マユハキタケ trichocoma paradoxa、タブ朽木上、鳥取 · 平成28年 新春に ......

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目  次 特  集 品種ブランド化による原木シイタケの再生 ………平成28年 新春に寄せる私の抱負 ………………………… 産地からのメッセージ 新規・後継者育成に待ったなし! 来たれ「四国菌興クラブ若者の会」へ! …………研究開発 プレミアムエリンギ濃丸について …………………11 栽培技術 1~3月のシイタケ栽培管理 ………………………15 市  況 2月号 全農乾シイタケ情報 ………………………21 生シイタケの市況動向 ………………………………24 各地のきのこだより ……………………………………………25 マユハキタケ Trichocoma paradoxa、タブ朽木上、鳥取

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Page 1: マユハキタケ Trichocoma paradoxa、タブ朽木上、鳥取 · 平成28年 新春に ... 成9年(9,400t)、生シイタケでは同12年(42,057t)に最大になりました(表1)。

目  次

特  集 品種ブランド化による原木シイタケの再生…………2平成28年 新春に寄せる私の抱負… …………………………6産地からのメッセージ     新規・後継者育成に待ったなし!

     来たれ「四国菌興クラブ若者の会」へ!……………8研究開発 プレミアムエリンギ濃丸について……………………11栽培技術 1~3月のシイタケ栽培管理…………………………15市  況 2月号…全農乾シイタケ情報… ………………………21     生シイタケの市況動向……………………………………24各地のきのこだより… ……………………………………………25

マユハキタケ Trichocoma paradoxa、タブ朽木上、鳥取

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菌蕈2月号(第62巻 第2号 725号)

 我が国の原木シイタケは、円高誘導による外国産シイタケの大量流入と輸出不振による生産縮

小、原産国偽装による価格の低迷、国産菌床シイタケの急伸、原発事故に起因する生産停止や価

格の急落など幾多の厳しい環境に曝され、遂年減少の一途を辿ってきました。原発事故から5年

目を迎える今日、乾シイタケの価格は市場における品薄感から事故前の再生産可能価格にまで回

復してきましたが、高齢化・後継者難に直面している生産現場は現状維持が精一杯であり、現役

生産者の引退とともに原木シイタケは消滅の危機に瀕しています。本稿では、食の豊かさの観点

から見えてきた原木シイタケの生産・流通における問題点を改善し、食料生産の本来の使命(シ

イタケの旬の味を消費者に届ける)を全うすることにより、原木シイタケは再生・復活できるこ

とを申し述べます。

原木栽培と菌床栽培:原木栽培シイタケには「旬」がある

 シイタケ栽培には原木栽培と菌床栽培とがあります。原木栽培では、クヌギ、コナラなどのド

ングリの実る木の丸太にシイタケ菌を植え付け、林内やパイプハウスなどで自然の気象を利用し

て、きのこを生産します。伐採したドングリの木の切り株からは新芽が成長し、10年以上経る

と再びシイタケ栽培に利用できる大きさに育ちます。

 菌床栽培では、オガコにコーンブランやフスマなどの栄養添加物を加え、高圧滅菌により他の

生き物を排除した培地に種菌を植え付け、一定の温・湿度に管理された施設内で培養してきのこ

を生産します。

 原木シイタケは、野生シイタケと同様、シイタケが本来栄養源とする原木の成分を食べて育つ

のに対し、菌床シイタケは野生シイタケが栄養源とはしない栄養添加物を食べて育ちます。従っ

て、原木シイタケを循環型自然栽培による「旬のあるきのこ」、菌床シイタケを施設型周年栽培

による「養殖きのこ」とも言えます。なお、中国からの輸入シイタケの大半は菌床シイタケです。

シイタケの生産動向:原木シイタケの生産は国内外の菌床シイタケに押されて大きく減少

 昭和の時代は、国内で流通しているシイタケはすべて原木シイタケでした。ところが、平成の

時代に入り安価な中国産の乾および生シイタケが大量に流通し始め、輸入量が乾シイタケでは平

成9年(9,400t)、生シイタケでは同12年(42,057t)に最大になりました(表1)。その後、

中国産品からの相次ぐ使用禁止資材の検出などにより、消費者の食の安全に対する意識が高揚

し、生シイタケの輸入は大きく減少した一方、国産菌床シイタケの生産が急伸しました。

 平成26年における原木シイタケ、菌床シイタケおよび輸入シイタケの流通割合(消費割合)

を見ると(表2)、生シイタケにおいては、菌床シイタケが圧倒的に多く(85%)、原木シイタ

特 集品種ブランド化による原木シイタケの再生■ 長谷部公三郎

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菌蕈2月号(第62巻 第2号 725号)

年次

生産量(トン) 輸入量 消費量

乾シイタケ生シイタケ

乾シイタケ 生シイタケ 乾+生: 生重に換算

国産原木の割合(%)原木 菌床

平成元年 11,066 82,395 2,201 - 173,380 90

平成5年 9,299 77,394 7,208 15,586 214,603 67

9年 5,786 42,628 32,154 9,400 26,028 215,472 38

12年 5,236 32,567 34,658 9,144 42,057 219,012 29

20年 3,867 14,916 55,426 6,759 4,689 156,308 28

26年 3,175 7,437 60,073 5,077 2,799 134,414 23

消費量=生産量+輸入量-輸出量

生重に換算:(乾重÷0.13=生重)として算出

-:統計なし

栽培法 生 乾

国産原木栽培 11% 37%

菌床栽培 85% 1%

外国産 主に菌床栽培 4% 62%

合計(トン) 70,309 8,194

ケは11%、輸入シイタケは4%に過ぎません。一方、乾シイタケにおいては、輸入シイタケが

62%を占め、依然として国内生産量の1.6倍が輸入されています。乾および生シイタケを合算

した総消費量に占める原木シイタケの割合は(表1)、平成元年は90%でしたが、平成26年に

は23%にまで減少しています。

 乾シイタケの価格は、原発事故前の平成22年は4,284円/kgでしたが、事故後の平成25年

には2,565円/kgまで低下しました。国は平成25年度補正予算で「原木しいたけ再生回復緊急

対策事業」を立ち上げ、原木シイタケの生産資材に対する助成を強化しました。その結果、植菌

量の減少に歯止めはかかりましたが、生産拡大には至っていません。平成27年には品薄感から

乾シイタケの市況は事故前の再生産可能価格にまで回復してきましたが、高齢化・後継者難によ

表1.シイタケの生産量、輸入量と国産原木シイタケの消費割合の推移(単位、トン)

表2.シイタケの栽培形態と消費量に占める割合(H26年)

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菌蕈2月号(第62巻 第2号 725号)

り、生産規模の現状維持が精一杯というのが実情です。

流通の実態:品種を混合した商品が流通している

 原木シイタケの生産現場においては、販売されている種菌(80品種以上)の中から収量性、

収穫時期等の栽培特性を考慮して品種を選定しますが、収穫・乾燥加工時には品種を分別しませ

ん。また、流通においては全国共通規格に基づき、きのこの大きさ、ヒダの色目、傘の開き具合

などの規格別に選別されますが、品種は規格の対象外です。つまり、複数品種が混合されたシイ

タケが流通しています。さらに言えば、国産原木シイタケと輸入シイタケとを混ぜた商品を「国

産」と表示・販売する産地偽装も散見されます。このように、シイタケは複数品種を混合した品

種混合商品が流通しており、品種の分別が常識となっている米や果物などの農産物に比べて、品

種に対する認識が薄いのが現状です。

消費者に原木シイタケの「旬」の味を届けよう

 現在高値で推移している原木シイタケの市場価格が消費者価格に転嫁されたとき、果たして消

費者は受け入れるでしょうか。消費者がシイタケを食べる理由の1位は味、2位は食感、3位は

香りです。しかるに、原木シイタケは品種混合商品が流通しており、同一商品であっても袋やパ

ックごとに味、食感、香りが異なり、美味しさの再現性を確保できていません。シイタケの消費

量は漸減傾向にありますが、旬のない菌床シイタケや品種を無視した生産・流通により、原木シ

イタケ本来の旬の美味しさが消費者に正しく届いていないことも、シイタケ離れを助長している

一因と思います。

 作柄が不安定な原木シイタケが、安定的定量出荷が可能な菌床シイタケと量で勝負しても勝ち

目はありません。20年以上の長きにわたり、菌床シイタケの味に慣れ、シイタケの旬の味を忘

れかけている消費者に再現性よく旬の味を届けてこそ、原木シイタケの区別性、優位性を発揮す

ることができます。美味しさの再現性は、美味しい品種を美味しく育てた極上の品柄をブランド

化することにより達成できます。

ブランド力の強い品種を栽培しよう

 原木シイタケの旬の美味しさを消費者にアピールするには、美味しくてブランド力の強い品種

が必要です。石川県においてブランド化された菌興115号の最上級品「のとてまり」は、その

美味しさと大型・極厚肉形態が認められ高価格で流通しています。

 菌興115号は、昭和56年に品種登録された美味・極厚肉・丸山型でボリューム感のあるきの

こを発生する原木栽培用シイタケ品種です。本品種は味、食感に優れ、上品な香りとボリューム

感のある外観を特徴とし、生シイタケでも乾シイタケでも、見ても食べても他品種との区別性を

発揮します。昨年12月の金沢市場の初競りにおいて「のとてまり」プレミアムが1ケース(5個

入り)10万円で落札されました。菌興115号は、お米で言えば「コシヒカリ」のようなブラン

ド力の強い品種です。本品種の食味特性については、先月号(2016年の菌蕈1月号)に詳しい

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菌蕈2月号(第62巻 第2号 725号)

解説があるのでご参考下さい。

品種ブランド化の仕組みを構築し、国内外へ拡張展開しよう

 消費者に旬の味を届けるためには、品種の混合を是とする従来の生産・流通構造を改め、品種

や銘柄に基づいた分別の仕組みへと切り換える必要があります。品種ブランド化は生産者組織と

流通業者とが連携して、あらゆる生産・流通工程において、品種分別を徹底することで実現でき

ます。石川県における菌興115号の「のとてまり」が品種ブランド化のよい成功例です。鳥取

県も平成26年に「原木しいたけ115号のブランド化」事業を立ち上げ、品種ブランド「鳥取茸

王」の復活に向けた取り組みを加速化しています。全国各地の原木シイタケ産地が「のとてまり」

や「鳥取茸王」のように、美味しいシイタケの品種ブランド化を立ち上げ、それらのブランド規

格を統一することにより、広く国内全域や海外に拡張展開できると考えております。また、主産

地では量を確保できるので、最初から海外展開を視野に入れた産地化も可能と思われます。

 原木シイタケは、高齢化が進んでおり、現役生産者の引退とともに自然消滅することが危惧さ

れます。原木シイタケを再生・復活させるためには、産地・生産者が将来にわたり栽培を継続でき、

若年世代や新規者が意欲的に参入できる収益性の高いシイタケ栽培経営を実現することが大切で

す。当方の試算では、菌興115号の1・2年ほだ木から収穫した良品を生出荷(規格:「鳥取茸王

金ラベル、「同銀ラベル」、「とっとり115」、「一般」)すれば、すべて乾出荷するよりも粗収入

が少なくとも52%向上します。乾シイタケ年植1,000本経営における粗収入は概ね48万円(単

収30kg、乾シイタケ単価4,000円/ kgで計算)ですから、生出荷を組み合わせると73万円

です。良品生産技術を習得すればさらに多くの収益が見込めます。

 繰り返しますが、原木シイタケは、菌床シイタケと張り合うのではなく、「旬の美味しさを消

費者に届ける」という原木シイタケ本来の使命(原点)に戻ることにより復活・再生できると確

信しております。戦後の食料不足から飽食の時代へと日本人の食生活が大きく変わった昨今、和

食の旨みを引き出す代表的食材であるシイタケにおいては、量の豊かは達成しましたが、質(旬

の味)の豊かさを失いかけています。一方、食材の旬の味を最大限に活かす和食の美味しさが国

際的に認められ、和食がユネスコの無形文化遺産に登録(2013年)されました。また、国東半島・

宇佐地域の豊かな農林産物と生態系をもたらすクヌギ林(原木シイタケ栽培)とため池(稲作)

による循環型農林業が世界農業遺産に認定(2013年)されました。日本の多様な文化と、それ

らを育んできた里山、里地、里海を再生・保全し、継承することは、今を生きる私たちの責務で

あり、また、日本の食文化を輸出する基盤でもあります。循環型農林業である原木シイタケ栽培

の継続は世界に誇る里山文化の継承そのものであり、その産物は「食の豊かさ」を希求する国内

外の消費者に広く受け入れられると考えております。かつて、乾シイタケは輸出額216億円(昭

和59年、4,087トン)を誇りました。我が国の里山において連綿と栽培されてきた原木シイタ

ケを食文化とともに再び世界に向けて輸出しようではありませんか。

(一般財団法人日本きのこセンター菌蕈研究所副所長)

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菌蕈2月号(第62巻 第2号 725号)

「のとてまり」とともに育つ石川県輪島市門前町 農業生産法人(有)ファーマー 平 智基

 平成27年暮れの「のとてまり」の初競りには大変驚きました。「のとてまりプレミアム5玉入り」が過去最高値の10万円という結果になったことです。私たち生産者の生産意欲と向上心が沸き立ち、消費者の方々には奥能登に興味を持つきっかけになったことを嬉しく思います。当社は、先

代が40年程前に農作業が一段落する冬期に原木シイタケ栽培をすることを始めました。先代はコナラなどの原木を山から伐り出し、「菌興115号形成菌」を使い奥能登の自然の力を借りた施設栽培と露地栽培の手作業での技術を確立しました。その技術を5年ほど前から始まった「のとてまり」の生育に応用して私たちが取り組んでいます。 しかし、原木を使って栽培することは大変な仕事であることと、収量が安定せずコストも掛かりますので原木栽培を諦める生産農家が増えつつあった昨今、「のとてまり」の登場は救世主のように感じます。栽培を継承してからまだ日が浅い私たちですが、「のとてまり」を中心に先輩農家や林業を営んでいる方々、また住民の皆さんと一緒になって奥能登全体を盛り上げていきたいと思います。地元の人たちにも十分食べてもらえるように「のとてまり」の生産に私たちが自信を持って努めていきますので、是非食べまっし。私ごとで恐縮ですが、目下独身、花嫁を募集中ですので、併せてよろしくお願いします。

平成28年 新春に寄せる私の抱負

異色のコラボ 原木シイタケバーガーと直売所で新しい原木シイタケ文化の発端になる鳥取県日野郡日野町 廣瀬俊介

 私は兵庫県出身ですが、原木シイタケ栽培を始めるにあたってシイタケ栽培歴50年以上の師匠との良い縁があり、鳥取県の山間部、日野町にIターン移住して原木シイタケ栽培を始めました。それから今年で5年目。原

木シイタケ栽培の技術はまだまだ幼稚園レベルな私ですが、異業種とのコラボや町役場のバックアップを受けて今年新たなチャレンジを始めようとしています。 異業種との異色のコラボ。それは米子市(鳥取県)のバーガー専門店BUBNOVA(ブブノワ)とのコラボです。原木乾シイタケを使った本格バーガーを開発し、毎年鳥取県で開催される全国ご当地バーガーグランプリに出場。去年は全国2位を獲得しました。その結果を受けて、今年2月より日野町内随一の観光スポット、金持(かもち)神社にてバーガー専門店の2号店と原木シイタケの直売所をオープンする予定です。 なぜ僕がシイタケの異色のコラボに注力するのか。それは原木シイタケを食べる文化が消えつ

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菌蕈2月号(第62巻 第2号 725号)

つあるからです。さらに追い打ちをかけるように原木シイタケを作る農家の皆さんも高齢化、担い手もほぼいない現状です。では、このまま原木シイタケ文化は消えてしまってもいいのか。僕は断じてNOと言いたいのです。日本が世界に誇れる、伝統あるMade in Japanの栽培技術=原木栽培のシイタケを次世代に継承したい。しかし、伝統を守るためには変革が必要であります。かのダーウィンは「強い者ではなく、環境に適応した者が生き残る」と論じました。バーガーは原木シイタケの進化形となるのでしょうか。消費者であるお客様への適応。それはお客様が求めるニーズの一歩先、想像すらしなかったニーズを満たし、大いに感動していただくこと。料理人とのコラボはその手段として非常に有効だと思います。 今年のバーガーフェスタでは全国一位を獲得することを目標とし、新しく原木シイタケと料理人のコラボ文化が全国に花開く発端になることを今年の抱負といたします。

長崎県の島 対馬で原木シイタケ栽培に未来を託す長崎県対馬市美津島町 山本雅也

 数年前に新規担い手として原木シイタケ栽培に参入、現在では、「ボクちゃんfarm!」の「ボクちゃんのしいたけ」として生産・販売しています。 21年7月から24年3月までながさき農援隊として働いていました。労力支援をしつつ優秀な農家さんから技術を教わりました。多くのシイタケ生産者の方々と出会う中で、シイタケ栽培は身体を使う大変な仕事だと思いましたが、体が不

自由な方や年配の方々が一生懸命力強く働く姿を見てその素晴らしさに惹かれ、「今しないといけない」と思いシイタケ栽培をしようと決心しました!  しかし、山も畑も倉庫も何も持ってない中で始めるのは簡単ではありませんでした。お金を貯めて初めて買ったチェンソーを片手に22年11月(当時21歳)に原木の伐採に取りかかりました。農援隊の仕事をしつつ休日を利用して玉切り、木下しはもちろん、夜は電球で照らして植菌作業をしていました。その頃の作業場は家から遠く片道1時間の往復の繰り返しでしたが、明日のことを考え自分で一から段取りをする毎日を過ごす中で、自分自信が日々成長していくのがわかりました。 運良く日本きのこセンターの研修にも参加でき、専門的な知識を教わりワクワクしました。今も日本きのこセンター大分事務所の永留さんが中心となり対馬の若手シイタケ生産者を集め、現地研修や意見交換の場として年に数回「若者会」を開き結束を高めるとともに、技術のさらなる練磨に努めています。ヤル気がある若手は今この菌蕈を読んでいますし、刺激になっていると思います。おじちゃんおばちゃんたちの姿に魅せられ今日も私はシイタケと向かい合っています。 現在、私は結婚し妻と二人三脚で栽培に取り組んでいます。品評会で入賞できるようビニール被覆、袋掛けなどを徹底し、こまめな収穫を心がけ、良品質なシイタケを生産しながら皆さんとともに対馬の原木シイタケの発展のために頑張って行きたいと思います!よろしくお願いいたします。

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菌蕈2月号(第62巻 第2号 725号)

1.四国菌興クラブ若者の会

 四国菌興クラブ若者の会は、会員相互の親睦を深め、知識と技能を交換し、あわせて地域の原

木シイタケ栽培の発展を図り、リーダー的生産者になることを目的に、生産者の若手メンバーを

中心に平成22年に立ち上げられた(図1)。本年で、結成7年目を迎える。現会員は9名と少人

数ではあるが、今後の原木シイタケ業界を発展させてゆく精鋭たちが揃ってきたと筆者は確信し

ている。本誌にも本会の活動やイベント出店で幾度か紹介された経緯もあるため、この度はここ

最近に行われた本会の活動を報告したい。

2.最近の四国菌興クラブ若者の会活動報告

 本会は、総会や新年会で原木きのこ栽培の楽しさを同世代で分かち合うだけにはとどまらず、

栽培技術の練磨を通じて国産原木シイタケの振興を目指すとともに、積極的に各地でのイベント

に参加して消費者に接しながら、原木栽培されたシイタケ・きのこ類の良さを1人でも多くの方

に味わってもらうことで消費拡大に向けた活動を行っている。

 最近では、鳥取の(一財)日本きのこセンター菌蕈研究所で毎年開催される「とっとりきのこ

祭り」に県外シイタケ生産者グループとして初参加して以来、会員が自ら栽培したシイタケを使

用した「原木大葉厚肉乾シイタケ115号で作る特製焼きそば」は、大好評の中、2年連続300

食を完売している。

産地からのメッセージ新規・後継者育成に待ったなし!来たれ「四国菌興クラブ若者の会」へ!■ 高見秋彦

図1. 平成22年に設立した「四国菌興クラブ若者の会」

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菌蕈2月号(第62巻 第2号 725号)

 また、会員の地元で開かれる「朝霧湖マラソン大会」などの様々なイベントと並行して行われ

る西予市の「軽トラ市」にも度々参加しており、「シイタケ串焼き」や「シイタケシチュー」、ご

く最近では「シイタケドーナッツ」などを提供。料理のレパートリーも着実に増え、それに合わ

せて会員が栽培した生シイタケ・乾シイタケ・粉末シイタケの販売も行っている(図2)。

 そして、昨年の活動で最も目新しく際立ったのが、なんと言っても“食べ物付き情報誌”とい

う斬新なコンセプトで全国に会員数を拡大している「㈱四国食べる通信」との原木生シイタケの

連携販売である。㈱四国食べる通信が発行する「2015年12月号」で、フード・アクション・

ニッポン アワードの農林水産業分野で最優秀賞を受賞した宇和島の「みかんブリ」とのタイア

ップが実現し、大洲市の原木シイタケの奥深さや本会の会員が原木シイタケ栽培に真摯に取り組

む様子が取り上げられたことで、注文が殺到、会員の日々の仕事や栽培にも大変励みになってい

る(図3)。このような活動を今後もますます活発に実践し、若者らしいフットワークの良さで

小さな枠組みに収まることなく、会員のアイデアで様々な取り組みに挑戦してゆく「四国菌興ク

図2. 原木シイタケの消費宣伝活動を行う「四国菌興クラブ若者の会」

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菌蕈2月号(第62巻 第2号 725号)

ラブ若者の会」にエールを送りたい。

3.新規会員を大募集

 四国の若手メンバーたちが揃い、今後の活動がますます期待される「四国菌興クラブ若者の会」

であるが、本会の敷居は決して高くなく、原木きのこ栽培に興味・関心がある方の最初の相談窓

口として機能しており、若く志のある人には特に手厚く栽培技術支援を行っている。

 そのこともあって、本会には、愛媛県を代表する原木シイタケ生産者の後継者を始め、神戸の

生花店から愛媛県大洲市で原木シイタケ栽培の生産者へ転身した人や、東京の飲食店で働いてい

たが原木シイタケの魅力に惹かれて香川県丸亀市で栽培をしている人など、20代~40代までの

様々な会員がいる。さらに、一人でも多くの仲間を増やすことで地域のシイタケ栽培の発展を図

っていくため、新規会員の募集に力を注いでいる。

 原木シイタケ栽培および原木きのこ栽培を始めるに当たって、やはり初めは実際にシイタケ栽

培を体験する中で、栽培方法や経営方法といった具体的なことを同世代で話し合えば、自分が栽

培するイメージが固まりやすいと思う。また、栽培作業の小さなことで困った時も気軽に相談で

きる人がいれば、安心して栽培に取り組むことができると思う。そんな機会を提供しているのが

四国菌興クラブ若者の会である。興味・関心のある人は一般財団法人日本きのこセンター四国事

務所(☎0893-25-6199、Fax 0893-25-6197)まで気軽にご連絡下さい。

(研究普及局四国事務所 研究普及員)

図3. 四国食べる通信に掲載された「大洲市の原木シイタケ」と「菌興クラブ若者の会」

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菌蕈2月号(第62巻 第2号 725号)

無胞子性のエリンギ新品種「濃丸」の魅力

 既に本誌2014年10月号で紹介しました無胞子性エリンギ新品種「菌興PE1号」が、この

度「プレミアムエリンギ濃丸」の愛称で新たに出発することになりました(図1)。プレミアム

エリンギ濃丸は、濃褐色のカサに丸みを帯びた可愛らしい形状のエリンギで良食味と歯ごたえの

良さに加え、エリンギ特有の臭みがほとんどしません。また、この濃丸は胞子を作らない特長を

持っています。

 従来、きのこの

施 設 栽 培 に お い

て、 そ れ ら が 形

成・飛散する大量

の胞子は様々な問

題を誘起する原因

となっています。

とりわけ生産従事

者が胞子を吸引す

ることで引き起こ

されるアレルギー

性呼吸器疾患は半

世紀近く前から報

告されており、最

も重大な問題とし

て 知 ら れ て い ま

す。他にもきのこ

の栽培施設内の壁

面や換気扇(図2)

などが胞子の付着によって汚濁され、度重なる清掃が必要なことだけでなく、付着胞子を摂食す

るダニなどによる二次的な害菌汚染も問題となります。また、胞子はきのこやパッケージなどに

も付着することで見栄えが悪くなることから、流通や消費の場面でも嫌われています。

 しかし、このプレミアムエリンギ濃丸は胞子を作らないことから生産者にとっては胞子の無い

労働環境で栽培ができ、販売者にとっては胞子による商品の汚損を防ぐことができます。また、

プレミアムエリンギ濃丸の魅力はこれだけに留まりません。エリンギなどの菌床栽培きのこは一

研究開発

プレミアムエリンギ濃丸について■ 奥田康仁

図1. プレミアムエリンギ濃丸

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菌蕈2月号(第62巻 第2号 725号)

般的に国産として

販売されています

が、その栽培用菌

床には輸入された

培地基材を用いる

ことが知られてい

ます。しかし、野

菜をはじめとする

農産物ではどうで

しょうか?国産と

いう表記があれば

当然、消費者の皆

さんは日本国内の

土壌で栽培された

ものであると理解

されると思います。野菜ときのこは同じではありませんが、きのこにとっての“土壌”である菌

床に存外な量の輸入原材料が用いられていることにどう思われますか?最近では、輸入食材のリ

スクが取りざたされる中にあって、消費者の食に対する国産志向が高まっていることから、一部

の小売業者では取引の際、栽培環境とともに菌床の組成について確認することや外食産業では国

産の基材・栄養剤を

用いて生産されたき

のこを積極的に利用

するようになってき

ています。このよう

な最近の傾向からも

菌床に使う材料の国

産化が消費者の皆さ

んから期待されてい

ると日本きのこセン

ターでは考えていま

す。

 そこで、このプレ

ミアムエリンギ濃丸

の栽培では一般的な

エリンギ栽培におい

て頻繁に用いられる

図2. 換気扇に付着したエリンギの胞子

図3. 国産スギ木粉を使用しています

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菌蕈2月号(第62巻 第2号 725号)

輸入コーンコブをできるだけ使わないこだわりの栽培法を採用しており、消費者に安心なエリン

ギをお届けすることができます(図3)。このように生産者、販売者、消費者の三者にとって嬉

しいきのこがこのプレミアムエリンギ濃丸なのです。

プレミアムエリンギ濃丸の生産・流通拡大の取り組み

 このプレミアムエリンギ濃丸については、鳥取市の(株)雪んこが栽培、鳥取や岡山県下でス

ーパーマーケットを展開する(株)マルイなどが販売を行っており、好評を博しています。(株)

雪んこが位置する鳥取市佐治町は鳥取県と岡山県の境にある町で街灯が少なく、空気が非常に綺

麗なことから天体観測が盛んで国内有数の公開天文台である鳥取市さじアストロパークもありま

す。また因州和紙や二十世紀梨の県内有数の産地でもあり、自然豊かな町として知られています。

冬には積雪が多く厳しい場所ではありますが、美しい雪解け水が栽培棟の横を流れる環境の下で

プレミアムエリンギ濃丸は育てられています(図4)。

  生 産 者 で あ る

(株)雪んこの代

表福安修さんは、

やはり胞子が無く

な っ た こ と に よ

り、今まで栽培の

たびに施設の洗浄

が必要でしたがそ

の必要も無くなり

非常に楽になった

こと、以前にマス

ク無しでエリンギ

の他品種を栽培し

ていた時には午前

中一杯作業をする

とお昼頃には鼻が

真っ白になるほど胞子が付着していたが、そのようなこともなくなり労働環境の改善に繋がる素

晴らしいエリンギだと喜ばれています(図5)。

 このプレミアムエリンギ濃丸を皆様にもっと知っていただくためのキャンペーンを続々と開催

しております。昨年の12月には大阪にある鳥取市のアンテナショップ「ととりのまんま」の開

設一周年大感謝祭でプレミアムエリンギ濃丸を使った料理が招待者に振る舞われました。また、

東京にある鳥取県と岡山県のアンテナショップ「とっとり・おかやま新橋館」でも試食販売会を

行い、来場者の皆さんから高い評価をいただきました(図6)。

 今後、2月中旬には国内農業および国産農産物の全国的展示商談会であるアグリフードEXP

図4. (株)雪んこの栽培施設

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菌蕈2月号(第62巻 第2号 725号)

O大阪2016にも出展予定です。これを機にエリンギ市場に新風を吹き込み、鳥取発のプレミア

ムエリンギ濃丸の消費拡大と生産振興につなげることで、中山間地域で頑張っている生産者の栽

培経営の向上に少しでも貢献できればと思っています。

(一般財団法人日本きのこセンター菌蕈研究所 主任研究員)

図5. 福安さんが語る濃丸の魅力

図6. とっとり・おかやま新橋館における試食販売の様子

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菌蕈2月号(第62巻 第2号 725号)

乾シイタケ栽培 昨年10月は全国的に気温が順調に下がり、中温菌、中低温菌を中心に芽切りが始まり、11月

上旬には収穫が終了しその後が期待された。しかし11月中旬以降の気温が予想以上に高く推移

したため発生は続かなかった。12月下旬になってようやく芽切りがそろい、今後の寒子が期待

される。品柄についは10月の降水量が少なく天候に恵まれたため、菌興240号を中心に秋子は

中葉主体で傘が明るく柄の短い良品が収穫された。

1.原木の伐採・玉切り

 冒頭に述べたように、昨年の11月は気温が高く推移し原木の黄葉も遅れ、伐採適期の見極め

に苦慮された人も多い。最適期は逃したものの3月新葉が芽吹くまでは適期である。今後も伐採

を行い原木の確保に努めていただきたい。

 適期に伐採した原木は玉切り作業にかかる(積雪の産地は除く)。長期間の葉枯らしは原木表

面が過乾燥となり、クロコブタケ、ニマイガワキンの侵入を招きやすくなるため、伐採後30日

程度経過すれば速やかに玉切り作業を行い集材する。積雪が心配される伐採地では、玉切りした

状態で降雪の下にならないように玉切りを調整する。集材したものは低めの棒積みで笠木をかけ、

原木表面の過乾燥を防ぐ。また積雪地では原木の上面にビニールシートなどを掛け雪を防ぐ。

2.植菌・仮伏せ

 すでに年内植菌により作業を完了されている人もおられると思う。植菌は早いほど菌糸伸長も

良くなる。しかし1月、2月は低温乾燥の時期であり植菌後保温・保湿ができなくては早期植菌

の効果が現れない。そのため植菌後は仮伏せを徹底してほしい。方法として低い棒積み(降雨が

すべてのほだ木に行きとどく高さ、約30~50cm)で笠木をかけ、状況によってはビニール被

覆を行い保温・保湿を図る。3月以降は被覆内の温度が20℃以上にならないように注視しなが

ら仮伏せ管理を行う。

3.寒子・春子対策

 玉切り・集材・植菌など忙しい時期であるが、ほだ場・ほだ木の状況を確認して増収・良品生

産の方策として下記の管理・操作を実施してほしい。

1)暗いほだ場は枝打ち、間伐を行い明るくする。春先の芽切りが早くなり、品質向上につなが

る(図1)。

2)防風垣(ネット)を設置しほだ場の保湿、保温を図る。広いほだ場では周囲だけでなく内部

にも防風垣の設置が必要となる。また、つなぎ目や切れ目から入る風は強力となるため補強、

補修を行う。

栽培技術

1~3月のシイタケ栽培管理

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3)現在芽切っているものには袋掛けやビニール被覆を行って成長を促す。寒冷地では凍結防止

にもなる(図2)。

4)4年ほだ木以降の古ほだ木は、クギ目・鉈目を3か所程度入れて水分が給水しやすいように

して春子増収に努める(図1)。

5)散水施設を所有する人は、2月中旬以降に芽切り促進の散水を実施する。

図1.春子対策

図2.袋掛け、ビニール被覆対策

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4.乾燥機の点検

 春子発生に備えて乾燥機の事前点検を行う。オイルホースの亀裂、煙突、オイルタンクのごみ

詰まり等点検し、使用時にあわてないように。一度試運転を行い春子に備える。

(研究普及局課長 大竹俊充)

生シイタケ栽培 生シイタケ栽培の可否は、その時々の発生の良し悪しだけでなくシーズン・年間を通してのき

のこの収量と品質で判定される。成果を挙げるためには、良いほだ木を作ることが最優先事項で

ある。そして、品種の特性やきのこの発生の仕組みを熟知し水温や芽出し温度、ハウス内の温度・

湿度の管理を行うことが大切。

1.冬菌・低中温菌の浸水栽培(菌興115号、118号、141号)

 低中温菌の1~3月の浸水栽培は、春子の先取りであり操作は容易となる。浸水後の芽出し・

成長とも低温刺激が不十分な年内(晩秋)は温度を低くしなければならないが、冬~春は比較的高

図3.菌興115号、118号、141号の発生操作

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くすることで発生数が増加する傾向にある。このことを踏まえて操作を行いたい。一連の操作は

図3のとおりであるが、ポイントは次の通り。

1)浸水時間:凍結したほだ木を浸水する場合は長めに行う。凍っている状態ではほだ木は吸水

しない。3年ほだ木以降の古ほだ木は、水揚げ時には浸水槽の水位を確認し、十分な吸水とな

っていることを確認する。古ほだ木の発生不良は、吸水不足に起因することが多い。

2)成長温度:厳寒期と3月上旬以降では発生ハウス内の温度は一変する。ハウス資材等の調整

を行い日中は15~20℃、夜間は0~5℃を目安とする。

3)休養方法:浸水休養を行っている場合は、温度の上昇とともに発生が始まり休養の意味をな

さないことがある。浸水休養を行う場合は極力10℃以下になる場所を選定したい。

4)使用後の管理:ほだ場で春子を採取する場合は、3月までには浸水もしくは散水を行いほだ

場へ返す(図4)。

2.夏菌・高中温菌の浸水栽培(菌興697号、702号)

 オガ・形成菌の1年ほだ木は昨秋から使用し、1~3月期には2~3回転目を迎えていることが

多い。冬菌と大きく異なる点は、温度管理を徹底することであり、厳寒期ほど慎重に操作を行い

たい。

1)浸水:水の温度は10℃以上を確保し(最適は13~18℃ )、浸水時間は12時間以上を目安

とする。次回発生のため種菌部に吸水させるためである。

2)芽出し温度:13~18℃。

3)成長温度:13~28℃。

4)休養:1~3月以降は、きのこの発生が植菌孔から樹皮発生へと変化する。このことを踏

図4.使用後のほだ木の管理

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まえ、樹皮面の腐朽を進めることが重要となる。樹皮の熟度促進のためには、温度と水分が必

要であるばかりか、休養ハウスの日中の温度も25℃程度を確保したい。

3.夏出しへ向けての事前管理(菌興697号)

 菌興697号を初夏(自然子終了後)より使用する場合は、使用前少なくとも1ヶ月前には事前管

理を行い、発生しやすいほだ木に仕上げる。方法としては、ハウス内へほだ木を取り込んだり、

人工庇陰や林内での被覆により原基作りや原基の肥大を促す。

4. ほだ木作り(植菌~仮伏せ)

 昨年は7月中旬~8月中旬までの猛暑が一変し1年ほだ木の「仕上げ時」に温度不足となり発

生にバラツキが出た。そうした中、早期植菌やその後の仮伏せ管理をしっかり行っているほだ木

は例年通り安定発生するところもあった。仮伏せ中にほだ木の腐朽をできるだけ進めることが大

切である。

1)植菌:オガ・形成菌を植菌した1年ほだ木の使用を目的にする場合の植え付け種菌数は原木

の木口直径の5~6倍を目安とする。2年ほだ木使用の場合は木口直径の3~4倍とし、駒菌の

場合もそれに準じる。

2)仮伏せ:ハウス(図5)あるいは露地(図6)での仮伏せはともに被覆による管理とする。被

覆内の温度は、ほだ木材内の菌糸伸長が3センチ程度となるまでは最高温度が18℃以上にな

らないように管理する。厳寒期と3月以降では温度が一変するため注意深く観察しながら、温

度管理に努めてほしい。3月以降は、気温が上昇するため、それまでの温度確保の管理からい

かに適温を維持して管理するかがポイントとなる。露地での仮伏せの場合は、ブルーシート等

図5.ハウス内での仮伏せ黒マルチを換気のため一時的に剥いだ状態。

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菌蕈2月号(第62巻 第2号 725号)

温度上昇を防ぐ資材を使用して温度調節を行う。ハウス内仮伏せでは、20℃以上となった時

は、日中数時間でも被覆を剥いで換気を行うことで温度を調節する、夕方再度被覆を行うとと

もに、ほだ木が乾燥している場合は全体が濡れるくらいの散水を行う。

(研究普及局次長 安田修一)

全国の向こう3カ月気象予報(平成28年1月25日、気象庁発表)2月 北日本日本海側では、平年と同様に曇りや雪の日が多い。北日本太平洋側では、平年と同

様に晴れの日が多い見込み。東日本日本海側では、平年と同様に曇りや雪または雨の日が多い。

西日本日本海側では、平年に比べ曇りや雪または雨の日が少ない見込み。東・西日本太平洋側で

は、平年に比べ晴れの日が少ない。気温は、東・西日本で高い確率50%。降水量は、東・西日

本太平洋側で多い確率50%。

3月 北日本日本海側では、平年と同様に曇りや雪の日が多い。北日本太平洋側では、平年と同

様に晴れの日が多い見込み。東日本日本海側では、平年と同様に曇りや雪または雨の日が多い。

西日本日本海側では、平年に比べ曇りや雪または雨の日が少ない見込み。東・西日本太平洋側で

は、平年に比べ晴れの日が少ない。気温は、東・西日本で高い確率50%。降水量は、東・西日

本太平洋側で多い確率50%。

4月 全国的に天気は数日の周期で変わる。北日本太平洋側では、平年と同様に晴れの日が多い

見込み。東・西日本では、平年に比べ晴れの日が少ない。気温は、北日本で平年並または高い確

率ともに40%、東・西日本で高い確率50%。降水量は、東・西日本で平年並または多い確率

ともに40%。

図6.露地でのヨシズを使用した仮伏せ

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1.平成27 年産秋子作柄を発表

 本会と(一財)日本きのこセンターは、1月上旬に主産地の乾シイタケ秋子の作柄調査を行い、

平成27年産秋子生産量について、平成26年産を大幅に上回る200t(前年比166%)と推定し

発表しました。

 原発事故以降の植菌数の低迷により発生ほだ木が減少しているにも関わらず、生産量が増加し

た要因は大きく2つあり、1つは8月から10月の気象が原木シイタケの生育にとって比較的順調

に推移したためと、もう1つはシイタケの価格が回復し乾燥に回す量が増えたためです。気象面

では、原基形成時期の8月下旬から9月下旬にかけての降水量が平年以上に多く10月の気温低下

とともに、中温性・中低温性品種が順調に発生・収穫されました。11月から12月は気温が高

く推移し、その後は期待以上に収穫量が伸びませんでした。品柄については、10月は天候に恵

まれ全体的に日和子中心の良品が収穫されましたが、11月以降は降雨が多かったことから雨子・

バレ系の特用品が中心となりました。

 今後の寒子について、現在芽切っているものは、袋掛けやビニール被覆などで保温・保湿を行

い、良品の採取を図りましょう。また春子に向けても、散水、クギ目・ナタ目入れ、ほだ倒しな

ど積極的なほだ木・ほだ場管理を行い、一枚でも多く採取できるようよろしくお願いします。

2.初市を開催しました

 1月20日(水)に初市を開催し、全国から460箱の出品をいただきました。昨年の345箱か

ら増加したこともあり、25社と多くの商社が参加しました。秋子の出品が中心で、11月の暖か

い気温と降雨の影響を受けたと思われる雨子・バレ系の品柄が目立ち大葉の比率が高い出品とな

りましたが、一部では日和子で色目もよいものがあり引き合いが強い状況でした。

 秋子の生産量が昨年より大幅に増加しており、末端売価値上げによる年末の荷動きの減少によ

る影響も心配されましたが、蓋を開けてみれば平均市況は4,753円/Kgと昨年の初市の3,052

円/kg を大きく上回り、引き続き引き合いが強いことが確認でき、今後の生産に弾みがつくも

のとなりました。

 初市後には商社会である全農全和会恒例の新年会を開催し、今年が産地にとっても商社にとっ

ても良い年になるよう祈願しました。今後も安心して生産できる価格で販売していけるよう事業

所一同取り組んで参りますので、引き続きご協力のほどよろしくお願いいたします。

3.入札状況(品柄・出品数量等)

 全農入札状況:1月20日に初市を開催しました。秋子の生産量が増えたことから、価格が下

市 況

2月号 全農乾シイタケ情報■ 全農椎茸事業所

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菌蕈2月号(第62巻 第2号 725号)

がることが心配されましたが、年末の荷動きが悪くなく、春子の生産量も多くない見通しから各

社とも積極的な応札となりました。また、東日本産の風評被害もほとんど感じられませんでした。

今後、3月までに1回は入札を開催できればと考えており、在庫をお持ちの方は是非出品をお願

いします。

 産地状況:林野庁から平成26年特用林産基礎資料が公表されました。原発事故以降の価格低

迷により植菌量が減少していましたが、具体的には平成26年の原木伏せ込み量は平成25年比で

82%と大きく減少しており、平成23年比では60%の大幅減少となっています。平成27年は

国の緊急対策により若干増加していますが、今後も市況は高い水準で推移していくと見込まれ引

き続き植菌の拡大をお願いします。

4.乾シイタケ販売動向・一般情勢

 贈答:歳暮需要は芳しくなかった模様。2月は中国の旧正月である春節で日本への観光客も増

えるため、インバウンド消費に期待したい。日本語・中国語で乾シイタケをPRするDVDが椎茸

事業所に若干ございますので、ご希望の方はご連絡ください。

 家庭用・小袋:年末の売価はほとんどの量販店で値上がりしていたが、荷動きは想定より落ち

込まなかった様子。やはりお節等の安定した需要があり、一安心といったところだが、商社もい

よいよ26年産の在庫がなくなってきており、今後の市況展開によってはもう1段の値上げも想

定される。ほとんど見られない量販店での試食販売等により新メニューの提案や、需要の掘り起

こしが必要。

 業務・加工用:原発事故以降大きく落ち込んでいた学校給食向けはかなり回復してきている模

様。国産乾シイタケの非常に大きな需要先であり、当事業所としても積極的に対応していく。

 輸出入:11月の輸出量は2.2tで、単価は4,940円となった。単月では昨年対比31%、1~

11月累計では昨年対比95%と昨年を割り込んだ。1~11月累計での単価は昨年対比102%と

なっている。一方、11月の輸入量は436tで、昨年同月の469tから減少した。1~11月累計

では昨年対比99%で、不作の割に大きな増加は見られない。1~11月累計での単価は昨年対比

108%と価格は上がっている。

5.事業所から

 秋から暖かい気温が続き記録的な暖冬となっていましたが、椎茸事業所のある埼玉県でも1月

中旬には積雪があり、やっといつもの冬らしい気温になってきました。今まで暖かかった分だけ

寒さが身にしみますが、皆様方も体調には十分注意していただきたいと思います。

 さて、昨年の今頃は食品業界では虫等の異物混入が大きなニュースになっていましたが、今年

は廃棄したはずの食品が転売されていたという問題が大きな話題になっています。消費者が食品

に求める安心・安全をないがしろにした行為であり、それを発見し対応した企業には賞賛の声が

上がっています。こうした違法行為は論外です。やはり食品には安心・安全が求められており、

それに応えるために原木乾シイタケの生産で言うならば、今後も栽培履歴記帳の徹底をお願いい

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菌蕈2月号(第62巻 第2号 725号)

たします。安心・安全を求める声はますます高まってくるため、有利販売にもつながっていくと

確信しています。

6.今後の全農椎茸事業所入札日程

 2月:17日、3月:16日、4月:6日。

全農乾シイタケ入札結果(平成28年1月)

乾シイタケの輸出実績(平成27年11月)

乾シイタケの輸入実績(平成27年11月)

(単位:円/㎏ )

区分月/日

本 数(箱) 高 値 平均値

1/20第30回入札会

460 8,010 4,753

高値規格:花どんこ 出品JA:岡山県 JA真庭

11月 1~11月数量Kg 価額(千円) 単価(円/Kg) 数量Kg 価額(千円) 単価(円/Kg)

台 湾 687 1,932 2,812 31,990 88,665 2,772香 港 778 5,201 6,685 10,406 57,257 5,502ベ ト ナ ム 0 0 0 1,386 3,517 2,538シ ン ガ ポ ー ル 31 321 10,355 92 776 8,435サ ウ ジ ア ラ ビ ア 0 0 0 171 558 3,263オ ラ ン ダ 0 0 0 445 2,531 5,688フ ラ ン ス 0 0 0 30 205 6,833イ タ リ ア 0 0 0 250 1,450 5,800カ ナ ダ 90 753 8,367 353 2,727 7,725ア メ リ カ 合 衆 国 530 2,246 4,238 4,107 18,469 4,497

合  計 2,116 10,453 4,940 49,230 176,155 3,578前年対比 31.3% 56.9% 181.6% 95.4% 96.8% 101.5%前年実績 6,757 18,380 2,720 51,620 182,035 3,526

11月 1~11月数量Kg 価額(千円) 単価(円/Kg) 数量Kg 価額(千円) 単価(円/Kg)

中 国 436,103 706,040 1,619 4,584,335 7,250,318 1,582香 港 260 397 1,527 4,680 8,294 1,772

合  計 436,363 781,056 1,619 4,589,015 7,258,612 1,582前年対比 92.9% 120.9% 107.1% 98.7% 106.3% 107.7%前年実績 469,472 645,798 1,512 4,647,938 6,828,506 1,469

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菌蕈2月号(第62巻 第2号 725号)

東京市場

 12月の生シイタケの入荷量は814tで前年比100%、キロ単価1,093円で前年比93%で

あった。中国の入荷量は38tで前年比68%、キロ単価534円で前年比94%であった。国産は

776t、前年比100%であった。

 1月上旬の入荷量は246tで、前年比100%、キロ単価1,116円で前年比90%であった。1

月中旬の入荷量は216tで、前年比103%、キロ単価1,014円で前年比93%であった。

 1月については下旬の寒波による影響で青果物の出荷が不安定となり、きのこ類全般の相場も

底上げとなった。シイタケについても秋冬の菌床栽培は終盤となっており、出荷数量は大きく減

少しているので、2月についても引き続き堅調な相場と思われる。

(東京荏原青果㈱ 野菜三部一課 池田拓郎)

大阪市場

 1月上旬の生シイタケ入荷量は前年比81%の49.6t(国産前年比82%の49.4t、輸入前年比

31%の0.2t)であった。価格は前年比92%のキロ1,135円(国産前年比91%の1,135円、

輸入前年比93%の561円)であった。

 中旬の入荷量は前年比99%の60t(国産前年比99%の59.3t、輸入前年比102%の0.7t)

であった。価格は前年比98%のキロ1,034円(国産前年比98%のキロ1,039円、輸入前年比

101%のキロ602円)であった。

 年明けの暖冬傾向による気温高により正月期間の鍋物需要は鈍く、また秋冬野菜の価格低迷に

伝動し数量減の単価安の販売となった。下旬に入り記録的な寒波により青果物全般に不安定な入

荷のなか価格の底上げが見られたが、2月に入り気温上昇につれ中旬以降は品質による価格差が

大きくなる見込み。

(大阪中央卸売市場 大阪中央青果㈱ 蔬菜部 田島範弘)

市 況生シイタケの市況動向

生シイタケ輸入実績(平成27年11月)

11月 1~11月

数量Kg 価額(千円) 単価(円/Kg) 数量Kg 価額(千円) 単価(円/Kg)

中 国 220,254 84,735 385 1,954,109 762,736 390

合  計 220,254 84,735 385 1,954,109 762,736 390

  前年対比 80.2% 84.0% 104,7% 86.9% 89.0% 102.5%

  前年実績 274,525 100,827 367 2,249,365 856,711 381

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菌蕈2月号(第62巻 第2号 725号)

大分ニュース

平成27年度豊後椎茸研究会役員研修会を開催

 平成27年12月8日、平成27年度豊後椎茸研究会役員研修会が開催された。当日は午後1時

から佐伯市宇目町の茅野文三さんの栽培ほだ場で現地視察研修を行った後、佐伯市蒲江にて役員

会を開催。

 研修会の冒頭、帯刀会長が代表して挨拶に立ち、茅野さんの栽培経営の紹介をするとともに、

現地視察の協力に対してお礼を述べた。さらに、帯刀会長は、「研究会が37年続く中で会員の老

齢化も進んでいる。今が世代交代の潮目でもあるので、若い会員の加入に力を入れていきたい」

と述べた。会員の熱心な要請により、茅野さんも会員になることが決まった。

 役員会では新らたに就任した役員の自己紹介をかねて、秋子の状況、伐採・植菌量の状況等に

ついて一人ずつ

発表した。その

中 で、 低 中 温

系・低温系はこ

の秋のエルニー

ニョの影響で気

温が下がらず、

起 し 時 期 の タ

イミング、発生

操作、ハウス移

動操作のタイミ

ングに例年より

苦慮している発

表が多く聞かれ

た。一方、中温

系や中低温系の

秋子は昨年を上

回る発生となった。また、低中温系でありながら菌興193号の3年ほだ木からの秋子の発生が良

かったとの意見があった。

 この度の研修会を締めくくるにあたり、新役員が一枚岩になって研究会を発足当初の原点に戻

って盛り上げていくことを確認した。

(研究普及局九州大分事務所 永留隆志)

各地のきのこだより

挨拶に立つ帯刀会長(手前の左).右端は茅野さん.

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菌蕈2月号(第62巻 第2号 725号)

鳥取ニュース

鳥取県椎茸生産組合連合会 関東試食宣伝

 鳥取県椎茸生産組合連合会では、県外消費者への鳥取県産“原木シイタケ”の認知度向上およ

び消費量の拡大を目指し、生産者3名の協力のもと、12月12日(土)に東京都港区新橋にある鳥

取・岡山県のアンテナショップ「とっとりおかやま新橋館」の1階プロモーションゾーンにおい

て、生シイタケのバター焼き・乾シイタケのソテーの提供等、試食販売を行った。

 今回の試食販

売では、より多

くの方に鳥取県

の原木シイタケ

を実食して頂き

たいという思い

から生シイタケ

を1.5kg、 乾

シイタケを3kg

と、多めに用意

して持ち込みを

したが、結果と

してほぼすべて

提供し終えると

いう大変好評な

イベントとなっ

た。試食された方は、まずその見た目の大きさに驚かれる方が多く、実際に食べられても「鳥取

のシイタケはこんなにも肉厚なの!?」「こんな簡単な調理方法でこの味になるの!?」と驚きを隠

せない様子の方もおられ、販売用に用意していた生シイタケは午前中のうちに完売。乾シイタケ

も普段では考えられないほどの売れ行きとなった。

 残念なことに、若いお客様の中には自分で乾シイタケを戻して食べたことがないという方が多

かったが、生シイタケと乾シイタケの食べ比べをしていただき、「生シイタケより旨みが強くて

おいしい」「戻すのも簡単で、味がこんなに違うなら」と、無料配布していたレシピ集とともに

乾シイタケを購入していかれる方が多かった。年配の方ほど乾シイタケのおいしさを熟知してお

られ、中には6~7袋まとめ買いしていかれるお客様もおり、取扱い店舗を質問してこられるな

ど、大変有意義な試食販売となった。

 次回の試食販売の際には、現在ブランド化が進行中の「とっとり115」を持ち込んでの試食

販売としたい。

(JA全農とっとり 野菜花き課 伊藤広顕)

とっとりおかやま新橋館での試食・販売の様子

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菌蕈2月号(第62巻 第2号 725号)

菌蕈2月号(第62巻 第 2号 通巻725号) 発行日:平成 28 年 2 月 5 日

 発 行:一般財団法人日本きのこセンター

     鳥取県鳥取市富安 1 丁目 84 番地

     ☎ 0857-22-6161、http://www.kinokonet.com/

 編 集:菌蕈編集委員会

     記事、写真およびデータの無断転載を禁じます。

鳥取県産ブランド原木シイタケ「とっとり115」の出荷始まる

 鳥取県や日本きのこセンター、県内JA、生産者などで組織する原木しいたけブランド化促進

協議会は、昨秋1月15日を「とっとり115の日」と定め、菌興115号品種の栽培で育てた大型

厚肉シイタケ「とっとり115」のブランド化に取り組んでいる。

 この1月15日から「とっとり115」の出荷を開始、東京の築地市場ではその最高級品「鳥取

茸王」が1Kg 1万3,000円で落札され、地元の関係者は喜びに包まれた。築地市場の仲買人は

その品質の素晴らしさを評価、「安定的に出荷してもらえるなら、ぜひ継続して扱いたい」と話

していた。また、15日からの1カ月間、県内26店舗の協力を得て「とっとり115」の料理を

提供するフェアを開催する。各店舗では、和食、洋食、中華など自慢のオリジナル料理を提供。

どの店舗でも来店客で賑わっているという。

 15日午後、同協議会の常田享詳会長ら関係者の訪問を受けた平井伸治知事は、フェアで出さ

れるシイタケ料理を試食、「もっともっと欲しいたけ。食べるならとっとりだけおう」と得意の

駄じゃれを交えながら「とっとり115」の品質の高さを絶賛した。

(菌蕈編集室)

にこやかに鳥取茸王を見入る平井知事(左)と常田会長(右)

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