アセスメントによるモデルベースデザイン プロセス改善 ·...
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1 © 2013 The MathWorks, Inc.
アセスメントによるモデルベースデザイン
プロセス改善
MathWorks Japan
テクニカルコンサルティング部
部長
天野 祐治
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目次
1. “どうしたらMBDは組織に根付くのか?”
2. MathWorksが試みているアプローチ
3. MBD Maturity FrameworkとMBDプロセスアセスメント
4. アセスメントから見えてくる傾向
5. アセスメントの活用方法
6. MBD導入のケーススタディ
7. まとめ
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MBDは、どうしたら、“組織”に根付くのか? MathWorksコンサルティングのミッション:
お客様のMBD展開を支援し、その導入効果をご確認頂くこと
Proof of Concept
Deploy Component
Deploy Full Application
MB
D成熟度
Proof of concept
コンポーネントへの 適用
アプリケーション全体への適用
組織レベル へ展開
時間
最初の壁
4
MBDはどの工程に適用されているのか?
製品認証
システムモデリング
(ハード/ソフトモデル)
要求分析
ハード製作 実機検証
パラメータ適合
PCG
SILS/PILS
モデル形式検証
コード静的検証 RP
MILS HILS
V字の多様な工程で、
MBDを適用頂いている
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MBD成熟度の観点では?
多様な状況
Proof of Concept
Deploy Component
Deploy Full Application
MB
D成熟度
Proof of concept
コンポーネントへの適用
アプリケーション全体への適用
組織レベル へ展開
時間
• 導入効果を確認頂いているお客様も多い
• 量産適用が進んでいる
• MBDの新規導入を検討しているお客様が増加
• 導入後に課題を抱えているお客様も多い
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リードしているお客様のMBD導入パターン
“JMAABアプローチ” : パイオニア世代
有能なエンジニア
• SimulinkからMBDの可能性を見出す
少数精鋭グループ
• ノウハウ⇒プロセス⇒洗練
理解あるマネジメント
• 組織展開の後押し
パイロットプロジェクト
• 導入効果の証明
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プロジェクトリーダー /* C言語開発のエキスパート
ツール/プロセス管理系ご担当者 */
プロジェクト立案
• パイロットプロジェクトの選定
• スケジュール定義
• 作業手順・成果物定義
最近のMBD導入例
トップダウンアプローチ
マネジメント: • MBDの導入目的を定義
• 設計品質の向上
• コストダウン
• ビジネス上のニーズ
プロジェクト実施
• プロジェクトメンバへ展開
プロセス定義
作業手順・成果物定義で悩まれる
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目次
1. “どうしたらMBDは組織に根付くのか?”
2. MathWorksが試みているアプローチ
3. MBD Maturity FrameworkとMBDプロセスアセスメント
4. アセスメントから見えてくる傾向
5. アセスメントの活用方法
6. MBD導入のケーススタディ
7. まとめ
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“設計手法が組織に根付いた”…と言える条件は?
その設計手法がお客様の“プロセス”に組込まれていること
• 誰でも、一定の作業手順で、一定以上の品質を確保した開発ができる事
• 成果が、下流の工程/次回の開発に、うまくつながる事
組織が、その仕組みを実践し、自ら洗練を行えること
プロセス定義: 有能な個人・少数精鋭グループ依存からの脱却
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世にあるMBDのプロセス図とは…
Vプロセス MathWorks定義のMBD図
実機検証
パラメータ適合
システムモデリング
(ハード/ソフトモデル)
要求分析
RP
PCG
SILS/PILS
製品認証
MILS モデル形式検証
コード静的検証
HILS
ハード製作
INTEGRATION
IMPLEMENTATION
DESIGN
Environment Models
Physical Components
Algorithms
Other
CAD
Tools
VHDL,
Verilog C, C++
TE
ST
& V
ER
IFIC
AT
ION
RESEARCH REQUIREM
ENTS
Other
hardware
MC
U DSP
FPG
A
ASI
C
MBDに限ったものではない
概念図に近いのでは。。。
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プロセス定義で実際に悩むこと…の例
個々の工程のブレークダウン
システムモデリング
(ハード/ソフトモデル)
要求分析
RP
PCG
MILS
• 要求文書化されていない?
• モデル化するに必要な要求のあり方?、等
• プラントモデルがない
• プラントモデルの作成方法、その妥当性確認方法?、等
• 機能モデルvs実装モデル
• モデル品質の確認方法
• トレーサビリティ、エビデンス、
• モデルの管理方法、等
MATLAB/Simulinkは、
特定のアプリケーションに特化した
ツールではない
ツール単体では、プロセスを
サポートしていない
お客様ご自身で、プロセスに
ツールを組込む必要がある
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世にある“プロセス定義・改善論”で対応可能?
“最初の壁”を乗越えるのには不十分では。。。
MBD固有の具体的な作業内容、
成果物が読み取れない
特定のツールに特化した文書ではない
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MathWorksのアプローチ
MBDに特化したプロセス定義・改善方法を用意すること
Pragmatic Strategies for Adopting
Model-Based Design
(SAE 2010-01-0935)
Best Practices for Establishing
a Model-Based Design Culture
(SAE 2007-01-0777)
• MBD Maturity Framework
• MBD プロセスアセスメント
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目次
1. “どうしたらMBDは組織に根付くのか?”
2. MathWorksが試みているアプローチ
3. MBD Maturity FrameworkとMBDプロセスアセスメント
4. アセスメントから見えてくる傾向
5. アセスメントの活用方法
6. MBD導入のケーススタディ
7. まとめ
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MBD Maturity Frameworkとは?
MathWorksが定義するMBD ベストプラックティス
2007年のUSのコンサル案件がきっかけ
現在は、その妥当性をMBDプロセスアセスメントで検証中
将来は公開を予定
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Model-Based Design Maturity Framework
Pillars
Process Groups
Process Attributes
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Modeling pillar details
Modeling Language Selection
Algorithm Modeling
Environment/ Plant Modeling
Architecture
Modeling Standards
Size
Hierarchy
Interfaces
Partitioning
Data Management
Scheduling
Testability
Data Modeling
Process Groups Pillar Process Attributes
Modeling Language Selection
Algorithm Modeling
Environment/ Plant Modeling
Modeling Standards
Requirements
Requirememts
MBD成熟度の評価基準:
6 Pillars,
28 Process Groups,
200+ Process Attributes
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MBD プロセスアセスメントとは?
MBD Maturity Frameworkをベースに、お客様のMBD成熟度を診断するサービス
World-Wideで全54件の実績
自動車系(含む建機)
航空宇宙
医療、産業機器、輸送、エレクトロニクス
アセッサ:MathWorks シニアメンバー
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MBD成熟度を表すレーダーチャート
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目次
1. “どうしたらMBDは組織に根付くのか?”
2. MathWorksが試みているアプローチ
3. MBD Maturity FrameworkとMBDプロセスアセスメント
4. アセスメントから見えてくる傾向
5. アセスメントの活用方法
6. MBD導入のケーススタディ
7. まとめ
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紹介する内容
1. レーダチャートによるMBD成熟度の比較
全アセスメント結果の総合数値から、以下の3つのカテゴリに分け、
そのカテゴリ毎の平均値をレーダチャートで比較
総合数値の上位20%のお客様 : Leaders
総合数値の中間層のお客様 : Average
総合数値の下位20%のお客様 : Laggards
2. 自動車業界と航空・宇宙・防衛との比較
3. 総合数値下位20%のお客様の問題の典型例
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総合的なMBD成熟度 – 上位20%のユーザ(Leaders)
0
20
40
60
80
100
Modeling
Simulation and Analysis
Implementation
Verification andValidation
Process, Toolsand Infrastructure
Enterprise Management
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総合的なMBD成熟度 – 中間層 (Average)
0
20
40
60
80
100
Modeling
Simulation and Analysis
Implementation
Verification andValidation
Process, Toolsand Infrastructure
Enterprise Management
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総合的なMBD成熟度 – 下位20%のユーザ
(Laggards)
0
20
40
60
80
100
Modeling
Simulation and Analysis
Implementation
Verification andValidation
Process, Toolsand Infrastructure
Enterprise Management
25
自動車業界の平均
0
20
40
60
80
100
Modeling
Simulation and Analysis
Implementation
Verification andValidation
Process, Toolsand Infrastructure
Enterprise Management
26
0
20
40
60
80
100
Modeling
Simulation and Analysis
Implementation
Verification andValidation
Process, Toolsand Infrastructure
Enterprise Management
航空・防衛系の平均値
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自動車業界と航空・宇宙・防衛の比較
0
20
40
60
80
100
Modeling
Simulation and Analysis
Implementation
Verification andValidation
Process, Toolsand Infrastructure
Enterprise Management
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総合数値下位20%のお客様の典型例
Simulationを活用されていない
モデルとの一致性確認
モデル
コード生成
Cコード
要求仕様
MBDの大きな特長
“フロントローディング” ↓
仮想環境上で、要求の妥当性を含めた検証が可能
要求確認
検証仕様
テスト入力
期待値
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Simulationを活用していない典型的なパターン
マニュアルSW等でテストパターンを実行、目視で動作確認
長所 : 実機感覚で操作可能
短所 :
再現性の確保が困難 (特に複数入力信号がある場合)
目視によるチェックによる漏れ
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典型的な改善パターン
MATLAB外部で、テスト入力、期待値を予め定義し、シミュレーションで使用
長所 : 再現性の確保、テストの自動化
MATLAB外でテストを作成・管理
例:計測器データからの入力
短所 : (一般に)行列形式の入力が困難
テスト設計ロジックが見えない
MATLAB上に読込み、
Inportへ流し込み
シミュレーション結果をログし、
MATLAB上で期待値照合
テストパターン自体を、人間がハンドで
作成しているのであれば問題
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更なる改善パターン
長所 : 検証対象とパラメータを共有した
テストロジック
テスト設計を含めたデバッグ
閉ループ系対応
信号ロギングによるテスト切出し
短所 : 検証ロジックのモデル化が必要
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目次
1. “どうしたらMBDは組織に根付くのか?”
2. MathWorksが試みているアプローチ
3. MBD Maturity FrameworkとMBDプロセスアセスメント
4. アセスメントから見えてくる傾向
5. アセスメントの活用方法
6. MBD導入のケーススタディ
7. まとめ
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アセスメントがもたらすもの
1. 組織のMBD能力に関する現状分析
6本のPillar毎に分析した、組織の強みと弱み
2. MBDプロセス改善案リスト
具体的なインプリメンテーション検討に向けた指針
お客様の
現行MBDプロセス MBD能力の分析と
改善案
アセスメント
インプリ
更なる
深堀り
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アセスメント⇒インプリの差異
アセスメント結果
お客様の現状MBDプロセス: • MAABルールを適用し、Model Advisorで確認しています
インプリ: 何が“重要”なパラメータ?
• 使用するブロック依存⇒そもそも使用するブロックは?
• デフォルト値は?パラメータ自体の妥当性確認?
• 歯止めとしてのカスタムチェッカーの実装?…
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どこからプロセス改善を行うのか?
6本のPillar全て、同時に、改善するのは難しい
改善対象を絞り、フェーズプランの立案が重要
お客様のビジネス
既存プロセスとの折合いのつけ易さ
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目次
1. “どうしたらMBDは組織に根付くのか?”
2. MathWorksが試みているアプローチ
3. MBD Maturity FrameworkとMBDプロセスアセスメント
4. アセスメントから見えてくる傾向
5. アセスメントの活用方法
6. MBD導入のケーススタディ
7. まとめ
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米国キャタピラ社のMBD導入例
Mr. Larry Kendrick
2008年に、MathWorks に入社
MBD Maturity Framework、MBD プロセスアセスメ
ントの開発メンバの一人
30年間 キャタピラ社に在籍
制御システム開発で、ハンドコードベースのプロセス
から、MBDプロセスへ移行を担当
内製ツール、技術能力開発、プロセスを定義
Caterpillar Automatic Code Generation
(SAE 2004-01-0894)
2005年にCAT社内で、プロセス改善賞を受賞
2003年⇒2005年の累計で、200億円の
コストセービングを達成した、と試算
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キャタピラーでのMBD展開フェーズプラン #1
Phase-1 : SimulationとRPT用途にMBDを導入 (1995)
CATは、元々、ハンドコードでRPT実装を行っていた。コーディング
時間と品質が課題
Phase-2 : 実製品開発用途に、自動コード生成機能を適用
(1996)
RPT向け自動コード生成の成功を受け、クリティカルではないプロ
ジェクトに自動コード生成を適用
Phase-3 : 主要コンポーネント向けに自動コード生成を適用 (1998)
ハンドコードのWrapperを使い実装。しかし、ハンドWrapperが必
要となることが問題視
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キャタピラーでのMBD展開フェーズプラン #2
Phase-4 : レガシー環境へのコンポーネント実装を自動化 (2001)
コード生成ツールのカスタマイズ、及び“ソフトウエアI/F仕様の変更”によりWrapperの削除。量産工程への適用が実現
Phase-5 : 全体の自動コード生成化 (2004)
実装は一部マニュアル操作が必要だった
強化された排ガス規制に対応する、ソフトウエアの変更容易性が、最大のMBD導入効果として社内で認められた
Phase-6 : アプリケーションの完全自動実装 (2006)
マニュアルプロセスの除去
Phase-7 : 検証系ツールの更なる活用 (2009~)
Implementation先行
Verification & Validationは後回し
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キャタピラ社で課題となったこと
1. 新しい技術要素の導入
プラントモデル
量産コード生成
2. 既存開発プロセスとの統合
3. エンジニアの役割変更
4. マネジメントからのサポート
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対策
プラントモデル
RPTの最大活用
プラントモデル作成に制御エンジニアも参加
自動コード生成
クリティカルではない機能から適用
既存C関数のモデル化は行わない。新機能設計のみに適用
要求仕様の明確化
ツールの機能に合うように、ソフト側の仕様を変更した
既存開発プロセスとの統合
MBD展開チームを設立
設計・テスト・実装プロセスを変更する権限と責任を付与
• Phase-1 : 1名
• Phase-4 : 2名
• Phase-6 : 4名
400~500名のエンジニア、社内全RPTシステムをサポート
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目次
1. “どうしたらMBDは組織に根付くのか?”
2. MathWorksが試みているアプローチ
3. MBD Maturity FrameworkとMBDプロセスアセスメント
4. アセスメントから見えてくる傾向
5. アセスメントの活用方法
6. MBD導入のケーススタディ
7. まとめ
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プロセス定義の難問
1. エンジニアリング領域
プラントモデリング、及びその妥当性検証方法
コントローラモデルの分割の仕方、等
2. トレードオフがある場合
制約を強化すれば、現場の負荷が増える、効率が落ちる…
全てMATLABで行うとライセンスが不足する…
例 MATLAB vs Excel等
3. 理想と現実の調整
組織間を跨いだモデル・テストの交換 vs IPプロテクション,等
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MBDを組織に根付かせるためには…
MBDのベストプラックティスを知ること
現状のMBD成熟度を認識し、”あるべき論”とのギャップを
把握すること
フェーズプランで、プロセス改善の方針を立てること
MBD Maturity Frameworkを用いたMBDプロセスアセスメント