オーストリア - austria...オーストリア ポケットガイド...

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オーストリア ポケットガイド www.austria.info ヨーロッパの中心に位置し、歴史上に一大帝国を築き上げたオーストリアは、 現代においても豊かで多彩な文化が、大都市や小さな地方都市にも、 そしてアルプスの村々にも息づいています。人々のライフスタイルや文化探訪、 美味しい郷土料理、雄大な山々や澄みきった湖での体験を通して、 オーストリアで至福の休日をお過ごしください。

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オーストリアポケットガイド

www.austria.info

ヨーロッパの中心に位置し、歴史上に一大帝国を築き上げたオーストリアは、現代においても豊かで多彩な文化が、大都市や小さな地方都市にも、

そしてアルプスの村々にも息づいています。人々のライフスタイルや文化探訪、美味しい郷土料理、雄大な山々や澄みきった湖での体験を通して、

オーストリアで至福の休日をお過ごしください。

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1 オーストリア / ポケットガイド

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オーストリアは、アルプスからドナウ川、さらには東のパンノニア平原に至るまで、すばらしい自然景観に溢れています。これら絶景の他にも、この国の特徴の源となっている見所や歴史、興味深い物語、美食などが多数あり、枚挙にいとまがありません。しかしながら、いかにアルプスが感動的でも、いかに湖水が透明でも、いかに町が美しく素晴らしくても、結局のところ、オーストリアを特別で素晴らしい国にしているのは、そこに住む人々であるというのは間違いありません。オーストリア人はユニークで、居心地の良いスタイルで生活を送っていることや、個性的で独特なユーモアを持っていることはよく知られています。皆様もこの国を訪れ、よい生き方を求めるオーストリア人の特別な精神性にぜひ触れてみてください。

ペトラ・シュトルバオーストリア政府観光局本局長

日本の皆様へ

発行:オーストリア政府観光局 Austrian National Tourist Office編集&デザイン:株式会社東美 印刷:株式会社広真印刷社 発行日:2019年3月 記載内容は変更されることがあります。

奥 付

目 次

P. 38P. 02

オーストリアについてオーストリアについての読み物と歴史、芸術やグルメ、地理などをご紹介

グラーツグラーツの見どころグラーツ市街地図

P. 22

ウィーンウィーンの見どころウィーン市街地図ウィーンの郊外へ

P. 41

インスブルック/チロルインスブルックの見どころチロルの町々

P. 32

ザルツブルクザルツブルクの見どころザルツブルク市街地図ザルツブルクの郊外へ

旅に役立つ基本情報行事・祝祭日、その他基本情報、ウェブで得られるオーストリア情報、ドイツ語会話集、バケットリスト

P. 42

日本オーストリア友好150年日本とオーストリアは、今から150年前の明治2年、

1869年10月18日に日墺修好通商航海条約を締結し、国交を開設しました。2019年の150周年には様々な団体が、

文化、青少年、スポーツ、学術、経済、政治等の様々な分野において、日本やオーストリアでイベントや交流を行います。この記念の年に、ぜひオーストリアへお越しください。

©オーストリア政府観光局/中嶋クミ

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2 オーストリア / ポケットガイド

モーツァルトが生活し、仕事をしたところヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトは1756年、ザルツブルクのゲトライデガッセ通りにある、現在は明るい黄色の建物(モーツァルトの生家)の3階で生まれました。ここは、彼が子供時代をずっと過ごした場所でもあります。父親レオポルド・モーツァルトは、早くから息子の音楽的才能に気付き、彼の音楽の活動を奨励し、促進しました。4才になると、小さなモーツァルトはピアノと作曲の教育を受け始めました。そして6才になると、ウィーンの宮廷訪問を含む、初めての演奏旅行へと出発します。ウィーンのドームガッセ通り5番地にある、現在モーツァルトハウス・ヴィエナとなっている建物は、モーツァルトが人生の中で、最も幸せで最も実り多き日々を過ごした場所です。ザルツブルクで過ごしていたモーツァルトは、ザルツブルクの大司教コロレドとの劇的な雇用契約解除を契機に、独立した音楽家、作曲家として帝都ウィーンでのキャリアを始めます。ウィーンにおけるモーツァルトは、尊敬を集める立派な音楽家、作曲家であり、音楽の先生でもありました。また、この地こそモーツァルトが重要な歌劇「フィガロの結婚」や、数々の有名な交響曲、ピアノ、クラリネット、ホルン、ヴァイオリンのための協奏曲、弦楽四重奏曲、そして、最後の仕事となった未完の「レクイエム」を含む聖楽曲を作曲したところです。当時のモーツァルトの年収は、約5000フロリン銀貨(現在の価値に換算すると約150,000ユーロに相当)だったそうです。

モーツァルトは死の直前まで、頻繁に旅行をしていました。彼は熱狂的な性格の人物で、しばしば子供じみた乱暴な衝動に突き動かされました。しかし、常に自身の音楽家としての偉大さを意識していました。

モーツァルトは35年の生涯の内、なんと10年間を旅に費やしました「旅は人の視野を広げる」というのが、父親レオポルド・モーツァルトの持論でした。ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトは、子供にも関わらず、よく旅をするヨーロッパ人でした。彼のコンサートツアーは、遠くはロンドンにまで達し、その驚くべき才能は国際的に知れ渡りました。しかし、当時旅の主な交通手段は馬車によるものだったので、大変時間がかかり、辛いものでした。ザルツブルクからウィーンに行くにも、優に一週間はかかりました。モーツァルトは人生の内の10年間という時を費やして、合計17回のコンサートツアーを行いました。旅行中にも作曲ができるように、よくコンパクトな鍵盤楽器「トラベル・ピアノ」を携えて行きました。このピアノは、幅わずか90センチ、奥行き31センチしかなく、取り外しができる別個の脚が付属していました。

モーツァルトをもっと身近に

ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)は、世界の著名な作曲家の中でも最も重要な人物の一人です。その優れた才能の裏に隠された人間像を知るために、毎年たくさんの人々がウィーンとザルツブルクを訪れます。

音楽散歩

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4 5 オーストリア / ポケットガイド オーストリア / ポケットガイド

モーツァルトと父親のような友人ヨーゼフ・ハイドン1781年にヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトは、自分より24才年上のヨーゼフ・ハイドンと親しい友人になりました。ハイドン以後、ウィーン古典派を代表する、二番目の主要人物と称されたモーツァルトについて、ハイドンはモーツァルトの父にこう言っていました... 「神に誓って、また、正直者として私はあなたに申し上げますが、私が直接知っている人物、もしくは、名前を知っているすべての人々の中でも、あなたの息子は最高の作曲家です。彼には素晴らしいセンスがあり、その上、非常に深遠な作曲の知識があります」と。ハイドンとモーツァルトはフリーメーソンのメンバーでしたが、これは二人の間の強い絆を裏付ける更なる証拠といえます。ウィーン古典派(1770年~1830年)とは、主にヨーゼフ・ハイドン、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト、ルードヴィヒ・ファン・ベートーヴェンらに代表される、ヨーロッパのクラシック音楽の様式です。モーツァルトがウィーンに引っ越してきた以降の数年間が、ウィーン古典派の発展を決定づける時代でした。この時代こそが、ヨーゼフ・ハイドンとモーツァルトが音楽的な発想を変え、互いに刺激を与え合いながら、この素晴らしい時代にふさわしい、最も人気のある様式の新しい弦楽四重奏曲や交響曲を作曲したのです。

モーツァルトと恋21才の時、モーツァルトは母と共に、ドイツの都市マンハイムへ旅しました。この街で、モーツァルトは歌手アロジア・ウェーバーに恋し、夢中になりました。ヴォルフガング・アマデウスは、アロジアと結婚し、彼女と共に人生を歩むだろうと、すぐにハッキリと意識しました。二人の結婚式のミサのための曲を作曲し始めたほどです。しかし、アロジアは彼のプロポーズを断りました。厳格で野心的なモーツァルトの父も、息子が大人であるにも関わらず、未熟過ぎると考えていたので、この結婚には反対でした。父はヴォルフガング・アマデウスには、女性たちなどに気を取られず、自分の仕事に専念し続けることを望んでいたのです。しかし、恋愛感情は永遠には先延ばしにすることは出来ません。モーツァルトがウィーンに引っ越した時、アロジアの妹コンスタンツェ・

ウェーバーと出会いました。モーツァルトは父の望みに反し、父の許可もなしに、1782年8月4日にウィーンのシュテファン大聖堂で、質素で小さな挙式を挙げ、コンスタンツェと結婚しました。

モーツァルトは、スーツケースに何を詰めて行ったのでしょうか?モーツァルトの最も重要な旅のお供は、もちろんトラベル・ピアノとヴァイオリンです。それに加え、高貴な人々の前で演奏する時に着るエレガントな服も重要でした。他にも毎日の生活に必要なアイテム、例えば、トイレタリー用品、筆記用具、お茶や砂糖の容器、カトラリー、救急キットなどです。また、モーツァルトは本、旅行ガイド、外国語を学ぶための文法の本なども入れていました。旅先のさまざまな通貨に換算する時に、金貨の価値を正確に計算するための硬貨換算表は役立ちました。父のレオポルド・モーツァルトは、家族がより容易に高貴な人々に会えるように、常に何通かの推薦状を携えていました。

モーツァルトはナイトの爵位を持っていた?ヴォルフガングの父レオポルドは、かなりモダンな考えを持つ男性でした。彼は妻を愛し、良く物事について妻の意見を求めました。それは、当時としてはかなり珍しいことでした。また、彼はマーケティングの天才であり、進歩的な発想を持っていました。しかし、実は一つの伝統的な野心を抱いていました。それは、レオポルドの二人の子供に貴族の爵位を賜ることを頑なに望んでいたことです。そして、ヴォルフガングは実際「ゴールデン・スパーのナイト爵位」をローマ教皇から授与されました。しかし、若きモーツァルトは爵位に見合う高貴な生まれの女性を自分の伴侶として求めるよりも、恋愛結婚を決めたのでした。そして、高貴な位に対するモーツァルトの意識は、忘却の淵に沈んでいきました。彼は自分の爵位を、自分のために公式に用いた事は一度もありません。自分をただ単に「ヴォルフガング・アマデウス」、または、イタリアを旅行中には、「ヴォルフガンゴ・アマデオ」として人には知っておいて欲しかっただけなのです。 FO

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6 7 オーストリア / ポケットガイド オーストリア / ポケットガイド

モーツァルトはアーモンドミルク、ザウアークラウトとビールが大好物現在もザルツブルクのアルター・マルクトで 営業している、その起源を1700年まで遡ることができるオーストリア最古のコーヒーハウス、カフェ・トマセリで、モーツァルトはよくアーモンドミルクを注文していました。モーツァルトがこの店の定連客であったわけは、少しも不思議ではありません。なぜなら、このカフェは、ゲトライデガッセ通りのモーツァルト生家から徒歩でわずか数分の距離にあるのですから。モーツァルトがザウアークラウトとレバー団子などのスパイシーな料理に好んで合わせた飲み物は黒ビールです。モーツァルトの姉のナンネルの日記には、ザルツブルクのシュティーグルブロイを訪れたことが記されています。1780年8月に、彼女はこう書いています、「3時に私たち三人は、シュティーグルブロイにボーリングを見に行きました。私たちは、この立派なビヤホールで美味しいビールを何杯か飲みました」。

彼の本当の目の色は?注意深く観察して見ると、モーツァルトの外見に不可解な点がいくつかある事に気付きます。一つにはモーツァルトクーゲルンの包み紙に使われている絵と、もう一つは彼の肖像画です。それらを見てすぐに気づくことは、彼の鼻の形が何度も変化していっていることです。それは、彼の鼻が時代と共に徐々にスリムに描かれていて、モーツァルトをより若く、よりハンサムに見せている事です。彼が生

まれた家のリビングには、この音楽の天才の肖像画がすべての壁に掛かっていますが、それぞれの絵に描かれている目の色が違っているように見えます。これは、18世紀には画家はその被写体の目を、その当時の理想の美女美男の概念であったブルーの瞳に描いたからです。実際は、モーツァルトの目の色は、恐らく暗褐色だったと思われます。 モーツァルトは自分の家で飼っていたペットについて詩を書きましたマカルトプラッツにあったモーツァルト家の住居で、ペットとしてハムスターでも金魚でもなく、何羽かの鳴鳥を飼っていたとは、いかにもモーツァルトらしい話です。他にも、家族の間でとても可愛がられ、甘やかされていた、ピムペールという名のフォックステリア犬も飼っていました。モーツァルトが引っ越したウィーンでも、ムクドリなど数羽の小鳥を買っていました。ムクドリが死んだ時、「死んだムクドリの詩(1787年)」という詩を書き、その鳥に手向けました。

モーツァルトとウィーンにおける晩年モーツァルトは、人生の最後の10年間をウィーンで過ごしました。この地で、彼は結婚し、子供が生まれ、亡くなり、そして埋葬されました。モーツァルトの波乱万丈の人生は、数々の噂や、伝説、推論に付きまとわられていますが、その中でも、彼の突然の死にまつわるものが取り分け多いようです。死の直前に、彼自身が毒を盛られたと確信していたそうですが、この仮説は科学的研究によって反証されています。

モーツァルトは驚異の人物として、これからもその名は後世に残りますヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトは合計626もの作品を作曲しましたが、彼は当時としても短命で、わずか35才までしか生きられませんでした。モーツァルトは12才になるまでに、既に3つのオペラ作品、6つの交響曲と何百もの作品を作曲しています。その天才的な才能は、当時の人々を感動させただけではなく、モーツァルトの驚異的な作曲に対する人々の感嘆は、今なお生き続けています。

そして、現在に至るまで「モーツァルト・マニア」の熱情は少しも衰えてはいません。実際に、ビジネス的にも、その他のさまざまな事においても、モーツァルトほど成功を収めたミュージシャンはいません。オーストリアのポップスター、ファルコは1986年に米国のポップチャートを「ロック・ミー・アマデウス」という曲で急襲し大ヒットを飛ばしました。ミロス・フォアマン監督は、映画「アマデウス」で、1984年に8つの部門でオスカーを獲得しました。ウィーンのアン・デア・ウィーン劇場では、ミュージカル「モーツァルト!」の公演で連日満員という大ヒット興行成績を収めました。彼の肖像画は、オーストリアの1ユーロ硬貨を美しく飾っているだけではなく、有名なザルツブルクのモーツァルトクーゲルン・チョコレートにも見られます。この前代未聞の偉大なる音楽の天才にまつわる、数え切れないほどの伝記、小説、伝説が「モーツァルト・ブランド」の観客動員力の凄さを証明しています。モーツァルトのブランドは、現在の価値に換算すると、50億ユーロにも相当するそうです。

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8 オーストリア / ポケットガイド

女帝による平手打ちその時、ヨーゼフ・ハイドンは、自分を抑えることができませんでした。シュテファン大聖堂の聖歌隊の一員であった元気な少年にとって、シェーンブルンの工事現場の足場は余りにも魅力的でした。大聖堂と違ってシェーンブルン宮殿には、ハイドンにとって興味のそそる楽しいものがたくさんあったのです。女帝マリア・テレジアは、足場の上で練習をサボっている少年に気づき、そっと見張っていました。そして、後にオーストリア皇帝賛歌「神よ、皇帝フランツを守り給え」の作曲者となるこの少年に、罰として平手打ちを命じたのです。この時ばかりは、ハイドン少年がたとえ高貴で美しい声をもっていても、罰を逃れる助けにはなりませんでした。

「豊かな髪」外交また髪の毛が一本、侍女のエプロンの下に消えました...。皇妃シシィは、もし自身の長く豊かな髪がセットされている最中に、貴重な髪の毛一本が抜けたら、本気で癇癪を起こすことでしょう。そこで、皇妃の美容師ファニー・ファイファリクは、床に落ちたすべての髪の毛を接着テープで拾いエプロンの下に隠すという秘策を取ったのです。ファイファリクは、シシィの侍女の中で最も高給取りで、唯一結婚を許されていた人でした。また、彼女の身体のサイズが皇妃と同じだったために、時には皇妃シシィの替え玉を仰せつかることもあったそうです。シシィの愛称でも知られている皇妃エリザベト(1837-1898/日本ではエリザベートと呼ばれ親しまれています)は、永遠に若く美しい皇妃として歴史に刻まれています。 シシィは独自の容姿美を追求しました。彼女は毎日運動し、常に体力の限界を押し上げ、自分に厳しいダイエットを科していました。皇居であるホーフブルク王宮には、彼女専用の運動訓練室があったほどです。彼女は当時の女性としては非常に身長が高く、172センチありました。そのために、大変スリムな体型と相まって、エレガントな物腰を与えていました。体重は通常約46キロで、ウエストのサイズは50センチでした。顔色は完全でシミ一つなく、伝わるところによれば、彼女の長い髪は手入れに一日3時間かかったそうです。

ハプスブルク宮廷歴史物語

誰がそこに思いを馳せたでしょうか?   オーストリア帝国の舞台裏で起こった数々の出来事や、エピソードに…

インペリアルな 文化を訪 ねて

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10 11 オーストリア / ポケットガイド オーストリア / ポケットガイド

宮廷御用達アンナ・ザッハーは、強い情熱と手腕をもってホテル・ザッハーを経営していました。まもなくホテルは、荘厳で自由な宮廷のリビングルームとして、ウィーン、および、国際的な社交界の中心的な存在となりました。このホテルには、たくさんの著名人がサインしたクロスを、後にアンナ・ザッハーが刺繍してまとめた、特別なテーブルクロスがありました。その内の一つ、皇帝フランツ・ヨーゼフ1世直筆のサインが、行方不明となっていました。しかし、幸運にも、皇帝のことも、アンナのことも良く知っている女優のカタリーナ・シュラットが、救いの手を差し伸べ、彼女が皇帝と二人きりで会った機会に、彼女のハンカチに皇帝のサインをもらい、この貴重なサインは、その特別なテーブルクロスに加えられたのです。

バスタブでの死フィリピーネ・ヴェルサーは生きるすべを知っていたはずです。彼女はチロルの大公フェルディナンド2世の妻になるために、ドイツの都市アウグスブルクからアンブラス城に やって来ました。彼女は治療薬の専門家であり、また、チロルの伝統料理の料理本も著しています。フィリピーネ・ヴェルサーのバスタブにおける風変わりな死については、一度も完全には明らかにされていません。しかし、犯人は自分の息子が、平民と結婚することを絶対に許さなかった、義理の母だと言われています。

ゲームと浮気のための時間 !?貴族によって集められた芸術品と珍品が詰まった部屋には、遊び心がいっぱいです。からくり仕掛けの用具は、公式なディナーの歓迎の余興としてよく使われました。これらの一つが、たぶん世界で最も有名な食卓用の塩入れで、ウィーンの美術史博物館が所蔵する、1540年~1543年に作られたサリエラと呼ばれるものです。この作品は、惑星地球を表現した寓話的な彫刻で、海の神ネプチューンと、大地の女神、ローマ神話のテラが形作られています。この作品の制作技術はまさに超絶技巧で、芸術家ベンヴェヌート・ チェリーニの記録によれば、サリエラは、金を心の赴くままに彫刻したようです。また、彫刻の土台に9個の象牙の玉を入れる空洞を作り、その内の5個が今も残っています。これらの玉によって、テーブルの上の塩入れは、どの方向にも回すことができる仕掛けになっています。優雅な宴会では、貴婦人が使う扇言葉(扇を使って相手に合図やジェスチャーを送る)は、重要なコミュニケーション手段であり、しばしば、男女の戯れや、恋愛感情さえ伝える方法でした。貴婦人はこのように、同席したお気に入りの紳士に、さまざまなメッセージを合図することができました。この言葉は独自の言語に発展し、これによって伝えられたジェスチャーは直ちに明白に理解されました。ですから、扇は恋のやり取りには、いの一番の必須アイテムだったのです。

怒涛なる称賛太陽王と呼ばれたフランスのルイ14世は、とんでもない過失を犯しました。彼は外見に騙され、小柄なサヴォイのオイゲン公の仕官を拒絶してしまったのです。しかしながら、拒絶されたプリンスはハプスブルク帝国の3人の皇帝の下、戦場で輝かしい英雄となり、野戦指揮官として帝国の安定と拡大に寄与しました。サヴォイ公は、皇帝レオポルド1世を父と仰ぎ、皇帝ヨーゼフ1世を友として、そして皇帝カール6世を自分の主人として慕いました。フランスの太陽王でさえ感銘を受け、尊敬の印として、大公にアフリカ・ライオンを送りました。「気高い騎士」と呼ばれたサヴォイのオイゲン公は、1663年にパリで枢機卿の甥として生まれ、1736年にウィーンで亡くなりました。名高い陸軍元帥であり、政治家であり、外交官であり、はたまた芸術と科学の後援者でもありました。彼はベルヴェデーレ宮殿やウィーンのヒンメルプフォルトガッセ通りにある冬の宮殿など、数々の城や宮殿を建てたり、購入したり、改修したりしました。また、彼の膨大な「オイゲニアーナ」書籍コレクションは、現在もオーストリア国立図書館のプルンクザールに所蔵されています。

天気予報勤勉な皇帝フランツ・ヨーゼフ1世も、公務に疲れることがありました。彼は毎日早朝、朝食時間のだいぶ前から、帝国各所から届けられる山のような書類の束を処理する事務から、その日の仕事を始めていました。そのようなわけで、夏季、バード・イッシュルでハンティングすることで、皇帝はリラックスし、鋭気を養いました。狩猟に出掛けるために、皇帝は毎日、執務室の気圧計で天候を研究していました。しかし、地元の森林官ブルッケンベルガー氏のリュウマチの具合で、狩猟に適した天候を予測する方が、遥かに当たるという噂さでした。 愛のメッセージこれは、ハプスブルク家のラブストーリーのお話です。1829年、ヨハン大公は、アウスゼー村の郵便局長の娘アンナ・プロッフルを、最初は家政婦として雇いました。しかし、彼女の料理の本に隠されていた、彼女のヨハンに対する愛の告白であるラブレターが、二人の秘めた恋を立証しています。もちろんこれは、平民である彼女には、身分不相応として公式に禁じられていた関係です。しかし、何年も後に皇帝フランツ1世は、ようやく2人の結婚を了承しました。

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12 13 オーストリア / ポケットガイド オーストリア / ポケットガイド

また、毎年各地で開催される数多くの音楽祭には、世界中から音楽ファンが集います。最も有名なザルツブルク音楽祭、ウィーン芸術週間、ボーデンゼー湖のブレゲンツ音楽祭、メルビッシュの湖上音楽祭、グラーツのシュティリアルテ音楽祭、フィラッハ /オシアッハのカリンシア夏の音楽祭、シューベルティアーデ、リンツの国際ブルックナー音楽祭やクラングヴォルケ、そしてアイゼンシュタットのハイドン音楽祭、グラーフェネッグ・クラシック音楽祭など、多彩なプログラムが繰りひろげられます。

ウィーンフィルのニューイヤーコンサートとシェーンブルンでの夏のコンサートは毎年、世界中に中継・放映され、音楽ファンを楽しませてくれます。

ヨーロッパの中心に位置するオーストリアは、古来より様々な文化が交錯し、豊かな文化と歴史を育んできました。中でも「音楽」は、この国を紹介する上で最も重要な代名詞といえます。世界的に名高いウィーン国立歌劇場、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、ウィーン少年合唱団、フォルクスオーパーなどは、オーストリアの文化使節としても活躍しています。

オーストリアの音楽史上「ウィーン古典派」は、偉大な文化遺産の一つに数えられます。そのウィーン古典派は、ハイドンに始まり、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルトが含まれます。ロマン派を代表するのは、ブラームス、ヴォルフ、ブルックナー、マーラーです。オペレッタの王と呼ばれるヨハン・シュトラウスとフランツ・レハール、また、シュランメル兄弟の音楽は、ウィーンのワイン居酒屋「ホイリゲ」と切っても切れない関係にあります。

オーストリアのデザイン百数十年も前から受け継がれている職人たちの手仕事を現代に再現した「ウィーンプロダクツ」加盟企業の製品をはじめ、オーストリア発のアクセサリーやファッションが世界的に注目されています。特に、豊かな文化遺産と若く活力あるクリエイティブシーンの両面を持つウィーンは、まさにクリエイティブ業界の中心地です。また、全国に渡りカフェやレストラン、ホテルなどでも、オーストリアならではのデザインを感じることができます。

オーストリアならではの逸品アクセサリーをお求めなら日本でも人気の高い「スワロフスキー」は本場オーストリアのショップを訪れてみてください。ワッテンスの本社に隣接するクリスタルワールドの他、インスブルック、ウィーンやウィーン空港にショップがあります。可愛い小物やアクセサリーの数々がショーウィンドウを飾り、その豪華さはメルヘンの世界そのものです。伝統的な品物をお求めなら、高級磁器セットの代名詞「アウガルテン」、美しいガラス製品とテーブルウェアでゴージャスな食卓を演出できる「ロブマイヤー」、独自のアトリエを構えるテーブルウェアやリネンのお店「シュヴェービッシェ・ユングフラウ」、ユーゲントシュテ

ィールの美術工芸品や各種ウィーンプロダクツ商品を展示・販売する「オーストリア工房」、 歴史的なデザインによる家具やハイセンスなインテリアを生産する「フリードリッヒ=オットー・シュミット」などがお勧めです。

ウィーンのファッションでは、バラエティー豊かなデザインを取り揃える帽子店「ミュールバウアー」、伝統的な民族衣装とロマンチックな1950年代ファッションに現代的なエレメントを加えた「レナ・ホシェック」、カラフルで独創的スタイルのモードをアピールする「アートアップ」、軽やかで時代を超越した独自ブランドを展開する「ピア・ミア」、ウィーンで指折りのシックな靴のファッションブティック「シュー !」、選抜きの眼鏡やサングラスの数々をコレクションするアイウェアのお店「シャウシャウ・ブリレ」などが人気です。

ウィーンでちょっとした小物をお探しなら、最高級のナチュラルコスメティックスが揃う「セントチャールズ・コスモテカリー」、アルプス地方の伝統にアイロニーを加えたハンドメイド磁器が揃う「マノ・デザイン」、選び抜かれた愛らしい商品の並ぶ雑貨店「アンナ・シュタイン」などはいかがでしょうか。

オーストリアは長い歴史を通じて音楽と美術の保護を旗印に掲げ、他国ではほとんど例がないほどの資金と労力を注いできました。

芸術の国オーストリア

オーストリアについて

帝国の時代、ハプスブルク家の人々は芸術作品収集に情熱を傾け、幾世紀にわたり世界中から数多くの絵画や美術品の名作が集められました。現在、オーストリア全国にはルーベンスやブリューゲル、ベラスケスなど古典の大家から新進の現代芸術家までの作品を擁する約1000の美術館・博物館があります。特に人気の高い「ユーゲントシュティール」様式を代表するグスタフ・クリムト、エゴン・シーレ、オスカー・ココシュカの絵画は、世界的な名声を博しています。FO

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ヒント

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山小屋「アルムヒュッテ」アルプスの牧草地に建つ山小屋は、元々、夏の間山の中腹の牧場で働く牛飼いや酪農従事者が住むための住居でした。その後、山小屋はアルプス文化と人生の喜びを象徴するものとなりました。よくある板葺きの小屋では、訪れる旅行者やハイカーを親切なオーナーが暖かく迎えてくれます。山小屋では、心尽くしの料理とサワー種の黒パンが供され、楽しい会話とアルプス独特の魅力を味わうことができます。どこに? 山小屋はアルプスのハイキングコースに沿ってあります。フォアアールベルク州、チロル州、ザルツブルク州などオーストリア西部に多く点在します。

ワイン居酒屋「ホイリゲ」オーストリアは人生の楽しみ方をよく知っている国です。そして、ホイリゲはまさにオーストリアの暖かさと居心地の良さを実感できる場所として、この国の人々にはとても馴染み深いところです。地元の人々はホイリゲに集い、ワイン醸造者が造った自慢の新酒と、美味しい家庭料理、自家製のベーコンやチーズなどに舌鼓を打ちます。テーブルには楽しい会話と笑い声があふれ、時が経つにつれて歌声が店内に響き渡ります。ホイリゲで楽しむ伝統は、少なくとも18世紀まで遡ることができます。それは、時の皇帝ヨーゼフ2世が、いつでも誰でも自家製のワインを販売したり、供したりすることを許可する条例を施行した時代でした。どこに? ウィーン郊外のホイリゲ地区、ニーダーエステライヒ州、ブルゲンランド州とシュタイヤマルク州のワイン産地にあります。

地元の人が集まる居酒屋「バイスル」オーストリアの暖かさと居心地の良さを語るとき、3つの場所が挙げられます。それは、カフェとワイン居酒屋、そして昔ながらの居酒屋「バイスル」です。典型的なバイスルの設えは、木製バーカウンターと木製の壁の羽目板、メニューを手書きした黒板を特徴としています。ウィーナー・シュニッツェルやエッグノッケル、古典的な家庭料理がどこのバイスルでも味わえます。どこに? オーストリア中、どこにでもあります。

ソーセージスタンド「ヴュルステルシュタント」ここは単なる伝統的なスナック・バーではありません。仕事の合間にちょっと立ち寄って一息入れる大切な場所なのです。ここで、ケーゼクライナー(チーズ入りソーセージ)にマスタードを添え、パンと食べ、ウィットに富んだ、魅力ある店員と会話を楽しみます。当初、ヴュルステルシュタントは帝国時代に、退役した傷痍軍人たちの生計を立てる仕事を与えるために出現しました。伝説的なケーゼクライナーは、オーストリア人が創作したものです。ソーセージのレシピはスロヴェニアが起源ですが、それをオーストリアの食通が、ソーセージを焼いた時に溶けるチーズを加えて完成させた、手軽で美味しいご馳走なのです。どこに? ウィーンのソーセージスタンドはよく知られていますが、オーストリアのどの主要都市でも見られます。

ケラーガッセ・ワイン祭りワインの生産地域の夏のハイライトが、このワイン祭りです。この時期、人々はワインケラー(ワイン貯蔵所)が立ち並ぶ小路をそぞろ歩き、貯蔵所から貯蔵所へと渡り歩いて、それぞれのワイン醸造者が造った素晴らしい新酒と美味しい料理を味わって回ります。それに加えて、何世紀もの歴史を誇る、見渡す限り続くブドウ畑の風景は、見る者に活力を与えてくれます。どこに? オーストリアのワイン産地、特にニーダーエステライヒ州が有名です。

ビアガーデン夏の暑い夜、人々に愛されている場所の一つが、国中どこにでもあるシャニーガルテン(シャニーとは、オーストリアのニックネームでヨハンの愛称)とも呼ばれるビアガーデンです。仕事の後、オーストリア人はこれら愉快なビアガーデンに立ち寄り、ニワトコの花から作ったホルンダージュースや、ビールで喉の渇きを癒します。店によっては、オリジナルのビールを

醸造して提供しています。このような所では、普通の夕べがささやかな祝杯の席へと変わり、ありふれた日常をしばし忘れさせてくれます。どこに? ザルツブルクが有名ですが、オーストリア中どこにでもあります。

カフェウィーンのカフェ文化は、オーストリア人が食通である事を証明する最適の例でしょう。ウィーンではカフェが、ユネスコにより無形文化遺産として認定されたほどです。その歴史は17世紀末まで遡ることができ、トルコ軍によるウィーンへの包囲攻撃と深い関わりがあります。代表的な古典的カフェのインテリアは、小さな大理石のテーブルに、トーネット・デザインの曲木製の椅子、ボックス席、新聞ラック、歴史主義的意匠の飾り付けを施した内装を特徴としています。そして、カフェで出される水も、オーストリアのカフェ文化を特徴づけています。また、世界で初めてお客様に新聞を提供したのはウィーンのカフェです。どこに? オーストリア中どこにでもありますが、最も有名なのはやはりウィーンのカフェです。

オーストリア人は、人生を謳歌することに長けています。ここでは、人生を最高に楽しむために彼らが通う特別な場所を、いくつかご紹介しましょう。

人生の“愉しみ”を満喫する

オーストリアについて

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オーストリアには本当に広大で、ピュアな自然景観が山ほど残っています。オーストリア人は、この自然を維持するため多くの対策を取っています。

貴重な動物や生物圏を守るため多くの保護区を設置しており、オーストリアの国立公園は、素晴らしい発見ができる自然のままの楽園です。自転車や徒歩で、アルムの山小屋から山小屋へ。このような自然の中での体験により、この見事な自然景観を維持する意欲がわいてきます。

例えば、ツィラータール渓谷、エッツタール渓谷、カーヴェンデル・アルプス公園などには、一般のゲストが「自然保護士」として寄与することができるプロジェクトがあります。若木の植樹やアルムの草地を掃除、山の斜面へ植林するなどの体験ができます。

自然は、人々を魅了します。そして、オーストリアを訪れた旅行者は、帰国前にゲストブックに次のような感想を何行かしたためています。「アルプスのパノラマが完璧すぎて、本物なのかどうか信じがたい」「ここにはなだらかな丘陵から手つかずのままの自然が残る森林地帯、透明度の高い湖を湛える高い山々まで、ありとあらゆるものが揃っている」

これは身体的に少しハードかもしれません。しかし、仕事のように感じることはありません。それよりむしろ、自然と直にふれあい、インスピレーションを与えられる活動です。これは昼時、山小屋のテラスに座り、雄大なアルプスのパノラマに感激し、山小屋の女主人が農家風スモークベーコンや卵、ジャガイモ、自家製の野菜を盛り合わせた軽食プレートを持ってきたときに実感できることでしょう。そうするとなぜ地元の人々が、いつも楽しそうなのかよく分かります。

アルプス山脈はオーストリアの東西を横切っているため、西はブレゲンツから東はウィーンまで、各地の大都市からでも短時間の内

にオーストリア・アルプスの豊かな自然を訪ねることができます。山 と々湖水の間には絵画的な風景が広がり、珠玉の文化財がちりばめられています。

夏は、アルプスの万年雪や氷河が陽光に輝き、渓谷は緑に染まり、牧草地は可憐な草花で埋まります。そんな大自然のなかで、人々は登山やハイキング、夏スキー、ゴルフ、水上スポーツ、乗馬、テニスなどを心ゆくまで楽しみます。冬は、見渡すかぎりの白銀の世界にダイナミックなシュプールを描くスキーやスノーボード、クロスカントリーなど、ウィンタースポーツの拠点へと様変わりします。

オーストリアの国立公園では自然が混じりけなく、力強いそのままの姿を見せています。ここでは壮観な発見の旅が体験できます。

自然の力と共に

オーストリアについて

快適な列車に乗って、車窓を流れるアルプスの絶景や緑豊かな渓谷、歴史ある街の風景を眺めながら行く旅ほど楽しいものはありません。ÖBBのモダンな列車に乗れば、オーストリアのすべての地域へ簡単にアクセスが可能です。例えば、ÖBBレールジェットは、ウィーン/ザルツブルク間をわずか2.5時間弱でつないでおり、西部へはドイツをまたぐ通過列車だけではなく、ツェル・アム・ゼーなどの美しい村へとお連れする国内だけを走るローカル列車もあります。夏の間、毎週土曜日に、ウィーンからツェル・アム・ゼーへの直通列車が1本運行されています。ツェル・アム・ゼーでは、キッツビュール、または、インスブ

ルック行の、ファーストクラスのパノラマ車両があるユーロシティ・トランスアルピン列車に乗ることができます。ÖBBの列車は、エアコン、大型の荷物棚、エレクトロニクス機器を充電するためのコンセント、および、WLANサービスを完備し、列車の種類によっては車内レストランもあります。お得なファミリーチケット、旅行者に一番便利なオーストリアレイルパス等、ご利用料金の情報はウェブサイトでご確認ください。

ÖBBオーストリア連邦鉄道ÖBB-Personenverkehr AGAm Hauptbahnhof 2, A-1100 WienTel.: +43 5 17 17 oebb.atFO

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ÖBBオーストリア連邦鉄道

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の町メルビッシュ、サンクト・マルガレーテンの野外オペラなど音楽イベントも豊富です。また、良質でおいしいワインの産地としても知られています。州都アイゼンシュタットは、ハイドンとエスターハージー侯爵家ゆかりの街。

ニーダーエステライヒ州ウィーンを囲むようにして広がる州。州東側の丘陵地帯は良質のワイン産地になっており、北部は森林におおわれています。バロック様式の修道院が建つメルクとクレムス間のロマンチックなドナウ河の渓谷は「ワッハウ渓谷」と呼ばれ、ユネスコ世界遺産にも登録されており、ニーダーエステライヒ州でいちばん人気のある休暇地となっています。州都はサンクト・ペルテン。

ウィーンオーストリアの首都ウィーンは古い伝統を持つハプスブルク帝国の都、音楽と芸術が輪舞する街。その一方で、近代的で未来を志向する建築物も多く、スタイリッシュなライフスタイルと活気のあふれる文化の愉しみにあふれています。市の周囲には約1350km²にもおよぶ広大なウィーンの森が広がり、市民の憩いの場所となっていて、これは他のヨーロッパの大都市にはみられない独特の魅力です。 詳しくは22ページをご覧ください。

ブルゲンランド州オーストリアの東端に位置する州。ここには世界遺産のノイジィードラーゼー湖があり、野鳥の宝庫であるゼーウィンケル国立公園も隣接しています。ルストなど、コウノトリがコロニーを作る農村やハンガリー風のエキゾチックな町が魅力。オペレッタ・フェスティバルで有名な湖畔

オーバーエステライヒ州風光明媚な湖水地方ザルツカンマーグートは、オーバーエステライヒ州にも広がり、保養休暇を過ごすのに理想的な環境を提供します。皇帝フランツ・ヨーゼフ1世と皇妃「シシィ」はバード・イッシュルで何度も夏を過ごしました。州の北側の森の深いミュールフィアテルの丘陵地帯は、チェコとの国境を形成しており、訪れる人々を惹き付けます。州都のリンツは、音楽家ブルックナーゆかりの街として知られ、モダンなアルスエレクトロニカセンターやレントス美術館など、芸術探訪もおすすめです。

ザルツブルク州ザルツブルク州は、ハイカーや自然愛好家の憧れの場所となっているホーエタウエルン国立公園を含むアルプスの山岳地方。ザルツカンマーグートの大自然の美しさは映画『サウンド・オブ・ミュージック』でお馴染みです。ザルツブルクの名前の由来の「岩塩の城」を体験できるハラインの岩塩坑や、「きよしこの夜」誕生の地オーベルンドルフ、世界一の氷穴があるヴェルフェンなども見どころです。州都はザルツブルク(32ページ参照)。

シュタイヤマルク州森が豊かなことから「緑の州」とも呼ばれており、アルプスの大自然はもちろん、牧歌的な村の風景も美しく、スロヴェニア国境の南シュタイヤマルク地域はワインの名産地として有名。ブッシェンシャンクと呼ばれるワイン生産者の直営店が点在しており、ワイン愛好家におすすめのルートです。数多くの文化財を見ることもできます。一方、バード・アウスゼー周辺のザルツカンマーグートのシュタイヤマルク州側の部分は、美しい湖と山の景観によって、南部とは違った魅力を放っています。州都はグラーツ(38ページ参照)。

ケルンテン州オーストリアの最南部にあるケルンテン州には、ヴェルターゼー湖、オシアッハゼー湖、ミルシュテッターゼー湖など、湖水浴のできる大きな湖があって、水泳や水上スポーツが楽しめるパラダイスとなっています。州の最北端にはオーストリア最高峰のグロースグロックナー山が秀麗な姿を見せています。州都のクラーゲンフルトは、バロックとユーゲントシュティールの建物が建ち並び、芸術や文化の薫り高い見どころの多い古都です。

チロル州牧歌的な山の景色で知られるチロル州の文化の拠点は、インタール渓谷に数珠つながりに存在します。インスブルック、ハル、ラッテンベルク、クーフシュタインなどの魅力的な町が点在します。また、ツィラータール、シュトゥーバイタール、エッツタールなどの渓谷、サンクト・アントンやゼーフェルトはハイカーやスキーヤー、そして休養を求める人々の理想郷として有名です。また、東チロルはザルツブルク州をはさんで離れたところに位置する自然の宝庫です。州都はインスブルック(41ページ参照)。

フォアアールベルク州オーストリアの一番西に位置する州。面積は小さいながらも、シルヴレッタの氷河の世界からライン渓谷の平地にいたる、変化に富んだ自然が特徴です。州都ブレゲンツを有名にしているのが、世界最大のオペラ・フェスティバルの一つ、夏の「ブレゲンツ音楽祭」。個性的な湖上ステージは映画007のロケでも使われました。スキーやハイキングが盛んなアールベルク地方の村レッヒは、世界のセレブが休暇を過ごす高級リゾート地で「ヨーロッパで最も美しい村」に選ばれました。

オーストリアは個性あふれる9つの連邦州からなる共和国です。各州にはそれぞれの魅力と特長があります。

個性あふれる9つの州

オーストリアについて

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スロヴェニア

ハンガリー

チェコスロヴァキア

リヒテンシュタイン

オーストリア地図位置と距離

オーストリアについて

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オーストリアは中央ヨーロッパの南部に位置し、国土の総面積は83,858平方キロメートル、人口は約890万人。公用語はドイツ語ですが、英語はよく通じます。

(km) ブレゲンツ アイゼンシュタット グラーツ インスブルック クラーゲンフルト リンツ ザルツブルク サンクト・ペルテン ウィーンブレゲンツ - 769 700 187 575 547 429 656 720アイゼンシュタット 769 - 183 582 307 232 347 113 55グラーツ 700 183 - 513 133 215 255 190 210インスブルック 187 582 513 - 377 360 242 469 533クラーゲンフルト 575 307 133 377 - 257 212 339 335リンツ 547 232 215 360 257 - 118 121 185

ザルツブルク 429 347 255 242 212 118 - 230 294サンクト・ペルテン 656 113 190 469 339 121 230 - 65ウィーン 720 55 210 533 335 185 294 65 -

州都間の距離

9つの州と州都ウィーン

ニーダーエステライヒ州オーバー

エステライヒ州

ザルツブルク州ブルゲンランド州

シュタイヤマルク州

ケルンテン州

チロル州

東チロル

フォアアールベルク州

リンツ サンクト・ペルテン

アイゼンシュタット

グラーツ

クラーゲンフルト

インスブルック

ザルツブルクブレゲンツアウトバーン

建設中のアウトバーン

高速道路

建設中の高速道路

幹線道路

主要道路

その他道路

鉄道

国際空港

国境

州境

ヨーロッパ主要都市までの距離 (km)

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シェーンブルン宮殿 ユネスコ世界遺産に指定されたハプスブルク家の夏の宮殿。マリア・テレジア・イエローで彩られた外観が印象的。ロココ様式で統一された内部には、1400もの部屋があり、そのうち40室が公開されています。ウィーン会議の際に舞踏会場として使用された大広間、6歳のモーツァルトが御前演奏した鏡の間は必見です。宮殿の後方に広がる庭園は面積1.7km²。シェーンブルンの名前の由来となった泉、1752年 から始まった残存する最古の動物園、大温室パルメンハウス、ネプチューンの噴水、迷路庭園、日本庭園があります。ギリシア風の神殿グロリエッテの中にはカフェがあり、また、宮殿に隣接する馬車博物館には歴代の皇帝たちが使用した豪華な馬車が展示されています。www.schoenbrunn.at

古くよりヨーロッパの東西と南部を結ぶ十字路として、ウィーンは二千年の歴史に育まれてきました。ハプスブルク家が育んだ音楽と芸術の都として知られ、ハプスブルク帝国の重要な歴史的建築が見どころですが、最近ではモダンな現代建築、最新のデザインやファッションの発信地としても知られるようになりました。

ベルヴェデーレ宮殿 バロック宮殿の最高傑作に数えられるベルヴェデーレ宮殿は、ヨハン・ルーカス・フォン・ヒルデブラントが設計、対トルコ戦争の時代ハプスブルク軍の総司令官であったサヴォイ家のオイゲン公(1663~1736)が夏の離宮としていました。式典用の上宮と居住用の下宮からなり、その間には緩やかに傾斜したバロック庭園があります。上宮のオーストリア・ギャラリーには、クリムト、シーレなどユーゲントシュティール、ビーダーマイヤー、歴史主義などの名画が多く、下宮にはバロック美術の名作が展示されています。MAP P.27 D-3,4 www.belvedere.at

シュテファン大聖堂 鮮やかな屋根が街並に花を添えるウィーンのシンボル。南北2つの塔からはウィーンの街が一望にでき、石造りの説教壇や祭壇を彩る絵画など幻想的な内部装飾は必見です。カタコンベ(地下墓地)には歴代皇帝の内蔵が安置されています。MAP P.27 B-3

リング通り 19世紀の中頃、ウィーンの旧市街を取り囲んでいた城壁を皇帝フランツ・ヨーゼフの命により取り壊し、現在の幅広い環状道路が作られました。この通りに沿って、公園、国会議事堂、市庁舎、大学、ブルク劇場、国立歌劇場、美術史/自然史博物館、王宮などが建築図鑑のように立ち並んでいます。MAP P.26,27 A,B,C-2,3,4

ホーフブルク王宮 ハプスブルク家の皇族たちが住居として使用していた居城。帝国の発展に伴い増改築が繰り返され、各時代の建築様式が共存する建物となっています。旧王宮ではシシィ博物館と皇帝の住居を公開しています。銀器コレクションも見事です。宮廷宝物館ではオーストリア帝冠や様々な宝物が展示されています。新王宮にはウィーン世界博物館があり、日本の展示もあります。また、隣接する王宮庭園には有名なモーツァルト像があり、絶好の写真スポットとなっています。MAP P.26 C-2 www.hofburg-wien.at

音楽と芸術の都ウィーン宮廷文化が今も華麗に息づく古都

ウィーンの見どころ

ウィーン

ウィーン国立歌劇場は年間300日の公演日があり、60以上のオペラやバレエが上演される世界屈指の歌劇場です。リング通りに建つ威風堂々の現在の建物はアウグスト・シッカーズブルクの設計によるもので、150年前の1869年5月25日、こけら落としにモーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」が上演されました。150周年を迎える2019年5月25日には記念式典が行われ、夜にはクリスティアン・ティーレマンの指揮でリヒャルト・シュトラウスの「影のない女」が初演。2019年には歌劇場では「リング通りのオペラ座150周年」展、演劇博物館では5月16日より「バレエの最先端:ウィーン国立バレエ団150周年」展が開催されます。ウィーン国立歌劇場のオペラはシーズンの演目のうち45演目がストリーミング配信でライブ映像が自宅で鑑賞できる(有料)他、4月、5月、6月、9月に85の公演が、ヘルベルト・フォン・カラヤン広場の50㎡のビデオ・スクリーンに上映され、入場無料です。FO

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ウィーン国立歌劇場150周年ヒント

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ウィーンは10年連続で、世界で一番暮らしやすい都市に選ばれています。ウィーンの魅力は、宮廷文化へのノスタルジーと、高度でクリエイティブな文化を刺激的にブレンドし、最新トレンドをも取り込んでいるところです。帝国時代の壮大なバロック様式の宮殿から、リング通り沿いの歴史主義様式の建築群や、ユーゲントシュティール様式の建物が見られ、そのスケールの大きな街の景観を見ていると、ここが人口約890万人の小さな共和国オーストリアの首都であることを忘れてしまいます。街のすばらしさを描写しているのは、帝国の建築物だけではありません。ウィーンには、ほかにも世界的に有名な美術館や、アートコレクションや、優れた芸術作品があります。

美術館でのディナーと夜のアート鑑賞 ウィーンの多くのミュージアムが、夜遅くまで見学者に門戸を開いています。先ず美術館でアートを鑑賞してから、次はすばらしい食事を楽しみます。ウィーン美術史博物館では、毎週木曜日の夜の見学も含めて、グルメ・ディナーが楽しめ、ベルヴェデーレ宮殿でも、美術鑑賞と食事が楽しめます。とても高貴でクラシックなアルベルティーナ美術館には、レストラン「ドー&コー・アルベルティーナ」があります。

皇帝の長椅子の上で マリアヒルファー通りにある連邦家具管理局に保管されているものは、展示物ではありません。長椅子、テーブル、椅子や正餐用の食器類は、現在でも国賓がオーストリアを訪問された時に、実際に使用されています。ガイドツアーでは、昨今の式典の様子をうかがい知ることができ、工房では修復の様子を見学できます。

維持される伝統 宮廷御用達の称号は、宮廷に納めるのにふさわしい優れた品質の商品に与えられた殊勲です。宮廷は消滅してしまいましたが、その称号は、高品質の証として今日でも残っています。グラスとシャンデリアのロブマイヤー、陶磁器のアウガルテン ウィーン、ザッハートルテのホテル・ザッハーなど、長い伝統を今日に伝える元宮廷御用達業者は、すべてウィーンの第1区に店を構えています。

ウィーン市観光局 Tourist Info ViennaAlbertinaplatz/Maysedergasse, A-1010 ViennaTel.: +43 1 24 555 Fax: +43 1 24 [email protected] www.vienna.info

自然史博物館先史時代からの動物、植物、鉱物やハルシュタット文化時代の出土品、約2万5千年前の「ヴィレンドルフのヴィーナス」像、マリア・テレジアの「宝石の花束」などが有名です。MAP P.26 C-2

ドナウ運河シュヴェーデンプラッツにはドナウ定期観光船発着場やカフェ、レストランがあります。夏季の土曜日には運河沿いに美術骨董品の露店市がたちます。ドナウ本流はここより東約3キロのところにあります。MAP P.27 A-3, B-3, C-4

プラータードナウ運河とドナウ本流の間に広がるプラーターは、遊園地、スポーツ施設、緑地をもつウィーン市民老若男女の憩いの場所です。大人にも子どもにも人気の高い大観覧車やミニ列車をお楽しみください。MAP P.27 A-4

マリアヒルファー通りウィーンっ子に一番人気の約2キロ(リング通り~国鉄西駅間)のショッピング街。ウィーンでは数少ない日本式デパートもあります。地下鉄U3。MAP P.26 D-1, C-2

市庁舎(ラートハウス) 1872年から1883年にかけて作られたネオゴシック様式の建築。手前の市庁舎前広場は各種イベント会場となります。夏には音楽フィルムフェスティバル、11月中旬~12月24日まではクリスマスマーケットを、11~3月はスケートリンク開設。MAP P.26 B-2

ケルントナー通り シュテファン大聖堂から南に延び、国立歌劇場まで続く最も賑やかな歩行者専用の大通り。高級店から人気ブランド店、カフェが並び、いつも街頭ミュージシャンが活躍しています。MAP P.27 C-3

ウィーン国立歌劇場1861年から1869年にかけて宮廷オペラ劇場として建てられました。1945年に戦災を受けましたが修復され、1955年カール・ベームの指揮するベートーヴェンの「フィデリオ」で再開されました。館内のガイドツアーがあります。 MAP P.27 C-3 www.wiener-staatsoper.at

美術史博物館マリア・テレジア記念像をはさんで自然史博物館と向かい合う。ハプスブルク家歴代の収集品を展示し、世界屈指の美術コレクションを誇ります。ブリューゲルの作品群が特に有名です。 MAP P.26 C-2 www.khm.at

ウィーン 2019宮廷の伝統と現代の創造性が融合する街

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ウィーンでは、緑の庭園もナイトライフも、デザートでさえも芸術的

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ウィーンの森 ウィーンの東部を除く北・西・南をぐるりと取り巻くウィーンの森は、市街地の3倍ほどの面積、約1350km²の広さを持っています。アルプス山脈の一部をなしている豊かな丘陵地帯とドナウ河畔の地区ではブドウ畑が広がり、ベートーヴェンやシューベルトゆかりの歴史ある町々が点在しています。グリンツィングは、ウィーン市内ながらホイリゲ(ワインの居酒屋)が何軒も並ぶワインの産地。シュランメル音楽を聴きながら新酒のワインを楽しむのは、ウィーンならではの夜の過ごし方です。ハイリゲンシュタットはベートーヴェンゆかりの地で、記念館や住居、記念像が点在し、田園交響曲の構想を得たベートーヴェンの小路も残っています。プファール広場の住居は、ホイリゲになっています。

アクセス:グリンツィングへはショッテントアから市電38で終点まで約30分。ハイリゲンシュタットのベートーヴェン記念館へは、ショッテントアから市電37を終点で降り、徒歩5分。

ワッハウ渓谷 ドイツの黒い森を起点に、オーストリアや東欧を抜け黒海まで続くドナウ河。全長約2800kmにもおよぶこの大河の一番の見どころは、メルクからクレムスにいたる世界遺産のワッハウ渓谷。その魅力を存分に楽しみたいのなら、ドナウ河クルーズがおすすめです。ウィーン西駅から準急列車で約1時間、パステル色の家並みが美しいメルクの町から出発します。メルク修道院を見学してからクルーズへ。丘陵に広がるぶどう畑や壮麗な古城などが目の前に迫ってきます。川沿いにはリースリングという白ワインの産地ヴァイセンキルヒェンやシュピッツ、中世都市デュルンシュタインなど見どころもたくさん。終点のクレムスの対岸の丘にはゲットヴァイク修道院がそびえています。

運航期間:クルーズ船の運航期間は4月上旬~10月末まで。それ以外の期間は、メルクやデュルンシュタイン、クレムスの町々を列車で訪ねます。ウィーンから観光バスも出ています。

森を歩きワインを味わうウィーンの森、ドナウ河クルーズのハイライト、ワッハウ渓谷

ウィーンの郊外へ

ウィーン

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レオポルド美術館は世界的に名高い収集家、ルドルフ・レオポルドの個人コレクションを一般公開するために、18年前に博物館複合施設ミュージアム・クオーター(MQ)の一つの美術館として建てられた、比較的新しい美術館です。それにもかかわらずウィーンに行くたびに足を運ぶというファンも多く、ウィーン芸術を知る上で、大変重要な美術館です。MQの敷地内には大きな広場を囲んで、ショップやカフェ、レストランが点在し、広場には人々が自由に座って寛ぐことができる現代的な大きなベンチがたくさん置かれています。その西側に凛とした姿で立つ貝殻石灰岩の純白の建物がレオポルド美術館です。

レオポルド美術館は200余点という卓越した世界最大のエゴン・シーレのコレクションと共に、同様に優れた1900年代のウィーン芸術の名作コレクションを所蔵しています。レオポルド美術館は新しく創設したコレクションの展示法によって、これら豊かな絵画が1900年代のウィーンの魅力と、その時代の活き活きとした雰囲気を複合的に提示しています。レオポルド美術館が所蔵するコレクションの他、オーストリア、および、国際コレクションからの永久貸与作品を合わせたこれら約500点の傑作が3フロアに渡り展示され、この時代に達成した芸術性と知性の輝きと豊かさを

余すところなく見せてくれます。2019年は独創的なウィーンのユーゲントシュティール(アールヌーボー)の主な提唱者であったグスタフ・クリムトとコロマン・モーザーの作品と共に、表現主義のパイオニア、リヒャルト・ゲルストルの傑作を集めたコレクションの展覧会を主催します。ウィーン・モダニズムを象徴する作品、例えばグスタフ・クリムト作「死と生」(1911/15年)と「1900年アッターゼー湖の風景」は、コロマン・モーザー作「洞穴のヴィーナス」(1914年)と共に展示されます。

レオポルド美術館では、幅広いさまざまなサポート・プログラムを提供しています。ガイド付きツアーかレクチャーに参加すれば、レオポルド・コレクションと特別展についての役に立つ情報や、わくわくする詳細情報が得られます。個人のニーズに完璧に合ったガイドツアーや、特定グループ限定の特別公開ツアーの予約もできます。

レオポルド美術館 Leopold MuseumMuseumsQuartier, Museumsplatz 1, A-1070 WienTel.: +43 1 525 70 [email protected] FO

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ウィーン芸術の名作コレクションレオポルド美術館

レオポルド美術館のギャラリーと外観、エゴン・シーレの肖像

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音楽の都ウィーン! - 2つの博物館のハイライト2つの博物館、モーツァルトハウス・ヴィエナと音楽の家では、特にウィーンの音楽魂を感じ取ることができます。モーツァルトハウス・ヴィエナは、ウィーンに残る唯一のモーツァルトのアパートで、詳細に見ることができます。ここでモーツァルトは、他のどの場所よりも多くの曲を作曲しました。このアパートでは、彼が生きたその時代と最も重要な作品を分かりやすく紹介しています。展示は、この偉大な作曲家の創作活動のピークであった、ウィーンで暮らした時代に焦点を当てています。

音楽の家では、4つのフロアで魅惑的な音楽と音の世界を紹介しています。ここが、175年以上前に、有名なウィーンフィルが創設された場所です。見学者はウィーンの音楽の歴史を学べるだけではなく、自分で音や楽器を使って実験も出来ます。

モーツァルトハウス・ヴィエナMozarthaus ViennaDomgasse 5, A-1010 WienTel.: +43 1 512 17 [email protected]音楽の家 Haus der MusikSeilerstätte 30, A-1010 WienTel.: +43 1 513 48 [email protected]

サンスーシー・ウィーンは、豪華なデザインとくつろいだスタイルに、モダンアートとヴェルサイユ様式の影響を受けた室内装飾と、ユーゲントスシュティール(アールヌーボー)様式を融合させた、稀に見るエレガントでスタイリッシュなホテルです。歴史的なウィーンの芸術的な地域で、モダンなブティックホテルでの宿泊体験をお求めのお客様には最適なホテルです。ウィーン第7区は、レストランやバー、学生たちがたまり場としている、早朝から深夜まで営業している店が数多くある活気あふれる地域です。サンスーシー・ウィーンのエントランスの真

向かいにあるミュージアム・クォーターには、さまざまな美術館のほか、レストランや、散策が楽しめる素敵な中庭もあります。もしショッピングがお好きなら、ここは最適な地域です。ホテル周辺を散策すれば、地元のデザイナーの最新コレクションが見つかります。また、道を渡れば、すべての国際的な有名ブランド店が軒を連ねる第1区、旧市街です。

サンスーシー・ウィーンSans Souci WienBurggasse 2, A-1070 WienTel.: +43 1 522 25 [email protected]

伝統工芸からハイファッションまで美しい湖や山々、歴史的な建物や高級ブティック、宮廷料理や国際的なグルメ料理で知られた国オーストリア。オーストリアの人々は、自然と深く関わり、家族を愛し、伝統を磨き、コスモポリタンの姿勢を実践しています。特に、この国を訪れる人々は、これらすべてのオーストリアの特質をウィーン空港で実感することができます。世界中の人々に知られ、愛されている高級クリスタル・ジュエリーのスワロフスキー(プラザとDゲート)、ウィーンの宝飾メーカー フライヴィレ(プラザ)のウィーン空港店へおいでください。豪華な職人技が活きるオーストリアの忘れられない思い出の品にきっと出会えるでしょう。また、ウィーン空港では、ウィーン旧市街の通りのように有名ブランドのブティックが軒を連ねています。インターナショナル・ブランドとオーストリアン・ブランドの最新コレクションを紹介しており、様々なアイテムを取り揃えています。

お好みに合わせて味わうグルメの旅王様や皇帝たちを熱中させた地元の人気料理、世界中の人々を魅了した異文化の料理も、ウィーン空港の数多くのレストランに反映されています。ウィーン風仔牛のシュニッツェル(ツークフォーゲル、プラザ)から、ボリューム満点のビーフ・グーラッシュ(ビストロ ヨハン・シュトラウス、Gゲート)、香ばしいピザ(ジェイミーズ・イタリアン、Fゲート)からジューシ

ーなハンバーガー(クエリナリアート、Gゲート)など、多彩な味をお楽しみください。Fゲート周辺には、一流の味をお届けするフードコートもあります。

快適なショッピングハイネマン・デューティフリー・ショップ(C、D、F、Gゲート、プラザ)では、多数のえり抜きの土産品、ハイクオリティな美容製品やデリカテッセンを取り揃えているので便利です。また、プリオーダー・サービスを使えば、デューティフリー商品が、ご出発の12時間前までオンラインで注文できます。商品はウィーン空港でピックアップするだけです。

無料Wi-Fiウィーン空港ではすべてのターミナル、および、ショップやレストランでも、空港をご利用されるお客様が無制限にアクセスできるWi-Fiサービスをご提供しています。

ヒント: ウィーン空港で購入された物品はすべて機内に持ち込むことが可能です。セキュリティチェック・カウンターを通過した後は、レストランでテイクアウトした食べ物も、安全に手荷物に入れて持ち込み、飛行中に召し上がることができます。

ウィーン空港 Vienna Airportwww.viennaairport.com/en

モーツァルト&モアモーツァルトハウス・ヴィエナ/音楽の家

伝統あふれる都市でモダンな宿泊体験サンスーシー・ウィーン

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世界へのゲートウェイウィーン空港は、世界の名品が集結するパラダイス

ウィーン空港でなら、ファッション、グルメ、ショッピングも思いのまま

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ザルツブルクは、モーツァルトの故郷、「サウンド・オブ・ミュージック」の舞台として知られ、世界でもっとも美しい都市のひとつに数えられる古都。ユネスコ世界文化遺産にも登録されています。

ホーエンザルツブルク城 メンヒスベルクの丘の上にたたずむ町のシンボル。中世の城塞建築としては中部ヨーロッパで最も良く保存されているもののひとつです。豪華な装飾で彩られた大司教の居間や黄金の間は圧巻。「ザルツブルクの雄牛」と呼ばれる大オルガンなどがあり、城塞コンサートも開催されています。博物館には昔の武具や工芸品などが展示されており、日本語音声ガイドもあります。テラスからはアルプスの山並みと市街のパノラマが楽しめます。MAP P.33 B-2 www.festung-salzburg.at

ミラベル庭園/宮殿 風光明媚なこの庭園では、ザルツァッハ川越しに旧市街のホーエンザルツブルク城とドームや数々の教会の尖塔の麗しい姿を眺望することができます。ギリシャ神話を題材にした石像、水しぶきが輝く噴水、色彩豊かな花々などが、訪れる人々を魅了します。園内のほぼ中央に位置するミラベル宮殿は、大司教ヴォルフ・ディートリッヒが愛人サロメ・アルトのために建てた別荘です。内部の大理石の間は、室内楽コンサートや結婚式など催し物の会場として使用されています。MAP P.33 A-1

モーツァルトの生家 1756年、旧市街一番の目抜き通りであるゲトライデガッセ通り9番地で、モーツァルトは誕生しました。色鮮やかな黄色い建物は現在、記念館として一般に公開しています。モーツァルトが使用していた子供用バイオリン、コンサート用バイオリン、ピアノ、モーツァルト家の肖像画と書簡などが展示されています。MAP P.33 B-2 www.mozarteum.at

ゲトライデガッセ通り 15世紀建築の市庁舎、中世以来のギルドの伝統を受け継ぐさまざまな形をした鉄細工の看板が楽しい、独特の雰囲気を醸し出すショッピングストリート。たぶん、ゲトライデガッセ通りは世界で最も素敵なショッピング街の一つでしょう。この通りには、買い物にもウインドウ・ショッピングにも楽しい様々なお店が多数軒を並べています。年中旅行者の姿が絶えません。MAP P.33 B-1,2

ドーム(大聖堂) バロック様式とローマ風の建築様式が見事に調和した華麗な教会。大司教マルクス・シティクスのもとで建築家ソラーリによって1614年建設開始され、1628年に完成しました。モーツァルトが洗礼を受

け、カラヤンの告別式が行われたことでも知られます。約6000本のパイプからなるパイプオルガン、ドーム博物館が見どころ。正面のドーム広場では毎年夏、ザルツブルク音楽祭の恒例演目「イェーダーマン」が上演されます。MAP P.33 B-2

サンクト・ペーター修道院 オーストリア最古のベネディクト派修道院。映画「サウンド・オブ・ミュージック」にも登場しました。修道院内を飾る装飾品の数々は、宗教芸術として価値の高いものばかり。裏手に広がる墓地には、モーツァルトの姉のナンネルや旧友ミヒャエル・ハイドンが眠っているほか、初期キリスト教徒の祈祷のための洞窟「カタコンベ」は必見です。MAP P.33 B-2 

「サウンド・オブ・ミュージック」の舞台世界でもっとも美しい都市のひとつ

ザルツブルクの見どころ

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レジデンツ 歴代大司教の宮殿で、豪華な内部はガイドツアーで見学できます。レジデンツ広場の中央を飾る大噴水は、アルプス以北で最も美しいバロック噴水のひとつとされます。この広場では9月のルペルト祭やクリスマス市など、様々な催し物が行われます。MAP P.33 B-2 www.residenz-salzburg.at

ザルツブルクのドームクォーター ドーム(大聖堂)、サンクト・ペーター修道院、レジデンツなどを含む旧市街の見どころ巡るドームクォーターは、17世紀に造られた回廊を通って見学することができる美術館巡回コースで、200年の時を経て再び通れるようになりました。美術館を超える見応えで、訪問者の知的好奇心を満たします。この巡回コースにより、街を取り囲む丘陵の魅力あふれる新らたな眺望と、素晴らしい建築物が一度に見ることができます。バロック様式を代表する建築物の素晴らしい部屋の数 と々、2000点ものバロック美術品を堪能することができます。通行時間:火曜日を除き、毎日午前10時~午後5時まで、7月~8月は毎日MAP P.33 B-2 www.domquartier.at

グロッケンシュピール 1702年に造られた、レジデンツの反対側にある新レジデンツの鐘楼。音程の異なる35個の鐘がついており、毎日7時、11時、18時に美しく鳴り響きます。MAP P.33 B-2

マリオネット劇場 世界で最も著名な人形劇場のひとつで、精巧な人形によってオペラやバレエが演じられます。MAP P.33 A-2 www.marionetten.at

モーツァルテウム 1914年設立された国際財団法人で、音楽院とコンサートホールを備え、サマーアカデミーが開催されています。庭園にある「魔笛の家」はウィーンから移されたもので、1791年この家でモーツァルトが「魔笛」を完成しました。MAP P.33 A-2 www.mozarteum.at

マカルト広場のモーツァルト住居 モーツァルトが故郷ザルツブルクを捨てウィーンに向かうまでの7年間(1773年~1780年)を過ごした家。現在はモーツァルト一家の博物館になっています。日本語解説あり。MAP P.33 A-2

ヘルブルン宮殿 旧市街から南へ7キロ、大司教マルクス・シティクスが作らせた宮殿です。見事なバロック庭園には水を利用したさまざまな愉快な仕掛けが施されています。思いがけない所から水が飛び出し、訪問者の歓声が耐えません。水力で動くミニ人形劇場もあります。4~11月オープン。アクセス:市内からバス25番で20分 www.hellbrunn.at

レッドブル・ハンガー 7 ザルツブルク空港には、7番目の格納庫と呼ばれる貝殻のような形をしたガラス張りの超近代建物があります。使用した1754個のガラスパネルは飛行機の発着によるどんな振動にも耐えられるよう設計されており、内部はレッドブルのエクストリームスポーツで活躍するF-1マシンや航空機などが展示されています。併設のレストラン「イカルス」は、ザルツブルクを代表する美食のスポットです。www.hangar-7.com

2020年は、世界が注目するザルツブルク音楽祭が創立100周 年を迎えます。今日まで、この音楽祭は、コンサートと共に、ドラマやオペラの公演を組み合わせたユニークなフェスティバルとして、大物アーティストたちや世界中から訪れるビジターたちを、惹きつけてきました。この比類なきイベントは、ユネスコ世界遺産の都市ザルツブルクの有名なコンサートホールを、文字通り「世界のステージ」に変身させます。ザルツブルク音楽祭は、100年前荒廃したヨーロッパの人々を和解させることを目的とした平和プロジェクトとして、マックス・ラインハルト、リヒャルト・シュトラウスらによって創設されました。ホフマンスタールの言葉を借りれば、オペラと演劇の両方を、最高の状態で上演するために設立された音楽イベントです。この宝石のような音楽祭の舞台となるのは、バロック建築が建ち並ぶ市の中心部と、かつて世界の旅人アレクサンダー・フォン・フンボルトがこの地球上で最も美

しい景色と呼んだ周辺地域です。上演スケジュールは、オペラ、演劇、コンサートから構成され、この音楽祭の守り神であるモーツァルトの作品から現代音楽、クラシック作品からアヴァンギャルドな実験的作品、ホフマンスタール作の「イェーダーマン」から現代劇作家や作曲家による世界初演作品まで、広範囲に及びます。このように、ザルツブルク音楽祭は、永い間に培われてきたホスピタリティーに溢れたこの街に毎年集まって来るすべての人々に楽しんでもらえるように、他の音楽祭より幅広いスタイルとジャンルをカバーしています。

ザルツブルク音楽祭の日程:7月下旬~ 8月末

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世界最大の音楽フェスティバルザルツブルク音楽祭 創立100周年

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オーベルンドルフ世界的なヒット曲「きよしこの夜」は、1818年、ザルツブルクの小さな村オーベルンドルフで生まれました。クリスマスのミサには世界中から多くの人たちが集まり、「きよしこの夜礼拝堂」の周囲をうめつくします。アクセス:ザルツブルクから車で20~30分、中央駅地下からローカル鉄道でオーベルンドルフ駅まで約30分。

ハラインザルツブルク州は「岩塩の城」という名が示すように、古くから岩塩の取り引きで栄えた地域。中でも、ザルツブルクから南へ約20kmにあるハラインは岩塩の採掘・運搬の中心地として有名で、岩塩坑内をガイド付きで見学することができます。岩塩坑はハラインの町の南方にあり、ハラインからロープウェーで終点のデュルンベルクまで数分で到着。5月から10月までの毎日8時から17時までガイド付きで見学できます。アクセス:ザルツブルクからインスブルック方面に行く鉄道を利用すれば、快速で15分(急行は止まりません)。車で行けば更に便利。

ツェル・アム・ゼー/カプルーンザルツブルクから、南に80kmに位置し、最も美しいアルプスの休暇地の一つと称賛される地域。ツェル・アム・ゼーはキッツシュタインホルン氷河と、シュミッテンヘーエ山などの夢のような山岳風景と、澄み切ったツェル湖に囲まれています。夏でも山頂を白銀に覆われたザルツブルク州の最高峰キッツシュタインホルン(3029m)の雄大な景観が圧巻です。アクセス:ザルツブルクから列車で約1時間40分。

オーストリアで最も高い山の麓を走るグロースグロックナー・アルプス山岳道路は、世界一風光明媚な道路です。色彩豊かな花々が咲き乱れる牧草地、夏の陽ざしに眩しく輝く雪原、そびえ立つ荘厳なる3000m級の山々、悠久の氷河、澄明な瀑布、可愛らしいマーモットなどが、流れる車窓の風景を彩ります。過去83年間に、世界中から6000万人以上もの人々がここを訪れています。連続する36カ所のヘアピンカーブを抜けてアルプスを越えていくこの巨大な道路全体は、記念建造物として2015年から保護されています。この全長48㎞の道路は標高2571mまで駆け上り、ホーエ・タウエルン国立公園の中心部まで到達しています。ドライブの目的地は、東ヨーロッパで一番長いパステルツェ氷河を見下ろす、フランツ・ヨーゼフス・ヘーエにあるビジターセンター。

展望台フランツ・ヨーゼフス・ヘーエ(標高2396m)と、グロックナーハウス(標高2132m)のエリザベート・ルーエ休憩所は、皇帝フランツ・ヨーゼフ1世と皇妃シシィの訪問に因んで名付けられました。また、パステルツェ氷河では、安全なトレールを辿ってハイキングも楽しめます。

グロースグロックナー・アルプス山岳道路Grossglockner Hochalpenstrassen AGRainerstrasse 2, A-5020 SalzburgTel.: +43 662 [email protected]

ザルツカンマーグートザルツブルクの東に広がるザルツカンマーグートはオーストリア屈指の景勝地として知られています。1500~2000m級の山々に抱かれた高原内に、大小約50の湖が宝石のようにちりばめられている湖水地帯。この素晴らしい絶景は映画「サウンド・オブ・ミュージック」でも紹介され、多くの人々の心に今も残っています。マーラーやクリムトなどにも愛された地域です。15世紀の古城(現在ホテル)が麗しい姿を水面に映してたたずむ「フッシュル湖」、この地方の中で最も美しいといわれている湖「ヴォルフガング湖」の湖畔の町サンクト・ギルゲンは、リゾート地として人気の高いモーツァルトゆかりの地。対岸のサンクト・ヴォルフガングの町はオペレッタ『白馬亭にて』の舞台となったホテルが残る有名な町でシャーフベルク山へ上る登山鉄道も人気です。サウンド・オブ・ミュージックの結婚式の舞台となった教区教

会がある「モント湖」、レハールやブラームスゆかりの温泉地で皇帝の別荘カイザーヴィラがある「バード・イッシュル」、ユネスコ世界遺産に登録されている「ハルシュタットとダッハシュタイン地域」、クリムトゆかりのアッターゼーなど、魅力的な湖や町が点在します。

アクセス: ザルツブルクからバード・イッシュルまでバスで約1時間30分。ここからサンクト・ヴォルガングまではバスで約30分。ザルツブルクから列車でバード・イッシュルやハルシュタットへ行く場合は、アットナング・プッフハイムで乗り換えます。

オーストリア屈指の景勝地ザルツカンマーグート

ザルツブルクの郊外へ

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皇帝も愛したアドベンチャーワールドグロースグロックナー・アルプス山岳道路

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州庁舎 北イタリアの宮殿様式で建てられた州庁舎は、支柱の下方に見られる彫刻と豪華な回廊をもつルネッサンス様式の美しい中庭が特徴。MAP P.39 B-1,2

歴史的広場とロマンティックな小路 市庁舎が建つ中央広場、肉屋が多いフランツィスカーナ広場、カフェが立ち並ぶメール広場、伝統と現代文化が融合したフェルバー広場、イベントで賑わうシュロスベルク広場はいずれも明るい雰囲気で、独特で魅力的な文化的風土を生み出しています。ヘレンガッセやシュポールガッセにはシックなブティックが、また、

ザック通りには数多くの美術工芸専門店が並び、ショッピングや市内散策を楽しむことができます。MAP P.39 B-1,2

現代建築 モダンな文化施設が多い中でも、クンストハウスはユニークなイベント会場で,現代建築と歴史的な街並みの調和を示す代表的な一例です。また、ムーア川に浮かぶムーアインゼルは半開きの貝殻状のユニークな存在。憩いの場、イベント会場としてグラーツを象徴する建物です。MAP P.39 A-1, B-2

ウィーンから南へ列車で約2時間半で行くグラーツは、南欧の雰囲気が漂う文化都市。赤い瓦屋根の並ぶ旧市街は今もなお中世のたたずまいを色濃く残しています。2003年欧州文化首都に指定されたことで、グラーツは他に類をみない独自性のある町に変化しました。古い街並みの中に極めて近代的な建物が溶け込んでおり、旧市街にアクセントを添えています。

シュロスベルク 13世紀の時計塔が立つ小高い山。グラーツはこの山を中心に開けていきました。石段を登ることもできますし、エレベーターを使うことも可能です。頂上には眺めの良いカフェ・レストランもあり、旧市街の大パノラマが楽しめます。MAP P.39 A-1

州立武器庫(ツォイクハウス) 州庁舎隣の武器庫は、トルコの襲撃に対する武器の常備庫として造られました。中世の鎧や鉄砲など1551年以来の武器3万点以上が保管されていており、今でもすぐに使えるほど整備されています。冬期は休館です。MAP P.39 B-1,2

王宮 15世紀に皇帝フリードリッヒ3世が建て、後にその息子マキシミリアン1世が手を加え後期ゴシック様式に改修しました。王宮の主な部分は19世紀に撤去され、現在は州知事官邸となっています。砂岩でできた「二重らせん階段」は非常に有名。MAP P.39 A-2

旧市街と郊外のエッゲンベルク城は世界遺産ウィーンに次ぐオーストリア第2の都市

グラーツの見どころ

グラーツ

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エッゲンベルク城 市内から市電1番で約15分西に行ったところにあり、この城はヨハン・ウルリッヒ・フォン・エッゲンベルク侯爵が中世の城を基に、1623年に居城として建設しました。豪華な内部はガイドツアーで見学できます(冬期は閉館)。貴重な日本の屏風「豊臣期の大坂」も現在ここに公開されています。また、城内にはアルテギャラリーが入っており500年以上にわたるヨーロッパの絵画、美術品が展示されています(年間オープン)。美しい「惑星の庭園」と公園は四季を通じて市民の憩いの場となっています。

グラーツでは、文化と食の楽しみは切っても切れない関係にあり、誰もが豊かな食卓に歓迎され、音楽と生きる喜びにあふれています。グラーツは魅力ある多彩な文化的イベントや、グルメ・フェスティバルで感激を与える努力を惜しみません。この街は訪れる人々を食のイベントで熱狂させていることから、「グルメの首都」という肩書を公式に博しています。8月には、オーストリアで最もエキサイティングなフード・フェスティバル「グラーツの長い食卓」が開催され、人気シェフたちが、700人が座れる長テーブルを用意して美味しい料理でもてな

します。9月に行われる「アウフシュタイラーン」フェスティバルでは、シュタイヤマルク州の民族文化を祝して、食、音楽、舞踊、および、ファッションやデザインなど、多彩な側面を紹介します。このシュタイヤマルク州の地中海気候は、南部のリラックスしたライフスタイルを生み、優れたワインやフルーツ、野菜の最適な生産条件を育んでいます。

グラーツ市観光局Graz TourismusHerrengasse 16, A-8010 GrazFax: +43 316 [email protected]: VisitGraz

インスブルックはハプスブルク帝国の「陰の首都」と呼ばれ、政治、経済、芸術の発展において、ウィーンに次ぐ中心地として栄えました、現在でも中世都市の面影を強く残しています。美しいアルプスの山々が町を取り囲み、自然と文化が融合する魅力的な町です。

黄金の小屋根 ハプスブルク家の黄金時代を築いた皇帝マキシミリアン1世の宮廷用観覧席として建てられた、後期ゴシック様式の張り出しテラス。金箔をはった2657枚の瓦から“黄金の小屋根"と呼ばれています。欄干は砂岩のレリーフ、壁はフレスコ画が彩り、内部にはマキシミリアン1世の博物館があります。

ホーフブルク王宮 インスブルックの町の中心であるハプスブルク家の2つ目の王宮。ウィーン以外に「ホーフブルク」と名付けられた王宮はここだけです。ジークムント大公が1460年に創建し、その後マリア・テレジアによって改築されました。華麗なシャンデリアや天井画で飾られた大広間は見逃せません。

ノルトケッテンバーン 市の北側に聳え立つノルトケッテ(2300m)へ、ホーフブルク王宮近くの駅からケーブルカーで約30分(フンガーブルク駅でロープウェイに乗り換え)で上ることができます。頂上のノルトパークからはチロルの400以上のアルプスの山々からグロースグロックナーまで眺望できる雄大なパノラマが広がります。ベルクイーゼルのジャンプ台と同様、建築家ザハ・ハディドがデザインした4つの駅舎も必見です。

チロルの町々 牧歌的な山の景色で知られるチロル州。住人の大部分が生活するインタール渓谷には、インスブルック、ハル、ラッテンベルク、クーフシュタインなどの魅力的な町が点在します。また、ツィラータール、シュトゥーバイタール、エッツタールなどの渓谷、サンクト・アントンやゼーフェルトはハイカーやスキーヤー、そして休養を求める人々の理想郷として有名です。また、東チロルはザルツブルク州をはさんで離れたところに位置する自然の宝庫です。

中世の面影をたたえるハプスブルク時代の帝都インスブルックチロル州は、夏はハイキング、冬はウインタースポーツのメッカ

インスブルックとチロルの町々

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シュタイヤマルク州都美食と文化の街、グラーツ

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3月に行われる「ダイアゴナル」オーストリア・フィルム・フェスティバル、6月には高名な「シュティリアルテ」クラシック音楽祭、演劇フェスティバル、ストリート・パフォーマンス、人形劇「ラ・ストラーダ」などの他、グラーツ・オペラハウス、シャウシュピーレハウス劇場、ヒップなクンストハウス、または、見事なバロック建築で知られるエッゲンベルク城で行われる、さまざまな音楽公演がグラーツの文化イベントに花を添えています。

グラーツの文化イベントヒント

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イベントカレンダー

1月ニューイヤー・コンサート(各地) 1月1日:ウィーン楽友協会の、ウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートが、世界中にテレビ放映され有名ですが、その他の都市でもニューイヤー・コンサートが開かれ、新年を祝います。三聖王祭 1月6日:各地で3人の王に仮装した少年たちが一晩中家々を訪ね歩き、聖歌を歌い新年を祝います。ペルヒテの祭り(ザルツブルク州) 1月6日:春を象徴する美しいペルヒテと冬を象徴するみにくいペルヒテの仮装行列が町を練り歩きます。

2月オペラ座舞踏会(ウィーン) 国際的な貴賓が集まる祝典。上流階級の令嬢たちが社交界にデビューします。一晩中華麗なワルツや各種ダンスが繰り広げられます。

3月/4月復活祭 ウィーンとザルツブルクではこの時期、イースター音楽祭が開催されます。各地でイースターマーケットが立ち、賑わいます。

5月/6月メーデー 5月1日:ウィーンでは旧市街地を取り巻くリング(環状道路)で労働者たちの行進が行われます。このため午前中はリングを走る市電は運休します。メイポール 全国各地。広場に柱が立てられ、春の到来を祝うとともに、その年の豊作を祈願します。ウィーン芸術週間 5月中旬~6月中旬:ウィーン市内各地で演劇、音楽会などが開かれます。聖霊降臨祭音楽祭 聖霊降臨祭の時期にザルツブルクで開催されるバロック音楽祭。聖体節 国民の祝日となる聖体節にキリスト聖体行列がオーバーエステライヒ州各地で開催。ハルシュタットの湖上行列が有名です。夏至の火祭り チロルやザルツブルク地方の山々で行なわれる山の祭典。

行事・祝祭日、その他インフォメーション

旅に役立つ基 本情 報 7月/8月ザルツブルク音楽祭 7月下旬~ 8月末:市内各地でコンサートやオペラが開催され、世界中から音楽ファンが集います。各地の夏の音楽祭 各地で野外や屋内で夏の音楽祭やフェスティバルが開催されます。聖母昇天祭 8月15日:国民の祝日。チロル州ではブーケをつくり “祝福の板”として各家庭に飾られます。

9月牛祭り アルプスの高原に夏の間、高原に放牧していた牛や羊を、冬に向け村に下ろす村祭り。

11月万聖節 11月1日:国民の祝日。1~2日はお墓参りの日にあてられます。聖マルティン 11月11日:ワイン生産地方でワインの樽を開ける日。クリスマス市 11月下旬~クリスマスイブまで行われます。

12月クランプスの祭り/聖ニコラウス行列 12月5日:バード・ミッテルンドルフやインスブルックなど各地で行なわれる冬の行事。クリスマス 12月24日17時から:オーベルンドルフの “聖しこの夜”礼拝堂でミサ。12月25日:国民の祝日。人々はミサに出かけ、クリスマスを祝います。

詳しい年間のイベントスケジュールはwww.austria.infoで。

商店の営業時間商店は一般的に、月曜日から金曜日は9時~18時(店により8時から)、土曜日は17時まで営業しています。ウィーンのショッピングセンター等は、平日20時まで開いています。業種や季節により営業時間は変更され、特にリゾート地のハイシーズンは時間が延長されることもあります。日曜日や祝祭日は基本的に休業しますが、ミュージアムショップや一部のおみやげ店はオープンしています。その他、ノミの市や冬のクリスマス市でも、オーストリアらしい工芸品や民芸品が数多く見つかりますので、ぜひ訪ねてみてください。

オーストリアの免税システムオーストリアで買う商品には付加価値税(MwSt.)が含まれていますが、外国からの旅行者には、条件をみたす場合に限りその税金を免除する特典があります。通常、商品価格の約13%が払い戻されます。詳細は以下のウェブサイトでご確認ください。http://www.austria.info> 基本情報・アクセス> 役立つ情報> ショッピング・免税手続き

気候と気温、服装地中海の影響により、比較的気候は温暖です。平均気温は青森から北海道に匹敵します。旅のベストシーズンは穏やかな気候が続く5~6月と9~10月。冬は厚手のコート、手袋、マフラーなどの防寒具を忘れずに。1月、2月は都市部でも積雪があります。盛夏7~8月には最高気温がたまに35℃にも達することがありますが、湿度が低いので蒸し暑さは感じません。朝晩は一般的に涼しくしのぎやすいです。

時差日本との時差は-8時間。ただし、3月最終日曜から10月最終土曜まではサマータイムが実施され、時差は-7時間となります。

電圧・電流電圧220V、交流、周波数は50Hz。電気のプラグの形状は2本の丸型のピンが出ているCタイプが一般的です。

通貨と両替通貨はユーロ (€ )。円の現金からの両替は銀行、旅行会社などの両替所、ホテル、郵便局、現金自動両替機などで可能です。

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旅に役立つドイツ語会話集

挨拶

おはようございますGuten Morgen(グーテン モルゲン)

こんにちは、ハロー(朝・昼・晩)Grüß Gott(グリュース ゴット)

こんばんは Guten Abend(グーテン アーベント)

さようならAuf Wiedersehen(アウフ ヴィーダーゼーエン)

どうぞBitte schön(ビッテ シェーン)

ありがとうございますDanke schön(ダンケ シェーン)

あっ、失礼!Entschuldigung!(エントゥシュルディグング)

場所を尋ねる

丁寧に聞くために まず、すみませんが…と声をかけましょう

すみませんが…Entschuldigen Sie bitte. (エントゥシュルディゲン ズィ ビッテ)

国立オペラ座はどこですか?Wo ist die Staatsoper?(ヴォー イスト ディ シュターツオーパー)

どこで両替できますか?Wo kann ich Geld wechseln?(ヴォー カン イッヒ ゲルト ヴェクセルン)

駅はどこですか?Wo ist der Bahnhof?(ヴォー イスト デァ バーンホーフ)

コインロッカーはどこですか?Wo gibt es Schließfächer?(ヴォー ギープト エス シュリース フェッヒャー)

郵便局はどこですか?Wo ist das Postamt?(ヴォー イスト ダス ポストアムト)

タクシー乗り場はどこですか?Wo gibt es einen Taxistand?(ヴォー ギープト エス アイン タクシーシュタント)

トイレはどこですか?Wo ist die Toilette?(ヴォー イスト ディ トワレッテ)

左に links(リンクス)

右に rechts(レッヒツ)

便利な言葉と文例

はい Ja(ヤー)

いいえ Nein(ナイン)

わかりませんIch verstehe nicht.(イッヒ フェアシュテーエ ニッヒト)

もう一度言ってくださいNoch einmal bitte.(ノッホ アインマル ビッテ)

ドイツ語はできませんIch kann nicht Deutsch. (イッヒ カン ニッヒト ドイチュ)

英語でお願いしますAuf Englisch bitte.(アウフ エングリッシュ ビッテ)

私は日本から来ましたIch komme aus Japan. (イッヒ コメ アウス ヤーパン)

どちらの方ですか?Woher kommen Sie?(ヴォーヘァ コメン ズィ)

私は花子といいますIch heisse Hanako.(イッヒ ハイセ ハナコ)

あなたのお名前は?Wie heissen Sie?(ヴィー ハイセン ズィ)

それは何ですか?Was ist das?(ヴァス イスト ダス)

ザルツブルクまで、1等(2等) 片道一枚くださいEinmal nach Salzburg einfach erste (zweite) Klasse, bitte.アインマル ナッハ ザルツブルク アインファッハ エアステ (ツヴァイテ) クラッセ、ビッテ

[タクシーの運転手に]○○○○ホテルまで行ってくださいFahren Sie bitte zm Hotel ○○○○ .ファーレン ズィ ビッテ ツーム ホテル ○○○○

お釣りは取っておいてくださいStimmt schon!(シュティムト ショーン)

ショッピング

ちょっと見せてもらっていいですか?Darf ich mal schauen? (ダルフ イッヒ マル シャウエン)

それを見せてくださいZeigen Sie mir bitte das. (ツァィゲン ズィ ミァ ビッテ ダス)

…がほしいのですがIch möchte … haben.(イッヒ メヒテ … ハーベン)

これはいくらですか?Wieviel kostet das?(ヴィーフィール コステット ダス)

レストラン

日替わり定食をお願いしますIch nehme das Tagesmenü.(イッヒ ネーメ ダス ターゲスメニュー)

あちらのあれと同じものにしますGeben Sie mir bitte dasselbe wie das dort.(ゲーベン ズィ ミァ ビッテ ダスゼルベ ヴィー ダス ドルト)

ここのお勧め料理はなんですか?Was ist Ihre Spezialität?(ヴァス イスト イーレ シュペツィアリテート)

乾杯!Zum Wohl!(ツム ヴォール)

ウェーターさん!Herr Ober!(へァ オーバー)

ウェイトレスさん!Fräulein!(フロイライン)

お勘定をお願いしますZahlen bitte! (ツァーレン ビッテ)

オーストリアへのアクセス

飛行機 オーストリア航空をはじめ様々な航空会社がオーストリアと世界の主要都市を結んでいます。日本からの直行便は、2019年2月より全日空がウィーンへ毎日運航している他、4月から10月まで夏期のみオーストリア航空が飛びます。その他は乗り換えの便利なルートでオーストリアへアクセスしてください。ウィーン国際空港シュヴェッヒャートの他、グラーツ、ザルツブルク、インスブルック、リンツ、クラーゲンフルトの6都市に空港があります。

鉄道 隣接するオーストリア周辺諸国から、ウィーン及びオーストリア各地へ快適な鉄道網が整備されています。また、一部では車ごと列車に乗せて走るカー・トレインの路線もあります。鉄道の旅に関する詳細な情報は、オーストリア政府観光局のホームページをご覧ください。

自動車 オーストリアのアウトバーン及びその他の高速道路網は極めて良く整備されており、気ままな個人旅行には最適の交通手段です。高速道路は有料のため、利用にはビニエット(ステッカー)が必要です。キオスク、ガソリンスタンドでも購入できます。www.vignette.at

ウェブで得られるオーストリア情報

www.austria.infoオーストリア政府観光局の公式サイト。オーストリア全国の多彩なデスティネーションを網羅しており、イベントの紹介や有益なアドバイス、楽しい話題も豊富です。旅の計画づくりにお役立てください。

www.facebook.com/feelaustriaJPオーストリアからの直送の、あるいは日本国内でのオーストリアに関する最も新鮮な情報を発信しています。Facebook「オーストリアの休日」を有効にご活用ください。

twitter.com/ANTO_Tokyoオーストリアの観光情報や、オーストリアで休暇を過ごすための情報を発信しています。

www.youtube.com/austria冬はスキーや雪山のハイキングなどのアクティビティ、夏は緑の草原を行くハイキングや雄大な山岳登山、オーストリア料理を紹介する動画が各種リストアップされています。ビデオで躍動するオーストリアのハイライトをご覧ください。

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メールニュース「オーストリアニュース レター」

オーストリア政府観光局では毎月一回、無料の「オーストリアニュース レター」を配信しています。このメールニュースでは、オーストリアで休日を過ごすためのヒントや、オーストリアに関する最新情報、日本におけるオーストリア関係のイベントなどの情報が得られます。どうぞ ご登録ください。ご登録はこちらから: https://www.austria.info/jp/Newsletter右のQRコードからもご登録できます。

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外の景色がアートになる美術館でお気に入りのフォトスポットを探す

装飾を極限までそぎ落とした外観が印象的なレオポルド美術館。館内の窓から見える外の豪華な建築物がまるで額縁の中の絵画のような景色となり、他では見ることのできないレアスポットとなっています。

グスタフ・クリムトの作品に出合う

注目は、グスタフ・クリムト晩年の傑作『死と生』。花畑のような場所で赤ん坊から少女、女性、老人、男性など人生で辿る姿の人々が身を寄せ合いまどろんでいます。そこに忍び寄るのは十字架をまとった死神。クリムトが表現したかったものとは…?

お気に入りのアイテムを見つけて日常にアートを添える

ミュージアムショップにはシーレやクリムトなどの展示品をモチーフとしたハイセンスなグッズが揃っています。アートをモチーフにしたアイテムは、他ではなかなか手に入らない貴重なものです。

モーツァルトハウス・ヴィエナ

モーツァルトが暮らしたアパートを訪ねる

モーツァルトが『フィガロの結婚』を作曲してアパートで、寝室、遺品や直筆の楽譜などを見学。また、友人や後援者、フリーメーソンとの関係、ギャンブル好きなど多方面から、一人の人間としてのモーツァルトに迫ります。

音楽の家

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の指揮者になる

世界的な名声を誇るウィーン・フィルの指揮者を体験できる、とっておきの場所です。タクトがリズムに乗れなくなると、団員が演奏をやめて一斉にブーイング!そのかわり、最後まで演奏できると大きな拍手がもらえます。

「バケットリスト」とは、一生のうちに絶対やってみたいことをリスト化したもの。ここでは、オーストリアが誇る音楽や美術、アルプスが織りなす絶景、歴史地区のそぞろ歩きやグルメなど、30の魅力ポイントをご紹介します。多彩な魅力のなかから、気になるポイントに✔を付けて、自分だけのオーストリア・バケットリストを作ってみてください!

ウィーン

青空の下、葡萄畑を望む「ホイリゲ」でカンパイ!大都市でありながら市内にブドウ畑が広

がるウィーン。郊外のウィーンの森地区にはワイナリーが経営するワインの居酒屋、ホイリゲがたくさんあります。生演奏とともにワインで乾杯!

世界最高水準のオペラをオープンエアでタダで見る

ウィーン国立歌劇場では、4月~ 6月、9月、そして年末年始に劇場前の広場で、ライブヴューイングを開催。観賞は無料!贅沢なひと時を体感しましょう。

世界で一番美しい図書館に心を奪われる

ヨゼフスプラッツ広場に建つ国立図書館のプルンクザールは、まるで映画『美女と野獣』に登場する図書館のよう。天井のフレスコ画と約20万冊の蔵書を並べた書架の曲線美に圧倒されます。

サンスーシー・ウィーン

ウィーンのシックなホテルで旅の疲れをいやす

フランス語で “心配しないで”を意味するホテル・サンスーシーはセンスのよいショップやレストランが集まる人気エリアにあります。シックなロビーは、インスタ映えスポットとしても人気。豪華さと上品さを兼ね備えたウィーンらしいステキなホテルで癒しのひと時を。

夏のテラスで憧れのシャンパーニュ三昧

おしゃれなウィーンっ子がお酒や軽食を楽しみに集まる、緑あふれるテラス。ラグジュアリーホテルにいながらカジュアルに寛げる開放的なテラスで、のんびりとした時間を過ごすことができます。

ウィーン空港

心弾む旅の始まり、準備を整えて最高のスタートを切る

入国審査を終えて、旅行トランクをピックアップすれば、さあ旅の始まりです。ウィーン市観光局の案内所でウィーンの地図やヴィエナ・シティ・カード(有料 )を入手しましょう。

旅の予感、最後の余韻をウィーン式のコーヒーと味わう

ウィーンを発つ前にはウィーンの伝統的なコーヒーのメランジェかモカやブラウナーをぜひどうぞ。ウィーンのコーヒー文化を味わう最後のチャンスです。お別れに甘いザッハートルテもお忘れなく。

“買っておけばよかった”が見つかる空港で最後のショッピング

オーストリアオリジナルのお土産を空港で。ハイネマン免税店では、モーツァルトクーゲルンや、マンナー・ウエハースなど、オーストリアの味が揃っています。また、スワロフスキーやフライヴィレなど、おしゃれなオーストリア商品の専門店があります。

ウィーン美術史博物館KHMでアートナイト

ブリューゲルの『バベルの塔』やフェルメールの代表作『絵画芸術』などを所蔵する世界屈指の美術品コレクションを誇るKHM。毎週木曜の夜は21時まで開館。ライトアップされた美しい外観が、これから始まるナイトミュージアムへの期待をグッと高めてくれます。

本物のウィンナーコーヒーを飲む

334年も続くカフェの歴史を持つウィーン。ウィーンのカフェでは、コーヒー、プリーズでは通じません。20種類ものコーヒーを提供するのは当たりまえ。さて、どんなコーヒーを注文しましょうか。

レオポルド美術館

美とエロスの天才画家エゴン・シーレの作品に酔う

クリムトと同じ時代を生きた若き画家エゴン・シーレの最大のコレクションを誇る美術館。欲望や苦悩、孤独感を感じさせる自画像や、個性的で生々しいエロティシズムを表現した名画を通じ、シーレの人生に触れてみてください。

ウィーンのオシャレスポット!アートベンチ&ミュージアムカフェでくつろぐ

複合カルチャーエリア、ミュージアムクオーターの広場にはモダンなベンチ、エンツィがたくさんあり、人々は自由なスタイルで寛いています。エンツィの色は毎年違い、さて今年は何色でしょうか。

私のオーストリアバケットリスト

オーストリアでできる 3 0のこと

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グロースグロックナー・アルプス山岳道路

アルプスの野生動物をウォッチング

自由気ままにアルプスを駆け回る野生動物に出会えるのは、グロースグロックナーの特徴の一つです。ホーエ・タウエルン国立公園をトレッキングしていると、マーモットの鳴き声が聞こえ、時にはファミリーで姿を見せてくれることも。運が良ければ、立派な角を持つアイベックスにも出合えます。

全長8キロメートル!東アルプス最長の氷河を間近に見る

一番の見どころである展望台、カイザー・フランツ・ヨーゼフス・ヘーエからは、8キロにも渡る壮大なパステルツェ氷河が目の前に現れます。氷河を間近に感じたいならケーブルカーで降りるか、ハイキングにトライしてみましょう。

飛行機と一緒に迫力の自撮りにトライ

飛行機を背景に自撮りできるスポットが数多くあります。例えば、Fゲートの待合室、訪問者用テラス、レストランでは、ジェイミーズ・イタリアン(Fゲート)、ツークフォーゲル(プラザ)、クリナリアートは理想的。

機内のお供を手に入れてロングフライトをエンジョイ

買い物した後は、レストラン、クリナリアート(Gゲート)などで、名物料理ウィーナーシュニッツェルを最後のチャンスにどうぞ。ヘンリー(Gゲート)で新鮮なスナックをテイクアウトして、機内に持ち込むのもおすすめ。

ザルツブルク

クリエイティビティを刺激される

古都ザルツブルクは、街中でユニークな作品に出合うことができるモダンアートの地としても人気。人の背ほどあるキュウリのモニュメントや、白いスペイン産大理石で作られたカリブ風の少女の顔など、好奇心をくすぐるアートが市内の随所に散りばめられています。

モーツァルトの足跡を辿る

世界的音楽家モーツァルトの生まれ故郷を辿る旅のはじまりは、彼の記念像が建てられているモーツァルト広場。そして、モーツァルトが洗礼を受け、オルガン奏者も務めたザルツブルク大聖堂。新市街のモーツァルトの住居もお見逃しなく。

ザルツブルク名物のビールを飲む!

600年以上前からビールを醸造しているザルツブルク。最初の商業的なビール醸造所が生まれたのは14世紀末。最も古い伝統的なビール醸造所のうち、シュティーグルブロイとアウグスティーナー・ブロイは現存しており、伝承された知識と技術のもとに作られた味わい深いビールを楽しむことができます。

オーストリア連邦鉄道

ユネスコ世界文化遺産「センメリング鉄道」を走る

ウィーンからグラーツに向かう途中、全長41kmにわたって続くのは、アルプス越えを初めて実現した山岳鉄道「センメリング鉄道」。代表的な二層のアーチ構造の橋は、東側 (グラーツ行きは進行方向左側、ウィーン行きは右側 )から見られます。ゆっくり眺めるなら、センメリング駅で途中下車してウィーン方向に一駅近くハイキングするのがお勧めです。

ドナウ川添いのメルク修道院を訪ねる

ドナウ川沿いの小さな町、周辺に広がるブドウ畑、山の上に佇む古城…。風光明媚なワッハウ渓谷は、ユネスコ世界文化遺産に指定されています。ウィーンからの鉄道とドナウクルーズとメルク修道院の入場料がセットになったワッハウ・チケットがお得。

ミステリアスなザルツブルクで魔法にかかる

千年もの間、大司教による統治の独立した国家だったザルツブルク。そのミステリアスな魅力を感じられる場所の一つが、ホーエンザルツブルク城。威厳を示すかのように増改築が続けられた城の頂上にある監視塔からは、360度の美しい街並みを見渡せる一方、そこはかとない儚さも感じられます。

「ドレミの歌」を歌いながらスキップ

美しい町並み、自然豊かなザルツブルクは、映画『サウンド・オブ・ミュージック』の舞台。ザルツブルクを散策すれば、街角のいたるところで名曲が奏でられたロケ地に巡り合うことができます。マリアになった気分で、軽やかな足取りで市内を探索してみましょう。

グラーツ

世界遺産の街で“エイリアン”を探す

14世紀にハプスブルク家の居城が置かれ、音楽や大学創立など文化の華が開いたグラーツ。そんな歴史的な街並みの中に突如現れるのが、ユニークなデザインの現代美術館の「クンストハウス・グラーツ」。地元っ子から “フレンドリー・エイリアン”と呼ばれる人気もの。夜、ライトアップされた姿をシュロスベルクの丘から眺めると、まるで街へ舞い降りた宇宙船に出合ったような感覚に。

オーストリアの台所・グラーツで食べ歩き!

シュタイヤマルク州は “オーストリアの台所”と呼ばれるほどの食材の宝庫で、州都グラーツには美味しいものがすべて集まってきます。カボチャのシードオイルやワインが特に有名です。名産のカボチャやグラーツレタスを使った料理や、鮮やかなピンク色のロゼワイン「シルヒャー」をぜひ味わってみてください。

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