ラオス投資環境 - mizuho bank2 Ⅰ.基礎情報 Ⅱ.投資関連情報 Ⅲ.拠点設立...

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Page 1: ラオス投資環境 - Mizuho Bank2 Ⅰ.基礎情報 Ⅱ.投資関連情報 Ⅲ.拠点設立 Ⅳ.各種規制・恩典・参考情報 Ⅴ.その他 国名 ラオス 日本中国 台湾韓国香港

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ラオス投資環境

2019年10月

国際戦略情報部

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【目次】

1

Ⅰ.基礎情報【Ⅰ-1】基礎情報・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P. 3【Ⅰ-2】経済成長の推移・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P. 5【Ⅰ-3】社会・経済の特徴・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P. 6【Ⅰ-4】貿易概況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P. 7【Ⅰ-5】産業構造・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P. 9【Ⅰ-6】産業の特徴・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P.10【Ⅰ-7】直接投資動向・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P.11【Ⅰ-8】投資の魅力・留意点(課題)・・・・・・・・・・・・・・・・・P.12

Ⅱ.投資関連情報【Ⅱ-1】労働関連情報・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P.14【Ⅱ-2】主要工業団地・経済特区・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P.16【Ⅱ-3】会計・税務関連情報・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P.18

Ⅲ.拠点設立【Ⅲ-1】進出形態・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P.21【Ⅲ-2】拠点設立フロー ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P.23【Ⅲ-3】現地費用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P.25

Ⅳ.各種規制・恩典・参考情報【Ⅳ-1】外資規制・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P.27【Ⅳ-2】投資誘致・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P.30【Ⅳ-3】会社法関連・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P.31【Ⅳ-4】為替管理制度・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P.33【Ⅳ-5】貿易制度・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P.34【Ⅳ-6】通貨規制・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P.35【Ⅳ-7】資金調達・資金運用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P.36【Ⅳ-8】不動産関連規制・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P.37【Ⅳ-9】近時トピックス・ ・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P.38

Ⅴ.その他【Ⅴ-1】みずほ銀行 タイ拠点のご案内 ・・・・・・・・・・・・・P.43【Ⅴ-2】業務提携 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P.44

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Ⅰ. 基礎情報

Ⅱ. 投資関連情報

Ⅲ. 拠点設立

Ⅳ.各種規制・恩典・参考情報

Ⅴ.その他

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国名 ラオス 日本 中国 台湾 韓国 香港

人口 (百万人) 6.7 126.5 1,395.1 23.6 51.7 7.5

名目GDP (億USD) 183 49,719 134,074 5,894 16,194 3,630

実質GDP成長率 (前年比) 6.8 0.8 6.6 2.6 2.7 3.0

1人あたりGDP (USD) 2,720 39,307 9,608 24,971 31.346 48,517

2019年GDP成長率見込 6.5 1.0 6.3 2.5 2.6 2.7

信用格付(S&P) as of Mar 2019 n.a. A+ A+ AA- AA AA+

国名 シンガポール インドネシア タイ マレーシア フィリピン ベトナム

人口 (百万人) 5.6 264.2 67.8 32.4 106.6 94.6

名目GDP (億USD) 3,611 10,225 4,872 3,543 3,308 2,413

実質GDP成長率 (前年比) 3.2 5.2 4.1 4.7 6.2 7.1

1人あたりGDP (USD) 64,041 3,871 7,187 10,942 3,104 2,551

2019年GDP成長率見込 2.3 5.2 3.5 4.7 6.5 6.5

信用格付(S&P) as of Mar 2019 AAA BBB- BBB+ A- BBB BB

【Ⅰ-1】基礎情報①~アジア主要国経済指標

3

(注)1. 数値は2018年ベース、斜体箇所はIMF推定値2. S&P格付定義 A :当該金融債務を履行する債務者の能力は高いが、上位2つの格付けに比べ、事業環境や経済状況の悪化の影響をやや受けやすい

BBB:当該金融債務履行のための財務内容は適切であるが、事業環境や経済状況の悪化によって当該債務を履行する能力が低下する可能性がより高い

BB :他の「投機的」格付けに比べて当該債務が不履行になる蓋然性は低いが、債務者は高い不確実性や、事業環境、金融情勢、または経済状況の悪化に対する脆弱性を有しており、状況によっては当該金融債務を履行する能力が不十分となる可能性がある

(出所)IMF “World Economic Outlook Database” 、Bloombergより 国際戦略情報部作成

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【Ⅰ-1】基礎情報②

【人口】 701万人(2018年時点、ほほ埼玉県と同じ)【面積】 約23.7万k㎡(ほぼ日本の本州と同じ)【首都】 ビエンチャン 人口:約91万人(2018年)【言語】 ラオス語【民族】 ラオ・ルーム族62%、ラオ・トゥン族24%、ラオ・スーン族13%,

その他少数民族を含め約50の民族【宗教】 仏教【通貨】 キープ(LAK)【政治】 人民民主共和制

国家元首:ブンニャン・ヴォーラチット国家主席(ラオス人民革命党書記長)

議会:一院制【GDP】 名目:183億ドル、1人あたり:2,720ドル(2018年IMF推定値)【実質GDP成長率】 6.5% (2018年IMF)【主要産業】 農業、鉱業、電力事業

【人口】 701万人(2018年時点、ほほ埼玉県と同じ)【面積】 約23.7万k㎡(ほぼ日本の本州と同じ)【首都】 ビエンチャン 人口:約91万人(2018年)【言語】 ラオス語【民族】 ラオ・ルーム族62%、ラオ・トゥン族24%、ラオ・スーン族13%,

その他少数民族を含め約50の民族【宗教】 仏教【通貨】 キープ(LAK)【政治】 人民民主共和制

国家元首:ブンニャン・ヴォーラチット国家主席(ラオス人民革命党書記長)

議会:一院制【GDP】 名目:183億ドル、1人あたり:2,720ドル(2018年IMF推定値)【実質GDP成長率】 6.5% (2018年IMF)【主要産業】 農業、鉱業、電力事業

1893年にフランスの植民地となった後、第二次世界大戦中の日本軍占領までフランスの支配が続いた

その後1953年10月に完全独立を果たし、独立後は内戦が続いたが、1975年12月にラオス人民民主共和国が成立

国の成立後は、急速な社会主義化で激しいインフレや物不足が起こったため、1980年代中頃には市場原理主義、対外経済開放等新経済メカニズムが導入されたものの経済は一層混乱

その後、政府の経済引き締め策により西側諸国との関係改善を図り、経済援助増大により経済が安定

1893年にフランスの植民地となった後、第二次世界大戦中の日本軍占領までフランスの支配が続いた

その後1953年10月に完全独立を果たし、独立後は内戦が続いたが、1975年12月にラオス人民民主共和国が成立

国の成立後は、急速な社会主義化で激しいインフレや物不足が起こったため、1980年代中頃には市場原理主義、対外経済開放等新経済メカニズムが導入されたものの経済は一層混乱

その後、政府の経済引き締め策により西側諸国との関係改善を図り、経済援助増大により経済が安定

ラオス基礎データラオス基礎データ

(出所)JETRO、アジアアセアニア経済情報(みずほ総合研究所)、東洋経済、Standard & Poors、世界銀行、JCIF、ラオス中央銀行よりみずほ銀行国際戦略情報部作成

ラオス概況ラオス概況

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2020

2021

2022

2023

2024

名目GDP (予測値) 実質GDP成長率

シンガポール 64,041香港 48,517日本 39,307台湾 24,971マレーシア 10,942タイ 7,187インドネシア 3,871フィリピン 3,104ラオス 2,720ベトナム 2,551インド 2,036カンボジア 1,509ミャンマー 1,297

5

【Ⅰ-2】経済成長の推移

1975年以来の計画経済が行き詰まり、1986年に「新経済メカニズム」とよばれる経済改革に着手。銀行制度、税制、外国投資法の制定、国営企業の民営化等幅広い分野での措置を通じ、市場経済の導入、開放経済政策を推進

成長率は、1990年から高水準で推移しており、近年は水力発電や鉱山開発に伴う大型の直接投資が経済を牽引。ラオスの名目GDPはASEAN内で最も小さいものの、経済成長率は7%前後と高水準で推移

2017年は発電所建設や中国ラオス鉄道建設が牽引し6.9%と高い水準を維持。2018年は7月に発生したダム決壊や洪水被害の影響を受け、GDP成長率は6.5%まで鈍化

名目GDP及び実質GDP成長率推移 1人当たりGDP(2018年)*

(出所)IMF - World Economic Outlook Database April 2019 Edition、S&P HP、外務省、JETRO「国・地域別情報 基礎的経済指標2019年8月26日更新」等より みずほ銀行国際戦略情報部作成

通貨危機

ITバブル崩壊・米テロ

世界金融危機

(米ドル)

*IMFの推定値

(単位:10億米ドル)

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【Ⅰ-3】社会・経済の特徴

財政収支が恒常的に赤字。外貨準備高も輸入額の約1.1ヵ月分に留まる

ラオス政府は予算法の改正など財政健全化に取り組み、これまでの積極的な開発経済による成長から、財政再建とのバランスにより留意する姿勢を示している

国内の経済活動においては、米ドルに続いてバーツが使用されるなど、市場にバーツが浸透している

社会・経済等における特徴

(出所)各種資料より みずほ銀行国際戦略情報部作成

全人口のうち20歳未満の人口が約50%で非常に若く、きれいな人口ピラミッドになっており、労働人口(15~64歳)は2015年で410万人と全人口の約63%を占める

社会情勢や治安は基本的には安定しているが、一部地域では地方少数民族を中心とする反政府武装勢力による小規模な爆破事件や襲撃事件が起こり、政府軍との武力衝突が発生

社会

経済

政治

外交

国内での消費財の生産能力が乏しく、輸入による調達の依存度が高いことから、一貫して経常収支が赤字になる構造が続いている

近年は貿易収支および第一次所得収支をサービス収支、第二次所得収支が穴埋めしている状況

1975年に王政を廃止して以降、人民民主共和制。一党支配体制で、内政は安定 1986年にソ連のペレストロイカやベトナムのドイモイに倣った「チンタナカン・マイ(新思考)」という政治・経済改革路線が導入。特に経済面では、市場経済への移行を柱とした改革・開放政策が推進され、この基本政策は維持されている

平和5原則に基づく全方位外交 ベトナムとは「特別な友好・団結及び全面的な協力関係」と呼ばれる緊密な関係を維持。タイとは民族的に同じタイ族系であり、歴史・言語・文化・経済(バーツ経済圏)の面で深いつながりを持つ

2016年12月より中国ラオス鉄道の建設が着工しており、近時官民における中国投資が増加基調にあり

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【Ⅰ-4】貿易概況①~輸出

輸出品目は鉱物・電力が全体の約55%を占める。鉱物は金、銅、ボーキサイトなどが中心。また、ラオスの8割が山岳地帯であり、タイとの国境沿いに大きなメコン川が流れる立地条件から、水力発電が非常に盛んで、電力をタイやベトナムなどの周辺国へ輸出

主要輸出国はタイ、中国、ベトナムの3ヵ国。特に隣国のタイは最大の輸出相手国で全体の40%超を占める

品目別輸出動向 (単位:百万USD)

(出所)JCIF、ADB Key Indicators for Asia and the Pacific 2019より みずほ銀行国際戦略情報部作成

国別輸出動向(2018年)

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2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017

木製品 コーヒー 農林産品 衣類 電力 鉱物 その他

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タイ 中国 ベトナム インド 日本

ドイツ 米国 英国 オランダ カナダ

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【Ⅰ-4】貿易概況②~輸入

輸入品目は、機械・設備などの投資材および消費材が大半を占めている。工業製品のほとんどを輸入に依存しているほか、主要輸出用品である衣料品の原料も輸入に頼っている

主要輸入国はタイ、中国、ベトナムの3ヵ国。特に隣国タイは最大の輸入相手国で、2018年は約6割と圧倒的なシェアを占める

品目別輸入動向 (単位:百万USD)

(出所)JCIF、ADB Key Indicators for Asia and the Pacific 2019より みずほ銀行国際戦略情報部作成

国別輸入動向(2018年)

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2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017

投資財 消費財 衣料品材料 金・銀 電力 その他

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2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018

タイ 中国 ベトナム 韓国 日本

シンガポール ドイツ ロシア インド ベルギー

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【Ⅰ-5】産業構造

1995年の農業シェアは53.7%であったが、2018年には農林水産業シェアが17%まで縮小し、経済発展に伴い、商業など第3次産業のシェアが大きく拡大

鉱業は外資主導による鉱山開発と増産を要因とし、鉱業シェアは1995年0.2%から2018年9%と上昇

電力分野は2018年にも新たに発電所が稼動し、電力輸出が大幅に拡大、経済を牽引している

産業別GDP構成比(年比較)

(出所)JCIF、ADB Key Indicators for Asia and the Pacific 2019より みずほ銀行国際戦略情報部作成

1995年

第一次産業約54%第ニ次産業約17%第三次産業約29% 第一次産業約17%第ニ次産業約36%第三次産業約47%

2018年

農業, 53.7%

製造業, 13.4%

商業, 8.2%

運輸・通信, 5.2%

行政, 4.8%

建設業, 3.3%

金融, 1.4%

電気・ガス・

水道, 1.3%鉱業, 0.2%

その他, 8.5%

農業、漁業、林業16%

鉱業、採石業9%

製造業9%

電気、ガス、水道13%

建設業9%

卸売、小売業15%

ホテル、レストラン3%

運輸等2%

通信2% 金融、保険

3%

不動産7%

その他12%

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【Ⅰ-6】産業の特徴

鉱業、電力事業が貴重な外貨獲得手段

製造業は消費財生産と手工業が中心で、上昇傾向であるが、名目GDPの約1割を占めるに留まる

サービス分野では特に卸・小売業の成長が著しい。また、観光地としての関心が高まりつつあり、特に近時の中国・ラオス鉄道開発も追い風となり、今後は観光業の成長が期待されている

主要産業の特徴と動向

(出所)JCIF、各種報道より みずほ銀行国際戦略情報部作成

金、銀、銅、錫、亜鉛、ボーキサイト等を産出するほか、レアアースも存在すると見られている

外資主導で鉱山開発が進み、近年名目GDPの9%程度を占める

鉱業

特徴

近時動向

乱開発による環境や社会への悪影響を防止するため、2012年5月から新規の鉱物資源の調査及び探査コンセッション審査を一時停止

2016年には現行事業のうち15事業の認可が取り消され、現在は新規投資は禁止されている

農林水産業 電力事業

近年は名目GDPで2割弱と低下傾向にあるが、就業人口の約7割を占めており、依然として重要な産業の一つ

主要輸出の農作物は、コメ、コーヒー、とうもろこし、さつまいも、キャッサバ、サトウキビ

メコン川とその支流によってもたらされる豊富な水力資源を利用して生産される電力の約8割は、タイ、ベトナム、カンボジア、ミャンマーに輸出されており、貴重な外貨獲得手段となっている

ラオス北部では、コーヒー・茶、バナナなどの農業プランテーション開発や、高原地帯の気候を活かした有機野菜や果物栽培なども進んでいる

2017年5月にJICAとラオス政府は「クリーン農業開発プロジェクト」に署名。有機農産物など安全で環境負荷の少ない農産物の生産振興を目指す

2016年にはホングサー・リグナイト火力発電所が本格稼動し、電力の輸出額を大きく伸ばした

2017年には中国の水力発電開発を含む2件の大型発電所、11件の小型発電所案件がラオスの経済成長を下支えしている

一方、2018年7月に発生した南部のダム決壊により新規ダム建設は当分停止の方向

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【Ⅰ-7】直接投資動向~世界からの投資

2011年からの民間直接投資動向は、セクター別にみると発電事業が投資総額が最も多く8,349百万米ドル

国別の投資動向をみると、中国からの直接投資846件、投資総額8,958百万米ドルで1位

近年中国企業によるダム建設や、商業施設、ホテル開発といった投資が盛んに行われている

ビエンチャン日本人商工会議所は2009年11月に設立され、2018年9月時点で97社の日系企業が加盟している

セクター別民間投資動向<2011~2018年>

(出所)JETRO資料、外務省、ラオス計画投資省データより みずほ銀行国際戦略情報部作成

国別投資動向<1989~2018年>

No セクター 事業数 投資総額(USD)1 発電事業 52 8,349 2 鉱業 328 6,457 3 農業 989 3,040 4 工業・工芸 932 2,097 5 サービス 680 5,089 6 建設 150 826 7 ホテル・レストラン 430 1,065 8 銀行 32 429 9 貿易 351 325 10 医療 15 90 11 通信 19 686 12 木材 210 410 13 縫製 110 95 14 コンサルティング 172 67 15 教育 85 32

合計 4,555 29,068

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百万USD

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【Ⅰ-8】投資の魅力・留意点(課題)

タイ⇔中国、タイ⇔ベトナムを繋ぐ東西回廊、南北回廊の中継点としての発展が期待される

労働力が安価で、タイ語が通じることから、タイプラスワンとして注目

一方、国内市場及び労働人口が小規模といった課題あり

投資における魅力

(出所)みずほ銀行国際戦略情報部作成

投資における留意点(課題)

地理的優位性東西・南北回廊の中継地点として各国へのアクセスが良好

政治・治安 一党支配体制により内政が安定

労働力 労働力が安価

タイプラスワンタイ語が通じることで、タイプラスワンとしても魅力的

電力 電力が安価で供給力が高い

天然資源 金、銀やレアアースなど豊富な鉱物資源が存在

輸送コスト 内陸に位置するため、輸送コストが高い

労働力 総人口が少なく、労働人口も小規模

国内市場 総人口が少ないことで国内市場も小規模

製造業の誘致が進んでおらず、産業集積が未発展産業集積

法整備法規制の整備が進んでおらず、法規制があいまい

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Ⅰ. 基礎情報

Ⅱ. 投資関連情報

Ⅲ. 拠点設立

Ⅳ.各種規制・恩典・参考情報

Ⅴ.その他

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【Ⅱ-1】労働関連情報①~ビザ、雇用関連規制

在留許可の取得・留意点

(出所)JETRO資料より みずほ銀行国際戦略情報部作成

現地における雇用・解雇規制

ラオスで事業活動を行なう企業はラオス人の優先的雇用を推奨されているが、必要な労働力がラオス人で満たせない場合、外国人を雇用することが可能

5年以内の大規模国営事業における外国人労働者の雇用については別途個別の契約で定める

労働契約は1回につき12ヵ月間、最長5年間を超えてはならない。ただし、管理職・専門職の外国人労働者の5年以上の勤務については個別対応とする

雇用契約に基づく有期雇用は最長3年まで認められ、3年以上の場合は期限の定めのない雇用となる。契約を更新する場合には、契約終了日より60日以内に行う

一般労働者の場合は30日以内、専門技術者の場合は60日以内の試用期間が認められている。雇用者は、試用期間終了日の7日間前までに正式採用の可否を通知せねばならない。試用期間中に10日間以上の欠勤があった場合には雇用契約を無効にすることができる

在留許可

滞在許可証およびマルチプルビザ申請書類

外国人投資家および外国人労働者がラオスに在留するには、ビジネスビザ(NI-B2もしくはI-B2)あるいは労働者ビザ(LA-B2)、および滞在許可証が必要

外国人労働者の雇用数上限は、単純作業従事者の場合はラオス人従業員数の15%、専門・技術職の場合は25%

① ラオスに登記されている企業による申請書② ラオス入国時のビザ(NI-B2あるいはLA-B2)③ 投資許可証あるいはコンセッション許可証のコピー④事業許可証あるいは工場建設許可証のコピー⑤企業登録証明書のコピー⑥納税者登録証明書のコピー⑦パスポート原本と写真4枚(3cm×4cm)

NI-B2もしくはI-B2あるいはLA-B2のいずれかのビザを有し、パスポートの残存期間が6ヵ月以上ある者は、ラオス政府より設立・コンセッション契約の認可を受けた企業からの申請により、滞在許可証の発給を受けることが可能

60日以下の任務の場合、および61日以上の任務で滞在許可証あるいはIDカードを有する場合には、複数回の出入国が可能なマルチプルビザが発給される

マルチプルビザの有効期限は滞在許可証あるいはIDカードの期限に制限され、一般的な投資家および外国人労働者には3ヵ月、6ヵ月、1年のいずれかの期限のビザが発給される。ラオス政府と10年以上のコンセッション契約を有する投資家とその家族は、3~5年の長期滞在許可・マルチプルビザの発給が受けられる

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国名 日本 中国 香港 韓国 台湾 タイ シンガポール マレーシア

都市名 横浜 上海 深セン 香港 ソウル 台北 バンコク シンガポール クアラルンプール

製造業

作業員賃金(一般工職) 2,834 662 490 2,212 2,208 1,097 413 1,946 413エンジニア賃金 3,595 1,003 831 2,707 2,702 1,428 728 3,064 840マネージャー賃金 4,583 1,742 1,801 4,162 3,562 2,254 1,559 4,490 1,576

非製造業

スタッフ賃金(一般職) 2,733 1,129 989 2,389 2,501 1,419 789 2,548 890マネージャー賃金 4,483 2,328 1,814 4,219 3,833 2,377 1,755 4,468 1,983店舗スタッフ賃金(アパレル)

1,998 912 826 1,611 2,659 932 368 1,148 572

店舗スタッフ賃金(飲食) 861 581 523 1,793 1,829 683 368 1,032 450

法定最低賃金 9.13/時 353/月 321/月(2.96/時) 4.40/時 1,558/月 752/月(5/時) 9.64~10.32/日 ― 268/月(12.35/日・1.29/時)

賞与支給額(固定賞与+変動賞与)

4.45カ月分 2.00カ月分 1.63カ月分 1.76カ月分 2.93カ月分 3.19カ月分 2.84カ月分 2.19カ月分 2.01カ月分

社会保障負担率(雇用者負担)

15.005%~15.205% 37.7~40.6% 19.74~33.49%

①5%月収30,000HKD未満②1,500香港ドル月収30,000HKD以上

9.5%~32% 12.39% 5% 17% 13.45~14.95%

名目賃金上昇率2.1%

(2018年)9,7%

(2017年)11.6%

(2017年)3.5%

(2018年)

4.52%(2018年第3四半期、前

年同期比)

4.08%(2018年1~10月)

△0.05%(2017年)

3.8%(2017年)

4.88%(2018年)

国名 フィリピン インド インドネシア ベトナム カンボジア ラオス ミャンマー

都市名 マニラ ニューデリー ムンバイ ジャカルタ ハノイ ホーチミン プノンペン ビエンチャン ヤンゴン

製造業

作業員賃金(一般工職) 234 265 306 308 217 242 201 180 162エンジニア賃金 373 610 704 457 436 464 648 383 349マネージャー賃金 971 1,531 1,355 1,031 957 943 1,117 875 1,016

非製造業

スタッフ賃金(一般職) 497 668 759 442 543 568 501 446 415マネージャー賃金 1,223 1,742 1,862 1,130 1,281 1,209 1,273 1,123 1,028店舗スタッフ賃金(アパレル)

298~320 401~498 ― 232~336 ― 225~293 150~250 152 98

店舗スタッフ賃金(飲食) 298~320 343~449 173~201 213~286 ― 167~176 200~300 117 65~98

法定最低賃金 9.62~10.33/日201/月(非熟練工)222/月(準熟練工)244/月(熟練工)

121/月(非熟練工)128/月(準熟練工)135/月(熟練工)

279/月 183/月 183/月 182/月 129/月 3.13/日

賞与支給額(固定賞与+変動賞与)

1.64 カ月分 1.08 カ月分 1.32 カ月分 1.97カ月分 1.56カ月分 1.51カ月分 1.04カ月分 1.20 カ月分 1.16カ月分

社会保障負担率(雇用者負担)

8.745%+100PHP 13% 13% 10.24~11.74% 21.5%(公的保険料)3.5%(外国人労働者)

21.5%(公的保険料)3.5%(外国人労働者) 3%

6%(月額報酬450万LAK以

下)27万LAK

(月額報酬450万LAK超)

7%(60歳以下)7.5%(60歳超)

名目賃金上昇率4.88~5.26%

(2018年)9.0%

(2017年)11.5%

(2017年)8.0%

(2019年) n.a n.a n.a. n.a. n.a.

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【Ⅱ-1】労働関連情報②~労働コスト

(出所)NNA報道、JETRO資料(調査期間:2018年12月~2019年1月)より みずほ銀行国際戦略情報部作成

(単位:USD)

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【Ⅱ-2】主要工業団地・経済特区①

(出所)日本アセアンセンター、JETRO、MHCB Consulting (Thailand)資料より みずほ銀行国際戦略情報部作成

ラオス政府は企業誘致を加速すべく工業団地整備に着手。現在、ラオスSEZ国家委員会が承認したSEZは12ヵ所

SEZには、特定経済区(Specific Economic Zone)と特別経済区(Special Economic Zone)がある特定経済区 : 工業区、輸出加工区、観光都市区、免税商業区、国境経済区など特定のセクタ - に特化したSEZ特別経済区 : 複数の特定経済区の集合体で、1,000ha以上の敷地面積が必要

主要工業団地・経済特区分布

2

1

Dongphosy Specific Economic Zone (Vientiane Nelamit)(Universal Pacific Limited Lao /マレーシア100%)

Longthanh - Vientiane Specific Economic Zone(ベトナム民間企業)

Saysetha Development Zone(ラオス政府、ラオス+中国民間企業)

Thatluang Lake Specific Economic Zone(中国民間企業)

ビタ・パーク経済特区(Lao VITA Development 【ラオス商工省30%、南偉人開発有限公司 (台湾) 70%】)

サワン・セノ経済特区• サイトA (サワン・エコシティー)(Savan City

Co., Ltd (タイ+ラオス), ASEAN Union Inc. (マレーシア))

• サイトB (サワン・ジャパンSEZ)(サワン・ジャパン共同開発社【Namtha Road and Bridge Construction (ラオス) 50%、 Savan-Seno Special Economic Zone Authority (ラオス) 30%、プノンペン経済特区社 (日本) 20%】)

• サイトC (サワン・パーク)(Savan Pacifica Development【ラオス政府30%、Pacifica Streams Development (マレーシア) 70%】)

• サイトD (サワン・シティー)(Savan City Co., Ltd (タイ+ラオス))

3

ボーテン・ビューティフル・ランド特定経済区(中国民間企業)

ゴールデン・トライアングル経済特区(ラオス政府、中国民間企業)

パクセー・ジャパン日系中小企業専用経済特区(パクセー・ジャパン SME SEZ 開発株式会社)

コーンパペン経済特区(SEZ)(民間企業(中国)広東イエロー・リバー・インダストリー・グループ))

タケーク特定経済区(ラオス政府) プーキョー特定経済区(ラオス民間企業)

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【Ⅱ-2】主要工業団地・経済特区②

(出所)日本アセアンセンター、JETRO、MHCB Consulting (Thailand)資料より みずほ銀行国際戦略情報部作成

日系企業が進出しやすいのは、ビタパーク(ビエンチャン都)、サワン・セノSEZ(サワナケット県)、パクセーSEZ(チャンパサック県)

パクセーSEZは2015年に開発された日系中小企業専用の工業団地であり、日系の西松建設が開発企業として参画している

主要工業団地・経済特区分布

2

1

3

①ビエンチャン・ビタパーク工業団地

②サワン・セノ経済特区③パクセー・ジャパン中小企業専用経済特区

敷地面先 約110ha(第1フェーズ) 約954ha 約10ha(今後開発予定195ha)

運営会社 ラオス30%、台湾70%

立地

市街地から車で20分。タイとの国境(第一友好橋)から車で20分

国道9号線近くに立地(東西経済回廊及び第2ラオス - タイ友好橋の一部)

パクセー市内から車で約15分、パクセー国際空港から車で約20分、タイ国境チョンメックから車で約1時間30分

特徴

リース期間:75年 電力供給はあるが道路は未整備

リース期間75年 東西回廊とラオスを南北に走る国道13号線が交差するサワンナケート県に所在

リース期間:30年 日系中小企業専用ということで、期間は短期間、低価格で設定

主な入居日系企業

• Daiichi Denshi Lao Co., Ltd / 第一電子産業 (ワイヤーハーネス製造)

• Lao Tool Co., Ltd. / ツノダ (工具)

• MMC Electronics Lao Co., Ltd. / 三菱マテリアル (サーミスタセンサの製造販売)

• Toyota Boshoku Lao Co., Ltd. / トヨタ紡織 (自動車用シートカバーの生産)

• Logitem Laos GLKP Co., Ltd. / 日本ロジテム (国際貨物自動車運送、倉庫保管(保税)、通関)

• Nikon Lao Co., Ltd. / ニコン (タイ工場の一部工程)

• Sanko Lao Co,.Ltd. / 三幸工務店 (コンクリート製品)

• Leonka World Lao Co., Ltd. / フェザー (ウィッグ生産)

• Varitha Huaan Ando Lao Co., Ltd. / アンドウ (和装品)

• SHINDENGEN LAO CO., LTD. / 新電元工業(磁性部品)

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【Ⅱ-3】会計・税務関連情報①

一般企業の法人税率は24%。ただし、政府または経済特区の優遇制度や、コンセッション協議・交渉により軽減税率が適用されるケースもあり。国税のみで地方税はない

すべての外貨建て取引は、銀行が示す為替レートによってキープ換算する。法人税は原則1月から12月を課税年度として、四半期ごとに法人税を前納し、年度末後に確定させる。さらに年度末の後、翌年2月末までに財務諸表と利益の用途や配当金の支払いに関する株主総会議事録を税務当局に提出しなければならない

なおラオスは二国間租税条約が施行されているのは8ヵ国で、5ヵ国については署名しているものの施行が保留されている。日本とは租税条約を締結していない

主な税金の種類及び税率

(出所)JETRO、KPMG「Laos Tax Profile 2018」より みずほ銀行国際戦略情報部作成

税金 税率 備考

法人税

一般企業 24% たばこの製造・販売・輸入にかかる企業以外のすべての国内企業・外国企業には一律24%の法人税が課せられる

たばこ製造・販売・輸入企業

26% 法人税率26%のうち2%は禁煙基金に納税

個人事業主およびフリーランサー

0~24% 年間利益額に応じて0~24%の利益税が課せられる

付加価値税(VAT) 10%

ラオスでは、輸入、国内生産、国内消費される財およびサービスに対する付加価値税が導入されている

原材料、化学品、固定資産として生産活動に利用される資材、機材、機械のうちラオス国内で生産されるもの、国内で生産できないため輸入するもの、国産品が基準に満たないため輸入するものについては、付加価値税率は0%

個人所得税累進課税(0~24%)

ラオスで働く外国人は、二国間租税協定や他の関連契約で別途定められている場合を除き、ラオス国内および国外で得る給与(賞与、残業代、役職手当、謝礼、歳費、理事会報酬を含む)に対して所得税を払わなければならない

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【Ⅱ-3】会計・税務関連情報②

2016年の改正税法において、特定の支払いに対して所得税相当の源泉徴収税が課税される。非居住者への支払いを行う企業は、法人税相当の源泉徴収税に加え、付加価値税(VAT)の納付(※)について源泉徴収されるため、外国法人への支払いを行う場合は留意が必要

法人税・利益税以外に次の税制が導入されている 直接税:所得税、一括税、環境税、行政サービスに係る手数料 間接税:付加価値税、物品税

業種別みなし利益率

(出所)JETRO、KPMG「Laos Tax Profile 2018」より みずほ銀行国際戦略情報部作成

税金 税率

源泉徴収税

配当金の支払 10%

利息の支払 10%

特許権、著作権、商標権等のロイヤリティーの支払

5%

業種

支払総額に対する比率

みなし利益率 法人税(みなし利益率の24%)

製造業(農業・工業) 3% 0.72%

商業 5% 1.20%

サービス業

1.運輸・旅客業 5% 1.20%

2.建設・修理業 10% 2.00%

3. 木材売買、森林資源調査、鉱業 20% 4.80%

4. 植林の伐採、売買業 5% 1.20%5. 赤土・黒土、砂利、砂の採掘を含めた盛り土サービス業 15% 1.92%

6. 娯楽サービス 25% 6.00%

7. 法律、ビジネス、エンジニアに関するコンサル業 10% 2.40%

8. 代理店、仲介業 20% 4.80%

9.土地開発・建物販売業 20% 4.80%

その他のサービス業 10% 2.40%

源泉徴収税率

(※)VAT納税者条件 VAT法上、以下事業者は付加価値税の納税義務を負う

• 年間4億キープ以上の売り上げのある事業者物品• サービスの輸入者(輸入の目的、頻度は問わない)• ラオスで税務登録をしていない非居住者で、ラオス国内でサービスの提供を行っている者

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Ⅰ. 基礎情報

Ⅱ. 投資関連情報

Ⅲ. 拠点設立

Ⅳ.各種規制・恩典・参考情報

Ⅴ.その他

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【Ⅲ-1】進出形態①

2014年施行のラオス改正会社法により定められている会社形態は全5形態。パートナーシップ、公開会社での進出形態も規定されているが、利用例がほとんどない状況

法律上、運営組織も簡素なことから、外資企業の多くが有限会社の形態をとっている

(出所)JETRO資料より みずほ銀行国際戦略情報部作成

駐在員事務所 支店 有限責任会社パートナーシップ

公開会社

定義 外国会社の現地代表事務所 外国会社の一部であり、独立の法人格はない

株主数2名以上30人未満の会社

1人株主による「一人有限責任会社」も可能

複数パートナーと契約による企業形態

9人以上の株主による企業形態

対象事業

情報収集、実現可能性調査の実施、親会社のため国内外への連絡、覚書もしくは契約締結の監督等に制限

事業活動は不可

銀行、保険、航空会社、国際コンサルタントの4業種に限定

特段規定なし 特段規定なし

特段規定なし

税務 法人税は対象外 個人所得税、源泉徴収税については課税対象

通常、法人税24% 通常、法人税24% 通常、法人税24%

通常法人税24%

初期必要送金額

法律上に明文化されていないが、5万米ドル相当の登録資本金の送金義務が存在

2017年4月の改正投資奨励法により、最低資本金規定が削除されたが、10億キープが推奨されている

2017年4月の改正投資奨励法により、最低資本金規定が削除されたが、10億キープが推奨されている

利用実績ほとんどなし

備考

投資奨励法施行に関する首相例で定められ、計画投資省の審査により許可が与えられる

認可期間は、1年間で延長は2回のみ可能(原則3年までだが交渉により例外あり)

2017年4月の改正投資奨励法では、支店に関する規定が削除されており、支店の形態の利用可否を当局に確認を行う必要あり

企業登記後90日間以内に、農業は40%、製造業・手工業は60%、貿易・サービス業は80%の登録資本金を支払う必要あり。登記から1年以内に全資本金を支払う必要あり

一般パートナーシップ、限定パートナーシップが存在

監査役をかならず選定する必要がある

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【Ⅲ-1】進出形態②

2017年4月に施行された新投資法では、ラオスにおける投資形態として、①国内資本あるいは外国資本による単独投資、②国内資本と外国資本の合弁投資、③契約に基づく業務提携の3つの形態のみ規定されていました。今回の改正で、④国有企業と民間企業の合弁投資、⑤官民連携による投資の下記5形態を定めている

新投資法では新たに④国有企業と民間企業の合弁投資、⑤官民連携による投資の2つが追加され、今まで明確でなかったPPP(Public-Private Partnership)による投資形態を規定し、今後政府と民間企業による投資を促進する意向が伺える

さらに事業形態としては、一般事業とコンセッションを伴う事業が規定されているが、新投資法においてコンセッション事業者や期間に関する条件が改正された

(出所)JETRO資料、One Asia Lawyersレポートより みずほ銀行国際戦略情報部作成

一般事業 コンセッション事業

概要

ネガティブリスト13分野67業種(※)に規定される事業を含む一般事業分野への投資

(※) ネガティブリストは投資規制業種のリストではなく、それ以外の業種に比べて投資手続きの審査に時間がかかるというもので、外国投資自体が禁じられている訳ではない(ネガティブリスト詳細はP.30参照)

規定や内規等に基づいて、開発や事業のために政府が所有する所有権及びその他の権利を使用することを認めた投資活動

コンセッションが与えられる分野は、土地、鉱物、電力、航空、通信、保険など首相令にて定められている

要件 合弁投資においては、外国資本の出資比率が

10%以上である必要あり

コンセッション事業者に対する要件①法人であること②投資事業分野に対する十分な経験と実績を有すること

③国内外の金融機関等により資金が承認され、確保されていること④関連する法律が定めるその他条件を満たしていること コンセッション期間:50年間(旧投資法の99年間から短縮)

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【Ⅲ-2-①】拠点設立フロー(2019年2月以降)

(出所)JETRO「ラオス投資ガイドブック2019」、各種報道よりみずほ銀行国際戦略情報部作成

事業の種類 事業許可・投資許可 企業登録・事業開始の手続き

非ネガティブリスト事業不要

商工機関の企業登録官による審査のみ。裏面に事業内容が記載された企登録証の発行で 事業が開始できる

要商工機関による審査・企業登録証の発行(裏面の事業内容の記載なし)ののち、事業関係機関からの事業許可・投資許可を取得

ネガティブリスト事業コンセッション事業

事業申請がネガティブリスト事業・コンセッション事業のみの場合は投資奨励法の規定に従い、先に計画投資機関への投資許可申請を行ったのちに商工機関での企業登録を行う。非ネガティブリスト事業と混在する場合は、まず商工機関へ企業登録申請を行う

2019年2月1日より適用となった新たな企業登録手続き

(※)ネガティブリスト…国家の安定性、社会秩序、国の伝統慣習、社会および自然環境へ影響を与えるビジネス業種の中で、経済と社会の開発バランスを保証するために、関連当局による審査が必要である事業

コンセッションリスト… 政府との契約に基づき、農業、土地コンセッション、経済特区(SEZ)開発、鉱山開発、電力エネルギー開発、航空業、通信事業、官民連携事業等の開発の権利が与えられる事業

ラオス商工省は、事業開始プロセス改善の一環として、企業登録の流れを体系化。2019年1月9日付で「企業登録に関する商工大臣合意第23号」を発表。本合意は2018年5月4日付で発表された「企業登録に関する商工省大臣ガイドライン第537号」を代替し、2019年2月1日以降本合意に沿った企業登録手続きを進めることになった

従来の企業登録方法からの改善点の1つとして、ネガティブリストに該当しない事業であれば、事業許可・投資許可が必要であっても商工省のみの判断で企業登録証を発行できるようになった。従来は、事業許可・投資許可が必要な場合、先に関連省庁・地方機関から許可を取得する必要があり、それが企業登録証発行の遅延に寄与していた

また、従来では企業登録証に署名できる認可権限が管轄当局の局長に限定されていたため、当人が不在の場合には手続きが進まないといったケースもあった。これに対応し、改正法では署名者となる企業登録官を中央で4人以上、県レベルで3人以上、郡レベルで2人以上任命することとし、複数名での対応が可能となった

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【Ⅲ-2-②】ご参考/従前の拠点設立フロー

ネガティブリストに該当しない分野への投資については、ラオス商工省の企業登録管理局もしくは都・県商工局窓口にて申請を行う

ネガティブリストに該当する分野への投資や、駐在員事務所、支店やコンセッションを伴う事業の申請手続、経済特区内への申請手続は計画投資省での申請が必要となる

2019年2月1日より、ガイドラインとなる「企業登録に関する合意」が施行され、会社登録時の審査項目の削減と禁止事項が規定ことにより、会社登録手続の簡素化・明確化が図られた

しかし、実務面で運用が徹底されないケースなどが少なくないため、会社設立の際は事前の確認が重要

(出所)JETRO資料、One Asia Lawyers資料より みずほ銀行国際戦略情報部作成

非ネガティブリスト事業の会社設立フロー

1 商工省企業登録管理局あるいは都・県商工局に必要書類を提出

2 申請から10営業日以内に企業登録証(ERC)が発行される(※) 企業登録証発行後、企業は直ちに事業活動を始めることができる。また、90日以内に事業活動を始めなければならない

3 ERC発行後、商工省は7営業日以内に公安省へ社印作成許可を出す。公安省は45営業日以内に社印を作成する

4 ERCを持って所管の税務署より納税者登録を行い、納税者登録番号の発給を受ける 併せて企業登録証に記載されている登録資本金をラオスの商業銀行口座に送金し、10営業日以内にラオス銀行から資本金支払証明書の発給を受ける

5 改正投資奨励法第9条で定める奨励業種に該当する場合は、企業登録後、計画投資省投資ワンストップサービス室に対して投資奨励証発行を申請できる(同法第38条)

必要書類

(a)企業登録申請書 (b)事業計画書 (c)合弁契約書(株主が2人以上の場合) (d)定款草案 (e)過去3年間の財務状況証明書(f) 投資家の職務経歴書 (g)投資家の身分証明書(ラオス人の場合)あるいはパスポート(外国人の場合)のコピー (h)投資家の写真6部

(※)ERCに許可事業内容が記載。対象事業の記載が無い場合は90日以内に事業許可証または投資許可証取得申請が必要

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【Ⅲ-3】現地費用

(出所)JETRO HP(調査実施時期:2018年12月~2019年1月)より みずほ銀行国際戦略情報部作成

オフィス賃料・駐在員用住居・公共料金等の目安費用

項目 目安賃料 備考

事務所賃料(1㎡当たり、月額)

・17米ドル(Vieng Vang Tower / シーサタナーク郡)

VAT・管理費・水道代込 電気代・インターネット利用料別

市内中心部店舗スペース/ショールーム

賃料(1㎡当たり、月額)

・50米ドル(ワールドトレードセンター/市内中心地)

不動産収入税・VAT込 電気・水道代別

駐在員用住宅借上料(月額)

・2,155米ドル(サービスアパートメント/シコタボン郡)

76.5㎡ VAT、水道・電気代(上限あり)込

一般用電気料金・月額基本料: -・1kWh当たり料金:0.04~0.13米ドル

使用量によって異なる VAT込

一般用水道料金・月額基本料:0.42米ドル・1m3当たり料金:0.17~0.36米ドル

1m3当たり料金はメーターサイズによって異なる。口径は15mmの場合

使用量によって異なる VAT別

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Ⅰ. 基礎情報

Ⅱ. 投資関連情報

Ⅲ. 拠点設立

Ⅳ.各種規制・恩典・参考情報

Ⅴ.その他

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【Ⅳ-1】外資規制①

2012年9月11日付「事業ネガティブリスト承認に関する首相令第107号」で13分野67業種が定められていたが、2019年1月10日付で「ラオスのネガティブ事業リストとコンセッション事業リストの承認に関する首相令第3号」が提出され、14分野44業種と対象業種数が削減された

禁止業種

(出所)JETRO資料等より みずほ銀行国際戦略情報部作成

規制業種(ネガティブリスト)/2019年2月以降

規制分野 業種

1 農林・漁業 植林、畜産、河川での漁業等5業種

2 鉱物採掘と加工 探査、鉱物支援サービス等2業種

3 加工業 石油製品の生産、医薬品生産等4業種

4 水道、排水、処理 危険な廃棄物収集、処理・処分等3業種

5 商品輸送、倉庫 空路による乗客、商品輸送等4業種

6 レストラン、ホテル 1業種

7 情報、通信 印刷出版所、メディアの設立等2業種

8 金融、保険金融・銀行サービス業、株式市場サービス等4業種

9 職業訓練、科学技術 司法、会計・監査、動物検疫等4業種

10 支援サービス、管理 職業斡旋等1業種

11 治安維持と監査 警備会社等1業種

12 教育 就学前教育、職業訓練等6業種

13 人の健康事業、社会事業 民間病院、治療等2業種

14 芸術、エンターテインメント、リフレッシュ

発明、芸術、総合観光開発等5業種

1. 危険化学物質を扱う事業

2. 放射性鉱物を扱う事業

3. 産業用爆発物を除く武器・戦車を扱う事業

4. アヘン、ケシ、大麻、コカインおよび派生物を扱う事業

5. 紙幣、造幣インク、造幣機器、通貨偽造機器を扱う事業

6. その他関連法に基づき禁止されること

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【Ⅳ-1】外資規制②

(出所)JETRO資料等より みずほ銀行国際戦略情報部作成

ラオスでは、伝統事業や大規模資本・先進技術を要しない事業で、ラオス人の雇用創出や生計向上に貢献する14分野36業種を、ラオス国籍者のみに保全される事業として定めている(ラオス国籍者へ保全される事業リストに関する商工大臣令第1328号(2015年7月13日付))

ラオス人投資家のみ投資可能な業種例

1. 農林漁業:生薬の採集

2. 加工:機織り、刺繍、小規模な木工・彫刻・カゴ編み、陶器の製造、等

3. 電気、ガス、蒸気、空気の供給:15MW以下の水力発電事業

4. 建設:建物内の電気工事、水道管・エアコンの設置

5. 修理:40億キープ以下の自動車・バイクの修理

6. 輸送、倉庫:陸上乗客輸送

7. レストラン、宿泊:3つ星未満のゲストハウス、リゾート、ホテル

8. 情報ネットワーク:新聞・雑誌の印刷、歌詞の印刷・録音、コミュニティラジオ局・コミュニティテレビ局の設立、等

9. 金融、保険:非貯蓄型マイクロクレジット、融資組合、等

10. 職業訓練、科学技術:歴史・自然・文化に関する調査、設計、建設、ラオス語翻訳、等

11. サービス支援・管理:職業斡旋、建物のクリーニング、等

12. 教育:技術職業訓練教育(5カ年計画で奨励される項目は除く)、外国人向けラオス語教育

13. 医療、社会:民間の診療所

14. その他:靴・皮の修理、洗濯・ドライクリーニング、散髪・美容、葬儀、等

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【Ⅳ-1】外資規制③

さらに条件付き投資認可分野として下記11分野については、総資本金や出資条件等により外国企業の出資比率に上限を定めている(外国投資家向け規制事業分野リストに関する通達第1327号(2015年7月13日付))

その他の業種については、各省レベルで規定される条件等もあるため、都度担当省庁への確認が必要

(出所)JETRO資料等より みずほ銀行国際戦略情報部作成

条件付き外国投資分野

分野 登録資本金 出資比率

1 卸売・小売業 40億キープ以下 不可

40~100億キープ 51%

100~200億キープ 70%

200億キープ以上 100%

2 運輸業

メータータクシー 50億キープ以上 100%

諸品輸送(国内) 30億キープ以上 100%

商品輸送(越境) 50億キープ以上 49%

倉庫サービス 10億キープ以上 49%

国内輸送サービス 50億キープ以上 49%

国外輸送サービス 100億キープ以上 49%

国内・国外商品配送サービス 30億キープ以上 49%

3 建設業

道路・鉄道建設(道路橋梁建設)

10~2,400億キープ 49%

2,400億キープ以上 100%

整地、埋め立て(1)小規模、(2)大規模

(1)80~400億キープ(2)400億キープ以上

49%

建設資材の組み立て(1)小規模、(2)大規模

(1)80~400億キープ(2)400億キープ以上

49%

内装・外装(1)小規模、(2)大規模

(1)80~400億キープ(2)400億キープ以上

49%

分野 登録資本金 出資比率

4 金融

商業銀行 3,000億キープ以上 100%

銀行支店 1,000億キープ以上 100%

預金型マイクロ金融 30億キープ以上 100%

5 加工業

コーヒー加工 10億キープ以上 20%

治療薬製造のための化学薬品製造および植物由来薬品製造

10億キープ以上 49%

6 ホテル事業(三ツ星以上) 3,000億キープ以上 100%

7 修理業(自動車修理施設の設立) 15億キープ以上 100%

8 エンジニアリング

建築とエンジニアリング活動と関連する技術的コンサルティング(FS調査、設計調査、内装外装、建設コンサルティング、エンジニアリング)(1)小規模、(2)大規模

(1)40~80億キープ(2)80億キープ以上

49%

自動車検査センターの設立 10億キープ以上 100%

9 教育

自動車教習所 80億キープ以上 49%

重機教習所 150億キープ以上 100%

10 医療事業 10億キープ以上 49%

11 大型商業施設建設

ショッピングセンター、百貨店 1,600億キープ以上、 100%

800~1,600億キープ 70%

80~800億キープ、 51%

80億キープ以下 不可

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【Ⅳ-2】投資誘致

2017年4月に改正投資奨励法が施行され、重点的に投資優遇を与える業種を明確に規定

優遇措置を付与する条件として、最低投資額12億キープ、もしくはラオス人技術者30人以上、もしくはラオス人労働者50人以上を雇用する必要

改正法は、旧法と同様に、対象事業には法人税や国土の借地料(コンセッション費)の免除を与える。また、輸出を目的とした生産に関わる原料、資本財、部品の輸入関税および付加価値税(VAT)や、輸出のための国内原料(天然資源を除く)の購入時のVATを、関連当局に認可されたマスターリストに基づき免除することが規定

投資奨励業種

(出所)JETRO資料より みずほ銀行国際戦略情報部作成

1 研究開発(R&D)、省エネ・環境親和技術を使用する事業

2 クリーン農業、工芸作物栽培・林業、貧困解決事業

3 環境にやさしい農産品加工事業

4 環境にやさしく持続的な観光事業

5 教育・スポーツ事業

6 病院、製薬事業

7 公共インフラ開発、運輸サービス事業

8 マイクロクレジット事業

9 ショッピングセンター

地域免除期間 投資奨励業種 2、

3、5、6の追加優遇法人税 コンセッション費

第1地域(貧困地域、遠隔地、社会経済インフラ未開発地域)

10年間 10年間 免除期間5年追加

第2地域 (社会経済インフラ整備が進む地域)

4年間 5年間 免除期間3年追加

第3地域 (特別経済区) 各特別経済区により別途規定

地域別の法人税及びコンセッション費の免除期間と追加優遇

対象取引 免税措置

国内で調達・生産できない機器や、生産に直接使用される重機等の車両の輸入

機器、車両の輸入に際する関税および付加価値税免除

輸出向け加工生産品に使用する原料、機器、部品の輸入

輸入時に関税徴収せず、輸出時に関税を免除

輸入時の付加価値税は免除

輸出用の完成品や半完成品の製造に利用される天然資源ではない国内原料の使用

付加価値税免除

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【Ⅳ-3】会社法関連①

会社に関する法令としては、2014年施行の会社法で規定されており、国内企業と外国企業に同等に適用

(出所)JETRO資料より みずほ銀行国際戦略情報部作成

項目 内容

株式

2,000キープ以下の額面での発行は不可。現金もしくは現物での出資が可能 株式の引受人は、会社設立前に現金による出資の場合には、引受総額の70%以上を振込必要があり、現物出資の場合には100%を出資する必要(ただし、実務上は、企業登録及び税務登録が完了しなければ、法人口座が開設出来ないため、資本金の振込は会社設立後しか行えない)

会社設立後30日以内に株券の発行に加えて、株主名簿を作成する必要あり 通常株と優先株を発行することが可能。また、定款や会社法に定められた制限内において、株券の引渡しをもって、譲渡可能

増資・減資

増資は、特別総会での承認を経て実施可能。なお、中央銀行から増資証明を取得する必要あり 減資については、以下の要件を満たす必要あり①減資後の1株あたり価格が2,000キープ以下にならないこと②減資後の資本金が登録資本金の2分の1以上であること③法令が定める資本金規制の金額を下回らないこと④株主総会の特別決議にて承認を得ていること⑤会社に対する債権者の異議がないこと

配当 株主総会で承認を経た上で、特段定めがなければ出資比率に応じて分配。ただし、前年度からの累積損失がある場合は配当不可。規定に反して配当を行い、債権者が損害を被った場合、配当から1年以内に限って、債権者は株主に対し、配当金を払い戻すよう請求可能

資本準備金 年間の純利益の10%を資本準備金として処理しなければならない。資本準備金が、登録資本金の50%に達したときには、資本準備金への充当を停止可能

法定準備金のほか、株主総会決議により別途積立金を設置することが可能

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【Ⅳ-3】会社法関連②

(出所)JETRO資料より みずほ銀行国際戦略情報部作成

項目 内容

会社機関

株主:2人以上の株主(30人まで)(一人会社の場合を除く) 取締役:非公開会社は1人以上、公開会社は9人以上 取締役会:必要的設置機関(別途の定めがある場合または1人会社の場合を除く) 監査役:非公開会社は任意的設置機関(総資産500億キープ以下のみ)、公開会社は必要的設置機関

株主総会

定時株主総会:会社にとっての最高機関であり、定時株主総会は年1回開催する必要あり 臨時株主総会:①取締役の過半数が株主総会開催に賛成した場合、②株主の訴えに基づいて、裁判所から株主総会の開催命令が出された場合、③払い込み済み株式の20%以上を保有する株主(ら)による要求があった場合のいずれかにより、いつでも召集可能

決議

株主総会の定足数、決議要件や手続き等は定款に定める必要があるが、定款に記載がない場合は、会社法の条項が適用される。会社法上、普通決議の株主総会の定足数は、払込済総株式の半分以上を保有する2人以上の株主の出席

1株1議決権の原則のもと、株主総会に出席する株主の議決権の、過半数の賛成が得られれば、普通議決は有効となる 特別の議案については、払込済株式の80%以上を保有する株主が出席する株主総会において、株主総会に出席した株主または代理人の議決権の3分の2以上の賛成を要求する特別決議が必要

取締役 国籍要件や居住要件等の制限に関する規定がなく、外国人または非居住者であっても取締役を務めることが可能 取締役の任期は2年間であり、再任可能。非公開会社の場合1人以上選任する必要あり

取締役会 2人以上の取締役がいる会社は、取締役会を設置することが可能。また、総資産500億キープ以上の公開会社は、取締役会の設置及び監査役最低1人の任命義務あり

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【Ⅳ-4】為替管理制度

2014年12月に公布された外貨管理法にて外国為替管理制度について定められている。同法によるとラオス中央銀行が提案して政府が承認した場合を除いて、ラオス国内での財及びサービスの取引、債務支払などに外国通貨を用いることを禁じており、会計資料等も現地通貨で記載する必要あり

実態としては、特にラオス都市部にて、現地通貨の他に米ドル、バーツ、人民元が流通している

(出所)JETRO資料より みずほ銀行国際戦略情報部作成

貿易取引

ラオス国内での支払は、全てキープにて実施する必要あり。ただし、輸入財の購入への支払や輸出入にかかわるサービス業務への支払など、一部外資での決済が認められており、法律上、以下に該当する場合は外貨での取引が認められている

① 輸入財に対する支払② 輸送、保険、倉庫保管の費用など財の輸出入に直接関わるサービスへの支払③ ラオス政府、あるいはラオス政府が許可した機関に承認された協定に準拠する対外債務の返済④ ラオス政府、あるいはラオス政府が認可した機関による承認に基づく外国への援助⑤ ラオス外国投資奨励管理法に規定される、外国投資家による利益、配当、資本、利子、サービス費用、帰国した外国人労働者の賃金の本国あるいは第三国への送金

⑥ ラオス政府が認可した外国への投資金の送金⑦ 外国への留学、観光、訪問、治療⑧ ラオス中央銀行の規則に準拠するその他の目的

貿易外取引

輸送、保険、倉庫保管の費用など財の輸出入に直接関わるサービスへの外貨による支払が認められている 技術援助契約に基づく、海外本社等ラオス国外の企業へのロイヤルティー支払にも外貨の利用が認められている

資本取引

対内直接投資:外国投資家は、ライセンスに記載された通貨の種類・金額の登録資本を、ラオスの商業銀行口座に送金する必要があり、複数にわたって資本を輸入を行う場合は、都度ラオス中央銀行に申告しなければならない。ラオス中央銀行は、銀行取引明細書あるいは、資産の場合は税関での申告伝票をもって、資本金証明書を発行。輸入した資本は直接投資事業に関係する活動に使われる必要あり

対外直接投資:ラオス人で国外での直接・間接投資を希望する場合は関係機関の認可が必要。その認可を受けて、ラオス中央銀行が外国への資本金の送金を許可

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【Ⅳ-5】貿易制度

貿易に関する管轄官庁は、商工省外国貿易政策局、商工省輸出入局であるが、物品により関連省庁からの事前承認を受ける必要あり

輸出入禁止品目は、2011年5月25日付商工省公告で定められており、安全保障、社会秩序、公衆道徳、人/動物/植物などの生命体、国宝あるいは天然資源、またはラオスが加盟している条約に定められた商品

輸出入許可が必要な品目については、2012年1月13日付工商業省輸出入局公告に定められており、申請書、納税証明書、会社設立証明書、輸出入を必要とする旨を記した書類などをラオス政府(商工業省および商工省地方事務所)に提出し、許可を受ける必要あり

輸入品及び輸出品には、原則として5~40%の関税が課される 輸入取引の場合においては、一部を除き10%の付加価値税の納付が必要。また、特定の商品には物品税が課されるため、輸入通関の際に申告、納付が必要

輸入関連規制・ライセンス

(出所)JETROより みずほ銀行国際戦略情報部作成

輸出関連規制・ライセンス

輸出入禁止品に関する通達第973号により6品目(有害化学物質、兵器、アヘン/芥子(ケシ)の種子/マリファナ等、破壊的漁業道具、猥褻物/メディア、紙幣用紙/インク/プリンター及び貨幣製造機など)の輸入が禁止

自動・非自動輸入許可が必要な品目に関する通達第76号で定められる12品目については、商工省より輸入許可の取得が必要

国連安全保障理事会決議に基づく経済制裁対象地域・禁輸措置対象地域のみ輸入規制地域の対象となっている

2013年のWTO加盟に伴い、衛生植物検疫(SPS)措置および貿易の技術的障害(TBT)措置を実施。また、ほとんどの輸入品に対して輸入許可証・技術証明書の取得が必要となっており、医薬品、化粧品、加工食品については製品登録も義務付けられている

輸出入禁止品に関する通達第973号により2品目(仏像/天使像/神事品を含む考古学的な物品/50年以上の歴史的文化的価値を持つ国家遺産、バット・グアノ)の輸出が禁じられている

木製品の輸出については、2016年5月より輸出規則の厳格化が進められており、丸太および半加工木製品の輸出の禁止ならびに加工木製品12品目の輸出が禁止

自動・非自動輸出許可が必要な品目に関する通達第76号で定められる5品目については、商工省より輸出許可の取得が必要

国連安全保障理事会決議に基づく経済制裁対象地域・禁輸措置対象地域のみ輸出規制地域の対象となっている

特別特恵受益国として一部例外品を除く全ての鉱工業品・農産品に対して、無税無枠の優遇措置を受けることが可能。適用を受けるには、発給日より1年以内の特恵用原産地証明書を税関に提出する必要あり

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【Ⅳ-6】通貨規制

(出所)JETRO資料より みずほ銀行国際戦略情報部作成

項目 内容

決済通貨 ラオス国内での物品サービスの売買、債務の支払い、給与の支払、納税は、キープにて実施しなければならない 物品やサービスの価格表示は、政府による認可を受けた場合を除きすべてキープ建でなければならない

決済手段(輸出/輸入)

信用状(L/C)をはじめ、基本的な決済手段はすべて利用可能

送金規制、外貨の持込・持出

法律上、ラオス人・外国人ともに外貨の送金金額に上限はない 外貨の持込についても制限はないが、1億キープ相当を超える場合には税関に申告する必要あり

両替 外国為替の購入は、商業銀行もしくはラオス銀行に認可を受けた外国為替両替所において行うことが可能

証券投資 ラオスでの居住者・非居住者ともに証券取引が可能。外国人(非居住者)が証券を売買するためには証券取引委員会が発行する投資家登録証明書の取得が必要

預金勘定取引 ラオス居住者:ラオスの商業銀行において外貨建の預金口座の開設、利用、利子の受取が可能。ラオス人は、ラオス銀行の認可を受けて規定されている目的のために国外に銀行口座を開設し、利用することが可能

非居住者 :ラオスの商業銀行において外貨建の預金口座の開設、利用、利子の受け取りが可能。また、外国為替を販売して得たキープを利用してキープ建の預金口座の開設も可能

利子、配当、利益など対外送金

投資奨励法に規定される外国投資家による利益、配当、初期投資、利子、サービス費用、帰国した外国人労働者の賃金の本国あるいは第三国への送金が認められている

管理フロート制を導入しており、主要通貨に対して年率上下5%以内の変動となるよう管理 ラオス国内での支払は、すべて現地通貨キープにて実施しなければならない

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【Ⅳ-7】資金調達・資金運用

(出所)JETRO資料、JBIC資料より みずほ銀行国際戦略情報部作成

企業の資金調達に関する規制はほとんど存在しない

対外借入及び貸出についての金額・融資期間・通貨に関して特に規定はなく、個別の借入契約に基づく。借入及び貸出の際は、以下の必要書類をラオス中央銀行・金融政策局外国為替管理課へ提出して認可を受ける必要があり対外借入の際の必要書類:①対外借入申請書、②概要事業計画書、③借入金利用計画書・借入金返済計画書、

④借入契約書のドラフトあるいは借入人と貸出人のつながりを証明するもの、

⑤対外借入の株主総会決議書、⑥事業ライセンスおよび納税ライセンス

対外貸出の際の必要種類:①対外貸出申請書、②外部監査済みの貸借対照表および財務諸表、③貸出契約書のドラフト、④貸出元の理事会決議あるいは株式総会決議、

⑤貸出先の国の信頼できる銀行から発出された返済保証

未許可で対外借入・貸出を行った場合、借入額の0.1%の罰金が科せられる

資金調達

【親子ローン】 親子ローンに関する規制はほとんどなく、一般的に利用されている 借入に際しては、ラオス中央銀行の許可を得る必要があり、ローン契約書、送金許可証等を提示しなければならない

親子ローンにおいては、利息の送金の際に10%の課税

【銀行借入】

地場銀行ないしは外資系銀行からの現地通貨建借入、外貨通貨建(バーツと米ドル)借入が可能

地場企業によるラオス国内での資金調達は増えてきたが、外国企業の資金調達については、担保など条件のハードルが高く、海外調達が一般的

借入に際しては、ラオス中央銀行の許可を得る必要があり、ローン契約書、送金許可証等を提示しなければならない

資金運用

利益、配当、資本金、利子等を母国あるいは第三国に送金することは認められており、外貨の送金に上限はない。送金に必要な種類は以下の通り①送金申請書②預金銀行の銀行口座証明書③ラオス中央銀行が発行した資本金送金証明書④ラオス中央銀行が発行した借入許可書(借入金及び利息の送金の場合)⑤配当に関する取締役会あるいは株主総会決議(配当の場合)

【配当金】 ラオスより日本へ配当する場合は、10%の源泉税

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【Ⅳ-8】不動産関連規制

ラオスでは国内の土地はすべて国家が所有しており、ラオスの個人や法人は、国家より土地利用権やリース・コンセッション締結権を得ることで土地を保有している

外国人および外国企業が永久的な土地利用権を持つことは認められておらず、ラオス政府やラオス国民からリース、もしくはコンセッションの供与による土地の使用権のみを保有することができる

なお登録資本金が50万ドル以上の外国投資家については、政府から期限付きで土地利用権を最大800平方メートルまで購入することが認められている(投資奨励法第58条)

(出所)海外建設・不動産市場データベースより みずほ銀行国際戦略情報部作成

外国企業による土地保有期間

保有手段 保有期間 期間延長

国有地のリース・コンセッション 最長50年まで 事業の種類、規模、条件に応じて期間決定政府の認可のもと延長が可能

ラオス国民から外国企業へのリース 最長30年まで 政府の認可のもと延長が可能

経済特区内の土地のリース 最長75年まで

国民議会の認可のもと延長が可能1万ヘクタール以上の土地のリースおよびコンセッションの取得は別途、国民議会の承認が必要となる(投資奨励法第65条)

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2018年7月

日通が2支店開設、東南ア9カ国目

• 日本通運は6月29日、現地法人の南アジア・オセアニア日本通運(本社・シンガポール)が、ラオスの首都ビエンチャンと南部サワンナケート県にそれぞれ支店を開設し、7月2日から営業を開始すると発表した。

• 海外引っ越しや商業貨物輸送の手配、立ち合い、品質管理など、物流コンサルタント業務を展開。将来は現地法人化も検討する。

• ラオスは近年、在タイ日系企業の生産分業拠点「タイ・プラスワン」で、ミャンマー、カンボジアとともに注目されている。大メコン圏(GMS)の中心に位置していることもあり、日通は今後の物流需要の高まりが期待できると判断した。

• ラオスに支店を開設することで、日通は東南アジア諸国連合(AESAN)10カ国で、ブルネイを除くすべての国に拠点を持つことになった。

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(出所)NNA等の各種報道、各社HPより みずほ銀行国際戦略情報部作成

2019年2月

HOYAがラオスに新工場を建設

• HOYAはラオスの首都ビエンチャン郊外のサイセター総合開発区に新工場を建設

• 工場の敷地は約20ha、投資額は約300億円• 生産能力が限界に近づいているベトナム工場とのリスク分散を図る(ベトナムプラスワン)

• 2020年前半に稼動を開始し、2021年6月にフル稼働とする予定• 従業員は約3,000人より開始し、フル稼働時は約4,000人となる見込み

• ラオスを選んだ理由として、ラオスは周辺国に比べて割安な電気代と豊富な水がある点と、タイからのアクセスが良好である利点があげれている

当社アジア拠点網(当社HPより抜粋)

【Ⅳ-9】近時トピックス①

2019年8月

坂東電線がサワンナケートに工場開設

• 電線を製造販売する坂東電線(埼玉県朝霞市)は、ラオス中南部サワンナケート県のサワン・セノ経済特区(SEZ)に産業・家電機器用ケーブルの製造工場を開設し、7月から生産を始めた

• サワンナケートの生産工場は床面積3,100平方メートル。既存の台湾系企業の敷地・建屋を間借りし、7月1日に生産を開始した。当面の目標は、年間売上高600万米ドル。丸型多芯ケーブルを生産し、東南アジア各国に輸出する

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【Ⅳ-9】近時トピックス②

(出所):各種報道、Vientiane Timesより みずほ銀行国際戦略情報部作成

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【概要】

区間 :中国/雲南省昆明~ラオス/ビエンチャン

距離 :427km 費用 :約60億ドル

(中国:約42億ドル、ラオス約18億ドル) 工期 :2016-2021年(5年間60ヵ月)予定 進捗 :弟1期工事45%(2019年3月時点) 設計時速:時速120km/ha(貨物)、160km/h(乗客)、 駅数 :33駅

(列車交換用21駅、乗客用11駅、貨物用1駅)

・ラオス区間は、雲南省と接するラオス国境のボーテンからムアンサイ、ルアンプラバン、バンビエンを経由して首都ビエンチャンに至り、タイとの国境にあるメコン川まで全長427キロメートルを建設する・区間全体の60%以上が、橋梁またはトンネルとなる見通し

中国政府は現代版シルクロード「一帯一路」構想において、アジアを横断する経済ハイウェイの開発として、中国南西部の昆明から、シンガポールまで約3,000キロを結ぶ高速鉄道の建設を計画

ASEANへの最初の入り口として、昆明からラオスの首都ビエンチャンまでをつなぐ「中国ラオス鉄道」が建設されている

2021年12月の完工を目指している。将来はタイ、マレーシア、シンガポールに接続することを見込んでいる

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(出所)NNA等の各種報道等よりみずほ銀行国際戦略情報部作成

【Ⅳ-9】近時トピックス③

ラオスで初となる民法典が成立。同法典は、ラオス政府と国際協力機構(JICA)の協同により策定され、2019年2月に成立を記念とした式典を開催。今後、2020年にも施行される見通し

同法典では、9編、630条分から構成されており、9編の内容は(1)総則、(2)人および法人、(3)家族、(4)物・所有・その他・物に関する権利、(5)契約債務、(6)契約外債務、(7)担保、(8)相続、(9)最終条項の構成といなっている。ラオスではこれまで契約や財産、相続に関する法令が別々に作成されており、内容の重複や欠如している点も多く、法令間で矛盾が生じていた

今回の民法典策定及び施行に伴い、従来よりも権利保障が明確になることが期待

日本支援の民法典、成立記念式典を開催(2019/2)

• ラオス政府と国際協力機構(JICA)は19日、首都ビエンチャンで民法典の成立を記念した式典を開催。民法典は日本が起草を支援した法律で、個人の権利保護などを通じ、市場経済への移行に向けた下地ができることが期待

• 式典にはサイシー・サンティボン法相のほか、最高人民裁判所や政府の関係者など約300人が出席。日本側からは慶應義塾大学大学院の松尾弘教授をはじめ、民法典の起草に関わった大学教授や、引原毅駐ラオス大使など約30人が出席

• 日本のラオスに対する法整備支援は、JICAの技術協力として1998年に開始され、民事・刑事法分野を中心に、法律人材の育成や法律運用能力の向上を目指して実施してきた

• 民法典についてはJICAが2012年から支援し、18年12月に成立。社会主義体制のラオスにとって、私有財産や個人間の契約などを規定する民法の整備で、市場主義経済への移行に向けて下地ができる。周知期間後、20年にも施行される見通し

民法典成立を祝う式典の様子

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(出所)JETRO「ラオス投資ガイドブック2019」の各種報道等よりみずほ銀行国際戦略情報部作成

【Ⅳ-9】近時トピックス④

2019年1月9日付企業登録に関する合意(No.0023/MOIC.ERA)および投資奨励法 (2016年)に基づき、2月1日よりネガティブ事業リスト(以下、ネガティブリスト)内の事業は、計画投資省管轄のワンストップサービス(以下、ワンストップサービス)で企業登録申請をすることが規定された

政府は2019年1月10日、「ネガティブ事業およびコンセッション事業リストの承認に関する首相令(No03/PM)」を発布し、約6年半ぶりに同リストを改正

ネガティブリストには、14分野44業種が定められており、これまでは13分野67業種であったが、鉱業・採石分野、警備・捜査分野が追加され、卸・小売り分野(ガソリン、金属、鉱物の販売)が削除された

また、これまで職業斡旋(あっせん)業は「ラオス国籍者のみに保全される事業」に分類されており、外資の参入は認められていなかったが、今回ネガティブリストの中で、職業斡旋事業はサービス業に含まれる業種として規定。これにより、ラオス国内の投資家との合弁事業という条件付きではあるが、外国人の事業への参入が認められるようになった

ネガティブ事業リスト

No 分野 No 分野 No 分野

1 農林業 7 情報、通信 13 人の健康事業、社会事業

2 鉱物採掘と加工 8 金融、保険 14 芸術、エンターテインメント

3 加工業 9 職業訓練、科学技術

4 水道、排水、処理 10 支援サービス、管理

5 商品輸送と倉庫 11 治安維持と監視

6 レストラン、ホテル業 12 教育

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Ⅰ. 基礎情報

Ⅱ. 投資関連情報

Ⅲ. 拠点設立

Ⅳ.各種規制・恩典・参考情報

Ⅴ.その他

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所在地98 Sathorn Square Office Tower 32nd - 35th floor, North Sathorn Road, Silom, Bangrak, Bangkok 10500, Thailand

代表電話 66-2-163-2999, 2-002-0222

営業日 月曜日~金曜日

業務内容

預金・貸出業務 輸出入信用状の発行・接受・確認 貿易手形の引受・取引 送金・為替予約・保証

バンコック支店Mizuho Bank, Ltd. Bangkok Branch

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【Ⅴ-1】みずほ銀行 タイ拠点のご案内

(注)ラオスについては、バンコック支店がカバーしている

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みずほ銀行は、2012年12月13日に、ラオスの最大手銀行Banque Pour Le Commerce Exterieur Lao Public(以下BCEL)と業務協力協定を締結

業務協力協定により、日系企業をはじめとしたラオスへの進出企業、進出を検討する企業への現地情報提供及び進出後のサポ-ト体制の充実を図る

業務協力協定を通じて、お客さまにラオスにおける地場決済サ-ビス等の商業銀行業務や、現地パ-トナ-のご紹介といったアドバイザリ-サ-ビス等を提供

【Ⅴ-2】業務提携~BCEL銀行

(出所)BCEL銀行HPより、みずほ銀行国際戦略情報部作成

ラオスで最大級のネットワ-クを持つ国営銀行(国が70%出資)、資産規模もラオス金融機関で最大

ラオス全土をカバ-する店舗ネットワ-ク(19支店、75サービスユニット 他)

250以上の自行ATMブ-スを保有するほか、他行と提携済でATMの相互利用可能

ラオス株式市場上場9社のうち1社 ラオス中央銀行の国際部門が設立母体で、ラオスで外為業務に強み

子会社にBCEL-クルンタイ証券(70%出資)を持ち、4社の合弁会社も保有

多くの現地日系企業が取引あり

BCELについて

本社所在地No01, Pangkham Street,BanXiengnheun, Chanthabouly District, Vientiane Lao PDR

代表電話 (85621) 213200

FAX (85621) 213202

WEBサイト http://www.boel.com.la/en/

SWIFTコード COEBLALA

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