ノノ画像の格子点も一緒に描いている。 図1 (a) は順変換 を図1 (b)...

10
1 - 1 1 -2 1 -3 1 - 4 2-1 2- 3 ) hu ( a PJP J , J TEL: 0 3-3 8 19- 1211 FAX: 0 3.3 8 19 - 140 6 ///J fdfJFJ FdrdFd ) hu ( ) a ( III I / / I / J I I I I 12 2 - ( 4 0 )

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Page 1: ノノ画像の格子点も一緒に描いている。 図1 (a) は順変換 を図1 (b) は逆変換を表しているが、単純にベクトル の向きが逆になっているだけなので、どちらかが得

連続講座・断層映像法の基礎第25回: 篠原広行、 他

断層映像法の基礎第25回

ベクトル表現を利用した逆変換

篠原広行1)、藤堂幸広1)、 軽部修平1) 、 小島慎也1)、橋本雄幸2)

。首都大学東京人間健康科学研究科 放射線科学系

2) 横浜創英短期大学情報学科

はじめに

第24回では、 2次元の平行移動と回転、さらに拡大

縮小の画像変換について、ベク ト ルで表現する方法

を解説した。 さらに、非線形変換を含めた一般化に

ついても考えた。 今回は、平行移動、回転、拡大縮小

の変換がベク ト ル表現と して粗いサンプリングで

分かつているときに、それをもとに変換前の画像に

戻す方法と、どの程度の精度で戻るかを検証する 。

ま た、非線形の変形が伴った場合に、同様の方法を

用いて、どの程度の精度で戻るかを検証する。

1. ベク ト ル表現からの逆変換

1- 1 粗いサンプリングの変換ベク ト ル

1-2 最近傍補間

1-3 線形補間

1- 4 3次多項式補間

2. ベク ト ル表現からの逆変換の検証

2-1 平行移動

2・2 回転移動

2-3 拡大縮小

3. 非線形変換と逆変換

1. ベクトル表現からの逆変換

1 ・1 粗いサンプリングの変換ベクトル

何らかの移動変換を した2次元画像g (x , y) を、

もとの画像f (x , y) に戻すことを考える 。 その際、

変換ベク ト ルが得られる方法と して次の2つのこと

が想定される。

①変換ベク トルが画像の格子点よで得られている場合

②変換ベク トルが画像の格子点上で得られているとは

限らない場合

①の代表的な変換ベクトルを図1 (a) 、 (b) に示す。

)

hu

(

a

F〆

FJFJJ

P〆

PJP/

PJP

J

,J

図1. 変換ベクトルカず画像の格子点上に得られている場合

(a) 格子点上からの順変換ベク トル。

(b) 格子点上への逆変換べ‘ク トル。

別刷請求先. 干 116-8551 東京都荒川区東尾久7-2-10

首都大学東京人間健康科学研究科放射線科学系 篠原広行

TEL : 03 -38 19-1 211 FAX: 03 .38 19- 1406

///J

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Fdr

d

Fd

)

hu

(

)

a

( I II

I / /

I / J

I I I

/ノノノ I I

図2. 変換ベクトルが画像の格子点上に得られていると

は限らない場合

(a) ある点からの順変換ベク トル。

(b) ある点への逆変換ベクトル。

122-( 40 ) 断層映像研究会雑誌 第35巻第2号

Page 2: ノノ画像の格子点も一緒に描いている。 図1 (a) は順変換 を図1 (b) は逆変換を表しているが、単純にベクトル の向きが逆になっているだけなので、どちらかが得

画像の格子点も一緒に描いている。 図1 (a) は順変換

を図1 (b) は逆変換を表しているが、単純にベクトル

の向きが逆になっているだけなので、どちらかが得

られていれば問題ない。 このように画像の格子点上

に粗いサンプリングで変換ベクトルが得られている

場合は、画像上の変換ベクトルが存在していない

部分を通常の補間で埋めることができる 。 もとの

画像上で変換ベクトルを作成することで、変換後の

画像からもとの画像を計算することができる。②の

代表的な変換ベクトルを図2 (a) 、 (b ) に示す。 画像の

格子点も一緒に描いている。 図2 (a ) 、 (b ) は順変換と

逆変換のペアを示している。 これは、画像の任意の

特徴点をもとに移動ベクトルを作成するような場合

に生じる。 この場合、画像の格子点上にベクトルが

求められてないので、もとの画像の格子点上に変換

ベクトルを作成するためには、バラバラのサンプリング

!(x_ ,oY, IJ. J ¥"'OV2 1. J ,.... 1 V 2l .

)lf(xooY,>. ! (x ,oY,)!J

• (x, y)

)1!(xo oY o) !(x ,oYo) 1J

!(x_ ,oY,

!(x_,oYo)

X _1 Xo X X 1 -1 ~o X 2

!(x_ ,oY_,)J (xooY_ ,) !(x, J勺)了(x,oY_ ,)

2008年9月10 日

連続講座・断層映像法の基礎第25回:篠原広行、他

位置から補間して求めなければならない。 よ っ て、

通常の補聞ができなくなる。

今回は、 ①の場合について考える。①の場合に

用いることができる補間方法のうち、最近傍補問、

線形補間と 3次多項式補聞の利用方法について

それぞれ1-2節、 1-3節、 1-4節で述べる。

1 ・2 最近傍補間

粗いサンプリングの変換ベクトルが格子状に並んで

いる場合、最も単純な補間方法は最近傍補間である。

最近傍補聞は、変換ベクトルが存在していない

部分を最も近くにある変換ベクトルで代用する方法

である。 図3 (a) 、 (b ) に模式図を示しているが、図3

(a) に示す1 次元の場合は、 左右のデータで近い方

を選び、図3 (b ) に示す2次元の場合は、近接4点の

うち一番距離の短いデータを選ぶ。

(X,oY,) )

hu

(

)

nM

(

(巧oY, )図 5. 3次多項式補間

(X,oYo)

(a) 1 次元の3次多項式補問。 左右2つずつの4つの値から3

次多項式を算出し 、 その曲線上の値を代表値とする。

(b) 2次元の3次多項式補問。 機方向で3次多項式補間を用

いて4つの白丸の点の値をそれぞれ算出し、 4つの白丸の点

の値から3次多項式補聞を用いて目的の代表値を求める。

1 次元の3次多項式補聞を5回用いることになる。

123・ (41)

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連続講座・断層映像法の基礎第25回:篠原広行 、 他

(3)

XI - X _ YI - Y wω= 一一一一一 ・ 4ー一一ー

X I- XO YI - YO X-Xo YI - Y

WIO = ・XI-XO YI - YO

XI - X _ Y-Yo WOl = 一一一一一一一 ・

XI - XO YI-YO

X - XO Y - Yo Wll= 一一一一一一一 ・ -一一-­

XI - XO YI - YO

1-3 線形補間

粗いサンプリングの変換ベクトルが格子状に並ん

でいる場合、単純でより有効な補間方法は線形補聞

を用いる方法である。 画像が2次元の場合、 X方向と

y方向]の2方向が存在するので線形補間もそれぞれ

2方向で行なう 。 これを双線牙分前間と呼ぶ。 I次元で

考えると、 図4 (a) に示すように、 f (XO) と f (Xl) の

間にあるf(X) の値は、 XoくXく Xl とするとき となる。 このように比較的近い点から単純に計算す

ることができるので、特に2次元以上の補間では多く

の場合に利用されている。

1 ・4 3次多項式補間

より正確に補聞を行なう方法が3次多項式補間

である 。 1次元で考えると、 図5 (a) に示すように、

f (XO) と f (Xl) の間にあるf(X) の値は、 f (X-l ) と f (X2)

の値も利用して、 X_l<XO<Xく Xlくむとするとき

)

'EA

's・、

となる。 2次元の場合は図4 (b ) に示すように、 f (XO.

Yo) 、 f (Xl.YO) 、f(xo・Yl) 、 f (Xl.Yl) の4点に固まれた

f (x.Y) の値は、 XO<X<Xl 、 Yo<yくれとするとき

f(叫= 去三 f(xo) +手ま f(Xl)

(2) f(x.y)= Wωf(xo.Yo) + WIO ・ f(Xl .YO)

+ WOl . f(XO .Y l) + Wll ・ f(Xl.Y l)

(4) f(x) = w-1f (x-l) + wof(xo) + w 1f(Xl ) + w2f(X2) となり、ここで

となり、ここで

ィ二子

X成分

補間した変換ベクトル

ムUv

小jil

小11

小Ila-A

E

ホll

糸lIAla

A

A--Al

AAV

A

l

A'

A

A

v

w

v

am

<

vvlv

tJV

AVψ1ψllv

svlψ1

iwvfιwat-wv 変換ベクトル

間補

図6. 粗いサンプリングの変換ベクトルを用いた逆変換の手順

逆変換ベクトルが求まっている場合、変換ベク トルをx成分とy成分に分けて、それぞれで・補聞を行ない間の成分を算出する 。 補聞を

行なった変換ベクトルを用いて、函像の逆変換を行なう 。 画像の逆変換の際も補聞を用いることになる。

断層映像研究会雑誌第35巻第2号124- (42)

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qh

2

トの)

一し

F-E

“い

Jiq

」リιい引山

mh

一h

Lti

uul+

二「

(+H

x

一X

-

6EE-

-

一i

Jt

一Jt=

I

一11

τ1

11

一6ド

=

=

=

=

-A0

・a

内4

w

w

w

w

となる。 2次元の場合は図5 (b) に示すように、周り

の16点の値からX方向とy方向にそれぞれ3次多項

式補聞を行なって、聞のf (x.y) の値を求める。一般

式は省略するが、各方向に順番に行なう場合、 1つ

目の方向 (例えばx方向) に4回行ない、 2つ目の方向

(例えばy方向)に1回行なえば値が求まる。

2. ベクトル表現からの逆変換の検証

ベクトル表現からの逆変換の方法は、 図6に示すよ

うに、変換ベクトルが粗いサンプリングで求ま って

図7. MRI画像の原画像

ヌ月?I ;巧万万万万

万月月?f ;守月万月

,.71?f.7f,.71/1.;噌?I?f

?f月万万月万万月

万?f ;巧万万万万月

?1?1?1/1/'1/'1?1?1

?I ?I ,,;方月月万月?f

J勾月万万/1 ?1 ;堵月

生グ ". ". .グ ~ IC ~ J!グ

". ".ι~ K' l:.グ ι~ K' 1::.グ

I! K' JC J.ど". ".".ど

~JC K'K'iCK'1!1C

企~ I! JC JC JC JC JC iC

企, ".ι, .グ ι~ JC JC ιr

'" ". ".どどどどど

JCJCJCJCJCJC ι, '"

図8. 平行移動したMRI画像とベクトル画像

(a) 図7の画像をx方向に15画素、 y方向に10函素平行移動

した画像。

(b ) 平行移動の順変換ヘクトルの画像。

(c) 平行移動の逆変換ベクトルの画像。

2008年9月 10 日

連続講座・断層映像法の基礎第25回 : 篠原広行、他

いる状態から、それをX方向の成分とy方向の成分に

分ける。 それぞれの成分で、 1章で述べた補間方法を

用いて、サンプリングの聞のX成分と y成分をそれ

ぞれ求める。 細かく求ま った変換ベクトルから逆変

換を行なう 。 逆変換をする際にも、画像の値に補聞

を用いて逆変換後の画像を求める。 画像の補聞には

2次元の3次多項式補聞を用いた。

図7に示す256 x 256画素のMRI画像に対して、

それぞれの節で示す移動を行なっ た画像に対して

逆変換を行ない、どの程度戻すことができるかを

検証する 。 その際、 戻 した画像と図7の原画像との

差分画像を示 して、逆変換の誤差を視覚的に見る

ことにする。

(5)

2-1 平行移動

図7の画像をX方向lこ 15画素、 y方向に10画素平行

移動した画像を図8 (a) に示す。 また、もとの画像の

格子上に求めた順変換ベクトルと逆変換ベクトルを

同阿

図9. 変換ベクトルの補間した成分と逆変換したMRI

画像と原画像との差分画像

(a) 粗いサンプリングの変換ベクトルから補間したx成分 (上

半分)とy成分 (下半分)の画像。

(b ) 逆変換した画像。

(c) 図7で示した原画像と (b ) の画像との差分画像。

125- (43 )

Page 5: ノノ画像の格子点も一緒に描いている。 図1 (a) は順変換 を図1 (b) は逆変換を表しているが、単純にベクトル の向きが逆になっているだけなので、どちらかが得

連続講座・断層映像法の基礎第25回:篠原広行、他

図10. 回転移動したMRI画像とベクトル画像

(a) 図7の画像を時計回りに20度回転移動した画像。

(b ) 回転移動の順変換ベクトルの画像。

(c ) 回転移動の逆変換ベクトルの画像。

それぞれ図8 (b) 、 (c) に示す。 変換ベクトルは8x8

個のみ既知であるとする。 その8x8倒の変換ベクト

ルを用いてもとの画像を作成する逆変換を行なう 。

もとの画像上で求められている図8 (c) の逆変換ベク

トルから最近傍補聞を利用して変換ベク トルを補間

図11. 回転移動の変換ベクトルを最近傍補聞を用いて

聞を埋めた場合(a) 補間した変換ベクトルσ)x成分 (上半分) とy成分 f下半分)。

(b) 逆変換した画像。

(c) 原画像との差分画像。

126. (44 )

したベクトルのx成分と y成分の値を画像で、図9 (a)

に示す。 図9 (a) に示した画像は、上半分がx成分の

値で、下半分がy成分の値になっている。 平行移動の

場合、変換ベクトルのX成分とy成分は画像上で、それ

ぞれ一定の値になるので、補間方法にはよらずどの

方法でも同じ結果になる。 逆変換を行なった画像と、

原画像との差分画像を図9 (b) 、 (c) に示す。 差分画像

を見ると分かるように、きれいに逆変換されている。

平行移動の場合は、他の補間方法でも同じ結果にな

るので、結果は省略する。

2-2 回転移動

図7の画像を時計回りに20度回転した画像を図10

(a) に示す。 また、もとの画像の格子上に求めた順変換

ベクトルと逆変換ベクトルをそれぞれ図10 (b) 、 (c)

に示す。 図10 (c) の逆変換ベクトルから最近傍補聞

を利用して変換ベクトルを補間したベクトルのX成

分とy成分の値を図11 (a) に示す。 回転移動の場合、

変換ベクトルのx成分とy成分は異なる方向に線形的

に変化する。 よ って最近傍補間の場合、変化がモザ

イク状になる。 その変換ベクトルを用いて逆変換を

行なった画像と、原画像との差分画像を図11 (b) 、 (c)

川戸

図12. 回転移動の変換ベクトルを双線形補聞を用いて

聞を埋めた場合(a) 補間した変換ベクトルσ)x成分 L上半分) とy成分 (下半分)。

(b) 逆変換した画像。

(c) 原画像との差分画像。

断層映像研究会雑誌第35巻第2号

Page 6: ノノ画像の格子点も一緒に描いている。 図1 (a) は順変換 を図1 (b) は逆変換を表しているが、単純にベクトル の向きが逆になっているだけなので、どちらかが得

に示す。 変換ベクトルがモザイク状になっているため、

画像の変換もうまくいかなくなる。

図10 (c) の逆変換ベクトルから双線形補聞を利用

して変換ベクトルを補間したベクトルのx成分とy成

分の値を図12 (a) に示す。 回転移動の場合、変換ベ

クト jレのX成分とy成分は線形的に変化しているの

で、線形補間を用いれば精度よく補間できることに

なる。 よ って双線形補聞の場合、きれいに変換ベク

トルを再現できている。 その変換ベクトルを用いて

逆変換を行な っ た画像と、原画像との差分画像を

図12 (b) 、 (c) に示す。 差分画像を見ても分かるように、

逆変換の誤差が小さい。

図10 (c) の逆変換ベクトルから3次多項式補聞を

利用して変換ベクトルを補間したベクトルのX成分

とy成分の値を図13 (a) に示す。 線形補間と同様に

補間できているように見える。 その変換ベクトルを

用いて逆変換を行なった画像と、原画像との差分画

像を図13 (b) 、 (c) に示す。 差分画像を見ると上下

左右の端の方で査みが生じている。 これは、 3次多項

式補聞が近接16点を用いているので、今回のような

8x8点の粗いサンプリングの場合、画像からはみ

出た補間用の点が内側に景タ響しているために歪みが

同戸

図13. 回転移動の変換ベクトルを3次多項式補聞を用い

て聞を埋めた場合(a) 補間した変換ベクトルのx成分 (上半分) とy成分 f下半分)。

(b) 逆変換した画像。

(c) 原画像との差分画像。

2008年9月 10 日

連続講座・断層映像法の基礎第25回 : 篠原広行 、 他

生じてしまう 。 中央付近では、良好な補間精度を

示しているので、もっとサンプリングの点が多けれ

ば歪みはなくなり、全体的にも良い補間精度になる

と考えられる。

ノピノKJz←tFEヘヘヘ

〆ピど守

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rdv,uvub4e

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SiveψLVιトふ小

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\ヘ'\ t t /'ノ/\K、 " .炉供ガ〆方/

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同」川

/~ "ψ 」初、、当、、

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/ I / I ¥ ¥ ¥ ¥

図14. 縮小したMRI画像とベクトル画像

(a) 図7の画像を0.8倍した画像。

(b) 縮小の順変換べ.クトルの画像。

(c) 縮小の逆変換ベクトルの画像。

川戸

図15. 縮小の変換ベクトルを量近傍補聞を用いて聞を

埋めた場合(a) 補間した変換ベクトルのx成分 (上半分) とy成分 (下半分) 。

(b) 逆変換した画像。

(c) 原画像との差分画像。

127- (45 )

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2-3 拡大縮小

図7の画像を 0.8倍した画像を図14 (a) に示す。

また、もとの画像の格子上に求めた順変換ベクトル

と逆変換ベクトルをそれぞれ図14 (b) 、 (c) に示す。

図14 (c) の逆変換ベク ト ルから最近傍補聞を利用し

て変換ベク ト ルを補間したベク ト ルのX成分とy成分

の値を図15 (a) に示す。 拡大縮小の場合、変換ベク

トルのx成分はx方向に線形的に変化し、 y成分はy方

向に線形的に変化する。 よ っ て最近傍補間の場合、

変化がそれぞれの成分で縞模様になる 。 その変換

ベクトルを用いて逆変換を行なった画像と、原画像

との差分画像を図15 (b) 、 (c) に示す。 変換ベク ト ル

が縞模様になっ ているため、画像の変換もう ま く

いかなくなる。

図14 (c) の逆変換ベクトルから双線形補聞を利用

して変換ベクトルを補間したベクトルのX成分とy成

分の値を図16 (a) に示す。 拡大縮小の場合、変換

ベクトルのX成分とy成分はその方向に線形的に変化

するので、線形補聞を用いれば精度よ く補間できる

ことになる 。 よ っ て双線形補間の場合、きれいに

変換ベクトルを再現できている。 その変換ベク ト ル

図16. 縮小の変換ベクトルを双線形補聞を用いて聞を

埋めた場合

(a) 補間した変換ベクトルのx成分 (上半分) とy成分 (下半分)。

(b) 逆変換した画像。

(c) 原画像との差分画像。

128 -(46 )

を用いて逆変換を行なった画像と、原画像との差分

画像を図16 (b) 、 (c) に示す。 差分画像を見ても分か

るように、逆変換の誤差が小さい。

図14 (c) の逆変換ベクトルから3次多項式補聞を

利用して変換ベクトルを補間したベクト jレのX成分

とy成分の値を図17 (a) に示す。 その変換ベク ト ル

を用いて逆変換を行なった画像と、原画像との差分

画像を図17 (b) 、 (c) に示す。 差分画像を見ると回転

移動のときと同様に上下左右の端の方で歪みが生じ

ている。 これは、回転移動のときと同じ理由である

と考えられる。

移動、 回転、拡大縮小の変換は、変換ベクトルのx成

分とy成分で、考えると、いず、れも線形的な変化にとどま

るので、サンプリングの粗い変換ベク トルを補間する

場合は、線脇市聞を用いれば十分であることが分かる。

3. 非線型変換と逆変換

非線型変換であっても変換ベク トルが格子状に

並んでいる場合は、線形補間と 3次多項式補聞を

用いることができる。 非線型変換の変換ベク ト ルを

川一同

図17. 縮小の変換ベクトルを3次多項式補閣を用いて

聞を埋めた場合

(a) 補間した変換ベクトjレのX成分 (上半分) とy成分 (下半分)。

(b) 逆変換した画像。

(c) 原画像との差分画像。

断層映像研究会雑誌第35巻第2号

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ル成分である 。 図18 (c) に示した8x8個の逆変換

ベク トルを用いて逆変換を行なう 。

図18 (c) の逆変換ベクトルから最近傍補聞を利用

して変換ベクトルを補間したベクトルのX成分とy成

分の値を図19 (a) に示す。 今回の非線形変換の場合、

最近傍補間では、変化が幅の異なる縞模様になる 。

その変換ベクトルを用いて逆変換を行なった画像と、

原画像との差分画像を図19 (b) 、 (c) に示す。 変換

ベクトルが縞模様になっているため、画像の変換も

うまくいかなくなり、途中で不連続点が生じる。

図18 (c) の逆変換ベクトルから双線形補聞を利用

して変換ベクトルを補間したベクトルのx成分とy成

分の値を図20 (a) に示す。 線形補間では、割ときれ

いに再現されているが、値の直線状の変化しか表現

できない。 その変換ベクトルを用いて逆変換を行なっ

た画像と、原画像との差分画像を図20 (b) 、 (c) に

示す。 差分画像を見ても分かる ように、線形変換に

比べ逆変換の誤差は大きい。

図18 (c) の逆変換ベクトルから3次多項式補聞を

利用して変換ベク トルを補間したベクトルのX成分

とy成分の値を図21 (a) に示す。 3次多項式補間では、

( 作一 128)x(x,y) = 10 x sin(2 π ・~一 )(6)

Vy (x,y) =10 x sin(4π ・位二旦里) ) Y'~'J , ~... ,. .. 256

として非線型変換を行なった画像と変換ベクトルを

それぞれ図18 (a) 、 (b) 、 (c) に示す。 ここで、 Vx (x. y)

はx方向のベクトル成分で、Vy (x ,y) はy方向のベク ト

"" ;::f " '" ,.. t'I' ~ It-, .方 4 ト令駅.

司法浩司ル 4包~ "

"'1 :, " "1 ,.. ・'" ~ '" '司 方方, .京駅ト

... ,込~ 41 ... A包~ "

ト守で 守守 . , . 方,

ト駅~ .司. . ,

同戸

ト 守守 電守 ト 4 方方,

. .守府,... .... ';If " ""

図18. 非線形変換を行なった画像とそのベクトル画像

(a) 図7の画像を非線形変換した画像。

(b) 非線形変換の順変換ベクトルの画像。

(c) 非線形変換の逆変換ベクトルの画像。

山戸

同」川

図20. 非線形変換の変換ベクトルを双線形補聞を用いて

聞を埋めた場合

(a) 補間した変換ベクトルのX成分 (上半分) とy成分 (下半分) 。

(b) 逆変換した画像。

(c) 原画像との差分画像。

図19. 非線形変換の変換ベクトルを震近傍補聞を用いて

聞を埋めた場合(a) 補間した変換ベクトルのx成分 (上半分) とy成分 (下半分) 。

(b ) 逆変換した画像。

(c) 原画像との差分画像。

12 9.(47) 2008年9月 10 日

Page 9: ノノ画像の格子点も一緒に描いている。 図1 (a) は順変換 を図1 (b) は逆変換を表しているが、単純にベクトル の向きが逆になっているだけなので、どちらかが得

連続講座・断層映像法の基礎第25回: 篠原広行、他

値の曲線状の変化も表現されている。 その変換ベク

トルを用いて逆変換を行なった画像と、原画像との

差分画像を図21 (b) 、 (c) に示す。 差分画像を見ると

上下左右の端の方で線形移動の時に見られた歪み

が生じているが、中央付近では線形補間よりも補間

精度が上がっている 。 サンプリングの数には左右

されるが、非線形変換の場合は、 線形補間よりも3次

多項式補聞を用いた方がより正確に再現できると

考えられる。

謝辞:本研究で使用したプログラムの開発は平成

17年度~平成20年度首都大学東京共同研究費(富士

フィルムRIファーマ株式会社)、および平成20年度

首都大学東京傾斜的配分研究費によるものである。

130 -(48)

同一同

図21 回非線形変換の変換ベクトルを3次多項式補聞を

用いて聞を埋めた場合(a) 補間した変換ベクトルのx成分 (上半分)とy成分(下半分)。

(b) 逆変換した画像。

(c ) 原画像との差分画像。

断層映像研究会雑誌第35巻第2号

Page 10: ノノ画像の格子点も一緒に描いている。 図1 (a) は順変換 を図1 (b) は逆変換を表しているが、単純にベクトル の向きが逆になっているだけなので、どちらかが得

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