アミューズメント業界における...

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1 アミューズメント業界における 業態変化の必要性 2014年度 上山信一研究室 卒業プロジェクト2 慶應義塾大学 総合政策学部4年 学籍番号:71103936 佐伯將光

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アミューズメント業界における

業態変化の必要性

2014年度

上山信一研究室 卒業プロジェクト2

慶應義塾大学 総合政策学部4年

学籍番号:71103936

佐伯將光

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章立て

はじめに

第1章 概要

1-1. アミューズメント業界とは

1-2. アミューズメント市場動向

1-3. 第1章まとめ

第2章 アミューズメント業界の構造変化

2-1. アミューズメント業界のビジネスシステム

2-2. AM機歴史分析

2-3. オペレーター分析

2-4. 第2章まとめ

第3章 消費者分析

3-1. ゲームセンターユーザー調査

3-2. 大学生ゲームセンターライフ調査

3-3. 第3章まとめ

第4章 業態について

4-1. 業態とは

4-2. 業態変換の必要性

4-3. 他業界研究

4-4. アミューズメント業界における業態

4-5. 第4章まとめ

第5章 提案

5-1. 課題整理

5-2. コラボ事例

5-3. 戦略仮説

5-4. 結論

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はじめに

1978年に登場したインベーダーゲームはたちまち社会現象となり、全国的に100円硬貨が不足

したとも言われている。その後、アミューズメント市場の規模が大きくなると同時に、ゲーム

センター=不良のたまり場というネガティブなイメージを持たれることも多かった。しかし、

プリクラやダンスダンスレボリューション、戦場の絆等の革新的な製品の登場は、多くの人々

を惹き付け、ブームを起こした。

アミューズメント業界は2000年代をピークに市場規模は縮小傾向にある。ゲームセンターの

業態としては40年近く変わらないままだが、AM機器のイノベーションによって、なんとか市場

を維持してきた。しかし、これらのイノベーションは定期的かつ計画的に起こされている物で

はなく、持続可能性に乏しい。また、昨今の家庭用ゲーム機のクオリティの高まりやスマート

フォンでプレイできるゲームアプリの台頭によって、ゲームセンターの優位性はなくなる一方

である。

そこで、アミューズメント業界不振の原因が、40年間変わらないゲームセンター業態にある

という仮説の下に当業界の分析を行った。分析のための情報収集の手法としては、各種文献や

データベースに加え、業界関係者や一般消費者へのヒアリングを含んでいる。

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第1章 概要

第1章では、アミューズメント業界を定義した上で、市場がここ数年停滞、縮小傾向にあるこ

とを明確にする。

1-1. アミューズメント業界とは

アミューズメント業界の明確な定義はなく、ゲームセンターや映画等の身近な娯楽を指すこ

ともあれば、テーマパークやキャンプ等レジャー活動における市場全般を指すこともある。本

論文では、アミューズメント業界を、アミューズメント機器(AM機器)の製造販売とAM機器を

実店舗で運用し、収益を上げるオペレーション(ゲームセンター、GC)を合わせたものとする。

1-2. アミューズメント市場動向

図1-1

図1-1は、アミューズメント市場規模推移である。2000年代初頭は、市場規模は拡大傾向にあ

ったが、2006年の9,263億円をピークに縮小傾向にある。これは、オペレーター各社による不採

算・低収益店舗の撤退によるものだが、2009年より再び横ばいに推移している。現在は、各社

共に現存している店舗の収益力を改善しているフェーズである。

アミューズメント業界市場規模推移

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

8,000

9,000

10,000

2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011

(億円) オペレーション

業務用AM機販売

出所:一般社団法人日本アミューズメントマシン協会「アミューズメント産業界の実態調査」

(年)

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図1-2

市場規模に対して、ゲームセンター営業所数は2002年より右肩下がりが続いていることが、

図1-2より読み取れる。2008年までは市場規模が拡大していた点を見れば、2008年までは、1店

舗あたりの売上は増加していたと考えられる。2002年「WORLD CLUB Champion Football」(セ

ガ)、2003年「甲虫王者ムシキング」(セガ)等のヒット作の登場もあり、2003年〜2008年に

おいて、AM機設置台数は増加傾向にあったが、2008年からの店舗数削減トレンドに伴い、設置

台数も減少している。図1-3は、各トレンドをまとめた表である。

図1-3

390

400

410

420

430

440

450

460

470

480

490

500

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

AM機設置台数

営業所数

GC営業所数推移

出所:アミューズメントジャーナル

(年)

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図1-4

図1-4は、AM機の種類別売上高推移をまとめたものである。基本的には、各機種売上高は減少

しているが、クレーンゲームや音楽ゲームは微増している時期もある。要因としては、クレー

ンゲームや音楽ゲームはアニメ等のコンテンツとコラボしやすく、アニメマニアやコンテンツ

に興味のある層に対して人気が出ていることが考えられる。

図1-5

業務用AM機 種類別売上高

19901822 1904

1771 18391670

1512 1470 139512071128

930 887 887699

115 90 85 117 150

827689 613

725 804

0

500

1000

1500

2000

2500

2008 2009 2010 2011 2012

クレーン  メダルゲーム テレビゲーム 音楽ゲーム  その他

(億円)

出所:一般社団法人日本アミューズメントマシン協会「アミューズメント産業界の実態調査」

(年)

各エンタメ業界の市場規模推移

0

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

2001200220032004200520062007200820092010201120122013

ゲームセンター カラオケ 映画 ボウリング

出所:筆者作成

(年)

(億円)

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図1-5では、各エンタメ業界の市場規模推移と比較している。カラオケ、映画、ボウリング業

界共にほぼ横ばいであるのに対して、ゲームセンター業界の落ち込みが目立つ。

図1-6

図1-6では、アミューズメント業界における、代表プレイヤーのAM関連事業の2010年〜2014年

の売上高推移をまとめたものである。各社、ほぼ横ばいに推移しているように見えるが、バン

ダイナムコとセガサミーが減少傾向にあることがわかる。一方、アドアーズやラウンドワンは

僅かながら増加傾向にあり、ラウンドワンは2012年を頭打ちに横ばいである。

1-3. 第1章まとめ

近年のアミューズメント業界は、市場規模、営業所数、AM機設置台数ともに、減少傾向にあ

る。カラオケ等の他エンタメ業界と比較しても、アミューズメント業界の市場規模の落ち込み

は激しく、問題点を突き止め有効な打ち手を打たなければ、さらなる落ち込みが予想される業

界である。AM機の種類別に見ると、かつてのゲームセンターの盛り上がりを牽引してきたビデ

オゲームよりも、アニメやキャラクターコンテンツと親和性の高いクレーンゲームや音楽ゲー

ムが人気だというのが、近年の傾向である。プレイヤー別に見ると各社苦戦しているが、売上

を減らし続けるプレイヤーとなんとか持ちこたえているプレイヤーとに分かれているという状

況である。

AM関連事業売上高推移

0

100

200

300

400

500

600

700

2010 2011 2012 2013 2014

バンダイナムコ セガサミー

アドアーズ

イオンファンタジー ラウンドワン

(億円)

出所:筆者作成

(年)

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第2章 アミューズメント業界の構造変化

第2章では、アミューズメント業界のビジネスシステムや歴史、プレイヤーについて分析し、

業界がどのような変遷を経てきたかについて述べる。

2-1. アミューズメント業界のビジネスシステム

アミューズメント業界のビジネスシステムをまとめたものが図2-1である。まず、メーカーが

企画段階で初期コンセプトを設定する。近年は、0から新作を出すというよりも、ヒット作の続

編やアニメのスピンオフ等のAM機が多い。その後、フォーカスグループインタビューや試験店

舗での運用などを経てから本格的に生産を開始する。近年は、AM機メーカーと言えども、海外

の協力会社に生産を委託することもある。その後、現場店舗にではなくオペレーター本部に対

して、プロモーションや営業活動を行う。AM機メーカーは、自社系列のゲームセンターを持っ

ていても、他メーカー系列ゲームセンター等の競合にも機器を販売している。オペレーター本

部は、店舗のポートフォリオ等を考慮した上で、必要な分の機器をまとめて購入する。ゲーム

センター内のレイアウトは基本的に現場の判断によって決められるが、ポートフォリオ決定権

限は本部にあるので、現場にとっては「要らない」AM機器を置いておかなければならない状況

が発生する。メーカーは、基本的なアフターケアに加え、筐体はそのままにソフトだけをネッ

ト経由でアップデートすることも行っている。

図2-1

アミューズメント業界のビジネスシステム

企画 開発 生産 マーケティング

販売 運営 アフターサービス

企画 開発 生産 マーケティング 販売 運営 アフターサービス

ーー

協力会社

ーー

生産

指示 営業

・自社系列・他社メーカー系列・独立系・他施設併設型

FGI

ショー出展等

オペレーター本部

現場店舗

PFマネジメント

レイアウトPOP等

アップデートアフターケア

プロモーション

出所:筆者作成

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図2-2

図2-3は、メーカー・オペレーター・消費者(B to B to C)の関係性を表した図である。AM

機器の販売方法には主に2種類の方法が存在する。1つ目は、売り切り制である。これは、オ

ペレーターがAM機器を完全に買い取るもので、店舗で運用してあげた利益は全てオペレーター

のものとなる。2つ目は、従量課金制である。筐体の高機能化に伴う高額化によるオペレータ

ーの負担を減らすという狙いがあり、最近はこちらのモデルを採用しているAM機器が多い。こ

れは、オペレーターがAM機の代金の一部だけを支払う代わりに、店舗でユーザーがプレイ課金

した料金の一部を通信料という名目でメーカーに支払うというものである。従量課金制には、

高額機器を店舗に導入しやすくするというメリットがある。しかし、一方で、店舗が価格競争

でプレイ料金下げざるを得ない状況になった際にも、メーカーへ支払う通信料の額は変わらな

いので、収益をあげにくいというデメリットがある。

図2-3

本部と現場 役割分担について

出店 PF戦略    

機器購入 店内レイアウト プロモーション

本部 現地からオファーがくることもあれ 場合によって コンペ。

本部 バイヤーが決定。

各店舗分を本部で一括購入

店舗 機器ポートフォ

リオも本部で決定

  本部統括で全店舗

一斉に行う

店長     店長 判断 プレイヤー・店舗次第

出所:筆者作成

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2-2. AM機歴史分析

アミューズメント業界盛衰の歴史を確認することで、当業界構造がどのように変化してきた

のかを探る。図2-4は、日本におけるAM機を種類別、時代別に区分したものである。

ビデオゲーム

1970年代に、ポンやブロック崩しといったビデオゲームが誕生、スペースインベーダー(タ

イトー)の人気に火が付き、社会現象となった。その後は格闘ゲーム等が人気を博したが、2000

年代になるとAM機のオンライン化や、物理的なカードとビデオゲームを組み合わせたカードビ

デオゲーム等のイノベーションが起こった。それらのインパクトは大きく、実際に、2002年〜

2006年の期間は市場規模が拡大していることが、上記の図1-1からもわかる。

クレーンゲーム

クレーンゲームは、1960年代に複数のメーカーによって製造販売され、市場が存在した。し

かし、1985年にセガが現在のクレーンゲームの先駆けであるUFOキャッチャーを発売すると、ブ

ームが起こり、クレーンゲーム=UFOキャッチャーと認知されるまでになった。

音楽ゲーム

音楽ゲームは比較的新しい市場で、1997年のbeatmania(コナミ)を皮切りに続々と新製品が

投入されている。

その他

その他の種類で注目すべきは、プリントシール機である。1995年、プリントシール機の代名

詞でもあるプリント倶楽部(アトラス)が、販売され、女子高生を中心にブームが起こった。

プリント倶楽部の略称である、「プリクラ」が現在においても事実上のプリントシール機の呼

称となっていることを考えても、プリント倶楽部登場のインパクトの大きさがわかる。

図2-4

AM機年表

1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010

音楽

ビデオゲーム誕生

モグラ叩きが流行る

インベーダーブロック崩し

音ゲー再ブーム

パックマンテトリス

ビデオ黄金期

体感ゲームが流行る

格闘ゲーム

プリクラブーム

第二次クレーンブーム

音ゲー誕生ブームに

カードビデオゲーム誕生

オンライン対戦化

出所:筆者作成

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2-3. オペレーター分析

次に、アミューズメント業界における川下のプレイヤーであるオペレーターを分析する。今

回は、メーカー系列のオペレーターであるバンダイナムコとセガ、独立系のアドアーズ、他施

設併設型としてラウンドワンとイオンファンタジーを対象とした。

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バンダイナムコ

バンダイナムコは、AM機器を製造販売するメーカー系のオペレーターであり、売上高におい

て業界トップのオペレーターである。バンダイナムコグループが抱える豊富なアニメやキャラ

クター等のIP(Intellectual Property)戦略の出口として、重要なポジションを占めている。ま

た、通常のゲームセンターに加え、特定のコンテンツに特化した施設等によって顧客セグメン

ト別のアプローチを行っている。しかし、近年は、アミューズメント施設事業のスリム化を目

指し、収益力の低い店舗の閉鎖、それに比例し売上も減少、結果として事業規模が縮小傾向に

ある。

図2-5

図2-6

バンダイナムコ概要

設立 2006年

特徴

アミューズメント業界最大手

人気アニメ、人気キャラクターとコラボしたゲームが売り

事業

バンダイナムコゲームス

家庭用ゲームソフト、業務用ゲーム機、 モバイルコンテンツ、PCコンテンツ、

パチンコパチスロ

namco キャラクターテーマ型カフェ/バー

(CHARACRO)、 ゲームセンター、テーマパーク

52%35%

11%2%

売上構成比(2014)

コンテンツ

トイホビー

アミューズメント施設

その他

出所:筆者作成

BN AM施設売上高・店舗数推移

2010年 11年 12年 13年 14年

売上高 654 623 610 602 582

店舗数 248 239 227 229 225

0

50

100

150

200

250

300

0

100

200

300

400

500

600

700

店舗数

売上高

(億円)

出所:筆者作成

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セガ

セガもバンダイナムコ同様、メーカー系のオペレーターであり、売上高はバンダイナムコ・

イオンファンタジーに次ぐ3位である。セガは、積極的なスクラップ&ビルドを通じて、店舗

ポートフォリオの適正化を図り、実際に直近5年間で正味62店舗を閉鎖した。結果として、2010

年にはバンダイナムコに次ぐ売上規模だったものが、店舗数と比例しイオンファンタジーを下

回るものとなった。事業特徴としては通常のゲームセンターに加え、屋内型テーマパークのジ

ョイポリス、ダーツバーのBee、体感型ミュージアムのOrbi等、現状のAM機の利用に留まらない

業態に挑戦している。

図2-7

図2-8

セガ概要

設立 1960年

特徴 屋内型テーマパークのジョイポリスやダーツバーのBee

事業

遊技機AM機

AM施設

コンシューマー

48%

10%

11%

27%

4%

売上構成比(2014)

遊技機 AM機 AM施設 コンシューマー その他

出所:筆者作成

セガAM施設売上高・店舗数推移

2010年 11年 12年 13年 14年

売上高 547 456 446 427 432

店舗数 260 249 241 236 198

0

50

100

150

200

250

300

0

100

200

300

400

500

600

店舗数

売上高

(億円)

出所:筆者作成

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アドアーズ

アドアーズは、繁華街を中心に展開する独立系大手のオペレーターである。現在は、AM機の

製造等は行っていないが、前身のシグマはメダルゲームメーカーだったこともあり、オペレー

ションにおいてもメダルゲームに強みを持つ。また、プロモーションがあまり活発ではないア

ミューズメント業界において、積極的なプロモーション活動やメインターゲットである20代男

性以外をターゲットにしたアプローチ等によって、客層を広げている。例えば、女性向けの施

策としては東京ガールズコレクションへの協賛や女性向けアニメのプライズゲームの充実、シ

ニア向けには介護施設へのAM機導入等がある。業績においては、店舗数削減とは比例せずに売

上を伸ばしている。要因としては強みであるメダルゲームに加え、収益力の高いプライズゲー

ムが好調なことが挙げられる。アドアーズは、プライズを企画・製作・販売するブレイクとい

う子会社を持ち、プライズ用コンテンツのライセンス獲得に注力している。

図2-9

図2-10

アドアーズ概要

設立 1967年

特徴 旧シグマ社時代、メダルゲームメーカーを兼業してた経験からメダルゲームに強みを持つ

事業 ・アミューズメント施設の運営

・アミューズメント施設の企画・開発・保有不動産、収益不動産の運用

72%

22%

6%

アミューズメント事業

不動産事業

建築事業

売上構成比(2014)

出所:筆者作成

アドアーズAM事業売上高・店舗数推移

2010年 11年 12年 13年 14年

売上高 166 164 180 191 195

店舗数 81 79 66 64 54

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

0

50

100

150

200

250

店舗数

売上高

(億円)

出所:筆者作成

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ラウンドワン

ラウンドワンは、ボウリングを軸にアミューズメント施設、カラオケ、様々なスポーツを楽

しめるスポッチャを併設している。様々な種類のアミューズメントが1つの施設で楽しめると

いうことで、顧客の多くは1つの遊びだけをするのではなく、ボウリング+アミューズメント

というようなスタイルである。実際、ラウンドワンではボウリング利用者にクレーンゲーム無

料券を配布することで、アミューズメント施設の非目的客に対してアプローチできている。ラ

イトユーザーに十分なアプローチができていない既存のゲームセンターに対して、ボウリング

等をフックにアミューズメント施設の利用を促すラウンドワンの業態は、アミューズメント業

界の停滞を打破するヒントとなり得る。店舗数は、今回取り上げたプレイヤーとしては唯一の

5年連続増加、売上も昨対比を割ったのは一度だけである。

図2-11

図2-12

ラウンドワン概要

設立 1980年

特徴

スポーツかつ時間制の施設等を中心とした、地域密着の屋内型複合レジャー施設の運

事業

ボウリングアミューズメントカラオケスポッチャ

35%

40%

10%

12%

3% 売上構成比(2014)

ボウリング アミューズメント

カラオケ スポッチャ

出所:筆者作成

ラウンドワンAM売上高・店舗数推移

2010年 11年 12年 13年 14年

売上高 334 352 364 345 349

店舗数 105 109 110 113 114

0

20

40

60

80

100

120

0

50

100

150

200

250

300

350

400

店舗数

売上高

(億円)

出所:筆者作成

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イオンファンタジー

イオンファンタジーは、流通大手イオンのグループ企業として、イオンSCを中心にゲームセ

ンターであるモーリーファンタジーを展開し、売上規模はバンダイナムコに次ぐ業界第2位で

ある。イオンファンタジーは母体施設であるイオンSCの圧倒的な集客力を背景に、孫連れシニ

ア層を含むファミリー層をメインターゲットに、買い物中の子供の遊び場としてのニーズを捉

えている。AM機ポートフォリオはメインの子供向けに加え、親・シニア層をターゲットとした

メダルゲーム等で構成されている。“孫消費”をするシニア層消費にも注力し、55歳以上限定

の会員制度といった施策を打っている。店舗数は微減していたが、2014年に増加に転じた。イ

オン以外からの商業施設からの誘致も増えているので、今後も増加傾向が見込まれる。売上高

は、ほぼ横ばいであり停滞気味である。

図2-13

図2-14

イオンファンタジー概要

設立 1997年

特徴 イオンを中心とした全国のショッピングセンターに「モーリーファンタジー」を出店。

事業

・ショッピングセンター内「室内ゆうえんち」及び「ア   ミューズメント施設」の運営・室内ゆうえんちのフランチャイズ事業オリジナル遊戯

機器及び景品の共同開発と販売

95%

5%

国内事業

海外事業

売上構成比(2014)

出所:筆者作成

イオンファンタジー国内売上高・店舗数推移

2010年 11年 12年 13年 14年

売上高 437 422 424 437 441

店舗数 336 320 316 316 321

0

50

100

150

200

250

300

350

400

0

50

100

150

200

250

300

350

400

450

500

店舗数

売上高

(億円)

出所:筆者作成

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図2-15

2-4. 第2章まとめ

まず、メーカーとオペレーター間のメインのビジネスモデルが売り切り制から従量課金制へ

と移行した。従量課金制は、メーカーの収益向上には貢献するが、オペレーターにとっては収

益を出しにくいシステムである。また、当業界においては、この従量課金制への移行をはじめ、

消費者が恩恵を受ける事ができるような構造変化は起きていない。

オペレーター分析においては、バンダイナムコやセガ等のメーカー系列のオペレーターが売

上・店舗数共に著しい縮小傾向にある。一方、アドアーズはプロモーションという意識があま

りない当業界において、積極的なプロモーションを通したターゲットへのアプローチが功を奏

し、店舗数は削減しているのにも関わらず売上を伸ばしている。他施設併設型では、ラウンド

ワンが今回取り上げたオペレーターでは唯一拡大傾向にある。また、イオンファンタジーの売

上・店舗数も堅調な推移を見せるものの、伸びに欠けている。

図2-4のAM機年表と、図2-15の各オペレーターの業態変遷の表を比較すると、ブームは常にAM

機によって作られている事がわかる。各オペレーターはゲームセンター自体の業態を変化させ

てはおらず、他業態の展開を試みるもブームを生み出す程の成功は収めていない。

各オペレーターの業態変遷

〜1974 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010

BN中村製作所創業

テーマパーク事業進出(ダーエッグ)

室内テーマパーク開設(ナンジャタウン)

デイサービスセンター開設(かいかや)

バンダイと経営統合

カフェ業態CHARACROオープン

セガ 創業 東京ジョイポリス開業

ダーツバーBeeオープン

体感ミュージアムオービィ横浜オープン

AD

前身シグマ設立AM機自社開発開始

池袋に巨大AM施設開設

渋谷にてカード会員制フロア開設

メダルゲーム専門フロア開設カラオケ業態店舗開設

プライズ・アーケードに特化した店舗を開設

RO

ローラースケート場オープン(GC併設)ボウリング場設置

ローラースケートリンク撤去

AM併設ボウリング場オープン

カラオケルーム設置

スポッチャ導入

AE 設立

出所:筆者作成

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18

第3章 消費者分析

第3章では、ゲームセンターユーザー調査と大学生ゲームセンターライフ調査を行った。ゲー

ムセンターユーザー調査は実際の顧客のニーズや不満を洗い出し、大学生ゲームセンターライ

フ調査は潜在顧客としての大学生の意識をまとめている。

3-1. ゲームセンターユーザー調査

まず、現在のユーザーの意識を調査するために、ゲームセンターでのユーザーインタビュー

を行った。ゲームセンターで実際にゲームをプレイしていたユーザーに、目的の有無を聞いた

ところ、75%のユーザーが目的「あり」であった。そして、目的「あり」のユーザーの80%は、

音楽ゲームをプレイしていた。一方で、目的「なし」ユーザーは、クレーンゲームをプレイす

るユーザーが最も多かった。つまり、ゲームセンターにおいては、目的客と非目的客のプレイ

するカテゴリーが異なる。

図3-1

さらに、目的「あり」ユーザーを分析すると、そのうちの9割以上のユーザーが単一カテゴリ

ーのゲームのみをプレイしている。また、単一カテゴリーのみをプレイするユーザーの半分以

上が、単一機種(タイトル)のみをプレイするという結果となった。つまり、ゲームセンター

において目的客はほとんど回遊性を持たず、目的のカテゴリー・ゲームのみをプレイする傾向

にあるということである。

目的の有無・機器の種類 (n=20)

あり 75%

なし 25%

12

5

1

音楽ゲーム ビデオゲーム クレーンゲーム

2

1

3

音楽ゲーム ビデオゲーム クレーンゲーム

目的の有無

「あり」のユーザーがプレイした機器の種類

「なし」のユーザーがプレイした機器の種類

出所:筆者作成

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19

図3-2

一方、ユーザーがゲームセンターに対して抱く不満について調査した結果、それが原因とな

りゲームセンター利用を止めるようなクリティカルな不満は出なかったものの、細かいものは

いくつか挙がった。特に目立つのは、店舗に対する不満で、「(同カテゴリーの)機種が少な

い」「台数が少ない」「待ち時間が長い」「待つスペースがほしい」等である。これらは、ゲ

ームセンターユーザーが、「プレイしたいゲームの台数が十分でないために、順番待ちをしな

ければならない」ということに対して不満を持っているということを表している。

図3-3

目的「あり」ユーザーの回遊性 (n=14)

93%

7%

プレイカテゴリーの種類

単一カテゴリー 複数カテゴリー

54%

46%

単一カテゴリーユーザーのプレイ機種

単一機種 複数機種

出所:筆者作成

ユーザーの抱くGCへの不満 (n=20)

15

1

10

店舗

スタッフ

機器

・メンテナンス不良・高い・満足感が感じられない

・上達が出来ない(商品がたまってしまう)・無料ゲームで学生が増える

・外国人はやり方が分からない

・迷惑な客を注意すべき

・(同カテゴリーの)機種が少ない・台数が少ない・待ち時間長い

・待つスペースが欲しい・マシンの場所が変わる

・客のマナーが悪い・うるさい

出所:筆者作成

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20

3-2. 大学生ゲームセンターライフ調査

ゲームセンターのメインターゲット層の1つである大学生に対して、ゲームセンターライフ

調査を行った。図3-4は、現在の大学生が過去にゲームセンターとどのように関わったことがあ

るのかについてまとめたものである。現在の大学生のおよそ半数53%は過去ゲームセンターにハ

マったことがあり、ハマった時期については高校生という答えが44%を占めた。

図3-4

図3-5は、大学生が、過去ゲームセンターにハマった時期にどの程度の頻度でゲームセンター

に通っていたかと、現在どのくらいの頻度でゲームセンターを利用するかを比較したものであ

る。過去の利用頻度を表すグラフは、月2・3回を中心にバラつきはあるものの、ある程度の頻

度での利用が見られる。それに対して現在の利用頻度は、一番左の年6回以下という頻度が圧倒

的に割合を占めていることがわかる。つまり過去ゲームセンターにハマり、一定の頻度で通っ

ていた層は少なからず存在するのにも関わらず、その多くは大学生になるとほとんど〜全く行

かなくなってしまうということである。

図3-5

過去における大学生のGCへの関わり方 (n=34)

ない 47%

あり 53%

小学生 28%

中学生 28%

高校生 44%

ハマった時期はあったか 具体的ハマった時期

出所:筆者作成

大学生の来店頻度 (n=34)

0

5

10

15

20

25

30

年6回以下 月1回 月2・3回 週1回 週2・3回 週4回以上

過去

0

5

10

15

20

25

30

年6回以下 月1回 月2・3回 週1回 週2・3回 週4回以上

現在

出所:筆者作成

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図3-6は、頻度は問わず、大学生がゲームセンターに行く際に目的を有するか否かをまとめた

ものである。結果、7割以上の大学生がゲームセンターへは目的を持って行くということであり、

プレイした機器の種類はプリクラ・ビデオ・クレーンが多くの割合を占めた。この目的客の多

くは、目的のゲームやプリクラを短時間利用するだけで、長時間の滞在はしない。この結果か

ら言えることは、ゲームセンター利用頻度の高くないライト層のぶらり客を取り込めていない

ということである。つまり、大学生が時間を持て余している時に目的なしにとりあえず来店し、

回遊しながら何らかのゲームをプレイしてもらうための施策等を打てていないということだ。

またせっかく来店した目的客に対しても、目的以外のゲームを利用し長時間回遊してもらえて

いないということである。

図3-6

図3-7は、大学生が、今後ゲームセンターに自発的に行くか否かについてのグラフである。ほ

ぼ7割の大学生が、今後自発的にはゲームセンターに行かないと答えている。大学生は今後、ゲ

ームセンターへ新規エントリーすることや、ユーザー復帰するということをほとんど考えてい

ないということである。

図3-7

大学生の来店目的の実態 (n=34)

ある 71%

ない 29%

98

5

1 1

プリクラ ビデオ クレーン メダル 音ゲー

目的の有無 「あり」のユーザーがプレイした機器の種類

出所:筆者作成

今後自発的にゲームセンターに行くか (n=34)

32%

68%

行くと思う 行かないと思う

出所:筆者作成

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3-3. 第3章まとめ

まず、ゲームセンターユーザーは、特定のカテゴリーまたはゲームのみをプレイする傾向に

あり、回遊性を持たないということが言える。よって、コアゲームカテゴリー(音楽・ビデオ

ゲーム)と同じ空間にクレーンゲーム等のライト層向けのゲームが設置してあることは非効率

である。また、コアゲーマー(音楽・ビデオゲームを目的としてゲームセンターを利用するゲ

ーマー)の不満の多くは、プレイしたい機器の台数が十分でないこと等による待ち時間である。

次に、大学生は過去多くの人がゲームセンターにハマっていたのにも関わらず、現状はその

大部分が通っておらず、年に数回行く程度である。また、そうした元ユーザーである大学生の7

割弱は今後も通う事はないという意識であった。

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第4章 業態について

第4章では、アミューズメント業界において業態が軽視されていることが、業界不振という結

果につながっているのではないかということを指摘する。

4-1. 業態とは

業種が何を売るかによって分類されているのに対して、商品をどのように売るかによって分

類されたものが業態である。例えば、スーパーとコンビニは食品を中心に取り扱う商品が被っ

ているが、スーパーは低価格や種類の多さ等を重視しているのに対して、コンビニは商品数こ

そ絞るが、24時間営業や多店舗展開のように消費者の利便性を重視した業態となっている。

4-2. 業態変化の必要性

小売り等の流通産業では、生き残りのために業態変化は常に行われている。例えば、百貨店

は江戸時代に呉服屋から発展した業態である。江戸時代の呉服屋は、座面販売が常識であり、

気軽に立ち寄りいいものがあれば購入するということができなかった。その後、三越が陳列販

売を始めたことで、消費者が気軽に立ち寄り、陳列された商品を眺めながら買い物ができるよ

うになった。こうして百貨店業態は誕生したが、百貨店よりさらに店員の干渉の少ないセルフ

サービス方式を採用したスーパー業態が日常的な食料品等の購入の主な場となった。その後、

より利便性を高めたコンビニ業態が誕生し、それまで百貨店やスーパーでは満たせていなかっ

た消費者のニーズを満たしている。このように、ある業界において1つの業態により満たせる消

費者のニーズは限られているので、消費者の要求に応えるためには、業態を変化させ新しい価

値を提供し続けなければならない。図4-1は、どのような業態が消費者の様々なニーズを満たし

ているかを表した図である。

図4-1

小売業における業態分布

頻度高 頻度低

価格訴求

高付加価値

コンビニ

スーパー

ドラッグストア 家電量販店

百貨店

出所:筆者作成

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4-3. 他業界研究

上記のように、一般的な消費者向け産業では、業態変化による生き残りや進化が頻繁に起き

ている。そこでこの節では、成長が滞る業界において従来の業態を変化させることで、いかに

生き残り成長を遂げてきたかということを、生花の青山フラワーマーケットと衣料品のユニク

ロを例に考察する。

青山フラワーマーケット

青山フラワーマーケットは、パークコーポレーションによって、1988年に設立された生花チ

ェーンである。それまでの生花店が、高価格帯のギフト商品をメインに販売していたのに対し

て、青山フラワーマーケットは、ライフスタイルブーケと呼ばれる個人・日常向けの商品を主

力としている。結果、客単価は1500円と一般的な生花店の客単価の3分の1以下である。しかし、

生花を本部で一括購入するのではなく店舗毎に店長が仕入れをすることで、廃棄率が平均10〜

20%の生花店業界において3%という驚異的に低い廃棄率を実現しているため、高い収益性を持

つ。また、駅前や駅構内に多く出店しており、店舗を壁やガラスで仕切らない等、気軽に立ち

寄れるような店作りをしている。青山フラワーマーケットの業態の特徴をまとめると、①主力

商品を、高価格帯ギフト商品から低価格帯日常向け商品(ライフスタイルブーケ)へ、②本部

一括購入から、店舗毎仕入れという流通形態にすることで、業界平均10〜20%の廃棄率を3%へ、

③それまでの仰々しく、いかにも花屋という店の雰囲気から、駅前・駅構内にカフェのような

おしゃれな花屋という雰囲気へと変化させたという点である。

ユニクロ

ユニクロは、SPA(Specialty store retailer of Private label Apparel、製造小売業)業

態のカジュアル衣料品の製造販売会社である。衣料品業界の市場規模は、1991年の8.9兆円をピ

ークに縮小傾向にあったが、ユニクロはその90年代よりSPAを本格化させ業績を向上させてきた。

ユニクロの業態の特徴として、SPA業態を採用している点が挙げられる。SPAとは、企画・開発

から製造、販売までを自社内で完結させることにより、最短期間で開発から店頭販売まで行え

中間マージン等も省けるために、コストを下げることが可能な業態である。ユニクロは、SPAや

効率的な店舗展開やオペレーションによって、海外ファストファッション勢に対抗できる程の

低コストを実現している。また、ユニクロの競合であるH&MやZARAが比較的ファッション性の高

い、高デザインという付加価値を提供しているのに対して、ユニクロはベーシックなデザイン

でありながら高品質・高機能のカジュアルウェアという付加価値を提供することにより、広い

層のターゲットへアプローチができている。さらに、ユニクロは東レと異業種間・垂直連携の

戦略的パートナーシップを取っており、消費者のニーズに応えた製品を実現するために必要な

繊維を共同で開発している。このパートナーシップによって、ヒートテックやウルトラライト

ダウン等のイノベーションを生み出した。こうした特徴により、市場規模が横ばいに推移する

国内衣料品業界において、成長を続けている。ユニクロの業態特徴は、①SPAによるコストカッ

ト、②高品質・高機能のカジュアルウェアという差別化戦略、またターゲティング、③異業種

間・垂直連携コラボレーションによるイノベーションという点にまとめることができる。

4-4. アミューズメント業界における業態

1970年代、インベーダーゲームの流行によりインベーダーハウスが日本各地に乱立し、ゲー

ムセンター業態の先駆けとなった。テクノロジー面では、AM機がこの40年で大きく進歩したに

も関わらず、それを設置するゲームセンターの業態はほとんど変わらないままである(図2-15

参考)。他業界では当たり前な業態変化が起こらなかった原因としては、第2章で述べたように、

不定期にAM機のヒット作が出ることによって、ゲームセンターの業績を保てていたということ

が挙げられる

図4-2を見ると分かるように、ここ4年間の売上・店舗数昨対比平均がプラスのプレイヤーと

マイナスのプレイヤーに別れている。伝統的なメーカー系列のオペレーターである、バンダイ

ナムコやセガの売上高は減少傾向にある一方で、ラウンドワンは店舗数、売上昨対比平均共プ

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ラスである。また、アドアーズ、イオンファンタジーも売上昨対比平均がプラスである。ラウ

ンドワンはボウリングを中心に、ゲームセンター・カラオケ・スポッチャ等を組み合わせた業

態であり、業態変化の起こっていないアミューズメント業界において、他のエンタメと複合さ

せることで、通常のゲームセンター業態とは一線を画そうとしている。またアドアーズも、ク

レーンゲームに特化したスペース作りのように、従来のフォーマットからの脱却を試みている。

さらにイオンファンタジーは、イオンのショッピングセンターという強力な母体を擁し、ゲー

ムセンター単体としての魅力ではなく、ショッピングセンターというパッケージで消費者を引

きつけている。つまり、売上昨対比平均をプラスかマイナスかに分ける要因が、従来の業態の

ままなのか、もしくは、何らかの要素を加えるか特定の要素に絞ることによって業態に変化を

与えているかという点にあると言える。

図4-2

4-5. 第4章まとめ

小売業をはじめとした消費者向け産業では、消費者のニーズに応え続けるために、業態を変

化させて対応させることが一般的である。実際、青山フラワーマーケットやユニクロは独自に

業態を変化させたことにより、生花や衣料品という成長性の低い業界において好業績をあげて

いる。一方で、アミューズメント業界は業態変化を起こさなかったために、市場が低迷してい

るのではないかと考えられるが、従来のゲームセンター業態と少しでも差別化された業態では

業績に差が出ている。よって、従来のゲームセンター業態に変化を加える事がアミューズメン

ト業界不振からの脱却のヒントになるのではないか。

売上・店舗数昨対比過去4年平均

-10

-8

-6

-4

-2

0

2

4

6

8

10

-6 -4 -2 0 2 4 6売上

店舗数

セガ

BN

ラウンドワン

AF

アドアーズ

(%)

出所:筆者作成

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第5章 提案

第5章では、これまでの情報や分析を基に、アミューズメント業界の縮小傾向に歯止めをかけ、

立て直すためには、どのような解決策が有効なのかについて述べる。

5-1. 課題整理

第2章で浮き彫りになった問題は、従来のゲームセンターを展開するオペレーターは軒並み業

績が下降しているのにも関わらず、業態を変化させていないという点である。また、ゲームセ

ンターのブームは、常にAM機牽引型でありコンテンツ依存度が高く、ヒット作が出れば儲かり、

出なければ稼げないという構造である。一方で、業績を伸ばしているオペレーターも存在する。

ターゲット層別のアプローチや積極的なプロモーションを行うアドアーズや、ボウリング等を

併設するラウンドワン、イオンSC内に店舗を持つイオンファンタジーは、業績を伸ばしている。

第3章で発見した課題は、現行ゲームセンターユーザーは回遊性を持たない傾向にあり、コア

ユーザー層に人気のゲームとそれ以外のゲームを同じ空間に置いておくことは非効率的である

ということである。また、ポテンシャルユーザーである大学生においては、過去ゲームセンタ

ーにハマっていた層が復帰することにハードルがある点と未経験者やライト層に対してのエン

トリー機会が提供されていないという点が問題である。

第4章で指摘したポイントは、消費者のニーズに応え続け、業界を維持、進化させるためには、

業態変化をすることが必要であり、あらゆる消費者向け産業では業態変化が起こっているのに

も関わらず、アミューズメント業界においてゲームセンター業態に変化は起きていないという

ことである。

上記の課題を整理すると、①元ゲームセンターユーザーの復帰にハードルがある、②ゲーム

センターユーザーは回遊しないので、クレーンゲーム等ライト層向け機器が同空間にあること

は非効率、③従来のゲームセンターは、未経験者やライト層に対して魅力的でないという3点で

ある。

5-2. コラボ事例

上記のように、ゲームセンターの課題の1つとして長らくの間業態が変化していないという問

題がある。一方、ラウンドワンはそのようなアミューズメント業界において、カラオケ等と合

わせることで比較的良い業績を残している。そこで、ラウンドワンをヒントにゲームセンター

が今後、どのような業種とコラボすることで業態を変化させることができるかを他業界のコラ

ボ事例を参考にするために他業界研究を行った。今回は、他業種とコラボレーションして業態

変化を起こしているTSUTAYAとビックカメラを取り上げた。

TSUTAYA×スターバックス(代官山蔦屋書店・武雄市図書館等)

TSUTAYAは、従来のレンタルショップ業態とは異なる新しい業態にチャレンジし続ける企業の

1つである。代表的なものは、代官山にある蔦屋書店や武雄市図書館である。代官山蔦屋書店

では、団塊の世代を中心に、時間的・経済的に余裕のあるシニア層をターゲットに、高付加価

値を提供している。居心地のいい空間を提供するために、書店やレンタルショップに加え、ス

ターバックスやコンビニ、雑貨も取り揃えている。これらは親和性が高く、結果的に顧客の滞

在時間や単価を押し上げている。また、そもそも女性は空間自体の雰囲気が良くないと来店し

ないため、デザインや設計にもこだわっており、従来のレンタルショップとは全く似つかない

店舗となっている。

一方、佐賀県武雄市にある武雄市図書館は、公共の図書館ながら運営は、TSUTAYAを運営する

カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が行っている。従来の無機質・画一的・質素な公

共図書館を、おしゃれ・多価値・居心地のいい図書館へと生まれ変わらせた。書籍管理・雑誌

販売・レンタル業務などはCCCが行い、カフェスペースの運営はスターバックスが担当する。ポ

イントは、貸し出し用の書籍と販売している書籍が同じ空間にあることや、購入前の雑誌をカ

フェスペースで読めること、レイアウトやBGM等の利用によってにぎやかなスペースと静かなス

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ペースを両立させていることである。結果、CCCが運営する前に比べ、書籍の貸出数が2倍、来

館客数は4倍になった。

TSUTAYAがスターバックスとコラボレーションしたメリットとしては、①滞在時間増加による

購買機会・金額の増加、②スターバックスをフランチャイズ運営し、カフェスペースで書籍閲

覧を可能にすることで、販売商品である書籍をフックにカフェスペースの売上を伸ばすことが

できる、③おしゃれな雰囲気作りにより、トレンドに敏感な女性や若者を取り込むという点が

挙げられる。

ビックカメラ×ユニクロ(ビックロ)

ビックロは、「すばらしいごちゃごちゃ感」をコンセプトに、ビックカメラがユニクロと共

同で2012年に新宿にオープンした店舗である。1階にビックカメラとユニクロの共同フロアがあ

り、2・3階はユニクロのフロアとなっている。各階には、ユニクロの衣料品を身につけ、ビッ

クカメラの家電の使用例を見せるためのビックロマネキンと呼ばれるマネキンが設置してある。

ビックロにおいて、ユニクロはビックカメラのテナントにすぎないが、ユニクロの集客力が魅

力的であることとシナジー効果を高めるために、店名にも反映されている。ビックロは、ビッ

クカメラの通常店舗に比べ、女性客やファミリー客が圧倒的に多い。通常店舗であまり売れな

い1000円程度のたこ焼き器の売れ行きが良い等の結果が現れている。また、ユニクロフロアに

置いてあるコーヒーメーカーやドライヤーの売れ行きも良い等、商品によっては、ユニクロフ

ロアに置いてある方が売れるという物もある。

ビックカメラがビックロ業態を展開するメリットは、①ユニクロが得意とする女性客やファ

ミリー層の集客を強化、②商品を置くのにより適した売場の確保(ex.ユニクロフロアのドライ

ヤー等)である。

5-3. 戦略仮説

戦略仮説では、AM機戦略とオペレーション戦略について施策を提案する。今回は、5-1で挙げ

た課題①がAM機の問題、課題②と③はオペレーター、つまり業態の問題として施策を提案する。

AM機戦略、つまりメーカーが取り組むべき課題は、5-1で示した課題①の元ゲームセンターユー

ザーに復帰のハードルがあるという点である。この課題に対しては、現場を最も知るオペレー

ターの店長を開発に巻き込むべきである。アンケートによると、このハードルというのはゲー

ムの難易度が高すぎるというものである。難易度には2種類あり、1つは筐体が高機能化しそれ

に伴い操作が複雑になるというものである。もう1つは、同タイトルがバージョンアップを重ね

ることによって操作方法等が変わるというものである。これらの要因として、現在の開発企画

段階に問題があると考えられる。現在、企画開発に携わっている人は、AM機メーカーの人間の

みである。業界関係者のヒアリングによると、開発者陣は本人達がゲームオタクの傾向があり、

凝りすぎたり、難しすぎるゲームを開発してしまったりという傾向があるという。フォーカス

グループインタビュー等の調査こそするものも、現場の声を拾うのは不十分である。現状、現

場店長の関わり方としては、店舗内のレイアウトを考える程度でしかなく、ユーザーニーズを

日頃から把握しているのにも関わらず、それが開発に活かされていない。よって、メーカーは

自社系列オペレーターの現場店長や店長経験者を開発陣のメンバーとして採用すべきである。

次に、オペレーターが取るべき戦略を課題ごとに述べる。まず、課題②のゲームセンターユ

ーザーは回遊しないので、クレーンゲーム等ライト層機器が同空間にあることは非効率という

課題に対しては、コアゲーム(音楽ゲームやビデオゲーム)のみを置いた専門店をつくるべき

である。コアゲームをプレイするユーザーは、回遊を期待できないので、同空間に様々なカテ

ゴリーのゲームを置くよりも、コアゲームを小機種多台数設置した店舗で、同カテゴリー・同

ゲームのプレイ回数を増やして客単価を上げることが重要である。実際、カテゴリー別に専門

化を行っているアドアーズの業績は好調である。また、メーカーにとっては、最新機種や技術

を試すテストセンターという意味合いを持つ。中級者のエントリーや元ユーザーの復帰も意識

して、スタッフにインストラクターとしての機能を持たせる。

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課題③ゲームセンターの業態が変化しておらず、未経験者やライト層に対して魅力がないと

いう課題に対しては、他業種とコラボレーションし、AM機を設置するのに最適な場所を確保す

べきである。5-2の他業界研究で行ったビックロの事例が参考になる。

プライズ・子供向けゲーム×ファミレス

クレーンゲーム等のプライズゲームや、子供向けコンテンツを使用したゲームをファミリー

層に強いファミレスに設置することで、ゲームの稼働率を挙げることが期待できる。妖怪ウォ

ッチのような子供に強いコンテンツゲームを設置することは、子供に対するフックとなったり、

滞在時間増加にも貢献したりするので、ファミレス側にもメリットがある。

ビデオゲーム×居酒屋

ポテンシャルユーザーである大学生の集客力がある居酒屋にビデオゲームを置くことで、ビ

デオゲームと新規客との接点を作る。居酒屋に来ている客層は、盛り上がりたいという心理が

あるので、その手段を提供する。対戦型ゲームの多いビデオゲームは、勝敗をつけることがで

きるため、盛り上がりを促すことができるであろう。また、普段はゲームに興味を持たない未

経験者やライト層もアルコールを接種する場では、ゲームにトライしやすい心理になるのでは

ないか。

5-4. 結論

2006 年を頭打ちに市場が縮小傾向にあるアミューズメント業界では、ゲームセンターの業態

が登場以来ほとんど変わっておらず、その変わらない業態がアミューズメント業界不振の原因

であるという仮説の下分析を進めた。

そもそも、消費者向け産業は業態変化するのが常識である。なぜなら、消費者のニーズは変

わり続けるからであるが、ゲームセンターの業態は変わっていない。実際、バンダイナムコや

セガといった、従来の業態で運営されているゲームセンターの業績はよくて横ばいである。し

かし、ボウリングやショッピングセンターと複合的に運営されているラウンドワンやイオンフ

ァンタジーの業績は微増している。また、特定のターゲットを絞り込み積極的なプロモーショ

ンを行ったアドアーズも好調である。つまり、従来のゲームセンター業態を少しでも変化させ

ているプレイヤーが業績を伸ばしている。よって、アミューズメント業界を復活させるために

は、ゲームセンターの業態変化が必要である。

実際に、業界構造分析と消費者分析を行ったところ、主に 3 つの課題を見つけた。それらは、

①元ゲームセンターユーザーの復帰にハードルがある、②ゲームセンターユーザーは回遊しな

いので、クレーンゲーム等ライト層向け機器があるのは非効率的、③従来のゲームセンターは、

未経験者やライト層に対して魅力がないということである。①は、企画開発の問題だが、②、

③は仮説通り業態を変化させれば解決できる問題である。

そこで、今後のアミューズメント業界が取るべき方向性は、それぞれの課題に対して①AM 機

開発の際に現場の人間を巻き込む、②コアカテゴリーのみを設置した専門店を置きテストセン

ターにする、③他業種とコラボし、新業態を開発するというものである。

このように、これまでアミューズメント業界で希薄であった業態というテーマにスポットを

当てる事に、斜陽産業となりかけている当業界復調のチャンスがあるのだ。

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謝辞

最後に、本論文執筆にあたりに協力してくれた、圧倒的なコミュニケーション能力と何事に

も物怖じしない男勝りの五社諒子さん。同じく、高い視点から物事を俯瞰的に捉え、鋭い意見

を繰り出す山崎大輝君。共に、厳しい研究会のプロジェクトを生き抜き秀逸なパフォーマンス

を見せつけ、私を落ち込ませると同時に危機感を持たせてくれた優秀な先輩、同期、後輩の方々。

通算 2 期しか研究会には所属していないにも関わらず、厳しく温かく熱心にご指導してくださ

った上山信一教授には、心より感謝致します。上山教授のパブリックガバナンスと経営戦略の

授業に魅了され、パースペクティブ研究会とビジネス研究会のどちらに入ろうか迷った末、3 年

生春学期に軽い気持ちで入ってしまったビジネス研究会でしたが、自分にまったく欠如してい

たロジックや数字を考える能力を養うことができ、大変有意義な研究会活動となりました。所

属 1 期目の 2 回目の進捗報告では、私の班が 1 時間以上のご教示を上山教授から受け、その後

月曜 4 限の研究会の前の時間は常に胃が痛かった覚えがありますが、節目節目には労いのお言

葉をかけてくださったり食事に連れて行ってくださったりと、上山教授のアメとムチの使い分

けに感銘を受けました。途中、1 年間のアメリカ留学を挟み、2 期しか研究会活動には参加でき

なかったため、もう 1 年在学をするか悩んだものの、無給で上山研究会のプロジェクトにコミ

ットするなら仕事をしてお金をもらった方がいいのではないかとすら思わせ、私の足を就職活

動のためにボストンへと向かわせた上山研究会の厳しさ・激しさは慶應義塾大学においても誇

れるものであり、そのような研究会で学びを得た事に感謝の意を表します。

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参考文献

アミューズメント〈2014年度版〉 (最新データで読む産業と会社研究シリーズ). アミューズ

メント総合研究所. 産学社(2013年)

デジタルゲームの教科書 知っておくべきゲーム業界最新トレンド. デジタルゲームの教科書

制作委員. SBクリエイティブ(2010年)

ゲームセンター文化論―メディア社会のコミュニケーション. 加藤 裕康. 神泉社(2011年)

参考資料

一般社団法人日本アミューズメントマシン協会. アミューズメント産業界の実態調査 – アミュ

ーズメント業界を数字で読む(平成 23 年度版)

バンダイナムコホールディングス. 有価証券報告書

セガサミーホールディングス. 有価証券報告書

アドアーズ. 有価証券報告書

ラウンドワン. 有価証券報告書

イオンファンタジー. 有価証券報告書

アミューズメントジャーナル. 月刊アミューズメントジャーナル 9 月号