クモ膜下出血における早期脳損傷の役割 ~新しい治療...

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123 ● 新評議員 要  旨 クモ膜下出血(subarachnoid hemorrhage; SAH)を発症すると,生命の危険に陥るだけではなく,重篤な後遺症 を残すこともある.予後改善のために SAH 後亜急性期に生じる脳血管攣縮が以前より研究され,様々な治療 が試みられてきたが,形態的に攣縮が軽減しても予後改善が得られないことがわかってきた.近年 SAH 72 時間以内に生じる脳圧上昇を主体とした早期脳損傷(early brain injury; EBI)という概念が,新たな予後規定因 子として注目されている.今後 SAH EBI の病態が解明され,それを軽減し得る治療薬が臨床で使用される ようになれば,SAH 患者の予後改善に貢献するであろう.以前より我々は SAH EBI の治療において,実験 的に様々なアプローチを行ってきた.本稿では SAH EBI について,トランスレーショナルリサーチを目的 とした基礎実験の手法を中心に概略的に紹介する. (脳循環代謝 251231282014キーワード : クモ膜下出血,早期脳損傷,脳浮腫,動物モデル 1.はじめに クモ膜下出血(subarachnoid hemorrhage; SAH)は未だ 生命予後,機能予後の悪い疾病である.SAH の全経過 での死亡率は 50%を超え,発症後病院到着までにその うちの 12.4%,第 2 病日までに 60%が死亡するとの報 告もある 1~3.生命的な危機を脱しても,その後の機能 的回復は芳しくなく,SAH 生存者の半数程度に認知機 能障害や運動機能障害が残存するといわれている 4, 5これら死亡率や機能障害を軽減するために,長年 SAH 後亜急性期に生じる脳血管攣縮の管理に治療の重きが 置かれてきたが,形態的に攣縮を軽減するだけでは SAH の予後改善には不十分であることが示唆されるよ うになった 6SAH 患者の予後を規定するその他の因子として,脳 血管攣縮前期(発症後 72 時間以内)の SAH 後の脳圧上 昇に起因する脳浮腫や細胞障害性変化等を主な病態と した「SAH 後早期脳損傷(early brain injury; EBI)」とい う概念が近年注目され,基礎研究分野で病態解明,治 療の検討が行われている 7.臨床の場で SAH EBI 軽減させる治療薬はなく,その病態解明が治療薬に結 びつけば,SAH 患者の予後改善に有益であると思われ る.今回我々は,本稿において SAH EBI の病態, 実験的評価法や治療の可能性について紹介する. 2.EBI の病態 SAH EBI は,基礎研究の分野で病態解明が行わ れつつある(図 1).SAH の主原因である脳動脈瘤の破 裂が生じると,閉鎖された空間である頭蓋内クモ膜下 腔に動脈性の出血が充満するとともに,瞬時に頭蓋内 圧が上昇する.また脳脊髄液の循環障害や視床下部障 害による脳血管拡張等による相加的な頭蓋内圧上昇も 起こる 8.この急激な脳圧亢進は脳灌流圧と脳血流量 を低下させ全脳虚血の状態を惹起し,アポトーシスや 炎症,酸化ストレス,皮質拡延性抑制等に関連する 様々な細胞内シグナルを活性化させる 7, 9~11.またクモ クモ膜下出血における早期脳損傷の役割 ~新しい治療ターゲット~ 長谷川 雄 1 ,鈴木 秀謙 2 ,植川  顕 1 ,河野 隆幸 3 ,倉津 純一 3 ,光山 勝慶 1 1 熊本大学大学院生命科学研究部生体機能薬理学分野 2 三重大学医学部脳神経外科 3 熊本大学医学部脳神経外科 860-8556 熊本県熊本市中央区本荘 1 丁目 1-1 TEL: 096-373-5082 FAX: 096-373-5082 E-mail: [email protected]

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● 新評議員

要  旨 クモ膜下出血(subarachnoid hemorrhage; SAH)を発症すると,生命の危険に陥るだけではなく,重篤な後遺症を残すこともある.予後改善のために SAH後亜急性期に生じる脳血管攣縮が以前より研究され,様々な治療が試みられてきたが,形態的に攣縮が軽減しても予後改善が得られないことがわかってきた.近年 SAH後 72

時間以内に生じる脳圧上昇を主体とした早期脳損傷(early brain injury; EBI)という概念が,新たな予後規定因子として注目されている.今後 SAH後 EBIの病態が解明され,それを軽減し得る治療薬が臨床で使用されるようになれば,SAH患者の予後改善に貢献するであろう.以前より我々は SAH後 EBIの治療において,実験的に様々なアプローチを行ってきた.本稿では SAH後 EBIについて,トランスレーショナルリサーチを目的とした基礎実験の手法を中心に概略的に紹介する.

(脳循環代謝 25:123~128,2014)

キーワード: クモ膜下出血,早期脳損傷,脳浮腫,動物モデル

1.はじめに

 クモ膜下出血(subarachnoid hemorrhage; SAH)は未だ生命予後,機能予後の悪い疾病である.SAHの全経過での死亡率は 50%を超え,発症後病院到着までにそのうちの 12.4%,第 2病日までに 60%が死亡するとの報告もある1~3).生命的な危機を脱しても,その後の機能的回復は芳しくなく,SAH生存者の半数程度に認知機能障害や運動機能障害が残存するといわれている4, 5).これら死亡率や機能障害を軽減するために,長年 SAH

後亜急性期に生じる脳血管攣縮の管理に治療の重きが置かれてきたが,形態的に攣縮を軽減するだけではSAHの予後改善には不十分であることが示唆されるようになった6). SAH患者の予後を規定するその他の因子として,脳

血管攣縮前期(発症後 72時間以内)の SAH後の脳圧上昇に起因する脳浮腫や細胞障害性変化等を主な病態とした「SAH後早期脳損傷(early brain injury; EBI)」という概念が近年注目され,基礎研究分野で病態解明,治療の検討が行われている7).臨床の場で SAH後 EBIを軽減させる治療薬はなく,その病態解明が治療薬に結びつけば,SAH患者の予後改善に有益であると思われる.今回我々は,本稿において SAH後 EBIの病態,実験的評価法や治療の可能性について紹介する.

2.EBI の病態

 SAH後 EBIは,基礎研究の分野で病態解明が行われつつある(図 1).SAHの主原因である脳動脈瘤の破裂が生じると,閉鎖された空間である頭蓋内クモ膜下腔に動脈性の出血が充満するとともに,瞬時に頭蓋内圧が上昇する.また脳脊髄液の循環障害や視床下部障害による脳血管拡張等による相加的な頭蓋内圧上昇も起こる8).この急激な脳圧亢進は脳灌流圧と脳血流量を低下させ全脳虚血の状態を惹起し,アポトーシスや炎症,酸化ストレス,皮質拡延性抑制等に関連する様々な細胞内シグナルを活性化させる7, 9~11).またクモ

クモ膜下出血における早期脳損傷の役割 ~新しい治療ターゲット~

長谷川 雄1,鈴木 秀謙2,植川  顕1,河野 隆幸3,倉津 純一3,光山 勝慶1

1熊本大学大学院生命科学研究部生体機能薬理学分野2三重大学医学部脳神経外科3熊本大学医学部脳神経外科〒 860-8556 熊本県熊本市中央区本荘 1丁目 1-1

TEL: 096-373-5082 FAX: 096-373-5082

E-mail: [email protected]

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脳循環代謝 第 25巻 第 2号

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膜下腔に充満した血塊やヘモグロビンの代謝産物からも細胞障害性変化が誘導され,最終的に神経細胞死や内皮細胞死が生じる.同時に微小循環障害や血圧上昇による血液脳関門(blood-brain barrier; BBB)の破綻も生じ,これらが最終的に脳浮腫を生じさせる.実験的SAHモデルにおいて,頭蓋内圧が 90 mmHgより上昇すると,24時間後の死亡率が 100%であるのに対し,90 mmHg以下であれば 64%は生存したとの報告があり12),この頭蓋内圧上昇が生命予後や機能予後を決定するのに重要である一方,頭蓋内圧が動脈圧近くまで上昇した症例では,治療介入で生命予後を改善させるのは困難だと考えられる. 興味深いことに,脳血管攣縮と EBIは共通の病態が介在しているため,脳圧上昇による細胞障害性変化が継続し,脳血管攣縮発生に寄与している可能性が指摘

されるほか,EBIにおける脳浮腫を軽減させることにより,慢性期の認知機能低下も抑制できるという報告もある13, 14).したがって EBIが SAHの全経過の合併症や予後を決定しているかもしれない.

3.動物モデル

 SAHの動物モデルとして知られているのは,大槽や視交叉前槽に血液を注入する injectionモデル,そして中大脳動脈閉塞モデルを応用した endovascular

perforation(EP)モデルである.EPモデルでは,外頸動脈から挿入したナイロン糸またはタングステンワイヤーを内頸動脈遠位側まで誘導し,内頸動脈先端部を血管内より穿刺することで,クモ膜下腔への動脈性出血を誘発し頭蓋内圧を上昇せしめる(図 2A).上述の

図 1.クモ膜下出血後早期脳損傷の病態BBB, blood-brain barrier; CBF, cerebral blood flow; CPP, cerebral perfusion pressure; EBI, early brain injury; ICP, intracranial pressure; SAH, subarachnoid hemorrhage.

図 2.クモ膜下出血後早期脳損傷における偽手術群(sham; n=7)と SAH群(n=7)との比較A:ラットクモ膜下出血の代表的な写真.B:神経所見.C:脳水分含量

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クモ膜下出血における早期脳損傷の役割~新しい治療ターゲット~

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ごとく,頭蓋内圧が過上昇した場合は死亡するが,それが回避されても種々の細胞障害性変化が惹起され脳浮腫に至る.EPモデルでは実臨床に近い死亡率や急性期の代謝性反応が認められ,一般的に頭蓋内圧がそれほど上昇しない injectionモデルに比べ,EBIの病態を再現できると考えられている15).さらに実臨床に近い脳血管攣縮モデルとして研究に利用されることもある16).しかし,EPモデルの欠点は,SAH量をコントロールできないため,SAHによる脳損傷が一定しないことである.そのため,SAH量をコントロールでき,ある程度の死亡率が認められる視交叉前槽注入モデルを選択する施設もある17).一方で,少量の SAHでも脳血管攣縮が生じるため,死亡率が 0%に近い脳槽への injectionモデルは脳血管攣縮の研究に主として用いられる15, 17).

4.神経学的評価

 脳卒中の実験において,薬物等の脳保護効果を検討する場合,神経所見の評価は必須である.麻痺の出現が明らかな他の脳卒中モデルとは違って,SAHによる症状は巣症状よりも意識障害が主であるため,動物モデルではわかりにくいことがある.そのため様々な評価法を用いて,SAHモデルの神経所見が計測されている18).通常他の脳卒中モデルでも使用している,感覚運動障害や平衡運動障害を評価する 18-point composite

test(Garcia法),beam balance testを意識障害に即した計測法に修正し用いている場合が多い.ただし動物モデルや種,術者の手技により SAHによる脳損傷の程度には幅があり,同じ測定法で計測しても,必ずしも一定した所見が出るとは限らない.我々は 18-point

composite testと beam balance testを合算した点数で神経所見を計測しているが10, 19, 20),その方法を用いると,偽手術群と比べ SAH群では 24時間後の神経所見が有意に悪化しているのが分かる(図 2B). なお実臨床では SAH後の認知機能低下,抑うつ症状,運動機能障害が問題となるため,長期記憶(水迷路試験や受動回避学習試験),作業記憶(Yまたは T迷路試験),抑うつ(テールサスペンション試験や強制水泳試験),行動試験(ロタロッド)等を SAH後慢性期に評価するのも有用である14).

5.SAH重症度

 Injectionモデルと違い,EPモデルでは SAH量がコントロールできないため,同様の手術手技を行っても脳損傷の程度や死亡率は一定しない.実臨床で経験す

るように,SAHが軽度であれば EBIはほとんど生じていないのと同じで,実験的 SAHでも出血量が少なければ神経所見は正常で脳浮腫も有意に増悪しない.そのため SAH grading scale21)に従って解剖の際に SAH

量で群分けし,軽症例を除外して研究を進めることが多い.しかし,ヒトの SAHでは搬入時の画像にてSAH量が評価できるのに対し,実験動物での SAH量は,解剖時に脳を摘出した際にしかそれを確認できないため,治療薬を検討する場合,SAH量に対するその薬の交絡因子を考慮に入れる必要がある.さらには選択基準に入った動物を endpointで設定した除外基準で除外することは,一般的にバイアスがかかった研究とみなされるため,上記を考慮した SAH 重症度判定法の発展や除外基準の検討が必要と思われる.

6.脳浮腫

 EBIの急性期予後を決定する主病態は脳浮腫であり,実験的 SAHの予後を検討する際は,上記の神経学的評価に加え,脳浮腫の程度を計測する必要がある.脳浮腫は細胞障害性浮腫と血管原性浮腫とに分類され,通常細胞障害性浮腫は神経細胞やグリア細胞などの持続する細胞内水分含量を表すが,血管原性浮腫は BBBの破綻に伴って高分子のタンパクが血管外に漏出することで形成される.厳密にその両者を分けて評価することは困難であるが,SAHの実験において,一般的に簡便な脳浮腫の評価法として脳水分含量の計測が広く行われている.偽手術群と比較し SAH後 24

時間の脳水分含量は,マウス,ラットとも安定して0.5~2%程度の上昇が認められる(図 2C)10, 19, 22, 23).BBBの 破 綻 の 程 度 を 知 る 際 に は Evans blue

extravasation(EB)を計測することが多く,これは血管原性浮腫の指標としても用いることができる.偽手術群と比し SAH後 EBは数倍の上昇を認める20, 22, 24). 脳卒中の薬物治療効果を検討する際は 2用量,2時点での予後評価が好ましい.中大脳動脈閉塞モデルでは急性期の梗塞巣と慢性期の脳萎縮の程度を評価することもあるが,EBIを検討する場合,上記脳水分含量や EBを SAHを作成してから 1日後と 3日後などの急性期に測定するのが一般的である19, 23).

7.治  療

 図 1に示すような EBIの病態を鑑み,脳圧上昇後の様々な反応を保護的に修飾する目的で,EBIを軽減するための治療が実験的に試みられている.脳血管攣縮期では主に動脈の収縮軽減が治療のターゲットになる

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脳循環代謝 第 25巻 第 2号

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が,EBIの治療を考慮する場合には,神経細胞やグリア細胞,また BBBを構成している血管内皮細胞,基底膜,タイト結合などいわゆる neurovascular unitが治療のターゲットになる. SAH後認知機能低下や運動機能低下を軽減するために,神経細胞を保護することは非常に重要である.動物モデルにおいて,頭蓋内圧上昇に伴う全脳虚血やその他の反応により,大脳皮質,線条体,海馬の神経細胞にアポトーシスが起こると考えられている9, 19, 25).また,ヒトの病理脳組織標本で SAH後の神経細胞にアポトーシスが生じることも確認されているため26),アポトーシスは EBIにおいても重要な病態であると思われる.実際抗アポトーシス作用をもつ薬剤を SAH

後急性期に投与することで,脳浮腫や神経所見の悪化が軽減される10, 19, 27). アポトーシス以外にも,SAHによって誘導される炎症性サイトカインや酸化ストレスが,mitogen-activated

protein kinase (MAPK)のリン酸化を介し matrix

metalloproteinase-9(MMP-9)を活性化することにより,基底膜やタイト結合の構成蛋白を分解することで,BBBの破綻や脳浮腫が増悪する.そのため,抗炎症作用や抗酸化ストレス作用を持つ治療を行い,SAH後の脳浮腫が軽減したとの報告も多く存在する20, 22, 23, 28, 29).

8.おわりに

 脳卒中の薬物治療において therapeutic time window

がしばしば問題となるように,SAHにおいても発症後少しでも早く治療薬を投与することが好ましい.しかし,現在 SAHと診断された後,臨床的に超急性期に使用できる脳保護を目的とした治療薬はない.画像にて SAHが確定してから再破裂予防の動脈瘤手術までの待機中に EBIを軽減できる薬物が使用できれば,SAH患者に恩恵があることは間違いない.SAH後EBIの研究が広まり,様々な治療が動物実験で検討されるようになり30),さらに研究が進み臨床にも応用されることで,SAH患者の予後が少しでも改善することを期待したい.

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脳循環代謝 第 25巻 第 2号

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Abstract

The role of early brain injury in subarachnoid hemorrhage

Yu Hasegawa1, Hidenori Suzuki2, Ken Uekawa1, Takayuki Kawano3,

Jun-ichi Kuratsu3, and Shokei Kim-Mitsuyama1

1Department of Pharmacology and Molecular Therapeutics, Kumamoto University Graduate School of Medical Sciences, Kumamoto, Japan

2Department of Neurosurgery, Mie University Graduate School of Medicine, Mie, Japan 3Department of Neurosurgery, Kumamoto University School of Medicine, Kumamoto, Japan

Subarachnoid hemorrhage (SAH) is a cerebrovascular disease with high mortality and morbidity. It

has been suggested that the major causes of death and disability in SAH are cerebral vasospasm and

early brain injury (EBI). Although cerebral vasospasm was widely studied using a lot of drugs, the

outcome was hardly improved even if the drugs were effective for reduction of arterial diameter.

Therefore, now EBI is a good candidate target for future research in SAH. It would be very beneficial

for SAH patients if the pathophysiology of EBI is clarified and new therapies can be used in a clinical

setting. In this review, we introduce some pivotal concepts for studying EBI in SAH for translational

research.

Key words: subarachnoid hemorrhage, early brain injury, brain edema, animal model