大学・学部 | 東邦大学 - ウーラム数の一般化...ウーラム数の一般化 5516082...
TRANSCRIPT
ウーラム数の一般化
5516082 橋之口 拓未
東邦大学情報科学科
白柳研究室
ウーラム数とは
U1=1, U2=2 とし、U1からUNまで定義されているとき、U1からUNまでのうち異なる二
つの数の和としてちょうど一通りに表せるような数のうち最小のものをUN+1と定義す
る。{UN}をウーラム数列といい,各UNをウーラム数という。
(M,N)ウーラム数の定義
二つの自然数(M,N)から始めて、それまでに出てきた異なる二項の唯一つの和になるような数を選ん
で自然数の増加列を構成する。
例)二つの自然数(1,2)ウーラム数
1+2=3・・・・〇
1+3=4・・・・〇
1+4=2+3=5・・・・×
(二通りの和で表される数なので×)
これを繰り返すことで、(1,2)のウーラム数列をなす。
(1,2)ウーラム数の出力例
出力(100個)
[1, 2, 3, 4, 6, 8, 11, 13, 16, 18, 26, 28, 36, 38, 47, 48, 53, 57, 62, 69, 72, 77, 82, 87, 97, 99,
102, 106, 114, 126, 131, 138, 145, 148, 155, 175, 177, 180, 182, 189, 197, 206, 209, 219,
221, 236, 238, 241, 243, 253, 258, 260, 273, 282, 309, 316, 319, 324, 339, 341, 356, 358,
363, 370, 382, 390, 400, 402, 409, 412, 414, 429, 431, 434, 441, 451, 456, 483, 485, 497,
502, 522, 524, 544, 546, 566, 568, 585, 602, 605, 607, 612, 624, 627, 646, 668, 673, 685,
688, 690]
未解決問題
①隣接するウーラム数のペアは無限個存在するか。
② 2 個のウーラム数の和で「表されない」数は無限個存在するか。
③ウーラム数の間に任意に大きな間隙があるか。
未解決問題の現状①の未解決問題に関しては、五味渕真也先輩が 3万項まで計算したが、(1,2),(2,3),(3,4),(47,48)の
例以外は見つかっていない。
②の未解決問題に関しては、23,25,33,35,43,45,67,92,94が記載されている。
また、清野駿一先輩が大幅に実例を増やした。
③の未解決問題に関しては、事典に記載されておらず、先輩方の研究でも取り扱っていなかった。
本研究の目的
・先輩方の研究では、ウーラム数の実例を増やすことを目的とされていた。本研究では未解決問
題に対して、MAPLEを用いて計算機実験を行い、出力された数に一定の法則性があるかを調べ、
ウーラム数を一般化することで解決につながるような結果を求めることを目的として、研究を行う。
・一般化をするにあたり、未解決問題③に取り組んだ。
・(1,2)ウーラム数では法則性が見つからなかったので、初期数字を大きくして研究を行う。
本研究の目的
・中間発表では、(1,2)ウーラム数から得た隣接するウーラム数(47,48)に着目した。
・(47,48)ウーラム数を計算した結果、ある法則に気づいた。
本研究では、その法則がほかの数字の組み合わせでも成り立つかどうかを調べるために、初
期数字をさらに大きくして計算した。
(100,101)ウーラム数の一般化
・出力例(100個)
[100, 101, 201, 301, 302, 401, 403, 501, 504, 601, 603, 605, 701, 706, 801, 803, 805, 807,
901, 908, 1001, 1003, 1005, 1007, 1009, 1101, 1110, 1201, 1203, 1205, 1207, 1209, 1211,
1301, 1312, 1401, 1403, 1405, 1407, 1409, 1411, 1413, 1501, 1514, 1601, 1603, 1605, 1607,
1609, 1611, 1613, 1615, 1701, 1716, 1801, 1803, 1805, 1807, 1809, 1811, 1813, 1815, 1817,
1901, 1918, 2001, 2003, 2005, 2007, 2009, 2011, 2013, 2015, 2017, 2019, 2101, 2120, 2201,
2203, 2205, 2207, 2209, 2211, 2213, 2215, 2217, 2219, 2221, 2301, 2322, 2401, 2403, 2405,
2407, 2409, 2411, 2413, 2415, 2417, 2419]
※赤色・・・奇数番目の群(以後奇数群とする)
※青色・・・偶数番目の群(以後偶数群とする)
計算の分析
群数列UNとする。(N=1,2,…)
(1)各群の初項を決める
第3項の201を第1群の初項とする。
奇数群、偶数群に分けて考える。
各群の初項はUN=201+100(N-1)
計算の分析
<奇数群>
201+100(N-1)を初項とする。
項数Mとし、公差は2である。(M<=1/2(N+1):Mは自然数)
奇数群 AM=201+100(N-1)+2(M-1)
<偶数群>
項数は2個。その二項の差はN-1
数列をBNとすると、
B1=201+100(N-1)=100N+101
B2=201+100(N-1)+N-1=101N+100
計算結果
この法則が成り立つウーラム数の範囲は第100群までで、(201~10101)となった。
項数は、奇数群と偶数群それぞれ50群に分けて計算すると、
・奇数群
1/2 N{(2A+(N-1)D}= 50/2(2+49)= 1275
・偶数群 2×50=100 :よって、全体の項数は1375
また、10101の次のウーラム数は10200,10201であった。
(100,102)ウーラム数・出力例(100個)
[100, 102, 202, 302, 304, 402, 406, 502, 508, 602, 606, 610, 702, 712, 802, 806, 810, 814,
902, 916, 1002, 1006, 1010, 1014, 1018, 1102, 1120, 1202, 1206, 1210, 1214, 1218, 1222,
1302, 1324, 1402, 1406, 1410, 1414, 1418, 1422, 1426, 1502, 1528, 1602, 1606, 1610, 1614,
1618, 1622, 1626, 1630, 1702, 1732, 1802, 1806, 1810, 1814, 1818, 1822, 1826, 1830, 1834,
1902, 1936, 2002, 2006, 2010, 2014, 2018, 2022, 2026, 2030, 2034, 2038, 2102, 2140, 2202,
2206, 2210, 2214, 2218, 2222, 2226, 2230, 2234, 2238, 2242, 2302, 2344, 2402, 2406, 2410,
2414, 2418, 2422, 2426, 2430, 2434, 2438]
計算の分析
(100,101)ウーラム数同様に群で分ける。
群数列UNとする。(N=1,2,…)
(1)各群の初項はUN=202+100(N-1)
(2) <奇数群>
項数M、公差は4(M<=1/2(N+1):Mは自然数)
AM=202+100(N-1)+4(M-1)
<偶数群>
項数は2個。二項の差は2(N-1):(Nは群数列UNの群の数)
B1=202+100(N-1)=100N+102
B2=202+100(N-1)+2(N-1)=102N+100
計算結果
(100,101)ウーラム数と同様の法則性があり、それぞれ分けた群の公差を2倍することで求めることが
できた。この法則が成り立つウーラム数の範囲は第50群までで、(202~5102)となり、(100,101)
ウーラム数の半分であった。項数を、奇数群と偶数群それぞれ25群に分けて計算すると、
・奇数群
1/2 N{(2A+(N-1)D}= 25/2(2+24)= 325
・偶数群
2×25=50 :よって、全体の項数は375
また、5102の次のウーラム数は5104であった。
(100,103)ウーラム数
出力結果(100個)
[100, 103, 203, 303, 306, 403, 409, 503, 512, 603, 609, 615, 703, 718, 803, 809, 815, 821,
903, 924, 1003, 1009, 1015, 1021, 1027, 1103, 1130, 1203, 1209, 1215, 1221, 1227, 1233,
1303, 1336, 1403, 1409, 1415, 1421, 1427, 1433, 1439, 1503, 1542, 1603, 1609, 1615, 1621,
1627, 1633, 1639, 1645, 1703, 1748, 1803, 1809, 1815, 1821, 1827, 1833, 1839, 1845, 1851,
1903, 1954, 2003, 2009, 2015, 2021, 2027, 2033, 2039, 2045, 2051, 2057, 2103, 2160, 2203,
2209, 2215, 2221, 2227, 2233, 2239, 2245, 2251, 2257, 2263, 2303, 2366, 2403, 2409, 2415,
2421, 2427, 2433, 2439, 2445, 2451, 2457]
計算の分析
同様に、群数列UNとする。(N=1,2,…)
(1) 各群の初項はUN=203+100(N-1)
(2)群に分ける方法
<奇数群>
項数M、公差は6(M<=1/2(N+1):Mは自然数)
AM=203+100(N-1)+6(M-1)
<偶数群>
項数は2個。二項の差は3(N-1):(Nは群数列UNの項数)
B1=203+100(N-1)=100N+103
B2=203+100(N-1)+3(N-1)=103N+100
計算結果
(100,101)ウーラム数と同様の法則性があり、それぞれ分けた群の公差を3倍することで求めることができた。この
法則が成り立つウーラム数の範囲は第34群までで、(203~3602)となり、(100,101)ウーラム数の約3分の1で
あった。
項数は、奇数群と偶数群それぞれ17群に分けて計算する。
・奇数群
17/2(2+16)= 153
・偶数群
2×17=34
よって、全体の項数は187 また、3602の次のウーラム数は3603であった。
まとめと考察
本研究を通して、以下のことが分かった。
〇(M、N)ウーラム数において、連続するウーラム数で求めた数は、ある一定の法則でまとめた
群に置き換えて考えることで、範囲は有限であるが式に表すことができた。
〇初期数字2つに2,3の差があるウーラム数においても、同様な法則でそれぞれの群の公差を2
倍、3倍することで式に表すことができた。
〇連続する数からはじめたウーラム数と、差が奇数の数からはじめたウーラム数には、法則が
崩れたあとの数が隣接するウーラム数であった。
〇中間発表で計算した(47,48)ウーラム数の法則も第47群までであったことから、連続する
ウーラム数は、初期数字の1つ目の数だけ群で表せることが考えられる。
以上の結果から、法則が成り立つ範囲は有限であったため、全体の一般化はできなかった。
今後の課題
・法則が崩れた後の数字にも焦点を置き、新たな法則が存在するかどうかを研究し、ウーラム数
の一般化につなげる。
・計算機実験におけるプログラムの改良を行い、出力時間を短縮させる。
・今回取り組めなかった未解決問題にも取り組む。
ご清聴ありがとうございました。