩耗させる結果となったと考えられる。

今回行った咬合摩耗試験の結果から、CERASMARTの耐摩耗性が優れた特性を示し、また対合歯のエナメル表面を摩耗させないことが示された。以上の結果から、長期渡る臨床において高い有用性が示された。

CE GR A

B C D

-20 -15 -10 -5 0

50 100 150 200 250

-20 -15 -10

-5 0

50 100 150 200 250

-20 -15 -10 -5 0

30 130 230 330

-20 -15 -10

-5 0

30 130 230

-20 -15 -10 -5 0

10 110 210

-20 -15 -10 -5 0

30 130 230

CE GR

C

B A

D 摩耗量

(μm

)

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