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1 社会科教育研究「ときのまほろば」NO.1 4/16.2005knarita プロローグ―問いを愛する― 0 自己紹介 成田喜一郎(Mr.NARICK、寺澤満春)について語る。 1 履修の条件 社会科教育につながりかかわりあることに対して、 知的好奇心を持つこと。 問いを愛しよく考え、判断すること。広く深く資料・情報を収集・活用し、積極的に自分の考えを表 現すること。そして、知をこよなく愛し自己理解と他者理解を深めること。 2 本科目の目的 本科目の目的は、社会科教育に関する実践理論とその方法を学び、実践力のある社会科 教師をめざすための具体的・基礎的な知識・技術等を習得することである。 3 授業の概要 本授業は、社会科教育実践者の視点で「社会科教育の歴史と現在」、「世界の中の社会科 教育」、「論争の中の社会科教育」、「社会科教育の理論」、「社会科授業づくりの方法」、「社 会科授業体験と分析」等について講義を行うととともに、ディスカッションや模擬授業な 学生の参画・学生との対話によって構成される授業である。 4 授業の計画(変更することもあります) 【前期】 プロローグ―問いを愛する― 社会科教育への招待Ⅰ―地理の授業― 社会科教育への招待Ⅱ―歴史の授業― 社会科教育への招待Ⅲ―公民の授業― 社会科教育の歴史と現在Ⅰ―初期社会科― 社会科教育の歴史と現在Ⅱ―学習指導要領の変遷― 社会科教育の歴史と現在Ⅲ―現行学習指導要領― 世界の中の社会科教育Ⅰ―多文化社会― 世界の中の社会科教育Ⅱ―教育交流― 論争の中の社会科教育Ⅰ―歴史観― 論争の中の社会科教育Ⅲ―学力問題― 社会科教育の現状と課題―ディスカッション―

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Page 1: プロローグ―問いを愛する―laotao.way-nifty.com/islikewater/files/2005.pdf1 社会科教育研究「ときのまほろば」NO.1 4/16.2005knarita プロローグ―問いを愛する―

1

社会科教育研究「ときのまほろば」NO.1 4/16.2005knarita

プロローグ―問いを愛する―

0 自己紹介

成田喜一郎(Mr.NARICK、寺澤満春)について語る。

1 履修の条件

社会科教育につながりかかわりあることに対して、知的好奇心を持つこと。問いを愛し、

よく考え、判断すること。広く深く資料・情報を収集・活用し、積極的に自分の考えを表

現すること。そして、知をこよなく愛し、自己理解と他者理解を深めること。 2 本科目の目的

本科目の目的は、社会科教育に関する実践理論とその方法を学び、実践力のある社会科

教師をめざすための具体的・基礎的な知識・技術等を習得することである。 3 授業の概要

本授業は、社会科教育実践者の視点で「社会科教育の歴史と現在」、「世界の中の社会科

教育」、「論争の中の社会科教育」、「社会科教育の理論」、「社会科授業づくりの方法」、「社

会科授業体験と分析」等について講義を行うととともに、ディスカッションや模擬授業な

ど学生の参画・学生との対話によって構成される授業である。 4 授業の計画(変更することもあります)

【前期】

① プロローグ―問いを愛する― ② 社会科教育への招待Ⅰ―地理の授業― ③ 社会科教育への招待Ⅱ―歴史の授業― ④ 社会科教育への招待Ⅲ―公民の授業― ⑤ 社会科教育の歴史と現在Ⅰ―初期社会科― ⑥ 社会科教育の歴史と現在Ⅱ―学習指導要領の変遷― ⑦ 社会科教育の歴史と現在Ⅲ―現行学習指導要領― ⑧ 世界の中の社会科教育Ⅰ―多文化社会― ⑨ 世界の中の社会科教育Ⅱ―教育交流― ⑩ 論争の中の社会科教育Ⅰ―歴史観― ⑪ 論争の中の社会科教育Ⅲ―学力問題― ⑫ 社会科教育の現状と課題―ディスカッション―

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【後期】 ① 社会科授業の実践理論Ⅰ―生徒論― ② 社会科授業の実践理論Ⅱ―教材論― ③ 社会科授業の実践理論Ⅲ―方法論― ④ 社会科授業の実践理論Ⅲ―評価論― ⑤ 社会科授業の実践理論Ⅳ―教師論― ⑥ 社会科授業づくりの方法Ⅰ―教科書― ⑦ 社会科授業づくりの方法Ⅱ―史・資料― ⑧ 社会科授業づくりの方法Ⅲ―学習指導案― ⑨ 社会科授業体験と分析Ⅰ―地理― ⑩ 社会科授業体験と分析Ⅱ―歴史― ⑪ 社会科授業体験と分析Ⅲ―公民― ⑫ エピローグ―社会科教師をめざす―

5 評価方法

① 毎時間授業後に書く「キーワード・コメント」(出席と学びの証) ② レポート・エッセイ

③ 授業への参加・態度

④ 試験

以上、4点等を踏まえて、総合的に評価する。 6 テキスト・参考書

【テキスト】 森茂岳雄・大友秀明編著『社会科教育の世界―歴史・理論・実践―』梓出版社(¥2,625)

【参考書】 ① 鈴木崇弘ほか編著『シチズン・リテラシー』教育出版(¥1,900)

7 授業外活動状況 公開授業研究会等への参加(自由意思)を呼びかけることがある。 8 おわりに

【URL】

「ときのまほろばを求めて」http://homepage2.nifty.com/01241104/index.html 「ホリスティック教育学研究室」http://blog.livedoor.jp/jzs03765/

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社会科教育研究「ときのまほろば」NO.2 4/23.2005knarita

社会科教育への招待―地理の授業―

1 前回を振り返って

1.1 前回のキーワード・コメントから

① 張り切りすぎ、内容が多すぎ。 ② 中学生や高校生のころ、学校の先生が生徒を包括的にとらえる姿勢が大嫌だった。 ③ ルカーワ型テスト批判、知っている問題をやらせては生徒に過剰自己満足させる。 1.2 前回の Q から ① なぜ教師をめざすようになったのか? ② 書く気がない生徒にはどうしたらいいのか? ③ 本来の知の探求の喜びを感じさせる授業とは?→この1年間かけて探っていこう。 ④ 「引き出す」ということは具体的にどんな方法なのか?→今日の授業でしてみよう。 ⑤ ディベートに向かない論題とは?→もうちょっと待って。待てない人は、拙著『中学校社会科授業ディベート』(明治図書)を読んで。

⑥ 地名の「愛知」と知を愛することとの関係は?→自分で調べてみよう。 ⑦ 「社会」が使われる前に使われていた言葉はなんだっけ?→友だちに聞いてみて。

2 社会科地理(地人史)の授業づくり

① 寺澤満春作詞・作曲「風と湖水と人々と」から北海道の地人史を学ぶ →資料 2-1 ・ 教材は、文献・資料集の中にある。○アイヌ語研究、北方少数民族ウィルタ研究 ・ 教材は、教員の調査・研究体験の中にある。◎12日間北海道旅行 ・ 教材は、子どもたちの生活・学習体験の中にある。△

② 宮澤賢治「雨ニモマケズ」と井上陽水「ワカンナイ」から東北地方の地人史を学ぶ →資料 2-2

・ 国語科との連携:「ヒデリノトキハ....、サムサノナツハ....」:干ばつ、ヤマセのへの気づき

・ 賢治「雨ニモマケズ」(1931)と陽水「ワカンナイ」(『LION & PELICAN』1982)の対話

③ 時事問題から島(島嶼とうしょ)の地人史を学ぶ →資料 2-3 ・ 新聞の切り抜き「現在史年表」の活用 ・ 自然環境、人口、資源・産業、生活・文化、地域間の結びつき(学習指導要領)

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資料 2-1

⾵と湖⽔と⼈々と寺澤満春

忘れていました ぼくたちは ⾵にかおりがあることを ⽊々のみどりは⾵にとけ 草は⾵に萌えてゆく 草むらのペイコッたちの 瞳をのぞいてみれば かおるそよ⾵に 吹かれたぼくらが映ってる

忘れていました ぼくたちは 湖⽔の⾊の豊かさを 摩周の⻘は⽔にとけ 時と光にかわりゆく ヤンカラプテと声かける 摩周湖のカムイに向かい ぼくらはまぶたの中に 焼きつける摩周の⽔模様

そして、忘れられません ⼟地に⽣きる⼈々のこと ぼくらの知らない季節や歴史の きびしさ重さ背負いゆく

アイヌのエカシの ⽩いひげは⻑いウィルタのゲンダーヌ あざやかな⾐裳を着て踊る

注 ペイコッ(⽜のこと) ヤンカラプテ(遠いところようこそ) カムイ(神のこと) アイヌ(北海道にいる先住⺠族) エカシ(⻑⽼のこと) ウィルタ(北海道には30数⼈しかいないサハリンの少数⺠族) ゲンダーヌ(故北川源太郎⽒の本名・ウィルタ名)

MEMO.

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資料 2-2

【参考資料】

雨ニモマケズ ワカンナイ

雨ニモマケズ 雨にも風にも負けないでね

風ニモマケズ 暑さや寒さに勝ちつづけて

雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ 一日、すこしのパンとミルク だけで

丈夫ナカラダヲモチ カヤブキ屋根まで届く

欲ハナク 電波を受けながら暮らせるかい?

決シテ嗔ラズ 南に貧しい子供が居る

イツモシズカニワラッテイル 東に病気の大人が泣く

一日ニ玄米四合ト 今すぐそこまで行って夢を与え

味噌ト少シノ野菜ヲタベ 未来の事ならなにも

アラユルコトヲ 心配するなと言えそうかい?

ジブンヲカンジョウニ入レズニ

ヨクミキキシワカリ 君の言葉は誰にもワカンナイ

ソシテワスレズ 君の静かな願いもワカンナイ

望むかたちが決まればつまんない

野原ノ松ノ林ノ蔭ノ 君の時代が今ではワカンナイのよう

小サナ萱ブキノ小屋ニイテ ラララララララ……

東ニ病気ノコドモアレバ

行ッテ看病シテヤリ 日照りの都会を哀れんでも

西ニツカレタ母アレバ 流れる涙でうるおしても

行ッテソノ稲ノ束ヲ負イ 誰にも誉められもせず、苦にもされず

南ニ死ニソウナ人アレバ まわりの人からいつも

行ッテコワガラナクテモイイトイイ クノボウと呼ばれても笑えるかい?

北ニケンカヤソショウガアレバ 君の言葉は誰にもワカンナイ

ツマラナイカラヤメロトイイ 慎み深い願いもワカンナイ ワカンナイ

明日の答えがわかればつまんない

ヒデリノトキハ 君の時代のことまでワカンナイ

ナミダヲナガシ 君の言葉はだれにもワカンナイ

サムサノナツハ 君の静かな願いもワカンナイ

オロオロアルキ 望むかたちが決まればつまんない

ミンナニデクノボートヨバレ 君の時代が今ではワカンナイ

ホメラレモセズ ラララララララ……

クニモサレズ (井上陽水『 』 より)LION&PELICAN FORLIFE

ソウイウモノニ

ワタシハナリタイ

(宮澤賢治『雨ニモマケズ手帳』より)

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資料 2-3 地人史通信「やいゆぅから」NO.11 10/25.2002 Mr.NARICK

島の地人史学―佐渡島を中心に―

1 最近の時事問題から学ぶ地人史学

資料「対日工作拠点は『清津』 不審船2隻の逃亡先」(『毎日新聞』10/7.2002)(略) 2 島の地人史学~佐渡島~

①日本の領域にある島々はいくつぐらいあるのか? 有人無人を合わせて、(6,852)島ある。 ②地理統計(p.62)によると、日本のおもな島(ベスト5)は、(本州・北海道・九州・四国・択捉)である。(世界のおもな島、p.3参照)

③離島振興法(1953年制定、2002年改正)に指定される「離島」のうち、住民基本台帳で住民の居住が確認される島(平成 8 年4月1日現在)は、325島あると言われている。http://www1.pref.nagasaki.jp/sima/html/topics/rishinhou.html

④325の離島のうち、表1,2からも分かるようにもっとも面積が多く、もっとも

人口が多いのは、佐渡島である。 表1 表2

⑤佐渡島という地名を聞いて、曽我ひとみさんの故郷・佐渡島(新潟県真野町)以外

に連想することは何か。 ⑥Mr.NARICK による数回にわたる地域実地踏査旅行の結果、得られた佐渡島地人史情報は、以下のとおりである。(略)

3 海で隔てられた「離島」。しかし、一面、海でつながる「島嶼」でもある。

(出典:東京学芸大学附属世田谷中学校第 2学年 55回生対象「日本地理の授業実践資料」より)

面積1 佐渡島(新潟県) 854.622 奄美大島 (鹿児島県) 719.883 対馬島(長崎県) 679.14 屋久島(鹿児島県) 504.555 種子島(鹿児島県) 447.16 福江島(長崎県) 324.337 西表島(沖縄県) 289.278 徳之島(鹿児島県) 247.919 島後(島根県) 242.66

10 石垣島 (沖縄県) 222.4811 利尻島(北海道) 182.1112 中通島(長崎県) 168.213 宮古島(沖縄県) 158.4714 奥尻島(北海道) 142.715 壱岐島(長崎県) 134.6916 沖永良部島(鹿児島 93.6217 大島(東京都) 91.0618 礼文島(北海道) 80.9519 加計呂麻島(鹿児島 77.1520 八丈島(東京都) 69.52

順位 島 名1 佐渡島(新潟県) 74,9492 奄美大島 (鹿児島県) 73,6433 宮古島(沖縄県) 46,1544 福江島(長崎県) 45,3105 対馬島(長崎県) 43,2576 石垣島 (沖縄県) 41,7777 種子島(鹿児島県) 37,2718 壱岐島(長崎県) 34,5199 徳之島(鹿児島県) 29,156

10 中通島(長崎県) 26,93811 島後(島根県) 18,36712 沖永良部島(鹿児島 15,32513 屋久島(鹿児島県) 13,42614 大崎上島(広島県) 10,63615 久米島(沖縄県) 9,79316 大島(東京都) 9,69317 八丈島(東京都) 9,47618 喜界島(鹿児島県) 9,26819 大島(愛媛県) 9,02420 大三島(愛媛県) 8,675

人口順位 島 名

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社会科教育研究「ときのまほろば*」NO.3 5/7.2005knarita *検索エンジンで「ときのまほろば」を検索すると、23~34件(5/6.2005取得)のすべてがヒットします。

社会科教育への招待―歴史の授業―

1 前回を振り返って →別紙参照

2 社会科歴史(人間史じんかんし

)の授業づくり

① 坂本龍馬の生涯と幕末・維新―史料から考える― 〔人間史・個人史学習〕

史料1「父坂本八平の息子龍馬宛の書簡」(嘉永六年)

一、片時も不忘忠孝、修行第一之事。

一、諸道具に心移り銀銭不費事。

一、色情にうつり、国家之大事を忘れ、心得違有間じき事。

右三カ条胸中に染め、修行をつみ目出度帰国専一に候。以上。

丑ノ三月吉日

老父

龍馬殿

史料2「坂本龍馬の八平宛の書簡」(嘉永六年)

一筆啓上仕候。

(中略)

九月二十三日

尊父様御貴下

御状被下。難有次第に奉存候。

金子御送り被仰付、何よりの品に御座候。

異国船処々に来り候由に候へば、

軍も近き内と奉存候。

其節は、異国の首を打取り帰国可仕候。かしく

史料3 こぼれ話「短刀・ピストル・万国公法」

ある日、龍馬は、同じ土佐の古い同志にであった。そのとき龍馬は、その長刀を冷やかに眺めて、

「無用の長物。いざという時に、かえって役にたつまい」といって、普通より少し短い自分の刀を

示した。しばらくたったある日、その同志はふたたび龍馬に出会った。すると、龍馬は、いきなり

ふところからピストルを出して、一発ぶっぱなした。「これが西洋の新しい武器だ、よく見ておけ」

といったという。それから三度目、またふたりが一緒になった時、龍馬はこんなことをいった。「こ

れからの世の中は、武力だけでは役にたたぬ。学問が大切だ。おれはいま『万国公法』を読んでい

るが、これが非常に面白い。」と。一冊の本をとり出したとのことである。

(池田敬正『坂本龍馬』中公新書より要約)

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史料4「年譜・坂本龍馬とその時代」(Copyright©10/15.1990knarita)

史料5「船中八策」

一、天下の政権を朝廷に奉還せしめ、政令よろしく朝廷より出づべき事。(大政奉還)

一、上下議政局を設け、議員を置き、万機を参賛せしめ、万機よろしく公論に決すべき事。(国会)

一、有材の公卿・諸侯および天下の人材を顧問に備へ、官爵を賜ひ、よろしく従来の無実の官を除

くべき事。(人材登用)

一、外国の交際広く公議をとり、新たに至当の規約を立つべき事。(国際交流・条約改正)

一、古来の律令を折衷し、新たに無窮の大典を選定すべき事。(憲法)

一、海軍よろしく拡張すべき事。(海軍省設置)

「年譜・坂本龍馬とその時代」

坂本龍馬の年譜 西暦・元号 主な歴史の流れ

(天保 )年 天保の飢饉の真っ最中/天保の改革始まる土佐の高知に生まれる(11月15日) 1835 6

洟たれ泣き虫夜ばあたれ< >:少年期

(天保 ) アヘン戦争おこる(~ )1840 11 42

(嘉永元)年剣術を学び始める 1848

尊王攘夷運動へ< >:「短刀」期 :

ペリーが来航する剣術修行のため江戸に出る 1853(嘉永 6)年

(安政元)年 日米和親条約が結ばれる帰国し、河田小龍に会う 1854

(安政 )年再び、江戸に出る 1856 3

(安政 )年 日米修好通商条約が結ばれる1858 5

(安政 )年 安政の大獄が起こる1859 6

(万延元)年 勝海舟が太平洋を横断する。1860

桜田門外の変が起こる

討幕運動への転換< >:「ピストル」期

(万延 )年 生麦事件が起こる脱藩/勝海舟に会う 1862 2

。 。1863 3(万延 )年 長州が外国船に砲撃する 薩英戦争が起こる

(元治元)年 四国艦隊が下関砲撃事件を起こす。横井小楠を熊本に訪ねる 1964

第1次長州征伐が行われる京都で西郷隆盛に会う

(慶応元)年下関で木戸孝允に会う 1865

亀山社中をつくる

(慶応 )年 一揆・うちこわしが頻発する薩長同盟を成立させる 1866 2

第2次長州征伐が行われるお龍と霧島へ新婚旅行にいく

統一国家建設への「青写真」づくり< >:「万国公法」期

大政奉還が実現する『船中八策』を後藤象二郎に示す 1867(慶応 3)年

討幕の密勅が下る京都の近江屋で暗殺される

王政復古の大号令がなされる(11月15日、亨年33歳)

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一、御親兵を置き帝都を守衛せしむべき事。(徴兵制)

一、金銀物価よろしく外国と平均の法を設くべき事。(金銀比価の是正)

史料6「辞世の歌」

心からのどけくもあるか野辺はなほ雪げながらの春風ぞふく 龍馬

② 様々な視点から奈良時代の歴史像を描こう 〔歴史キャッチフレーズの創作〕

【目標】

○様々な歴史上の人物や階級・階層の視点に立ち、奈良時代に関わる歴史的事実を調べ理解する。

○奈良時代に関する「歴史キャッチフレーズ」を創作し、発表および交流する。

○学習班による協同学習をもとに、様々に異なる視点からの「奈良時代」の歴史像を構築ないし

は再構築する。

【目標設定理由/教材観】

奈良時代とは、遣唐使の派遣や鑑真の来朝・天平文化をはじめ国際交流が深まり、国際色豊かな

時代であり、天皇・中央貴族・僧侶・地方豪族・農民など、様々な階級・階層の人々が歴史の舞台

に顕在化してくる時代であると言ってもよい。こうした歴史的国際的環境の中で、様々に異なる立

場から奈良時代を捉えることは、歴史像を豊かにするうえで価値あることであるばかりではなく、

その後の歴史学習における歴史的な見方・考え方を鍛えることにもなるからである。また、「歴史

キャッチフレーズ」の創作というゲーム的要素を持った作業的体験的学習や様々な立場に立つロー

ルプレイング的学習の手法を取り入れることによって、生徒の関心や意欲を引き出すことができる

と思われたからである。さらに、このような生徒主体の協同学習は、教師に多面的な評価場面を提

供することができるからである。

【学習内容の構成と展開】(3時間扱い)

前 時 東アジア史の中の「大化の改新」

第 1時 みんなで奈良時代をキャッチする

(1)奈良時代と聞いてイメージする人・物・事・時は何か。

(2)さあ、歴史キャッチフレーズを作ろう。

①キャッチフレーズとは何か「人の注意をひくように工夫した簡潔な宣伝文句」(広辞苑)

※ 深川英雄(1991)『キャッチフレーズの戦後史』岩波新書

②歴史キャッチフレーズの作り方

ア)学習班ごとに歴史を見る視点・立場を定める。

天皇 中央貴族 僧侶 地方豪族 遣唐使 農民など

イ)資料を読み込む。(教科書・資料集、図書館の本など)

ウ)定めた視点・立場で、ノートに略年表を作る。

エ)その時代の特色をつかむ。

オ)班ごとにキャッチフレーズを創作し、その解説を書く。

第 2時 歴史キャッチフレーズ/謎解き合戦

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第 3時 奈良時代がわたくしたちに語るもの・みんなが見落していたもの

次時 阿弖流為(アテルイ)と田村麻呂

【生徒の作った歴史キャッチフレーズ】

(1)天皇の視点 「一声二百万人、あなたは集められますか」

(2)中央貴族の視点「土地広げ、地位を取れ取れ、楽しく遊べ」

(3)僧侶の視点 「広めろ築けよ民のため」

(4)遣唐使の視点 「唐への長旅/文化検討、荒波健闘、果たして賢答はあったのか」

(5)地方豪族の視点「上にごま、下には辛子、我が身に砂糖」

(6)農民の視点 「逃げたい、剃りたい、だましたい」

【総括】

子どもらの主な感想や意見を見ると、以下のとおりである。

○「歴史キャッチフレーズというのは、川柳や狂歌のように、その言葉の中に時代への皮肉や象徴

がぎっしりとつまっていなければならないと思う。そのためには裏付けとなる資料がたくさん必

要になるから、その時代の理解を深めるのは大変いい方法だ。」

○「奈良時代に生きた一人一人の考え方は、その立場によって様々であったことがよ~く

わかった。」

○「班ごとに立場を分担したのでいろいろな人々の立場に立てなかったのは残念だったが、他の班

の作品を見て、なるほどなあとか、こうしたらいいのになあと思うこともあったのでよかった。」

半年後の意識調査によると、この実践に対する生徒(134名)の評価は、以下の通りであった。

やって良かった、またやりたい 85.1%

どちらとも言えない 5.9%

やる目的が分からなかった 4.5%

覚えていない 4.5%

この実践を終えたわたくしは、「子どもらに学ぶことこそ多かりき多弁を廃し多聞に徹する」(詠み人・

寺澤満春)生徒主体の「協同学習」の意義を改めて噛みしめている。しかし、「やる目的が分からなか

った」「覚えていない」「どちらとも言えない」という生徒たちの声を批判や提言として受け止めて、

より一層学習目標の具体化と意識化、内容と方法の改善に力を注いでゆきたいと思う。

*拙稿(1995)「様々な視点から奈良時代の歴史像を描く社会科歴史の学習~みんなで歴史キャッチフレー

ズを作ろう~」(『教出ホットライン』教育出版、VOL.4)に加筆訂正したものです。

付録 「子どもらが調べ考え詠み上げて発表し合うキャッチフレーズ」

「奈良時代あれこれあるも子どもらの心のままに進む学習」

「しかれどもわたくしがする仕事とは事前と事後とを結ぶ指導ぞ」

「指導とは子どもが学ぶ場をつくる PLANと DO と SEEのサイクル」

「子どもらが学びの主となるために予察と評価が欠かせぬ支援」

「予察とは子らの学びをあらかじめ予想・予測し察知すること」 詠み人・寺澤満春

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別紙資料 問いを愛する学生たち *要望も含む

① 知の入口を作るような詩や歌を探すのに何かコツはあるか? →ホリスティック Holistic な見方・

考え方・感じ方が芽生えてくると、見つかるのだと思います。ホリスティック教育については今年

の講義の中でふれる予定です。

② 調査研究にはどれくらい時間をかけているか? →普段はなかなかできない。長期休業中は教材研

究・研修の絶好の機会です。

③ 先生たちが共同で教材研究する機会もあるのか? →あります。わたくしの場合、同じ学年の異教

科の先生との協力・共同が多かった。同じ学校の同じ教科の先生とは自立共生を保つ程度だったか

もしれない。学会や外の研究会などで知り合った他校の先生との相互交流・相互啓発が多かった。

④ 天気が良く、気持ち良い日は青空授業なんていかが? →いいですね。やってみたいです。

⑤ Badsとは経済用語ではないでしょうか? →経済学文献(和書)で使用例を目撃したことがありま

すが、それが一般的なものとは認識していません。むしろ、教えてください。

⑥ 教科書を使わずに授業をしていて親からの反応、上司や同僚の教員からの反応、実際の子どもの学

力が気になるが、傾向としてどうなのか? →通常、中学生の多くは、持たされている教科書を使

わず、授業を進めることに抵抗感はないようですが、定期テストの前や中3の秋などになると、心

配になります。教科書をじっくり読みながら行う授業も「開発」しました。学校によっては、校長

などが週案(1週間の学習指導計画案)を提出させ、助言や指導をすることもあるようですが、教

科や専攻の専門性ゆえ指導内容については任されることはあると思います。ただ、絶対評価が導入

されたことで、評価規準の共有・明確化などがクリアできていれば大丈夫でしょう。

⑦ あのような教材ばかり使用していると、授業の進行が遅れ、まわりの先生方の授業とずれたり、試

験範囲がずれたりしないか? →その通りです。あのような授業ばかりしているのであれば問題に

もなりましょう。あくまでもねらいまで貫徹する導入の授業ですから。 近、生徒数が減っている

ため、1学年を複数の教科の先生とで持つことは少なくなっているのではないでしょうか。

⑧ 地人史と地誌とは違うのか? →地誌学は、一般的に地誌や系統地理などで構成される地理学の部

分であると考えられます。わたくしが構想する地人史学というのは、そうした地理学の範疇を超え

た地理学と歴史学と政治学・経済学・社会学.....などの総合的な学問領域を想定しています。そ

して、地人史教育学は、「地球・地域」と「人類・人間」と「歴史・現在」を対象とする学際的学問

領域に支えられた社会科を基盤に展開するホリスティック教育学の一つである考えています。

⑨ 修学旅行では社会科の先生が事前に調査をするのか? →業者任せの学校もたくさんあります。わ

たくしの学校では、当該学年が1年生のころから3か年計画で構想し、実地踏査に出かけたり、事

前調査を行います。

⑩ 近、子どもの学力低下がメディアを通して言われているが、もっと大きなところで子どもは変わ

ってしまったのか? →ぜひ、佐藤学(2005)「劣化する学校教育をどう改革するか」『世界』NO.739、

2005.5、岩波書店 をご覧ください。いかなる評価やレッテルが貼られようが、目の前の子どもた

ちがよりよい「知」の営み、「心」と「身体」の成長をめざすのみです。あまり右往左往しない方が

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よいでしょう。評論家やマスメディアは、いかなる論評を掲載しようが、子どもたちに責任は持ち

ません。親と教師には相応の責任(responsibilityと accountability)がありますが....。

⑪ 授業で歌を歌ったときなど昔に比べて生徒の反応が変化してきたなんていうことはないか? →今

昔というより、どんな学びの履歴(Learning Histories)を持っている子どもたちなのかで反応は、

異なるのではないでしょうか。

⑫ 導入で失敗したなあと思うことはないか? →いっぱいあります。クリーンヒットは1年に1回あ

ればいい。

⑬ 離島とは?沖縄本島は離島ではないのか? →国土交通省都市・地域整備局離島振興課の資料によ

ると、本州,北海道,九州,四国,沖縄本島は「本土」とされ、離島の概念の外にあります。

⑭ 佐渡はいろんな方言がごちゃ混ぜになっていると聞いたことがあるが、ご存知か? →容易に想像

できますが、体験・実感したことはありません。どこの方言が入り交じっているのでしょうか。

⑮ 学生時代、教師になることで迷うことはなかったか? →演劇(アナウンサーや DJ を含む)の仕

事に魅力を感じていました。何よりも教育実習の経験、そして、高校時代にであった遠山茂樹『明

治維新と現代』岩波新書の衝撃がそのバックボーンにありました。

⑯ 中学校の先生になるか、高校の先生になるか迷っている。中学校教師のよさ、高校教師と異なる特

徴は? →子どもから大人へ、第二の誕生のとき、「知」への開花、「心」「身体」の成長とゆらぎ、

教師自身がその若いエネルギーと四つに取り組み、そのエネルギー・躍動感のお裾分けを受けるこ

とができる。傷つきもし、傷つけもした。それでも.......。

⑰ 自分は身近でないものに興味を抱くほうだが、 近の子どもは好奇心があまりないのか? →好奇

心はあります。しかし、その注がれるものの多様な方向への誘惑が多すぎる。スローライフや利便

性から遠ざかった経験すると、好奇心の方向が変わるのではないでしょうか。今はなき沢内村(湯

田町への合併)への修学旅行 1990はまさにそうだった。

***要望***

・ マイクを使ってほしい。 →ハイ

・ また歌ってほしい。 →いつかまたね。

・ BGMはやめてほしい。 →ハイ

・ ライブなどあれば教えてほしい。 →ベンチライブの予定はいつも未定。そのとき次第。日時・

場所を決めたハウス・ライブや出前ライブがあれば、お知らせします。

環境教育・安全対策セミナーイベントのボランティア募集

1 6月26日(日)午後、於武蔵大学、練馬区環境教育支援プロジェクト主催「子どもとおとなの環

境会議」に参加する幼稚園児~中・高生の世話、安心・安全対策等ボランティアを募集しています。

2 8月3日(水)終日、於千代田区立麹町小学校、こども国連環境会議推進協会主催「学校と地域と

安全環境とその対策について考える(仮)」セミナーに参加する中・高生の世話、安心・安全対策要

員、分科会記録係等のボランティアを募集しています。1・2いずれも詳細は後日Web上で公開。

*興味や関心がある人は、成田までご連絡を。 (条件等の説明あり)

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社会科教育研究「ときのまほろば*」NO.4 5/14.2005knarita *検索エンジンで「ときのまほろば」を検索すると、23~34件(5/6.2005取得)のすべてがヒットします。

社会科教育への招待―公民の授業―

Ⅰ 学習指導略案「カンボジアの子どもたちの暮らしと社会」〔国際理解〕

1.単元名

「アジアの国々に生きる子どもたちの暮らしと私たち」

2.学習指導の目標

アジアの国々に生きる子どもたちの暮らしについて様々な角度から調べ、その生活の背景にある諸

問題を発見しよう。また、それぞれの調査研究の成果や課題を発表し、みんなと相互に交流・啓発し

合おう。

(目標設定の理由) アジアの国々に生きる子どもたちは、わが国の子どもたちとはまったく異なる

自然・社会環境に暮らしています。アジアの国々の子どもたちは、戦争と平和の問題、難民問題、開

発と環境の問題、教育と労働問題、人口や都市問題、健康・衛生上の問題などのもとで生きています。

アジアに生きる同世代の子どもたちの暮らしとその背景にある問題に関する調査研究を通して、主体

的で地に足のついた理解をさせることは、今後、アジアの一員としてともに未来を生きる子どもたち

にとって不可欠な学習になるはずです。また、調査研究の成果を発表し合うことで、アジアにおける

多様で異なる暮らしと諸問題に気付かせることも必要でしょう。

3.学級所見(略)

4.学習指導計画(10時間扱い)

第1時 アジア諸地域の国々探しをしよう

・アジアの国々の位置と大きさなど基本情報をつかもう。

第2時 「カンボジアの子どもたちの暮らしと社会」(教師による授業Ⅰ)本時

第3時 調査研究と発表方法の計画を立てよう

・東アジア、東南アジア、南アジア、西アジア各地域ごとに、1つないしは2つの国・

地域を選び、グループで調査研究を行おう。 終的には、活用できる資料・情報が

豊富な国・地域を選ぶようにしよう。

第4~6時 アジアの国々と地域に生きる子どもたちの暮らしを調べよう(Ⅰ~Ⅲ)

・国・地域を扱うとき、戦争と平和の問題、難民問題、開発と環境の問題、教育と労働

問題、人口や都市問題、健康・衛生上の問題などに着目しよう。

第7~8時 発表会「アジアの国々と地域に生きる子どもたちの暮らしとその背景」(Ⅰ~Ⅱ)

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第9時 「ブータンの子どもたちの暮らしと社会」(教師による授業Ⅱ)

・民族衣装への注目、17歳で即位した国王の政治・経済政策、緩やかな開発と国民総

幸福 GNH(Gross National Happiness)についてふれたい。

第10時 調査研究と発表を終えて「アジアの国々と私たち」

・調査研究と発表を終えての成果と残された課題、感想を挙げよう。そして、 後に

「自己評価/相互評価及び後輩たちへのメッセージ」を書こう。

5.「カンボジアの子どもたちの暮らしと社会」(本時)

【本時の目標】

① 子どもたちの暮らしを中心にカンボジアのあらましについて理解しよう。

② 今も埋設されている地雷による被害と除去後の人々の暮らしについて考えよう。

(留意点)

・ 「探検しよう!みんなの地球」など本時の目標にかかわるWeb Pageにある写真資料を活用

しよう。

・ 近、実際にカンボジアに行った方からの 新情報を資料に加えよう。

・ 単なる調べ学習に終わらせず、他国・他者理解が自国・自己理解につながるよう配慮しよう。

【学習指導過程】

学 習 内 容 学 習 活 動 教 師 の 支 援

○カンボジアの十二

■発問「『鼠 ・牛・虎・兎・龍・蛇・馬・山羊・猿・雄

鶏・犬・豚』これらの動物は何を意味しているか」(ク

イズ)

■日本とつながりやかかわりがありそうな予感のする「カ

ンボジア」が本日のテーマであることを確認する。

◇カンボジアの十二支を黒板

に書き、その意味を尋ねる。

◇地図帳でカンボジアを確認

する。

○カンボジアに生き

る子どもたちの暮

らし

■発問「これから何枚かの写真を見ながらカンボジアとい

う国と人々について考えたり、感じたりしよう」

■写真提示(写真にはいろいろなメッセージが含まれてい

る。それらを読み解き、読みつないで行く)

・「子どもたちと学校」

・「水祭り」

・「カンボジアの乗り物とお坊さん」

◇想起されたもの・ことなど

を板書する。

◇写真の感想や注目点を尋ね

たり、質問したり対話をし

ながら話を進める。

◇96%が仏教徒、仏教が暮ら

しの中に根づいている。

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学 習 内 容 学 習 活 動 教 師 の 支 援

○カンボジアの地雷

○地雷除去をめぐる

問題点

○これからの支援の

あり方

■写真提示「この写真は覚えているだろうか」

・「カンボジアの少女」

・「義足とその製作」

■発問「なぜ、義足作りは成長産業なんだろう」

・「義足の人、地雷の被害者」

■提示「これらが地雷です。・・・・」

・地雷に関する説明と文献・情報の紹介を聞く。

■資料1提示「地雷と不発弾」

■冊子提示「柴田知佐・ノーモア地雷」

■資料2提示「お願い!地雷をとらないで」

・昨年の夏、カンボジア支援から帰国した日本人ボラン

ティアからの手紙を読み、考える。

◇義足を提示しながら、義足

作りは成長産業であること

に触れる。

◇子どもも地雷の犠牲に合う

こともあること、子どもの

義足はいくつも作りかえる

ことなど説明する。

◇紛争の「後遺症」、地雷とい

う兵器の特性にふれる。

◇地雷の模型を提示し、回覧

させる。

◇地雷に関する本、Web Site

を紹介する。

◇地雷除去では終わらない、

その先の課題に気付かせ

る。

○本時のまとめ ■キーワード・コメントを書く。

・自らの「学びの履歴」を振り返り、自分なりの見方・

考え方・感じ方を意識する。

◇本時でもっとも印象に残っ

た言葉や事柄を1つ書き、

その理由や感想を書かせ

る。

6.評価基準とその方法

① アジアの国々に生きる子どもたちの暮らしのあらましが理解できましたか。

② アジアに生きる子どもたちの暮らしの背景にある様々な問題に気がつきましたか。

(評価の方法)

・ 毎時間行うキーワード・コメント記述法による評価(本時の中心的な評価方法)

・ グループの学習過程や発表活動に対する観察評価

・ 「自己評価/相互評価及び後輩たちへのメッセージ」による総合評価

7.主な参考資料・情報

① 外務省「探検しよう!みんなの地球」

子ども向け:http://airlite.nttls.co.jp/oda/html/index.html

先生用:http://airlite.nttls.co.jp/oda/teacher/

② 「スオスデイ!」http://suosday.g-com.ne.jp/index.htm#contents

③ 「天使になりたい この地球から地雷をなくそう」http://www.masayo.org/angel/

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④ 「お願い、地雷を取らないで」(本時配布プリント)

⑤ ヘレナ・ノーバーグ・ホッジ(2003)『ラダック 懐かしい未来』山と渓谷社

⑥ 大串正樹「ドゥック・ユル」

http://www.mskj.or.jp/getsurei/ogushi9908.html

http://www.mskj.or.jp/getsurei/ogushi9909.html

http://www.mskj.or.jp/getsurei/ogushi9910.html

⑦ 大串正樹「ブータンの龍王の選択」

http://www.mskj.or.jp/jukuho/9912jkogushi.html

8.本時の授業を作るに当たってお世話になった方々

① 外務省経済協力局政策課

② JICA(国際協力機構)

③ NTTラーニングシステムズ(写真パネル作成他)

④ 松浦香恵さん(元青年海外協力隊員、現在インターバンド事務局長代行。本日午後講演)

⑤ 永原孝雄さん(香蘭女学校教諭・写真家、「カンボジアの少女」撮影者、写真提供)

⑥ 柴田知佐さん(高校生、『ノーモア地雷』の作者)

⑦ JCBL(地雷廃絶日本キャンペーン。地雷と義足の貸与)

⑧ 松戸宏予さん(本校図書館、文献・資料の収集及び案内作成)

⑨ 奥田 英朗さん(JAHDS人道目的の地雷除去支援の会プノンペン事務所、資料作成・提供)

⑩ 本校社会科教諭・第2学年担任・事務室等の方々

(みなさん、ありがとうございました。)

Copyright© Narita Kiichiro 2004

Ⅱ 授業づくりへのヒント―公民を中心に― ① 日常的な時事問題研究・新聞の切り抜き・新聞投稿

② 日常的な図書館・書店の散策

③ 日常的なWebSiteの活用とリンク集の作成

④ 日常的な人的ネットワークづくり

⑤ 具体的な学習指導案づくり

・ 仮説的目標を立て、教材研究・資料の収集を行う

・ 教材研究・資料の分析後、目標の第1次修正を行う。

・ 終結から導入・展開を考える

・ 目標を貫徹させる(導入から展開・終結まで)

・ 主発問(1つか2つ)を考え、その予察的応答を考える

・ Educeすること(発問・応答=対話)と Educateすること(説明)

・ 学習指導の流れに沿ってシミュレーションし、 終目標を立てる

⑥ その他

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資料「お願い!地雷をとらないで」

拝啓

地雷について、どうしてもお話したいことがあり、書かせていただくことにしました。

地雷を撤去する際に、まず順番を決めるのですが、私たち支援者は、「大きな道路にアクセスできる道」

を優先順位の一番に掲(かか)げました。

そうすると、人々が野菜や魚を市場に売りに行くなど、商業活動が盛んになると思われたからです。

しかし、ある村の人々が主張したことはこうでした。

「まず、 初にお寺に続く道の地雷を撤去(てっきょ)してください!」

この言葉からは、カンボジアのその村人たちが、

と願っていることを意味します。

私たちは、反省を強(し)いられました。

とかく便利さを・・・こちらのほうがより便利だから・・・この道は大通りや市場に行けるようになる

から・・・と経済的な面での優位さを無意識のうちに選択している自分たちがいました。

また、私たちが支援を行っている村で、こんなことがありました。バッタンバン州といって、地雷がた

くさん埋(う)まっている州です。

ある地雷源の村で、村人が、地雷がたくさん埋まっているにも関わらず、立ち退(の)かない村がありまし

た。

そして、その村人たちは「お願い!地雷をとらないで」というのです。

その村人たちがおそれていたことは、

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ということでした。

これには、私たち支援者一同、びっくり仰天(ぎょうてん)、いや仰天を通り越して愕然(がくせん)として

しまいました。

このことは、地雷撤去後に農民たちに安心した生活が保障されてこそ、初めて、その住民たちの「地雷

問題」が解決されることだということを示していました。

そして、土地に関する法律がじゅうぶんに整備されていないと言うことも、この問題を解決する上で重

要な視点だという認識を新たにしました。

この2つの例から、私はたいへん貴重なことを学びました。

一つ目は、現地の人々の心のよりどころは何なのか。彼らにとって大事なことは何なのかということで

す。

一方的に先進国の価値観、正義感を押し付けて、その正義感を満たすためだけの地雷撤去活動ならばそ

の善意も仇(あだ)になってはしないだろうかということです。

二つ目は、「地雷=悪=早く撤去を」という問題解決をあせったために、その後の農民の暮らしにまで考

えが及ばなかったことです。

今のカンボジア社会には、不当な土地の取り上げがたくさんあること、つまり社会影響評価調査をじゅ

うぶんに行わずに、ただ、単に「地雷を撤去する」というある種の「使命感」を持って、その「使命感」

を現地の人に押し付けようとしていたことです。

こうした経験から私は、地雷=悲惨という公式のみで語ることにたいへん違和感を感じるようになり、

以後、地雷の話をする時には必ず先の二点をあげるようにしています。

そうしないと、間違った認識のまま地雷問題が語られていくようになると思っているからです。

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つれづれなるままに書きました。

先に挙げた二点のほかにも、地雷問題の落とし穴について、引き続きウォッチしていきたいと思ってい

ます。

敬具

○○○○年○月○日

M.K

(注)この資料は、M.Kさんの「私信」を成田の授業用の資料として、ご本人の許可を得て使ったも

のです。本人の承諾なく、第三者が授業等で使用することはできません。

補充資料

【教材化できなくなった「資料」】

① 公開授業の参観者から実践の「追試」の申し出→成田の承諾

② 資料提供者M.Kさんから教材化の拒否の知らせ

・ 1999年の「資料」であること。

・ 9.11以降は「ミクロ軍縮(非大量破壊兵器)」の世界的な取り組みが変化していること。

・ 資料の「お願い!地雷をとらないで」の名称は、一人歩きし市民運動の中でも問題になること。

・ 経験上、教員は 10年も前の資料でも使ってしまうこと。

③ 教材化拒否の重みと反省

・ 「資料」の著作権者への配慮

・ 「教材開発」のジレンマ(既存資料と開発資料との狭間で)

・ 「資料批判」の甘さ(1999-2004、5年間における状況の変化)

・ 「資料批判」及び「時代考証」の意義

【資料「地雷ベルトをグリーンベルトに」】

「カンボジアの X地区では、地雷除去後、しばしば土地開発のための土地買い取りや農民が現金収入

の必要のための土地を売買する傾向があります。そこで、アジアの地雷・不発弾被害を伝える会の

A さんたちは、『地雷ベルトをグリーンベルトに-枝豆作付け大作戦』を合い言葉に、支援者に呼

びかけ「一握りの種」運動を始めました。枝豆は換金性の高い作物です。今、その運動の支援者も

出てきました。Aさんたちは、理科の実験よろしく、村人と「実験」をしながら「少しでも作物を

作り生活の助けに」活動をしています。地域の園児や生徒を交えて温度計等を使いながら実験し、

土地を手放さないで土地をいつくしみながら育てる支援をしていくつもりです。」

(2004年 8月、奥田英朗氏の情報提供をもとに教材開発)

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社会科教育研究「ときのまほろば」NO.5 5/21.2005knarita

社会科教育の歴史と現在Ⅰ―初期社会科―

社会科教育の歴史と現在Ⅰ―初期社会科―(本時)

社会科教育の歴史と現在Ⅱ―学習指導要領の変遷― 社会科教育の歴史と現在Ⅲ―現行学習指導要領―

Ⅰ 「社会科教育の歴史と現在」を学ぶ視点

①「歴史とは歴史家と事実との間の相互作用の不断の過程であり、現在と過去との間の

尽きることを知らぬ対話であり」(1)、「現在の生の関心のみこそが人を動かして過去の

事実を知ろうとさせることができる、……すべて眞の歴史は現代の歴史である」(2) 注(1)E.H.カー著/清水幾太郎訳(1963)『歴史とは何か』岩波文庫

注(2)クローチェ著/羽仁五郎訳(1952)『歴史の理論と歴史』岩波文庫

②「彼ら一人びとりの一生のあいだに経る体験は、けっしてあきあきする単調なくりか

えしとして描くことはできず、政治・経済・文化等々の領域にわたって驚くほどの広

がりをもっている。(中略)一人の人間の一生を光源にして照されることで、時代の重

要な部位があざやかに浮かび上がるということは期待できる。またその時、その逆光

を浴びて、もっとも特殊でもっとも極小の部分であるはずの個人史があらためて時代

の諸要素をはらむ一個の全体史として浮び上がるということも可能であろう。」(3) 注(3)深谷克己(1991)「個人史の可能性 ─17~19世紀日本における農民一揆指導

者の伝記研究から─」歴史学研究会編『歴史学研究』NO.618、1991年 4月

③「歴史と現在との対話」「現在の生の関心」、「個人史(4)さらに学校史(5)の可能性」 注(4) 管見によれば、一社会科教育実践家の実践史研究の対象者として、黒羽清隆

(日本史)・加藤文三(歴史)・本多公栄(歴史)・安井俊夫(歴史)・坂井俊樹

(歴史)・三橋広夫(歴史)・滝口正樹(地理・歴史・公民)・坪井龍太(公民)・

大谷いづみ(公民)・丸浜昭(日本史)・中山京子(社会)・大津和子(1本のバ

ナナから)などが挙げられる。+成田喜一郎(地人史・人間史)も。

注(5)東京第三師範学校附属中学校(東京学芸大学附属大泉中学校)1947-2005

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Ⅱ 初期社会科と現在との対話―初期社会科の意義と授業時数―

1 『学習指導要領社会科編(Ⅱ)(第七学年~第十学年)(試案)』(1947)

一般社会科の意義

社会科の総合的な学習は小学校からずっと行われて来たが,中学校の全学年及び高等学校の一学年で

も,なお継続してこの総合的な学習がなされるようになっている。これまでは,社会科の内容となっ

ている歴史・地理・公民などは,いずれも別々の教科として扱われて来たのであるが,一般社会科と

しては,本書に示してあるように中学校あるいは高等学校の生徒の経験を中心として,これらの学習

内容を数箇の大きい問題に総合してあるのであって,教科そのものの内容によって系統だてるような

ことはやめることとした。このような総合にあたっては,次のような原則がその基準となっている。

(一) 学校内外の生徒の日常生活はつねに問題を解決して行く活動にほかならない。

(二) 学校は生徒にとって重要な問題を解決するために必要な経験を与えて,生徒の発達を助けてや

らなくてはならない。

2 教科等の授業時数の中の社会科

教科学年 7 8 9

国 語 175 (5) 175 (5) 175 (5)

習 字 35 (1) 35 (1)

社 会 175 (5) 140 (4) 140 (4)

国 史 35 (1) 70 (2)

数 学 140 (4) 140 (4) 140 (4)

理 科 140 (4) 140 (4) 140 (4)

音 楽 70 (2) 70 (2) 70 (2)

図画 工作 70 (2) 70 (2) 70 (2)

体 育 105 (3) 105 (3) 105 (3)

職 業(農業,商業,水産,工業,家庭) 140 (4) 140 (4) 140 (4)

必修科目計 1050(30) 1050(30) 1050(30)

選 外 国 語 35-140(1-4) 35-140(1-4) 35-140(1-4)

習 字 35 (1)

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職 業 35-140(1-4) 35-140(1-4) 35-140(1-4)

自由 研究 35-140(1-4) 35-140(1-4) 35-140(1-4)

選択科目計 35-140(1-4) 35-140(1-4) 35-140(1-4)

総 計 1050-1190(30-34) 1050-1190(30-34) 1050-1190(30-34)

Ⅱ 初期社会科と現在との対話―現在の社会科の目標と授業時数―

1 『中学校学習指導要領』第2章 第2節 社会(1998第 7次改訂/2003一部改正)

第1 目 標

広い視野に立って,社会に対する関心を高め,諸資料に基づいて多面的・多角的に考察し,我が国の

国土と歴史に対する理解と愛情を深め,公民としての基礎的教養を培い,国際社会に生きる民主的,

平和的な国家・社会の形成者として必要な公民的資質の基礎を養う。

2 教科等の授業時数の中の社会科

必修教科の授業時数 道

選択

教科

総合

的な

学習

の時

140 105 105 105 45 45 90 70 105 35 35 0~

30

70~

100 980

105 105 105 105 35 35 90 70 105 35 35 50~

85

70~

105 980

105 85 105 80 35 35 90 35 105 35 35 105~

165

70~

130 980

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Ⅲ 初期社会科と現在との対話―その特色及び学習内容―

【初期社会科】 【現在】

総合社会科(1~6年)

経験主義

単元学習による問題解決学習

一般社会科「総合的な学習」

7年 「日本におけるわれわれの生活」領域 8年 「社会生活に対する産業の影響」領域 9年 「共同生活の社会的条件」領域

10年「民主主義における人間関係」領域 (各学年 6単元構成)

東洋史、西洋史、人文地理、時事問題

生活科(1,2年)、社会科(3~6年)

系統主義

三分野と選択社会の学習

(道徳)(特別活動)(総合的な学習の時間)

① 地理的分野

② 歴史的分野

③ 公民的分野

④ 選択 社会

地歴科(日本史 A・B、世界史 A・B、地理 A・B)

公民科(現代社会、倫理、政治・経済)

過去の学習指導要領 http://www.nicer.go.jp/guideline/old/ 文部科学省学習指導要領 http://www.mext.go.jp/b_menu/shuppan/sonota/990301.htm

Ⅳ 東京第三師範学校附属中学校(1949)『中学校カリキュラムの構成』同學社

―第三師範(大泉)プラン― 単元指導の時間数/週

単元 国 習字 社 国史 数 理 音 図・工 体 職 外 特別 総時数

1年 12 3 1 0 2 2 2 2 3 2 4 1 34 2年 12 3 1 0 1 3 2 2 3 2 4 1 34 3年 12 3 0 0 1 3 2 2 3 2 5 1 34

36 9 2 0 2 10 6 6 9 6 13 3 102 一単元平均時数/年

単元総時数 単元数 一単元平均時数 授業総時数

1年 420 7 60 1190 2年 420 8 53 1190 3年 420 9 46 1190

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東京第三師範学校附属中学校の教育目標 一 鞏固な意志を持ち、忍耐強く、自主積極性に富み実証性科学性を身につけて真理を探求し、自己を

信じるとともに透徹した批判力を持って自己の生活を統御し、豊かな感情を持ち広く芸術を理解し

常に健康に留意して頑強なからだとなり、生のよろこびを感じ溌剌として明朗な中学生

二 家族を敬愛し、家庭内における自己の地位と責任を自覚し、協力して家庭の繁栄と和楽のために努

め、家庭生活を科学的合理的に考え、これを能率的にする知識を身につけ、たのしい、明るい、民

主的な家庭生活を営もうとする中学生

三 社会のなりたち、社会の理想をわきまえ、敬愛の心ひろく、礼儀に厚く、憲法の精神を体し、社会

秩序を尊重して暴力をにくみ、虚偽の宣伝に迷わされることなく、国際間の協力につとめ、平和を

希求し、社会の幸福、繁栄のために奉仕し、民主的な社会をたのしむ中学生

四 経済生活を営んでゆくために必要な知識を身につけ、貿易の真義を理解し、艱苦に耐えて公正なる

経済生活を営み、職業に対する社会的意義を理解し、正しい勤労観を持ち、境遇の変化に対応でき

る自立の精神に富む中学生

この目標は、新憲法・教育基本法・学校教育法・学習指導要領によって具体化されているが、これら

は全国的に共通な、一般的な考え方である。ゆえに、「学校の地域の具体性に即して、われわれの学校に

おける教育目標を明確にしなければならない」(p.14)としている。

① 保護者へのアンケート調査(回答 77名/187名 回収率 41.2%)

・ 現代青少年の長所・短所、特に附属中学校生徒の長所・短所は?、本校の教育はその重点をど

こにおくべきか?そのためにはどんな手段、方法があるか?

② 教育目標設定委員会(保護者各階層 44名+職員)

③ 地域調査の実施(地域課題調査、社会施設調査、新聞調査、生徒の課題調査、生徒の欲求調査、読

書調査、生活調査、能力調査)

④ アメリカの教育政策委員会の教育目的の分析視角の援用

・ 人間それ自身:自己実現(①個人生活)、家庭及び社会における人間とその関係:人間関係(②

家庭生活)、物質的な財貨の創造と使用:経済的能力(④経済生活)、社会公民的活動:公民的

責任(③社会生活)

東京第三師範学校附属中学校の単元指導の時期と所要時間数 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3

われわれの健康 55われわれの家庭生活 60 今日の日本 80 都市の生活 60

新聞とラジオ 50 スポーツとレクリエーション 55 学校と民主社会 60

季節と健康生活 55衣料問題とわれわれの生活 50 今日の世界 80 交通通信と社会の進歩 60

食糧問題とわれわれ 50 住宅問題とわれわれ 50 芸術とわれわれ 40 宗教とわれわれの生活 40

健康対策 50 民主的家庭の建設 50 貿易 40 国際連合とわれわれ 40 職業と共同生活 50

インフレとわれわれ 45 憲法とわれわれの生活 40 政治とわれわれの生活 40 今日の文化 60

単元:毎日 2 時間・午前、体育:毎日・午後、基礎学習(計算・文字書写):毎日・午後 30分

一般社会科(1年:175、2年:140、3年:140)全、国・数・理・職の一部→単元学習へ

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参考資料「なぜ児童の生活を知らなくてはならないか」

教育の目標は,教育の根本目的をもとにして,広く社会の求めるところを考えてきめてみたものである。

もちろんわれわれは教育の実際をここに方向づけてこの目標の達成に努力しなくてはならないが,ただこ

こで考えなくてはならないのは,このような目標に向かって行く場合,その出発点となるのは,児童の現

実の生活であり,またのびて行くのは児童みずからでなくてはならないということである。このことを忘

れて,ただ目標にばかり目をうばわれていると,教育はからまわりすることになり,形式的になって,ほ

んとうに目標とするところに達しがたい。そこでわれわれは児童の現実の生活を知り,その動き方を知っ

て,教育の出発点やその方法をこれに即して考えて行かなくてはならないのである。

(四)第七,八,九学年生徒 12-15 歳

1.身体的

(1)身長の増加は5-6c.m.で も著しい。ただし女子では増加はややとまって来る。体重の増加も著し

く,毎年3-5k.g.に及ぶ。 も著しいのは女子の 12-13歳で男子では 13-14歳である。

(2)内臓が急に発達する。

(3)いろいろな運動能力も発達が著しい。

(4)女子の初経は普通 14歳と 15歳の間にあらわれる。

2.精神的

(1)男子は大体 14-15 歳で,女子は大体 13 歳-14 歳で青年期の特徴があらわれ,論理的抽象的な思考

が発達する。

(2)自我意識がはっきりして来る。反抗的傾向が出て来る。

(3)情緒があらわれやすくなり,激しくなる。

(4)相互援助の関係で友達ができる。

(5)交友関係は深くなり,親友ができるようになる。

(6)性意識がだんだん目覚めて来る。

(7)興味を持つおもな遊び,

(男) 野球。すもう。スキー。水泳。映画。ラジオ

(女) ピンポン。水泳。映画。ラジオ。お話会など。

(8)男子では冒険小説,少年小説を読むが,伝記,講談,ユ-モア小説などをも読む。女子では少女小説

が多く読まれる。

(9)勤労としては,女子は炊事のほか家業の手伝いが著しく,男子は家業の手伝いが著しい。

『学習指導要領一般編(試案)』第 2章 児童の生活

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社会科教育研究「ときのまほろば」NO.6 6/11.2005knarita

社会科教育の歴史と現在Ⅱ―学習指導要領の変遷―

社会科教育の歴史と現在Ⅰ―初期社会科―

社会科教育の歴史と現在Ⅱ―学習指導要領の変遷―(本時) 社会科教育の歴史と現在Ⅲ―現行学習指導要領―

Ⅰ 戦後日本教育史の中の社会科教育(1)初期社会科・経験主義的社会科の出発

沖縄戦、アメリカによる原爆投下により広島・長崎の被爆・アジア太平洋戦争の終結 1945 日本国憲法の公布 1946

*アメリカのヴァージニア・プラン、カリフォルニア・プランの影響。「地域教育計画」

(川口プラン 1945)、「コア・カリキュラム」(北条プラン 1946)などのカリキュラム運動の展開。「問題解決学習」「体験学習」「学習者主体の学習」の推進。

1947 文部省『学習指導要領一般編(試案)』『教科編』の発行。 →「教科課程は、それぞれの学校で、その地域の社会生活に即して教育の目標を吟味し、

その地域の児童青年の生活を考えて、これを定めるべきものである。」 「社会科」の誕生。(175・140+国史 35・140+国史 70)

教育基本法・学校教育法の公布 1947 1947 東京第三師範学校附属中学校の創立。(東京学芸大学附属大泉中学校の前身) 1948 松原元一『新しい中学校』文耀社。 1949 東京第三師範学校附属中学校『中学校カリキュラムの構成』同学社。 1949 東京学芸大学大泉附属中学校『中学校ガイダンス実践』同学社。 1950 東京学芸大学大泉附属中学校『特別教育活動の実践』同学社。

冷戦体制、中華人民共和国の建国 1949、朝鮮戦争・特需景気 1950-53 1951 東京学芸大学附属大泉中学校と改称。

サンフランシスコ講和会議・平和条約、日米安全保障条約 1951 1951 小・中・高等学校の第 1 次改訂。

→国史→日本史。「伝統の軽視、道徳性の希薄、学力の低下、無国籍的性格等」批判に向

かい合い、問題解決中心の単元学習を堅持。 ◆knaritaが誕生 1952

第五福竜丸、アメリカのビキニ水爆実験により被爆、防衛庁設置 1954 経済の高度成長時代 1950年代半ば~

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Ⅱ 戦後教育史の中の社会科教育(2)経験主義から系統主義への転換

◆knaritaが幼稚園に入園 1955 1955 小・中学校での「社会科」のみの 2 次改訂。高等学校第 2 次改訂。 →経験主義から系統主義への転換、義務教育一貫、内容の精選、社会科(地理、歴史、

政・経・社)、学年別単元から分野制への転換、道徳的な理解・判断の育成 国際連合への加盟 1956

ソ連、人工衛星スプートニク 1号打ち上げ成功 1957 1958 小・中学校第 3 次改訂。 ◆Knaritaが小学校へ入学 1958 →「試案」の削除。「各教科」「道徳」「特別教育活動」「学校行事等」の 4 領域。三分野

制を原則、小中一貫と内容の精選、学年別の系統性(ザブトン型)、歴史における国

民の自覚と責任。「道徳」の新設。(140・175・140) 1960 高等学校第 3 次改訂。 →「倫理社会」の新設。「各教科」「特別教育活動」「学校行事等」の 3領域。

*「道徳教育の徹底」「基礎学力の充実」「科学技術教育の向上」「職業陶冶の強化」

「学習指導要領の基準性の明確化」「『告示』法的拘束力」 安保闘争、新日米安全保障条約批准・発効 1960

◆knaritaが中学校に入学、東京オリンピック開催 1964 アメリカ合衆国、北ベトナムを爆撃 1965

Ⅲ 戦後教育史の中の社会科教育(3)覚える社会科から考える社会科へ

1965 東京学芸大学附属大泉中学校に「帰国子女教育学級」を設置(国立学校で初)。 中国、文化大革命の開始、「期待される人間像」1966

◆knaritaが高校に入学 1967 東大紛争をはじめ全国 115大学で紛争、高校紛争 1968

1968 第1回帰国子女教育研究協議会「帰国子女教育の現状と諸問題」の開催(昭和 43年) 1968 小学校第 4 次改訂。 1969 中学校第 4 次改訂。 →「各教科」「道徳」「特別活動」の 3 領域。社会科の目標「民主的、平和的国家・社会

の形成者として必要な資質を養う」「公民としての基礎的教養」、「政治・経済・社会的

分野」→「公民的分野」の登場、「ザブトン型学習」→「地歴並行学習」、資料活用能

力・思考力の重視。(140・140・175) ◇東京学芸大学附属大泉小学校に帰国子女教育学級を設置 1969

1970 高等学校第 4 次改訂。 →「各教科に含まれる科目」「各教科以外の教育活動」の 2領域。 *「教育の現代化」

アメリカの宇宙船アポロ 11号、月面着陸 1970

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◆knaritaの予備校生活、三島由紀夫の自決 1970 ◆knaritaが大学に入学、環境庁の設置 1971

沖縄の復帰 1972 石油ショック 1973、高度成長の終焉・低成長時代 1970年代半ば~

変動相場制への移行 1973 ◇東京学芸大学附属高等学校大泉校舎(唯一、帰国生だけの学校)の設置 1974

1974 第2回帰国子女教育研究協議会「帰国子女の学習適応に関する研究と課題」の開催(昭和 49 年)・本校教官一同「帰国子女教育研究協議会記録」『帰国』第 9 集(『集録』第 15号)1974

◆knaritaが開進一中で教育実習(1,3年の歴史を担当)1974 ◆knaritaが大学院に入学、ベトナム戦争の終結 1975

日本教職員組合『教育課程改革試案』一ツ橋書房(教科としての「総合学習」、 三年ごとの四階梯制)1976

◇東京学芸大学教育学部附属竹早中学校・附属高等学校に「帰国子女」を

混入方式で受け入れ 1976 1977 小・中学校第 5 次改訂。

→「授業時数の削減と指導内容の精選」「基準の弾力化・大網化」「ゆとりの時間」(学校

裁量の時間)の新設。「教育内容の小中高の一貫性」の重視。「自ら考え正しく判断で

きる力」の重視、「ゆとりある学校生活」→社会科の授業時数削減(公民 5 時間が 2 時

間に)・「ゆとりの時間」(学校裁量)。(140・140・105) 1978 高等学校 5 次改訂。 ◆knaritaが中学校社会科教諭に着任 1978 →「各教科以外の教育活動」を「特別活動」と改称。「現代社会」の登場

日中平和友好条約 1978 日本、ソ連を抜き農産物輸入国第 1位、◆knaritaが結婚 1984

ソ連、ペレストロイカを志向 1985 「帰国子女」数が 1万人を突破 1985 「海外子女数」が4万人を突破 1987

1989 小・中学校第 6 次改訂。高等学校第 6 次改訂。 →小学校低学年「生活科」の登場。中学校「選択教科」の登場。高校「男子の家庭科必

修化」「地理歴史科・公民科」の登場、「社会科の解体」。道徳教育の充実・「生き方」

の教育、「国際社会に生きる民主的.......」、国際理解教育。(140・140・70~105) 国際化・情報化・環境問題の深刻化・少子高齢化、非行・暴力・いじめの深刻化

消費税の導入、ベルリンの壁崩壊・冷戦の終結 1989 1990 ◆東京学芸大学附属大泉中学校、岩手県和賀郡沢内村修学旅行の実施(沢内中学校

との交流)。 東西ドイツの統一 1990 1991-1993 文部省・教育方法等改善研究「帰国子女と一般生の相互交流を柱とした新しい

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帰国子女教育の方法」 湾岸戦争 1991,ソ連の解体 1991

ブラジルで地球サミット開催・気候変動枠組条約への署名 1992 1992 ◆東京学芸大学附属大泉中学校、岩手県下閉伊郡田野畑村修学旅行の実施(田野畑

中学校との交流)。 1993 教育研究協議会「帰国生と一般生との相互交流をめざす教育方法の研究-帰国生の

発言力を生かすディベートの実践-」の開催(平成 5年) *ディベート 気候変動枠組条約の発効 1994

ジョン・P・ミラー『ホリスティック教育(The Holistic Curriculum)』春秋社 1994 高齢者人口の割合 14%を突破、高齢社会への突入 1994

ホリスティック教育研究会編『ホリスティック教育入門』・『実践ホリスティック教育』 柏樹社 1995

阪神淡路大震災、地下鉄サリン事件 1995 世界貿易機関WTOの発足 1995

1995-1997 文部省・カリキュラム改革調査研究「帰国生と一般生との相互交流を軸とした相互啓発を促す教科指導の実践的研究」

1996 中央教育審議会、「生きる力」「総合的な学習の時間」を答申。 ◆成田喜一郎・堀内順治編著『世界と対話する子どもたち 国際理解教育とディベート』

創友社 1996 ◆成田喜一郎『中学校社会科授業ディベートの理論と方法―「自立共生・共生共存」を

めざす―』明治図書 1997 1997 ◆成田喜一郎「修学旅行・岩手県和賀郡沢内村を訪ねて-いのちのつながりを学ぶ

子どもたち-」『季刊ホリスティック教育』第4号、日本ホリスティック教育協会編、

1997.6 消費税 3%から 5%へ、神戸小学生殺害事件、地球温暖化防止京都会議 1997

ジョン・P・ミラー『ホリスティックな教師たち』学研 1997 1997 教育研究協議会「相互啓発を促す教科指導の実践的研究-帰国生と一般生との相互

交流を視野に入れて-」の開催(平成 9年)*多様な表現方法を生かす教科指導 1997 教育課程審議会「中間まとめ」 1998 教育課程審議会「幼稚園、小学校、中学校、高等学校、盲学校、聾学校及び養護学

校の教育課程の基準の改善について(答申)」(平成 10年 7月 29日)。 1998 東京学芸大学附属大泉中学校、校内研究「総合学習時代の教科カリキュラムの開発

~帰国生の『広義の適応』を視野に入れて~」開始。 1998 ◆東京学芸大学附属大泉中学校、新潟県佐渡島修学旅行の実施(「教科とつながり教

科を超えた旅での学び」)。

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社会科教育研究「ときのまほろば」NO.7 6/18.2005knarita

社会科教育の歴史と現在Ⅲ―現行学習指導要領―

社会科教育の歴史と現在Ⅰ―初期社会科―

社会科教育の歴史と現在Ⅱ―学習指導要領の変遷― 社会科教育の歴史と現在Ⅲ―現行学習指導要領―(本時)

Ⅳ 戦後教育史の中の社会科教育(4)総合的な学習の時間と社会科

1998 小・中学校第 7 次改訂。 →「各教科」「道徳」「特別活動」「総合的な学習の時間」の 4 領域。授業内容・時数の縮

減。選択教科の履修幅の拡大。(105・105・85)

総合的な学習の時間の取扱い

1 総合的な学習の時間においては,各学校は,地域や学校,生徒の実態等に応じて,横断的・総合的

な学習や生徒の興味・関心等に基づく学習など創意工夫を生かした教育活動を行うものとする。

2 総合的な学習の時間においては,次のようなねらいをもって指導を行うものとする。

(1) 自ら課題を見付け,自ら学び,自ら考え,主体的に判断し,よりよく問題を解決する資質や能

力を育てること。

(2) 学び方やものの考え方を身に付け,問題の解決や探究活動に主体的,創造的に取り組む態度を

育て,自己の生き方を考えることができるようにすること。

3 各学校においては,2に示すねらいを踏まえ,例えば国際理解,情報,環境,福祉・健康などの横

断的・総合的な課題,生徒の興味・関心に基づく課題,地域や学校の特色に応じた課題などにつ

いて,学校の実態に応じた学習活動を行うものとする。

4 各学校における総合的な学習の時間の名称については,各学校において適切に定めるものとする。

5 総合的な学習の時間の学習活動を行うに当たっては,次の事項に配慮するものとする。

社会(105・105・85)、選択(0~30・50~85・100~165)、 総合(70~100・70~105・70~105)

1998-2000 光ファイバー網を利用した学校ネットワーク活用方法研究開発事業の実践研究校の指定(研究テーマ「小学校・中学校・高等学校における帰国子女教育・国際

理解教育のためのネットワーク活用) 1999 文部省『よりよい出会いのために 帰国子女教育実践事例集』ぎょうせい 1999 高等学校第 7 次改訂。 →「情報」(必修)の新設。「学校設定教科・科目」の新設。「各教科」「特別活動」「総

合的な学習の時間」

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*小・中・高のすべてに「 総合的な学習の時間」の登場。 吉田敦彦『ホリスティック教育論』日本評論社 1999

東海村臨界事故・大内久さん急性の放射線症により死亡 1999 2000 東京学芸大学附属大泉中学校、新カリキュラム移行措置の実践(「特設総合」の試行)。 2001 東京学芸大学附属大泉中学校、教育研究協議会「総合学習時代の教科カリキュラム

の開発~帰国生の『広義の適応』を視野に入れて~」の開催 2000 教育研究協議会「大泉地区光ファイバー網を利用した学校ネットワーク活用方法に

関する研究-総合的な学習・教科における情報活用実践報告-」の開催(平成 12年) 2001-2003 文部科学省・研究開発学校指定・研究課題「文化的・社会的に多様化する生徒

特性に対応する中等教育学校構想を視野に入れた教育課程の編成に関する基礎的研

究」(本校と附属高等学校大泉校舎との共同研究) 大阪教育大学附属池田小学校児童殺傷事件(5/8.2001)2001

大阪教育大学附属小学校事件に関する文部科学大臣談話(6/8.2001)2001 9.11米国同時多発テロ(米国貿易センタービルの倒壊等)2001

アメリカによるアフガニスタンへの報復攻撃 2001 2001 教育研究協議会「総合学習時代の教科カリキュラムの開発-帰国生の『広義の適応』

を視野に入れて-」の開催(平成 13年 11月 9日<金>) ◇東京学芸大学海外子女教育センターが東京学芸大学国際教育センターに改称 2002 ◇外国人児童生徒数 18,734人、在籍校数 5,130校、母語数 65言語 2002

◆knarita、初めての人事異動 新指導要領の完全実施、学校五日制の完全実施 2002

日朝平壌宣言(9/17.2002)2002 2002 東京学芸大学附属大泉中学校・附属高等学校大泉校舎で「知的探究」(総合・選択)、

「人間理解」(道徳)を立ち上げ 2002-2003 体験入学の外国人生徒(韓国籍)への JSL-plusの指導(2002.9~2003.8)

アメリカによる対イラク宣戦布告・イラク戦争の開始(3/15.2003)2003 ◆knarita、人事異動・副校長に就任

◆寺澤満春、8月、キッズ・ゲルニカのイベントでで「風と湖水と人々と」 「ときのまほろば」の2曲を演奏 2003

2003 教育研究協議会「文化的・社会的に多様化する生徒特性に対応する中等教育学校構想を視野に入れた教育課程の編成に関する基礎的研究」(平成 15年 9月 30日、本校と附属高等学校大泉校舎との共同発表)

2003 文部科学省「小学校、中学校、高等学校等の学習指導要領の一部改正等について」 →「確かな学力」、「学習指導要領の基準性を踏まえた指導の一層の充実」、「各教科等で

身に付けた知識や技能等を相互に関連付け、学習や生活に生かし、それらが総合的

に働くようにすること」、「中学校については、補充的な学習や発展的な学習などの

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学習活動を」、「教育課程の実施状況等について自ら点検及び評価」、「年間指導計画

等について、保護者や地域住民等に対して積極的に情報提供を」 ◆knarita、公開授業「お願い!地雷をとらないで」実践

国立大学法人化への移行(4/1.2004)2004 2004 国立大学法人東京学芸大学・附属学校としての出発

イラクで日本人人質事件(4/8.2004)2004 イラク戦争の(戦闘)終結宣言(5/1.2004)2004

連合国暫定当局(CPA)から主権移譲、イラク暫定政権の発足(6/28.2004)2004 ◆寺澤満春、10月から本格ライブ活動を開始 2004

◆knarita、中央大学で「社会科教育の研究」を講義 2005 ◆鈴木崇弘ほか編著書(knaritaも名を連ねる)『シチズン・リテラシー』(教育出版)2005 2005 個人情報保護法の施行 ◆角替晃・成田喜一郎編著『必携!教師のための個人情報保護実践マニュアル』(教育出版)

2005

【レポート課題】

① テーマ

これまでの「社会科教育の研究」の講義を受けて気づいたこと、考えた

ことを世の中の人々に伝える。

② 条 件

・ 朝日新聞の「論壇」など新聞に投稿する。

・ 投稿原稿(1500字)を knarita に提出する。 ・ 提出期日は、2005年7月末日とする。 ・ 提出方法は、A「講義日に直接提出する方法」、B「E-mail で送信す

る方法」(C「本務校へ郵送する方法」) ③ 備 考

・ E-mail:

・ 掲載された場合、その記事を切り抜き、A4版の台紙に貼り、新聞名・

年月日・版等、掲載後の周囲人々の感想や反響についてコメントし、

後期に提出。

・ 今期レポート課題をやり終えたあと、自分の問題関心・問題意識に沿

って、投稿し続けてもよい。(評価対象に入れる)

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参考資料

【社会構成主義*の目指す歴史的な研究及び異文化研究・自文化理解】 「過去を振り返ることが、現実の深い洞察へとつながる―自分たちが受け継いだものを評

価し、その持続可能性を考え、新しい未来を創造するための手がかりとなる―ということ

はすでに述べました。それと同じように、異文化について知ることによって、私たちは、

自文化との共通点と違いの両方について考えるようになります。ただし、そうした違いは

すべて、私たちの言説 ―他者を理解し、構成する慣習 ―を通して生まれるものであり、特定の価値を帯びています。したがって、共通点や違いについて語ること ― 他者に対する分析―によって、客観的現実が明らかになるというよりはむしろ、私たち自身のあり方

が反映されることになるのです。他者を解釈することは、自分自身の存在―私たちがいか

に世界を構成しているか、それがどんな結果をもたらすのか―を明らかにすることなので

す。そして、この点にこそ、私たちがさらに進んでいくための手がかりがあるのです。」 (ケネス・J・ガーゲン著東村知子訳『あなたへの社会構成主義』ナカニシヤ出版、2004年、p.161-162) *ケネス・J・ガーゲンは、社会構成主義には四つのテーゼがあると言う。①「私たちが 世界や自己を理解するために用いる言葉は、「事実」よって規定されない、②記述や説

明、あらゆる表現の形式は、人々の関係から意味を与えられる、③私たちは、何かを

記述したり説明したり、あるいは別の方法で表現したりする時、同時に、自分たちの

未来をも創造している、④自分たちの理解のあり方について反省することが、明るい

未来にとって不可欠である、と。また、「『当たり前』とされていることがらが、人々

に、異なる可能性を見えなくしてしまう」と述べ、自分が持つ前提自体を疑問視し、

現実を見る別の準拠枠を受け入れるという「自省 Reflexivity」の重要性を主張している。(ガーケン 2004、p.71-76 要約)社会構成主義の考え方は、文化的社会的多様性Diversityの教育を考える上で、多くの示唆を与えてくれるものと予察される。

拙稿(2005)「東京学芸大学附属大泉中学校『帰国子女教育』の歴史 1965-2005-文

化的社会的多様性 Diversity の教育へ-」『東京学芸大学附属大泉中学校研究集録』第 46号、2005年 10月(刊行予定)より。

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34

社会科教育研究「ときのまほろば」NO.8 6/25.2005knarita

現代学力論と社会科教育

1 講義計画の変更

⑧ 世界の中の社会科教育Ⅰ―多文化社会―

⑨ 世界の中の社会科教育Ⅱ―教育交流―

⑩ 論争の中の社会科教育Ⅰ―歴史観―

⑪ 論争の中の社会科教育Ⅲ―学力問題―

⑫ 社会科教育の現状と課題―ディスカッション―

⑧ 現代学力論と社会科教育(本時) 6/25(本時)

⑨ 文化的社会的多様性と社会科教育 7/ 2

⑩ シチズンリテラシーと社会科教育 7/ 9

⑪ 補講 7/23

2 現代学力論への誘(いざな)い

(1) 論文集編集委員会編(2005)『学力の総合的研究』黎明書房

① 学力研究の意義と課題(高浦勝義「学力の測定から学力を育てる評価へ」ほか)

② 学力をめぐる諸外国の研究・実践の動向(英・米・独・中・韓)

③ 学力研究と調査(高浦勝義「問題解決評価観の意義と展開」ほか)

(2) 1990年代「新しい学力観」(1989年改訂学習指導要領と 1991年改訂指導要録)

① 背景

・ 子どもたちの状況(上級学校への進学意識の過剰、「落ちこぼれ」「不登校」「いじめ」「暴力行

為」、自然体験・社会体験・生活体験の不足、指示待ち・主体的)

・ 社会の変化(国際化、情報化、少子高齢化、価値観の多様化)

② 自ら学ぶ意欲や思考力、判断力、表現力の重視(新しい学力観)

③ 観点別学習状況の評価

・ 「関心・意欲・態度」

・ 「思考・判断」

・ 「技能・表現」

・ 「知識・理解」

④ 「生きる力」の育成(1998年改訂の学習指導要領)→「総合的な学習の時間」の創設

・ 「ポートフォリオ評価」(「学びの履歴」の集積とその自己評価・他者評価)

・ 「絶対評価・個人内評価」

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(3) 岩川直樹(2005)「誤読/誤用されるPISA報告―人生をつくり、社会参加する力が問われている―」

(『世界』岩波書店、2005.5、p.121-128)

○「明日の世界への学び」(PISA「生徒の学習到達度調査 Program for International Student

Assessment」報告 2003のタイトル)、「生徒たちは未来の課題に立ち向かう準備が充分できているだ

ろうか。彼(女)らは自分たちの考えを有効に分析し、推論し、それをコミュニケートすることができる

だろうか。彼(女)らは生涯にわたって学びつづける力を身に養っているだろうか。これらは親たち、公

衆、そして教育システムを運用する人々が求める問いである。」報告の冒頭(p.121)

○PISAの学力観(OECDの Indicator of Education System INESプロジェクト 1987年~)

① 参加的・文脈的・包括的な学力

「ひとつは、特定教科書の知識や技能だけではなく、CCC(Cross Curricular Competencies)と呼

ばれる教科横断的力量を発達させることが、社会に参加する生徒の土台をつくる学校教育において

の重要な役割として自覚されてきたことである。もうひとつは、知識や技能の習得といった認知的

側面だけではなく、生徒の動機づけや、自己の捉え方、自信や不安といった非認知的側面の形成が、

生涯にわたって学びを継続し、市民的力量を身に養っていく上での重要な基礎になるという洞察で

ある。」(p.123)

② リテラシー・アプローチ(数学・読解・科学リテラシー)

「たんなる学校のカリキュラムの習得ではなく、生徒が社会に十全な参加をするために必要な知識

や技能を身につけているか」「多様な状況において問題を設定し、解決し、解釈する際に、その教科

的領域の知識や技能を効果的に活用してものごとを分析し、推論し、コミュニケートする生徒の力」

(p.124)

③ 学校知と市民的リテラシー

「PISAは、現実の社会を構築する主体として、状況のなかの様々な問題に関心をもってかかわ

り、その問題への対処の仕方を反省的に探究する「構築的・関与的・反省的市民」と呼びながら、

個人がその意味での市民として成熟するうえでの中核に、自分たちの提起するリテラシーを位置づ

けている。」(p.126-127)「文字の読み書きを学ぶということは、単に記号操作を習得することなの

ではなくこの世界を読み取り書き換える力を身に養うことだ」(パウロ・フレイレ※)の引用。

※ブラジルの教育学者。『被抑圧者の教育学』1979、『伝達か対話か―関係変革の教育学―』1982、

『自由のための文化活動』1984、『希望の教育学』2001

○フィンランドへの注目(PISA2003 第1位)

「教育の無償制、教育への平等、性差別の廃止、総合的非選別基礎教育、地方分権、支援的行政、市

民とのパートナーシップ、学びの個人的支援と福祉の連携、教師の裁量権および地位の高さ、そして

社会構成主義的な学習観の土壌」(p.128)

(PISAの受け止め方には)各国の大人たちの市民的シテラシーが如実に現れる。(p.128)

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3 社会科で育てたい生徒像と学力

(1)社会科で「育てたい生徒像」

① まずは、こんな生徒を育てたい~生徒像Ⅰ~

□知りたがり屋で、調べるための本が読め、明快な文章が書ける力がある。

□しかも、発表させれば、資料丸映しの棒読みではすまさないし、他の生徒の発表をよく聞いている。

② そして、こんな生徒を育てたい~生徒像Ⅱ~

□地理・歴史・公民の基本的な知識・情報を身に付け、未知の情報を自分の力で得ることができる。

□社会的事象に対するグローバルな問題意識を持ち、他者との関係を視野に入れつつ、自分に引き寄

せて社会的事象の意味をとらえ、身近な地域や暮らしの中で行動することができる。

③ さらに、こんな生徒を育てたい~生徒像Ⅲ~

□時空間および人間にかかわる社会的事象に対して知的好奇心を抱き、その社会的事象の意味やその

事象と自分とのつながりについて調べ、考える。

□その成果を他者に対して発表し、相互に交流し合い、共に学ぶ意味に気づく。

□そして、新たな「問い」を発見し、思索や行動を継続することができる。

(2) 社会科の学力―具体的に期待される能力(知識・技能・態度)の類型化―

【A】社会科に必要とされる問題意識や知識・技能

□世の中の出来事に対して知的好奇心を持つことができる(問題意識への発展をめざす)

□新聞やテレビ・雑誌などマスメディアからキャッチできる時事問題を継続的に追究することができ

る(スクラップブック、「現在史年表」テレビの視聴など)

□社会科用語を理解できる(地理用語・歴史用語・法律用語・経済用語等)

□世界と日本の略図を描くことができる(地図のイメージ)

□歴史的な出来事の因果関係を理解することができる(その過程を含む)

□世の中の出来事について論理的に思考することができる(論理性)

□世の中の出来事の意味を説明することができる(自分の見方・考え方)

【B】資料・情報活用の技能や表現

□読み書き能力がある(基礎的なリテラシー)

□必要な資・史料・情報を集めることができる(資料・情報の収集・整理)

□資・史料・情報を読み取ることができる(地図・統計・グラフを含む)

□プレゼンテーションを意識して資・史料・情報をまとめることができる(まずは口頭・文書)

□多様な表現方法から必要な方法を選ぶことができる(プレゼンテーション方法の選択)

□確かな証拠やデータに基づき意見を述べることができる(実証性)

□自由討論・ディベート・パネルディスカッションなどで討論ができる(討議法の習得)

【C】他者理解と協同(自立・共生)

□教師に学び、ひとりで学び、周りの生徒から学ぶことができる(に・で・から学習)

□異なる立場や考えについて理解することができる(他者理解)

□協同学習を行うことができる(班活動などにおける分業による協業)等。

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【レポート課題】

1 テーマ

これまでの「社会科教育の研究」の講義を受けて気づいたこと、考えたことを世の

中の人々に伝える。

2 条 件

・ 朝日新聞の「視点」など新聞に投稿する。

・ 投稿原稿(1500字)を knarita に提出する。 ・ 提出期日は、2005年7月末日とする。 ・ 提出方法は、以下のとおりである。

A「講義日に直接提出する方法」 B「E-mail で送信する方法」

(C「本務校へ郵送する方法」) 3 備 考

・ E-mail:

・ 掲載された場合、その記事を切り抜き、A4版の台紙に貼り、新聞名・年月日・

版等、掲載後の周囲人々の感想や反響についてコメントし、後期に提出。

・ 今期レポート課題をやり終えたあと、自分の問題関心・問題意識に沿って、投

稿し続けてもよい。(評価対象に入れる)

練馬区・子どもとおとなの環境会議

① 明日(6月26日) ② 武蔵大学(西武池袋線・江古田駅下車) ④ ボランティア参加:11:00武蔵大学正門集合 ⑤ 一般参加:13:30~

持続可能な開発のための青少年会議プレセミナー(子どもと安全環境)

① 8月2日(火)~4日(木) ② 国連大学(2日、4日)、麹町小学校(3日) ③ ボランティア参加:麹町小学校(3日)希望者 → ④ 一般参加:こども国連環境会議のWebSiteから直接申し込み

東京学芸大学附属大泉中学校・夏の学校体験ツアー ① 8月中(参加希望者と日程調整) ② 大泉中学校図書館で「特別授業」の実施(予定) ③ 希望者 →

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社会科教育研究「ときのまほろば」NO.9 7/2.2005knarita

文化的社会的多様性と社会科教育

⑧ 現代学力論と社会科教育(本時) 6/25

⑨ 文化的社会的多様性と社会科教育 7/ 2(本時)

⑩ シチズンリテラシーと社会科教育 7/ 9

⑪ 〔 〕 7/23

1 ユネスコ「文化的多様性に関する世界宣言」 2001 年ユネスコ総会採択

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/gijiroku/019/04120201/001/008.htm

ユネスコ総会は、「世界人権宣言」及び 1966年締結の 2つの国際人権規約「市民的及び政治的権利に関

する規約」・「経済的、社会的及び文化的権利に関する規約」を含むその他の国際規約の中でうたわれてい

る人権と基本的自由を完全に実現することに専心し、ユネスコ憲章前文に「文化の広い普及と正義・自由・

平和のための人類の教育とは、人間の尊厳に欠くことのできないものであり、かつ、すべての国民が相互

の援助及び相互の関心の精神をもって果たさなければならない神聖な義務である。」とうたわれていること

を改めて想起し、さらに、その他の目的とならんで、「言語及び表象による思想の自由な交流を促進するた

めに、必要な国際協定の締結を勧告すること」をユネスコに義務付けた国連憲章第 1 条をさらに想起し、

ユネスコが制定した国際協定の文化的多様性と文化的権利の行使に関する規定に言及し、文化とは、特定

の社会または社会集団に特有の、精神的、物質的、知的、感情的特徴をあわせたものであり、また、文化

とは、芸術・文学だけではなく、生活様式、共生の方法、価値感、伝統及び信仰も含むものであることを

再確認し、文化は、アイデンティティー、社会的結束、知識に基づく経済の発展という問題に関する今日

の議論において、核心となっていることに留意し、国際平和と安全保障実現のための最善策は、相互信頼

と理解に基づいた文化的多様性、寛容、対話、協力の尊重であることを確認し、文化的多様性の理解、人

類調和の意識及び異文化間交流の促進に立脚した、全世界のさらに強い結束を目指し、新たな情報・通信

技術の急速な発展によって促進されているグローバリゼーションのプロセスは、文化的多様性にとっての

問題点も(同時に)提起しているが、異文化間・異文明間の新たな対話のための条件を整えるものである

ことを考慮し、国連システムの中でユネスコに託された、豊かな文化的多様性の保存・振興を保障すると

いう任務を認識し、以下の原則を宣言し、本宣言を採択する。

アイデンティティー、多様性及び多元主義

第 1 条-文化的多様性:人類共通の遺産

第 2 条-文化的多様性から文化的多元主義へ

地球上の社会がますます多様性を増している今日、多元的であり多様で活力に満ちた文化的アイデンテ

ィティーを個々に持つ民族や集団同士が、互いに共生しようという意志を持つとともに、調和の取れた形

で相互に影響を与え合う環境を確保することは、必要不可欠である。すべての市民が網羅され、すべての

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市民が参加できる政策は、社会的結束、市民社会の活力、そして平和を保障するものである。この定義の

ように、文化的多元主義を基礎とすることで、文化的多様性に現実的に対応する政策をとることが可能で

ある。文化的多元主義は、民主主義の基礎と不可分のものであり、文化の交流と一般市民の生活維持に必

要な創造的能力の開花に資するものである。

第 3 条-発展の 1 要素としての文化的多様性

文化的多様性は、すべての人に開かれている選択肢の幅を広げるものである。文化的多様性は、単に経

済成長という観点からだけ理解すべきではなく、より充実した知的・感情的・道徳的・精神的生活を達成

するための手段として理解すべき、発展のための基本要素の1つである。

文化的多様性と人権

第 4 条-文化的多様性の保障としての人権

文化的多様性の保護は、人間の尊厳への敬意と不可分の倫理的急務である。文化的多様性の保護とは、

特に少数民族・先住民族の権利などの人権と、基本的自由を守る義務があることを意味している。何者も

文化的多様性を口実として、国際法によって保障された人権を侵したり人権を制限したりすることがあっ

てはならない。

第 5 条-文化的多様性を実現するための環境としての文化的権利

文化的権利は、人権に欠くことのできないものである。文化的権利は、全世界の人々に共有され、個々

を分割してとらえることは不可能で、個々の文化的権利は相互に影響・作用しあうものである。創造性と

いう面での多様性を開花させるためには、「世界人権宣言」第 27条及び「経済的、社会的及び文化的権利

に関する規約」第 13条・第 15条に定義された文化的権利の完全実施が必要である。従って、人権と基本

的人権に基づいて、すべての人が各自で選択する言語、特に母国語によって自己を表現し、自己の作品を

創造し・普及させることができ、すべての人がそれぞれの文化的アイデンティティーを十分に尊重した質

の高い教育と訓練を受ける権利を持ち、すべての人が各自で選択する文化的生活に参加し、各自の文化的

慣習に従って行動することができなくてはならない。

第 6 条-すべての人が文化的多様性を享受するために

文化的多様性と創造性

第 7 条-創造性の源泉としての文化遺産

第 8 条-文化的財・サービス:ユニークな商品

第 9 条-創造性の触媒としての文化政策

文化的多様性と国際的連帯

第 10 条-創造と世界的普及の能力の強化

第 11 条-公的セクター、民間セクター、市民社会間のパートナーシップ構築

市場原理だけでは持続性ある人間開発を実施するために欠くことが出来ない文化的多様性の保持・促進

を保障することができない。この観点から、民間セクター及び市民社会とのパートナーシップに則った公

共政策が何よりも重要であることを改めて確認しなければならない。

第 12 条-ユネスコの役割

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2 多様性(Diversity)トレーニング

①多様性(Diversity)

個性

人種・・国籍・性別・性的指向・年齢・障害・被害体験・部落

居住地域・地位・既婚未婚・学歴・収入・外見容姿・宗教…….

②多様性(Diversity)の実現への取り組み ビジョン(理念・展望)

プラクティス(実践)

ポリシー(法律、規約・施策)

③多様性(Diversity)の受容 気づき(awareness)

スキル(skills) 知識(knowlege) 変化への意欲(change)

森田ゆり(2000)『多様性トレーニングガイド』解放出版社

演習「多様性(Diversity)トレーニング―ジェンダー編―」 4~5人ひと組のグループで行う。

① カード(縦置き)を1枚ずつ配布する。無記名。

② 身近でよく知っている(と思われる)女性と男性を一人ずつ挙げる。

③ それぞれに架空の名前をつける。(たとえば、女性:トモコ、男性:ケイスケ)

④ トモコが、女性に生まれてよかったことは?

⑤ トモコが、女性に生まれていやだったことは?

⑥ ケイスケが、男性に生まれてよかったことは?

⑦ ケイスケが、男性に生まれていやだったことは?

⑧ カードをシャッフルし、再配布する。

⑨ 回ってきたカードに書いてあることを読み、感想や意見を分かち合う。

⑩ 自分のカードを取り戻し、このワークショップを行い、気づいたこと。

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3 文化的社会的多様性と学校

① 教職員がすべての生徒に高い期待を持ち、肯定的な態度を示し、積極的な愛情を持って関

わることができる学校か。

② 学校の公式のカリキュラムが、男女両性、およびさまざまな文化、エスニック集団の経験、

文化、視点を反映している学校か。

③ 教師が用いる教授スタイルが、生徒の学習、文化、動機づけのスタイルに合致している学

校か。

④ 教職員が生徒の母語(第一言語)を尊重している学校か。

⑤ 学校で用いられる教材が、さまざまな文化、エスニック、人種集団の視点に立って、でき

ごと、状況、概念を示している学校か。

⑥ 学校で用いられる評価や試験の手順が文化的配慮され、英才児向けのクラスに非白人生徒

も人数比に見合った形で在籍する結果になっている学校か。

⑦ 学校文化と隠れたカリキュラムが、文化やエスニックの多様性を反映している学校か。

⑧ 学校カウンセラーが、異なった人種、エスニック、言語集団の生徒に対しても一様に高い

期待をもつとともに、積極的な進路目標を設定して、その実現を助ける学校か。

バンクス著・平沢安政訳(1999)『入門多文化教育―新しい時代の学校づくり―』明石書店

最新版【レポート課題】

1 テーマ

これまでの「社会科教育の研究」の講義を受けて気づいたこと、考えたことを

世の中の人々に伝える。

2 条 件

・ 朝日新聞の「私の視点」など新聞に投稿する。

※「視点」の投稿規定:1300字程度、住所・氏名・年齢・職業、電話番号明記。

104-8011朝日新聞社企画報道部「私の視点」係へ。

・ 投稿原稿(1300~1500字程度)を knaritaに提出する。

・ 提出期日は、2005年7月末日とする。

・ 提出方法は、以下のとおりである。

A「講義日に直接提出する方法」 B「E-mailで送信する方法」

(C「本務校へ郵送する方法」 〒178-0063 練馬区東大泉 5-22-1

東京学芸大学附属大泉中学校 成田喜一郎 宛)

3 備 考

・ E-mail:

・ 掲載された場合、その記事を切り抜き、A4版の台紙に貼り、新聞名・年月日・版等、掲載

後の周囲人々の感想や反響についてコメントし、後期に提出。

・ 今期レポート課題をやり終えたあと、自分の問題関心・問題意識に沿って、投稿し続けても

よい。(評価対象に入れることがある)

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社会科教育研究「ときのまほろば」NO.10 7/9.2005knarita

シチズンリテラシーと社会科教育

―ケータイにつながる世界と私たち―

1 この1週間、自分が「市民」であることを自覚した「瞬間(とき)」は?

① いつ、どこで、どんな場面で

② なぜ

③ あなたにとって「市民」の定義は?

2 コンセプトマップ「ケータイにつながる世界と私たち」を書こう!

① 今、ケータイを持っている人はマナーモードにしたままで机の上に出そう。

② ケータイをながめながら連想する地球・地域、人間・人々、歴史・時間、ヒト・モノ・カネ・コト

などを列挙しよう。

③ みんなで黒板にコンセプトマップ「ケータイにつながる世界と私たち」書こう。

④ コンセプトマップ「ケータイにつながる世界と私たち」を読み解く。

3 資料「ケータイから見えてくる経済―開発・環境・資源のあり方―」を読もう!

◆ケータイの経済学

携帯電話(以下、ケータイと略す)は、お持ちでしょうか。持っている方は何台目になりますか。持っ

ていない方はその必要性を感じさせないライフスタイルをおくっている方か、迫りくる誘惑にもめげず自

ら欲望のコントロールができる方です。いずれの方々もケータイの経済学にしばらく付き合ってください。

街角の販売店で売られているケータイ、少々古くなった機種などは時々価格〇円で売られていることが

あります。

不思議だとは思いませんか。たとえ少々古くても電話・メール・ネット・カメラなどの機能は一通り付

いています。あれだけの製品を生産するのにタダということはありえません。製造原価は二千円から一万

円くらいだと言われています。商品価格としても四、五万円で売れる商品のようです。こうした不可解な

現象は、生産者にとっても流通業者にとって価格〇円でも十分商売になる仕組みがあるからです。販売店

がケータイを一台売ると、携帯電話事業者から三万円程度の販売奨励金が出ていると言われています。携

帯電話事業者では、一台につき三万円程度の奨励金を出しても元が取れる仕組みになっているからです。

画面が大きくなったり、画像がきれいになったり、着うたが聴けたりする 新の付加価値のある機種を

二~三万円で購入するか、それとも 新の付加価値はひとまず棚に上げても〇円で購入するか、いずれの

場合でも購入後、消費者はそのケータイの手続き料や基本料・使用量・使用機能などに応じた料金を支払

います。

ケータイをお持ちの方は、月々いくらぐらい支払っていますか。ご自分の収支バランス(家計)の中で

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ケータイにかかる費用はどうでしょうか。機種変更したあと、使用済みのケータイはどうしていますか。

廃棄、それともリサイクル?(注3)そう、ケータイと言えば、一時、電車やバスの車内のマナーが問題

になりました。その後、さらにケータイの使用について本人のマナーにとどまらず、行政が規制に関わる

ことになりました。二〇〇四年六月に道路交通法が一部改正され、十一月一日から施行されました。自動

車やバイクの運転中に手で持っているケータイで通話したり、その画面を見ていたりすると三カ月以下の

懲役か、五万円以下の罰金(実際は、五千円から七千円の反則金)が科せられるようになりました。これ

は、立法機関である国会で法の改正案が可決され、行政機関がその改正法に基づいて執行するものです。

ちなみに、ケータイの不法使用者に科せられた反則金は国庫に入り、国の一般会計歳入(雑収入)に計上

されます。

◆いったい何が「経済」なのか

ケータイの経済学を見ると、経済の仕組はどうなっているのか、いったい何が経済なのか、その概要が

見えてきます。

経済のしくみは、基本的に家計・企業・政府という三つの主体があります。この三主体の間で、ヒト・

モノ・カネ・情報を仲立ちとして、生産・流通・消費・廃棄・再生など経済活動が展開されます。ポケッ

トの中のケータイひとつでもこうした経済三主体のかかわりなしには存在しません。

中学校の社会科公民の教科書にこんな図が載っていたのを覚えている方はいませんか。

課題 ①~⑥に当てはまる事項をA~Fの中から選びましょう。また、の中に当てはまる言葉を漢字

二字で書いてみましょう。

「経済 Economy」という洋の東西の言葉の語源をたどると、以下のようになります。

「経済」という漢字二字の語は、古代中国に始まり、わが国の江戸時代でも使われた「経国済民」「経世

済民」に語源をたどることができます。その意味は、「国や世の中を治めて民を救う」ということです。ま

さに、もともと政治と経済とは未分化だったのでしょう。

一方、英語の Economy の語源は、古代ギリシャ語「オイコス・ノ・モス」(注4)にさかのぼると言われ

ています。その意味は、「家庭や家計の管理」ということです。それが近代になって国家レベルの問題に拡

経済の三主体のかかわりとつながり

労働 消費

家 計

① ②

⑤ ⑥ 政府の経済活動国

③生産・流通・販売

政 府企 業④

金 融 国・地方公共団体

労働力、投資、購買力・消費支出A.賃金・利子・配当金、消費財・サービスB.納税・租税収入、労働力C.社会保障・行政サービス、給与D.納税・租税収入、消費財・サービスE.公共事業、代金・補助金F.

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大され、今日的な意味を持ちました。

本来、経済は、わが家の家計の管理し、そして民を救うために国や世の中をうまく治めることなのです

が、果たして今日のわが家・わが国の「経済 Economy」は機能しているのでしょうか。

◆開発・環境・資源のあり方

アメリカ合衆国おいて、1億2800万人いると言われているケータイ利用者は平均1年6か月で新機

種を購入するそうです。機種変更の際、リサイクルボックスに入れられた使用済みケータイは、埋め立て

処分に回るものを減らすために開発途上国に売られていきます。携帯電話業者にとって埋め立て処分がも

っとも手っ取り早い方法のですが、それが安易にできない理由があります。ケータイの中にはヒ素、ベリ

リウム、カドミウム、鉛、水銀といったさまざまな有害物質が使われており、埋め立て処分にすると、こ

れらの物質が水中に溶け出し、その水を飲んだり魚介類を食べたりする人々に健康被害をもたらす恐れが

あるからです。

たった1台のケータイでも経済活動の端末に位置する廃棄か再生かの選択肢があり、また、自然環境へ

の深刻な影響、先進国と途上国との経済関係・格差(南北問題)にもつながっています。

湯水のごとく使うとたとえられた「水」。地球上では、私たちの経済活動の結果として、その水をめぐっ

て深刻な環境汚染と淡水資源の枯渇が進んでいます。まさに人類だけではなく、すべての生物の生存に関

わる問題でもあります。

当然のことながら、石炭・石油などをはじめとする地球上の資源には限り(有限性)があります。それ

ら化石燃料とは異なり、循環する資源として考えられてきた水は、今や深刻な脅威にさらされています。

世界の人口増加・爆発と水集約型産業の急成長により、私たちは淡水資源の危機を迎えようとしています。

コンピュータなどハイテク産業では大量の水を使用・廃水しているというのは周知の事実ですが、一台の

自動車を作るのに四〇万リットルの水が使われているとも言います。

一方、水質汚染や水不足という危機は、企業にとっては絶好の経済活動のチャンスでもあり、飲用水・

工業用水の確保によって新たなウォータービジネスが展開しはじめているのも事実です。その結果、水不

足に見舞われ汚染された水の多い国・地域の人々は一立方メートルあたり3ドルを払わねば水を飲めず、

一方で同量の水を3セントで飲める人々という南北の格差も出はじめているとも言われています。

次から次へとケータイの新しい付加価値機能が開発され、市民としての私たちの「欲望」も開発されて

いきます。卵が先か鶏が先かの議論のように、市民に「欲望」がある限りケータイは進化し続けるのかも

しれません。

今、私たちは、その生存と持続可能性を脅かす、開発と環境と資源の「トリレンマ」の前に立たされて

いるといっても過言ではありません。

一国・一地域にとどまらず持続可能な国家・社会を展望するとき、経済のしくみや経済活動、「トリレン

マ」の根底に、私たちの「欲望」の集積という問題が潜んでいることにも目を向ける必要があります。

課題 開発と環境と資源の「トリレンマ」対していかなる対策・施策が考えられるか、生活者市民・企

業市民・行政市民などの立場に分かれて提案とディスカッションをしてみましょう。

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4 コンセプトマップ「ケータイにつながる世界と私たち」をバージョンアップしよう!

① 資料を読んで重要だと思ったキーワードを黄色で囲もう。

② 付け加えるべきキーワードがあったら、黄色いチョークで書き加えよう!

5 シチズンリテラシーと社会科教育

① シチズン・リテラシーとは何か

「これからの市民には、単に社会的問題意識をもっているだけではなく、自分および家族、自分の住

む地域や社会や市民に対して愛着をもち、もっているがゆえにパブリックに関わり、それをよりよ

くしたいことが望まれます。そして、社会が市民を育て、市民は社会に関わることで成長し、市民

が社会を育てるのです。そして、各個人が、自分の存在する社会を理解し、自分の役割を理解し、

必要とされる情報、スキルや素養を身につけ、『市民』になることが必要なのです。私たちは、その

身につけるべきものの総体を『シチズン・リテラシー』と呼びたいと思います。/この『シチズン・

リテラシー』」自身も時代や社会で絶えず変わります。それは、民主主義社会の「レゴ(LEGO)」の

ような存在です。市民がパーツ(部品)を組み合わせることで、自分の社会に適した形態の民主主

義を構築し、状況に応じてつくり変えていくもので、市民パブリックで役割を果たすための基礎に

なるものです。」(鈴木崇弘ほか編著(2005)『シチズン・リテラシー』教育出版、p.19-20)

② 中学校社会科の目標 1998(現行学習指導要領)

「広い視野に立って,社会に対する関心を高め,諸資料に基づいて多面的・多角的に考察し,我が国

の国土と歴史に対する理解と愛情を深め,公民としての基礎的教養を培い,国際社会に生きる民主

的,平和的な国家・社会の形成者として必要な公民的資質の基礎を養う。」

③ 東京第三師範学校附属中学校の教育目標 1948(不易と流行を考えるための史料)

「一 鞏固な意志を持ち、忍耐強く、自主積極性に富み実証性科学性を身につけて真理を探求し、自

己を信じるとともに透徹した批判力を持って自己の生活を統御し、豊かな感情を持ち広く芸術を

理解し常に健康に留意して頑強なからだとなり、生のよろこびを感じ溌剌として明朗な中学生

二 家族を敬愛し、家庭内における自己の地位と責任を自覚し、協力して家庭の繁栄と和楽のため

に努め、家庭生活を科学的合理的に考え、これを能率的にする知識を身につけ、たのしい、明る

い、民主的な家庭生活を営もうとする中学生

三 社会のなりたち、社会の理想をわきまえ、敬愛の心ひろく、礼儀に厚く、憲法の精神を体し、

社会秩序を尊重して暴力をにくみ、虚偽の宣伝に迷わされることなく、国際間の協力につとめ、

平和を希求し、社会の幸福、繁栄のために奉仕し、民主的な社会をたのしむ中学生

四 経済生活を営んでゆくために必要な知識を身につけ、貿易の真義を理解し、艱苦に耐えて公正

なる経済生活を営み、職業に対する社会的意義を理解し、正しい勤労観を持ち、境遇の変化に

対応できる自立の精神に富む中学生」

6 本日のキーワード&コメント(本日中)

ケータイ (個人情報保護方針) 又はいつものカードでも可

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諸連絡

1 欠席が4回以上の学生

① JUNEC国際フォーラム 2005プレセミナー(8/2火・3水・4木)へのボランティア又は参加

(1日でも可)

ボランティアの場合:成田

参加直接申し込み

② 東京学芸大学附属大泉中学校・夏の学校体験ツアーへの参加

日程:8月9日(火)~13日(土)のうちの1日(未定)

参加申し込み:成田

③ 東京学芸大学附属大泉中学校社会科授業参観(現役教諭又は教育実習生の授業を予定)への参加

日程:9月上旬

参加申し込み:成田

④ ①から③までの参加ができない学生→授業後相談

成田 メール又は手紙で課題をやり取りする

2 レポート課題

【レポート課題】

1 テーマ

これまでの「社会科教育の研究」の講義を受けて気づいたこと、考えたことを世の中の人々に

伝える。

2 条 件

・ 朝日新聞の「私の視点」など新聞に投稿する。

※「視点」の投稿規定:1300字程度、住所・氏名・年齢・職業、電話番号明記。

104-8011朝日新聞社企画報道部「私の視点」係へ。

・ 投稿原稿(1300~1500字程度)を knaritaに提出する。

・ 提出期日は、2005年7月末日とする。

・ 提出方法は、以下のとおりである。A「講義日に直接提出する方法」 B「E-mailで送信す

る方法」(C「本務校へ郵送する方法」 〒178-0063 練馬区東大泉 5-22-1

東京学芸大学附属大泉中学校 成田喜一郎 宛)

3 備 考

・ E-mail:(アドレス)

・ 掲載された場合、その記事を切り抜き、A4版の台紙に貼り、新聞名・年月日・版等、

掲載後の周囲人々の感想や反響についてコメントし、後期に提出。

・ 今期レポート課題をやり終えたあと、自分の問題関心・問題意識に沿って、投稿し続け

てもよい。(評価対象に入れることがある)

以上、前期講義ノート終了

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文化審議会文化政策部会 文化多様性に関する作業部会 報告 -文化多様性に関する基本的な考え方について-

http://www.bunka.go.jp/1aramasi/10_bunkaseisakubukai_siryou2-2.html (2018.11.11閲覧不可)

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ユネスコ文化的多様性に関する世界宣言実施のための行動計画要旨

加盟各国は、特に以下に示す目標の達成に一致協力して取り組むことによって、「ユネスコ

文化的多様性に関する世界宣言」を広く普及するための適切な策を講じることに専心する。 1. 特に国内・国際レベルにおける文化的多様性と開発との関連及び文化的多様性が政策決定にどのような影響を与えるかを中心に、文化的多様性に関する問題についての国際的な

議論を深める。特に今後に向けて、文化的多様性に関する国際法規制定の機会について検

討する。 2. 国内・国際レベルにおいて本宣言を普及し、協力体制を構築するとともに、原則、基準、実践を決定し推し進めることが、文化的多様性の保護と振興にもっとも有益である。 3. 多様な社会において、様々な文化的背景を持つ人々や集団の参加を促進するため、文化的多元主義に関する知識及び 善の実施例についての交換を推進する。 4. 人権と不可分一体の部分として、文化的権利の内容の理解及び明確化を更に進める。 5. 人類の言語遺産を保護し、可能な限り多くの種類の言語による表現、創造、普及のための支援を行う。 6. 母国語を尊重しつつ、教育のあらゆる段階において、可能なかぎり言語の多様性を奨励し、低年齢からの複数の言語学習を促進する。 7. 教育による文化的多様性の持つ価値への理解促進を図る。そのためカリキュラム作成と教員養成を改善する。 8. 文化的に適切な知識の伝達手段を保護、 大限活用するために、適切と判断される場合

には、伝統的教授法を教育方法に組み入れる。 9. 「デジタル・リテラシー」を奨励し、より多くの人々が新しい情報・通信技術を習得できることを保障する。これは、教育であると同時に、教育サービスをより効率的に提供す

るための教育のツールとしてみなされるべきである。 10. サイバースペースにおける言語の多様性を振興し、グローバル・ネットワークを通じたすべての公有情報への普遍的なアクセスを促進する。 11. 国連の関係機関と緊密に協力しながら、開発途上国による新技術へのアクセスを促すこと、情報技術の習得を支援すること、及び、デジタル媒体による自国の文化的産物の普及

と、世界中で入手可能なデジタル媒体による教育・文化・科学情報源へのアクセスを促進

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することによって、デジタル・デバイドの問題に対応する。 12. マスメディア及びグローバル情報ネットワーク上の多様なコンテンツの制作、保護、普及を奨励する。このため、特に、コンテンツ配給をスムーズに行うための協力メカニズム

の構築を進めることにより、質の高い視聴覚コンテンツ製作の発展における公共ラジオ・

テレビ放送の役割を推進する。 13. 口承及び無形文化遺産をはじめとする、文化遺産及び自然遺産の保護と強化のための政策と戦略を策定し、文化的財・サービスの不正取引を防止する。 14. 先住民族の知識をはじめとする伝統的知識を尊重し、保護する。特に、環境保護と天然資源の管理に対して伝統的知識がいかに有用であるかを認識し、近代科学と地域固有の知

識との共同作用を育む。 15. 創作者、芸術家、研究者、科学者及び知識人の流動性と国際研究プログラムや協力の発展を促進するとともに、開発途上国及び開発の過渡期にある国々の創造力を保護、強化す

るよう努力する。 16. 現代における創造性の発展と創作活動に対する正当な報酬が認められることを推進するため、著作権及び関連する権利の保護を保障すると同時に、「世界人権宣言」第 27 条に従って、公衆が文化を享受する権利を保持する。 17. 開発途上国及び開発の過渡期にある国々における、文化的産業の創設及び強化を支援する。このため、必要なインフラや技能の開発に協力し、存続可能な地元市場の形成を促進

し、これらの国々の文化的生産物がグローバル市場に参入し、国際流通ネットワークに参

加できるよう促す。 18. 各国に課せられた国際的義務に従って、この宣言にうたわれている原則を推進することを目的とした、運用上の支援策及び適当な規制的枠組を含む文化政策を策定する。 19. 文化的多様性の保護及び推進を目的とする公共政策の策定に、市民社会が深く関わることができるようにする。 20. 民間セクターが文化的多様性の強化のために行える貢献を認識し、促す。このため、公共セクターと民間セクターとの対話のためのフォーラム開設を推進する。 加盟国は事務局長に対し、ユネスコのプログラム実施にあたって上記の行動計画に示さ

れた目標を考慮するとともに、文化的多様性を推進するための様々な活動の相乗効果を高

める観点から、国連機関、その他の政府間組織及び非政府組織に伝達するよう勧告する。

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一部改正の概要

(1) 学習指導要領の基準性を踏まえた指導の一層の充実 学習指導要領に示しているすべての児童生徒に指導する内容等を確実に指導した上で、児童生徒の実態を踏まえ、学習指導要領に示していない内容を加えて指導することができ

ることを明確にした。(小学校学習指導要領第1章第2の2等) 「内容の取扱い」のうち、内容の範囲や程度を明確にしたり、学習指導が網羅的・羅列

的にならないようにするための事項は、すべての児童生徒に対して指導する内容の範囲や

程度等を示したものであり、学校において特に必要がある場合等には、これらの事項にか

かわらず指導することができることを明確にした。(小学校学習指導要領第1章第2の2、

第2章等) (2) 総合的な学習の時間の一層の充実 総合的な学習の時間のねらいとして、各教科等で身に付けた知識や技能等を相互に関連付け、学習や生活に生かし、それらが総合的に働くようにすることを加えて規定した。(小

学校学習指導要領第1章第3の2等) 各学校において総合的な学習の時間の目標及び内容を定める必要があることを規定した。

(小学校学習指導要領第1章第3の3等) 各学校において総合的な学習の時間の全体計画を作成する必要があることを規定した。

(小学校学習指導要領第1章第3の4等) 総合的な学習の時間の学習活動を行うに当たっての配慮事項を明確にした。(小学校学習

指導要領第1章第3の6等) (3) 個に応じた指導の一層の充実 個に応じた指導の充実のための指導方法等の例示として、小学校については、学習内容

の習熟の程度に応じた指導、補充的な学習や発展的な学習などの学習活動を取り入れた指

導等を、中学校については、補充的な学習や発展的な学習などの学習活動を取り入れた指

導等を加えた。(小学校学習指導要領第1章第5の2、中学校学習指導要領第1章第6の2) 3. 一部改正に関連する事項 各学校においては、学年や学期、月ごと等に授業時数の実績の管理や学習の状況の把握を行うなど、教育課程の実施状況等について自ら点検及び評価を行い、教育課程を適切に

実施するために必要な指導時間を確保するよう努める必要があることとした。また、年間

の行事予定や各教科の年間指導計画等について、保護者や地域住民等に対して積極的に情

報提供を進める必要があることとした。 指導内容の確実な定着を図るため必要がある場合には、指導方法・指導体制の工夫改善

を図りながら、学校教育法施行規則に定める各教科等の年間授業時数の標準を上回る適切

な指導時間を確保するよう配慮することとした。

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別紙資料 問いを愛する学生たちⅡの1

【5月7日の授業を振り返って】

① 人間史学習について、生徒は興味を持って勉強できるが、先生は資料集めが大変そう。資料集めの方

法を教えてほしい。

② 歴史キャッチフレーズづくりの授業は、その時代の様々な視点から見られるからという点ではとても

効率的だと思うが、歴史を1本の線として理論的に結び付けさせるアフターケアが必要ではないか。

③ 歴史キャッチフレーズづくりの授業の感想で、やる目的がわからなかったという生徒が少数いたが、

目的を先に言ってしまうと、ゲーム感覚がなくなり、単なる勉強になってしまう。目的は子どもたち

が見出すものだと思う。

④ 歴史キャッチフレーズづくりの授業は、高校受験に対応しきれるのかが疑問だ。保護者に受け入れら

れるか。

⑤ 人間史学習・歴史キャッチフレーズづくりの授業などは時間がかかり通常の授業と一緒にはなかなか

できないのではないか。教えなくてはいけない範囲をやりきれるのですか。

⑥ 人間史学習は、人物に親近感と興味を持たせ、そこから発展としての歴史自体に目を向けさせること

ができると思うが、この方法では通史が年表的なものになってしまうのではないか。

⑦ 自分は西洋史専攻だが、人間史学習について、その時代を生きた偉人(もしくは民衆)を扱うことに

よって、その時代性をとらえることができるすごさに驚きを感じた。改めてアナール学派の歴史を学

ばねばと思った。

⑧ 安重根の評価は、韓国(英雄)と北朝鮮(侵略を促進させた軽挙)では異なるはずです。

⑨ 社会科という教科は、答えが多々あり、正答という感覚より、導答という感覚が大きい。だから、先

生によって学習も大きく変わる。反面、教育実習にしても私にできるか今からとても心配だ。

⑩ 歴史キャッチフレーズづくりなどの授業で、事前・事後のケアが大事だというが、具体的にはどのよ

うな形で導入又はまとめるとよいのだろうか。

⑪ 反対意見・批判に耳を傾けることは重要だと思うが、改善がとても難しいこともあるだろう。そんな

場合、どうしているのか。

⑫ 来月から3週間実習がある。教師になるかどうか、迷っている。迷っている状態で教壇に立ってもよ

いのでしょうか。

⑬ 日本の教員免許で他国の教員になれるのでしょうか。

⑭ 教科書を使った普通の授業も含め、授業(あるいは勉強)の目的をそのような生徒たちはどのように

考えているのであろうか。とても気になる。

⑮ 目的が分からないという生徒は、実際、入試問題でこのような形式でこの時代のキャッチフレーズを

作りなさいという問題が出題されないことにあると思う。

⑯ 歴史キャッチフレーズの授業は、一通り学習してからやるのと導入のあといきなりやるのとではせい

とたちの吸収のしかたが違うのではないか。

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プライベートなことなどを話したり、歌を歌ったりする先生に出会ってきたが、そういう人が先生にな

るんだなあと思う。私もそうなりたいけれど、今のところそういうタイプではない。×

日本の島嶼の構成

6,852

(全島嶼)

(本土(本州,北海道,九州,四国,沖縄本島))

6,847

(離島)

432

(有人離島)

315

(法対象)

263

(離島振興法)

257(一般離島)

6(北海道離島)

52

(その他の法律)

40(沖縄)

8(奄美)

4(小笠原)

117

(法対象外)

6,415

(無人島)

(資料)国土交通省都市・地域整備局離島振興課 平成 12 年4月1日 現在