イジングマシンによる 課題解決と価値創造 · 複数台のトラックを巡回...
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Copyright©2019 ⽇本電信電話株式会社Copyright©2018 ⽇本電信電話株式会社
イジングマシンによる課題解決と価値創造
2019年5⽉20⽇⽇本電信電話株式会社 取締役会⻑
篠原 弘道 (Hiromichi Shinohara)
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Society 5.0の実現に向けて
⾊々なものが繋がり始めた︕
情報社会の次の段階へ
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(出典)⽇本経済団体連合会Society 5.0 -とも に創造する未来 -
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Society 5.0の実現に向けて
新たなデジタル技術と各種データの利活⽤が必要不可⽋
各種のデータデジタル技術 ×
価値創造課題解決
・多様な⼈々の 想像⼒、創造⼒・領域知識
Society 5.0 創造社会
(出典)⽇本経済団体連合会Society 5.0 -とも に創造する未来 -
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デジタル⾰新における課題
新たなデータ活⽤の可能性新たなデータ活⽤の可能性 計算機の物理的性能限界計算機の物理的性能限界
プロセッサーの性能向上スピードが鈍化・・・新たな課題解決、価値創造へ
データ収集・分析基盤AI技術の向上
ムーアの法則の終焉︖
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次世代コンピュータへの期待
量⼦ゲート⽅式 イジングモデル⽅式イジングモデル⽅式
データ利活⽤への新たなチャレンジ
従来の計算機が苦⼿としていた問題を新たなマシンを⽤いて解く試みが世界の有⼒企業で加速
• 汎⽤的量⼦計算を⾏う万能型• 現在のビット数︓数⼗ビット
• 組合せ最適化問題に特化型• 現在のビット数︓数千ビット
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光イジングマシンLASOLV
NTTの基礎研究から考案 常温で利⽤できる“光の物理現象”で
イジングモデルを模擬 “組合せ最適化問題”を⾼速に解く
光イジングマシンLASOLVNTTが研究開発を進める新たなマシン
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光イジングマシンLASOLV
LASOLVの構成
マシンで演算をするための「イジングモデル」へ変換を⾏うアルゴリズム
システム全体の制御(≒OS)
イジングモデルで表現された問題を、レーザー発振を活⽤して解くマシンマシン
コンピューティングシステム
ミドルウェア
アプリケーション社会課題に相当する実問題を解くアプリケーション
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マシンについて
光イジングマシンLASOLV
マシンで演算をするための「イジングモデル」へ変換を⾏うアルゴリズム
システム全体の制御≒OS
イジングモデルで表現された問題を、レーザー発振を活⽤して解くマシンマシン
コンピューティングシステム
ミドルウェア
アプリケーション社会課題に相当する実問題を解くアプリケーション
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組合せ最適化問題
数ある選択肢の中で最良の組合せを探す問題
様々な社会課題に関連付けられる
渋滞解消 送電網最適化 SNS解析
物流最適化 ⾶⾏計画最適化
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組合せ最適化問題の⼀例
都市の数 全経路の組合せ総数4 3 5 12 6 60 10 181,440 20 60,822,550,204,416,000 30 4,420,880,996,869,850,000,000,000,000,000 60 ≊観測可能な宇宙にある全原⼦数(=1080)
巡回セールスマン問題
A
B
D
C
E⼤⼿町 武蔵野
横須賀
厚⽊ 筑波
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組合せ最適化問題の解き⽅
(物理モデル)イジングモデル
[頂点]スピンの向き (↑or↓)
[辺の重み]強磁性、反強磁性の結合➡スピンの相互作⽤
変換可能変換可能
𝑯 ∑ 𝑱𝒊𝒋 𝝈𝒊 𝝈𝒋 𝒊 𝒋 ∑ 𝒉𝒊 𝝈𝒊𝒊
(グラフ問題)組合せ最適化問題
[頂点]都市CITY={A,B,C,D,E}[辺の重み]都市間の距離
A
D
CB
E
𝐦𝐢𝐧 𝒙𝒄𝒊𝒄𝒋𝒄𝒊,𝒄𝒋∈𝑪𝑰𝑻𝒀
𝒙𝒄𝒊𝒄𝒋
組合せ最適化問題はイジングモデルに変換可能
(⽬的関数)(エネルギー関数)
(イメージ)
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イジングモデルのイメージ
スピンの向きが最適化される
スピン系のエネルギーを最⼩化
(物理モデル)イジングモデル
[頂点]スピンの向き (↑or↓ )
[辺の重み]強磁性、反強磁性の結合➡スピンの相互作⽤
[頂点]磁⽯の向き ( N,S )
[辺の重み]磁⽯同⼠の相互作⽤
磁⽯が引き合ったり反発したりする⼒で、⾃然に安定する向き(N,S)が決まる物理現象のイメージ
(イメージ)
(イメージ)
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LASOLVの動作原理
スピンの向きが最適化される
(物理モデル)イジングモデル
[頂点]スピンの向き(↑or↓)
[辺の重み]強磁性、反強磁性の結合
光イジングマシンLASOLV
[頂点]光信号の位相 (0 or π)[辺の重み]光信号の結合
0
0
0
(光信号のネットワーク)
光信号の位相が最適化される
光イジングマシンLASOLVは物理システムでイジングモデルを模擬 レーザーネットワークの物理現象に委ねて、⾼速に最適解を探索
物理システムで模擬
物理システムで模擬
(イメージ)(イメージ)
(レーザー発振する)
光信号位相 0位相 π
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LASOLVの動作イメージ
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光パルス
問題設定ユニット
位相感応増幅器(特定の位相のみを増幅)
位相 0(ゼロ)
位相 π(パイ)
測定(光パルスの⼀部を読み取る)
フィードバック(パルスの相互作⽤を与える)
位相 0
位相 π
光ファイバー
光パルスが何週もするうちに、最も安定した状態(位相の組合せ)を⾒つける
問題の答え
(問題に相当する相互作⽤を設定)
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マシンの今後
(現在) (取り組み中)
問題規模 10万ノードノード間結合数 10億結合
(全結合)
マシンの計算規模拡⼤
問題規模 2,000ノードノード間結合数 400万結合
(全結合)
問題規模(ノード数)グラフの頂点の数のことで、数が増えるとより⼤きな問題を解くことができる
ノード間結合数グラフのそれぞれの頂点の間のつながりのことで、全結合の場合、1つのノードは他のすべてのノードの相互作⽤による影響を加味して解を求めることができる
0
0
0
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コンピューティングシステム
光イジングマシンLASOLV
マシン
コンピューティングシステム
ミドルウェア
アプリケーション
マシンで演算をするための「イジングモデル」へ変換を⾏うアルゴリズム
システム全体の制御(≒OS)
イジングモデルで表現された問題を、レーザー発振を活⽤して解くマシン
社会課題に相当する実問題を解くアプリケーション
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ミドルウェア
光イジングマシンLASOLV
マシン
コンピューティングシステム
ミドルウェア
アプリケーション
イジングマシンで演算をするための「イジングモデル」へ変換を⾏うアルゴリズム
システム全体の制御(≒OS)
イジングモデルで表現された問題を、レーザー発振を活⽤して解くマシン
社会課題に相当する実問題を解くアプリケーション
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ミドルウェア
アプリケーションレイヤーの問題をイジングモデルへと変換を⾏うためのアルゴリズムを提供 NEDOプロジェクトとも連携(協調領域)
例1)コンテナ積載 例2)⼯程管理
ナップサック問題ライブラリ
(ジョブショップ問題)
ジョブショップ問題ライブラリ
(ナップサック問題)
多項式メタソルバ
その他ライブラリ
その他の問題
光イジングマシンLASOLV- 17 -
コンピューティングシステム
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アプリケーション
光イジングマシンLASOLV
マシン
コンピューティングシステム
ライブラリ
アプリケーション
イジングマシンで演算をするための「イジングモデル」へ変換を⾏うアルゴリズム
システム全体の制御(≒OS)
イジングモデルで表現された問題を、レーザー発振を活⽤して解くマシン
社会課題に相当する実問題を解くアプリケーション
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応⽤に向けた現在の状況
実⽤的なマシンの開発とともに応⽤研究に着⼿する動きが活発化
HWの制約をソフトウェアが補完する取り組みが同時に必要
しかし実問題を現在のイジングマシンで解くには計算ノード数の不⾜などハードウェアの制約も存在する
ハードウェアの制約ハードウェアの制約計算ノード数/ノード間結合密度/問題表現の階調など
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ハードウェアの制約の例
(例)⾃販機の商品補充最適化(最短時間,最⼩コスト)
ノード︓⾃販機︓A,B,C,D,Eエッジ︓⾃販機間の距離
複数台のトラックを巡回 単純化のため⾃販機が扱う商品は1種類とする トラック1台が1⽇に巡回できる⾃販機の台数は
最⼤で10台と仮定する 各⾃販機の在庫データは考慮しない
A
D
CB
E
実際の問題に必要な計算ノード数(ビット数)
トラック1
トラック2
⾃販機A
⾃販機B ⾃販機C
⾃販機E⾃販機D
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計算ノード数増⼤のしくみ
⾃販機の設置数
200ノード15,000ノード
考えられる状態 = ⾃販機の設置数×トラック台数×トラック1台が巡回できる数
375,000ノード
⾃販機 1 2 3 ・・・ 最⼤10
A トラック1
B トラック1
C トラック2 トラック2
︓
J トラック2 トラック2
⾃販機(10)×トラック(2)×巡回できる数(10) ➡ 200ノード
考えられる状態のかけ算で計算ノード数が必要
10
100
500
トラック1台が巡回できる数は10と仮定
⾃販機(100)×トラック(15)×巡回できる数(10) ➡ 15,000ノード⾃販機(500)×トラック(75)×巡回できる数(10) ➡ 375,000ノード
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計算ノード数増⼤への対処
A
D
CB
E
遠いエリアを切り離し、⼩さい近傍エリアに分解
ビット数︓ 約26%に削減
A CB
D
近傍の⾃販機を1つにまとめる
E
ビット数︓ 約18%に削減
ソフトウェアによる対処策の基本的な例 問題を分割/圧縮
➡グラフクラスタリング、縮退などのグラフ理論を活⽤ ただし、問題ごとに が必要
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解への影響を最⼩化するために
NTTソフトウェアイノベーションセンタ
数理最適化 グラフマイニング
(スキル・ノウハウ)
イジングモデルへの変換 必要ノード数削減⼿法の提案
ソフトウェアエンジニアの数理最適化・グラフマイニングなどのスキルだけでは不⼗分
フィジカル空間の実問題を持つユーザのリアルな課題にもとづく知⾒とノウハウが必要不可⽋
解きたい問題を持つユーザ
モデリング データ分析
すり合わ
せドメイン知識
効率的なイジングモデル変換 解への影響度判定
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将来的な次世代コンピュータの応⽤
イジングモデル⽅式のマシンにも、それぞれの特徴が考えらえれる さらに、従来型のデジタルコンピュータと組み合わせて利⽤することが必要
Society 5.0 創造社会
従来型デジタルマシン イジングマシン・アニーリングマシン
リアルな社会課題
Jσ Jσ Jσ Jσ
AB C D
課題1 課題2
組合せ利⽤選択
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NTTデータ「量⼦コンピュータ/次世代アーキテクチャ・ラボ」サービス
活⽤⽅法の提案と、業務要件に基づいた検証・評価などを実施
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応⽤開拓のためのコラボレーション
将来のノード数の拡⼤に備えて応⽤研究に着⼿する動きは既に活発化
ユーザのみなさまに応⽤研究に参画いただき、共に新しい使い⽅を開拓していきたい
⼀定の条件下での創意⼯夫
(すり合わせ)
新しい価値・サービス創造
ユーザ
実世界の・⾼い技術⼒・知⾒とノウハウ
NTTグループ
光イジングマシンソフトウェア技術
活⽤提案/コンサル
応⽤研究(参画)応⽤研究(参画)
⽇本の強み
⽇本の強み
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