カジメの群落生態学的研究 (3) · カジメの群落生態学的研究-ill 163 ot u oo/...

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カジメの群落生態学的研究 (3) 誌名 誌名 東海大学紀要. 海洋学部 ISSN ISSN 13487620 著者 著者 林田, 文郎 巻/号 巻/号 22号 掲載ページ 掲載ページ p. 159-169 発行年月 発行年月 1986年1月 農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センター Tsukuba Business-Academia Cooperation Support Center, Agriculture, Forestry and Fisheries Research Council Secretariat

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  • カジメの群落生態学的研究 (3)

    誌名誌名 東海大学紀要. 海洋学部

    ISSNISSN 13487620

    著者著者 林田, 文郎

    巻/号巻/号 22号

    掲載ページ掲載ページ p. 159-169

    発行年月発行年月 1986年1月

    農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センターTsukuba Business-Academia Cooperation Support Center, Agriculture, Forestry and Fisheries Research CouncilSecretariat

  • 東海大学紀要海洋学部第22号 159-169頁(1986)

    カジメの群落生態学的研究-1[*

    カジメ群落の構造について

    林田文郎

    Synecological Studies of a Brown Alga, Ecklonia cava KJELLMAN,

    Forming Aquatic Forest-][

    Structure of Ecklonia cava Population料

    Fumio HAYASHIDA

    Abstract

    The population structure of Ecklonia cava was studied in order to obtain ecological

    information of this algal forest.

    Samplings by the quadrat method were carried out at the depth of 9 to 10m, and

    the measurements of light intensity in the Ecklonia cava bed were made at the depth

    of 5 to 12m using SCUBA diving technique in the southern part of Izu Peninsula,

    Japan, during the period from 1964 to 1973.

    The average population density for the adult fronds was 11 individuals/m2, irrespec-

    tive of season of th色 year. In summer the leaf area index increased linearly with the

    increase of population density, being in丑ectedat the density of 10 individuals/m2• The

    leaf area index at average population density was 5.5m2/m2 •

    The profile structure of the well-developed Ecklonia forest was similar to that of

    the broad leaf type in terrestrial communities, having greater amounts of leaves in the

    upper part of the community.

    The light intensity in the Ecklonia bed decreased remarkably with the increase of

    depth. More than 90% of light intensity at the surface was absorbed by the Ecklonia

    canopy, and the relative light intensity at the substratum within the forest was reduced

    to only about 1% in summer.

    1. はじめ に

    カジメ Eckloniacava KJELLMAN は,褐藻植物・コンブ科に属する多年生の大型海藻で,主と

    して太平洋側中部沿岸部に多く分布し,海中林構成種として水産上極めて重要な海藻である.

    本研究は,カジメ海中林の維持,保全並びにカジメ資源の有効利用を図るための基礎的知見を得

    * 東海大学海洋学部業績A第333号.受理1985年10月17日** カジメ群落は,水中において群落の最も単純な形である,単一種の個体群より構成されることが多いので,

    ここでは communityの代わりに populationの用語を用いた

  • 160 林田文郎

    る目的で行われたもので,第 I報では調査地(静岡県南伊豆町下流地先〉の海藻植生について述べ

    〈林田, 1983),また第E報ではカジメの生長についての知見を報告した(林田, 1984 a).

    本報においては,カジメ群落の生産の動態を明らかにするための基礎知識として重要な,群落の

    構造について検討を行った.

    カジメ群落の構造については,これまでにも多くの知見が得られているが(岩橋, 1968 a, b;

    千原ら, 1969;千原・林田, 1970;林田ら, 1971; 1972 ;高間, 1979;大野・石川, 1982;喜田・

    前川, 1982, 1983),この分野に関する研究は,まだ必ずしも十分とは言い難い.

    ここでは,カジメの自然群落内における個体密度や葉面積指数に基づき,まずカジメ群落の平面

    的な構造を明らかにし,ついでカジメ群落の上端部から下端部に至る階層的な植物体量の解析によ

    り,群落の垂直的な分布構造と,それに対応する光条件の動的変動との関係について報告する.

    2. 方法

    カジメ群落の構造に関する調査は, 1964年から1973年に至る期間に,静岡県南伊豆町の下流地先

    (Fig. 1)で実施した.調査は水深9"'10mのカジメ群落を対象とし,群落内においてスキューバ

    潜水を行い,コドラート法 (1mX 1 mの方形わくを使用)によるサンプリングを行った.サンプ

    リングに際しては,カジメを茎部最下部より刈り取り,採取した材料は実験室内に持ち帰り,葉長

    ・茎長・葉重量・茎重量および茎径(茎部最下部〉をそれぞれ測定した.葉重量および茎重量につ

    いては,藻体表面の水分を口紙でいったん拭き取ったのち秤量した.

    個体密度は,カジメの幼体および成体の別に, 1m'の方形わく内におけるそれぞれの個体数で表

    わした.

    葉面積の測定に際しては,あらかじめ種々の面積の異なる長方形のセルロイド板を用意しておき,

    13ゲE 10・

    IZU PENINSULA

    Fig. 1. Map of Izu Peninsula, showing two surv巴ystations.

  • カジメの群落生態学的研究 E 161

    カジメの個々の葉片の大きさに最も見合ったセルロイド板を葉面上に固定し,セルロイド板の縁辺

    に沿ってナイフで葉部を切り取り,セルロイド板一定面積当たりの葉部の重量を秤量した.このよ

    うな「切り取り法」により,各個体について全葉片数のうち約80%を測定し, 5 nfの面積から刈り

    取ったすべての個体の葉面積を,重量換算により算出し, 1 nf当たりの平均の葉面積を求めた.

    群落の立体的構造の解析に当たっては, 10,_,15nf内の面積から刈り取った藻体を,茎部最下部か

    ら垂直方向に, 30cm間隔の水平面で切り分け,葉部と茎部とに分別して秤量し,各々の垂直的な

    植物体の重量を求めた.

    カジメ群落内外における水中照度の測定は, 1968年9月 12,_,13日に, 下流地先および下回地先

    (Fig. 1)の鍋田と江ノ浦の 3地点で実施した.照度測定に際しては,船上より水面の照度を,一

    方ではそれと同時刻に,水面より深度 1m毎の照度を潜水して測定した.そのほか,特に1969年8

    月20日に下田地先(鍋田〉および周年 8月31日に下流地先の 2地点において,水面の照度と群落最

    下部の着生基盤上における照度を,それぞれ同時刻に測定した.着生基盤上での水中照度は,長さ

    10mのロープを岩盤上に直線状に固定し,ロープに泊って10cm間隔に直読した. このような水中

    照度の測定は,いずれも正午前後に行った.

    3. 結果および考察

    3.1 平面的構造

    カジメの自然群落内における個体密度に関して,調査した時期および調査に用いた方形わく数を,

    Table 1に示した.

    カジメの個体密度について考える場合に,幼体と成体に分けて検討する必要がある.幼体と成体

    とに分ける基準としては,茎重量あるいは茎の大きさ(茎長×茎径の二乗〉などが考えられるが,

    ここでは茎重量を評価形質として用い,茎重量300g以下の個体(主として発生後2年未満の個体〉

    を幼体,茎重量300g以上の個体(主として発生後2年以上*の個体〉を成体と規定し,これら 2群

    に大別して検討を行った.

    まず,カジメの幼体の個体密度と成体の個体密度との関係を3 夏季 (6月, 7月〉と冬季 (1月3

    12月〉とに分けて, Fig.2に示した.それによると,密度の大小にかかわらず,夏季に比べ冬季の

    方が個体密度が高い傾向がうかがわれる.また両時期ともに,成体カジメの個体密度の増大に伴い,

    幼体カジメの密度が減少している.これは,群落の上層部に葉層を展開し,群落内部への光の透過

    を妨げる成体群の存在によって,幼体群の個体密度が大きく制約される結果とみられる.一方,冬

    季に幼体カジメの個体密度が高いのは,この期間における成体群の葉部の枯死,脱落に伴い,群落

    下層部への光の供給量が増大L,それによって幼体群の発生,生長が促進された結果によるものと推察される.

    このように,幼体群の生育に大きな影響を及ぼし,群落の構成面において主要な位置を占める成

    Table 1. Sampling date and the number of quadrat used for measuring population density.

    Sampling Jan.26 Mar. 3 May 10 May 14 May 23 Jun巴 18 J uly 24 Sept. 11 Dec. 3 Dec. 27

    date 1972 1970 1964 1966 1973 1965 1966 1969 1971 1972

    No.of 9 7 3 19 6 10 8 10 10 6 quadrat

    *年齢については,林田 (1977)および HAYASHIDA(1984めを参照.

  • 林田文郎162

    sum町ler

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    。• 24

    20

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    0

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    10 12 14 16 18 20 22 24026

    No. of adult individuals/ m包

    Relationship between population density of the young

    frond and the adult frond of Ecklonia cava.

    8 6 4 2 。

    Fig.2.

    10

    6

    4

    "町、,、言、‘、.....

    KAυcωコぴ

    ω』比

    16 14 12 10 8 6 4 2 。No. of adult individuals / m

    2

    Density distribution of adult fronds among the Ecklonia

    cava forest in Shitaru

    Fig.3

  • 163 カジメの群落生態学的研究-ill

    ot

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    26 24 22 20 18 16 14 12 。

    individuals / m Relationship between leaf area index and population

    density of adult fronds of Ecklonia cava in the

    luxuriant growth period (June-July).

    No. of adult

    Fig. 4.

    体群の個体密度の頻度分布を,方形わく数88個の調査資料 (Table1)に基づき, Fig.3に示した.

    それによると,個体密度7本/rrf.から15本/ばまでを含む範囲では,約58%の頻度を占めており,全

    体の平均個体密度は,年聞を通して 1rrf.当たり約11本である.このような成体カジメの個体密度に

    関して,高間 (1979) の神奈川県三浦市沿岸での調査結果によれば, 二町谷地先で12本/rrf.(水深

    9 m),宮川地先で9本/rrf.(水深10m) となっており,ほぼ同一水深で比較した場合,下流地先の

    11本/rrf.と近い値が得られている.また,伊豆下回市須崎での調査によると(岩橋, 1968 a, b),

    成体カジメの個体密度は, 1965年の 9 月 ~10月では 8~12本/rrf. (水深 6~7m) で,下流地先の

    ものに近い値を示しているが,翌年の1966年から1967年にかけての調査では, 1965年に比べ減少し

    ており,水深10mで'1.3~3. 9本/rrf.となっている.このように密度が減少した一因として,台風によ

    る影響が挙げられている.一方,高知県土佐湾では,成体カジメの平均個体密度は,水深 7~10m

    で約24本/rrf.(大野・石川, 1982),志摩半島御座岬周辺では,水深7~l1mで7.2本/rrf. (喜田・前

    JI[, 1982) とそれぞれ報告されている.下流地先のカジメと比べると,土佐湾のものでは密度がか

    なり高いのに対し,御座岬ではやや低い値を示している.

    つぎに,有機物生産に重要な役割を持ち,一方では群落内への光を吸収によって減衰させる,葉

    部の面積の大きさについて検討を行った.葉面積の大きさを表わすには,普通,単位土地面積上に

    存在する葉面積の合計(葉の片面だけの面積), すなわち葉面積/調査地面積の比を用い, これを

    葉面積指数という(吉良, 1960).

    葉の繁茂した夏季 (6,7月)における,成体カジメの葉面積指数とその個体密度との関係を,

    Fig.4に表わした.個体密度の増加に伴い,葉面積指数は比例的に増加するが,その増加傾向には,

    個体密度10本/rrf. (葉面積指数は約 5rrf./rrf.)を境にして,折線で示すような変化が認められる.す

    なわち密度が10本/rrf.以上では, それ以下の場合と比べて, 葉面積指数の増加はゆるやかであり,

    個体密度が10本/rrf.以上の場合の個体当たりの葉部の平均的な生産は, 10本/rrf.以下の密度の場合よ

  • 林田文郎164

    7

    {年亡、

    ρE) 。

    6

    -vEO』恥

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    。恥ロ

    ω」 。10 9 8 7 6 5 4 3 2

    frond (nVrrf)

    Relationship betwe巴nleaf area index of the young frond and th巴 adult

    frond, based on the data obtained in summer.

    of adult index 。reaLeaf Fig.5.

    りも低いことがうかがわれる.

    一方,葉面積指数における成体カジメと幼体カジメとの関係を, 夏季について見ると (Fig.5),

    成体の葉面積指数が 5nf/nfを越すころから, 幼体の生育が殆ど見られなくなる. その主な原因と

    しては,成体カジメの繁茂によって,群落内部における光条件が悪化し,幼体の生育が阻害された

    結果によるものと考えられる.一方,葉部の枯死,脱落が著しい冬季 (1,12月〉で、は,成体の平

    均個体密度約11本/nfにおける葉面積指数は2.0"'2.6nf/ nfで,夏季の約1/2にすぎない.前述のように, カジメ群落における成体の平均個体密度は約11本/nfであり, これに対応する葉

    面積指数は,繁茂期の夏季では約5.5nf/nfであった.

    LUNING (1969) によれば, コンブ属の葉面積指数は,Laminaria digitata で4.7nf/nf, L.

    saccharinαで5.3nf/nf, またホンダワラ科海藻の Fucusserratusで5.7nf/nfとされており, 本

    研究におけるカジメの場合と近い値が得られている.また興味あることに,カジメ群落における葉

    面積指数は,陸上の落葉樹林の 4'"6 nf/nf (WHITTAKER & WOODWELL, 1967)とも近似している.

    3.2 垂直的構造

    葉部の平面的な拡がり(葉面積の大きさ)が,群落内部への光条件を左右する主要因であること

    は,前に指摘した.ここでは,カジメ群落の立体的構造と,それに対応する光条件の動的変化につ

    いて検討を行った.

    1月26日 (1972年), 5月29日 (1969年〉および6月26日 (1966年〉の計43月3日 (1970年),

  • 165 カジメの群落生態学的研究-ill

    June

    s

    May Mar. Jan.

    s

    300

    180

    120

    GO

    240 (EU)Eoto』

    ω〉OAo↑zo一ω工

    weight

    Pro五lestructure of a Ecklonia cava population showing vertical distributions

    of blade weight (B) and stem weight (S).

    。2 3 2 4 (kg/m

    2)( 30cm)

    。2 3 。Fresh

    2 。

    Fig.6.

    回行った調査結果に基づ、き, 1 rrf内におけるカジメの葉部と茎部の垂直的な量の分布を,高さ30cm

    間隔に表わし,生産構造図 (MONSIund SA臨む 1953)を示した (Fig.6). 有機物生産の担い手で

    ある葉部の分布状態を見ると,高さ150cm以上の群落の上層部にその最大量が見られ,陸上の広葉

    草原型(吉良, 1960)に類似した構造を示している.また,葉部の凋落期に当たる冬季から,繁茂

    期の夏季に進むにしたがい,生産構造が発達していく過程がうかがわれ,夏季において,最も良く

    発達した構造を呈している.

    このようなカジメ群落の垂直的分布構造に対応して,群落の光合成に影響を及ぼす光の強さにも,

    垂直的に大きな変動が見られる.カジメのよく繁茂した時期 (6月〉における,群落内外での水中

    照度の垂直分布を, Fig.7に示した.光の強さは, 群落上層部の葉面直上で受ける光の強さを 100

    とした場合の相対照度で表わし,群落内部における照度は実線で,群落外部の照度は破線でそれぞ

    れ示した.それによると,群落内部においては,光の大部分は,主として群落上層部で密に重なり

    合う葉層の展開によって吸収され,葉層の直下では,既に70%以上が失われている.また,群落最

    下部の着生基盤上における相対照度は,僅か 5%以下に低下している.これに対して群落外部では,

    照度の減少傾向はゆるやかで,基盤上で・は約30%の照度が失われているにすぎない.

    つぎに,カジメ群落内部における水中照度の変化を,さらに詳しく検討する目的で, 1968年9月

    に生育地の異なる 3地点で照度の測定を行った (Fig.8). それによると,いずれの地点においても,

    主として群落の葉層部(破線部〉において,光吸収が顕著に認められ,葉層直下での相対照度は,

    生育深度の相違にかかわらず,いずれも10%以下に減少している.このような知見は,コンブ群落

    でも得られており,水深 1~6mに生育するコンブで、は,その葉層によって約99%の照度が失われ

    るとされている (KITCHING,1941).

  • 林田文郎

    Rel. light int.

    100% 5o 0 Fーマーーマーー守ーー守四回目B

    166

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    Q) 〉。号 120

    60

    hzo一ωヱ

    o

    weight (kg/15m2X30cm) Vertical change of the relative light intensity in the w巴ll-developedEcklonia

    cava population (solid curve) and in open sea water (dotted curve), and of

    th巴 productivestructure (histograms), based on the data in June, 1966.

    2 XIO 2 『。4 5 6

    Fresh

    Fig. 7.

    90 100

    Relative light intensity ('Yo)

    40 50 60 70 80 20 10 。

    2

    a_ 6t/r-----

    7fJ 8

    Vertical changes of the relative light intensity in the Ecklonia cava poplliation,

    based on the data from three di狂erentlocalities of Nabeta (Shimoda), Shitaru

    and Enoura (Shimoda) in September, 1968.

    a;Nabeta (Shimoda)

    b; Shitaru c; Enoura (Shimoda)

    ・一一・ leaf layer

    20〉〉

    Fig.8.

  • 30

    25

    ポ20)

    >.

  • 168 林田文郎

    主として層状に重なり合う葉部の吸収によって急激に弱められる.葉層の直下においては,海水面

    における光の強さの90%以上が失われ,群落最下部の着生基盤上における相対照度は,一放に 1%

    以下に低下することなどが明らかとなった.

    謝辞

    本稿を終わるに当たり,御指導と原稿の校聞を賜わった九州大学農学部塚原 博名誉教授,原稿

    について多くの助言を頂いた九州大学農学部奥田武男助教授,論文の作成に種々御教示頂いた西海

    区水産研究所竹下貢二博士に深甚な謝意を表する.本研究の途上において,激励と有益な助言を賜

    わった千葉大学名誉教授・淑徳大学社会福祉学部沼田 真教授,筑波大学生物科学系千原光雄教授,

    同大学下回臨海実験センター横浜康継助教授,北海道大学理学部吉田忠生助教授の各位に厚く御礼

    申し上げる.野外調査に際し便宜を与えられ,御協力を頂いた筑波大学下回臨海実験センター並び

    に静岡県南伊豆掠業協同組合の関係者各位に感謝の意を表する.

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