クレーン用高圧電動機のリアクトル制御 - hitachi∪.d.c.る21.313.333.2_58:る21.87...

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∪.D.C.る21.313.333.2_58:る21.87 クレーン用高圧電動機のリアクトル制御 Saturable Reactor Controlfor High-tenSion Crane Motor 昭* 男* HiroakiIcbikaヽ∇a Norio Yamamoto 主巻上電動棟容量750kW(375kW2台並列)の大容量高速レードルクレーンに3.3kV誘導電動機を使用 し‾可飽和リアクト′レ制御を採用した。 このようなクレーンでは,巻下運転のときに電気的に加速トルクを与える必要がないので,経済的な可逆接 触器と制御用リアクトル(3台)による方法を採った。接触器のメインテナソスを考慮して,主回路電流を減少 させておいてから切り換える方法により当初の巨t的を十分達成することを確認した。 表1 転炉用レードルクレーンの主巻・補巻の仕様 1.緒 最近の各種クレーンは大容量化,高速化の傾向にあり,これらの 電気設備は必要に応じ静止化,無接点化されつつある。この憤向は 主回路制御機器の容量増加,弱電部品の開発などとあわせてさらに 進むものと考えられる。 従来,製鉄所における転炉用クレーンの主巻および補巻lこは誘導 電動楼の二次抵抗制御(巻上時)とダイナミックブレーキ制御(巻下 時)が併用されるものが多数を占めている。二次抵抗制御は負荷に よる速度変動が大きく,低速運転が困難である。近時これらの 欠点を補うため,誘導電動機の一次あるいは二次にリアクトル 制御,またはサイリスタ制御が採用されている。しかし交流回 路のサイリスタ制御は,被制御体が大容量になると,サイリス タ素子のサージに対する過電流耐量,道耐電圧が増大するとと もに,鳳胡温度による素子の並列本数の増加により,電気品が 高価となる。このノ亡よ大容量クレーンのリアクトル制御は,主制 御部の可飽和リアクトルが,鉄心と銅線のみで構成されている ので,過電流耐量,逆耐電圧ともきわめて高く,製鉄所などの 高温ならびに導電性越境(じんあい)のある場所での使用,過酷 な操作に対しても十分な強度を有している。 制御回路に使用する増幅器,/くルス移相器(APPS)なども, 半導体技術の進歩により高性能の素子が開発され,可飽和リア クトル用角形ヒステリシスコアーの開発とあいまって,誘導電 動機の速度制御は,直流電動機のワードレオナード方式に近い 特性が得られるようになっている。 昭和42年川崎製鉄株式会社水島製鉄所に納入した転炉用レード ルクレーソはわが国最大の溶銑用レードルクレーンで,これにわが 国最初の高圧リアクトル制御方式が採用されたのであって,設計に 当たっては,回路の簡略化と安全性に重点がおかれている。 2.設備の概要 誘導電動機のトルクは,電源電圧,電源周波数,一次側および二 次側インピーダンス関数となるので,これらのいずれかをて別御する ことにより速度制御が可能である。誘導電動機の一次側三相平衡リ アクトル制御は誘導電動機の一次側に可飽和リアクトルを装入し電 動機電流を無段階にてIiu御してトルクを加減し,電動機速度を制御す るものである。 今回リアクトル制御を採用したクレーンの主巻および補巻用の仕 様を表1に示す。負荷トルクが常に巻下方向で,また負荷により十 分の巻下加速トルクが得られるため,リアクトルは巻上用のみに設 けられ,巻下用は逆相制動でこれを兼用している。また巻下時の軽 日立製作所日立工場 3叫 工回路7注赦電圧 三相3.3kV 60c/s 三相375kW720rpmx2 ギヤ結合による並列運転 270T 誘導電動煉の制御方法 負荷の最大巻上下達腔 三相平衡リアクトル制御 12m/min 52S SaX CT 52R 御堂指イrrlり路 52R.52I_. 52S Sa:( ⅠユⅠ SaX制御回路 三相440V 60c/s 二相150kW7三Orpm 50T て和平衡リアクトル制御 12m/min 「-tlIMlナ、うナノ) l上1川谷を心‾r U lrIl・1 1l' ・け飽和り「'7いし(川制御汀JJ 二_仙か‡ノ【に刺慌 CT PG 18Ⅹ】.18Ⅹ2 変流岩:・主 1九†一.淡川和+圭 一m介を Ill 計旨:壬川先′■に恍(川1也J■と栴.【=り1 図1 リアクトル制御基本回路 負荷に対しては,回生制動範囲で運転し効率を高めている。電源の 相回転の切換は,高圧電磁接触器で行なわれる。高圧電磁接触器は それ自体高ひん度のインチソグにも耐えるように設計されている が,回路上で動作ひん度を下げ,動作時間を短縮するとともに電動 機の主回路で大電流を開閉しないよう考慮してある。また巻下用リ アクトルを使用しないので,回路が非常に簡単になる。 図2は速度制御範囲を示したもので,コントローラの巻上,巻下 とも5段のノッチ数を備えている。コソトローラにより速度指令を 与えると巻下5ノッチ位置のみで図1の高圧電磁接触器52Lが投 入し,巻上1~5,巻下1~4ノッチ位置ではすべて52Rが投入す る。したがって巻上1~5ノッチ相当の速度では電動トレクが生じ, 巻下1~4ノッチ速度では制動トルクが生ずる。巻下5ノッチでは 柏回転が切り換えられるので回生制動となる。リアクトル制御では 所要のトルクを得るために,制御電流の制御を行なうと同時に,電 動棟の速度に対応して,電動機の二次インピダンスを操作しなけれ ばならない。100%速度となると52Sが投入しリアクトルを短絡 し,リアクトルの直流制御電流もしぼっておく。リアクトルを短絡 すると電動機のトルクが増すばかりでなく電力消費量も10%程度 一--78-

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Page 1: クレーン用高圧電動機のリアクトル制御 - Hitachi∪.D.C.る21.313.333.2_58:る21.87 クレーン用高圧電動機のリアクトル制御 Saturable Reactor Controlfor

∪.D.C.る21.313.333.2_58:る21.87

クレーン用高圧電動機のリアクトル制御Saturable Reactor Controlfor High-tenSion Crane Motor

市 川 博 昭* 山 本 範 男*HiroakiIcbikaヽ∇a Norio Yamamoto

要 旨

主巻上電動棟容量750kW(375kW2台並列)の大容量高速レードルクレーンに3.3kV誘導電動機を使用

し‾可飽和リアクト′レ制御を採用した。

このようなクレーンでは,巻下運転のときに電気的に加速トルクを与える必要がないので,経済的な可逆接

触器と制御用リアクトル(3台)による方法を採った。接触器のメインテナソスを考慮して,主回路電流を減少

させておいてから切り換える方法により当初の巨t的を十分達成することを確認した。

表1 転炉用レードルクレーンの主巻・補巻の仕様

1.緒 口

最近の各種クレーンは大容量化,高速化の傾向にあり,これらの

電気設備は必要に応じ静止化,無接点化されつつある。この憤向は

主回路制御機器の容量増加,弱電部品の開発などとあわせてさらに

進むものと考えられる。

従来,製鉄所における転炉用クレーンの主巻および補巻lこは誘導

電動楼の二次抵抗制御(巻上時)とダイナミックブレーキ制御(巻下

時)が併用されるものが多数を占めている。二次抵抗制御は負荷に

よる速度変動が大きく,低速運転が困難である。近時これらの

欠点を補うため,誘導電動機の一次あるいは二次にリアクトル

制御,またはサイリスタ制御が採用されている。しかし交流回

路のサイリスタ制御は,被制御体が大容量になると,サイリス

タ素子のサージに対する過電流耐量,道耐電圧が増大するとと

もに,鳳胡温度による素子の並列本数の増加により,電気品が

高価となる。このノ亡よ大容量クレーンのリアクトル制御は,主制

御部の可飽和リアクトルが,鉄心と銅線のみで構成されている

ので,過電流耐量,逆耐電圧ともきわめて高く,製鉄所などの

高温ならびに導電性越境(じんあい)のある場所での使用,過酷

な操作に対しても十分な強度を有している。

制御回路に使用する増幅器,/くルス移相器(APPS)なども,

半導体技術の進歩により高性能の素子が開発され,可飽和リア

クトル用角形ヒステリシスコアーの開発とあいまって,誘導電

動機の速度制御は,直流電動機のワードレオナード方式に近い

特性が得られるようになっている。

昭和42年川崎製鉄株式会社水島製鉄所に納入した転炉用レード

ルクレーソはわが国最大の溶銑用レードルクレーンで,これにわが

国最初の高圧リアクトル制御方式が採用されたのであって,設計に

当たっては,回路の簡略化と安全性に重点がおかれている。

2.設備の概要

誘導電動機のトルクは,電源電圧,電源周波数,一次側および二

次側インピーダンス関数となるので,これらのいずれかをて別御する

ことにより速度制御が可能である。誘導電動機の一次側三相平衡リ

アクトル制御は誘導電動機の一次側に可飽和リアクトルを装入し電

動機電流を無段階にてIiu御してトルクを加減し,電動機速度を制御す

るものである。

今回リアクトル制御を採用したクレーンの主巻および補巻用の仕

様を表1に示す。負荷トルクが常に巻下方向で,また負荷により十

分の巻下加速トルクが得られるため,リアクトルは巻上用のみに設

けられ,巻下用は逆相制動でこれを兼用している。また巻下時の軽

日立製作所日立工場

3叫

工回路7注赦電圧

誘 導 電 動 機

負 荷

主 巻

三相3.3kV 60c/s

三相375kW720rpmx2

ギヤ結合による並列運転

270T

誘導電動煉の制御方法

負荷の最大巻上下達腔

三相平衡リアクトル制御

12m/min

52S

SaX

CT

52R

御堂指イrrlり路

52R.52I_.

52S

Sa:(

ⅠユⅠ

SaX制御回路

補 巻

三相440V 60c/s

二相150kW7三Orpm

単 独 運 転

50T

て和平衡リアクトル制御

12m/min

「-tlIMlナ、うナノ)l上1川谷を心‾r

U

lrIl・1

1l'

・け飽和り「'7いし(川制御汀JJ二_仙か‡ノ【に刺慌

CT

PG

18Ⅹ】.18Ⅹ2

変流岩:・主

1九†一.淡川和+圭 一m介を

Ill

計旨:壬川先′■に恍(川1也J■と栴.【=り1

図1 リアクトル制御基本回路

負荷に対しては,回生制動範囲で運転し効率を高めている。電源の

相回転の切換は,高圧電磁接触器で行なわれる。高圧電磁接触器は

それ自体高ひん度のインチソグにも耐えるように設計されている

が,回路上で動作ひん度を下げ,動作時間を短縮するとともに電動

機の主回路で大電流を開閉しないよう考慮してある。また巻下用リ

アクトルを使用しないので,回路が非常に簡単になる。

図2は速度制御範囲を示したもので,コントローラの巻上,巻下

とも5段のノッチ数を備えている。コソトローラにより速度指令を

与えると巻下5ノッチ位置のみで図1の高圧電磁接触器52Lが投

入し,巻上1~5,巻下1~4ノッチ位置ではすべて52Rが投入す

る。したがって巻上1~5ノッチ相当の速度では電動トレクが生じ,

巻下1~4ノッチ速度では制動トルクが生ずる。巻下5ノッチでは

柏回転が切り換えられるので回生制動となる。リアクトル制御では

所要のトルクを得るために,制御電流の制御を行なうと同時に,電

動棟の速度に対応して,電動機の二次インピダンスを操作しなけれ

ばならない。100%速度となると52Sが投入しリアクトルを短絡

し,リアクトルの直流制御電流もしぼっておく。リアクトルを短絡

すると電動機のトルクが増すばかりでなく電力消費量も10%程度

一--78-

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ク レ ー ン 用 高圧電動機 のリ アクト ル 制御

⊇100

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H5

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てT‾;‾‾ミゝ‾1て‾,ト〈一▼--一-、、「l

〃4

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竺50ノ+こ

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l

巷1

ソテ

リナ

図2 速度 制御範囲

下げることができる。

3.高圧電磁接触器の使用

電動機が大容量となると,経済的な面から,電源電圧は3.3kV

にするほうが有利となる。この場合,電源の相回転の切換を高圧可

逆電磁接触器によるか,正道リアクトルによるかは負荷の種類によ

る。任意に負荷トルクの方向が変化するときは,逆相リアクトルが

必要となる。しかし今回のクレーソのように負荷トルクの方向が常

に一定で,負荷の重力により巻下トルクが得られる場合には,逆相

(巻下)リアクトルほ特に必要とされない。可逆電磁接触器によるほ

うが回路が簡単になり,経済的である。高圧電磁接触器を使用する

場合,インチソグ,アーク残留時間,相回転切換時間などが問題と

なるが以下これらについて述べる。

(1)イ ン チ ソ グ

ー般に電磁接触器の動作ひん度を著しく高めるのはインチソグ

操作であるが,今回は0.6m/minの低速が安定に行なえるため,

インチソグ操作を行なう必要ほ少ないが前述のとおりインチソグ

に耐える高性能接触器を使用している。

(2)ア ーク 時間

今回使用の高圧電磁接触器は磁気吹消コイルとアーク拡散用の

隔壁による自力消弧形である。この形の電磁接触器は定格値の

30%程度の比較的小さいところで,アーク時間がのびる傾向があ

るが,今回は30%以上で電流遮断が行なわれるためアーク時間

は短くなる。また通常の可逆接触器の回路と同様にアークインタ

ーロック回路があり,アークが消滅してから52Rと52Lは切り

換えられる。

(3)相回転切換時間

巻下時の主接触器52Rと52Lの切換時間は,短いほうがよい。

52Rと52Lの切換に要する時間は,52Rのアーク時間,52Lの

コイル励磁用補助接触器の投入時間,52Lの投入時間の合計とな

るが,この実測値は0.3秒程度であり,可飽和リアクトルの時定

数の0.2~0.3秒と比較しても,小さな値である。

4.制 動 回 路

電動機の制動は,マグネットブレーキ,サーボリフタブレーキとリ

アクトルによる電気的ブレーキが併用される。電動機の起動のとき

SaX IM▼「 「‾‾-‾】

【l

A;jX∴

-`

1Ⅹ】 r. jx芸 音一

Rl

r S

jX;

18X2 18Ⅹ1

363

些呈S

B

XJ:可飽和リアクトルのリアクタンス

rl+jxl:1Mの--・次側一相当たりのインピーダンス

・もミ+jx2:IMの二次側一相当たりのインピーダンスを-・りこ側に根岸LたものR】■】く+

5,S:Ⅰか1の二次側の外部一相当たりの抵抗を一次側に推算したいりjX; :IMグ)∴次側ク)外部一相、い弓たりのインダクタンスを-・次側に検算したものVl 二手f侶頂ジ)棚電圧

図3 可飽和リアクトルおよび誘導電動機の簡易等価回路

は,主接触器52Rまたほ52Lが投入されたのちに,マグネットブレ

ーキとサーボリフタブレーキをゆるめ,負荷のずり落ちるのを防い

でいる。停止のときは,電気的ブレーキにより一定時間制動ののち

むこマグネットブレーキとサーボリフタブレーキをしめる。電気的ブ

レーキは,サーボリフタブレーキが確実にしまったのちに取り除か

れる。このため棟械的なショックが軽く,寿命が長くなっている。

5t 可飽和リアクトルおよび誘導電動梯部の等価回路

等価回路を園3に示す。この回路において18方1,18範の投入は

電動機の回転数を検出して行なわれる。

一般に誘導電動機のトルクrは下記で表わされる。

た志・(二次入力)=す面・牡1

lZl2

‥(1)ここに,凡〔ろ〕:誘導電動機の一次側に換算した一相分の二次

インピーダンスの実数部

Z:A-Bからみた一相分の全インピーダンス

Ⅵ:電源の相電圧

lγ0:同期角速度

18ズ1および18ぁの投入条件により,おのおのZ2およびZを求

めると下記となる。

(1)18方1, 18ズ2ともOFFの場合

月′1月′2(月′1+丹2)

凡〔ろ〕=

ヰ+

53 5+ぜ′t剋≡

(当準)2+(ガ2)2

十竿月′1月′2(月′1+月′2)

53+

丘′1(ズ′2)25

(竿)2+(ガ2)2

+イ仙′汁

‥(2)

+可班52

(㌔準)2ヤ2)2

(2)18ズ1をON,18哉をOFFとした場合

凡〔ろ〕=カー±4_5

Z=(小平)十仙十糸山′2)(3)18ズ1およぴ18ズ2ともONの場合

即Z2〕=与叫79-

..(3)

‖(4)

..(5)

(6)

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364 椚和43fF4月 日 止 評 論 第50巻 第4号

30

(巾ご

ぺ八ヘヘトニ一二ヘト三正浬号

52

手200

0<U

小+二選者逆井幣】

H5′/

H,Lは誘や電動構埴せをホす

Hl‥5〔%〕Ll:5〔?占〕 電源

H2:15 L2:15

H3:40 L3:40

H4:70 L4:70

H5:100

(巻上) (巷下)

H4

Hl

L4

100 200 300

可約印リアクトル制御て註流 T.1rAl

岡4 吋飽和りアクトルの†1朴獅特性ムー方5

Hl

H4

1i5

ざ、こ乱∂I.

0 100 200 300

‾‖r弛仰・「アナいし訓抑tこさ石己Ⅰぐ(Al

図5 了汀飽和り7クト′しと誘噂電動粍の総介特性

Z二(γ1十一芸2)+仙十方∫叫)(7)

(1)式に(2)~(7)式を代入すると各灸作でのトルクが計算でき

る。この計算式により各ノッチの速度一トルク特性を求めたものが

図2である。∂7ソ∂Sの伯も(1)~(7)式より計質される。図2よ

り,電動救を起桁いっぱい班うた抑こは,二次インピーダンスの切

換が必要となる。

る.可会包和リアクトル

図4,5に可飽和り7クトルの制御特性を示す。誘導電動機は二

次インピーダンスを一定としておいても,一次側からみた等価イン

ピーダソスが回転数によF)変化する。このため誘導電動機を負荷と

した可飽和リアクトルの負荷特性は,電動機の回転数をパラメータ

として諌めなければならない。可飽和リアクトルは各サイクルをみ

るとリアクトルというより,サイリスタのようにスイッチとして働

くので電流は高調子妓む含む。このた抑可飽和リアクトルを完全なリ

アクトルとして計算したものに逓減率を乗じたものが電動機のトル

クとなる。エ丁71特性において,制御電流を増しても一応の速度で

は,電動機のトルクほ可飽和リアクトルの飽和こより,飽和する。

7,2電動轢の平衡運転

主巻にて,375kW誘導電動磯を2テナ並列運転すると,この回路

は図7で示すように制御回路ほ全く独立している〔、負荷分担を等し

くするためには電動撒の侶流を険山し,その叢により椚ilj御阿路の

。TR鞍′Pハント‾ルSR R

CTR:コントローラ SIi

C :コンデンサ ZD

34R,34L

1¢2201r60%

は一代「‡ら_′旦二_些

Zr)

R4

【+

R:力帥t才ここ

ナ一夕■イオM

極性切換用補朗は触芹:ニ

図6 速 度 指 令 回 路

CTl

Uヱ

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ぐTト=

川ト

f】G

Aト2

礼S

R

■碓仙K忙m人=

SaXご

坐さ月己器SaXト。:1‾り'組付リアク

池は.汁千古一iに粍

Dト。 ヤごモ滝芳:こ

図7 2電動機平衡運転回路

入力指令を加減する。電動機の単独運転も可能な回路である。

8.可飽和リアクトル制御電流回路

大容量になると可飽和リアクトルの制御電流も大きな値となるの

で,サイリスタとシリコン整流素子とで構成した。可飽和リアクト

ルの制御巻線は交流巻線と磁気的に結合しているため,サイリスタ

のスイッチングサージが高くなる。したがってサージアブソーバの

定数,サイリスタおよぴシリコン整流素子の逆耐電圧の選定には特

別な注意を払っている。

9.ブロックダイヤグラムと安定化

電動機1台分のブロックダイヤグラムを図8に示す。可飽和リ7

クトルおよび誘導電動機は非線形回路であるため,伝達関数を求め

るには全微分法を使用する。誘導電動機のトルクは(8)式となる。

r=r〔5,ズg(ん),Ⅴ〕

ここに, S:す べ

ズ5:可飽和リアク

ん:可飽和リアク

Ⅴ:電 源 電

..(8)り

トルのリアクタンス

トルの制御電流

したがって

Jr=(芸)糾(笠)』糾(諾)+Ⅴ

=(諾)∬・(笠)』ん

×卜(芸)=(昔)(貰),ル=0ト(9)(1)~(7)式より(∂7γ∂5)を,図5より(∂7ソ∂ん)を求めること

ができる。

-80-

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ク レー ン 用 高 圧 電 動 機 のリ アクト ル 制 御

ⅠトI

Tl一 亘!∂S

九†A ト1APPS SCR

;・虫世相脊十 止旦_1+Tト1P

‾Tr・S

Ape皇室∂β

Kpe‾TpS

SaX 【▼_ +

+担__1十'「∫P

亘峯∂I。

__吐1十TpP

進川ダ'ンビング

冬型1十TI)P

亘工∂X∫

∂1、r

jヱ蔓_GD2l)

1)G

A(;

N。

1111[し帖三ま土

(叩m)

1・IA:打品;1増幅器

ⅠゝⅠ

れすAPPS:杭1tt'†剖パルス椎f11器 SCR:サイリスタ SaX

P(;:適性↓汁、‾;至`■に糀

図8 リアクトル制御ブロックダイヤグラム

童蓑義美喜一_章=‡違表壷譲軸蔽準妄=乙‾賢加草… --Y-≒二繋準悲‾‾‾‾--

き■・3蓮亨、三-‾≧=喜 一_ここ-・こ彗抒=竺.菜モ、■、‾_ヨロ三誉て_‾‾_

、‾■…三宅蚤-=■‾_・葦棄挺‾‾■、t う衰‾=

委葱=‾一筆吏‾-ニ

…_き‾喜;窒妻

‾_.‾‾穿たく_

澄‾==衰-_-≡宣;≡、諾

モーテ_担…_三‾‾譲葉--…一三

妄■三三i・‾‾_⊂一三.′

㈹1

図9 主巻オシログラフ

系の安定性については今回のものは定格負荷における巻上100%

速度,5%速度および巻下70%速度の位置で各定数を求め,共通の

ダンピング定数を求めると,大体全制御範囲で安定であった。ダン

ソピグの取出口は速度計発電機よりの帰還回路か,可飽和リアクト

ルの制御電流がよい。制御電流を検出する場合にほ,サイリスタの

整流リップルを除くため,フィルタを通さなければならない。今回

のMAPPSのサイリスタ点弧パルスほ半サイクル前の入力電流値に

より変化するので,r♪=1/2′(′はMAPPS電源周波数)である。71

は5。ズの制御電流回路の抵抗および5〃方のインピーダンスによる

ものである。

10.実 測 結 果

主巻の100プg負荷のオシログラフを図9に示す。巻‾‾F一時に巻下5

ノッチ速度から4ノッチ速度に切り換える際に,巻下速度が上昇し

てから減速が始っている。これは主接触器52Rと52Lの切換の際

に0.3秒くらいの間52Rと52Lの両方とも開く場合が生ずるため

`吋絶印り▼/▲クトル

365

固1()⊥ 巻 川;1iり 御 怯

である。なお図10は制御盤である。

】1.鯖 言

今回納入の装置は,わがl旦ヨ初の甜一トリアクトル制御装置であり,

高圧電磁接触器なリアクト心と卓仁用した経粍設計品である。可飽和

リアクトルの製作にあたって絶縁耐力, 二】7の形状にも注

意が払われ,制御巻線と交流巻線の巻数比には特に配慮がなされ

た。巻下用可飽和リアクトルを設けず,高附こ滋接触掛こより,電

源の相回転の切換を行なったため,この接触器の動作U、ん度をでき

るかぎり下げるシーケンスを組んだ。グレーーンのインチング操作に

対しても十分な強度を有している。

今後の課題は誘導電動棟の高調波に対する止 値的に解析す

ることにより,計算式をさらに精掛こすることである。

本稿を終わるに当たり,川崎製鉄株式会社水島辱注鉄所関係各位に

は測定など種々ご協力をいただいた。また本回路の計画設計検査に

おいて,日立製作所什た工場制御焼殺計深爪川凡 薮氏,山盛氏は

じめ臼井氏,平岡氏からご指導をいただいた。ここに深く感謝する

次第である。

-81-