塩・腎・血圧 - japanese red cross society...2013/05/30 · katsuya, t et al. hypertens res...
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塩・腎・血圧塩・腎・血圧 -- 食塩感受性と多剤併用療法食塩感受性と多剤併用療法
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腎臓内科 髙橋
則尋
高松赤十字病院
モーニングセミナー
収縮期血圧
脈圧
拡張期血圧
平均血圧=拡張期血圧+脈圧×1/3?
平均血圧
血圧血圧==電圧?電圧?
電圧=電流×抵抗 ということは・・・
血圧血圧==血流血流××末梢血管抵抗末梢血管抵抗
さらに、 血流=心拍出量=1回拍出量×心拍数
したがって、 血圧=1回拍出量×心拍数×末梢血管抵抗
つまり血圧は、拍出量(=体液量)、心拍数、 血管抵抗に依存する
高血圧の関与する諸因子高血圧の関与する諸因子
食塩過剰摂取
腎Na貯留 ストレス
遺伝的変化 肥満
内皮由来因子
収縮性↑前負荷↑機能性収縮
構造的肥大
高血圧
心拍出量↑ 末梢血管抵抗↑
交感神経活性亢進
体液量↑体液量
配分異常
高インスリン
血症
細胞膜異常
RAA系亢進
薬物療法薬物療法
利尿薬
サイアザイド
ループ利尿薬
カリウム保持性利尿薬
交感神経抑制薬
末梢性抑制薬
中枢性α2アゴニスト
α1受容体遮断薬
β受容体遮断薬
αβ遮断薬
血管拡張薬
中枢性拡張薬
カルシウム拮抗薬
ACE阻害薬
AⅡ受容体拮抗薬
Ca拮抗薬
利尿薬 ARB
ACE阻害薬β遮断薬
推奨される併用を実線で示す高血圧治療ガイドライン2009.
推奨される併用薬剤について推奨される併用薬剤について
腎臓断面図腎臓断面図
腎糸球体から尿細管まで腎糸球体から尿細管まで
糸球体の働きろ
過
:
血液を濾して、老廃物などを排泄する
尿細管の働き分
泌
:
直接、老廃物を排泄する
再吸収:
必要なものを吸収する
コーヒーの抽出(限外ろ過)
必要なもの
・お湯・コーヒー豆・ろ紙・大気圧
コーヒーの完成
糸球体におけるろ過
→ 血液→
老廃物の元
→
糸球体→ 血圧
尿の生成
単一糸単一糸球体球体ろ過率ろ過率
SNGFR=Kf×(⊿P-⊿π) =Kf×PUF
⊿P=PGC-PBS
⊿π=πGC-πBS
糸球体ろ過←PGC
PBS→
←πGCπBS→
Kf
QA
自動調節と糸球体ろ過自動調節と糸球体ろ過
糸球体ろ過量(GFR)=有効糸球体数×1糸球体ろ過量(SNGFR)
つまり正常では全身血圧の変動下にRBFは一定しかし何らかの異常でRBFが変動→GFRは一定そのためには輸入細動脈が収縮・拡張
糸球体血行動態を調節する体液性因子糸球体血行動態を調節する体液性因子
腎内血行動態の圧曲線腎内血行動態の圧曲線平均血圧(mmHg)
100
50
大動脈~腎動脈
葉間動脈~小葉間動脈
糸球体内 輸出細動脈 静脈系
糸球体過剰ろ過糸球体過剰ろ過
糸球体過剰ろ過軽減療法糸球体過剰ろ過軽減療法
CaCa拮抗薬の腎血行動態への影響拮抗薬の腎血行動態への影響
CaCa拮抗薬の腎保護効果拮抗薬の腎保護効果
輸入・輸出細動脈のA輸入・輸出細動脈のAⅡⅡ反応性反応性
AAⅡⅡ拮抗薬拮抗薬の腎保護効果の腎保護効果
高血圧の諸因子に対する治療高血圧の諸因子に対する治療
食塩過剰摂取
腎Na貯留 ストレス
遺伝的変化 肥満
内皮由来因子
心拍出量↑
交感神経活性亢進
体液量↑
収縮性↑前負荷↑
体液量配分異常
高インスリン
血症
細胞膜異常
RAA系亢進
機能性収縮
構造的肥大
高血圧
末梢血管抵抗↑
減塩運動
利尿剤
ストレス管理交感神経抑制薬
ACE‐I
ARB
体重管理節酒運動
禁煙
血管拡張薬
血管拡張薬と利尿薬・血管拡張薬と利尿薬・
ββ遮断薬の併用療法遮断薬の併用療法血管拡張薬
血管拡張
血管抵抗
↓
血圧
↓
交感神経活性↑
Na貯留
レニン
↑
血管床
↓
心過動
ノルアドレナリン↑
アンジオテンシン↑血管収縮
アルドステロン↑
体液量
↑
血管抵抗
↑
心拍出量
↑
利尿薬
β遮断薬
β遮断薬
レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系
RASRAS系と食塩感受性系と食塩感受性
尿細管・糸球体フィードバッ尿細管・糸球体フィードバック(ク(TGFTGF))
食塩感受性食塩感受性ととTGFTGF
日本人と食塩感受性の遺伝子日本人と食塩感受性の遺伝子(%)
80
20
0
100
Katsuya, T et al. Hypertens Res 2003; 26: 521-525.より作図
χ2検定
40
60
食塩感受性の関連遺伝子頻度
アンジオテンシノーゲンT235
αアデュシンTrp460 アルドステロン合成酵素T-344
G蛋白β3 T825
日本人は、体にナトリウムを貯めるタイプの遺伝子が高頻度です。
***
***: p<0.001
***
***
***日本人白人
加齢による食塩感受性の変化加齢による食塩感受性の変化
Weinberger MH et al. Hypertension
1991; 18: 67-71.
食塩制限+
利尿薬による平均血圧の変化
20-30 31-40 41-50 51-60 60>
(mmHg)
-12
-10
-8
-6
-4
-2
0
-14
-16
-18
(歳)
高血圧患者
非高血圧患者
対象:
高血圧患者;230名、非高血圧患者;430名方法:10mmol/日(約6g/日)の食塩制限+利尿薬投与による平均血圧の低下度によって食塩感受性を測定した。
*非高血圧患者, n=430, r=—0.19,p<0.01; 高血圧患者
, n=230, r=-0.31, p<0.001.
食塩感受性高血圧食塩感受性高血圧
減塩(約6g)
高塩(約18g)
Ca拮抗薬
利尿薬 ARB
ACE阻害薬β遮断薬
推奨される併用を実線で示す高血圧治療ガイドライン2009.
推奨される併用薬剤について推奨される併用薬剤について
食塩感受性なし
食塩感受性改善
食塩感受性あり
(1)腎機能正常
→サイアザイド系利尿薬(2)腎機能低下例
GFR30mL/min/1.73m2(血清クレアチニン2.0mg/dL以上)
→ループ利尿薬(3)ループ利尿薬単独で体液量
コントロールが困難である場合→ループ利尿薬とサイアザイド系利尿薬を併用
第2選択薬第2選択薬
体液過剰(食塩感受性) CVDハイリスク
第3選択薬第3選択薬
心血管疾患(CVD)ハイリスク
患者では第二選択薬とした。
Ca拮抗薬
第二選択薬で利尿薬を使った場合はCa拮抗薬、Ca拮抗薬を使っ た場合は利尿薬となる。(コントロール不良の場合は専門医へ)
CKD診療ガイド高血圧版より
診察室血圧 家庭血圧
若年者・中年者 130/85未満 125/80未満
高齢者 140/90未満 135/85未満
糖尿病患者
腎臓病患者
心筋梗塞後患者
130/80未満 125/75未満
脳血管障害患者 140/90未満 135/85未満
降圧目標(降圧目標(mmHgmmHg))
まま とと めめ
血圧の最大調節因子は腎での体液調節で ある。
腎での体液調節はRAA系とTGFにより決定 される。
高血圧治療には食塩感受性の有無が重要 である。
降圧薬にも食塩感受性がある。
降圧薬の併用には食塩感受性の有無を考 慮する必要がある。