モニタのcmsとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... ·...

69
モニタの CMS とその検証について モニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、など について。 1. モニタキャリブレーションの重要性 モニタの役割 モニタ (monitor) は、ディスプレイ(display) ともいい、コンピュータなどの機器 から出力される静止画または動画の映像信号を表示する機器である。 コンピュータの出力機器の 1 つであり、画像を表示する方法には以下のような代表的な ものがある。 ブラウン管(CRT液晶ディスプレイ(LCD有機 EL ディスプレイ デスクトップパソコン向けの単品のディスプレイ装置は、かつては、ほとんどがブラ ウン管を利用していたため、CRT という用語がディスプレイ装置全体を指すほどであっ た。しかし、1990 年代後半から液晶を用いた単品のディスプレイ装置が登場し、 2007 頃までに CRT の新規生産出荷はほとんど行われなくなった。2009 年現在では単品のディ スプレイ装置の主流は液晶となっている。 ビデオ信号は、ビデオ表示回路(ビデオカードなど)で発生され、少なくとも 1 つ以上の 表示規格を満たす。規格には画面サイズ(表示領域の大きさ、表示画素数では無いことに 注意)、発色数、水平および垂直方向の走査 周波数、信号インターフェースの電気的特性 などがあり、これらのいくつかは互いに関係しあっている。 技術畑の人たちには「ディスプレイ」の方が「モニタ」よりも好まれることがある。こ れは「機械語レベルのデバッグ」や「スレッド同期機能」を表す「モニタ」と混同しや すいためである。コンピュータディスプレイは、他に「ビデオ表示端末」( VDT)とも呼 ばれている。 ブラウン管(CRTブラウン管は、ドイツのカール・フェルディナント・ブラウンが発明した表示器で、 多くのコンピュータディスプレイ、テレビ受像器やオシロスコープなどで用いられてい る。 工学的には英語直訳の陰極線管CRTCathode Ray Tube、カソード・レイ・チューブ) や、受像管と呼ばれている(以下、オシロスコープのブラウン管に関してはモノクロと して記述する)。 1

Upload: others

Post on 18-Aug-2020

0 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: モニタのCMSとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... · Web viewモニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、などについて。

モニタのCMSとその検証について モニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、など

について。

1. モニタキャリブレーションの重要性・ モニタの役割

 モニタ (monitor) は、ディスプレイ(display) ともいい、コンピュータなどの機器から出力される静止画または動画の映像信号を表示する機器である。 コンピュータの出力機器の 1つであり、画像を表示する方法には以下のような代表的な

ものがある。

ブラウン管(CRT)

液晶ディスプレイ(LCD)

有機 ELディスプレイ

デスクトップパソコン向けの単品のディスプレイ装置は、かつては、ほとんどがブラ

ウン管を利用していたため、CRTという用語がディスプレイ装置全体を指すほどであっ

た。しかし、1990年代後半から液晶を用いた単品のディスプレイ装置が登場し、 2007年

頃までに CRTの新規生産出荷はほとんど行われなくなった。2009年現在では単品のディ

スプレイ装置の主流は液晶となっている。

ビデオ信号は、ビデオ表示回路(ビデオカードなど)で発生され、少なくとも 1つ以上の

表示規格を満たす。規格には画面サイズ(表示領域の大きさ、表示画素数では無いことに

注意)、発色数、水平および垂直方向の走査周波数、信号インターフェースの電気的特性

などがあり、これらのいくつかは互いに関係しあっている。

技術畑の人たちには「ディスプレイ」の方が「モニタ」よりも好まれることがある。こ

れは「機械語レベルのデバッグ」や「スレッド同期機能」を表す「モニタ」と混同しや

すいためである。コンピュータディスプレイは、他に「ビデオ表示端末」(VDT)とも呼

ばれている。

ブラウン管(CRT)

ブラウン管は、ドイツのカール・フェルディナント・ブラウンが発明した表示器で、

多くのコンピュータディスプレイ、テレビ受像器やオシロスコープなどで用いられてい

る。

工学的には英語直訳の陰極線管(CRT、Cathode Ray Tube、カソード・レイ・チューブ)

や、受像管と呼ばれている(以下、オシロスコープのブラウン管に関してはモノクロと

して記述する)。

1

Page 2: モニタのCMSとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... · Web viewモニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、などについて。

ブラウン管とは、一種の商標のようなものであるが、あまりにもこの名称が浸透しすぎ

たために、国家試験などの問題にもこの表記が用いられる場合が多い(例:「ブラウン

管(CRT)」)。

また、テレビ番組などにおいて画面を指す際に「ブラウン管の向こうに~」といったよ

うな使われ方をすることもある。

陰極線とは真空管の陰極(カソード)を熱すると発生する熱電子の高速な流れのことであ

る。

単品のディスプレイ装置(ブラウン管・液晶とも)については、パーソナルコンピュー

タ(PC)本体とともに、「資源の有効な利用の促進に関する法律」の適用を受けること

になり、メーカーによる回収・リサイクルが制度化された。

カラー受像管の断面図 :1.電子銃 2.電子ビーム 3.集束コイル (焦点調整) 4.偏向コイル 

5.陽極端子 6.シャドーマスク 7.色蛍光体 8.色蛍光体を内側から見た拡大図

-原理

ブラウン管内で、電子は電子線として集束され、電界または磁界により偏向されて蛍光

物質を塗布した表示面(陽極、アノード)を走査する。電子が蛍光物質に衝突すると光が

放出される。

陽極に高電圧を印加することにより、陰極から放出された電子はさらに加速される。カ

ラーブラウン管のアノード電圧は普通 20,000~26,000V(20~26kV)であり、白黒ブラウン

管ではこれよりも低い。電子ビームを輝度変調するためにコントロールグリッドを備え

るため、簡単なブラウン管は真空管の三極管に分類される。さらに多くの電極を持つ複

雑な管もある。

ブラウン管で用いられるガラス管はその形状から、ファンネル(漏斗)と呼ばれている。

2

Page 3: モニタのCMSとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... · Web viewモニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、などについて。

コンピュータの草創期には、蛍光面が高電圧で帯電されることを利用して、主記憶装置の

デバイスとして使用されていたことがある(ウィリアムス管)。

液晶ディスプレイ(LCD)

 液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display、LCD)は、表示のために液晶組成物を利用

する表示装置をいう。多様な機器における表示装置、特に、数値や機器動作状態等の情報

表示装置、映像などの画像表示装置として利用されており、デジタル化された電子機器の

普及に伴い一般的な表示装置となっている。

「液晶ディスプレイ」には、「液晶モジュール」と呼ばれる部品が含まれており、その

液晶モジュールは、主に「液晶パネル」と呼ばれる液晶を含む板状の部品から構成され

ている。液晶ディスプレイには製品全体を指す場合と製品の表示部だけを指す場合があ

るが、ここでは便宜上、製品全体は液晶ディスプレイと呼び、製品の表示部だけを指す

には液晶パネルや液晶モジュールと呼ぶことにする。

液晶ディスプレイの主な例として液晶テレビやコンピュータ・ディスプレイがあり、液

晶モジュールは携帯電話端末、携帯型ゲーム機、電卓、時計などの表示部として使われて

いる。

ここでは、テレビ、PCなどの表示装置としての「液晶ディスプレイ」と、携帯電話やデ

ジタルカメラなどに組み込まれる部品としての「液晶パネル」と「液晶モジュール」に

ついて、それぞれを分けて記述する。また、ここでは液晶プロジェクタは扱わないこと

にする。

3

Page 4: モニタのCMSとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... · Web viewモニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、などについて。

LCDモニタの一部を拡大した画像

-液晶パネルの原理

4

Page 5: モニタのCMSとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... · Web viewモニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、などについて。

液晶パネルの構成(単純な構造のもの)

1.偏光フィルタ(垂直) 2.ガラス基板(個別電極) 3.配向層に挟まれた液晶  4.ガラ

ス基板(共通電極) 5.偏光フィルタ(水平) 6.光源

単体装置としての液晶ディスプレイは、光源、駆動回路や電源回路、接続コネクタ、ケ

ース等を除けば主要部分が液晶パネルと呼ばれる薄い板状部品で構成されている。

電卓や時計の液晶は、あらかじめ「絵」の形に電極を配置して液晶に電圧を加える反射型

の液晶が使用されることが多い。カラーの画像や映像を表示するものでは、格子状に配

列したサブ画素 (Sub-pixel, sub-dot) を用いる。

-表示原理

液晶パネルは、外光や、フロントライト、バックライト等の光源により発せられた光

を部分的に遮ったり透過させたりすることによって表示を行なう。一般的な透過型液晶

パネルを例として表示原理を説明する。

偏光

光源となるバックライトからは 360度多様な方向に振幅成分を有する光が放たれる。裏面

の偏光フィルタ(偏光板)は、この光の内の特定の方向の振幅成分を持つ光(偏光)だけ

を通過させ、残りはヨウ素分子のような偏光素子に吸収される。最初の偏光フィルタを

通過した光は、直線偏光となって液晶層に入射される。直線偏光の入射光は、液晶層を厚

み方向に伝播しながら、液晶のもつ屈折率異方性(複屈折)に応じて偏光状態を変化させ

て行く。液晶層を通過した出射光の内の、表側の偏光フィルタが制限する特定方向の偏光

成分の光だけが表示光として出射される。表示を変化させるためには、電圧を変化させ

て液晶配向を変化させる。液晶配向の変化に合わせて、液晶層をはさんでいる偏光フィル

タ 2枚を含めた全体の透過率が変化し、表示される明るさが変化する。

配向

液晶層の表裏には 2枚の配向層を備える形式が多く、電圧を掛けない場合に液晶分子を特

定方向に整列させる役割を担う。

電界

液晶配向を変化させるために電圧を掛け電界を作る。多くの形式では表裏の両面に平面電

極を備えている。

このように液晶層を表裏 2枚の配向層がはさみ、さらに 2枚の偏光フィルタとその外側に

5

Page 6: モニタのCMSとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... · Web viewモニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、などについて。

電極が位置する。表側の偏光フィルタを透過する光が多い場合に表示が明るくなり、少な

い場合には表示は暗くなる。

中間調

液晶パネルは単なる光シャッターとして動作しており、真っ黒や真っ白といったデジタ

ル表示以外にアナログ的な中間の明るさを得るためには、電圧も中間の値を加えること

で光の透過率を調節する。

交流印加

液晶パネル自身は直流の印加で動作できるが、電極側に正負電荷の偏りが生じて寿命が短

くなってしまう。これを避けるために正と負の電圧を交互に掛ける交流を印加している。

こうして光学的なシャッターを実現し、このような微細なシャッター 1つを 1つのサブ画

素とする多数のサブ画素によって望む画像を表示する。このシャッターは光の透過と遮

断だけを行なうので多様な色は、概ね 3原色を備えた色フィルタで実現される。

-表示モード

2枚の電極に挟まれた各画素での表示には偏光フィルムの配置方向に応じて、2種の表

示モードが存在する。

ノーマリー・ホワイト・モード(NWモード) - 電圧の無印加状態で明表示(白表示)と

なる

ノーマリー・ブラック・モード(NBモード) - 電圧の無印加状態で暗表示(黒表示)と

なる

-液晶パネルの構造

液晶パネルの構造概略

説明のために光源と導光板も加えたがこれらは通常、液晶パネルには含まれない。液晶

層は、厚みが誇張されているが、実際には 3μm程と極めて薄い。

液晶パネルは、大きくは表裏 2枚の基板とその間の液晶材料から構成される。

液晶パネル(表面より順に示す。カッコ内は厚みの例)

偏光フィルタ(0.2mm程度)

6

Page 7: モニタのCMSとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... · Web viewモニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、などについて。

カラーフィルタ基板(BMとカラーフィルタ、共通電極、場合によりスペーサ、0.65mm

程度)

配向膜

液晶層(液晶材料、場合によりスペーサ、3μm=0.003mm程度)

配向膜

アレイ基板(配線や TFT回路、サブ画素となる電極、0.65mm程度)

偏光フィルタ(0.2mm程度)

上記に加えて基板の周囲に「封止剤」が使われる。

液晶パネルは、油状の透明な液晶組成物(液晶材料)が 2枚の透明な基板の間にサンドイ

ッチされ、周囲が封止剤によってシールされていて、液晶材料が漏れ出すことなくまた

液晶材料が清浄に保たれるようになっている。セルギャップという基板同士の間隔を一

定に保つためのスペーサやギャップ材として、粒の大きさが揃ったプラスチック球が少

しだけ液晶層に散布されていたり、カラーフィルタ基板に柱状のスペーサが作り込まれ

ている。カラーフィルタ基板よりもアレイ基板の方が周囲の接続端子などの分だけ大き

くなる。

2枚の基板は表側にカラーフィルタ基板、裏側にアレイ基板が配置される。アレイ基板は

液晶側に TFTなどのアクティブ素子とサブ画素となる電極がアレイ(配列)状に作り込

まれている。カラーフィルタ基板の液晶側には、ブラック・マトリックス (BM) や R

(赤)、G(緑)、B(青)というカラーフィルタを配列し、さらに透明電極による共通

電極またはコモン電極と呼ばれるものが基板全面に作られる。これらの基板は光をでき

るだけ無駄なく透過させるために、ガラス基板が用いられることが多い。耐衝撃性、フ

レキシブル性などの点からプラスチック基板を用いることもある。透明電極の材料とし

ては、電気抵抗が低くパターン加工の容易なインジウムとスズの酸化物である ITO

(Indium-tin-oxide) が広く用いられている。また、透明電極に印加される電圧は、アレイ基

板では TFTなどのアクティブ素子を通じて外部から印加されるが、外部からサブ画素ま

での配線として金属配線もアレイ基板の内面に配置されている。アレイ基板の端部には、

配線電極の接続部が露出しており、ここに駆動回路が接続されて電気的に実装される。表

裏 2面の透明電極のそれぞれの内側には、ポリイミド材料の配向膜が配置されて、液晶材

料を所望の配向状態になるようにしている。

液晶パネルでは、液晶を封入した表裏の透明基板のさらに外側に、1組の偏光フィルタ

(偏光板、Polarizer)を設ける形式が主流である。透過型の液晶パネルでは、裏側の光源

(バックライト)から出た光は、光源⇒偏光フィルタ⇒アレイ基板⇒サブ画素の透明電極

⇒配向膜⇒液晶⇒配向膜⇒共通透明電極⇒カラーフィルタ基板⇒偏光フィルタ、という順

に各要素を通過して観察者の目に届く。ごく安価な表示用途で使われる簡易な反射型の液

晶パネルでは、散乱性の反射板を液晶パネルの背面(裏面)に配置してそれ自体には光源

を設けず、周囲の光(外光)によって表示する。 アレイ基板からカラーフィルタ基板の

7

Page 8: モニタのCMSとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... · Web viewモニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、などについて。

共通電極へ接続するのはトランスファ (Transfer) と呼ばれ、またこの接続材はコモン転移

材 (Common transfer material) と呼ばれ、一般に銀ペーストやカーボン・ペーストといった

導電ペーストが使用される。

実際の製品ではこういった基本構造の他にも、視野角特性を改良するための光学フィル

ム(視野角補償フィルム)などが偏光フィルタとガラス基板との間に追加して挿入され

る場合がある。また、バックライトシステムの一部にも、視野角や輝度を向上させるた

めの光学フィルム(輝度上昇フィルム)を用いる場合もある。

-カラーフィルタ

カラーフィルタは、サブ画素に対応させて、赤色 (R)・緑色 (G)・青色 (B) の光を透過さ

せる着色層やブラック・マトリックス (BM) を基板上に配置し、保護膜で覆ったものであ

る。この着色層は、液晶をはさむ 2枚の基板の表側のカラーフィルタ基板に微細パターン

で塗り付けられる「着色材」、又は「着色膜」であり、顔料系、又は染色料系のものが用

いられる。BM層によって黒色表示時の光漏れと隣り合う着色材同士の混色を防ぎ、TFT

への光照射による光電流の発生も防止する。着色材の定着に感光材を用いるものは、着色

材に混ぜられてそのまま定着する。0.1μm程の薄い BM層は金属クロムが多く、他にもカ

ーボン、チタン、ニッケルの使用が試みられている。BM層の間には 1.2μm程の BM層よ

りは厚みのある 3色の着色層が一定のパターンで配置される。高精細の画面では着色層の

パターンはストライプ配置が多いが、低精細度の画面ではデルタ配置が良好な画質の印

象となる。

カラーフィルタの配列例

 

8

Page 9: モニタのCMSとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... · Web viewモニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、などについて。

   

9

Page 10: モニタのCMSとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... · Web viewモニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、などについて。

  

左からストライプ、ダイアゴナル(モザイク)、デルタ(トライアングル)と呼ばれる。

カラーフィルタのない領域は BMで覆われ不要な光が遮蔽される。

カラーフィルタは色素の吸収を利用して各サブ画素の通過光を R、G、Bの 3つの基本色

にして、加法混合方式で混色を作り出すことで中間色を含むカラー表示が実現する。各サ

ブ画素の印加電圧を制御して画素ごとの混色による発色が可能になり、透過光を遮ること

で黒を表現する。これがカラー液晶パネルの仕組みである。

カラーフィルタには高色純度と高透過性、耐光性や耐熱性、耐薬品性、平滑性、加工寸法

の精度が求められる。180℃で 1時間といった配向膜の焼成工程や低抵抗性 ITOの成膜工

程等での高温に耐える必要がある。同じく配向膜や ITOの加工中での溶剤や洗浄剤に対す

る耐性が求められる。突起などがあるとセルギャップが一定に保てず、表示品質が悪く

なるカラーフィルタだけでも光の 70%程度が失われて主に熱となり、残る約 30%だけが

通過できる。

10

Page 11: モニタのCMSとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... · Web viewモニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、などについて。

単純マトリクス駆動方式の等価回路

A.理想 B.クロストーク経路 C.電圧平均法

Aが理想的な単純マトリクスによる液晶電極の駆動であるが、実際は Bのように「クロ

ストーク」によって電圧が他の素子を経由してかかり、周辺の画素まで影響を受ける。

図の例では 1本の経由ルートだけを示したが、実際は周囲に多数のルートがありクロスト

ークとなる。Cのようにクロストークによって漏れ出る電圧の影響を最小限にするため

に、非選択の画素には印加電圧のN分の 1程度(Nは走査電極数)の電圧が加わるように

工夫した「電圧平均法」が用いられる。

-液晶パネルの基本的な駆動方式

簡易な表示で済む電卓の表示部のようなものを除けば、多数のサブ画素を格子状に配列

したドットマトリクスによる表示が液晶パネルの主流となっており、これによって変化

に富んだ画像表示が行なえる。ドットマトリクス表示の多数のサブ画素ごとの電極に個

別の配線を行なうと、基板周縁部は配線で埋まり現実的ではなくなることから、縦横の 2

次元的な配線の交点でサブ画素の電極を制御するマトリクス配線方式が採られている。

11

Page 12: モニタのCMSとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... · Web viewモニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、などについて。

マトリクス配線では、基本的に液晶パネル外との配線数が縦線と横線の合計数で済む。

マトリクス配線で使用される 2種類の信号線を以下に示す。

データ線

データ線はデータ信号線や X電極線とも呼ばれ、アクティブ・マトリクス駆動ではソー

ス線とも呼ばれる。

アドレス線

アドレス線はアドレス信号線や Y電極線とも呼ばれ、アクティブ・マトリクス駆動では

ゲート線とも呼ばれる。

マトリクス配線には「単純マトリクス駆動方式」と「アクティブ・マトリクス駆動方

式」がある。

単純マトリクス駆動方式

単純マトリクス (Simple Matrix) 駆動方式はパッシブ・マトリクス (Passive Matrix) 駆動方式

(PM型)や静的マトリクス (Static Matrix) 駆動方式とも呼ばれ、X電極線と Y電極線の

交点の画素、またはサブ画素に電圧を印加し液晶を駆動する。単純マトリクス駆動方式で

は、液晶材料に 270度まで偏光を旋回させる分子が選ばれた STN (Super twisted nematic) が

ほとんど用いられる。Xと Yが非選択状態となると基本的には印加電圧は失われるため

画素が多数になるとその分だけ 1つの画素に印加される時間は短くなるのであまり多数の

画素は扱えない。1枚の画面、つまりフレームを表示する間の 1つの画素、サブ画素に電

圧を加える時間の比率をデューティ比と呼ぶ。Xと Yが同時に選択されていなくても X

とYのいずれかが選択されれば周辺の画素に無用の回路が出来て 1/3程度の電圧が印加さ

れ、これはクロストークと呼ばれ、画面の滲みとなり、XとYにノイズが加わっても同

様に無用な線が生じる。

アクティブ・マトリクス駆動方式の等価回路

1.TFT 2.表示電極 3.コンデンサ 4.共通電極線へ太線の部分が電圧が加えられている。

横方向に走るゲート電極線と縦方向に走るソース電極線の交点に TFTと呼ばれる FET

12

Page 13: モニタのCMSとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... · Web viewモニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、などについて。

が配置され、2本のバス線が FETのゲートとソースに接続されている。FETのドレイン側

にはサブピクセルとなる液晶電極、そしてコンデンサ(キャパシタ)がつながれ、これ

ら 2つの容量性素子の反対側は共通電極(コモン電極)になっている。ゲート電極線に加

えられた電圧によってそれに接続されている 1列分すべての FETが"ON"動作となること

で、ソースとドレイン間に電流が流れ、そのときソース電極線に加えられている各々の

電圧が液晶電極にかかり、コンデンサには電圧に応じた電荷が蓄積される。ゲート電極

線は 1列分の充電を終えると電圧の印加は次の列に移り、最初の 1列分の FETはゲート電

圧を失って"OFF"動作となる。最初の 1列分の液晶電極はソース電極線からの電圧を失う

が同時にコンデンサに蓄積された電荷によって次にゲート電極線が選択されるまでの 1

フレーム分の時間、必要な電圧をほとんど維持できる。コンデンサの共通電極線は隣接

するサブ画素のゲート電極線で代替することがある。このように TFTをスイッチとして

使ったアクティブ・マトリクス駆動方式では、ゲート電極線によって同時に多数の FET

へ電圧を加えることができるので、膨大な画素にも対応でき、コンデンサによって表示

を維持できる。

アクティブ・マトリクス駆動方式

アクティブ・マトリクス (Active matrix) 駆動方式はAM型とも呼ばれ、単純マトリクスの

XとYの電極線と蓄積コンデンサに加えてアクティブ素子が画素ごとに設けられている。

一般的にはこのアクティブ素子に薄膜トランジスタ (TFT) が使われる。ガラスやプラス

チック製のアレイ基板上に作られた TFTがスイッチング動作することで、XとYが非選

択状態では蓄積コンデンサに蓄えられた電荷を出来るだけ保持するように働く。Xと Y

が同時に選択されなければ TFTによるスイッチは"ON"とならず画素、またはサブ画素へ

の印加電圧に変化は生じないため、Xと Yに少しのノイズが加わってもそれはその時選

択されていた画素だけに影響して他の部分には影響しない。Xと Yが非選択状態になる

と蓄積コンデンサに蓄えられた電荷が電圧の印加を担ってゆっくりと減少してゆくため

に、次に XとYが選択されて電荷を加えられるまで時間が稼げる。このため比較的多数

の画素、またはサブ画素を 1つのXとYの配列内に持つことができる。

TFT等のアクティブ素子を用いる液晶パネルは、1990年代末頃から生産技術の発展とと

もに低価格化し、2000年代に入ると高品質の表示が必要なテレビ受像機やコンピュー

タ・モニタ、携帯電話の表示部として広く普及しており、STN型の単純マトリクスを使

った液晶パネルは減少傾向にある。

13

Page 14: モニタのCMSとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... · Web viewモニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、などについて。

TFT画素の模式図(付加容量型)

1.ゲート電極線 2.ソース電極線 3.ゲート電極 4.ドレイン電極 5.絶縁膜 6.アモルファス・シ

リコン層 7.n+アモルファス・シリコン層 8.絶縁膜 9.蓄積電極(蓄積容量) 10.絶縁膜 11.表

示電極 12.1つのサブセル

蓄積電極への配線を隣のゲート電極線と兼ねることで製造工程を簡略化した付加容量型を

示したが、蓄積電極専用の配線を持った構造もある。図の例では正方形に近いが、3色の

カラー表示の各サブセルは、通常は細長い。

TFTを構成する半導体の組成には、普及したアモルファス・シリコンと、開発が進んで

実用化段階にあるポリ・シリコンがある。画面サイズの比較的小さな液晶パネルでは、

開口率を上げるために絶縁膜を挟んで隣のゲート線上との間にコンデンサを作る「付加

容量型」が多い。

アモルファス・シリコン

アモルファス・シリコンは、大型のガラス基板に対して容易に成膜ができることから、

高い生産性を誇っている。電子移動度は 0.5-1.0cm2/Vs とかなり悪い[ 。

ポリ・シリコン

ポリ・シリコン (poly-crystalline Si) は、多結晶シリコンのことであり、アモルファス・シ

リコンに比べると電子移動度が 30-300cm2/Vs (LTPS) と単結晶シリコン (MOS-FET) の 600-

700cm2/Vs には及ばないが画素表示用途では十分な性能が得られる。このポリシリコン

TFTにはさらに製造プロセスの温度差によって高温ポリシリコン (High-temperature poly

silicon, HTPS) と低温ポリシリコンがある。ポリシリコンによってガラス基板上に液晶を

駆動するためのドライバ回路を作り込める利点がある。

高温ポリシリコン

高温ポリシリコン (High-temperature poly silicon, HTPS) は、1,000℃程度の高温に耐えられる石英ガラス基板上に成膜したアモルファス・シリコンを熱アニールして結晶化する。

14

Page 15: モニタのCMSとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... · Web viewモニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、などについて。

サファイヤ基板上にアモルファス・シリコンを結晶化させたものに SOS (Silicon On

Sapphire) があり、プロジェクタ等の液晶ライトバルブなど、比較的特殊なものに用いら

れている。

低温ポリシリコン

低温ポリシリコン (Low-temperature poly silicon, LTPS) は、安価な通常の無アルカリ・ガラ

ス基板上に成膜したアモルファス・シリコンをレーザーアニール等による 600℃以下の低温で多結晶化するものである。低温ポリシリコンは、結晶粒界によって電流が妨げられ

る割合が高いために高温ポリシリコンより電子移動度が低くなるが、それでもアモルフ

ァス・シリコンと比べれば数百倍のスイッチング動作が可能となり、特に COG方式での

ドライバ回路までガラス基板上に集積することで、接続点が少なくなるために信頼性が

高まるが、額縁部分は少し広くなる。ただし、外部 ICでは 3.3-5Vでの駆動電圧なのに対

して、低温ポリシリコンによる駆動回路では 8-12V程度が必要となり、携帯機器が求める

低消費電力化の点では逆行することになってしまう。HTPSより特性は劣るが安価なため、

利用が進んでいる。

連続粒界シリコン

連続粒界シリコン (Continous grain silicon) は粒界を実質的になくすことで電子移動度を高

めたもの。

15

Page 16: モニタのCMSとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... · Web viewモニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、などについて。

フレーム反転の 4方式

1. フレーム反転駆動方式 2. 行ライン反転駆動方式 3. 列ライン反転駆動方式 4. ドット

反転駆動方式

-液晶パネルの駆動技術

ここでは一般的なアクティブ・マトリクス駆動方式の中でも、実用とされている駆動

技術の代表的なものについて説明する。液晶分子が移動・回転する速度は、一般的には印

加された電圧の二乗に逆比例するため、高速で表示を変えるためには印加電圧を高くす

る必要がある。

-フレーム反転方式

液晶表示では直流駆動すると寿命が短くなるため、交流電圧を加えることで駆動する交

流電圧駆動が行なわれている。この交流の印加方式にいくつか種類があるが、いずれも

フレームごとに反転させる。

フレーム反転駆動方式

フレーム反転駆動方式は、フレームごとに全画面のサブ画素を一度に同じ極性で反転させ

る方式である。

行ライン反転駆動方式

16

Page 17: モニタのCMSとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... · Web viewモニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、などについて。

行ライン反転駆動方式、又は Hライン反転駆動方式は、フレームごとに行方向のサブ画

素を互い違いに正極と負極を反転させる方式である。

列ライン反転駆動方式

列ライン反転駆動方式、又は Vライン反転駆動方式は、フレームごとに行方向のサブ画

素を互い違いに正極と負極を反転させる方式である。

ドット反転駆動方式

ドット反転駆動方式は、フレームごとに 1つおきのサブ画素を互い違いに正極と負極を反

転させる方式である。

-分割駆動

画面が高精細となりサブ画素数が増えると動画表示のためには Xドライバの駆動周波

数が 100MHzを越えて一般的な ICでは動作速度が満たせなくなる。このため、画面を例

えば 4分割するなどして駆動周波数を抑える工夫を行なうのが普通であり、これを分割駆

動 (Multiplexing drive) という。分割によって OLB (Outer Lead Bonding) による接続とデー

タドライバ / アドレスドライバ用 ICは増えるが、高い周波数での設計は避けられる。例

えば、3,200×2,400画素の QUXGAでは駆動周波数が 575MHzとなって普通の ICでは対応

できなくなる。これを 4画面にすれば約 72MHzに低減できる。分割駆動では、XとYの

ドライバ(データドライバとアドレスドライバ)の ICモジュールとそれらとの接続を増

やすだけでなくタイミング・コントローラも対応しなければならない。画面を複数の領

域に分けた分割駆動とすることで、一般的な半導体技術で作られた駆動 ICを使用しなが

ら画素数の増加を可能にした。

コモンDC方式

共通電極(コモン電極)には点線で示した一定のバイアス電圧が加えられているため、

液晶層に加えられる電圧は、そのバイアス電圧を中心に上下に振れながらサブ画素ごと

17

Page 18: モニタのCMSとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... · Web viewモニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、などについて。

のソース電極の電圧振幅の半分になる。液晶電極の電圧を見れば、ゲート電圧が加わると

ソース電極線からの電圧を受けてそれと同じ電圧になるが、ゲート電圧がなくなると同

時に TFTのゲートとドレイン間の寄生容量によって ΔVで表わされる電圧の低下(フィー

ド・スルー電圧、突き抜け電圧)を受け、蓄積電荷の放出とともに電圧は緩やかに共通電

極レベルに近づいてゆく。

コモン反転方式

-共通電極の電位差

フレーム反転方式での液晶駆動では、カラーフィルタ基板側の透明電極である共通電極

(コモン電極、対向電極)の電位の掛け方の違いで 2方式に分けられる。

コモンDC方式

コモンDC方式では共通電極の電圧は一定で、液晶への電圧印加はアレイ基板側のサブ画

素の個別の電極だけで行なわれる。フレーム反転の度に正電位と負電位を反転させるに

は、共通電極の電圧が一定のままであるために、例えば+5Vから-5Vまでの 10Vの振幅が

駆動回路に求められる。

コモン反転方式

毎フレームごとに共通電極へのバイアス電圧を逆転し印加することで、コモン DC方式で

求められるドライバ回路の振幅を半分にする方式である。ただし、列ライン反転駆動方

式とドット反転駆動方式では、カラーフィルタ基板側の共通電極を分割する必要があるの

で、コモン反転法は基本的にフレーム反転駆動方式か行ライン反転駆動方式に限定される

駆動回路への要求が下げられるので、ほとんどはコモン反転方式が採用されるが、フレ

ーム反転駆動方式ではフリッカが生じやすくなり、行ライン反転駆動方式ではクロスト

ークなどが生じやすくなる。

-階調表現方法

電圧階調法

QVGA程度までの解像度の低い画面には、アナログ方式の電圧階調法によって必要な階調

のすべてが表現できる。画素数が増えると表示するための画像信号の周波数が高くなる

ため必要とされるすべての階調を作り出せず、ドライバ IC内の回路では 3ビット 8階調

から 4ビット 16階調、6ビット 256階調といった出力レベル数だけを出力して、これで不

足する用途にはフレームレート階調法で補うようにしている。

フレームレート階調法

18

Page 19: モニタのCMSとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... · Web viewモニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、などについて。

フレームレート階調法では、同一画素(サブ画素)を 2-3フレームを 1組として明るさを

フレームごとに制御することで、人の感覚では中間の明るさとして感じることを利用し

ている。例えば 50%と 60%の明るさの 2つのフレームを連続的に見れば 55%程の明るさ

に見える。ただし、フレームごとで明るさを変ると人の目で見て画素の明度変化が分か

るフリッカの原因にもなるため、フレーム周期を毎秒 180回に高めるなどの工夫が求めら

れる。

-ブラック挿入法

動きの激しい動画表示では、移動する物体の輪郭部が不鮮明に見えることがある。これ

は液晶画素が印加電圧を一定に保つホールド型駆動で構成されているために起こるが、

これを避けるために、1つのフレーム内で画面を一度、全面真っ暗にすることで印加電圧

をフレームごとに独立にするインパルス型駆動にする方法を採る。これがブラック挿入

法である。液晶の表示時間は短くなり高い応答速度も求められ駆動データも高速化が必要

だが、動くものの表示が鮮明にできる。

オーバードライブでの印加電圧

-オーバードライブ

画素の明暗が急速に変化する場合に、液晶分子の動きが遅いために追従できないことが

ある。この場合に印加電圧を変化初期の短時間だけ 10-20%程度大きめや小さめのプリエ

ンファシス信号として与えることで液晶分子を早く駆動することができる。液晶の反応

速度は印加電圧の 2乗に反比例するので波形の立ち上がりと立下りだけ電圧を振ることで

早い応答が得られる。

-バックライト点滅法

ブラック挿入法と同様に動く物体の表示を鮮明にするために、走査のタイミングを合

わせてバックライトを消灯する。

-倍速駆動

倍速駆動や 120Hz 駆動と呼ばれる液晶パネルの駆動方式では、ほとんど場合、毎秒 60

枚のフレームを表示していたものを 120枚表示することを指す。表示枚数増やすことによ

って激しい動きを伴う動画での残像感を小さくしようというものである。1秒間に 60枚

あった元の画像の間に、前後の画像情報から中間の画像を作り出して合わせて 120枚にさ

れる。4倍速の製品も登場している。

19

Page 20: モニタのCMSとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... · Web viewモニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、などについて。

-ショートリング

ショートリング (Short ring) は静電気破壊からパネルを保護する回路技術である。アレ

イ基板とカラーフィルタ基板はそのままでは大きなコンデンサとして働いて、人体など

の静電気を蓄えて内部回路の TFT素子をショートさせる恐れがある。これを防ぐために、

データ信号/アドレス信号の接続パッドごとに薄膜トランジスタ相当を抵抗として接続し

て、もう一方を共通接続する。このような抵抗を「作りこみ抵抗」や「負荷抵抗」と呼ぶ。

-液晶パネルの種類(単純マトリクス駆動)

単純マトリクス駆動による液晶パネルには、以下の方式がある。

①TN型

TN型(Twisted Nematic型、ねじれネマティック型)は初期に量産された最も基本的な

液晶表示方式である。

この方式では、電圧が無印加の状態でネマティック液晶と呼ばれる液晶分子の配向を 90

度ねじれるように配列している。表裏 2枚の基板間で 90度ねじれるように、各基板表面

の配向膜に配向処理が施される。このねじれによって液晶を通過する光の偏光成分がほ

ぼ 90度回転する。これは旋光と呼ばれる現象である。また、正しく電圧が印加されると、

分極している液晶分子は電界方向、つまり画面に垂直方向に揃って並び、光は偏光を受け

ずに液晶層を通過するため、光源側の偏光フィルムを透過した光の偏光状態がそのまま

保たれて逆側の偏光フィルムにそのまま届くようになる。

偏光板の方向

偏光板の配置方向には、NWモード (Normally White Mode) と NBモード (Normally Black

Mode) の 2つがある。NWモードでは入射側と射出側の偏光板の透過軸方向同士が互いに

直交するように置かれ、この表裏 2枚の偏光板の配置は「クロスニコル」 (Crossed nicols)

と呼ばれる。NBモードでは互いに平行になるように設定され、この表裏 2枚の偏光板の

配置は「パラレルニコル」 (Paralleled nicols) と呼ばれる。

NWモードは TN型では多くが、特に TFT方式などではほぼ全数が NWモードが用いられ

る。これは黒表示での光の漏れが少なくコントラスト比が大きくでき、黒に近い表示で

着色が生じず、セルギャップ(液晶層の厚み)に対する製造マージンが広く安定した品

質の生産が可能であること、パラレルニコルの偏光フィルム配置は生産性が良いこと、

などによる。TN型の NBモードは、NWモードに比べた場合の視野角の広さから TFT方

式への応用が検討された時期もあるが、上述の NWモードの利点の裏返しの欠点があり

一般化するにいたっていない。

②STN型

STN (Super Twisted Nematic) 型は、単純マトリクス駆動方式での代表的な形式であり、

現在でも比較的簡易な表示装置では使用されている。ST型が無印加時に液晶分子が並ぶ

時、自然にねじれる角度が 90度ほどなのに対して、STN型では 180-270度となるような

分子を選んだ。これにより僅かな印加電圧でも旋光効果が敏感に変化することで反応速度

20

Page 21: モニタのCMSとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... · Web viewモニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、などについて。

を高めて、TN型では難しいハイデューティ駆動を可能にし、TFT等のアクティブ素子を

用いないで画素数の多い表示が可能となっている。TN型と同様に NBモードと NWモー

ドがあり、NBモードでは黒と黄色、NWモードでは白と青の表示になる。STN型では複

屈折によって黄緑や青紫といった色がにじむように表示されるため、いくつかの派生型

が開発された。

STN型の派生型には以下のものがある。

③DSTN型

DSTN (Dual scan STN) 型は、旋光効果が表裏逆の 2枚の STN液晶を張り合わすことで複

屈折の効果を相殺してしまう。コスト高や表示が暗くなるなど問題点もある。

④TSTN型

TSTN (Triple STN) 型は、液晶パネルの上下に計 2枚の高分子フィルムによって挟み、

液晶パネル内での光学的ねじれを元に戻すことで、位相差(液晶の屈折率の波長分散)に

よって黄緑や濃紺の色が付く STN型での弊害を補償した形式である。

⑤FSTN型

FSTN (Film-compensated STN) 型は、光学的補償を行なう高分子フィルム(補償フィル

ム)を 1枚だけ貼ることで画面の色づきを減らしたものである。

-液晶パネルの種類(アクティブ・マトリクス駆動)

21

Page 22: モニタのCMSとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... · Web viewモニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、などについて。

(液晶層全体を薄黄色で示したが、この部分には液晶分子を主成分とする溶液で満たされ

ている。長円は液晶分子を横から見た姿であり、丸い円は液晶分子を長軸方向から見た姿

である。)

アクティブ・マトリクス駆動による液晶パネルには、以下の方式がある。

①TN型

単純マトリクス駆動と同様に、アクティブ・マトリクス駆動と組み合わせても多く利

用されている。生産技術が確立され比較的安価である。また、特別な工夫をしなくても高

い開口率が得られるため表示が明るくなり、同じ表示輝度であればバックライトの消費

電力を削減できる。応答速度も 8-15ms程度とそれほど遅くはない。短所は、視野角が狭

く色度変位が大きい。画質よりコストや低消費電力を重視する用途に用いられる。以前は

廉価なノートパソコン向けであったが、現在はほとんどのノートパソコンで TN型となっ

ている。

②IPS型

IPS型(In-Plane Switching型、インプレイン・スイッチング型)では、電極は一方の基

板の面内方向に配置している。電圧を無印加の状態では液晶分子はねじれずに基板面に対

して一定の水平方向を向いている。電圧の印加時には電界が面内方向に掛かるたて液晶分

子が 90度水平に回って電極に沿って並ぶ。無印加と印加で液晶分子が面内方向で 90度回

ることで、2枚の偏光フィルムとの間で透過、遮蔽を作り出す。液晶分子同士が並んだま

まで回転できるため反応が速く、特に中間調の応答が良い。見る角度にあまり影響され

ず視野角が広いという特徴がある。回転は、電極をくし型に配置することで実現される

ため、半導体技術を用いるアクティブ・マトリクス駆動でのみ用いられる。液晶配向が

基板に対して垂直方向に立ち上がることがないため、視野角が広い。視野角特性が良好な

ため TV用途で多く用いられるが、反面、開口率を上げにくく表示が暗くなり易い、正面

表示でのコントラストを高めにくいといった課題もある。

偏光板の方向

TN型のNWモードの場合の偏光フィルムのクロスニコル配置が IPS型では NBモードに

用いられており、TN型の NWモードの利点が IPS型では NBモードの利点にほぼ対応し、

IPS型では多くが NBモードで用いられる。NW、NBという名称が電圧と表示との関係の

みを表す名称であるため、注意が必要である。

③VA型

VA型(Vertical Alignment型、 垂直配向型)では、負の誘電率を持った液晶分子と垂直

配向膜との組み合せで、無印加時には液晶分子が画面に対して垂直になり、印加時には液

晶分子が画面に対して水平な配置となる。見る角度に関わらず比較的良好な視野角と高い

コントラストが得られる。8-15ms程度の応答速度になる。

偏光板の方向

TN型のNWモードの場合の偏光フィルムのクロスニコル配置が VA型では NBモードに

22

Page 23: モニタのCMSとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... · Web viewモニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、などについて。

用いられており、TN型の NWモードの利点が VA型では NBモードの利点にほぼ対応す

る。このため、VA型ではNBモードが用いられる。

④MVA型

VA型の派生型として、さらに視野角を広げるために画面の区画ごとに配向を変える

「分割配向」を用いたMVA (Multi-domain Vertical Alignment) 型がある。MVA型では 1つ

の画素やサブ画素内で異なる配向の領域を複数持つマルチドメイン方式とすることで視

野角を広げている。マルチドメインは透明電極の上に「リブ」と呼ばれる微小な樹脂製

の突起物を間隔をあけて構築することで実現される。TV用ディスプレイの用途で多く用

いられている。

⑤OCB型

OCB (Optically Compensated Bend, Optically Compensated Birefringence) 型は、無電界時に

は液晶が弓状に配列し、電圧印加時にはほぼ直線状に並ぶ。弓状から直線状に変化するこ

とで発生する液晶の流れと液晶分子の配向の変化が互いを阻害することがなく配向の変化

が液晶の流れを加速するように働くため 3-8msといった高速応答性を持つ。光学補償フィ

ルムを必要とする。視野角も広く、-20℃といった低温環境でも応答性がそれほど損なわれないがまだコストに課題があり、放送機器用や車載用での採用が多く、大画面は存在し

ない。

23

Page 24: モニタのCMSとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... · Web viewモニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、などについて。

液晶パネルの代表的な 5方式

左が印加電圧の無い状態

右が印加電圧のある状態

有機 ELディスプレイ

有機 ELディスプレイは、画素ごとに発光素子が構成されている。その発光素子は金属

等の陰電極 / 電子注入層 / 電子輸送層 / 発光層 / 正孔輸送層 / 正孔注入層 / ITO等の陽電極

そしてガラス板や透明のプラスチック板などの基板よりなる。

こうしたサンドイッチ状の構造はヘテロ構造と呼ばれ、電子と正孔をそれぞれ別の層に

24

Page 25: モニタのCMSとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... · Web viewモニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、などについて。

閉じ込めることによって効率的な反応を起こすことができる。各層の材料にはジアミン、

アントラセン、金属錯体などの有機物が使用されている。

電極間の各層の厚さは数 nmから数百 nmであり、全体で 1µm以下程度の厚さしかない。

また基板もフレキシブルなプラスチック等を利用することにより、フレキシブル(曲げ

られる)ディスプレイや照明の製造も可能である。

-駆動方式

有機 EL表示素子(TFT)の画素 1セルの回路

1.ゲート線 2.信号線 3.電源線 4.スイッチング用 TFT 5.駆動用 TFT 6.有機 LE素子 7.接地線

有機 EL表示素子(TFT)の画素 1セルの配置例

有機 EL表示素子(TFT)の横断面概略(ボトム・エミッション型)

1.封止層 2.負極 3.有機半導体 4.正極 5.直流駆動回路 6.TFT

液晶ディスプレイと同様、ドットマトリクス表示の多数の画素にそれぞれ電極の配線

をしようとしても基板周縁部にすべての端子が取り出せなくなることから、TFT(薄膜ト

25

Page 26: モニタのCMSとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... · Web viewモニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、などについて。

ランジスタ)などのアクティブ素子を各画素に配置して駆動するか(アクティブ・マト

リクス駆動)直交させたストライプ電極にタイミングを合わせて電流を流すことでその

交点の各画素を順次駆動するか(パッシブ・マトリクス駆動)のどちらかの駆動方式が

使われる。

-パッシブ・マトリクス

パッシブ・マトリクス駆動は構造は単純だが瞬間的に光らせるのは 1ラインであるた

め、その瞬間の発光輝度を大きくしている。よって素子の寿命が短くなってしまう欠点

がある。また、パッシブ方式では(単純マトリクス駆動の液晶ディスプレイと同様)ク

ロストークによる画質低下が問題になる。液晶では STN型がパッシブ・マトリクスに対

応する。

-アクティブ・マトリクス

パッシブ・マトリクス駆動の欠点は大型化でより深刻になるため、大型パネルにはア

クティブ・マトリクス駆動が採用される傾向にある。しかし、同様の事情がある液晶デ

ィスプレイより複雑な回路を組み込む必要がある場合が多い。液晶では、TFT型がアク

ティブ・マトリクスに対応する。

TFTにアモルファス・シリコンを使用すれば画素ごとのバラツキが少なくなるが、経年

変化が大きくなる。低温多結晶シリコンを使用すれば、経年変化が小さくてすむかわり

に画素ごとのバラツキが大きくなる。いずれの TFTにおいても画素ごとのバラツキを補

正する回路を付加すればよいが、TFTが増えると量産がしやすいボトム・エミッション

型(発光面が TFT回路面を通過することになる)のままでは開口率が低下するので発光

面が逆のトップエミッション型が検討される。

-カラー化方式

有機 ELディスプレイのカラー化方式には、3色方式・変換方式・カラーフィルタ方式

の 3種類ある。

3色方式

赤色・緑色・青色の発光層をそれぞれ用いる方式である。色純度を向上させるため、カラ

ーフィルタを併用する場合もある。

色変換方式

青色発光層を用い、その発光の一部を色変換層を通すことにより赤色・緑色を得る方式で

ある。波長の短い色への色変換は困難であり、また青色材料の開発も赤・緑に比べ難しく

十分な材料も乏しいため青色 LEDに希土類錯体などの色変換材料を組み合わせた白色照

明の開発も行われている。

カラーフィルタ方式

白色発光層を用い、カラーフィルタを通すことで赤色・緑色・青色を得る方式である。

-有機 ELディスプレイの特徴

有機 ELのディスプレイとしての特徴は、実用化が進んでいる液晶ディスプレイやプラ

26

Page 27: モニタのCMSとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... · Web viewモニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、などについて。

ズマディスプレイなどとの対比で語られることが多い。

応答速度

液晶ディスプレイでは、液晶の分子の方向を変えることで輝度を変えているため、応答

速度が鈍く動画再生などで問題になる。それに対し有機 ELは励起子の寿命が非常に短く

電流を変化させれば輝度が瞬時に変化するので、非常に応答速度が速い。また液晶ディス

プレイでは応答速度が環境温度に依存し、低温では応答速度がさらに鈍くなる。しかし有

機 ELディスプレイでは低温でも応答速度は変わらない。

視野角

液晶のような見る方向によって階調が変わってしまうという現象がなく、またコントラ

ストの低下も低く視野角は 180度に近い。プリズムシートで集光して表面輝度を向上させ

ている液晶ディスプレイとは異なりランバート分布に近い発光分布を持つが、マイクロ

キャビティー効果を用いることで集光させることも可能である。

解像度

現在の有機 ELディスプレイは解像度がシャドウマスクの精度およびそのプロセスで制限

されている。現在、シャドウマスク以外の手法であるホワイト   +  カラーフィルタ方式   ・レ

ーザー熱転写方式(原材料の利用率が極めて悪いため(インクの価格と有機 EL材料の価

格は異なる)、原理的に非常に高コストである。LITI法:3M)・レーザー再蒸着方式

(この方式も原理的に非常に高コストである。RIST法:コダック、LIPS法:ソニー。違

いはドナーシートの材質)といったシャドウマスクの制限を伴わない技術が開発されて

いる。また画素には液晶の場合 1個以上、有機 ELの場合 2個以上の TFTが必要であるた

め高解像度ディスプレイの場合には制約となりうるがトップエミッション方式の開発に

より制約はなくなりつつある。これらの進歩の結果、すでに 300ppiの試作品も現れてい

る。また、3色の発光層を縦に重ねることによって解像度を高くできる可能性もあるとさ

れている。

駆動電圧・消費電力・発光効率

またプラズマディスプレイのような放電発光ではなく有機半導体内の励起子により発光

するので、発光そのものに必要な電圧も数 V程度と低い。また有機 ELの発光効率も近年

飛躍的に向上している。さらに発光材料として蛍光材料が広く用いられているが、原理的

に効率の高い燐光材料の開発が進んでおりさらなる高効率化が期待できる。

コントラスト比

素子の自発光であるため、また発光を止めることで黒が明確に表現できるため測定が困

難なほどの高コントラスト比を達成できる。液晶テレビは 1000:1程度に対し、ソニーの

有機 ELテレビはXEL-1のコントラスト比が 100万:1と公称。

ただ屋外の太陽光などが入り込む状況では液晶に比較してもコントラスト・視認性が大

きく落ちるため、モバイル機器用途などにおける課題となっている(液晶としてはモバ

イルASV液晶などが半透過型パネルとなっており、屋外でも比較的高い視認性を維持で

27

Page 28: モニタのCMSとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... · Web viewモニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、などについて。

きる)。

磁気の影響

ブラウン管とは異なり、磁気の影響を受けない。

サイズ

ガラス基板 2枚ではさみ込む構造の液晶と違い基板は 1枚であり加えてバックライトが不

要であるため、薄型化が可能とされる。発光層の保護のための封止層が課題であるが無機

および有機の薄膜を用いたべた封止方式が開発されており、これによって将来は封止層

が必要なくなるとも言われている。

フレキシブル

プラスチックなどの基板を使った、柔らかくて折り曲げることができるディスプレイの

試作品が発表されている。しかしプラスチックシートやステンレスシートを基板に使用

すると酸素などを透過して発光体を劣化させ寿命を短くしてしまうため、製品化にはフ

レキシブルな封止層あるいは封止が不要な技術が必要となる。

寿命

発光体の有機物は通電および酸素や湿気の影響により徐々に劣化して輝度が低下する。こ

の問題は発光体の研究と空気から遮断する封止技術により急速に改善されてきており、最

新の各社製品では 5万時間以上といったモバイル機器には十分な寿命を確保できる水準に

達してきている。ただし公称寿命と実測寿命との乖離が指摘されており、実際にはまだ

まだ問題が多い。

コスト

原理的には液晶ディスプレイより単純な構造が可能であるため、液晶ディスプレイより

製造コストが下がることが期待されている。

大型化

大型化するとドット落ちや全体の均質化などの問題により、歩留まりが悪化する。また、

大型化で課題の多いパッシブ駆動を避けてアクティブ駆動を採用するためには多数の製

造技術と大きな設備投資が必要になる。液晶の大型化と同様、着実な不良原因の解析と対

策が必要になると思われる。発光層の膜厚は TFT薄膜デバイスより薄いため、パーティ

クルの削減が重要な課題の 1つである。現在はアクティブ駆動用バックプレーンとして低

温多結晶シリコン(ポリシリコン、LTPSとも言われる)が製品として用いられているが、

低コスト化・大画面化のためにアモルファスシリコンや微結晶シリコン等の代替技術を

用いた方法が提唱されている。

画面の大型化に伴って画素サイズが大きくなると肉眼で単独の画素が見えてしまうとい

う問題解決のために、さらに 800万画素(4,096×2,160)程度の高解像度が求められるよう

になっている。これによって、各画素に与えられる駆動時間の減少と RC(抵抗と容量成

分)による信号の立ち上がり遅延が新たな解決すべき課題となっている。

また、大型化に伴う欠陥増加を回避するために、白+カラーフィルタ法や大型化可能な

28

Page 29: モニタのCMSとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... · Web viewモニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、などについて。

TFT技術を組み合わせたスケーラブル技術を用いる手法が提唱され注目を浴びている。

 ナナオ液晶ディスプレイColorEdge CG243Wタイプの例

基本特性は、sRGBを大きく超える Adobe

RGB カバー率 98%を達成し、NTSC 比

102%の広色域表示ができる。

一般的な液晶モニタがサポートする色域

を大きく超える Adobe RGBカバー率 98%の

色域を表示可能である。Adobe RGBの色域

で撮影したデジタル一眼レフカメラの画像

データをそのまま表現することができ、正

しい色を参照しながら編集・加工作業を行

える。また、sRGBや印刷業界の基準色であ

る JMPAカラー、Japan Colorの色域もサポ

ートしているため、デバイス間の厳密なカ

ラーマッチングやカラーマネージメントシ

ステムの構築が可能になる。 CG243Wは、

映像信号規格であるNTSC比も 102%をサポートしている。

・ モニタのCMSにおける位置づけ

29

Page 30: モニタのCMSとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... · Web viewモニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、などについて。

30

Page 31: モニタのCMSとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... · Web viewモニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、などについて。

・色混合の表現と形式

31

Page 32: モニタのCMSとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... · Web viewモニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、などについて。

32

Page 33: モニタのCMSとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... · Web viewモニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、などについて。

  

33

Page 34: モニタのCMSとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... · Web viewモニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、などについて。

34

Page 35: モニタのCMSとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... · Web viewモニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、などについて。

・ モニタキャリブレーションの重要性

35

Page 36: モニタのCMSとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... · Web viewモニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、などについて。

36

Page 37: モニタのCMSとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... · Web viewモニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、などについて。

入出力機器全般のキャリブレーションの概念

モニタキャリブレーションの概念

・ モニタキャリブレーションの方法

37

Page 38: モニタのCMSとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... · Web viewモニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、などについて。

  

38

Page 39: モニタのCMSとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... · Web viewモニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、などについて。

39

Page 40: モニタのCMSとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... · Web viewモニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、などについて。

2.プリントとの整合性の取り方・ プリンタの役割

 プリンタは、コンピュータやワードプロセッサからの情報出力装置として古くから利

用されてきた。用途に応じて多種多様な方式がある。インパクト方式とノンインパクト

方式があり、かつてはインパクト方式であるドットインパクトプリンタが主流であった

が、1980年代から 90年代を境にノンインパクト方式であるインクジェットプリンタやレ

ーザープリンタなどが台頭、2008年現在ではパソコン用プリンタ出荷台数の 3分の 2が

インクジェットプリンタである。

一般的に、家庭および小規模オフィス向けにインクジェットプリンタ、企業向けにレー

ザープリンタという住み分けがされてきたが、近年では個人向けの安価なレーザープリ

ンタも広がっている。また、 急速に低価格化が進んだインクジェットプリンタでは、

2005年頃からコピーやファックス機能が搭載された複合機タイプが主流となっている。

コスト意識の強い企業向けレーザープリンタでは、高機能複合機タイプからモノクロ単

機能タイプまでのさまざまなラインナップが、現在も共存している。

印字方式による区分

-熱転写方式

40

Page 41: モニタのCMSとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... · Web viewモニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、などについて。

テープに塗布されたインクを熱によって対象物に転写する方式で、主に熱溶融形と昇華

型とに大別される。

-熱溶融形

テープに塗布されたインクを熱で融かし、紙などの対象物に転写する。主にワープロ

専用機やファクシミリ(FAX)で用いられ、一般家庭にパーソナルコンピュータが入り始め

た時代には安価なプリンタとして使われた。インクリボン無しで感熱紙に印刷できるも

のもある。顔料インクを用いるため、耐水性および耐候性に優れるが、色の数だけ同じ

手順を繰り返す必要があるため、色数が増す毎に印刷に要する時間が長くなる、毎回用紙

を吐いては戻しを繰り返すことになるので色ズレが発生しやすいという短所がある。デ

カールの印刷によく使われる。

インクリボンを使うタイプでは、インクリボンに印刷した内容が残るので、情報漏洩が

起こりやすい問題がある。

-昇華型

インクに熱を加えて昇華させる方式で、熱量を細かく制御することでインク量の調節

ができるため、写真に近い画質を得ることが可能である。DTP用や、フォトプリンタ、

ビデオプリンタがある。原理上染料インクが使われるために熱溶融形よりも耐水性、耐

光性において劣るが、近年の昇華型インクにはラミネーションを施すことにより耐水

性・耐光性を高めたものが主流となっている。

41

Page 42: モニタのCMSとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... · Web viewモニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、などについて。

-感熱式

加熱で変色する特殊な用紙(感熱紙)に印刷するための装置で、かつては FAXの出力

用に広く使われていた。現在でも家庭用 FAXやレシートに多いが、耐薬品性に乏しく、

また、時間の経過により自然に変色や褪色を起こすという感熱紙の性質のために、長期保

存に向かない。

-放電破壊式

導電性の加工を施した専用の用紙(放電破壊紙)の表層を放電で破壊することで印刷す

る方式である。

-インクジェット方式

42

Page 43: モニタのCMSとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... · Web viewモニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、などについて。

Canonインクジェットプリンタ S520

インクジェット方式とは、主に液状、時に固体のインクを微粒子化し、加圧や加熱など

により微細孔から射出させる方式で、近年、噴射孔の極微細化が著しく、このために高精

細な印刷結果が得られるようになっている。また、他の方式と比して多色化が容易で、

多いものでは 12種類のインクを使用し、微細噴射孔とも相俟って銀塩写真並みの高画質

が実現されている。現在の一般家庭向けカラープリンタの主流となっている。

小型のものは、家庭用や小規模なオフィス用として利用される。家庭あるいは小規模な

オフィス用の廉価版複合機(複写機+プリンタ+(FAX)+イメージスキャナ)も、この

方式が多い。 また、大型のものでは、1,000ミリメートル幅を超える大判用紙への印刷の

できるものまであり、XYプロッタからの置き換えや、巨大なグラフィックアート作成へ

の応用などが進んでいる。

43

Page 44: モニタのCMSとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... · Web viewモニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、などについて。

ほとんどの機種で使用するインクは水性インクであり、一般論としては耐水性に乏しい。

技術的には染料系、顔料系どちらのインクも可能であるが、全般的には染料系インクが多

い。一般的に染料系は演色性に優れ、顔料系は耐光性に優れているといわれるが、近年で

はその差は僅かなものとされている。また、顔料系の方が紙表面でインクがにじみにく

いので、特にモノクロ印刷では高精細化に向くといわれる。 業務用としては、耐候性に

優れた溶剤系のインクを使用する機種も存在する。

-ドットインパクト方式

44

Page 45: モニタのCMSとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... · Web viewモニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、などについて。

エプソン VP-500プリンタ(カバーを外して撮影)

ドットインパクト・プリンタ Tandy DMP-133(右上)

出力文字の例

縦横に並べたドットに対応する細いピンを、インクを吸着させた帯(インクリボン)に

叩き付けて(インパクト)印刷する仕組み。この方式は複写用紙への重ね印刷ができる、

ほぼ唯一の方式である。(これにより、同じ文章を一度に打ち出すことができる。)

打撃に用いるワイヤピンは磁気アクチュエータにより高速で駆動される。このプリント

ヘッドには、釈放型と吸引型がある。

吸引型

印字する瞬間にワイヤピンが接合されたアクチュエータを電磁石で吸引してワイヤピン

を押し出す方式である。印字後はアクチュエータの弾性により元の位置に戻る。

釈放型

印字する瞬間に電磁石に電流を流して、アクチュエータを保持していた磁力を打ち消し、

アクチュエータのバネ性でワイヤピンを押し出すものである。

また、印字するインクリボンの色を切り替える機構を持つことで多色印字の可能な機種

もある。

初期のものでは 1文字あたり 8ピン(48dpi)、最大では 48ピン(360dpi)程度のものまであっ

た。16ピン仕様の製品が登場してからは、漢字の印刷が現実的となった。現在は 24ピン

(180dpi)がほとんどである。

かつては事務用から家庭用まで広く使われた。だがドットを構成するピンを叩きつける

構造のため作動音が大きく(騒音防止のために、プリンタや用紙一式を収納できる防音カ

バーも市販されている)、高精細化にも限界があり、ほとんどの用途で他の方式(主に家

庭用は前項のインクジェット方式、業務用は次項の乾式電子写真方式)に置き換えられて

いる。現在ではプリンタとしては、複写用紙(ノーカーボン紙等)への重ね印刷に用い

られる用途が殆どである。だが、他のプリンタと比較して電力をさほど消費せず、また

45

Page 46: モニタのCMSとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... · Web viewモニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、などについて。

この方式に用いるインクリボンは乾燥に強いという利点がある。したがって、待機時間

を含めた長時間作動での維持負担が少ないため、アラーム記録(これは連続紙を利用する

という点も大きい)、アナログ式のタイムレコーダーや各種測定器など時間計測に用い

る場合、この方式が重宝される。

-ノンインパクトプリンター(NIP) 

ドットインパクト方式ではないプリンタを総称してノンインパクトプリンター、略し

てNIPと呼ぶ。しかしながら、一般に NIPと呼ぶ場合、連続帳票を用い、乾式電子写真方

式で印字する方式のプリンタを指すことが多い。

-乾式電子写真方式

Appleレーザープリンタ LaserWriter Pro 630

-特徴

一般的には「レーザープリンタ」として知られる。帯電させた感光体にレーザー光な

どを照射し顔料粉末(トナー)を付着させ、用紙に転写した上で熱や圧力をかけて定着さ

せる方式であり、これは「静電写真」や「ゼログラフィー」とも呼ばれる。

原理としては乾式の複写機とほぼ同じである。感光体は通常、ドラム状で、この表面を光

で走査しつつ回転させ印刷を行う。 感光体への書き込み光源としては、レーザー光源だ

けでなく、発光ダイオード(LED)を用いることも可能であり、この場合には「LEDプリン

ター」と呼ばれる。

46

Page 47: モニタのCMSとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... · Web viewモニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、などについて。

消耗品である感光ドラムの耐久性を、トナーの補充頻度に見合う程度にまで下げ、ドラム

とトナーとを一体の部品として交換する方式が主流である。その一方で、ドラムの耐久

性を高め、トナー容器のみの交換が可能な設計とすることで運用経費の低減を図る動きも

見られる。

用途としては、主に業務用で利用される。業務用の複合機(複写機+プリンタ+FAX+イ

メージスキャナ)は、この方式が多い。

-フルカラー印刷

この仕組みによるフルカラー印刷には「タンデム方式」と「4サイクル方式」とがある。

タンデム方式

ドラムを連装し、一回の手順の中で各色(減法混色の三原色であるシアン(藍)・マゼン

タ(紅)・イエロー(黄)+黒)を順次転写するもので、単色印刷とほぼ同じ時間で印刷

47

Page 48: モニタのCMSとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... · Web viewモニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、などについて。

物を完成させることができる。

4サイクル方式

一つのドラム上に各色の現像機を配置し、各単色の転写を繰り返すため、単色印刷に対し

おおむね 4倍の時間を要する。

一般に、この方式のプリンタは、他方式の多くと比べ、構造が複雑で、また、個々の部品

に対してより高い品質が要求されるため、製造費の高い装置である。 しかしながら、こ

こ数年は急速に価格の低廉化が進んでおり、個人用で利用されるケースも増えている。

-活字プリンタ

デイジーホイール

先端に活字が植えられている。

球面に活字を刻んだ「IBMセレクトリックタイプライタ方式」の活字セットの球。フォ

ントなどの変更は違った球体セットを付け替えて行われた。通称ゴルフボールとも呼ば

れた。

2ユーロ硬貨は大きさを示すため。

タイプライタのように、文字ごとの字母の活字を紙に打ち付ける方式である。一般的な

タイプライタ同様の腕の先端に活字を植えたものや、球面に活字を植えた「IBMセレク

トリックタイプライタ方式」と呼ばれるもの、円盤に放射状に活字の植えられた腕を配

置したデイジーホイールプリンタ、活字を環状一列にしたベルト状のもの、円柱形の

ASR-33など各種の方式がある。英数字のみの文書、プログラムリストの印刷などに用い

られた時期があるが、印字音が大きいという欠点があり、他のプリンタの印字品質の向

上と共に使われなくなった。方式にも依るが多くの場合、活字群のセットの英数字にさ

らにカタカナを加えると文字数が多くなり収まらず、日本語のひらがな、カタカナさら

48

Page 49: モニタのCMSとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... · Web viewモニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、などについて。

に漢字の印字はドットインパクト方式の出現を待たなければならなかった。

活字プリンタの歴史は非常に古く第二次大戦前からモールス符号を一度鑽孔テープに採り

それをテープに印字するものから、テレックス通信(5単位ボドー符号)つまり、印刷電

信としては既に第二次大戦前に Teletype社、Siemens社、Wheetstone社などからテープ式、

ページ式活字プリンタが発売されていた。特に第二次大戦中に米軍が使用した Teletype社

の 15号機はタイプバー式(昔のタイプライターと同じ)のものとしては一世を風靡した

標準機で 100万台も作られたとのことである。一緒に使用された 14号機は鑽孔テープ

(印字も可能)機は自動テープ送信のため同じように使用され、両者が合体したものが有

名なASR-19である(私が占領下 GHQで最初に見たのは 1949年である)。その後信頼性

の高い 28号機(ASR,KSR,ROがある)が出現し新聞社や放送局や商社で数台から十数台

が 24時間新聞電報を打ち出していたのは壮観であった。

1950年代の終りに 7単位 ASCII符号が出て上記の ASR-33

が Teletype社から出てからは、5単位ボドー符号機は印字

種類の少なさから次第に忘れ去られて行ったが、ASR-32

と KSR-32が 5単位符号機としては最後のものと考えてよ

いだろう、所謂「プラモ」として重厚な 28号機と比較し

て馬鹿にされたが、ASCII符号のページプリンタとして

は標準的存在であった。

-ピクトログラフィー

 ピクトログラフィーは、レーザー露光熱源増転写方式

を採用する業務向けの銀塩プリンタである。専用のトナ

ーと受像紙を用いるシステムで、その高画質から多くの

写真店などに導入されている。パソコンからの制御や、

ネットワーク対応を果たした機器も存在した。

 富士フイルムが開発したピクトロシリーズは、写真感

光材料に光をあててデータを映像化する「レーザー露光

熱現像転写方式/銀塩方式」である。写真プリントと同

様の露光効果による「連続階調」が得られるため、イン

クジェットはもちろん昇華型熱転写プリンタでも実現できない、まさに写真そのものの

画質を再現できる。既存の解像度表記で 400dpiとなるが、1つのドットにおいて CMY各

色 256 階調を表現、さらにそれらが連続性を持っている。したがって、微妙なハイライ

ト部からシャドー部まで、自然でなめらかな階調表現が可能であり、これは銀塩方式な

らではの特徴である。

ピクトログラフィー 4500Nを使用した i-ColorQC RGB PRINTシステム(2004年の電塾「大勉強会」で)

49

Page 50: モニタのCMSとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... · Web viewモニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、などについて。

-プロッタ

プロッタあるいはプロッタ(plotter)は、設計図面のような点や線を描くことを目的とした

装置である。通常は HP-GLのような図形処理言語が用いられ、XとYの座標を指定して

作図するので、「X-Yプロッタ」とも言う。

描画にボールペンやインクペン、シャープペンシルなどを記録紙に相対的に移動して作

図するものを「ペンプロッタ」といい、ペンを使わない「ペンレスプロッタ」には、

「インクジェットプロッタ」、「感熱式プロッタ」、「静電プロッタ」、「レーザープ

ロッタ」、「LEDプロッタ」がある。また、ペンの代わりにカッターを用い、カッティ

ングシート等を切り抜く事を目的とした「カッティングプロッタ」がある。

ペンプロッタには、記録紙を平らな台に固定し、ペンを縦横に移動する「フラットベッ

ド型」の他に、両端に連続穴の開いた記録紙をスプロケットの付いたドラムで移動する

「ドラム型」、記録紙を上下からローラーに挟み、摩擦で移動する「ペーパームービング

型」といった形式がある。いずれもペンを上下させながら記録紙に対して物理的に移動

して作図するので時間がかかる、ペン先が磨耗して線幅が安定しない、動作音が大きい

という欠点があった。徐々にプリンタ(大型インクジェットプロッタ)に置き換えられ、

現在では特殊な用途以外は使われなくなっている。

50

Page 51: モニタのCMSとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... · Web viewモニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、などについて。

ペンレスプロッタは、ペンプロッタの置き換え用として開発されてきたが、機構的には

通常のプリンタと全く同じであり、HP-GLなどペンプロッタと共通の制御コマンドを使

用できることによって通常のプリンタとの差別化がされていた。しかしながらWindows

の普及やプリンタドライバの進歩によって、制御コマンドを意識する必要がなくなり、

ペンレスプロッタという分類自体がなくなりつつある。CAD製図においても、単に出力

先を任意のプリンタに指定するだけでよくなっている。

カッティングプロッタは、看板の作成や、衣料用型紙の作成など、業務用分野で今も盛ん

に使用されている。

・ プリンタの構造と機能

インクジェットプリンターの方式は、コンティニュアス型とオンデマンド型に分類で

きる。現在実用されているものの中でも小型プリンタ用として主流となっているのはオ

ンデマンド型で、ピエゾ方式とサーマル方式の 2つである。

-コンティニュアス型

コンティニュアス型インクジェット装置

ポンプによってノズルから連続的に押し出されたインクは超音波発振器によって微小

な液滴になる。インク滴は電極によって電荷が加えられ、印字の必要に応じて偏向電極

で軌道を曲げられて紙面の印字面に到達する。偏向電極で曲げられなかったインクはガ

ターと呼ばれる回収口に吸い込まれ、インクタンクに戻り再利用される。印刷していな

いときもインクは常に連続的に噴射されているのでコンティニュアス型または連続吐出

型と呼ばれる。

ポンプによる高い圧力でインクを押し出すので高粘度のインクが使用でき、また連続的

にインクを押し出すことから速乾性のインクも使用できるなどインクの選択幅が広い。

51

Page 52: モニタのCMSとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... · Web viewモニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、などについて。

さらに超音波振動で作られるインク滴は毎秒 100滴以上で生成することが可能であり高速

であるが構造が大がかりで小型化が難しく、マルチヘッド化も困難であるなどの欠点か

ら家庭用のプリンタとしては使用されておらず工業用のマーカー(生産ラインで部品に

製造番号などを記入する)として利用されている。

-オンデマンド型

印字時に必要なときに必要な量のインク滴を吐出する方式である。吐出後のインク供給

には毛管現象を利用しているため高粘度のインキは使用できないこと、インキ滴の生成

速度が毎秒 10滴程度であるなどの欠点があるが構造が簡単で小型化やマルチヘッド化が

しやすいなどの長所がある。家庭用のインクジェットプリンタは、ほぼすべてオンデマ

ンド型である。

オンデマンド型はインク滴に圧力を加える方法により、ピエゾ方式・サーマル方式・静

電方式に分けられる。

-ピエゾ方式

ピエゾ方式オンデマンド型インクジェット装置

ピエゾ方式とは、電圧を加えると変形するピエゾ素子(圧電素子)を用いた方式である。

ピエゾ素子をインクの詰まった微細管に取り付け、このピエゾ素子に電圧を加えて変形

させることでインクを管外へと吐出させる。前述のように 1960年代から研究がなされて

いたが以下に示した短所の克服に時間がかかったため、本格的な商品化は 1980年代にな

ってからであった。

1990年代にセイコーエプソンがピエゾ素子を複数に重ねて使用した「マッハジェット」

を開発。カラー高画質化にいち早く成功し、マーケットでの地位も確保した。ブラザー工

業もピエゾ方式でインクジェットプリンタを製品化しているほか、CADや大判用プリン

タとしてはローランドなどでも採用されている。また、サーマル方式では難しい高粘

度・速乾燥性のインクを使用できるメリットを生かしてリコー(GELJET)でも採用され

ている。

ピエゾ方式の長所は以下の通りである。

ピエゾの変形量そのものを電圧制御するため、インク噴出量や液滴サイズを精密に制御

できる。

インク吐出制御に熱を使用しないため、使用環境の気圧や気温に左右されずヘッドの耐久

52

Page 53: モニタのCMSとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... · Web viewモニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、などについて。

性も高い。

インクを加熱しないため、サーマルジェットに比べて幅広いインクに対応可能である。

短所は以下の通りである。

インク内に気泡が混じると目詰まりが生じやすい。

ドット毎にピエゾ素子を用意するためヘッド構造が複雑である。

ピエゾ素子を小型化するとインクを押し出すために必要な体積変化が得られにくい。

-サーマル方式

サーマル方式オンデマンド型インクジェット装置

サーマル方式とは、加熱により管内のインクに気泡を発生させてインクを噴射する方式

である。

サーマル方式ではインクの詰まった微細管の一部にヒーターを取り付け、これを瞬時に

加熱することでインク内に気泡を発生させてインクを噴出させる。加熱に使用するヒー

ターは抵抗加熱、誘導加熱などが考えられる。その基本的な原理は 1970年代半ばに、キ

ヤノンの中央研究所で偶然見つかった現象に由来する。この時、液体の詰まった注射針に

半田ごてが触れたとき針先から液体が飛び出した。キヤノンではこの現象を解析、これ

をヒントに各社で研究開発が進められヒューレット・パッカードが 1984年に世界で初め

てサーマル方式のインクジェットプリンタを発売しキヤノンも自社開発のサーマル方式

を「バブルジェット」と命名、1985年に BJ-80を発売した。富士ゼロックス、レックス

マークなどでもサーマル方式のインクジェットプリンタの開発および販売が行われてい

る。

サーマル方式の長所は以下の通りである。

ヘッド構造が比較的単純。

物理的機構が少なく印刷速度の高速化や印字画素の高密度化が図りやすい。

短所は以下の通りである。

熱をインクに加えることになるため、熱劣化の少ないインクを用いる必要がある。

同一の噴出穴でインク噴出量を調整するのが難しい。実際多くのプリンタで高速印字用の

大液滴噴出穴と、写真印刷などに用いる小液滴噴出穴を並べている。

ヘッドの寿命が短く、プリンタの場合ユーザーによる交換が必要となることが多い。

-オンデマンド型のヘッド構造

上述のインク塗布の機構を集積したものを「プリントヘッド」(または単にヘッド)

53

Page 54: モニタのCMSとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... · Web viewモニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、などについて。

と呼ぶ。ヘッドには複数のインクノズルが作りこまれており、インクカートリッジ内の

インクタンクから供給されたインクを塗布する。プリンタの機構で紙などの被印字媒体

を動かし、その印字媒体の動く方向と直行方向にプリンタヘッドを動作させて印字を行

う「シリアルヘッド方式」が一般的である。また比較的長いプリンタヘッドを固定して、

被印字媒体の動きだけで印刷を行う「ラインヘッド方式」もある。インクヘッド製造時

には、インクの流路など半導体露光装置(ステッパ)を使って作りこむことが行われる

またインクノズル部分はエキシマレーザによって加工される場合もある。

インクジェットプリンタでの高密度画素印刷は、このプリントヘッドの高精度の制御が

要求される。例えば、1,200dpiの解像度で印刷を行うためには 1つの画素を 20マイクロ

メートルで塗布する必要がある。この場合、一滴のインクの量は数ピコリットル(数兆

分の 1リットル)程度であり、さらにプリントヘッドを毎秒 500ミリメートルで移動させ

ながら 20マイクロメートルで画素印字するためには毎秒 2万 5,000発ものインクの噴出

が必要となる。当然、カラー印刷の場合では色数(通常 4色から 7色)分の同じ場所に重

ね合わせて噴出する技術が必要である。また、プリントヘッドの動作と被印字媒体送り

を同期させる制御や色ごとに塗布位置が若干ずれても目立たないような画像処理をあら

かじめ行うなどのプリンタ周辺技術も高度なものが求められる。

-インク

インクジェットプリンタの 4色インクカートリッジ

インクジェットプリンタでの印刷に使用されるインクは、オンデマンド型プリンタでは

ほぼすべて水溶性のインクが使用されている。これは主に「染料系」と「顔料系」の 2系

統に分けられる。

-色インク

インクジェットプリンタでカラー印刷を行う場合は、シアン(C)・マゼンタ(M)・

イエロー(Y)を混ぜて他の色を表現する減色法(減法混色)が使われる。黒色はこの三

色を混ぜることで理論的には表現できるが完全な黒色にすることは難しく、また三色の

インクを同時に使用することはインク使用量を増やす結果となるため黒色表現のための

ブラック(Bk)インクを搭載している。通常は C+M+Y+Bkの 4色のインクで表現できる

が、発光色などを表現するなど色空間を広くするために追加のインクを搭載する高級機

種がある。また普通紙への文書印刷における文字のにじみを低減する観点から染料イン

クとは別に顔料の Bkを用意している、もしくは 4色インクのうち Bkのみ顔料という機

54

Page 55: モニタのCMSとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... · Web viewモニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、などについて。

種も多い。

-染料系インク

染料系のインクは被印字媒体に対して色素を染み込ませて色をつける。初期のインク

ジェットプリンタに採用され、現在でもインクジェットプリンタ用のインクとして広く

普及している。染料系インクの長所は以下の通りである。

色再現性が高い。

光沢が出やすい。

短所は以下の通りである。

耐水性が低い - 水に濡らすと、にじみが生じやすい。

耐光性が低い - 太陽光などが長時間当たると、色あせ(退色)を起こしやすい。

特に耐水性の低さに関しては、水性のマーカーペンで印字物をなぞるだけでにじみを発

生させ、インクジェットプリンタの欠点として大きく取り上げられたこともあった。最

近では、にじみを防止するため透明のコート材をあらかじめ塗布しておき、その上から

染料インクを塗布することで、インク着弾時の広がりが抑えられ、にじみのない印刷を

可能にするプリンタも登場している。

-顔料系インク

顔料系のインクは、インクの色素が被印字媒体表面に固着して色をつける。顔料系イン

クの長所は以下の通りである。

耐水性が高い。

耐光性が高い。

短所は以下の通りである。

耐摩擦性が低い(特に光沢紙に多い) - 染料インクに比べて定着しにくいため印刷面をこ

すると色落ちしやすい

溶液としての安定性が悪い。

粒子であるため比較的ノズルの目詰まりを起こしやすい。

光沢が出にくい。

光沢に関しては、エプソンのように光沢を出すための透明インクを塗布する機種もある。

-その他のインク

水溶性インクは紙や布などの液体を吸収する素材に対して有効であり、金属やプラス

チックなどの媒体には印刷できない。これらの素材で使用されるインクジェットプリン

タには油性インクが用いられる。さらには加熱して溶融状態で塗布するソリッドインク、

インク着弾時に紫外線や電子線など電磁波を照射してインクを固まらせる UV硬化インク

なども存在する。

また、屋外広告など特に耐候性が求められる分野ではソルベントインクなどの有機溶剤

系インクが用いられる場合もある。

-インクジェットプリンタ用紙

55

Page 56: モニタのCMSとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... · Web viewモニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、などについて。

インクジェットプリンタ用紙

インクジェットプリンタにとって被印字媒体となるのは主として紙であるが特に主流

である染料系インクを普通紙に使用した場合、にじみが発生する。またインクが裏側ま

で染み抜けてしまう、裏抜けという現象が発生する場合もある。このため、インクジェ

ットプリンターメーカーなどでは高品質な印刷結果を得るためにいわゆる専用紙と呼ば

れるものを開発している。専用紙にはコート紙、光沢紙などが使われる。

コート紙

普通紙の表面にインクを吸収し固着させることで、にじみの発生を抑えるコート層を形

成した用紙。インクジェットプリンタ用のコート紙では主に高分子系か、多孔性微粒子系

のコート層が使われる。

光沢紙

基本的にはコート紙と同じ構造であるが白紙部や画像印字部に光沢があり、写真印刷等に

用いられる。基材の違いにより

光沢が出やすい印画紙原紙(レジンコート紙)や、フィルムの表面にコート層を設けた

もの

普通紙の表面に光沢化処理を施したコート層を設けたもの

に大別される。1は基材に使われることが多いレジンコート紙から「RCタイプ」、2は

光沢化処理にキャスト法(金属等の平滑な表面を紙に写し取って光沢化する方法)が多く

用いられるため「キャストタイプ」等と呼称されることがある。

-応用技術

インクジェットプリンタのもつ、非接触で微小液滴を正確に着地させることができる

という特長を応用したさまざまな研究が行われている。

捺染装置

従来、布地に模様をつけるには異なる色で染色した糸を組み合わせる、色付けした糸で

布地に刺繍を施すといった方法や布地の部分染めによる捺染などがあった。インクジェ

56

Page 57: モニタのCMSとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... · Web viewモニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、などについて。

ットプリンタの発達により布地に直接染料を吹き付けることが可能になり、近年では捺

染を印刷技術で行うようになった。インクジェットプリンタを利用した捺染は、織飾や

刺繍では困難であった微細な模様付けが低コストで可能になった。

回路基板製造

従来、電気回路基板の回路パターンの生成には写真の現像技術が長く使用されてきたがイ

ンクジェットプリンタの技術を使い、回路上に直接回路パターンを印字できる技術が実

用化されつつある。2004年 11月にセイコーエプソンがこの技術を利用し、20層の積層回

路基板の開発に成功したことを発表している。また配線や抵抗のパターンだけでなく有

機半導体をインクジェットプリンタにより印刷し、TFTを直接形成する技術も開発され

ている。

DNAチップ

インクジェットプリンタは極めて精度が高く微小領域に微小液体を吹き付けることがで

きるため、DNAチップへの応用が期待できる。具体的には、DNAを溶かした溶液をイン

クジェットプリンタから検査試薬を塗布したDNAチップへ吹き付ける方法である。

ディスプレイ装置

FEDや有機 ELなどのディスプレイ装置の製造では、発光体を基板上に対し均一に塗装す

る必要がある。ここにインクジェットプリンタの技術を応用する。プリンタのメーカー

がディスプレイのメーカーと協力し、これら新世代ディスプレイの実用化に向けて研

究・開発を行っている。キヤノンと東芝による SEDはその一例である。液晶ディスプレ

イのカラーフィルタについても、インクジェットプリンタで作成することが発表されて

いる(例えばシャープの亀山第 2工場)。

以上のほかにも接触せずに印刷が可能であることから紙以外の素材や立体物への印刷も

模索され、ペットボトルや食品パックなどのロット管理番号や賞味期限など時間帯や日

ごとの可変項目の印刷に利用されているのは身近な例となっている。また造形用途とし

て、セラミックを噴き付けることによる三次元造形物(人工骨など)の作製などへの応

用も考えられている。これら応用の場合インクジェットプリントとともにインクジェッ

トマーキングとも呼ばれる。

・ モニタとプリンタの接続

57

Page 58: モニタのCMSとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... · Web viewモニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、などについて。

58

Page 59: モニタのCMSとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... · Web viewモニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、などについて。

・ ICCプロファイル

59

Page 60: モニタのCMSとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... · Web viewモニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、などについて。

・ モニタとプリンタの合わせ込み

60

Page 61: モニタのCMSとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... · Web viewモニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、などについて。

61

Page 62: モニタのCMSとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... · Web viewモニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、などについて。

・ 合わない原因とその対策

62

Page 63: モニタのCMSとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... · Web viewモニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、などについて。

63

Page 64: モニタのCMSとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... · Web viewモニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、などについて。

64

Page 65: モニタのCMSとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... · Web viewモニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、などについて。

65

Page 66: モニタのCMSとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... · Web viewモニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、などについて。

66

Page 67: モニタのCMSとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... · Web viewモニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、などについて。

67

Page 68: モニタのCMSとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... · Web viewモニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、などについて。

68

Page 69: モニタのCMSとその検証について(村上・矢部)s23dd11a33f4a82b1.jimcontent.com/download/version... · Web viewモニタのキャリブレーションの重要性と、プリントとの整合性をどうとるのか、などについて。

69

 左:電球光使用        右:順応効果を考慮* *人間の眼が照明光に順応する特性を利用