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1 ネット社会をどう生きる ネット社会をどう生きる 松田 東京工業大学大学院社会理工学研究科 東京工業大学大学院社会理工学研究科 人間行動システム専攻 人間行動システム専攻 平成24年度・青森県情報モラル指導者講習会(西北地区) 2012.12.25 つがる市生涯学習交流センター) お話しすることの概要 お話しすることの概要 ネット上で起こっている問題と社会の 状況を知る サイバー犯罪やネット・トラブルの発生状況 情報安全のための国や地方の取り組み 情報社会での見方・考え方とその指 導のコツを身につける 学習指導要領における情報(モラル)教育 ルール教え込み型から見方・考え方重視へ デメリットを抑えつつメリットを活かす ネット上で起こっている問題 と社会の状況を知る サイバー犯罪の検挙状況 サイバー犯罪の検挙状況 1884 2811 3593 3918 4334 3961 5199 5388 5860 55 73 129 113 247 195 133 105 190 142 277 703 1442 1740 2534 1601 248 486 0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000 8000 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24不正アクセス禁止法違反 コンピュータ・電磁的記録対象犯罪等 ネットワーク利用犯罪 検挙数の増加 警察庁 広報資料 H24.9.20 ネットワーク利用が増加 ×2 ネットワーク利用犯罪の状況 ネットワーク利用犯罪の状況 542 1408 1597 1512 1508 1280 1566 899 802 206 261 443 395 431 647 1001 1582 1872 31 18 47 122 367 349 412 464 386 506 494 659 781 944 742 891 878 962 174 128 138 165 144 188 368 409 458 425 502 709 943 940 755 961 1156 1380 0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600 1800 2000 詐欺 わいせつ物及 び児童ポルノ 出会い系サイ ト期制法違反 児童売春及び 条例違反 著作権違反 その他 ×2 減少傾向 急増 含む商標違反 名誉毀損、薬 H23.青少年のインターネット用 環境実態調査結果(内閣府) H23.青少年のインターネット用 環境実態調査結果(内閣府) 84.1 81.9 81.9 61.5 59.9 57.2 87 86.5 85 71 76.7 70.8 82.4 88 87.7 72.8 80.7 79.1 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 H21 H22 H23 小学生パソコン利用 (小学Iネット利用) 中学生パソコン利用 (中学Iネット利用) 高校生パソコン利用 (高校Iネット利用) 変化は小さい 校種間の差も ほぼ自宅 で利用

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ネット社会をどう生きるネット社会をどう生きる

松松 田田 稔稔 樹樹東京工業大学大学院社会理工学研究科東京工業大学大学院社会理工学研究科

人間行動システム専攻人間行動システム専攻

平成24年度・青森県情報モラル指導者講習会(西北地区)(2012.12.25 つがる市生涯学習交流センター)

お話しすることの概要お話しすることの概要

ネット上で起こっている問題と社会の状況を知るサイバー犯罪やネット・トラブルの発生状況

情報安全のための国や地方の取り組み

情報社会での見方・考え方とその指導のコツを身につける学習指導要領における情報(モラル)教育

ルール教え込み型から見方・考え方重視へ

デメリットを抑えつつメリットを活かす

ネット上で起こっている問題と社会の状況を知る

ネット上で起こっている問題と社会の状況を知る

サイバー犯罪の検挙状況サイバー犯罪の検挙状況

18842811

3593 39184334 3961

5199 53885860

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H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24上

不正アクセス禁止法違反

コンピュータ・電磁的記録対象犯罪等

ネットワーク利用犯罪検挙数の増加

警察庁 広報資料 H24.9.20

ネットワーク利用が増加

×2

ネットワーク利用犯罪の状況ネットワーク利用犯罪の状況

542

1408

15971512 1508

1280

1566

899

802

206261

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1600

1800

2000

詐欺

わいせつ物及

び児童ポルノ

出会い系サイ

ト期制法違反

児童売春及び

条例違反

著作権違反

その他

×2

減少傾向

急増

含む商標違反

名誉毀損、薬

H23.青少年のインターネット用環境実態調査結果(内閣府)

H23.青少年のインターネット用環境実態調査結果(内閣府)

84.1 81.9 81.9

61.5 59.9 57.2

87 86.5 85

7176.7

70.8

82.488 87.7

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H21 H22 H23

小学生パソコン利用

(小学Iネット利用)

中学生パソコン利用

(中学Iネット利用)

高校生パソコン利用

(高校Iネット利用)

変化は小さい

校種間の差も

ほぼ自宅で利用

2

H23.青少年のインターネット用環境実態調査結果(内閣府)

H23.青少年のインターネット用環境実態調査結果(内閣府)

21.8 20.9 20.3

15.7 17.9 15.2

46.8 49.3 47.8

45.6 47.8 45.8

96 97.1 95.6

95.4 96.5 95.1

0

10

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H21 H22 H23

小学生携帯所有

(小学Iネット利用)

中学生携帯所有

(中学Iネット利用)

高校生携帯所有

(高校Iネット利用)

所有率は変化無し

所有≒Iネット利用

約半数が子ども向け機種

両者は同じ機能を持つ道具両者は同じ機能を持つ道具

=メールやWeb検索などインターネットの全てができる

持ち運びが難しいので比較的管理しやすい

子どもが持ち歩くので管理しづらい≠

75.2

95.7 99.4

0

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小学生 中学生 高校生

子どもの回答

H23.青少年のインターネット用環境実態調査結果(内閣府)

H23.青少年のインターネット用環境実態調査結果(内閣府)

75.2

95.7 99.4

39

65.2

86.4

0

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小学生 中学生 高校生

子どもの回答

保護者の回答

保護者の認識が甘い

特に、小・中学生

携帯電話によるIネット利用

全てがネットに接続する時代全てがネットに接続する時代

何でもネットに接続できる時代

情報モラルは、PCやケータイの話ではなくなっている

ゲーム機は既にネット端末音楽プレーヤーもネット端末

子どもたちは知らないうちにネット接続

テレビも、DVDも、冷蔵庫でさえも、技術的に何でもネット端末にすることは可能(業界は自主規制・・・規制ルールはまだない)

小中高生が利用するサービス小中高生が利用するサービス

メールメール WebWeb検索検索 着メロ・着着メロ・着うたうた オンラインゲームオンラインゲーム ブログブログ ツイッターツイッター YouTubeYouTube(ユーチューブ)(ユーチューブ) にこにこ動画にこにこ動画 LINELINE(無料通話アプリ)(無料通話アプリ) 出会い系サイト出会い系サイト 掲示板・コミュニティサイト掲示板・コミュニティサイト

–– 2ちゃんねる2ちゃんねる–– SNSSNS((FACEBOOK,FACEBOOK, MixiMixi,, モバゲータウン)モバゲータウン)–– プロフ(前略プロフィール)プロフ(前略プロフィール)

H23.青少年の・・・調査(内閣府)H23.青少年の・・・調査(内閣府)

メール関連

サイトアクセス関連

プロフ関連

その他

インターネット上のトラブルや

問題行動に関連する行為の経験

3

起こっているトラブル起こっているトラブル

財団法人マルチメディア振興センター「ネット社会の7つの常識」http://www.fmmc.or.jp/information/data/upfiles/74/ansin_2p.pdf から

p.18~19 「電子メールに関わるトラブル」

p.8~9 「情報を受信する、発信する際のトラブル」

p.32~33 「インターネット上での売買トラブル」

子ども達が情報モラルの問題に巻き込まれる原因

子ども達が情報モラルの問題に巻き込まれる原因

・公開性 ・記録性・信憑性 ・安全性

知識の欠如知識の欠如

意識の欠如意識の欠如

・危険性の認識 ・人間としてのモラル・ネットワークコミュニケーションの特性

©戸田俊文先生(一部改変)

子どもとネットを取り巻く背景子どもとネットを取り巻く背景

学校・教師

事業者(企業)

保護者

児童・生徒

法整備・各省庁の政策学習指導要領・持ち込み禁止等

児童・生徒への指導保護者啓発・連携児童・生徒への指導保護者啓発・連携

機器・サービス提供利益追求と社会的責任自主規制・保護者啓発

子どもへのしつけ機器の与え方・管理子どもへのしつけ機器の与え方・管理

地方自治体

普及啓発活動 青少年保護条例教育委員会の施策

各種団体 社会の動き社会の動き

今、何が起こっているか?今、何が起こっているか?

ネットと子供に関する国の動きネットと子供に関する国の動き

「青少年インターネット利用環境整備法」が成立

・・2009年6月施行

「青少年インターネット利用環境整備法」が成立

・・2009年6月施行

経済産業省経済産業省

ネット上の商取引の法整備

文部科学省文部科学省

生徒の学校への携帯持

込禁止

情報モラル教育の徹底

(小学校から)

総務省総務省

電波通信に関する法整備

「安心ネット促進プログラム」

関連企業も関係団体も大騒ぎ

警察庁警察庁内閣府内閣府

「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる

ようにするための施策に関する基本計画」

サイバー犯罪に関する啓発

4

ネットと子供に関する地方の動きネットと子供に関する地方の動き

各地の 教育委員会教育センター

各地の 教育委員会教育センター

•学校に対して情報モラル指導の徹底•情報モラル教育に関する研修•情報モラル教育の指針•保護者啓発資料の提供

・・青少年問題協議会「メディア社会が拡がる中での青少年の健全育成について」・年齢確認・フィルタリング解除の厳格化・新しい通信機器の問題

石川県石川県 ・・小中学生に携帯電話を持たせない条例

東京都東京都

埼玉県埼玉県 兵庫県兵庫県 神奈川県神奈川県

・・フィルタリング不利用に関する理由書等の提出義務

レイティング/フィルタリングの枠組レイティング/フィルタリングの枠組

保護者第三者機関(PTA,学校,NPO,公的機関,フィルタリング事業者など)

コンテンツプロバイダ

コンテンツ制作

セルフレイティング

青少年

レイティング基準・フィルタリングソフトの

選択・設定

コンテンツに対する客観的・外形標準的なメタ情報(ラベル)

ヌード性行為

ラベル

第三者レイティング

Copyright (C) 2009 Internet Association Japan

レイティング フィルタリング

【レイティング基準】

フィルタリングソフト使用

Webページ

(画像は省略)

H23.青少年のインターネット用環境実態調査結果(内閣府)

H23.青少年のインターネット用環境実態調査結果(内閣府)

61.7

77.6 76.5

54.7

67.1 69.6

38.7

49.3 49.7

39.3

28 28.629.533.5 32.7

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10

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H21 H22 H23

小学生携帯

中学生携帯

高校生携帯

小学生パソコン

中学生パソコン

高校生パソコン

頭打ち傾向

フィルタリング利用率(接続不可の機種を含む)

最近購入、啓発経験有りの人の利用率が高い

パソコンの方がIネット利用率が高いが、フィルタリング利用率は低い

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82.3

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小学生 中学生 高校生

保護者の回答

H23.青少年のインターネット用環境実態調査結果(内閣府)

H23.青少年のインターネット用環境実態調査結果(内閣府)

60.2

68.4

48.1

71.3

82.3

74.8

0

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40

50

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90

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小学生 中学生 高校生

子どもの回答

保護者の回答

保護者の認識が甘い

特に、高校生

携帯電話の利用に関して「家庭でルールを決めている」か?

H23.青少年のインターネット用環境実態調査結果(内閣府)

H23.青少年のインターネット用環境実態調査結果(内閣府)

携帯フィルタリングを利用しない理由

各種団体の取組み各種団体の取組み

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学校では

~情報教育(情報モラル教育)~

学校では

~情報教育(情報モラル教育)~

中学校 第1章第4の2(10)各教科等の指導に当たっては, 生徒が情報モラルを身に付け,コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を適切かつ主体的, 積極的に活用できるようにするための学習活動を充実するとともに, ・・・

学習指導要領 総則学習指導要領 総則

小学校 第1章第4の2(9)各教科等の指導に当たっては, 児童がコンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段に慣れ親しみ,コンピュータで文字を入力するなどの基本的な操作や情報モラルを身に付け,適切に活用できるようにするための学習活動を充実するとともに, ・・・

•キーボードなどによる文字の入力•電子ファイルの保存・整理•インターネットの閲覧や電子メールの送受信•文章を編集したり図表を作成したりする学習活動

•様々な方法で文字や画像などの情報を収集して調べたり比較したりする学習活動

•情報手段を使って交流する学習活動•調べたものをまとめたり発表したりする学習活動

•情報発信による他人や社会への影響について考えさせる活動•ネットワーク上のルールやマナーを守ることの意味について考えさせる活動

•情報には自他の権利があることを考えさせる活動•情報には誤ったものや危険なものがあることを考えさせる活動•健康を害するような行動について考えさせる活動

中学校 第1章第4の2(10)各教科等の指導に当たっては, 生徒が情報モラルを身に付け,コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を適切かつ主体的, 積極的に活用できるようにするための学習活動を充実するとともに, ・・・

学習指導要領 総則学習指導要領 総則

小学校 第1章第4の2(9)各教科等の指導に当たっては, 児童がコンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段に慣れ親しみ,コンピュータで文字を入力するなどの基本的な操作や情報モラルを身に付け,適切に活用できるようにするための学習活動を充実するとともに, ・・・

•課題を解決するため自ら効果的な情報手段を選んで必要な情報を収集する学習活動

•様々な情報源から収集した情報を比較し必要とする情報や信頼できる情報を選び取る学習活動

•情報手段を用いて処理の仕方を工夫する学習活動

•自分の考えなどが受け手に伝わりやすいように表現を工夫して発表したり情報を発信したりする学習活動など

•ネットワークを利用する上での責任について考えさせる活動

•基本的なルールや法律を理解し違法な行為のもたらす問題について考えさせる活動

•知的財産権などの情報に関する権利を尊重することの大切さについて考えさせる活動

•トラブルに遭遇したときの主体的な解決方法について考えさせる活動

•基礎的な情報セキュリティ対策について考えさせる活動

•健康を害するような行動について考えさせる活動

「学校⇔保護者」の連携の必要性「学校⇔保護者」の連携の必要性

学校学校 保護者保護者

連携・協力

フィルタリング

家庭での指導

学校全体で取り組む

指導目標・計画

実態把握

実践資料やモデルカリキュラム実践資料やモデルカリキュラム

文科省から各学校へ「キックオフガイド」「モデルカリキュラム」が配布された

情報モラル教育を徹底するには情報モラル教育を徹底するには

学校全体での年間指導計画を立てた取り組み

管理職の意識と情報教育推進リーダーの存在

小中学校教員&管理職アンケート+ ヒアリング調査

小中学校教員&管理職アンケート+ ヒアリング調査

浮かび上がった課題重要重要

6

情報社会での見方・考え方とその指導のコツを身につける情報社会での見方・考え方とその指導のコツを身につける

情報モラルの指導法情報モラルの指導法

①事例重視

•多くの事例からルールを学び取ら

せる指導法

②心情重視

•体験や議論を通して心情に訴えか

ける指導法

③考え方のコツを教える(3種の知識)

出典:「ネット社会の歩き方」(http://www.cec.or.jp/net-walk/)

出典:「ネット社会の歩き方」(http://www.cec.or.jp/net-walk/)

既存の情報モラル教材の問題点既存の情報モラル教材の問題点

多くの事例 → 時間がかかるルール教え込み → 転移が困難

新しい指導方法・枠組みが必要

情報モラル教育の目的情報モラル教育の目的

情報モラル=情報社会で適正な活動を行うための基になる考え方と態度

日常モラル

情報モラル

いじめ

ネットいじめ

「3種の知識」による情報モラル指導「3種の知識」による情報モラル指導

時間

3種の知識(本研究)

事例中心(従来)

ルール重視心情重視

考え方の枠組み

時間がかかる 短時間で効率的に

情報技術を使う全て→範囲が明確でない

情報技術に起因する問題に限定→必要最小限に厳選

範囲

指導法

ねらい:・道徳教育の学習成果を活かせる枠組み・技術の進展に対応できる考え方の枠組み 道徳的規範知識道徳的規範知識

情報技術の知識情報技術の知識

合理的判断の知識合理的判断の知識

情報モラルの判断

状況の知識

原則の知識

判断のための見方・考え方

村井実(1987)道徳判断のための3種の知識

「3種の知識」とは「3種の知識」とは道徳教育の成果を活かす

技術・家庭科や情報科で学ぶ基礎知識

態度の根幹、長期的に発達

思考・判断~見方・考え方

7

基礎・基本とは何か?基礎・基本とは何か?

基礎~知識や技能、体力

指導しやすい~比重が置かれがち

基本~見方・考え方

問題をとらえ、解決方法を発想する手掛か

りとして重要

「生きる力」の育成~こちらの指導も重視

×体験から学ぶ ⇒ ○明示的に教える

×個別的なコツ ⇒ ○一般的なコツ

「基礎」 と 「基本」「基礎」 と 「基本」

知識知識

知識

知識

知識

知識

知識

問題問題 問題問題 問題

知識知識

知識

知識 知識

知識

問題問題 問題問題 問題

「基礎=点」 を 「基本」で面に「基礎=点」 を 「基本」で面に

知識知識1+見方・考え方

知識2+見方・考え方

知識3+見方・考え方

知識4+見方・考え方

知識5+見方・考え方

知識7+見方・考え方

知識6+見方・考え方

見方・考え方知識1~n

科学的問題解決と実験・理論科学的問題解決と実験・理論

現実の問題 抽象的命題

解 決 解

実験的問題

結 果

情報モデル

結 果

法則・解法

計算・視覚化

具体化

抽象化

定式化

解 釈

理想化

一般化

確 認推

数理的な考え方数理的な考え方

具体物・模式図

数量化

具現化

記号化

数量化

現象世界現象世界一般化

特殊化

事例

結論

命題

事象

演繹

帰納

数量化

図表化

記号化

数量化

数学世界数学世界一般化

特殊化

事例

結論

定義・定理

事象

演繹

帰納

抽象化

具体化

科学的な考え方(をさせる)科学的な考え方(をさせる)

•実験・観察して確認する方法を考えさせる•ある要因を無視した場合を考えさせる•実験条件を要因に分解して考えさせる•関数を当てはめて結果を定量的に予測させる•再現性があるかどうか確認させる•仮説を検証するための実験に焦点化させる•既知の法則や事実との整合性を考えさせる•どのような実験結果なら仮説が反証されるか考えさせる•要因のうちの1つだけを変化させる方法を考えさせる•条件や性質を空間的位置関係に着目して整理させる•条件や変化を時間的位置関係に着目して整理させる•保存/変換/平衡に着目して考えさせる•連続/不連続、可逆/不可逆という視点で考えさせる•エネルギーや力や電気的性質に着目して考えさせる•原子の構造や電子配置に着目して考えさせる

8

効果的な指導のためには効果的な指導のためには

×やっているうちに解決できるようになる

できない者が悪い

○より良く問題解決するコツがある

それを探求し、指導するのが教師の役割

×個々の課題ごとにコツは違う

課題ごとに教わらないといけない

○知識よりも見方・考え方を重視する

コツを教える → コツの探し方を教える

「合理的判断の知識」「合理的判断の知識」

調べる(自己学習)法律の専門家に聞く

問題に直面

分からない

調べる(自己学習)親や先生に聞く

分からない

調べる(自己学習)親や先生に聞く

分からない

ない

かけない

おこらない

調べる(自己学習)情報技術に詳しい人に聞く

分からない

ない

実 行実行中止

ある

かける

おこる

ある

法律的な問題はないか

人に迷惑をかけないか

自分に被害が起こらないか

技術的な問題はないか

献血募集メール

「合理的判断の知識」「合理的判断の知識」

調べる(自己学習)法律の専門家に聞く

問題に直面

分からない

調べる(自己学習)親や先生に聞く

分からない

調べる(自己学習)親や先生に聞く

分からない

ない

かけない

おこらない

調べる(自己学習)情報技術に詳しい人に聞く

分からない

ない

実 行実行中止

ある

かける

おこる

ある

法律に問題はないか

人に迷惑をかけないか

自分に被害が起こらないか

技術的な問題はないか

法律的な問題は無い方が良い

他人に迷惑がかからない方が良い

自分がトラブルに巻き込まれない方が良い

チェーンメールによるネットへの負荷

×ギリギリまで権利を行使する → ○トラブルを避ける×ギリギリまで権利を行使する → ○トラブルを避ける

情報技術に関する知識

献血募集メール

効果的な指導のためには効果的な指導のためには

いじめ・嫌がらせ・誹謗・中傷個人情報の流出著作権・肖像権などの侵害

思いやりのない使用未熟なコミュニケーション

不正アクセス

個人情報の流出

迷惑メール・ワン切り

不当(架空)請求

詐欺

わいせつ目的犯罪

誹謗・中傷・脅迫

他人に迷惑をかける 自分が被害に遭う

依存・使いすぎ

・紛失・廃棄・盗難

自滅

•発信した情報は、どこかに残る可能性あり(消せない)

•匿名ではない、発信者の記録が必ず残っている

費用は発信者だけではなく、受信者も支払わなければならない。ネットワークは公共の資源なので無駄遣いしてはいけない

接続しただけで、自分のコンピュータに侵入されたり、何かを取り出されるような危険なページをある。

信憑性

侵入可能性

公共性

記録性

公開性

掲示板やSNSへの書き込みは、全世界に公開されている→世界中から誰でも見ることができる

誰でも発信可能→いい加減な情報も多い。→正しいかどうかの確認をしなければならない。

「情報技術の知識」「情報技術の知識」すぐには変化しない知識学ぶ価値がある知識→

「合理的判断の知識」「合理的判断の知識」

調べる(自己学習)法律の専門家に聞く

問題に直面

分からない

調べる(自己学習)親や先生に聞く

分からない

調べる(自己学習)親や先生に聞く

分からない

ない

かけない

おこらない

調べる(自己学習)情報技術に詳しい人に聞く

分からない

ない

実 行実行中止

ある

かける

おこる

ある

法律に問題はないか

人に迷惑をかけないか

自分に被害が起こらないか

技術的な問題はないか

法律的な問題は無い方が良い

他人に迷惑がかからない方が良い

自分がトラブルに巻き込まれない方が良い

チェーンメールによるネットへの負荷

×ギリギリまで権利を行使する → ○トラブルを避ける×ギリギリまで権利を行使する → ○トラブルを避ける

情報技術に関する知識

もし本当なら協力したいという目的意識がある?

献血募集メール

9

家族が緊急手術! その時…家族が緊急手術! その時…

輸血用血液の在庫が足りない(時間が切迫)

近くに知り合いがいない(旅先とか)

大地震が発生して…

目 標: 献血協力者を必要数確保補助的目標: 他人に迷惑をかけない、

混乱を招かない条 件: 制限時間内(手術前)に、

○○が使える/使えない

より速く伝える可能性のある人に限定的に情報の信憑性を維持する必要な情報が欠けない

コストや手間がかからない不要になった時点で止まる

回答が確実に届く

問題解決と情報モラル問題解決と情報モラル

調べる(自己学習)法律の専門家に聞く

問題に直面

分からない

調べる(自己学習)親や先生に聞く

分からない

調べる(自己学習)親や先生に聞く

分からない

ない

かけない

おこらない

調べる(自己学習)情報技術に詳しい人に聞く

分からない

ない

実 行実行中止

ある

かける

おこる

ある

法律に問題はないか

人に迷惑をかけないか

自分に被害が起こらないか

技術的な問題はないか

法律的な問題は無い方が良い

自分がトラブルに巻き込まれない方が良い

他人に迷惑がかからない方が良い

チェーンメールによるネットへの負荷

より多くの人に、より速く、より確実に、より手間をかけず、より安く

×トラブル回避のために中止→ ○トラブルを避けて実行×トラブル回避のために中止→ ○トラブルを避けて実行

問題解決と情報モラル問題解決と情報モラル

法律的な問題は無い方が良い

自分がトラブルに巻き込まれない方が良い

他人に迷惑がかからない方が良い

チェーンメールによるネットへの負荷

より多くの人に

より速く

より確実に

より手間をかけず

より安く

より正確に

より適切な人に

×トラブル回避のために中止→ ○トラブルを避けて実行×トラブル回避のために中止→ ○トラブルを避けて実行

情報教育の目標=情報活用能力情報教育の目標=情報活用能力

情報活用の実践力

情報の科学的な理解

情報社会に参画する態度

課題や目的に応じて情報手段を適切に活用

することを含めて、必要な情報を主体的に収

集・判断・表現・処理・創造し、受け手の状況

などを踏まえて発信・伝達できる能力

問題解決のための情報の収集・処理・発信で、ICTの適切な活用を思考・判断できる

使った方がいい使わねばならない

情報教育の目標=情報活用能力情報教育の目標=情報活用能力

情報活用の実践力

情報の科学的な理解

情報社会に参画する態度

課題や目的に応じて情報手段を適切に活用

することを含めて、必要な情報を主体的に収

集・判断・表現・処理・創造し、受け手の状況

などを踏まえて発信・伝達できる能力

問題解決のために、ICTの適切な活用を考え、情報を収集・処理・発信できる

知識+見方・考え方

変化しやすい

変化しにくい

情報的な見方・考え方情報的な見方・考え方1.問題解決の様々な場面で情報の活用を考える

2.システム的な観点で問題を捉える

3.多様な「良さ」があることに着目しながら,より良い問題解決を考える

4. 「良さ」の間のトレードオフ関係を考える

5.解決方法の工夫を情報の収集や処理方法の工夫という観点から考える

6.解決方法には多様な代替案が存在すること,その1つにICTの活用があることを意識して発想する

7.多くの代替案の中から「良さ」に応じた選択をする

8.意思決定の権利を行使する際に,決定がもたらす結果への責任や他者への影響を自覚して判断を行う

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情報的な見方・考え方情報的な見方・考え方

9. 状況や判断する人によって解決方法に求める「良さ」の観点が変わり,代替案の「良さ」の評価も変わりうることを意識する

10.情報技術を効果的に活用するために,人が行うべき工夫を考える

11.これまで解決が困難と思われてきた状況や分野でこそ情報技術を活用した新たな解決方法を発想する

12.想定外のケースや,誤りを犯す危険性を考慮し,変化や突発的な事態への対応方法を準備しておく

13.間違い防止や失敗の改善のために,解決手順の明確化やルールの共有化、その確認方法を考える

「総合的な学習の時間」の解説「総合的な学習の時間」の解説

体験的な活動と探求的な活動は異なる

課題の設定

情報の収集

整理・分析

まとめ・表現

総合的な学習の時間における探究的な学習とは,問題解決的な活動が発展的に繰り返されていく下図のような一連の学習活動のこと

問題解決

情報の収集・整理・分析・表現

1998年の学習指導要領改訂

「生きる力」をどう育成する?1998年の学習指導要領改訂

「生きる力」をどう育成する?

自ら学び、自ら考える力を育成学び、考えるには、適切な情報の活用が必要

場所を問わず時間を有効に使って→ICT活用

情報教育からの提言

豊かな人間性や社会性等を育成集団の中で相互理解する訓練をしたり、多様な

考えの存在を認識させる

豊かな表現・コミュニケーション能力をつけ、ICTも活用して安全に交流の幅を広げる

より多様な人と,より緊密に,より安全に,・・・

体系的・系統的な情報教育の実施体系的・系統的な情報教育の実施

小学校 中学校 高校

総合的な学習の時間+各教科

道徳の時間

公民

技術・家庭「情報に関する技術」

共通教科「情報」

社会科「公民」

情報活用の実践力

情報の科学的な理解

情報社会に参画する態度

「技術的理解過程」•情報技術の知識を習得/確認する•設定した目標を達成出来そうな代替案を発想する(代替案発想活動や教材に依存する活動によって、観点重視度の値が変化する)

•発想した方法のトレードオフ関係を考え、合理的判断過程で⾏った作業内容も含め、問題解決に有用な解を検討する

「合理的判断過程」•情報技術の特性を考慮しながら、技術的理解過程で考案した方法がもたらす、あらゆる情報モラル問題やリスクを想定した上で、デメリットを軽減するような対応策を考える

「最適解導出過程」•根拠を持った上で自分なりの最適解を導出する

•問題解決の際に有用だったアイディアや手法をグループ内で共有する

「ふりかえり過程」•活動記録に基づいて、これまでの問題解決活動を自己評価する(思考・判断の観点)

•これまでの学習で得た学習成果と対応させながら、新たに獲得した知識を⾃⼰評価する(知識・理解の観点)

「良さ」や処理⽅法の⼯夫に配慮した(中間)目標

+観点重視度

変化や予想外の事態が起こった時の対応方法を考える、など

+合理的判断の知識 (情報モラル問題も含めてデメリットを最小限するため、あらゆる方法を視野に入れて対応策を考える)

目標に対応した手法が持つトレードオフ関係情報 懸念するリスクや情報モラルおよび対応策

+観点重視度

問題に対応した対応策 活動中に習得した知識/考え方 活動記録

+観点重視度

より良い問題解決には、⼿順の明確化やルールの共有化が必要であり、それを⾏う⽅法や確認する⽅法を考える必要がある

自己評価結果+n回目の観点重視度

「目標設定過程」•確認ステートや情報収集ステートを交えて、教材の状況設定を正しく受容させる

•状況設定や自分自身の考えをふまえ、作業の方針/(中間)目標を決定する

-問題解決の様々な場面で情報の活用を考える

-良さの間のトレードオフ関係を認識する

-良さに応じた代替案を選択する、 など+情報技術の知識(代替案の発想や問題点の検討等で用いる)

-解決⽅法の⼯夫を情報収集や処理⽅法の⼯夫という観点から考える

-システム的な観点で問題を捉える、など いじめ問題への対応についていじめ問題への対応について

「ネット上のいじめ」に関する対応マニュアル・事例集(学校・教員向け).文科省(H20)

トップトップ >> 教育教育 >> 小学校、中学校、高等学校小学校、中学校、高等学校 >> 生徒指導等について生徒指導等について >> いじめいじめ

日常モラル

情報モラル

いじめ

ネットいじめ

いじめの認知件数の5%弱

認知件数はH23に年間7万件、H24上期は14万件

当該児童生徒が、一定の人間関係のある者から、心理的、物理的な攻撃を受けたことにより、精神的な苦痛を感じているもの

いじめ対策プログラム例KiVa (フィンランド)P.A.T.H.S.(香港)

傍観者への教育に力点(傍観=いじめの助長)

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3方向相互作用モデル3方向相互作用モデル

企業消費者

他の消費者

問題を指摘する

品質改善

より良い商品が提供される

過剰な要求をする

特別な対応をする

コスト増

商品価格に転嫁

負担増

経営者/技術者モラル消費者モラル?

傍観者のモラル/責任?

別の消費者

情報を発信する

同様の要求をする さらなる

コスト増

コールバーグの道徳性発達理論コールバーグの道徳性発達理論

0.欲求希求志向 ~ 快・不快等

1. 罰回避と従順志向 ~ 他律的

2. 道具的互恵、快楽主義 ~ 損得

3. 他者への同調、よい子志向 ~ 黄金律

4. 法と秩序の維持

5. 社会契約、法律の尊重、及び個人の権利志向~ 権利尊重、社会的公平

6. 良心または普遍的、原理的原則への志向

考慮できる価値観の範囲

以上以上

ありがとうございましたありがとうございました

以上以上

ありがとうございましたありがとうございました