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体内のミネラル 酸素 oxygen 炭素 carbon 水素 hydrogen 窒素 nitrogen カリウム イオウ ナトリウム 塩素 マグネシウム マンガン ヨウ素 コバルト 亜鉛 モリブデン フッ素 セレン クロム 190621(2講時)生化学 text p.32-p.35 Nh Ts Og Mc カルシウム リン V Si B Ni

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Page 1: 体内のミネラルonishi/190621Minerals.pdf体内のミネラル 酸素 oxygen 炭素 carbon 水素 hydrogen 窒素 nitrogen カリウム イオウ ナトリウム 塩素 マグネシウム

体内のミネラル

酸素 oxygen炭素 carbon水素 hydrogen窒素 nitrogen

カリウムイオウナトリウム塩素マグネシウム

鉄銅マンガンヨウ素コバルト

亜鉛モリブデンフッ素セレンクロム

190621(2講時)生化学text p.32-p.35

Nh Ts OgMc

カルシウムリン

V

Si

B

Ni

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人体を構成する元素 (%)酸素 65.0炭素 18.0水素 10.0窒素 3.0

カルシウム 2.0リン 1.1カリウム 0.35硫黄 0.25ナトリウム 0.15塩素 0.15マグネシウム 0.05

鉄 0.004銅 0.00015マンガン 0.00013ヨウ素 traceコバルト 0.00004亜鉛 traceモリブデン traceフッ素 traceセレン traceクロム trace

微量ミネラル

96%

4%

1%以下

2

ミネラル

生体 約100種類

多量ミネラル

多量元素1%~

小量元素0.01~1%

微量元素~0.01%

98%

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無機質のおもな生化学的役割

遷移元素(金属) 3-11族(12) 電子移動,酸化還元酵素

典型元素12-18族

生体物質の構造要素,コンフォメーション変化の引き金

1, 2族

3

• 生体構成成分• 生体機能調節

アルカリ金属(H以外) 1族 電荷の中和,膜電位の制

御,構造の安定化

アルカリ土類金属(Be, Mg以外) 2族 情報伝達,酵素の活性化,

構造制御

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1. カルシウム Ca calcium体重の2% → 50 kgなら1 kg存在 99% 硬組織

1% 血液,筋,神経機能 ①骨,歯の構成成分

②血液凝固(第Ⅳ因子)③神経の刺激伝達④筋肉収縮,心臓の興奮性の調節⑤細胞内情報伝達(ホスファチジルイノシトールなど)⑥細胞接着(E-カドヘリン)⑦酵素反応の調節⑧細胞膜活動⑨カルモジュリン (Ca結合性タンパク質):キナーゼ,ミオシン活性化

細胞内外のカルシウムイオンの動きは厳密に調節(内:0.05~10 µmol/L) 細胞外の1/106から1/500細胞膜カルシウムチャネル(情報伝達)カルシウムポンプ = Ca2+-ATPase (能動輸送) 4

細胞は特定の物質を特定の条件が整った時のみ透過させる独特のしくみをもつ(内在性タンパク質)

チャネル:受動トランスポーター(輸送体):

受動(構造変化あり)能動(ポンプとも呼ぶ)

イオンチャネル(5種:Na+, K+, Ca2+, 非選択性陽イオン,Cl-)

Ca2+イオンチャネル電位作動型IP3受動体NMDA受動態

生体内で最も多い無機質

2 mMin 血漿(細胞外液)

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2. リン P phosphorus存在 80% 硬組織

20% 血液,軟組織

機能 ①骨,歯などの硬組織②リン酸として核酸,ヌクレオチド,補酵素③リン脂質(細胞膜),リンタンパク質④糖リン酸エステル(グルコース6-リン酸など)として

エネルギー代謝⑤体液の酸アルカリ平衡,浸透圧の調節,筋肉の収縮⑥リン酸化や脱リン酸化などによってシグナル伝達や

酵素反応の調節

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Na+ は細胞外液の主要陽イオン.Cl-と対になって動くことが多い

3. ナトリウム Na sodium Natrium(独)

機能 ① 浸透圧の維持―水の移動② pH 酸塩基平衡の維持③ ナトリウム:筋収縮④ 細胞外カリウムが高い:神経,筋肉の興奮を抑制⑤ 低Na血症:細胞外液のNa+濃度が低下→細胞内浮腫

イオン 細胞内イオン濃度(mM)

細胞外イオン濃度(mM)

Na+ 10 142K+ 140 4Mg2+ 58 1.2Ca2+ 1 x 10-4 2.4Cl- 4 103

HCO3- 10 28

HPO42- 75 4

6

Textbook of Medical Physiology Fig.4-1より

ナトリウムポンプ細胞内はNa+濃度が低く,K+濃度が高く維持.

Na+, K+-ATPアーゼが担う

ATPを分解しそのエネルギーを用いてNa+(3個)を排出し,K+(2個)を取り込む

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カリウム K potassium Kalium(独)

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細胞内液に最も多い陽イオン細胞膜上の酵素 Na+, K+-ATPaseで細胞外のナトリウムと逆方向に動く細胞内外の濃度勾配形成(膜電位)

↓利用

脱分極(神経活動)

アルドステロン(カリウムの調節因子)作用過剰(副腎皮質機能亢進症) → カリウム欠乏

腎不全(腎での排泄に障害)アジソン病(副腎皮質機能不全) → 髙カリウム血症腎血流低下(高度脱水,ショック)

低カリウム血症:鼓腸,呼吸困難,頻脈,興奮性麻痺,心停止髙カリウム血症:神経,筋が易刺激性,骨格筋の筋力低下,

筋弛緩性麻痺,徐脈,不整脈,心停止

膜電位の脱分極によって機能する心筋では,カリウム失調は致死的

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4. 硫黄 S sulfur

存在 含硫アミノ酸(メチオニン,システイン,シスチン)毛髪,爪(硬ケラチン)に多く存在グルタチオンビタミンB1,ビオチングリコサミノグリカン:

コンドロイチン硫酸,デルマタン硫酸ケラタン硫酸,ヘパラン硫酸ヘパリン

硫黄は化学的に活発な元素で多くの元素と化合するが,特に酸素との親和性が強く種々の酸化物を生成する.

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5. 塩素 Cl chlorine細胞外液の主要陰イオン細胞内濃度は低い①浸透圧維持②酸塩基平衡③胃酸の成分 HCl

ペプシノーゲンからペプシンへの活性化ペプシンの至適 pHの維持鉄(3価)をイオン化し,腸管からの吸収促進摂食食物の殺菌消毒

④好中球酵素により次亜塩素酸となり,好中球の貪食作用に関与⑤酵素の活性化:アミラーゼ,ウレアーゼ

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ウレアーゼ(NH2)2CO + H2O → CO2 + 2 NH3尿素 urea

好中球ペルオキシダーゼ(myeloperoxidase)Cl- + H2O2 → OCl- + H2O

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プロトンは細胞内で炭酸脱水素酵素Ⅱの作用で産生される.産生されたHCO3

-は基底側膜(血漿)に放出小胞の融合 または Cl-/HCO3

-交換体

産生されたプロトンは H+,K+-ATPase(プロトンポンプ )で胃腔へH+との交換に必要なK+を供給するためのK+チャネルCl-を供給するためのCl-チャネル (ClC)

基底側膜にはNa+, K+-ATPase, NHE-1が存在するNHE-1: Na+, H+交換輸送体の一種

壁細胞

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6. マグネシウム Mg magnesium

存在 60% 硬組織:軟骨や骨の成長に必要30% 筋その他すべての細胞中に存在

約300種類の酵素の補因子ATPが基質となる酵素反応(リン酸転移酵素)の活性化

ヘキソキナーゼなどの解糖系Na+-K+-ATPaseCa2+-ATPase

Mg2+は Glu受容体イオンチャネルをCa2+と競合的に利用Mg欠乏→ 細胞内外のNa, K, Caのバランスが崩れ心機能に影響Ca摂取量に比しMg摂取量が不足→ 虚血性心疾患

精神的抑うつ症11

キナーゼ

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担体 イオン 細胞外イオン濃度(mM)

トランスフェリン Fe3+ 10-16

セルロプラスミン Cu2+ 10-14

アルブミン Cu2+ 10-14

アルブミン Zn2+ 10-8

リンタンパク質 Ca2+ 10-3

担体を必要としない Mg2+, Na+, K+ 10-3—10-1

生理的な酸素濃度でFe2+はFe3+に速やかに酸化される.Fe3+は中性溶液にはきわめて溶けにくい生体内では超微量の遷移金属の多くが特別な担体タンパク質と結合して輸送される

遷移金属の輸送

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金属の貯蔵フェリチン 鉄は肝臓,脾臓,骨髄中の細胞に吸収され貯蔵(3-4 g).

フェリチン Fe2+, Fe3+

メタロチオネイン Cu2+, Zn2+

セルロプラスミン Cu2+

アルブミン Cu2+, Zn2+

リンタンパク質 Ca2+

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7. 鉄 Fe iron ferrum(ラテン語)

総量は3~4g.70%がヘモグロビンと結合,30%がフェリチンとして貯蔵35 mgの鉄が,酵素,輸送タンパク質,O2結合タンパク質,酸化還元タンパク質による代謝で働いている

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図2-36

ヘモグロビン 血液中の酸素運搬 70%2600mg

ミオグロビン 筋肉内に酸素を貯蔵

酵素(チトクロム,カタラーゼ,ペルオキシダーゼ) 電子伝達系,酸化還元反応

トランスフェリン アポトランスフェリンと結合して血漿中,鉄の輸送 3~4 mg

フェリチン(肝,脾,骨髄) アポフェリチンと結合して貯蔵

30%300~1000

ヘモジデリン フェリチン,アポフェリチンがリソソームで変性.不溶性

生体内での鉄の存在形態

接頭辞ferrous: iron(III)ferric: iron(II)

微量ミネラル

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(非ヘム鉄)Fe3+はFe3+還元酵素によりFe2+に変わり,頂上膜の鉄トランスポーター (DMT1)によって腸上皮細胞に取り込まれる(ヘム鉄)ヘムはヘムトランスポーター (HT)によって腸上皮細胞に取り込まれ,ヘムオキシゲナーゼによりFe2+が遊離される.

Fe2+の一部はFe3+になりアポフェリチンと結合しFe3+-フェリチンになる.残りは基底側膜からFe2+トランスポーター(FP;フェロポーチン)により間質液に輸送.輸送には,ヘプヘスチン(Hp)の助けが必要

血漿中で, Fe2+はFe3+に変換され,アポトランスフェリンに結合し(Fe3+-TF),運ばれる.

鉄は還元型のFe2+

ferrous stateの時,吸収されやすいが,食品中の鉄はたいてい酸化型Fe3+のferric stateにある.

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8. 銅 Cu copper (cuprum, ラテン語)骨,肝臓,脳,腎臓,筋,血液に存在.大部分セルロプラスミン

①造血,血液凝固および骨形成に関わる酵素の補欠分子族ヘモグロビンの合成に関与(セルロプラスミンを介して)

②酵素の補因子シトクロムオキシダーゼ(シトクロムaa3)スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)

2 O2-• + 2 H+ → O2 + H2O2

チロシナーゼ(カテコールオキシダーゼ,モノフェノールモノオキシダーゼ)2 カテコール + O2 → 2 o-キノン + 2 H2O

セルロプラスミン(フェロオキシダーゼ)①銅の運搬と代謝②鉄の代謝に関与している

血漿中の銅の90~95%はセルロプラスミンと結合して存在2価の鉄イオンを3価に変える(酸化する)4 Fe2+ + 4 H+ + O2 → 4 Fe3+ + 2 H2O

欠乏→ 貧血,白血球減少,骨変化,精神発達遅延先天性銅代謝異常症:wilson病

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9. マンガン Mn manganese

存在 生体内総量:12~20 mg肝臓,腎臓に貯蔵胆汁中に排泄

機能 ・スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)の活性基2 O2

-• + 2 H+ → O2 + H2O2

・ATPase・メバロン酸のリン酸化,スクアレンへの転化

欠乏:骨代謝,糖脂質代謝,運動機能,皮膚代謝に影響過剰:気道などからの長期曝露でマンガン中毒(精神症状)

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Cu/ZnFe/Mn

Ni

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10. コバルト Co cobalt

成人体内に約1 mg

ビタミンB12(コバラミン)の成分

ビタミンB12の欠乏 → 悪性貧血

胃の壁細胞が分泌した内因子:小腸ビタミンB12(コバラミン)の吸収に重要

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11. 亜鉛 Zn zinc1.4 g~2.3 g存在肝臓,膵臓,骨,すべての臓器,組織,血液細胞に含まれる.前立腺が最も高濃度.

欠乏 皮疹,味覚低下,下痢,貧血(小児:発育不良,性的発達の遅れ)機能 ①免疫,味覚,皮膚や骨の機能の維持

②zinc finger 転写調節因子のモチーフ(DNAに結合するドメイン)③金属酵素 炭酸脱水酵素

カルボキシペプチダーゼアルカリ性ホスファターゼDNAポリメラーゼRNAポリメラーゼマトリックス金属プロテアーゼ(MMP)

④インスリン 膵臓β細胞内で2つのZn分子と6つのインスリン分子からなる6量体 19

2つのCysと2つのHisが互いに接近,亜鉛イオンをつかむ.20~30残基

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12. モリブデン Mo molybdenum

金属酵素・キサンチンオキシダーゼの補因子

キサンチン + NAD+ + H2O → 尿酸 + NADH

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キサンチン 尿酸

・アルデヒドオキシダーゼ:ヒポキサンチン→キサンチン・亜硫酸オキシダーゼ:亜硫酸→硫酸

欠乏は稀.過剰:銅不足(モリブデンは銅と拮抗するので)

濃度低いが,ヒト体内で広く分布クロモジュリン(耐糖因子)に結合→インスリンと受容体結合促進

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13. フッ素 F fluorine

体内へ吸収:90%大部分は小腸から一部は胃から

代謝 90% 尿中排泄10% 硬組織に沈着

歯:エナメル質表層,象牙質歯髄側で濃度高

中毒 急性 3~5 mg/kg 体重 の摂取 → 嘔吐,下痢それ以上大量摂取 → 低カルシウム血症

慢性 10 ppm長期 → 骨軟化症,斑状歯

機能 フルオロアパタイト(結晶性向上)→う蝕予防効果

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14. ヨウ素 I iodine生体内総量:30 mg

存在 60% 甲状腺甲状腺濾胞上皮細胞が血中のヨウ素を取り込み,チログロブリンのチロシン残基をヨウ素化

ヨウ素化チロシン残基同士が縮合(エーテル結合)加水分解で切り離され,血液中に分泌

甲状腺ホルモン トリヨードチロニン(T3)チロキシン(T4)

欠乏(ヨードが土壌に含まれていない地域の農産物,水の摂取)→ 甲状腺機能障害,発育障害,知能障害

欠乏症(胎生期):クレチン病過剰症:甲状腺腫 22

NH2O

HO

O

OH

I

I

I

NH2O

HO

O

OH

I

I

I

I

textp.163参照

onishi
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セレン Se seleniumタンパク質中にセレノシステイン残基(Sec: selenocysteine)として存在する.

セレノシステインは酸化還元酵素に存在• グルタチオンペルオキシダーゼ

2 GSH + H2O2 → GS-SG + 2 H2O

細胞内で抗酸化作用各種の金属類,有害金属化合物の毒性発現を抑制膵臓の働きを正常化し脂質の消化吸収に重要な役割

• チオレドキシン還元酵素,ギ酸還元酵素,グリシン還元酵素

欠乏 → 狭心症,心筋梗塞,ガンの発生を高める欠乏症:Keshan(克山)病

H2N CH C

CH2

OH

O

SeH

セレノシステイン:システインの硫黄(S)がセレン(Se)に置き換わっている

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クロム Cr chromium吸収されにくい穀物に存在するクロムは精製でほとんど失われる

小麦 98% loss米 92% loss

自然界に存在するクロムのほとんど3価吸収された3価クロムは血液中,トランスフェリンに結合,肝臓へ

耐糖因子(GTF: glucose tolerance factor)を構成するクロモジュリン(オリゴペプチド)に4つの3価クロムが結合インスリンが体内でレセプターと結合するのを助けるインスリン受容体のチロシンキナーゼ活性の増強ホスホチロシンホスファターゼ(脂肪細胞膜)の活性化

糖質代謝と関連