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トレーシングレポートの スマートな書き方 2021.1.20 横浜市立大学附属市民総合医療センター 外来がん治療認定薬剤師 近藤 潤一

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  • トレーシングレポートのスマートな書き方

    2021.1.20

    横浜市立大学附属市民総合医療センター

    外来がん治療認定薬剤師

    近藤 潤一

  • 本日の内容

    外来がん治療におけるトレーシングレポートの目的

    スマートなトレーシングレポート

    トレーシングレポート作成のコツ

    —OPQRSTの活用

    ―NCI-CTCAEによる評価

  • 本日の内容

    外来がん治療におけるトレーシングレポートの目的

    スマートなトレーシングレポート

    トレーシングレポート作成のコツ

    —OPQRSTの活用

    ―NCI-CTCAEによる評価

  • トレーシングレポートの目的

    トレーシングレポート

    厚生労働省HPより引用

  • トレーシングレポートの目的

    抗がん剤、支持療法薬に関する服用状況と副作用等の把握

    保険薬局でのみ得られる治療継続上重要な情報の提供

    がん患者のQOL維持と治療の質的向上

  • 本日の内容

    外来がん治療におけるトレーシングレポートの目的

    スマートなトレーシングレポート

    トレーシングレポート作成のコツ

    —OPQRSTの活用

    ―NCI-CTCAEによる評価

  • スマートなトレーシングレポート

    目的が明確

    内容が簡潔

    副作用の症状・重症度評価が明瞭

    丁寧

  • 本日の内容

    外来がん治療におけるトレーシングレポートの目的

    スマートなトレーシングレポート

    トレーシングレポート作成のコツ

    —OPQRSTの活用

    ―NCI-CTCAEによる評価

  • トレーシングレポート作成のコツ

    1. 全体像の把握

    2. 問診による情報収集と症状評価ーOPQRSTの活用

    3. 重症度の評価ーNCI-CTCAEによる評価

    4. 対策の立案

    がん薬物療法副作用管理マニュアルより引用、改変

  • OPQRST法

    医療関係者が用いる問診時の手法のひとつ

    医療面接、医療推論に用いられる

    聴取もれが少なく、網羅的に情報収集ができる

    医療者間の情報伝達にも有用

    がん薬物療法副作用管理マニュアルより引用、改変

  • OPQRST法

    がん薬物療法副作用管理マニュアルより引用、改変

    O Onset 発症様式

    P Palliative/Provocative factor 寛解因子、増悪因子

    Q Quality/Quantity 性質、量

    R Region/Radiation/Related symptom 場所、広がり、関連症状

    S Severity/Associated symptom 強さ、随伴症状

    T Time course 時間経過、日内変動

  • OPQRST法

    O(発症様式)

    いつから?徐々に?急激に?その後の経過は?

    突然、急性、慢性の区別が有用な情報.

    発症のスピードの持続期間によって区別する.

    ①突然:秒から分の単位

    ②急性:時間から日の単位

    ③慢性:日から月の単位

    がん薬物療法副作用管理マニュアルより引用、改変

  • OPQRST法

    P(寛解因子、増悪因子)

    なにかすると楽になったり酷くなったりしますか?

    寛解・増悪因子は病態生理的機序で裏付けされる.

    薬剤の視点と薬剤以外の視点が重要.

    再現性があれば、信頼度が増す.

    支持療法薬の効果判定や対策立案にも有用.

    がん薬物療法副作用管理マニュアルより引用、改変

  • がん患者の悪心・嘔吐の原因(11M)

    がん薬物療法副作用管理マニュアルより引用、改変

    • 転移(Metastases)

    • 髄膜刺激(Meningeal irritation)

    • 動作(Movement)

    • 精神的要素(Mental anxiety)

    • 薬剤性(Medications)

    • 粘膜刺激(Mucosal irritation)

    • 機械的閉塞(Mechanical obstruction)

    • 腸運動(Motility)

    • 代謝性(Metabolic)

    • 微生物(Microbes)

    • 心筋(Myocardial)

  • OPQRST法

    Q(性質、酷さ、量)

    どんな症状か?どんな強さか?

    数値化できれば数値化を図る.

    数値化できなければ日常生活への影響を評価.

    症状の程度の変化は治療効果の判定に有用.

    NCI-CTCAEによる評価.

    がん薬物療法副作用管理マニュアルより引用、改変

  • OPQRST法

    R(場所、広がり、関連症状)

    S(強さ、随伴症状)

    どこに?どんな範囲で?一緒に起こる症状は?

    症状の部位・範囲・随伴症状は原因の特定に有用.

    がん薬物療法副作用管理マニュアルより引用、改変

    下痢の随伴症状陽性所見:腹痛(患者の主観的評価)

    陰性所見:悪心、嘔吐、発熱

    便秘の随伴症状 陽性所見:腹痛(患者の主観的評価)、腹部膨満感

  • OPQRST法

    T(時間経過、日内変動)

    一時的か?持続的か?周期的なものか?

    関連しているものは?

    時間経過、日内変動は原因の特定に有用.

    支持薬等の評価に有用.

    薬剤提案のカギとなる.

    がん薬物療法副作用管理マニュアルより引用、改変

  • Take Home Message

    報告は、目的を明確、必要事項を簡潔に.

    系統だった記載、症状の評価が原因の病態・鑑別の鍵.

    多角的な視点を常に持つ.

    送付相手に情報を伝えることを意識する.

    がん患者のQOL維持と治療の質向上に重要.

  • 今後の予定

    次回

    日 時:2020年2月18日(木)19:00~

    テーマ:irAEの副作用と対策

    次々回

    日 時:2021年3月中旬

    テーマ:緩和ケア

    ぜひご参加ください