床タイル・舗装材 - lixil2013/06/02 ·...
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タイル建材
床タイル・舗装材 施工マニュアル
床タイル・舗装材
設計・施工マニュアル
2019.6
はじめに 1
1. 施工方法 2
2. 床タイルの施工方法 3
2-1 下地 3
2-2 個別施工法の詳細 6
3. 床タイルと損傷 11
3-1 重量車両通過による床タイルの割れ 11
3-2 不同沈下による割れ 12
3-3 伸縮に伴うタイルの浮き 13
3-4 伸縮目地部のせり上がり 14
3-5 白華汚れ 14
伸縮目地について 15
■床タイル舗装損傷例 16
4. 語句説明 18
5. 材質 20
INDEX
歩道へのタイル施工
公共エクステリアでのタイル施工
車道や歩道の仕上げ材として、従来はアスファルトもしくはコンクリートの直仕上げが
ほとんどでした。それは、都市のデザインとか景観といったことよりも、機能の充足を第
一義とされたためでした。しかし時代の変遷とともに価値観が多様化してくると、
人々は都市に対して機能の充実のみならずプラスアルファーの魅力、すなわちアメニ
ティー(快適性)も要求するようになってきました。このような欲求は昨今の都市デザ
インに対する関心の高さからみても明らかで、各地の自治体においては都市景観の
追及やリフォームが積極的に推進されています。また地域住民レベルも同様で、商
店組合等では街並みの美観向上とショッピングモールの活性化を期待してカラー舗
装等によるモールの美化運動が行われています。また、一般住宅においてもガーデ
ニングが注目されはじめ、玄関アプローチや外構を化粧材で仕上げるという傾向がよ
り高くなってきています。
なかでも、耐久性に優れること、形状やカラーバリエーションが豊富なことよりタイルは
優れた仕上げ材であると考えます。
本稿では、タイル等の仕上げ材について形状や使用される場面別に推奨する工法
を紹介します。
はじめに
1
床タイル等の舗装材の施工方法は、下地にモルタルで張り付ける[湿式施工]が一般的です。
湿式施工には、様々な施工方法があり、タイルの大きさによって用いる施工方法が異なります。
また、使用部位によって推奨方法が異なります。
(1)住宅や建物の外構(ロータリーは除く)、公園、広場等
人や自転車が通る程度の場所
⇒下図のタイル、施工方法の全てが適用されます。
※1 300mm角以上タイルの場合は、くし目高さ10mm以上のくし目ゴテを用いて、張付け
モルタルを塗り付けます。
※2 厚さ20mm以上のタイルに適用します。薄いタイルには不適です。
バックアンカーAF工法、バックアンカーCP工法は、専用の施工マニュアルをご覧ください。
(2)駐車場、歩道、コミュニティー道路等
人や自転車以外に車両が徐行程度の速度で通過可能性のある場所
⇒(1)の図のうち、以下のタイルと施工方法の組合せが適用されます。
タイルの種類 施工法
床タイル 300mm角以下 ①モザイクタイル張り
②圧着張り
③改良圧着張り
床タイル 200mm角以下 ②圧着張り
②圧着張り ※1
③改良圧着張り
④セメントペースト張り ※2
200mm角を超える
モザイクタイル ①モザイクタイル張り
1
施工方法
2
タイル張りを行う場合のコンクリート下地、アスファルト下地および鋼板下地について、注意点を
下記に示します。
(1)コンクリート下地の場合の注意点
タイル張りを行う下地の中で最も一般的なものがコンクリート下地です。舗装用コンクリート下地
の場合には、設計荷重を満たす強度があること、また収縮ひび割れに対する処置が必要です。
具体的な注意点としては、以下の4つがあります。
●現場打ちコンクリートであれば、所定の養生期間(最低2週間以上)をとる。
●施工前には必ず表面のレイタンスをサンダーやスクレーバーを用いて取り除く。
(高圧水洗浄も有効)
●伸縮目地(収縮目地・膨張目地)は3mピッチ程度で配置し、囲まれた面積は10m2以内と
する。
●下地の伸縮目地とタイル面の伸縮調節目地は必ず合わせ、下地の伸縮目地にまたがって
タイル張りを行わない。
(2)アスファルト下地の場合の注意点
アスファルトの種類は、開粒度アスコンもしくは粗粒度アスコンとし、モルタルがアスファルト表面の
凸凹へ十分にくい込むようにします。タイル張りに先立ち、ポリマーセメントモルタルでアスファルト
面にしごき塗りを行います。アスファルト下地の場合は直張りを標準としますが、やむを得ず不陸
調整が必要となった部分は、しごき塗り後に同じ調合のモルタルで不陸調整を行います。
下地のしごき塗りモルタルやタイルの張付けモルタルには、SBR系ラテックスを混和したポリマーセ
メントモルタルを用い、総厚で20mm以下とします。
3
2
床タイルの施工方法
2-1 下地(コンクリート下地、アスファルト下地、鋼板下地)
●コンクリート下地
伸縮調整目地伸縮調整目地 タイル
3mピッチ程度
アスファルトには流動性があり、熱ムーブメントに対して追従しますので、アスファルト層には、伸
縮調整目地を設ける必要はありません。
タイル層およびモルタル層は剛性が高いので、3mピッチ程度の間隔で伸縮調整目地を設けて
ください。
(3)鋼板下地の場合の注意点
鋼板下地の場合は、一般に、鋼板とモルタルの接着性は期待できません。
そこで、モルタル層の強度を確保するため、メッシュ筋を入れて補強します。
モルタル層の厚みは50mm以上とし、メッシュ筋(3.2~6.0φ)で補強します。これによってひび
割れの発生を軽減します。
伸縮目地は、2mピッチ程度で設置します。(鋼板の挙動は、一般に他の下地と比べると大き
いと考えられるため) メッシュ筋は、伸縮目地部手前で切断し、目地部分をまたがないように
します。
デッキプレートの場合は、メッシュ筋で補強したコンクリートスラブの上に同様なモルタル層を設け
て施工するようにします。
4
●アスファルト下地
3mピッチ程度
伸縮調整目地タイル
20mm以下
アスファルト下地
●鋼板下地
50~80
張付けモルタル
3~7
50以
上
(防水層)
張付けモルタル
メッシュ筋
コンクリート
タイル
平鋼板
3~7
タイル
(防水層)
モルタル
モルタル
デッキプレート
50~80
鋼板下地の特殊な例として鋼製階段部分があります。階段の蹴込み部分や踏み面には、メッ
シュ筋を下地面に溶接し、この上にモルタルを塗り込むようにして下地をこしらえます。
下地の調合はC/S=1/2~3で20~30mm程度の塗り厚とします。タイル張りは下地を十分養
生した後、改良圧着張りにより行います。踏み面の鼻先には、すべり止めを施した段鼻タイルを
用います。
5
●鋼製階段部分
モルタル
段鼻タイル
メッシュ筋
20~30
適用:モザイクタイル
下地に張付けモルタルを塗り付けて直ちにモザイクタイルを張り付ける方法です。
① 下地コンクリートの表面はレイタンス等の汚れが発生していることが多いため、ワイヤーブラシや
ケレンを用いて表面の掃除をする。
② コンクリートの吸水調整を行った後、モルタル下地かバサバサモルタル下地をこしらえる。
③ 2週間程度養生した後、下地表面の汚れやレイタンスをサンダー、スクレーバー、ワイヤーブラ
シ等を用いて取り除く。高圧水洗浄等の処理も有効である。
④ 割付け図面に基づき、下地面に水糸を引き通す。
⑤ 下地に吸水調整を行った後、張付けモルタルを平らに塗り付ける。塗り付けは、下地側に薄
くこすりつけるように塗り付けて、下地面との密着を確保したのち、直ちに張付けモルタルを塗り
重ねて3~5mm程度に塗り付ける。塗付け面積は30分で塗り終える面積(3m2以内)を目
安とする。
⑥ 水糸に合わせてタイルを張り付け、叩き板を用いて叩き押えを行う。
⑦ 硬化後、目地詰めを行う。
●下地材:モルタル C/S=1/3 またはバサバサモルタル C/S=1/3~5
●張付材:セメントモルタル C/S=1/0.5~1
※直張りする場合は、上記の他P.8に従う。
6
2-2 個別施工法の詳細
1 モザイクタイル張り
施 工 手 順
施 工 材 料
●モザイクタイル張り(張り代 1~2mm)
下地モルタルモザイクタイル
3~5
30以下
80~100
適用:床タイル
下地に張付けモルタルを塗り付けて直ちに張り付ける工法です。
「下地をこしらえる方法」とコンクリート下地等に直接タイル張りを行う「直張りする方法」の2つの
方法があります。
a)下地をこしらえる方法
圧着張りをする前にあらかじめ下地を作っておく方法です。
下地をこしらえる方法には、(モルタルで下地をこしらえる方法)と(バサバサモルタルで下地をこし
らえる方法)の2つの方法があります。一般的には「下地をこしらえる方法」をとります。
水勾配をとる場合は、下地の段階でチェックしながら施工できるので便利です。
① 下地コンクリートの表面はレイタンス等の汚れが発生していることが多いため、ワイヤーブラシや
ケレンを用いて表面の清掃をする。
②コンクリートの吸水調整を行った後、モルタル下地かバサバサモルタル下地をこしらえる。
③ 2週間程度養生した後、下地表面の汚れやレイタンスをサンダー、スクレーバー、ワイヤーブラ
シ等を用いて取り除く。高圧水洗浄等の処理も有効である。
④ 割付け図面に基づき、下地面に水糸を引き通す。
⑤ 下地の吸水調整を行った後、張付けモルタルを平らに塗り付ける。塗り付けは、下地側に薄
くこすりつけるように塗り付けて、下地との密着を確保したのち、直ちに張付けモルタルを塗り重
ねて、5~7mm程度に塗り付ける。300mm角以上のタイルは、くし目高さが10mm以上のく
し目ゴテを用いて張付けモルタルを塗り付ける。塗付け面積は30分で塗り終える面積(2m2
以内)を目安とする。
⑥水糸に合わせてタイルを張り付け、トンカチの柄や叩き板を用いて目地部から張付けモルタル
が盛り上がるまで叩き締める。300mm角以上のタイルは、ゴムハンマーやヴィブラートを用いて
十分に押さえ込む。
⑦ 硬化後、目地詰めを行う。
●下地材:モルタル C/S=1/3 またはバサバサモルタル C/S=1/3~5
●張付材:セメントモルタル C/S=1/1~2
2 圧着張り
7
施 工 手 順
施 工 材 料
●圧着張り(モルタル下地)…張り代 2~5mm
下地モルタルタイル
5~7
30以下
80~100
張付けモルタル
b)直張りする方法
コンクリートやアスファルト下地に直接タイル張りを行う方法です。
「直張り」するため、コンクリートやアスファルトの表面精度を良くしておく必要があります。下地表
面にレイタンスや汚れがあると接着性を妨げるため、施工前に完全に除去しておくことが必要です。
① 下地コンクリートの表面はレイタンス等の汚れが発生していることが多いため、ワイヤーブラシや
ケレンを用いて表面の清掃をする。
② 割付け図面に基づき、下地面に水糸を引き通す。
③ コンクリート面の場合は、あらかじめ吸水調整材処理を行うか、直前に水湿しを十分に行う。
④ ポリマーセメントモルタルで2mm程度均一に下こすりを行う。その際、コテ圧を十分にきかせて
下地に十分なじませるようにする。不陸がある場合にはこの時点で調整しておく。
⑤ 張付け用のポリマーセメントモルタルを平らに塗り付ける。塗り付けは、下地側に薄くこすりつけ
るように塗り付けて、下地との密着を確保したのち、直ちに張付けモルタルを塗り重ねて、5~
7mm程度に塗り付ける。300mm角以上のタイルは、くし目高さが10mm以上のくし目ゴテを
用いて張付けモルタルを塗り付ける。塗付け面積は30分で塗り終える面積(2m2以内)を目
安とする。
⑥ 水糸に合わせてタイルを張り付け、トンカチの柄や叩き板を用いて目地部から張付けモルタル
が盛り上がるまで叩き締める。300mm角以上のタイルは、ゴムハンマーやヴィブラートを用いて
十分に押さえ込む。
⑦ 硬化後、目地詰めを行う。
●下こすり材 :ポリマーセメントモルタル C/S=1/0.5~1
●張付材 :ポリマーセメントモルタル C/S=1/1~2
8
施 工 手 順
施 工 材 料
●圧着張り(直張り)
下こすりモルタルタイル
5~7
1~2
80~100
張付けモルタル
適用:床タイル(200mm角を超える)
下地に張付けモルタルを塗り付け、モルタルが固まらないうちにタイル裏面全体にも塗り付けて張
り付ける方法です。この工法は200mm角を超えるタイルに適した施工法です。
① 下地コンクリートの表面はレイタンス等の汚れが発生していることが多いため、ワイヤーブラシや
ケレンを用いて表面の清掃をする。
② コンクリートの吸水調整を行った後、モルタル下地かバサバサモルタル下地をこしらえる。
③ 2週間程度養生した後、下地表面の汚れやレイタンスをサンダー、スクレーバー、ワイヤーブラ
シ等を用いて取り除く。高圧水洗浄等の処理も有効である。
④ 割付け図面に基づき、下地面に水糸を引き通す。
⑤ 下地の吸水調整を行った後、張付けモルタルを平らに塗り付ける。塗り付けは、下地側に薄
くこすりつけるように塗り付けて、下地面との密着を確保したのち、直ちに張付けモルタルを塗
り重ねて3~4mm程度に塗り付ける。
⑥ タイル裏面に張付けモルタルを3~5mm程度塗り付け、水糸に合わせて下地面に叩き押え
ながら張り付けていく。
⑦ 目地の通りを確認し、さらに目地部の盛り上がったモルタルを目地ゴテ等を用いて取り除き、
ささら等を用いて掃除しておく。
⑧ 硬化後、目地詰めを行う。
●下地材:モルタル C/S=1/3 またはバサバサモルタル C/S=1/3~5
●張付材:セメントモルタル C/S=1/1~2
※直張りする場合は、上記の他P.8に従う。
9
3 改良圧着張り
施 工 手 順
施 工 材 料
●改良圧着張り…張り代 4~7mm
張付けモルタルタイル
3~4
30~40
80~100
張付けモルタル
適用:床タイル(200mm角を超え,かつ200mm厚以上または裏足のある14mm厚以上のタイル)
下地にバサバサモルタルを敷き、セメントペーストを流しながらタイルを叩き押えて張り付ける方法
です。この方法は、大形タイルで厚いタイルを施工する場合に用いられる工法です。
① 下地コンクリートの表面はレイタンス等の汚れが発生していることが多いため、ワイヤーブラシや
ケレンを用いて表面の清掃をする。
② 割付け図面に基づき、下地面に水糸を引き通す。
③ コンクリート表面に水湿しを行った後、バサバサモルタルを木ゴテやレーキを用いて平坦に敷き
ならす。敷きモルタル1回の敷きならし面積はタイル幅の2倍程度とする。
④ セメントペーストを2mm程度むらなく表面に流す。
⑤ 水糸に合わせてタイルを張り付け、トンカチの柄やゴムハンマーを用いて目地部からセメント
ペーストが盛り上がるまで叩き締める。
⑥ 硬化後、目地詰めを行う。
●下地材:モルタル C/S=1/3~5
●張付材:セメントペースト
10
4 セメントペースト張り
施 工 手 順
施 工 材 料
●セメントペースト張り…張り代 1~2mm
バサバサモルタル
1~2
30~40
80~100
大形タイル
床タイルの損傷には、ひび割れ、剥離、白華等の汚れがあります。これらの原因については、施工不良や
設計不良が大きく寄与しますが、そのほかに誘発させる要因として、車両の通過等外力によるもの、日射
等の温度変化の影響、養生不足等が考えられます。
タイルが単体で割れる現象は、裏面にかなりの空隙があった場合や下地の強度が十分ではなかっ
た場合等、下地に何らかの不良があった場合に起こります。
タイルが薄いから割れたと思われがちですが、実際にはタイルの圧力強度はいずれも100N/mm2
以上あり、構成材料の中では強度が高い部材に含まれます。
タイルの割れはタイル裏面の空隙と下地の圧縮強度が大きく影響し、それらが良好であれば荷重
によってタイルが割れることは考え難く、タイル厚もさほど影響しません。
従って重量車両の通過が予想される箇所では、荷重に耐えうる強度を有した路盤の設計を行う
こと、タイル張りにはモルタル強度の比較的高い圧着張りを採用すること、裏面に空隙が残らない
ようにタイルを施工することがポイントとなります。
11
3
床タイルと損傷
3-1 重量車両通過による床タイルの割れ
輪荷重
モルタル
タイル
クラック
コンクリート
空隙
不同沈下は路床や路盤の支持強度が、ある所を境に異なっていた場合、沈下量がその境界
線で不連続となるために起こる現象です。
特に地中梁の境界部等では起こりやすくなります。この場合は、外部荷重との関係を十分考
慮してクラッシャランを厚めに敷き込むほか、配筋を接続させる等の対策をとる必要があります。
12
3-2 不同沈下による割れ
タイル
下地モルタル
コンクリート地中梁
沈下
●伸縮調整目地回りの剥離およびせり上がり
●ひび割れ
コンクリート
モルタルタイル
タイルせり上がり
コンクリート
モルタル
タイル割れ
タイル
タイル床面は、下地コンクリートの硬化や乾燥による収縮、降雨による湿潤膨張、日射や気温
変化によって伸縮します。これらの伸縮に対して、伸縮目地が適切にとられていない場合には、
タイル剥離の原因になります。伸縮目地の設置間隔が広すぎる場合、下地の収縮に対してタイ
ル面が追従できず、剥離してせり上がったり、下地のひび割れ発生によって、その上のタイルにひ
びが入る等の損傷が起こります。
また、下地の養生期間が短い場合や張付けモルタルの付け代が大きい場合にも、モルタルの収
縮によってタイルが剥離する場合があります。
これらの損傷を防止するためには、下地に所定の養生期間(2週間以上)を必ずとること、応力
分散を図るために伸縮調整目地の設置間隔を短くすること(3m以内)、接着不良をなくすため
下地の汚れを除去すること等の注意が必要です。
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3-3 下地の伸縮に伴うタイル浮き、剥離およびひび割れ
伸縮目地材に体積変化の少ないアスファルト系等の材料を用いた場合、路盤の膨張により目
地部が圧縮され、目地材が押し出されて隣のタイルを押し上げ剥離させてしまう場合があります。
これは、伸縮に対して体積変化のある材料(発砲材料等)を採用すれば、外側へのはみ出しを
防止できます。
吸水の大きな材料、例えばレンガ等を敷きモルタル張りのように湿式施工した場合に生じやすい
ので、注意が必要です。
湿潤場面から乾燥状態に移行する過程で、吸水の高い材料は裏面の水分を吸い上げ表面で
乾燥させる毛細管現象が生じ、このとき、敷きモルタルの成分を一緒に移動させ、表面側に固着
させるものです。
これは、下地にコンクリート路盤といった透水性の低い材料があり、水勾配が適切にとられていな
い箇所で起こりやすいため、吸水性の高い材料を用いる場合には、下地コンクリートの水勾配を
適切にとるほか、ブロック形状ならば砂伏せ施工を採用する等の注意が必要です。
また、裏面に撥水処理を行うことも有効です。
14
3-4 伸縮目地部のせり上がり
●伸縮目地材の膨張による破壊
モルタル
タイル
モルタル
タイル
伸縮目地材
体積変化の少ない材料
3-5 白華汚れ
床タイルの湿式施工では、下地に接着されていること、物性面ではガラスに似た性質をもっている
ことにより、外的要因によって起こるさまざまな応力を伸縮調整目地で緩和させる必要があります。
このため、タイル張りではタイル面の伸縮調整目地に以下のようにおおよその基準を設けています。
伸縮調整目地の設置間隔 :3~4m未満
伸縮調整目地で囲まれた面積 :10m2以下
下地モルタル部分 :発泡材が充てんされていること
コンクリート路盤部分 :伸縮目地、ひび割れ誘発目地等が施されていること
伸縮目地幅 :10mm以上かつ下地の伸縮目地幅以上
15
伸 縮 調 整 目 地 に つ い て
●伸縮目地部の構成
(イ)目地板を挿入した場合
(ロ)カッターで切り込みを入れた場合
伸縮目地材
変成シリコーン系ポリサルファイド系( )
硬質スポンジ、杉板等
●伸縮目地部の構成可否
伸縮目地材
伸縮目地材
伸縮目地
伸縮目地
伸縮目地材
伸縮目地材
×
×
○
○
白華(1) 白華(2)
水勾配をとって、確実に排水することで水溜りを 蹴込み部分の裏面に空隙ができないように、確実な
防止する。 施工をする。
伸縮目地にまたがった施工による割れ 伸縮目地の膨張によるタイルの押し出し
下地の伸縮目地とタイルの伸縮目地は合わせる。 体積変化の可能な伸縮目地材を用いる。
伸縮目地をまたがってタイル施工するような割付
けはしない。
対策 対策
対策 対策
16
床タイル舗装 損傷事例
下地欠損部の応力集中による割れ
欠損部周辺には応力緩和のため伸縮目地を設け
るようにする。
車両通過によるタイルの割れ
車両通過が予想される箇所では下地を十分
転圧し、圧縮強度を高める。
車両通過によるタイル周辺部のカケ
下地を十分転圧し、圧縮強度を高める。
対策
対策
対策
17
●開粒アスコン 開粒度アスファルトコンクリートの略。加熱アスファルト混合物で、合
成粒度が2.5mmふるいに15~30%通過するもの。
この混合物の路面は極めて粗く、すべり止め用混合物として用いら
れる。また、透水アスファルトとしても用いられる。
●ひび割れ誘発目地 コンクリートの乾燥収縮や膨張時に発生する変形量が許容変形量
を超えた場合にクラックが生ずるが、あらかじめコンクリートに欠損部を
設け、その亀裂を意図的に発生させる目地。伸縮目地ともいう。
●合成高分子エマルジョン セメントモルタルに混和し、高強度とするために用いられる牛乳状の
樹脂分散水溶液。SBRラテックス系、EVA系、アクリル系が一般的
に用いられる。
●コンクリートカッター コンクリート舗装やアスファルト舗装工事の打設時の目地の切断ま
たは電信・電話・ガス・水道等の埋設および補修時のコンクリート
切断工事等に使用される機械。
小型ガソリン機関で円盤状のカッターを駆動してコンクリートを切断
する。
●C/S セメント砂比。
Cはセメントを指し、Sは砂を指す。
●伸縮目地 膨張や収縮をこの部分で自由に起させることによって応力の軽減を
図るための目地。
●セメントペースト セメントと水を練り混ぜたもの。
別名「セメント糊」「ノロ」ともいう。
●セメントモルタル 一般にセメント、砂、水を練り混ぜたもの。
●粗粒アスコン 粗粒度アスファルトコンクリートの略。加熱アスファルト混合物で合成
粒度が2.5mmのふるいに20~30%通過するもの。アスファルト舗装
の基層の大部分はこの混合物が用いられる。また、密粒アスコンに
比べ表面が粗いため、すべりやわだち掘れを防止する目的で表層に
用いることもある。
18
5
語句説明
●バサバサモルタル セメントモルタルに比べて貧調合で水分量も少ないもの。
混合比はC/S=1/3~5程度で、練る混ぜたときの硬さは、手で握って
形が残るくらいのもの。
●ポリマーセメントモルタル セメントモルタルに合成高分子エマルジョンを混和剤として加えたもの。
●密粒アスコン 密粒度アスファルトコンクリートの略。加熱アスファルト混合物で、
合成粒度が2.5mmふるいに30~50%通過するもの。アスファルト
舗装における表層として最も多く用いられる。
●レイタンス 打ち込んだコンクリートもしくはモルタルの表面に発生する薄い泥状
物の層。ブリージング水とともに浮上したセメント中または骨材中の
微粒子から成っている。
●路床 舗装を支持している地盤(土の部分)のうち、路盤の下面より厚さ
約1mの範囲を指す。
●路盤 路床の上に設けられた層。表層からの荷重を分散させ路床に伝え
る役割を持つ部分である。また、路盤は簡易舗装を除いて、上部
を上層路盤、下部を下層路盤に区分する。
19
床タイル舗装に用いられるタイルは一般に8mm厚以上のものが多く用いられ、形状は100~
300角程度が多く使用されています。材質は磁器質かせっ器質がほとんどで、陶器質は特別な
場合を除いて使用されていません。
これらタイルの物性を以下に示します。
●タイルの物性
磁器質床タイル せっ器質床タイル
比重 2.3~2.4 2.1~2.3
吸水率(%) 1以下 1~5以下
圧縮強さ(N/mm2) 100~500 100~300
曲げ強さ(N/mm2) 20~70 10~60
動弾性係数(×104N/mm2) 4~7 3~6
熱膨張係数(×10-6/℃) 5~8 5~8
熱伝導率(W/m・K) 0.9~1.7 0.8~1.5
床タイルを施工する場合の下地には、セメントモルタルが使用されます。セメントモルタルの
中でも貧調合のバサバサモルタルから、合成高分子エマルジョン混入のポリマーセメントモル
タルまで、施工方法によって幾種類か使用されています。
これらの圧縮強度、曲げ強度を以下に示します。
●モルタルの圧縮強度、曲げ強度
圧縮強度(N/mm2) 曲げ強度(N/mm2)
バサバサモルタル
C:S:W=1:4:0.4 20~25 3~4
セメントモルタル
C:S:W=1:2:0.5 30~40 4~5
ポリマーセメントモルタル
C:S:W:P=1:2:0.5:0.1 30~40 6~8
20
5
材質
参考文献
・ 舗装設計施工指針(H18)
(社)日本道路協会編
・道路用語辞典
(社)日本道路協会編