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外国人住民 情報収集方法 行政 などの 外国人住民 に向けた 情報発信 に関する 調査報告書 発行者 青年海外協力隊山口県OB会 発行日 2019 年 3 月

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外国人住民の情報収集方法や

行政などの外国人住民に向けた

情報発信に関する調査報告書

発行者 青年海外協力隊山口県OB会

発行日 2019年 3月

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目 次

全体を通して 2ページ

外国人住民を取り巻く現状 3ページ

外国人住民向けアンケート結果 8ページ

行政向けアンケート結果 13ページ

団体向けアンケート結果 20ページ

県内で活動する団体等へのヒヤリング報告 27ページ

アンケート様式 32ページ

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全体を通して

今回、山口県内全域を対象として、外国人住民の情報収集方法や、行政や国際活動団体など

の外国人住民に向けた情報発信に関するアンケート・団体ヒヤリングを行うことによって、県全体

の状況を俯瞰して捉えることができた。

それぞれで外国人住民に向けて様々な取り組みが行われているが、抱えている課題には共通

するものがあった。

まず、外国人住民が散在している地域が多いため、対象となる外国人住民の把握が十分にで

きない、限られた対象にしかアプローチできてないという状況、行政側では提供するサービスが多

岐にわたるため個別の対応に苦慮する、団体側では支える人材や資金の確保といった課題があ

る。その一方で、その解決に向けた取り組みについても、多くの示唆をいただくことができた。

取り組みや支援メニューなどの相互共有

行政では、ゴミ収集に関するもの、防災に関するものなど、情報の多言語化が進んでいる国際

活動団体では、各種の行政手続きや、学校からのお知らせが理解できるようにサポートするなど

の取り組みを行っている団体がある。また、国・県、各種団体でも多言語パンフレットやハンドブッ

ク等を作成が進んでいる。

それらの取り組みや支援メニューを有効につなげ、相互に活用することによって、外国人住民

に対して、様々な情報が提供できるようになると考える。また、生活場面に合わせた情報を要約し

たもの(例:転入時に必要になる情報の一覧)や、外国人住民にとって必要な情報が 1か所でア

クセスできるような取り組みを進めることができると、より外国人住民にとって活用しや

すい情報発信になるのではないかと考える。

多くの人を巻き込む仕組みづくり

国際活動団体のヒヤリングなどを通して、外国籍の子どもなどへの支援の必要性が出てきてい

たりと、活動内容が広がってきていることが把握されたが、それらはほとんどがボランティアに頼っ

た活動になっている。

そして、外国人住民のアンケートを見ると、情報源が「人から聞く」、また SNSなど人が担ってい

る部分が多く、各団体で活動する人達は、外国人住民へ情報をつなぐ要と言える。

外国人住民を支える人を増やしていくためには、英語ができないと関われないと思っている関

心層に向けて、英語能力は関係なく関われることがあるという啓発や、活動の情報を発信しなが

ら共感者を増やすことなどが必要である。

そして、人を巻き込む仕組みづくりは、多文化共生に取り組む各団体の実践事例の中から、必

要な要素を整理し、その仕組みを動かしていく人材を育成していく必要があると考える。

これらの取り組みが進むことによって、外国人住民にとっても安全で生活しやすい地域となるよ

う、今後も当団体もその一助となれるよう活動を続けていきたい。

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外国人住民を取り巻く現状

全国の外国人住民数の推移

全国的に見ると、外国人住民

の数は 2012年以降年々増加し

ていっており、特に 2014年以

降は年間 10~20万人のペース

で増加している。

都道府県別に見ると、山口県

の外国人住民数は 26位であり、

その比率は全国平均(1.45%)

を下回っている。

都道府県別外国人住民数とその比率

順位 都道府県 外国人

住民数 比率

順位 都道府県

外国人

住民数 比率

総数 2,561,848 2.02% 14 三重 49,178 2.73%

1 東京 537,502 3.92% 15 広島 49,068 1.73%

2 愛知 242,978 3.23% 16 栃木 39,896 2.04%

3 大阪 228,474 2.59% 17 長野 34,142 1.64%

4 神奈川 204,487 2.23% 18 北海道 32,408 0.61%

5 埼玉 167,245 2.29% 19 滋賀 27,375 1.94%

6 千葉 146,318 2.34% 20 岡山 25,944 1.36%

7 兵庫 105,613 1.92% 21 宮城 20,405 0.88%

8 静岡 85,998 2.34% 22 富山 16,948 1.60%

9 福岡 72,039 1.41% 23 新潟 15,859 0.70%

10 茨城 63,491 2.20% 24 沖縄 15,847 1.10%

11 京都 57,639 2.22% 25 山梨 15,636 1.90%

12 群馬 55,137 2.81% 26 山口 15,566 1.13%

13 岐阜 51,029 2.54% 全国平均 1.45%

出典:法務省 在留外国人統計(2017年 12月)

総務省統計局 人口推計(平成 29年 10月 1日現在)を元に算定

170

180

190

200

210

220

230

240

250

260

270

(万人) 在留外国人数の推移(総数)

出典:法務省 報道資料 平成29年末現在における在留外国人数に

ついて(確定値)

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山口県の外国人住民数の推移

県内の外国人住民数の推移

を見てみると、全国的に年間

10~20万人のペースで増加す

るようになった 2014年から同

様に増加傾向となっている。

山口県の国籍別外国人住民数

国籍別に見ると、韓国・朝鮮

(38.6%)が最も多く、次いで中国

(18.6%)、ベトナム(17.3%)、フィ

リピン(10.5%)、アメリカ(2.5%)と

なっている

10,000

11,000

12,000

13,000

14,000

15,000

16,000

(人) 県内在留外国人数

出典:やまぐち国際化ハンドブック 2017

-

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

(人) 国籍・地域別 在留外国人数(2017年12月)

出典:法務省 在留外国人統計(2017年 12月)

韓国・朝鮮38.6% 中国

18.6%

ベトナム

17.3%

フィリピン

10.5% 米国

2.5%

インドネシア

2.3% ネパール

2.1%

その他

8.1%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

国籍・地域別 在留外国人の割合(2017年12月)

出典:法務省 在留外国人統計(2017年 12月)

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山口県の在留資格別外国人住民数

在留資格別に見ると、特

別永住者が最も多く、次いで

技能実習、永住者、留学、日

本人等の配偶者となってい

る。

また、主な国籍別に見ると、

韓国は特別永住者が最も多

く、中国・ベトナムは技能実

習、フィリピンは永住者が最

も多くなっている。

山口県内の主な国籍別の在留資格

-

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

特別永住者

技能実習

永住者

留学

日本人の

配偶者等

家族滞在

技術・人文知識・

国際業務

定住者

特定活動

技能

その他

(人) 在留資格別 在留外国人(2017年12月)

出典:法務省 在留外国人統計(2017年 12月)

特別永住

者, 89.0%

永住者,

5.4%

留学, 3.1%

日本人の

配偶者等,

0.8%

技術・人文知

識・国際業

務, 0.5%

その他,

1.2% 韓国

技能実習,

34.4%

永住者,

29.7%

留学,

15.2%

家族滞在,

5.8%

技術・人文

知識・国際

業務, 3.7%

日本人の

配偶者等,

3.7%

その他,

7.5%

中国

技能実習,

71.8%

留学, 20.8%

家族滞在,

2.4%

技術・人文知

識・国際業務,

2.3%

日本人の

配偶者等,

0.8%

その他, 1.9% ベトナム

永住者,

42.4%

技能実習,

33.3%

日本人の

配偶者等,

9.0%

定住者, 7.5%

技術・人文

知識・国際

業務, 2.4%

その他, 5.4% フィリピン

出典:法務省 在留外国人統計(2017年 12月)

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在留資格とは 外国人が日本に在留することについて、法が定める一定の資格。外国人はその資格をも

って日本に在留するものとされ、在留することのできる期間、在留中に行なうことができ

る活動が在留資格ごとに法定されている。

主な在留資格

永住者 法務大臣が永住を認める者 日本人の

配偶者

日本人の配偶者若しくは特別養子又は

日本人の子として出生した者

定住者

法務大臣が特別な理由を考慮し一定

の在留期間を指定して居住を認める

者 例:日系3世、中国残留邦人等

技術・人

文知識・

国際業務

理学、工学などに属する技術など、又は

外国の文化に基盤を有する思考若しく

は感受性を必要とする業務に従事する

活動

技能

産業上の特殊な分野に属する熟練し

た技能を要する業務に従事する活動

例:外国料理の調理師、スポーツ指

導者等

特定

活動

法務大臣が個々の外国人について特

に指定する活動

例:ワーキングホリデー、経済連携協定

に基づく外国人看護師等

技能

実習

技能実習法上の認定を受けた技能

実習計画に基づいて講習を受け、及

び技能等に係る業務に従事する活動

留学 大学、高等専門学校などにおいて教育

を受ける活動

特別

永住者

「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法」

により定められた在留資格。第 2 次世界大戦終戦前から引き続き居住している在日韓国人・

朝鮮人・台湾人およびその子孫

出典:入国管理局 在留資格一覧表より一部抜粋

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自治体別外国人住民数とその比率 自治体別に外国人住民数を見てみると、下関市が 3,370人(2015年)と最も多く、次いで宇部市

1,605人(2015年)、岩国市 1,299人(2015年)となっている。また、比率で見てみると、下関市、和

木町が 1.3%(2015年)と最も高く、次いで長門市 1.0%(2015年)となっている。

そして、2010年→2015年の増減率で見てみると、萩市が 122.3%と最も増加率が高く、次いで

田布施町 121.6%、阿武町 111.5%となっている。

市町名

2010年 2015年 2010年→2015年の 増減率

外国人 住民数

比率 外国人 住民数

比率

下関市 3,734 1.30% 3,370 1.30% 90.3%

宇部市 1,727 1.00% 1,605 0.90% 92.9%

岩国市 1,468 1.00% 1,299 0.90% 88.5%

周南市 1,125 0.80% 1,074 0.70% 95.5%

山口市 978 0.50% 1,010 0.50% 103.3%

防府市 713 0.60% 775 0.70% 108.7%

山陽小野田市 577 0.90% 504 0.80% 87.3%

萩市 292 0.50% 357 0.70% 122.3%

長門市 410 1.10% 350 1.00% 85.4%

下松市 332 0.60% 340 0.60% 102.4%

光市 305 0.60% 270 0.50% 88.5%

美祢市 206 0.70% 164 0.60% 79.6%

柳井市 116 0.30% 115 0.30% 99.1%

玖珂郡和木町 90 1.40% 80 1.30% 88.9%

大島郡周防大島町 67 0.40% 72 0.40% 107.5%

熊毛郡平生町 84 0.60% 50 0.40% 59.5%

熊毛郡田布施町 37 0.20% 45 0.30% 121.6%

阿武郡阿武町 26 0.70% 29 0.80% 111.5%

熊毛郡上関町 5 0.20% 3 0.10% 60.0%

出典:国勢調査(2010 年、2015 年)をもとに算出

外国人を取り巻く現状を通して

全国的な外国人住民数の増加と、同じ傾向が山口県でも起こっていることから、今後も外国人

住民数の増加が予想される。特別永住者を除くと、在留資格では技能実習が 4割、国籍では中国、

ベトナム、フィリピンが 7割を占めていると思われる。

自治体別の人口に占める割合でみると、全国平均(2017年 1.45%)を超える自治体はないが、

下関市、和木町、長門市で 1.0%を超えており、市の規模などに比例しないことがわかった。

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外国人住民向けアンケート結果

概 要 実施期間 2019年 1月 20日~2月 10日(22日間)

実施方法 8言語(英語、中国語、ベトナム語、韓国語、ポルトガル語、タイ語、ネパール語、やさ

しい日本語)で作成した google フォームを使ったインターネット上でのアンケート

回 答 数 59人(うち山口県内在住者の回答数 47人)

アンケート結果 問1.あなたのことを教えて下さい。 国籍別にみるとベトナムが 10人(21%)と最も多く、次いで中国 9人(19%)、フィリピン 6人

(13%)であり、山口県の人口が多い国籍と同じ傾向であった。特別永住者が多い韓国の回答は

なかった。

居住地は防府市 22人(47%)と最も多く、次いで山口市 9人(19%)、下関市 8人(17%)となっ

ている。

国 籍

人 %

ベトナム 10 22%

中国 9 19%

フィリピン 6 13%

インドネシア 5 11%

カナダ 4 9%

タイ 2 4%

アメリカ 2 4%

ネパール 2 4%

イギリス 2 4%

その他 5 10%

合計 47 100%

在留資格は技能実習が 14人(30%)と最も多く、次いで技能など 11人(23%)、配偶者 5人

(11%)であった。

年代は 20代が 23人(49%)と最も多く、次いで 30代 14人(30%)、40代(11%)となっている。

居住地

人 %

防府市 22 47%

山口市 9 19%

下関市 8 17%

山陽小野田市 3 7%

宇部市 1 2%

周南市 1 2%

美祢市 1 2%

市町不明 2 4%

合計 47 100%

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在留資格

人 %

技能実習 14 30%

技能など 11 23%

配偶者 5 11%

永住者 5 11%

留学 4 8%

定住者 1 2%

不明 7 15%

合計 47 100%

性別は男女が半々となっている。

日本の滞在期間は 1~3年未満が 13人(28%)、次いで 3~5年 9人(19%)、5年以上 9人

(19%)となっている。

性 別

人 %

男 23 49%

女 24 51%

合計 47 100%

日本語のレベルとして、今回は日本語能力試験の認定のレベルを参考とした。

「N5」が 11人(23%)と最も多く、次いで「わからない」11人(23%)、「N4」10人(21%)となってお

り、約 8割は簡単な日本語を理解できる状態であった。

日本語のレベル

人 %

N1 4 9%

N2 4 9%

N3 7 15%

N4 10 21%

N5 11 23%

わからない 11 23%

合計 47 100%

年 代

人 %

20代 23 49%

30代 14 30%

40代 5 11%

50代 3 6%

60代 1 2%

70代以上 1 2%

合計 47 100%

日本の滞在期間

人 %

1 年未満 8 17%

1~3年未満 13 28%

3~5年未満 9 19%

5 年以上 9 19%

不明 8 17%

合計 47 100%

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日本語能力試験

日本語能力試験は、公益

財団法人日本国際教育支援

協会と独立行政法人国際交

流基金が主催の、日本語を

母語としない人を対象に日本

語能力を認定する検定試験。

認定の目安は右表の通り。

出典:日本語能力試験 webサイト https://www.jlpt.jp/

問2.よく使う連絡方法はなんですか?(複数回答可)

最もよく使う連絡方法は「facebook/messenger」となってお

り、47人中 39人が使っている。

次いで「メール」「Line」となっている。「QQ・We chat」を使って

いるのは中国の人のみで、中国 9人全員が使っている。

問3.市役所・町役場の情報をどうやって知りますか?(複数回答可)

市役所・町役場の情報を知る方法は、「人から聞く」が最も

多く 27人、次いで「市広報・町広報」15人、「ちらし」12人、

「facebook」11人となっている。

「人から聞く」と回答した場合、誰から聞いているのか聞い

たところ、友達(9人)、会社の人(5人)、夫(2人)、その他(4

人)、無記入(7人)となっていた。

その他の内容としては、情報を知らない(2人)、日本語教

室(1名)、無記入(3人)となっていた。

レベル 認定の目安

N1 幅広い場面で使われる日本語を理解することができる

N2 日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より幅広

い場面で使われる日本語をある程度理解することができる

N3 日常的な場面で使われる日本語をある程度理解すること

ができる

N4 基本的な日本語を理解することができる

N5 基本的な日本語をある程度理解することができる

項目 人

facebook/messenger 39

Line 23

QQ・We chat 11

メール 26

電話 14

その他 3

項目 人

HP 5

facebook 11

メール 5

市広報・町広報 15

人から聞く 27

ちらし 12

その他 6

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問4.学校や会社以外で、近くに住む日本人との交流はありますか? 「あいさつをする」が 19人(40%)と最も多く、次いで

「世間話をする」9人(19%)、「困ったことを相談する」

9人(8%)であった。

「交流はない」は 8人(17%)であった。

「交流がない」と回答した人を在留資格別に見てみ

ると、最も多いのは「技能など」で 4名(50%)であった。

今回のアンケート回答者の中で最も多い「技能実習」

は、1名しかいなかった。

問5.2018年7月に大雨が降った時に、危ない地区に住んでいる人は逃げてください

という連絡が市役所・町役場からありました。それを知っていましたか?

「知っていた」と回答した人は 26人(55%)で「知ら

なかった」を上回った。

「知っていた」と答えた場合、どうやって知りましたか?(複数回答可)

「知っていた」と回答した26人にどうやって知ったか

を訊いたところ、「人から聞く」が 10人と最も多く、次い

で「HP」6人となっていた。

「HP」「知人の facebook」「市役所・町役場の

facebook」「メール」といったインターネットを介した方

法は合計 17人となっていた。

「人から聞く」と回答した 10人に、誰から聞いたの

か訊いたところ、会社の人(5人)、友達(2人)、夫(1

人)、その他(1人)、無記入(1人)となっていた。

項目 人 %

あいさつをする 19 41%

世間話をする 9 19%

困ったことを相談する 9 19%

交流はない 8 17%

その他 2 4%

合計 47 100%

項目 人 %

知っていた 26 55%

知らなかった 21 45%

合計 47 100%

項目 人

HP 6

知人の facebook 4

市役所・町役場の facebook 2

メール 5

市広報・町広報 5

人から聞く 10

ちらし 0

その他 3

技能な

ど, 4

留学, 1

永住者,

1

技能実

習, 1

不明, 1

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「知らなかった」と答えた場合、なぜ情報を得ることができなかったかを教えてください。

(複数回答可)

「知らなかった」と回答した

21人に、なぜ情報を得ること

ができなかったかと訊いたと

ころ、「その他」が 7人と最も

多かった。

また、7人は無記入だった

ため、回答しにくい設問だっ

たと思われる。

「その他」と回答した7人の

うち、5人は 2018年 7月時点

には日本にいなかったという

回答だった。

問6.地域の情報を得るときの要望があれば教えて下さい。(自由記載) ※一部のみ掲載

タイ語での情報が欲しい Lineからの情報希望(タイ 配偶者 滞在期間 1年)

英語での情報がほしい(インドネシア 留学 滞在期間 3年)

携帯電話への情報も含めて、緊急情報を英語で配信する必要がある(ペルー 留学 11か月)

英語のサポート(カナダ 技能など 滞在期間 2年)

日本語と英語の市の Facebookページがいい(カナダ 技能など 滞在期間 6か月)

SMSでの発信がいい(中国 技能など 滞在期間 1年)

ローカルな情報は探したことはない。それは重要ではないと思う(アメリカ 技能など 滞在期

間 2年)

外国人住民向けアンケートを通して

よく使う連絡方法は facebook/messengerや QQ・We chatなどの SNSであり、外国人住民と

接点をもつためには、これらの方法を活用するのが有効である。

また、市役所や町役場の情報、避難情報を得ていたのは、「人から聞く」というが方法が最も

多くなっていたことから、キーパーソンを介して情報を発信するという手法が有効である。

回答者の 8割程度が、学校や仕事以外で近くに住む日本人となんらかの接点を持っていると

いうことが分かり、外国人住民への接点をもつ日本人へ必要な情報提供などを進めることで、サ

ポートしてもらえる存在になってもらいたいと考える。

項目 人

HPを見ていなかった 1

スマートフォンから警報音がしたが、文字を読めなかった 1

知人からメールがこなかった 0

TV を見ていない/ラジオを聞いていない 2

TVで見たが意味が分からなかった 1

ラジオを聞いたが、意味が分からなかった 0

野外のスピーカーから音がしたが、意味が分からなかった 0

市役所からの情報が得られなかった 1

近所の人が教えてくれなかった 0

学校や会社のスタッフが教えてくれなかった 0

身近な友達が教えてくれなかった 1

その他 7

無記入 7

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行政向けアンケート結果

概 要 実施方法 19市町担当課へアンケートを郵送にて配布し、回収

回 答 数 19自治体

アンケート結果 問1.外国人住民を対象とした情報の多言語化についての対応状況

(1) 多言語化した情報について

どのような情報を自治体が多言語化しているかを調査した。19自治体のうち、「ごみ収集

カレンダー・ごみ分別ガイド等」は 9自治体(47%)で多言語化されている。

「防災ガイドブック」については 5つの自治体(26%)で、山口県が作成した英語・中国

語・韓国語・タガログ語・ベトナム語・やさしい日本語に翻訳したものを希望者に配布あ

るいは、窓口に備え置いている。

また、周南市では「外国人のための生活ガイドブック」を英語・中国語・韓国語・日本語版を作成

している。日本語版はふりがなをふったりや、平易な表現等を使ったりしていないが、新生活を開

始する者にとって煩雑な手続きや連絡先等の一覧があることは大変助けになる。

防府市でも外国人住民向けの資料を「やさしい日本語編」に作成中である。また、長門市では、

平成 31年度、一般財団法人自治体国際化協会 多文化共生のまちづくり促進事業を活用して、

多言語ハンドブックを作成する予定にしている。

0 2 4 6 8 10

観光HP

ビュースポット

国保案内チラシ

広報誌(月2回発行)

イベント情報等Facebook

Web版生活ガイドブック

自治会加入促進リーフレット

予防接種の説明書

図書館利用案内・ガイド

封筒

マイナンバーカード・通知カードのパンフ

「日本の国民年金制度」チラシ

Web版ハザードマップ(避難場所情報)

人権相談ハンドブック

生活ガイドブック

住宅用火災報知器のパンフレット

観光パンフレット

母子健康手帳

自治体のホームページ

防災ガイドブック

ごみ収集カレンダー・ごみ分別ガイドなど

(自治体数)

多言語化している情報

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(2)自治体別多言語化した情報数について 19自治体のうち、情報の多言語化に取り組んでいな

い自治体は全体の 11%となった。また 5つ以上の情報

を多言語化している自治体は、国・県、各種団体が作

成した多言語パンフレットやハンドブック等を有効に活

用していた。こうした連携による結び付きが強くなれば、

自治体自らが作成する情報量を軽減できる。

問2.情報発信の他に、外国人住民に向けた取り組みを行っているか 平成 31年度、長門市は外国人住民と接触する機会がある部署にタブレットを配布する予定が

あり、ユニークな対応である。

取り組み内容 自治体数

(1)行政窓口業務の改善 12

職員の配置 2

協力隊 OBの職員 1

行政協力員の配置 1

翻訳アプリを使用し対応 1

対応例文を使用 1

住基異動に係る英字質問表 1

大学を通じた留学生への保険証の交付 1

市民相談業務・消費相談業務 1

ボランティア通訳翻訳登録育成 1

外国人雇用(H31年度予定) 1

(2)外国人住民の日本語能力向上に関するもの 7

地域の日本語教室への補助金または共催 7

(3)防災に関するもの 3

在住外国人のための防災教室の開催 2

外国人向け防災ハンドブックの設置 1

(4)国際交流推進に関するもの 3

国際交流サロン・国際交流フェスタの実施 1

国際交流推進補助制度 1

国際交流推進事業費に関する旅費等補助金交付要綱(海外プロモーション) 1

整備した 情報数

自治体数 %

0 2 11%

1 6 31%

2 5 26%

3 3 16%

5 2 11%

12 1 5%

合計 19 100%

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取り組み内容 自治体数

(5)奨学金や助成金を支給するもの 2

留学生住居費助成制度 1

奨学金貸付等制度 1

(6)観光に関するもの 2

やまぐちトラベルサポート「やまぐちコールセンター」の活用 1

山口市留学生インバウンド観光大使 1

(7)教育に関するもの 1

小中学校における個別支援 1

(8)その他 1

タブレット配布(H31 年度予定)

総合窓口課、子育て支援課、学校教育課、企画政策課、健康増進課、外国

人児童、生徒の在籍する小学校、中学校

1

問3.行政の情報について、外国人住民から問い合わせがあった際に、どのような対

応をしたか?(自由記載) ※一部抜粋

外国人住民からの問い合わせは非常に少ないが、話すスピードやわかりやすい言葉を使う

よう心がけている。

日本語と簡単な英語を交えて説明するよう努めているが、意思疎通が図れず困ることも多

い。

市報の英語ページを紹介した。

外国語を話すことのできる職員が対応。

行政協力員による対応。

日本語が通じない場合は、日本語がわかる代理人に電話連絡していただいて代理人の通訳

を通して説明する、又は日本語がわかる方と一緒に来庁してほしい旨お願いする。

消費生活相談においては、国民生活センターで開設している「訪日観光客消費者ホットライ

ン」があり、有事の時には連絡するよう斡旋する見込みである(利用実績は今のところなし)。

交通災害共済加入について問い合わせがあった。就労ビザを取得し働いている外国人につ

いては「在留カード」を持っていれば、在留カード記載の住所地で加入できることを回答した。

奨学金貸付等制度について、できるだけ分りやすい日本語で、資料を示しながら説明した。

問合せ用件を確認し、該当課へ案内している。

都度、柔軟に対応。

学校で、転入等あった場合は、日本語の習熟状況や文化の違い(異文化への配慮)など学

校に指導助言を行うなど教育委員会と学校が情報を共有し、個々の状況にあわせた対応を

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行っている。転入前の問い合わせに対しては、参考となるデータの提供や日本語のサポート

について、県や市の国際交流協会の活動を紹介するなどしている。

外国語を話せる職員が対応をしている自治体もあるが、「話すスピードやわかりやすい言葉を

使うよう心がけている」「できるだけ分りやすい日本語で、資料を示しながら説明」「日本語と簡単

な英語を交えて説明」とあるように、対応をする職員の真摯な姿勢が見受けられた。

外国人住民からの相談や問い合わせ内容を理解して、関連部署と結び付け、そこで分かりや

すく説明するという手順の中で、外国人住民の立場になって親身に答える職員の姿勢も問われそ

うだ。また、外国人住民の要請に、その都度柔軟に対応していく必要性も出ていることが分かる。

問4.情報発信の際に、やさしい日本語で作成しているか?

本調査では「やさしい日本語」と銘打って情報発信

をしている自治体は防府市のみだった。平成 30年度

末には、『防府にお住まいの外国人のために「やさし

い日本語編」』が完成する予定である。

一方で、岩国市では月 2回発行される市広報紙を英

語と日本語の併記で作成し、ホームページに掲載して

いる。ここで使われる日本語は、「やさしい日本語」

までとはいかないがひらがなのみで、外国人住民に配

慮がある分かりやすい文章となっている。

自治体ではないが公益財団法人 山口県国際交流協会が「やさしい日本語」による情報発

信を進めている。「外国人患者とのコミュニケーション支援ブック~外国人の患者さんが来

られたら~」を作成し、医療関係者向けにやさしい日本語によるコミュニケーションを推奨

している。

外国人に理解しやすい平易な日本語による情報の発信が、「やさしい日本語」の利用と結

び付き多くの自治体に広がることが期待される。

やさしい日本語とは

普通の日本語よりも簡単で、外国人にも分かりやすい日本語のこと。

子どもや障害を持った方にも分かりやすく伝えることが出来る。阪神・淡路大震災をき

っかけに、日本語が十分に理解できない外国人に必要な情報を「迅速」「正確」「簡潔」に

伝えるために生まれた。

作成して

いる,

5%

作成して

いな

い,95%

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問5.外国人住民への情報発信に関して、今後の課題があれば教えてください。(自由

記載)

多文化共生については、本市では対応が遅れた分野である。今後、様々な場面を想定

した対策を検討する必要がある。

ゴミ収集情報のような日々の生活に直結する情報や、緊急時に必要となる防災情報に

ついて、町として多言語化の対応ができていない点が課題。

他の自治体に比べ、市の施策として外国人住民に対しては多くの情報を発信して行っ

ていない点。

情報発信の際、作成するチラシなどにおいて"やさしい日本語"を使えていない点が課

題だと思う。誰もが理解しやすいように、今後、活用できるようにしたい。

外国人住民が増える中で、その言語も多岐に渡っており、それらに対応できる仕組み

作り(機械等の整備)が必要となっている。

外国人コミュニティがなく分散しておりあるいは把握できておらず、周知が行き渡ら

ないため、有効な周知方法を模索している。

窓口対応や配布資料のやさしい日本語化、職員の意識改革。

外国人住民がどのような方法で入手しているのかなど、外国人ニーズ等の現状把握。

災害時の多言語での情報提供。

個々の状況が違うので、統一的な情報発信ができない。学校現場では、外国人に対し

選任の人的配置が現在はなく、教員だけで個々の状況にあわせた対応をすることの難

しさはある。

妊娠・出産・子育てに関する情報発信や外国人住民からの相談対応をする際に、十分

コミュニケーションが取れないため、個人情報を保護する公的な立場の通訳が欲しい。

また、親子が日本語や日本の慣習を理解していないため、幼稚園や保育園等の集団生

活に入らずに就学を迎えることがある。就学後、子どもの学習面のサポートが必要に

なる等の課題が見られるようになっている。

①外国人に対して住基異動等に伴う諸手続きを案内できる多言語化したパンフレット

が必要。②納税証明書等、行政から発送する文書の、特に封筒を多言語化する工夫が

必要。わからないため捨てると聞いている。③言葉が通じない、通訳も連れてこられ

ない外国人に、通訳のサービス(電話等)を提供する。

窓口で外国人住民の対応を行うのに、外国語で対応が可能な職員の配置。

子どもの利用者が多いため、できるだけわかりやすい説明等に努めているが、外国語

に精通している職員がほとんどおらず、多言語による対応に苦慮している。

制度や専門用語の難しさから日本人でも理解が難しい内容を外国人に伝える事はかな

りハードルが高い。

緊急時の対応や、避難所での暮らしの対応。

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外国人住民への情報発信について今後の課題をみると、各自治体によって課題の内容は

ばらつきがある。既に、多くの外国人住民について行政サービスを提供してきた自治体に

ついては、各部署で課題も明確になってきていると推察された。

一方で、地域に分散している外国人住民を把握すること、外国人住民がどのように情報

を入手しているのか現状の把握が困難な自治体も見受けられ、その対策を講じかねている

といえる。

しかし、発信する情報や窓口方法などの改善の必要性を感じている自治体があり、その

方策については全国的な先進事例を参考にするなど自治体向けの情報が必要となる。

参考情報

自治体のホームページの多言語対応状況

各自治体からのアンケート調査の回答を参考に、ホームページの多言語化の状況を確認

調査した。(調査日 2019年 3月 7日)

自治体ホームページにはトップペ

ージの上部に「Foreign Language」

タブがあり、それを選択すると自動翻

訳の案内になり、翻訳された言語の情

報を確認ができる自治体が多い。

上関町においては各言語(6 カ国)

の国旗タブから、その言語のホームペ

ージになる。13自治体で、英語・中国

語(繁体・簡体)・韓国語に翻訳する機能

を持っているが、更に、ドイツ語、フランス語の情報を提供していることは特徴的である。

下松市では、自動翻訳機能があるが、その説明が「Information for foreign nationals」

というバナーをクリックしてから自動翻訳の説明になる。外国人が生活を始めるにあたっ

ての情報を1か所にまとめてあるので、便利な情報と言える。バナーからリンクする情報

の中には、一般社団法人 自治体国際化協会発行の「多言語生活情報」もあり、一般的な

日本での暮らしの情報があるので、参考になる。

先にふれた周南市の「外国人のための生活ガイドブック」はホームページから各言語で

ダウンロードができるので、便利である。

多言語化の状況 自治体数 %

英語・中国語(繁体・簡体)・

韓国語に自動翻訳 13 68%

英語に自動翻訳 1 5%

英語・中国語(繁体・簡体)・

韓国語・ドイツ語・フランス語 1 5%

対応なし 4 22%

19 100%

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行政向けアンケートを通して

自治体から発信される情報はとても多いので、多くの自治体が行っている自動翻訳の仕

組みが適当ではないかと思われる。しかしながら、外国人住民の国籍の多様化もあり、日

本語情報を基に英語・中国語・韓語に翻訳されるだけでは不十分となりつつあり、「やさし

い日本語」や平易な日本語での情報発信の早期整備を期待したい。

自治体は、ゴミ収集に関するもの、防災に関するものは情報の多言語化が進んでおり、

ガイドブックなど紙媒体の配布も進んでいる。外国人住民にとっての個別の情報を入手す

るだけではなく、転入時から必要になる情報の一覧が得られるガイドブックのようなもの

があると助けになる。

また、外国人住民はホームページ上で情報を入手している者も多く、自動翻訳による多

言語化される自治体が増加することを期待したい。同様に、外国人住民にとって必要な情

報が 1か所でアクセスできるような配慮も必要である。

更に各自治体では外国人住民に対する情報の多言語化のみならず、外国人住民とのコミ

ュニケーションを課題としている自治体もある。日頃から、(公財)山口県国際交流協会や、

多文化共生推進に関する各種団体、地域の市民グループなどとの情報交換や連携を図るこ

とで解決の糸口をつかめる。さらには、外国人住民の立場になって親身に応える姿勢があ

れば、言葉の壁を乗り越えられることも多いと考えられる。

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団体向けアンケート結果

概 要

実施方法 公益財団法人 山口県国際交流協会に登録されている山口県内の国際活動団体

情報を基に、105団体にアンケートを郵送にて配布し、回収

回 答 数 43団体

問1. あなたの団体の活動状況を教えて下さい?

1)団体の属性 回答した団体は任意団体が 36(84%)と多く、次い

でその他の法人 4(9%)、NPO法人 2(5%)となってい

る。その他の法人の内訳は、一般社団法人 3、大学 1と

なっている。

2)事業内容(複数回答可) 本調査の回答および山口県国際交流協会

に登録されている事業内容を基に作成した。

事業内容を整理してみると、在住外国人

との交流は 27団体と一番多く 63%の団体が

実施している。次いで、日本・海外文化講

座と海外派遣・受入が多くなっており。多

文化共生と海外品物品販売などは 2団体

(5%)と少ない。

団体種類 回答数 %

任意団体 36 84%

NPO法人 2 5%

その他の法人 4 9%

その他 1 2%

合計 43 100%

事業内容 回答数 割合(%)※

在住外国人との交流 27 63%

在外外国人との交流 7 16%

多文化共生 2 5%

通訳・翻訳協力 6 14%

ホームステイ協力 9 21%

外国人相談・支援 10 23%

外国語・日本語講座 9 21%

日本・海外文化講座 14 33%

海外派遣・受入 14 33%

国際協力 10 23%

海外物品販売 2 5%

その他 18 42%

※回答した 43団体のうち各事業を行う割合

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事業内容の分類参考(山口県国際交流協会 http://yiea.or.jp/katsudou/search.html)

在住外国人との交流 留学生・在住外国人と交流するイベントやプログラムがある団体

在外外国人との交流 海外在住の外国人と交流するイベントやプログラムがある団体

多文化共生 在住外国人支援等、多文化共生に関する取組を実施している団体

通訳・翻訳協力 外国語の通訳や翻訳に協力できる団体

ホームステイ交流 外国人のホームステイ受入やホームビジットに協力できる団体

外国人相談・支援 留学生・在住外国人のための生活相談やバザー・チャリティー等の支援

をしている団体

外国語・日本語講座 外国語講座や外国人のための日本語講座等を開催している団体

日本・海外文化講座 異文化理解、料理講座や外国人のための日本文化講座等を開催して

いる団体

海外派遣・受入 海外との交流(派遣・受入)を行っている団体

国際協 海外への物資・資金援助や技術協力等をしている団体

海外物品販売 フェアトレードまたは海外の物品販売を行っている団体

その他 その他の国際交流・国際協力を行っている団体

3)活動頻度

年間の活動回数を見ると、日本語教室(6団体)と英会話教室(1団体)を運営している団体は毎

週活動をしている。次に、年 6回(2カ月に 1回)、12回(毎月1回)の活動を実施している団体が

多い。

0

1

2

3

4

5

6

7

8

回数/年

活動頻度

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4)会員

回答数 33団体。会員数が 21~40人が多かっ

た。会員数が 100人に満たない団体は約 8割と

なっている。

会員数※ 団体数

0~20 7

21~40 8

41~60 2

61~80 7

81~100 1

101~150 3

151~200 2

201~300 2

301~400 0

401~500 1

合計 33

※団体企業も含む

問2. 事業を行う上で、主に対象としている外国人住民の方の属性を教えて下さい。

1) 国籍(複数回答)

回答数 22団体。中国、ベトナム、アメリカが多かった。

国籍 団体数

中国 8

ベトナム 6

アメリカ 4

韓国 3

インドネシア 3

ブラジル 3

カンボジア 2

ペルー 2

台湾、アルゼンチン、メキシコ、ドイツ、ネパール、ラオス、フランス、スペイン、イギリス

各国 1

5)外国人の参加者数

回答数 26団体。参加者数が11~20人、

次いで 10人以下の団体も多い。

外国人参加者数 団体数

0~10 8

11~20 10

21~30 2

31~40 2

41~50 3

100 1

合計 26

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2) 在留資格(複数回答)

回答は 12団体。留学生が多く、次いで技能実習生、日本人の配偶者が多かった。また、留学

生の中にはその同伴家族も含んでいる。外国人住民を対象とした事業でもあっても、在留資格を

問わない団体が多いので、参加する外国人の在留資格は様々である。

3) 性別

男女の参加があると回答がほとんどだった。

4) 年代(複数回答)

20代が多く、次いで 30代、10代と多かった。

5) 居住地(複数回答)

宇部市内(1)、周南市内(2)、萩市周辺(1)、防府市(1)、周

南市、下関市(1)、岩国市内(米国海兵隊岩国航空基地含む)

(2)、山陽小野田市(1)、山口県内(2)、問わない(1)など。()

内は回答数。

0 2 4 6 8

ワーキングホリデー

就労

観光

永住

米軍関係者

企業研修生

日本人の配偶者

技能実習生

留学生

団体数

在留資格

団体数 %

小学生 2 5%

10代 10 22%

20代 13 29%

30代 9 20%

40代 5 11%

50代 3 7%

60代 1 2%

70代 1 2%

80代 1 2%

合計 45 100%

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6) 在日歴

回答 14団体。在日期間毎に団体数を計上した。活動対象としては在日歴1~3年未満の在住

外国人を対象としている団体が多い。在日歴を問わないとしている団体もあった。

問3. あなたの団体が外国人住民に向けて情報発信する際の手段について教えて下

さい。

1)手段

回答 26団体。ホームページが最も多く、次いでチラシ、メールとなっている。メール、Facebook、

メッセンジャーなどのSNSを活用した情報発信をしている。また、口頭、電話での発信もしているこ

とから、外国人住民と団体の関係性が構築されていると推察される。

0 2 4 6 8

問わない

5年以上

3年以上5年未満

1年以上3年未満

3か月以上1年未満

3か月未満

団体数

在日歴

0 2 4 6 8 10

Wechat

市報

手紙

FAX

ポスティング

メッセンジャー

SNS

電話

ニュースレター

Line

口頭

関連(所属)団体を通じて

Facebook

メール

チラシ

ホームページ

団体数

情報発信の手段

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2) 言語

回答 19団体。情報発信は日本語が多く、次いでやさしい日本語となっている。さらに、日本語と

他の言語を組み合わせて発信をしている。英語のみの発信は少ない。

情報発信の言語 団体数 %

日本語 9 47%

やさしい日本語 2 11%

英語 1 5%

日本語・英語 2 11%

日本語・必要に応じて英語 1 5%

日本語・中国語 1 5%

日本語・英語・可能であれば中国語、韓国語 1 5%

日本語・ドイツ語 2 11%

合計 19 100%

問4. 外国人住民への情報発信に関して、今後の課題があれば教えて下さい。

情報発信の際の案内の英語化

情報発信の際に"やさしい日本語"を使えるようにしたい

会員の拡大

国内には対象なし

対象とする外国人が移動をするので全体把握が困難である。

私たちの会は留学生がほとんどで学校の事務局がしっかりしていて問題はない。しかし、近

年では、開発途上国からの技術研修が多くない、その上、個人情報により制限がともない私

たちでは対応できない。

携帯などの情報発信ツールを持っていない外国人との連絡に課題。

外国人受入政策により増加すると思われる日本語学習者への対応。それに関しての自治体

や公的機関との連携など。

会員増を図る事、魅力ある事業の企画、予算の確保。

連絡方法が確立していない。

英語の情報発信、HPの内容の改善と充実、大学や関係機関との連携。

ブラジル人、日系人と地域住民との接触、交流の機会を増すことが会として、行政として課

題。

予算の確保、事業のPR。

外国人住民の情報収集など、外国人ニーズの現状把握。

現在、大学等の限られた団体にしか情報発信ができていない。今後、行政や学校等とも連携

して外国人との繋がりを広げていきたい。

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外国人がどのように情報収集しているのかを知ることで情報発信をしていきたい。あとは時

間とご縁。もしリストがあれば発信が簡単ですね。SNS とか。

山陽小野田市国際交流協会が公民館で実施している小野田日本語教室 (夜間、週 1回)に

参加できない人、もっと勉強したい人を対象にしている。

現状、積極的に外国人住民にむけての情報発信が行えていないことから、このたびのアンケ

ート結果等を今後の当協会の活動における参考とさせていただきたいと考えております。

より多くの人に情報を届けるための方法をさぐっています。

職場の日本人と接する以外は交流する日本人はほとんどなく、同じ国籍の人達との閉じた生

活を送っていることが多い。そのため日本語能力が伸びなかったり、日本の文化やルールに

触れる機会や地域との接点などが少ない。

団体向けアンケートを通して

国際活動をする団体は、外国人住民を対象とする事業をしている団体は 27団体あり、毎週~

2 カ月に 1回の頻度で活動をしている。

外国人住民への情報伝達はホームページが多かった。また、SNSを活用した情報発信の他、

口頭、電話での発信もしていることから、外国人住民とは情報を直接交換する関係性が構築さ

れていると推察される。また、関連団体を通じた情報発信も見られ、団体独自で情報発信をする

だけではなく、連携した動きもみられることが分かる。

情報発信では日本語とやさしい日本語を使用したものが多かった。さらに、日本語と他の言

語の使用もしている。やさしい日本語の活用が始まっていると言える。

また、外国人住民といっても、団体の活動に参加する外国人の在留資格は様々であるが、広

い意味での外国人を取り込んだ活動をしているといえる。

一方で、活動に参加する外国人の人数は 20人以下と小規模であるものの、かなりの頻度で

外国人に接触していることを考えると、団体を通じた、地域の外国人の把握、接触は有効なので

はないかと考えられた。

しかしながら、情報伝達手段、地域の外国人住民との接触方法や、教育機関や企業等からの

個人情報の入手の困難さなどの課題もあった。

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県内で活動する団体等へのヒヤリング報告

ヒヤリング先一覧

しものせき国際交流ねっと

2011年設立。市民向けの各国の文化を紹介する異文化理解講座や、外国人と日本人の交

流の場などを開催している。

外国人住民との情報のやりとり

留学生は大学経由、他は日本語を教える会・日本語学校などを通じて情報を届けている。ま

た、代表個人がメール・メッセンジャー・Line・We Chatなどを活用して情報を届けている。

多文化共生への取組み

異文化理解講座などの中で、イスラム教について取り上げたり、外国人住民の感じる文化習

慣の違いなどについての座談会を開催したりしながら、違いを知ったうえで、互いを思いやって

暮らせるきっかけづくりを行っている。

また、2019年 4月から外国籍ママ向けの子育てサロンを実施予定。公民館を借りて、月 1回

ペースで開催したいと考えている。

外国籍ママが、学校からのお知らせが理解できないといった困りごとを抱えているといった実

状を見て、学校からのお知らせの書類などが理解できるよう、教員 OBがボランティアできない

かと話しあっていた。そこから外国籍ママが気軽な雰囲気で話ができる場があるといいという話

になり、子育てサロンという形で会って話せる場をつくるという話が進んだ。会場などは下関市の

支援を受けて実施予定。

参考 URL しものせき国際交流ねっと http://blog.canpan.info/sien/

ボランティア虹の会

(岩国市)

しものせき国際交流

ねっと

下関の年少者のため

の日本語指導(個人)

(下関市)

ほうふグローバルネット

(防府市)

平川の風の会

(山口市)

ながと日本語クラブ

(長門市)

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下関の年少者のための日本語指導 當房 詠子さん(梅光学院大学 非常勤講師)

小学校または中学校程度の年齢になってから日本に来た、日本語能力が十分ではない外

国籍または日本国籍の子ども達に対する日本語指導を行っている。

外国人住民との情報のやりとり

親とのやり取りはFacebook・メッセンジャーを使うが、必要時自宅に訪問するなどの対応もし

ている。また、小中学校を通して子どもにチラシを配るだけでは、保護者が日本語を読めない

ため、直接電話して情報提供をしたりしている。

多文化共生への取組み

日本語能力が十分ではないため、授業についていけない、クラスに入れないといった子ども

への対応について、学校側から日本語指導に携わっている當房さんへ連絡があり、指導方法

の提案をするも、実際に指導する人がいないという現場の実状から、学校などへ赴いての指

導を始めた。週 1~2回程度、授業時間中に取り出しをして個別指導をしたり、授業中隣にいて

単語の意味などを教えたり、放課後指導したりと、関わり方はケースバイケースである。

夏休み期間中には、5日間の子ども向け日本語教室(主催は梅光学院大学)を 2016年から

実施しており、3人~6人の子どもが参加している。

また、日本語指導はボランティアが支えている実状があり、人材不足が一番の課題であるた

め、独自に日本語ボランティア養成講座を実施。さらに、受講後に実践したいが現場がないと

いう声をうけ、2019年 4月から、「多文化ひろば・ひこしま」として、公民館を借りて 1つクラスを

もつ予定である。

そういった活動とともに、ボランティアだけでは外国籍の子ども達への指導を継続できないた

め、教員に日本語指導の仕方を知ってもらう、日本語指導ワークショップ、日本語指導出前研

修といった方法も展開している。

参考 URL 多文化ひろば・ひこしま https://www.facebook.com/TabunkaHirobaHikoshima/

国際交流ひらかわの風の会

山口市平川地区には、山口大学の留学生とその家族などが 400人以上暮らしている。地域

住民と留学生、その家族とのパイプ役を担うことを目的に、2004年に設立。

外国人住民との情報のやりとり

留学生とは主にメールでやり取りしている。また、国によっては日本人側にとりまとめてくれる

ような人がいるので、その人に仲介してもらったりもする。日頃からのつながりがないと、いざと

いう時の相談を受けたりはできないと感じている。

多文化共生への取組み

留学生のための田圃や畑づくり、歴史文化体験事業、地域行事への参加などを行うとともに、

7年前くらい前から、家族を呼び寄せる事例に関わるようになり、Kids club(子ども部会)がス

タートした。月に 1回会員宅を開放し、留学生の子どもと地域の子どもが集う場をもっている。

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また、留学生の家族が日本で出産する事例もでてきたため、受診や入院中の付添などのマ

マサポートも行っている。

そして、子どものいる留学生で、両親とも日本語がわからない場合、学校の配布物などが理

解できず困っており、子ども達が持ち帰ったものを翻訳するという手伝いもしている。さらには、

入園や入学の書類、県営住宅の申込書などの作成をサポートしたりもしている。

また、小・中学生くらいの年齢で日本に来ると、日本語が分からず、学校になじめていないと

いう子どももおり、親と学校の間に入ったりもしている。

これらのサポートは 1人の会員が中心となって行っていたため、一時サポートが追いつかな

い状況になりつつあったが、ホストファミリー受入れからママサポートのボランティアにつながる

など、新たな担い手もでてきている。最初は関わりやすいことから活動に入ってもらい、次第に

しっかりと役割を担ってもらうという流れがあると感じている。

また、市役所で英語対応できる職員が配置されたり、大学側が各種手続きをサポートされた

り、英語が通じる医療機関などの情報が留学生の中で共有されたりと、体制が充実してきてい

る面もあり、それらを把握しておくこともサポートに役立っている。

参考 URL 国際交流ひらかわの風の会 http://hirakaze.soreccha.jp/

ほうふグローバルネット

青年海外協力隊 OBやシニア海外ボランティア OBが中心となり、2012年設立。防府市を中

心に住む外国人が地域の中でつながりをもって、安心して暮らせる多文化共生の地域づくりを

目指して活動しており、防府市に住む外国人と市民の交流イベントなどを開催している。

外国人住民との情報のやりとり

メッセンジャー、Line、We chatで、情報を発信している。特に、災害時にはやさしい日本語で

情報を発信した。2カ月に 1回のイベント開催によって、常に連絡を取り続けており、都度新し

い方を連れてきてもらい、関係性が途切れないようにしている。

多文化共生への取組み

イベントでは、外国人と日本人が交流できるように一緒にバーベキューをしたり、外国人が

講師となり自国の料理を指導する料理教室を開催したりしている。運営は参加費などの事業

収入によって賄っている。

防府市にある企業で受け入れる技能実習生は年々増えており、活動を続ける中で、市内の

受け入れ企業数社と連携がとれるようになってきてはいるが、今後も外国人住民が地域で抱

えている課題の把握や、解決に向けた取組につなげるために企業との関係性作りは課題であ

る。

技能実習生は数年で帰国するため、常に入れ替わる状態であるが、日本人の配偶者などで

長く防府市に住んでいる外国人住民の中から、支える側になろうとするものも出てきており、そ

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ういった協力者を増やしながら、外国人住民が地域と接点を持てるように、地域行事への参加

なども働きかけていきたい。

参考 URL ほうふグローバルネット http://blog.canpan.info/hofu-global-net/

ボランティア虹の会

週 1回木曜日の夜、日本語教室を開催している。日本語教師 2名、ボランティア 2名で 4ク

ラスを編成。学習者は 10~12名で、1クラス 2~5名でニーズに合わせたきめ細やかな指導を

している。

外国人住民との情報のやりとり

学習者とのやりとりはメールや電話を使用している。授業の合間の世間話などの中から、小

さな相談などに対応することもある。

多文化共生への取組み

同市には山口県国際交流協会が上半期・下半期で行う日本語教室もあるが、それとは別で

実施している。会場使用料については、岩国市からの助成があるが、学習者からは月 200円

(コピー代)を徴収するのみで、指導はボランティアで行っている。

学習者は日本人の配偶者などが中心で、今のところ技能実習生はいない。アメリカ軍基地

の人が来ることもあるが、ほとんどが仕事や生活(子どもが学校に行っているのでそのやり取

りのためなど)に日本語が必要ということで学んでいる。少人数のクラス編成ということもあり、

それぞれのニーズに合わせた指導ができている。日本語教室は多文化共生の最前線ではあ

るが、日本語指導をする人材は不足しているということが課題である。

ながと日本語クラブ

2017年設立。長門市に定住している外国人向けの日本語講座の開催、多文化交流や日

本伝統文化の交流会の開催をしている。

外国人住民との情報のやりとり

事務局が Facebook・メッセンジャー・Lineなどを活用して情報を届ける。外国人向けの日本

語講座は外国人が地域の日本人ボランティアと交流を深め、いろいろな相談や情報交換をで

きる場となっている。より多くの人へ情報を伝達するための方法を模索している。

多文化共生への取組み

市役所や公民館に来た外国人が言葉の面でコミュニケーションが取れない時や、困りごとを

抱える外国人のよろず相談の対応を、必要に迫られて実施している。

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外国人家族が困ることとして、学校の仕組みやお便りが理解できないので、その理解を助け

る支援をしたり、分かりやすいお便りを作成するように学校にかけあったりしている。学校から

の要請があれば、ボランティアスタッフを学校に派遣し、外国籍の子どもが授業についていけ

るようにサポートをしたり、日本語指導をしたりと細やかな支援をしている。

一方で、学校との打ち合わせや学習者の個人的な悩みに対応する場合は、ボランティア個

人が対応するのではなく、事務局がかかわるようにしている。

年 2回のお楽しみ会では、一緒に食べて雑談をしながら、楽しみながら良い関係性を築くよ

うにしている。

山口市国際交流室主催の「日本語ボランティア養成講座」へ、受講生を送り、日本語講座の

講師のすそ野を広げるよう、努めている。

活動のうち、日本語講師、文化指導等講師の謝金や通訳、翻訳の謝金は市や他団体か

らの助成金を受けてそれに充て、実施している。

各団体ヒヤリングを通して

各団体のヒヤリングを通して、目の前の困っている外国人住民に対応することで、生活者として

の様々な支援につながっていることを感じた。これまで大人の学習者が中心だった日本語指導に、

子どもへの支援の必要性が出てきていたり、子育てという視点で見ると、学校の書類が読めない、

やりとりができないといった点をサポートする活動も出てきている。

ただ、これらの活動はほとんどがボランティアによって支えられている状態である。

そのボランティアが不足するという状況が、日本語教室など場の運営を行うところや、個別対応

のニーズが増えることによって起こりがちである。また、外国人住民からは対価を得られないこと

が多く、運営は市の助成(会場費など)や、その他の助成金に頼った形となっている。

各地でいろいろな活動が行われているが、今回のヒヤリングの中で、団体間での情報やノウハ

ウの共有などは十分ではないと感じた。それらを行っていくことで、散在している支援をつなげるこ

とができるのではないかと感じた。

日本語指導などについては、養成講座の実施だけでなく、その受講者のフォローによって担い

手を増やしていっている事例がある。

また、英語ができないと関われないと思っている関心層に向けて、英語能力は関係なく関われ

ることがあるという啓発も必要である。

そして、日本人の配偶者など長く日本にいる外国人住民は支える側にもなれるので、そういっ

た人達に役割を担ってもらい、巻き込んでいくという事例もある。

外国人住民のアンケートを見ると、情報源が「人から聞く」、また SNS など人が担っている部分

が多い。各団体の中心を担う人達は、外国人住民へ情報をつなぐ要である。それらの人を育成し

ていくために、課題や活動の情報を発信しながら共感者を増やすこと、そういった人材となるため

に必要な要素を整理し、育成を支援していくことが必要であると感じた。

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アンケート様式

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Google フォームによるアンケートイメージ(一部抜粋)

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発行者 青年海外協力隊山口県OB会

発行日 2019年 3月

本事業は、公益財団法人山口県国際交流協会の小規模助成金を受けて実施しました。