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インターネット調査品質 ガイドライン
2017年11月
一般社団法人日本マーケティング・リサーチ協会 インターネット調査品質委員会
時代とともに変えていくべきこと、守るべきこと
目 次
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u はじめに
u ガイドラインの策定に至った背景と意義
u インターネット調査の基本方針
1. 調査協力者を大切にする ① 調査協力者あってのインターネット調査であることを理解する
② 調査協力者のプライバシーに配慮する
③ 回答負荷を意識した謝礼の支払いを心がける
2. 調査協力しやすい調査票を設計する ① 回答所要時間は10分以内を推奨
② 巨大マトリクスは使わない ③ マトリクス形式や自由回答を多用しない
④ スクリーニング調査では抽出に使わない質問を控える
3. 時代に応じたインターネット調査を実施する ① マルチデバイスで回答できるようにする
② 回答環境に配慮する
③ デバイス環境に対応したコミュニケーション
④ 無駄を省いたシンプル設計 ⑤ まずは自分で回答してみる
まとめ
u おわりに
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はじめに
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インターネット調査がマーケティング・リサーチで普及して早15年が経とうとしているが、近年、スマートフォンの普及とともにインターネット調査の環境は激変を遂げてきている。
しかし、現場で行われているインターネット調査はPCを前提としたままになっており、協力率の低下や回答品質の低下が危惧され始めている。そこで、日本マーケティング・リサーチ協会では2016年8月に、実際にインターネット調査を運用している調査会社が中心となり、インターネット調査品質小委員会を設立した。
そして、インターネット調査というリサーチ環境を持続的に維持し、品質の高い調査データをクライアント企業に届け続けるために「インターネット調査品質ガイドライン」を策定することになった。
本ガイドラインは調査会社のリサーチャーが守るべきものとして策定しているが、インターネット調査を依頼する企業の担当者の方にもご理解ご協力いただきたい内容となっている。
このガイドラインはJMRA加盟各社の拘束力を伴うものではないが、調査に関係する人すべてがこのガイドラインに従ったインターネット調査に変えていくことで、インターネット調査の品質が向上し、これからも企業のマーケティング活動の支援につながっていくことを期待する。
2017年11月
一般社団法人 日本マーケティング・リサーチ協会
インターネット調査品質委員会
ガイドライン策定に至った背景と意義
ガイドライン策定に至った背景と意義
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• インターネット調査は、アドホック調査市場の約半分(2016年現在)の売上シェアを占めている。また、インターネット調査はインタビュー調査や会場調査といった定性調査のリクルーティングにも使われており、日本のマーケティング・
アドホック調査の調査手法別売上構成比
• 日本は2000年台初めからPCの普及率が高く、かつ大規模なアクセスパネルが構築できたことからインターネット調査の普及が進んだが、これはPCを前提としてきた。
マーケティング・リサーチに欠かせない手法:インターネット調査
• 2010年頃からスマートフォン利用者が増え始め、生活者のインターネットの利用の仕方が激変した。
• インターネットを利用する主なデバイスがPCからスマートフォンに移り変わり、アンケートの回答デバイスも徐々にスマートフォン比率が高まってきている。
• このように生活者の、調査協力者の回答デバイスがスマートフォンにシフトしているが、依頼している調査票の設計が十分にスマートフォンに対応できていないのが実情である。
モバイルシフトへの対応の遅れ
JMRAインターネット調査品質委員会調べ
リサーチの基幹システムとなっている。
ガイドライン策定に至った背景と意義
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• PCと違い、スマートフォンは画面のサイズがとても狭く、一度に閲覧できる情報量が限られてる。そのため、同じ調査票を回答するにしても、PCよりもスマートフォンのほうが時間が長くかかるし、調査協力者が感じる回答負荷も大きくなる。そして、各調査会社のアクセスパネルに登録している人のアクティブ率の低下が起こり始めている。
• このアクティブ率の低下がこのまま進行すれば、インターネット調査の協力率の低下、調査品質の低下は避けられない。
回答負荷の増加と調査品質の低下の懸念
• インターネット調査には、アクセスパネル型の調査のほかにも、SNSやリバーサンプリングを使って調査協力者に依頼する方法もある。しかし、どのような形のインターネット調査でも、やり方を間違えればその継続性は望めない。
• JMRAインターネット調査委員会では、インターネット調査という調査の作法を今一度見つめ直していく必要があると考えている。こうした取り組みは、加盟個社の取り組みでは難しく、調査業界全体、そして調査依頼者にも、共通の理解がなければ進められない。
• そこで、高品質で持続可能なインターネット調査で在り続けるために、マーケティング・リサーチに携わるすべての方々に向けて、このガイドラインを策定することになった。
• そして、このガイドラインでは、「調査協力者を大切にする」というインターネット調査で忘れられようとしている調査の基本を、今一度思い出していただきたいと願い、ガイドラインの根幹として位置付けた内容となっている。
あらゆる調査関係者の共通理解の必要性
インターネット調査の基本方針
インターネット調査の基本方針
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• このインターネット調査品質ガイドラインは、以下の3部構成とし ている。
• このうち、「1.調査協力者を大切にする」は時代が変化しても調査を実施する上で普遍的に守り続けるべき内容であり、 「2.調査協力しやすい調査票を設計する」 と「3.時代に応じたインターネット調査を実施する」はインターネット環境の変化に応じて柔軟に変えていくべき内容としている。
時代が変化しても守るべきこと
時代とともに変えていくべきこと
1. 調査協力者を大切にする
2. 調査協力しやすい調査票を設計する 調査ボリュームの軽減 ~回答意欲を維持し、離脱・退会を防ぐ調査票設計~
3. 時代に応じたインターネット調査を実施する 回答デバイスに配慮した調査設計 ~「聞きたいことを盛り込む」から「伝わる」調査票設計へ~
インターネット調査の基本方針 1.調査協力者を大切にする
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• インターネット調査は協力してくれる人がいなければ、調査が成り立たない。調査協力者は調査業界における大切な経営資源でもあるが、調査データを活用する人にとっても、マーケティングを支援してくれているビジネスパートナーであることを認識してほしい。
• また、調査協力者はインターネット調査だけに答えているわけではなく、一般の生活者である。日々の暮らしのなかで、一部の時間を割いてアンケートに協力してくれているのだ。したがって調査協力者に調査を依頼するときには、以下のことに注意しなければならない。
① 調査協力者あってのインターネット調査であることを理解する
② 調査協力者のプライバシーに配慮する
③ 回答負荷を意識した謝礼の支払いを心がける
インターネット調査の基本方針 1.調査協力者を大切にする
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① 調査協力者あってのインターネット調査であることを理解する
調査会社 調査依頼者
ガイドラインの対象
② 調査協力者のプライバシーに配慮する • 個人情報保護法の成立以降、生活者のプライバシーに対する意識は高まって
いる。調査を企画する者は、調査協力者が不快に思うようなことを根掘り葉掘り聴取することは控えるべきである。
• また、アンケートで聴取した内容やスマートフォンの行動履歴から取得したプライバシー情報は、総務省スマートフォンプライバシーイニシアティブ(SPI)に準拠して、適切に取扱わなければならない。
Q.アンケートで回答したくない質問、提供したくない行動履歴情報(MA)
マクロミル調べ 実施時期:2017年10月
• このように調査協力者の保護を常に心がけ、そのプライバシー情報の取扱いには十分に配慮しなければならない。
• Webログや決済情報といったビッグデータと呼ばれるものは、自動的に集まるものであり、データを提供する個人に負担がかかることはない。
• しかし、インターネット調査は集めるデータである。調査データは、調査協力に同意してくれた人に、ひとつひとつの質問文を読んでもらい、考えてもらい、マウスやタッチパネルを操作してもらった結果の集合体である。
• インターネット調査は調査協力者の善意によって成り立っているが、調査協力者は無限にいるわけではない。たった一度の嫌な体験がきっかけで、二度とマーケティング・リサーチに協力してくれなくなる。持続可能なインターネット調査とするためにも、常に調査協力者に感謝の気持ちを忘れてはならない。
インターネット調査の基本方針 1.調査協力者を大切にする
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③ 回答負荷を意識した謝礼の支払いを心がける • 調査協力者は、自分が回答した調査の負担感に対してもらえる謝礼が少ない
と感じることで、「アンケートに協力しよう」という意欲を損ねてしまっている。
• 継続的に調査に協力してもらうためにも、各調査会社は回答負荷を意識して、謝礼の基準を設定すべきである。
インテージ調べ 実施時期:2016年9月
Q.アンケートに「もう協力したくない」と思うときは、どんなときですか?(MA)
調査会社
ガイドラインの対象
50%45%40%35%30%25%20%15%10% 5% 0%
41.2 40.6
31.9
23.919.5 18.1 16.3 15.0
9.9 9.46.6 5.5
1.9
12.2
インターネット調査の基本方針 2. 調査協力しやすい調査票を設計する
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• 現在、若者を中心にインターネットへのアクセス手段はスマートフォンへと移り変わっている。そして、ゲームや動画、SNSなどインターネット上で楽しむコンテンツが溢れる中で、人々の興味が分散しており、長時間アンケートに回答することへの耐性が失われつつある。
• そのため、調査協力しやすい調査票の設計に向け、以下を考慮する。 • 調査票は、調査協力者との最大のコミュニケーションの接点であることを認
識し、調査協力者のストレスをできる限り軽減し、最後まで集中して回答してもらえるような調査票の設計に努めるべきである。
調査ボリュームの軽減
~回答意欲を維持し、離脱・退会を防ぐ調査票設計~
① 回答所要時間は10分以内を推奨
② 巨大マトリクスは使わない
③ マトリクス形式や自由回答を多用しない
④ スクリーニング調査では抽出に使わない質問を控える
インターネット調査の基本方針 2. 調査協力しやすい調査票を設計する
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① 回答所要時間は10分以内を推奨 • アクセスパネルに登録していると、1日に複数のアンケートの依頼がある場合
がある。調査協力者には、仕事や勉学、家事・育児、移動、睡眠などを除いた貴重な自由時間を割いてアンケートに協力していただいており、アンケートの回答に多くの時間を費やせるものではない。アクティブな調査協力者でさえも、10分以上回答できるという人は2割しかいない。
Q. インターネットのアンケートは1回あたり何分までなら 回答してもよいか。
• 1分あたり3問の質問に回答できると想定した場合、10分で回答できる質問数は30問となる。この考え方に基づくと、実際にJMRA加盟各社で行われているインターネット調査のうち、約24%が10分以内では回答できていないことになる。
• 業界全体のインターネット調査の品質を向上させていくためにも、これら24%の調査の調査ボリュームをいかに軽減していくかが課題である。
• もし、10分以内に収めることが難しい場合には、複数の調査に分割することを推奨する。
JMRAインターネット調査品質委員会調べ
調査会社 調査依頼者
ガイドラインの対象
• より多くの人に回答していただけるような調査にするためには、調査ボリュームを軽減する必要がある。このため1回のアンケートで続けて回答できる所要時間が10分以内となるように調査票を設計すべきである。
インターネット調査の基本方針 2. 調査協力しやすい調査票を設計する
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② 巨大マトリクスは使わない • デバイスを問わず、マトリクス設問は最大の脱落要因となっている。特に
小さなスマートフォン画面で縦横双方にスクロールを要するものは極めて回答しにくい。
• 誤回答や回答脱落を防ぐためにも、巨大なマトリクス設問を含んだ調査票を設計すべきではない。
調査会社 調査依頼者
ガイドラインの対象
インターネット調査の基本方針 2. 調査協力しやすい調査票を設計する
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④ スクリーニング調査では抽出に使わない質問を控える • インターネット調査では、アクセスパネルの中から調査の対象者を抽出するた
めに、本調査の前にスクリーニング調査を実施することが多い。スクリーニング調査は依頼数が多いため、必然的に調査協力者が回答するアンケートの多くをスクリーニング調査が占めている。
• また、調査会社の多くは、スクリーニング調査を回答したときに支払う謝礼を本調査よりも低く設定しているが、近年、調査業界全般において、スクリーニング調査の質問数が増加する傾向にある。このような謝礼に見合わない、回答負荷の高いスクリーニング調査の増加が、調査協力者の非アクティブ化・退会の要因となっている。
• 対象者の抽出のために使わない質問は、本調査で質問するのが原則であり、スクリーニング調査では、対象者の抽出に使わない質問を極力控えるべきである。
③ マトリクス形式や自由回答を多用しない • デバイスを問わず、マトリクス形式や自由回答形式の質問は回答負荷が高い。 • 特にスマートフォンではマトリクス設問を回答するときにスクロールさせる
動作や入力に時間がかかっている。 • 協力者の心理的な負担が蓄積して、脱落を避けるためにも、マトリクス形式
や自由回答形式を多用してはならない。
調査会社 調査依頼者
ガイドラインの対象
インターネット調査の基本方針 3. 時代に応じたインターネット調査を実施する
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回答デバイスに配慮した調査設計 ~「聞きたいことを盛り込む」から「伝わる」調査票設計へ~
① マルチデバイスで回答できるようにする
② 回答環境に配慮する
③ デバイス環境に対応したコミュニケーション
④ 無駄を省いたシンプル設計
⑤ まずは自分で回答してみる
インターネット調査の基本方針 3. 時代に応じたインターネット調査を実施する
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① マルチデバイスで回答できるようにする • アクセスパネルに新規に登録する人々の中で、スマートフォンから登録する人
が年々増えている。また、アンケートに回答するときのデバイスも、年々スマートフォンが増えてきている。
JMRAインターネット調査品質委員会調べ
• アンケートの回答デバイスを年代別にみると、若年層ほどスマートフォンからの回答が多く、10代では約75%がスマートフォンからの回答となっている。一方、60代以上ではPCからの回答が多く、90%以上がPCからの回答となっている。
• このように年代によって、回答デバイスの様相は大きく異なるので、幅広い年代の人から回答してもらうには、PCだけでもスマートフォンだけでも十分ではない。
JMRAインターネット調査品質委員会調べ
調査会社 調査依頼者
ガイドラインの対象
JMRAインターネット調査品質委員会調べ
インターネット調査の基本方針 3. 時代に応じたインターネット調査を実施する
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• また、同じ年代であったとしても、PCとスマホで回答する人によって、情報感度や対人関係に関する意識などが異なる。
• このように、インターネット調査においてPCかスマートフォンのいずれかのデバイスに制限してしまうことは、一部の生活者の実態しか把握していないことになる。
• 市場の実態を正しく把握するためには、幅広い人たちに調査に協力していただく必要があるので、回答デバイスを制限すべきではない。
• また、調査協力者の回答デバイスの構成比は、時代とともに変化していくものなので、一定の割合で固定するのではなく、回答者が回答したいと思うデバイスを自由に選択させることが大切である。
インターネット調査の基本方針 3. 時代に応じたインターネット調査を実施する
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② 回答環境に配慮する • 生活者と調査の接点はPCからスマートフォンに移りつつある。スマートフォ
ンは時間と場所の制約がないので、いつでもどこでもアンケートを回答することができる。
• 外出先でのスキマ時間を使って回答しているケース、メッセージの着信やアプリの中断で回答を遮られることもありえる環境で回答をしている。
• そういう人たちが今後の調査協力者として大きく占めるようになっていくことを理解して、調査を設計すべきである。インターネット調査もインターネット環境の変化への理解とその対応が必要である。
• これからのインターネット調査は、スマートフォンで回答する人が含まれることを前提に、調査票を設計すべきである。
• スマートフォン回答者は基本的には縦向きで回答している。アンケートに回答するために、横に持ち替えるようなことは期待してはいけない。
• これからの調査票はデバイスの利用特性を考慮して、スマートフォンの縦方向のスクロールで質問文や選択肢が閲覧できるようにすることが重要である。
調査会社 調査依頼者
ガイドラインの対象
インターネット調査の基本方針 3. 時代に応じたインターネット調査を実施する
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④ 無駄を省いたシンプル設計 • 小さなスマートフォンの画面では、選択肢の数が多すぎると長いスクロー
ルが発生するので、選択肢が読み飛ばされてしまう。 • 回答品質が高いデータを得るためには、選択肢は網羅性よりも優先順位を
考えて、選定しなければならない。
③ デバイス環境に対応したコミュニケーション • スマートフォンは常に調査協力者の身近にある端末である。協力者に不快
感を持たせる深夜時間帯のメールの通知は避けるべきである。 • メッセンジャーアプリの普及により、メールだけを前提としたアンケート
依頼は成立しなくなっている。アプリによるプッシュ通知、リマインダーなど、様々なアンケートの依頼方法への対応が必要である。
Q あなたが興味をお持ちのスポーツを全てお答えください。(MA)
クロスマーケティング調べ
ヒートマップ
視線の滞留時間を表したもの。 青色に近いほど閲覧時間が短い
選択肢15個 選択肢30個
調査会社
ガイドラインの対象
調査会社 調査依頼者
ガイドラインの対象
インターネット調査の基本方針 3. 時代に応じたインターネット調査を実施する
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⑤ まずは自分で回答してみる • インターネット調査で、多くの人が途中で回答を中止してしまう調査は、歪
んだ調査結果になってしまう。 • アンケートモニターだから答えられて当然と思うのではなく、普通の人が最
後まで回答できるような内容になっていなければならない。 • 調査企画者や設計者は、調査画面が完成しても調査を開始する前に、回答者
の視点でPCだけでなく、スマートフォンからも回答しながら調査画面を確認するべきである。
インテージ調べ 実施時期:2017年1月
• また、回答者が誤認して回答をしないように、質問文を長く、丁寧に書いてしまうと、選択肢が表示される領域を狭めてしまう。伝わる範囲内、失礼にならない範囲内であれば、質問文を簡潔にしても回答には影響しない。
• 質問文は、なるべく簡潔に伝えるように心がけるべきである。
調査会社 調査依頼者
ガイドラインの対象
(まとめ) インターネット調査の基本方針
① 回答所要時間は10分以内を推奨 ② 巨大マトリクスは使わない ③ マトリクス形式や自由回答を多用しない ④ スクリーニング調査では抽出に使わない質問を控える
① 調査協力者あってのインターネット調査であることを理解する ② 調査協力者のプライバシーに配慮する ③ 回答負荷を意識した謝礼の支払いを心がける
① マルチデバイスで回答できるようにする ② 回答環境に配慮する ③ デバイス環境に対応したコミュニケーション ④ 無駄を省いたシンプル設計 ⑤ まずは自分で回答してみる
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ガイドライン の対象
調査会社
時代とともに変えていくべきこと、守るべきこと 調査依頼者
1.調査協力者を大切にする
2.調査協力しやすい調査票を設計する (調査ボリュームの軽減)
3.時代に応じたインターネット調査を実施する (回答デバイスに配慮した調査設計)
時代が変化しても 守るべきこと
時代とともに 変えていくべきこと
おわりに
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• アンケート調査が紙からPCを前提としたインターネット調査へと移行したとき、メソドロジーは変わったが、調査票の本質は変わっていない。かえって紙面の制約がなくなったことで、質問数やマトリクス設問が増え、調査票の肥大化が進んでいった。
• しかし今、PCからスマートフォンへという時代になり、肥大化してしまった調査票をいかにコンパクトにしていくかという難題が突きつけられている。
• JMRAインターネット調査品質委員会では、この難題を克服しない限り、日本のインターネット調査、ひいては日本のマーケティング・リサーチの未来はないと危機感を募らせている。日本のインターネット調査を持続可能なものとしていくためには、あらゆる調査関係者の理解が必要である。
• インターネットを取り巻く環境は、時々刻々と変化している。インターネット調査の運用の仕方も、この環境の変化を意識しながらも、時代が変化しても守るべきことは流されずに守りつつ、時代とともに変えるべきことは恐れずに変えていかねばならない。そして、新たなインターネット調査を取り巻く課題が出現したときには、速やかにこのガイドラインも見直すべきであろう。
(2017年11月10日制定)
2017.11