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© Hitachi, Ltd. 2017. All rights reserved. 実施内容と創出アイデアのまとめ 平成28年度スマートモビリティシステム研究開発・実証事業 (自動運転による新たな社会的価値及びその導入シナリオの研究) 株式会社 日立製作所 一般社団法人日本社会イノベーションセンター 2017/03/30 1

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実施内容と創出アイデアのまとめ

平成28年度スマートモビリティシステム研究開発・実証事業(自動運転による新たな社会的価値及びその導入シナリオの研究)

株式会社 日立製作所一般社団法人日本社会イノベーションセンター

2017/03/30

1

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1. 実施概要

2. イノベーションワークショップ実施内容

3. 完全自動運転がもたらす将来像

4. 事業化のポイント

2

目次

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目次

1. 実施概要

2. イノベーションワークショップ実施内容

3. 完全自動運転がもたらす将来像

4. 事業化のポイント

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自動運転の将来像策定、協調領域の特定、社会受容性の検討に貢献。

自動運転を核とした移動の革新により、環境・安全・経済等に関する社会課題が解決・改善され、世界に誇れる豊かな社会の将来像や導入プロセスを可視化し社会に広く共有する。それにより、自動運転の将来像策定、協調領域特定、社会受容性の検討に貢献。

自動運転を核とした「移動」の革新により創造する、世界に誇れる豊かな社会の将来像を、可視化・共有。

事業の目的:

目標及び内容:

経済環境 安全

社会課題:

4

1-1. 事業の目的、目標及び内容

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自動運転を活用した新サービス導入シナリオの整理・明確化

•2-②の将来像を描くフェーズの中で、導入シナリオの一部として、障壁となる事象等を抽出。

•抽出した障壁となる事象等を踏まえ、導入シナリオを、整理・明確化。

社会的価値や導入シナリオの可視化

•公開するチャネルを想定し、表現形式を選定。 「2」で創出した将来像をストーリーとしてまとめ、コンテンツを制作。

•導入シナリオは、別途表現形式を選定し、コンテンツを作成。

以下の5つのステップで実施。

国内外の自動運転の将来ビジョンの調査・分析

•資料や動画等で公開されている、国内外の自動運転の将来ビジョンを収集し、作成者、実現時期、解決する社会課題、解決策、提供価値等で整理。

•本事業でスコープに含める社会課題と、解決の方向性策定に利用。

イノベーションワークショップの開催

•ワークショップ(以下、WSと記載)は、以下の2つの内容で実施。① スキャニング(未来洞察)WS: 検討する3テーマを選定② アイデア創出WS: 選定したテーマの、提供価値や、将来像を創出③ フィードバックWS: ②で創出したアイデアに対し、様々な企業から意見を

いただき、ブラッシュアップ

1

2

3

4

まとめ5 •本事業の、実施内容、成果の報告書を作成。

5

1-2. 事業実施の流れ

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2016年度

9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月

1. 国内外の自動運転の将来ビジョンの調査・分析

2. イノベーションWSの開催

4. 社会的価値や導入シナリオの可視化

5. 全体のまとめ

Day1 10/7(金) 10:00~17:00

3. 自動運転を活用したサービス導入シナリオの整理・明確化

Day2 10/8(土) 10:00~16:30

Day1 10/20 (木) 13:00~19:00

Day2 10/27 (木) 13:00~19:00

Day1 11/10 (木) 13:00~19:00

Day2 11/15 (火) 13:00~19:00

Day1 11/24 (木) 13:00~19:00

Day2 12/8 (木) 13:00~19:00

フィードバックWS 12/15 (木) 13:00~17:00

スキャニングWS

3つのテーマのアイデア創出WS

1. 「健康・介護」+「物流のラストワンマイル」

2. 「地震等の危機対応、被災者・復興支援」

3. 「スマートプロダクト生産拠点」

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1-3. 事業実施スケジュール

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目次

1. 実施概要

2. イノベーションワークショップ実施内容

3. 完全自動運転がもたらす将来像

4. 事業化のポイント

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①検討テーマの選定

スキャニング手法による未来洞察広く将来動向を把握し、将来の社会変化や価値観変化を洞察し、社会変化仮説を作成

アイデア創出のためのテーマ選定社会変化仮説から、自動運転が強く影響を与えそうな3分野「健康・介護/物流のラストワンマイル」「災害」「産業」を検討テーマとして選出

キーワード:

参考資料:

113

貧しい国が、最先端技術を適用することで発生する課題の、先進国になる

米国資本の企業が、アフリカ等の貧しい国々で、最先端の技術

を適用したサービスを開始。

自国では実施できないサービス/技術の、フィールドテスト的な意

味合いもある。

その結果、先進国が未体験の課題が具体化する。

その解決策の検討結果は、全世界で共有される。

(第四次産業革命 新サービス導入新技術導入 最貧国)

World Economic Forum (WEF)の定義する「第四次

産業革命」(Fourth Industrial Revolution)では、過去

、革命に取り残されてきた貧しい国々が、技術の最初の導

入国となる。

例えば、Rwandaで、ワクチンを輸送するドローンのサービス

を展開するZipline。

米国では、規制がサービスの導入を難しくしている。

XXX

https://www.technologyreview.com/s/601425/in-global-shift-poorer-countries-are-increasingly-the-early-tech-adopters/#/set/id/601443/

キーワード:

参考資料:

28

気持ちよく捨てられる経験が大事になっていく

・生活の中でモノが飽和するなか、モノを選ぶ・買うことに対して特別なストーリ

ーや意味性といった情緒的価値を求める人が増えているのと同様に、モノを捨

てることに対しても「正しく・気持ちよく捨てられる」という情緒的な価値の訴求

が重要視されるようになっていく。

・モノを捨てることにもお金が掛かるようになっていくため、「手間やお金がかから

ない」という実利的な価値の訴求も当然必要となる。“元”所有者としての責

任を全うできるようにすること(=責任を問われないよう後始末してくれること

)が、次の購買の後押しにもなるだろう。

(ロボット リサイクル 環境)

・2016年3月、Appleは、「Liam」と名づけたiPhone解体

専用の工業用ロボを自社イベントで発表し、以降リサイクル

の取り組みをPRしている。

・Liamは年間に200万台のiPhoneを分解。具体的には、

バッテリーに使われているコバルトとリチウム、カメラの金と銅、

ロジックボードのシルバーとプラチナ、外身のアルミニウムを分

解・回収し再利用する。

・特に2015年に回収した金の総量は、Mac等の分も含め

て、1000キロ(約43億円)に及ぶという。

2016.XX

http://gigazine.net/news/20160322-apple-iphone-disassemble-liam/

スキャニングマテリアル180件 社会変化仮説を時系列に示した未来年表

②アイデア創出

社会イノベーションアイデアの創出検討テーマごとに有識者講演や文献調査より将来の課題を把握。自動運転のメリットが活かせ、社会的価値の高いアイデアを創出、利用シナリオ詳細化

自動運転のメリット、自動運転が生み出す社会的価値の整理

自動運転のメリット①危険・苦痛からの解放/②人間ではできない作業の代替/③コスト縮減

自動運転が生み出す社会的価値①社会的な弱者の支援/②災害時の安心・安全/③モノづくりの改革(生産性)

③フィードバック

有効性・実現性・事業性の評価各企業からの参加者がアイデアを評価。コメントから、受容性や実現課題、発展性を把握し、導入シナリオ検討のインプットとして活用

フィードバックワークショップの様子評価・ご意見一覧

イノベーションワークショップ計9回を通し、将来の社会変化や人の価値観変化を洞察。完全自動運転が普及した将来において、自動運転が社会にもたらす価値と利用シナリオを検討

自動運転を活用した新サービス導入シナリオの整理・明確化

社会的価値や導入シナリオの可視化及び公開

国内外の自動運転の将来ビジョンの調査・分析

イノベーションワークショップの開催

1

まとめ

2

3

4

5

事業実施の流れ ワークショップの流れ 実施内容

8

2-1. イノベーションワークショップ実施概要

公園の桜がきれいだけど

行ってみない?行って

みようかな

自動運転車いす

優先

専用

停止

医療機器搬送カート 団地内小型カート

避難支援 捜索・状況把握カー ライフライン復旧

少量多頻度配送

1健康・介護/物流のラストワンマイル

3スマートプロダクト生産拠点

2地震等の危機対応、被災者・復興支援

イノベーションアイデアワークショップで創出した7つのアイデア

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2-2. イノベーションワークショップ ①検討テーマの選定<サマリ>

アイデア創出のためのテーマ選定自動運転が大きな影響を与えそうなテーマ5候補と、社会変化仮説を掛け合わせ(インパクトダイナミクス表)将来シナリオを発想。より自動運転が強く影響を与えそうな3分野「健康・介護/物流のラストワンマイル」「地震等の危機対応、被災者・復興支援」「スマートプロダクト生産拠点」を検討テーマとして選出

スキャニング手法による未来洞察スキャニングマテリアルより広く将来動向を把握し、将来の社会変化や価値観変化を洞察、社会変化仮説を作成。結果より社会に変化を及ぼす主な要因を考察

社会に変化を及ぼす主な要因① AI、IoTが一般化② SNS等の仮想空間が、実世界との関係を強化③ 所有から利用(シェアリング)の拡大④ タッチポイントとしてのロボットが一般化、パーソナル化⑤ グローバル企業が成長する一方で、人々の生活を

支える、個人や地元密着の企業が活性化

スキャニングワークショップ概要• 日時:• 企画:• 参加者:

2016/10/7・8 計2回東京大学 堀井秀之教授、一橋大学 鷲田祐一教授WS参画:自動車メーカー、東京大学 i.schoolの学生、日立製作所、約30名

スキャニング手法を用い将来の社会変化や価値観変化を洞察し、社会変化の仮説を作成。自動運転が強く影響を与えそうな3テーマを選出

社会変化仮説をもとにテーマ候補に対してアイデア出し

1 健康・介護/物流のラストワンマイル

2 地震等の危機対応、被災者・復興支援

3 スマートプロダクト生産拠点

スキャニングマテリアル180件 社会変化仮説を時系列に示した未来年表将来の社会変化、価値観変化の洞察

インパクトダイナミクス表

キーワード:

参考資料:

113

貧しい国が、最先端技術を適用することで発生する課題の、先進国になる

米国資本の企業が、アフリカ等の貧しい国々で、最先端の技術

を適用したサービスを開始。

自国では実施できないサービス/技術の、フィールドテスト的な意

味合いもある。

その結果、先進国が未体験の課題が具体化する。

その解決策の検討結果は、全世界で共有される。

(第四次産業革命 新サービス導入新技術導入 最貧国)

World Economic Forum (WEF)の定義する「第四次

産業革命」(Fourth Industrial Revolution)では、過去

、革命に取り残されてきた貧しい国々が、技術の最初の導

入国となる。

例えば、Rwandaで、ワクチンを輸送するドローンのサービス

を展開するZipline。

米国では、規制がサービスの導入を難しくしている。

XXX

https://www.technologyreview.com/s/601425/in-global-shift-poorer-countries-are-increasingly-the-early-tech-adopters/#/set/id/601443/

キーワード:

参考資料:

28

気持ちよく捨てられる経験が大事になっていく

・生活の中でモノが飽和するなか、モノを選ぶ・買うことに対して特別なストーリ

ーや意味性といった情緒的価値を求める人が増えているのと同様に、モノを捨

てることに対しても「正しく・気持ちよく捨てられる」という情緒的な価値の訴求

が重要視されるようになっていく。

・モノを捨てることにもお金が掛かるようになっていくため、「手間やお金がかから

ない」という実利的な価値の訴求も当然必要となる。“元”所有者としての責

任を全うできるようにすること(=責任を問われないよう後始末してくれること

)が、次の購買の後押しにもなるだろう。

(ロボット リサイクル 環境)

・2016年3月、Appleは、「Liam」と名づけたiPhone解体

専用の工業用ロボを自社イベントで発表し、以降リサイクル

の取り組みをPRしている。

・Liamは年間に200万台のiPhoneを分解。具体的には、

バッテリーに使われているコバルトとリチウム、カメラの金と銅、

ロジックボードのシルバーとプラチナ、外身のアルミニウムを分

解・回収し再利用する。

・特に2015年に回収した金の総量は、Mac等の分も含め

て、1000キロ(約43億円)に及ぶという。

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2-3. イノベーションワークショップ ②アイデア創出<サマリ>

社会イノベーションアイデア創出ワークショップ概要• 日時:• 企画:• 参加者:

検討テーマごとに自動運転のメリットが活かせ、社会的価値の高いアイデアを創出、計7つの利用シナリオを詳細化。それにより、自動運転が生み出す社会的価値を整理。

2016/10/20・27、 11/10・15、 11/24・12/8 計6回東京大学 堀井秀之教授、一橋大学 鷲田祐一教授講師:健康・介護、物流、復興支援、生産に関わるロジスティクスの有識者WS参画:自動車メーカー、東京大学 i.schoolの学生、日立製作所、約30名

自動運転のメリット

①危険・苦痛からの解放②人間ではできない作業の代替③コスト縮減

自動運転が生み出す社会的価値

①社会的な弱者の支援②災害時の安心・安全③モノづくりの改革(生産性)

優先

専用

停止

公園の桜がきれいだけど

行ってみない?行ってみようかな

自動運転車いす高齢者の「思う存分歩く」を併走してサポートする自動運転車いす

医療機器搬送カート医師と設備や物資を別々に運ぶことで在宅医療を支援する医療カート

団地内小型カート細かなモノのやり取りをしやすくし、コミュニケーションを維持する団地内小型カート

1

健康・介護/物流のラストワンマイル

避難支援全ての車の運行が制御できるようになった世界での避難の支援

捜索・状況把握カー災害後パトロールや、被災者の捜索、被災状況の把握を24時間行う

ライフライン復旧必要な場所に水を運び続けることで、生活の復旧を助けるインフラカー

2地震等の危機対応、被災者・復興支援

少量多頻度配送分散型の生産システムで、モノづくりを行いやすくする少量多頻度の配送

3スマートプロダクト生産拠点

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2-4. イノベーションワークショップ ③フィードバック<サマリ>

将来シナリオアイデアについて、各企業からの参加者から有効性・実現性・事業性について評価を得、将来シナリオの改善や、導入シナリオ検討のインプットとして活用。

フィードバックワークショップ概要• 日時:• 企画:• 参加者:

2016/12/15 計1回東京大学 堀井秀之教授、一橋大学 鷲田祐一教授レビュアー:自治体、自動車・輸送機器メーカー、タクシー・モビリティサービス会社、デベロッパー、物流会社、計11名説明員:日立製作所より10名

得られた評価内容を、将来シナリオの受容性、実現課題(技術・運用、制度、事業)、発展性で分類。受容性に関する評価はシナリオの改善に、実現課題に関する評価は導入シナリオに反映

フィードバックワークショップ 評価コメント430件 フィードバックのまとめ

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目次

1. 実施概要

2. イノベーションワークショップ実施内容

3. 完全自動運転がもたらす将来像

4. 事業化のポイント

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• フィードバックワークショップでの評価をもとに、事業構造、収益構造を検討し、7つのアイデアから、5つを選定。

• 先行事例調査を通して、3つの代表的なアイデアを選定。

• 取り組むべき社会課題と、自動運転で解決するアイデアのセット8つを検討。

社会課題 アイデア名 アイデア検討の場課題と解決の方向性

利用のシナリオ

事業構造収益構造

Issue

1 交通事故の削減/移動弱者支援 自動走行オーナーカー 先行事例調査 ● ●

Issue

2 過疎地の公共交通維持 自動走行シェアードモビリティ 先行事例調査 ● ●

Issue

3 医療費削減(健康維持) 自動運転車いす イノベーションWS ● ● ●

Issue

4 運転手不足対策 自動走行宅配便 先行事例調査 ● ●

Issue

5 地域包括ケア推進 医療機器搬送カート イノベーションWS ● ● ●

Issue

6 モノ作り競争力強化 生産システム連動 物流カート イノベーションWS ● ● ●

Issue

7 災害時の効率的避難 災害時の一斉避難誘導 イノベーションWS ● ● ●

Issue

8 ライフラインの早期立上げ 水道の代替 イノベーションWS ● ● ●

13

3-1. 実施内容

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人の移動

モノの輸送

平常時 災害時

14

3-2. 取り扱った社会課題

移動・輸送に関わる社会課題8項目に対し、完全自動運転がもたらす価値を可視化。移送対象(人・モノ)ごとの価値の違い、および移動の状況が異なる平常時・災害時を合わせて検討した。

運転手不足対策Issue

4

地域包括ケア推進Issue

5

モノ作り競争力強化Issue

6

交通事故の削減/移動弱者支援Issue

1

過疎地の公共交通維持Issue

2

医療費削減(健康維持)Issue

3

災害時の効率的避難Issue

7

ライフラインの早期立上げIssue

8

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3-3. 自動運転のメリット、および社会的価値

自動運転のメリット

• 人の作業の代替

• 時間の有効活用

• 危険・苦痛からの解放

• 人ではできない作業の代替

• コスト縮減

社会的価値

• 交通事故削減

• 運転不足対策

• 渋滞緩和・空間の有効活用

• 社会的な弱者の支援

• 災害時の安心・安全

• モノづくりの改革(生産性)

先行事例調査、および、イノベーションワークショップにより自動運転が人に直接もたらすメリットと、社会課題に対する効果について、下記のような示唆を得た

先行事例調査

イノベーションWS

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交通事故の削減/移動弱者支援Issue

1

多くの自動車メーカーが、「交通事故死傷者ゼロ、交通事故ゼロ」をめざし自動運転技術の研究開発を日々進めています。自動運転の価

値は事故削減だけでなく、沢山の価値をもたらします。ここでは、完全自動走行オーナーカーが私たちの生活にもたらす価値を示しています。

人の移動 × 平常時

16

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自動走行オーナーカー運転の不安や利用時の手間が軽減されることで、自信を持って外出できる

Background User

17

Issue

人の移動 × 平常時 1-交通事故の削減/移動弱者支援

• 交通事故における原因の多くは、運転手の安全不確認などヒューマンエラーによるものである。• 認知症や判断力の低下した高齢者の危険運転による交通事故が多発。• 都市部には十分な駐車スペースがなく、車で移動することが難しい。

運転に不安があるが、運転をあきらめることは、外出をあきらめることになる

自動走行により、運転の不安や利用の手間を軽減することはできないか?

自分の運転技術を気にせずに外出に積極的になれる

高齢ドライバー

郊外に住み、車を運転することを楽しんでいる駅や買物には車がある方がよい運転操作に多少不安がでてきた

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社会的価値自動運転のメリット

18

Story

人の作業の代替• 人のようなミスを起こさない機械による正確な運転

時間の有効活用• 運転操作から開放され、移動時間を運転の他の活動に充てられる

交通事故削減• 交通事故を防止、事故被害者の低減

社会的弱者の支援• 車による移動に対するリスクや負担が少なくなり、運転に不安のある高齢者も安心して外出できる

人の移動 × 平常時 1-交通事故の削減/移動弱者支援

駐車時など人が乗車していない間には、自動で充電スポットに向かい充電したり、必要に応じて車両メンテナンスを行うなどして、利用者はいつでも安心して乗ることができる。

いつも安心して乗れる

自動車が歩行者や障害物を検知するので、安全不確認などのヒューマンエラーが無くなり、交通事故の心配をせずに済む。

事故を心配しない

目的地到着後、自動駐車機能により利用者は駐車場の確保を心配せずに済むようになる。外出が気軽になる。

駐車を気にしなくて済む

移動中は、運転操作から開放され、移動時間を運転以外のその他の活動に充てられるようになる。また、運転をしない搭乗者に代わって車両がインターフェースを持つことで、歩行者や他車両とのコミュニケーションが成立し、相手に失礼な態度を取ってしまう心配もない。

移動中に好きなことを行う

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過疎地の公共交通維持Issue

19

人の移動 × 平常時

運輸業界の人材不足は今後も想定され、いかに現在の公共交通を維持するかが課題となっています。自動運転車は過疎地の公共交通維

持に期待が高まっています。ここでは、完全自動走行のシェアードモビリティが、都市や郊外の公共交通に及ぼす価値を示しています。

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公共交通がなくなってしまい、自力での移動が困難になっている

自動走行シェアードモビリティ公共交通の自動化によりコストを削減することで、利用者の少ない過疎地で移動手段を提供する

運用コストの小さな自動走行を過疎地の公共交通機関に活用する

Background

公共交通が再び走るようになり、移動したいときに不自由なく移動できる

Issue

User

20

• ドライバーの高齢化や、運輸業界の人材不足が今後も進む。• 過疎化により公共交通の利用が減るとともに運行のためのコストが賄えなくなり、減便・廃止が進む。

郊外に住まう高齢者

公共交通が唯一の移動手段公共交通の便が減り、息子に送迎をお願いしている

遠慮から、外出をあきらめることがある

人の移動 × 平常時 2-過疎地の公共交通維持

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社会的価値自動運転のメリット

21

Story

バスを使いたいときには、事業者のアプリを使ってバスを呼ぶ。デマンドに合わせてバスの台数やルート、スケジュールを調整してくれるので、家に近い場所でバスに乗ることができる。公共のバスが維持されることで、隣町の知人の家に遊びに行く等、これまで通りの生活が変わらず送ることができる。

オンデマンドで利用

バスに運転士はいないが、それぞれのバスは運用会社のセンターで見守っている。バスを利用している人の把握や、走行ルートや到着時間の案内、道路上の障害物の検知をしてくれるので、安心して乗車できる。

センターからバスの見守り

コストの縮減• 自動化により運営コストを削減し、不採算路線の維持をしやすくなる

社会的弱者の支援• 公共交通以外に移動手段を持たない人に対し、移動手段を提供できる

運転手不足対策• 今後も不足が見込まれるドライバー不足に対応

都市部の渋滞緩和・空間の有効活用• ライドシェアにより車両台数が減り、道路幅が縮小、都市空間を有効活用できる

運転士が不要になることで、より広い範囲をカバーする事業者が現れたり、パッケージを購入するだけで小さな組織でバス運営ができるなど、コスト削減の可能性が広がる。利用者が減少し運行が難しいような過疎地においても、自動運転による無人の公共バスが定期的に運行し、これまでのバスを代替する。

過疎地でのバス定期運行

都市でのシェアードモビリティによる公共交通も考えられる。都市など利用の多い地域でのライドシェアが進むと、過疎地でも導入が加速しやすくなる。また、都市部では車両台数が減り、道路が広場に変わるなど都市空間の活用が進む。

人の移動 × 平常時 2-過疎地の公共交通維持

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医療費削減(健康維持)Issue

3

高齢化が進む日本。自動運転の恩恵を最も受けるターゲットとして期待されるのが高齢者です。自動運転によって、多くの高

齢者が自ら運転することなく、目的地に移動することができるようになるでしょう。一方、自動運転は「自ら運転せずに目的地

にたどりつける」ことだけに限らず、使い手の健康維持を助ける可能性も考えられます。ここでは、自動運転が使い手の歩行を

助け、社会全体の医療費を削減できる可能性を示します。

22

人の移動 × 平常時

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人に心配されることが面倒で、歩くことをあきらめ健康を損なってしまう

自動運転車いす高齢者の「思う存分歩く」と、介護者の「歩かせて大丈夫」を後押しする歩く相棒、自動運転車いす

積極的に“歩く”ことを支援するために自動運転を活用できないか?

Background

疲れても忘れても椅子がサポートしてくれるから、ひとりで出歩いてみようと思える

Issue

User

23

• 高齢者が歩くことで社会と関わり、自立した生活を続けることで、身体機能と認知機能を維持することが推奨されている。• 認知症高齢者の徘徊や事故によって、高齢者の移動が“アブナイ”ものという認識が強まっている。

高齢者

1km歩くだけで精いっぱい。自由に思ったとおりに移動したい迷子になる、思い通りに沢山歩けない自分に自信が無い体力を考えながら移動を組み立てることが面倒、おっくう

介護施設のスタッフ

人の移動 × 平常時 3-医療費削減(健康維持)

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介護施設で紹介された自動運転車いすを使い始める。使い手に寄り添って移動をするので持ち運ぶ必要がない。少し人が多い場所では、使い手の後ろなどに回ってくれる。散歩の行き先や滞在の仕方などから、歩きの好みを学習していく。

併走する

「今日はどこいくの?」などと会話を通して行き先を決めていく。時には、「ここはどちらに曲がるといいのかな?」などと質問をし、認知能力を推し量る。「公園の桜がきれいだけど行ってみない?」と少し遠くの場所を提案されたときにも、疲れても座って帰れるなら行ってみようという気持ちをつくる

会話をしながら歩くことを促す

道に迷ってしまったとしても、使い手の様子を見て「そろそろお腹すいちゃったのだけど帰りませんか?」と慌てさせないように帰宅を促す。「帰ろうかな」という言葉を拾って目的地が設定され、座ったまま移動できる。

「帰りたい」を認識し、座って移動

介護者は車いすを通して高齢者を見守れる。いまどこにいるのか、元気に歩いているのか。万一の事があった場合には、車いすから即座に連絡が入る。

ちょっとした外出の増加

社会的価値自動運転のメリット

24

Story

人ではできない作業の代替• 常に人を追従し見守ってくれることで、安心して外出できる

危険・苦痛からの人の解放• 機械が追従してくれることで、介護者を長時間拘束する申し訳なさを持たずに外出できる

社会的弱者の支援• 介護者の見守る負担を増やさず、高齢者が安心して外出できる環境を作ることで、高齢者の身体・認知機能の維持を支援する

人の移動 × 平常時 3-医療費削減(健康維持)

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人の移動 × 平常時 2-過疎地の公共交通維持

25

Stakeholder Evaluation2

サービス利用料

車いすメーカー

車いす見守りサービス事業者

利用者

SI事業者

車いすレンタル会社

車いす代金

API公開

システム構築

自動運転車いす

高齢者または家族

見守り・移送指示

介護保険レンタル料

介護保険レンタルにより、• ユーザーの初期投資額を低減• 体の状態に合わせた車いすの借り換えを容易化

位置情報や行き先設定などのAPIを事業者間で公開・共有

システム構築費

車いす見守りサービス事業者が、利用者の車いすの位置を把握し、移送指示や見守りを行う。

インターフェース

見守りシステム

工夫の余地1.介護施設や地域が車いすを所有し、シェアする利用形態2.介護保険などの活用による、利用者の導入コストの低減3.健康を保つことで利益を得られる企業(保険会社、健康食品会社など)との連携による利用者導入コストの削減

車いす見守りサービス事業者の収支を試算。 月額5000円の利用料で、2000人の利用者が確保できれば、単年度で黒字化可能。

技術• 利用者・歩行者の認識技術と運転制御、道路以外の自動走

行用マップの整備等、自動運転車より高度な制御技術開発• 段差の乗越え、軽量化・小型化などの車いす自体の技術開発• 高齢者でも使えるインターフェース・インタラクションの設計

人の移動 × 平常時 3-医療費削減(健康維持)

収入

支出

= サービス利用料 × 利用者数

= システム開発費 + 運営費 + 営業費

サービス利用料5,000円/月・人高齢者見守りサービスの価格を参考に設定

利用者数4年目に全国の後期高齢者の内2,000人(0.01%)が利用出典:「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」(国立社会保障・人口問題研究所)出生中位・死亡中位仮定による2030年の推計人口

システム開発費 6,000万円/年人件費1000万×6人

運営費1,640万円/年事務・一般作業費:800万円、コールセンター費:100万円、場所代500万円、データセンタ利用料240万円

営業費1,000万円/年(1-3年目)、2,000万円/年(4年目以降)一人あたりの人件費500万とし、3年目までは2名、4年目からは4名とした

検討課題

1

-8,040 -8,040-6,240-14,280

-2,640

2,360

-16,920 -14,560

8,360

-6,200

14,3608,160

20,360

28,520万円

2 3 4 5 6 7

:単年度収支:累積収支

単年度収支は4年目より黒字

累積収支は6年目より黒字

利用者数 100人 400人 1000人 2000人 3000人 4000人 5000人

車いす

車いす

Evaluation3

サービス利用料 5,000円/月・人※高齢者見守りサービスの価格を参考に決定

介護保険レンタル料

5,000円/月・人※購入価格を、100万円/台と想定。収入上限未満世帯で、介護保険レンタルの場合、 1割負担が適用。同等の価格の車いすの実例から算定

負担額 = サービス利用料 + 介護保険レンタル料

介護保険レンタルの利用で、利用者は月額1万円の負担。この金額ならば、上記試算の2000人程度の利用は見込める。Evaluation1

医療費削減可能性

“Among the subjects without functional limitation, medical cost was significantly lower (12%) in those walking for ≥1 hour a day than in those walking for <1 hour.”(1日に1時間以上歩く人は、1時間未満しか歩いていない人より、医療費が顕著に(12%)少なかった。)出典:Tsuji et al. , Impact of walking upon medical care expenditure in Japan: the

Ohsaki Cohort Study, Int J Epidemiol (2003) 32 (5): 809-814

後期高齢者人口2,278万人出典:「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」(国立社会保障・人口問題研究所)出生中位・死亡中位仮定による2030年の推計人口

後期高齢者でも、体力に合わせながら継続して歩くことで、医療費が削減できる可能性がある。

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運転手不足対策Issue

4

26

モノの輸送× 平常時

運輸業界の人材不足から、自動運転は不規則で長時間であることが多いドライバーの労働環境を改善する手

段として期待されています。特に、Eコマース普及により宅配便市場が急激に拡大し、再配達の非効率などから

ドライバー需要がひっ迫しています。ここでは、物流のラストワンマイルにおいての自動運転の価値を示しています。

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物のやり取りをしたいだけなのに、

第三者が自宅に運んでくれるまで待っている

自動走行宅配便人を介さない物のやりとりによる、オンデマンドで安心の宅配サービス

自動運転が無人であることが価値にならないか?

Background

好きな時間にプライバシーを気にせず使える気軽な宅配サービス

Issue

User

27

• eコマース利用の増加で小口配送が増加。一方、物流業の人材不足、再配達の非効率が社会問題化。• 犯罪や情報漏洩事故などを目にする機会が増加することで、プライバシー保護のための自衛意識が高まる。

一人暮らし女性

通販サイトやネットオークションのヘビーユーザープライバシーや個人情報の扱いに気を使っている

化粧をせず人に会うのは気が引ける

モノの輸送× 平常時 4-運転手不足対策

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社会的価値自動運転のメリット

28

Story

知らない誰かに気を使う必要が無くなり、配送のやり取りがより気軽なものになる。

誰かに会わない

人が家の前までやってくる従来のサービスと違い、他人に住所を知られるリスクが減る。また、全てデータ管理されるため、住所や内容物の印刷された伝票を複写して箱に貼り付ける、手間も減る。

プライバシーが守られる

受け取る人が好きな場所をGPSなどで指定すれば、自動で配送先を変更できる。また、それによって配送計画が複雑になってしまっても自動運転車両であれば柔軟に対応する。

好きな場所で受取れる

人が運転していないので、基本的に24時間いつでも利用でき、今より細かな配送時間の指定や変更が可能になる。

あらゆる時間に利用可能

人の作業の代替• 人が行っていた作業を機械が代替し、人が介さないサービスを実現

人ではできない作業の代替• 人が行っていた作業を機械が代替し、複雑な配送や働き手の少ない夜間配送を行う

運転手不足対策• 今後も見込まれるドライバー不足に対応

モノの輸送× 平常時 4-運転手不足対策

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地域包括ケア推進Issue

5

29

モノの輸送× 平常時

高齢化が進む日本。医療機関利用の多い高齢者が増加し、病床などの医療リソースの不足が予測されています。そこで、住

み慣れた地域で介護や医療、生活支援サポートやサービスを受けられるように地域が連携し合う地域包括ケアシステムが各

地で模索されています。ここでは、地域の医療や介護の従事者の負担を減らすために、自動運転の可能性を示しています。

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自宅で受けられる診察や治療に限りがあり、

病院にとりあえず行ってしまう

医療機器搬送カート医師や臨床検査技師と機器や備品が別々に動けるようにすることで、限られた医療リソースを活用してより高度な在宅医療を実現

訪問医療の診察や治療をより高度にするために、自動走行を活用できないか?

Background

診察・治療内容に応じて医師が臨機応変に医療リソースを集めることで、自宅でも病院同等の

診察や治療をうけることができる

Issue

User

30

• 医療機関利用の多い後期高齢者が、2015年から2025年にかけて、全国で約500万人も増加。また、2025年には、東京都の在宅医療等の必要量は、約20万人/日となる。

• 高齢者の多様な健康ニーズに対して、医療・介護・予防などの分野で地域全体で連携したサービス体制が築かれる。(地域包括ケアシステム)

急性期治療を終えた高齢者

初期のがんが見つかったが病院での切除手術を終え自宅でゆっくりと過ごしたいと思う高齢者

医師臨床検査技師

モノの輸送× 平常時 5-地域包括ケア推進

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社会的価値自動運転のメリット

31

Story

在宅医療に必要となる様々な医療機器が地域で活躍する複数の訪問医で共有されているため、高価な医療機器を自分たちで揃える必要がなく、病院でなくても高度な医療サービスを提供できる環境が整っている。

医療機器を地域にて共有

在宅医療を行う訪問医は、今後予定される患者の診察および検査内容に応じて、必要となる機器をオーダする。オーダされた機器は、次回診察の時間に合わせて予定通りにメンテナンスの行き届いた状態で患者宅に到着する。

患者宅まで機器が配送される

使用した機器は自動運転カートに載せ、医師はそのまま診療を続ける。カートに載せられた機器は次の患者宅で待つ医師または検査技師のもとに向かう。こうして、医師や検査技師、医療機器などがばらばらに地域を巡回することで、限られた医療リソースは最大限に活用される。

医師・検査技師・機器がそれぞれ地域を巡回する

自宅に医療機器を配送するだけではなく、汚れたシーツやオムツなど、毎日回収したいモノや人で運ぶことがリスクとなる物品も、自動運転カートが時間を問わず高頻度に回収してくれる。

日々の療養生活をサポート

人ではできない作業の代替• スタッフのスケジュールに合わせて医療機器を頻繁に搬送することで、地域内での共有を容易にする

• 人が運ぶことがリスクとなる医療廃棄物や検体を安全に配送できる

コストの縮減• 自動運転での医療機器の共有により、機器所有コストを縮減し、低コストで病院同等の医療の質を実現する

社会的弱者の支援• 在宅医療の普及により、真に必要とする人が大病院での診療を受けやすい環境を作る

• 医師や患者の家族に負担をかけることなく、病院と同等の質の医療を自宅でも受けられるようにする

モノの輸送× 平常時 5-地域包括ケア推進

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医療機器レンタル事業者の収支を計算。医療機器の利用回数を、1日10回、年間で250日に上げることで、レンタル事業者の収益を確保可能。

事業主体は医療機器レンタル事業者。自動運転カートによって医療機器を複数の医療従事者でシェアする。

32

カートメーカー

配送サービス会社 診療所/患者宅

SI事業者

医療機器レンタル事業者

API公開

カート

配送指示

システム利用料レンタル料

システム構築

医療機器付き自動運転カート

配達・回収

レンタル依頼

医療機器の保守を含め、運用・管理を行う

医療従事者

システム構築費

医療機器

機器代

患者配送システム

自動運転に関するシステムを管理し、レンタル依頼に基づいて輸送の実施

検討課題 技術・運用• 血液などの医療廃棄物、汚物などの廃棄物の衛生状態に配慮した輸送• 耐久性の向上など、振動に弱い医療機器の対策• 在宅医療により生じる家族の負担を減らす施策

制度• 法体系の検討(医療行為、薬事法など)• 訪問診療報酬の改定など、訪問診療に携わる医師の増加

検査費

Stakeholder Evaluation

モノの輸送× 平常時 5-地域包括ケア推進

試算前提となる将来の状況• 2015年から2025年の間の後期高齢者の人口増加数:全国 約 500万 人、

東京都 約 50万 人出典:「日本の地域別将来推計人口(平成25年3月推計)」(国立社会保障・人口問題研究所)

• 東京都の2025年の在宅医療等の必要量:197,277人 / 日出典:「東京都地域医療構想(平成28年7月)」(東京都福祉保健局)

収入

支出

= 超音波検査単価 × レンタル料率 × 検査回数× 250日/年

=超音波検査機器単価 + 自動運転車導入費用+ 保守費・税金 + 移動コスト + システム利用料

超音波検査単価 7,500円/回

レンタル料率 20%

検査回数10回/台・日在宅医療の診察件数目安が10件/日のため、同じ回数だけ機器が稼働する想定で試算

超音波検査機器単価 1,500万円 ÷ 6年(法定耐用年数) = 250万円

自動運転車導入費用 1,000万円/台 ÷ 20年 = 50万円1日20km、1年5000kmを移動。20年で交換と想定

保守費・税金 30万円/台・年

移動コスト 6万円/台・年1日20kmを移動。ガソリン代120円/L、燃費10Km/L

システム利用料 5,000円/月・台 = 6万円/年

合計 375万円/年

合計 342万円/年

医療機器メーカー

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モノ作り競争力強化Issue

6

33

モノの輸送× 平常時

コンシューメイカーによる商品企画、ハードウェアベンチャーや非製造業が主導する商品開発などが増え、モノづくりの起点

は消費者を中心としたデマンドサイドへとシフトしています。それに加え、IoT技術により工場内外のモノとモノ、モノと情報

がつながることで、工場間の生産の融通ができるようになるだけでなく、オンデマンドで、カスタマイズ性が高く、少量多品

種のモノづくりが可能になります。ここではそうしたモノの生産を助ける自動運転の活用について示しています。

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自分の体や使い道に合った機器が欲しいのに、

使い勝手・価格で満足できるものがない

生産システム連動 物流カート生産状況に合わせてP2Pで小さく沢山運べるようにすることで、モノづくりを始めやすく・続けやすくする物流システム

様々な加工を得意とする工場同士を自動運転車でラインのようにつなげられないか?

Background

高度なカスタマイズ品がつくりやすくなり、消費者の普通の選択肢になる

Issue

User

34

• 高齢者の増加等により、個人の身体特性や利用目的に合わせた身体支援ツールへのニーズが多様化する。• IoT化製品や購買行動のデータ解析などから得られるユーザーニーズを素早く反映したモノづくりが求められるようになる。• モノづくりの起点が製造業からデマンドサイドへ。 (コミュニティ主導型商品開発、モノづくり系スタートアップ=一人製造業)• 工場設備のIoT化により、複数の工場間での生産調整を行うような、分散型の生産システムが可能になる。

車椅子ユーザー自分の体と使い道に合った機器が欲しいが、• なかなかしっくりするモノが入手できない• 価格が高すぎて入手できない• 数が少なくて入手できない

モノの輸送× 平常時 6-モノ作り競争力強化

中小企業の作り手ハードウェアベンチャー

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社会的価値自動運転のメリット

35

Story

使う人の状態や使う場所に合わせてカスタマイズされたモノを使うことが当たり前になる。たとえば、今後需要が増える車いす。街への外出、家の中、スポーツなどの用途や、自分の体の大きさや状態に合わせてカスタマイズされた車いすをオーダーする。

自分に合ったモノをオーダー

設計者や工場の間で、生産工程や生産状況が共有されており、最適なタイミングを狙って部品が配送される。地域の中で工場同士をつなぐ物流カートが、刻々と変わる製造状況に合わせてP2Pの大量で複雑な配送を効率的に行う。

生産状況に合わせた配送

配送への人の関与を無くすことで、それまでできなかった少量多頻度の配送が選択肢になる。それにより、ハードウェアベンチャーや中小企業などは、仕掛品などの在庫を保有する必要が無くなり、より小さなスペースでモノづくりを行えるようになる。

少ないリソースでのモノづくり

モノづくりのためのリソースが小さくなることで、より多くの人がモノづくりを始めやすくなり、より個々のニーズに合った製品が生まれやすくなる。

モノづくりを始めやすくなる

人ではできない作業の代替• 一つのトラックで大量に集めて配送を行うのではなく、P2Pの小さく大量で刻々と変わる製造状況に合わせて、P2Pの小さく大量な配送を行う

コストの縮減• 巨大なオートメーション工場を建設するのではなく、地域のリソースで、オンデマンドでカスタマイズ性が高く、少量多品種の製造を素早く行えるようになる(設備投資費の低減)

生産性向上• P2Pの配送により、仕掛品などの在庫を保有する必要が無くなり、配送時間やコストが縮小できるため、生産効率が向上する

モノづくりの改革• より多くの人が少ないリソースでモノづくりを始めやすくなる

現在の配送 自動運転物流カートによる配送

一度に沢山運ぶ 個別に高頻度に運ぶ

モノの輸送× 平常時 6-モノ作り競争力強化

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検討課題 技術• 工場設備、製品、自動運転車のIoT化による製造工程の管理、工程

に合わせたオンタイム配送を実現する、中小企業における製造管理・物流プラットフォームの開発

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カートメーカー

配送サービス会社 工場

地域物流業者

カート代金

API公開

製品・部品

カート

配送指示配送費 製品・部品配送

システム構築

物流カート

配送サービス料

製造状況/配送依頼

システム構築費

地域での物流手段の確保のためにカートを保有し貸し出す地域物流業者を想定。

配送サービス会社が地域の物流カートを活用し、各工場の製造状況に基づいたモノの配送計画と配送指示により、P2Pのオンデマンド配送を行う。

配送サービス会社がカートを保有する地域の物流業者を束ねる役割

制度• 製造経路が多様化する中での、製造物責任の明確化• 異なる製造経路を通った際の、納得感のある売価の決定

Stakeholder Evaluation

モノの輸送× 平常時 6-モノ作り競争力強化

収入

支出

= 配送サービス料 × 顧客数

配送サービス料

720万円/年・顧客配送サービス料=自動運転で削減できる物流コスト=中小製造業平均売上額(3億/年)×物流コスト割合(6%)×自動運転によるコスト削減率(40%)

出典:「中小企業白書(2016年版)」(中小企業庁)、物流コスト割合については、社内外の情報を参考に推定

顧客数 顧客数は、年間10社ずつ拡大と想定。

万円

1 2 3 4 5 6 7

:単年度収支:累積収支

-16,890 -16,890

-11,140

-28,030

-5,390

360

-33,060

6,110

-26,950

11,860

-15,090

17,610

2,520

-33,420累積収支は7年目より黒字

単年度収支は4年目より黒字

顧客数 10 20 30 40 50 60 70

カート費用 1,500万円/顧客カート単価(1,000万円/台) × 顧客1社あたりの必要台数(1.5台/顧客)

保守費・税金 45万円/年・顧客30万円/台と想定

システム開発費 6,000万円/年※人件費1,000万×6人

システム運用費1,640万円/年※事務・一般作業費:800万円、コールセンター費:100万円、場所代500万円、データセンタ利用料240万円

移動コスト 100万円/年・顧客※社内外の情報を参考に推定

配送サービス会社及び地域物流業者の収支を合わせて試算。自動運転で低減できる物流コストの一部をサービス料として確保し、1.5台/顧客で、40社の顧客を確保できれば、黒字化可能。

= カート費用 + 保守費・税金 + システム開発費+ システム運用費 + 燃料費

SI事業者

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災害時の効率的避難Issue

7

37

モノの輸送× 災害時

災害の多い国、日本。地震などの災害発生時の危機対応が、全国各地で課題になっています。こうした災害

などの事態において、自動走行の「高度な交通制御」「無人走行」といった従来にはなかった特徴が有効に活

用されると期待されています。ここでは、災害時の避難を題材に、包括的な車両統制の可能性を示しています。

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災害直後の避難時には、膨大な数の人が

様々な意図で移動するため、混雑が発生してしまう

災害時の一斉避難誘導災害状況&人の状態に応じた、走行車両の優先付けにより、都市全体で公平な移動を実現する交通・社会システム

自動運転車を高度に制御することで、全体最適な一斉避難誘導ができないか?

Background

ひとりひとりが細かなルールに確実に従えることがみんなの安全確保につながる

Issue

User

38

• 国内人口の1/4(約3500万人)が移動弱者。高齢化が進むことで、今後も増加が予想される。• 災害時の交通渋滞が緊急車両の走行の妨げになる。(東日本大震災では5割強が車避難との調査も)• 発災のショックが加わっても「自分だけは大丈夫」「まだ大丈夫」という心理に陥り、とるべき行動が取れない場合がある。

単独で徒歩避難が難しい移動弱者

遠くまで歩いて出かける機会が日常でも少ない避難の最中や避難後の状態にも不安を感じる

モノの輸送× 災害時 7-災害時の効率的避難

子ども

車いす利用者

視覚障がい者

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社会的価値自動運転のメリット

39

Story

大半が自動走行になり、速度が守られ、混雑状況に応じて走行ルートの調整などがされるようになり、車は時間を正確に読める移動手段になっている。ルールに従ったほうが、早くて安全。

平時の道路の運行管理

発災時、災害の規模やそのときの状況に応じて、緊急車両、支援車両、避難車両などの専用道路や専用レーンが確保される。進行方向や交通流量なども同時に管理することによって、道路の混雑による混乱を避ける。

状況に応じた専用車線の確保 要移動支援者の車での避難

津波など、全員の速やかな避難が求められる時には、道路の全体管理によって混乱や渋滞を防ぎ、避難すべき方向に車を制御する。

車で避難できるケースの拡大

人ではできない作業の代替• 道路を走る車1台1台に、使用者、目的、時間、場所に応じた細かなルールを適用する。有人運転では遵守しきれないルールが守られることで、発災時の避難ルート確保や、平時の定時走行を実現できる。

社会的弱者の支援• 緊急車両を安全・確実に避難させることで、救える人の数を増やす

災害時の安心・安全• 秩序だった交通制御の実現によってパニックを防ぎ、住民全体の冷静な避難の実現に寄与する

平時 災害時 災害時 災害時

バスなどの公共車両や、あらかじめ登録された車両は、一人で避難が困難な要介護者や子どもなどの要移動支援者の避難を助ける。世帯ごとなどであらかじめ登録をしてある避難先に移動するようにし、その情報が共有されることで、離れている家族などの不安を減らす。

モノの輸送× 災害時 7-災害時の効率的避難

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モノの輸送× 災害時 7-災害時の効率的避難

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カーオーナー

自動運転車

自治体

SI事業者

システム構築

システム構築費

防災システムカーメーカークラウド

避難命令

迎車

カーメーカー

要移動支援者

公共交通運営会社クラウド

公共交通運営会社

避難命令

公共交通車両登録車両

自家用車オーナーへの金銭的または、心理的なインセンティブを与えることで、避難に活用できる登録車両を増やす

オーナーカーや公共交通車両に、目的地とルートを外部から設定する仕組みを搭載。災害時には、自治体が現在地に応じた避難命令を各車に出す。

検討課題 技術• 災害時の変化する状況にあわせた臨機応変で全体最適な車両管理• 自家用車数が減少した時の避難用車両確保や、少ない台数での避難技術開発• 歩行者の感知など徒歩避難者を考慮した避難技術の開発• 道路容量に比べて、避難車両が多い場合の対処• 災害時でも利用可能な通信技術の開発• 要避難支援者の登録・判定方法の検討

制度• 災害時の制御に関するカーオーナーとの契約• 災害時に普通車両を緊急車両として活用できるなど、自動運転車を避難

に使える制度の整備• 移動中に発生した二次災害の責任に関する所在の明確化• 悪意の利用者への対処など、災害時でも通用するルール策定• 平常時の走行管理のルール策定

災害時の津波被害に関する人的被害の大きさを試算。被害低減のために取り組む価値がある。

Stakeholder Evaluation1

災害時の津波

平時の渋滞による経済損失

= 全国人口 × 経済損失額× 渋滞による損失時間

津波による想定死者 約230,000人出典:「南海トラフ地震対策に係る取組状況」(国土交通省)

浸水域内の人口 約1,630,000人出典:「南海トラフ地震対策に係る取組状況」(国土交通省)

津波避難対策特別強化地域

沿岸部の139市町村出典:「南海トラフ地震対策に係る取組状況」(国土交通省)

南海トラフ地震による津波発生時の想定被害

災害時制御に関する契約

避難通知

避難通知

2030年の日本人口1億1662万人出典:「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」(国立社会保障・人口問題研究所)出生中位・死亡中位仮定による2030年の推計人口

経済損失額

3,150円/時間出典:「平成17年度達成度報告書/平成18年度業績計画書」 Ⅲ道路交通を円滑化する-施策7「効果的な渋滞対策の推進」(国土交通省)の貨幣価値損失を元に試算

渋滞による損失時間40 時間/人・年出典:「道路交通データの収集・分析の新たな展開~プローブ旅行時間データ等の活用に向けて~ 」(国土技術政策総合研究所)

合計 14.7兆円

平常時の渋滞による経済損失の大きさについて試算。渋滞による経済損失低減のため、全体最適な運行管理の導入が望まれる。

Evaluation2

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ライフラインの早期立上げIssue

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災害後、ライフライン復旧までの生活は、被災者に多大な負担を強います。特に断水は、食生活のレベルを下げるだ

けでなく、衛生面の低下を伴います。更に、高齢者にとっては、その重量から、水の輸送は問題だと考えます。

自動走行輸送による、災害時の、避難所だけでなく、自宅への配水自動化の可能性を示しています。

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モノの輸送× 災害時

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水が充分あればさまざまな二次被害を避けられるのに

給水所までの距離がそれを阻害する

水道の代替“無尽”配送によって、被災時でも確実なライフライン配送を実現する

自動走行による輸送により、沢山の場所に高頻度に

配り続けられないだろうか?

Background

あたかも水道があるかのように、必要な水を負担なく確実に得る

Issue

User

42

• 給水車による給水量では、衛生管理をはじめとした生活用水の十分な確保が困難。• 水不足により、感染症やエコノミークラス症候群などの健康被害が発生する。• 被災者が水を得るための労力が大きい。(自前でタンクや袋を用意、時間をかけて並ぶ、自宅までの運搬)

自宅避難をしている被災者

特に衛生面で平時に近い生活を続けたい離れた避難所から水を持ち運ぶ労力を避けたい

モノの輸送× 災害時 8-ライフラインの早期立上げ

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社会的価値自動運転のメリット

43

Story

被災者は配給担当者から配られた紙を張ることで、家の前など水を届けてほしい場所を配給スペースとして指定できる。指定後、配給車が配給スペースに水の入ったタンクを届けてくれる。これによりわざわざ避難所に水を取りに行く負担が無い。

※大量の水を届ける必要のある大型マンションでは、配給車自体が留まる等、配給場所に応じた届け方がされる。

配給スペースの設定 生活用水としての水利用

人ではできない作業の代替• 多数の車両が分担して頻繁に水を運搬することで、偏りなく必要な量の水を届けられる

コストの縮減• 大量の車両での水の運搬を低コストで実現する

災害時の安心・安全• 最低限の生活に必要な水を確実に届けることで、被災時でもQOLを下げずに生活できる

地域内での配給地点・配給量を記録し、これに基づいて配給計画を更新しながら配給車が分担して巡回する。これにより、水が必要とされる場所に必要な分偏りなく水が供給できる。

地域内での偏りのない配給 平時の代替インフラとして活用

平時では、限界集落などインフラの維持が困難となった地域で、小規模なインフラとして活用される。自動運転車が高頻度に水を運搬することにより、最小限の設備で生活に充分な水が供給できる。

被災者は、配給スペースからタンクを持っていく。20L/人・日の水が支給されることで、洗面・手洗い・体拭き等の衛生管理、食器洗い等、生活に最低限必要な量の水が利用可能となる。

モノの輸送× 災害時 8-ライフラインの早期立上げ

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Stakeholder Evaluation2

上水道設備として自動運転カートを自治体が保有、配水を行う。災害時にはカートを国(自衛隊)に貸出し、被災地での配水に活用する。

過疎地などの地域で、既存インフラを維持する場合と、自動運転車を代替インフラとして活用した場合のコストを比較。600人以下であれば、既存インフラを維持するより安価になる可能性がある。車両のコストの比率が大きく、容量増加・価格低減が望まれる。

モノの輸送× 災害時 8-ライフラインの早期立上げ

インフラ維持

水道管更新費用単価8,700万円/km出典:「水道事業の再構築に関する施設更新費用算定の手引き」(厚生労働省)配水管(口径250mm) ダクタイル鋳鉄管(耐震継手)を歩道に埋設と想定

距離 20km

= 水道管更新費用 × 距離

試算前提• 取水設備から20kmの道路に沿って点在する1000人(600人)に水配給を考える。• 200リットル/人・日の水を配給。2000リットル/台と想定。• 維持期間は水道管耐用年数である40年で比較。

総維持費 17.4億円(600人でも同額)

検討課題 技術• 車両の容量増加(4000ℓ/台なら1000人でも17.4億円)• 車両の価格低減(500万円/台なら1000人でも17.5億円)

配水可能人数/台 = 容量 × 配水回数/日 ÷ 配給量/人・日

試算前提• 災害時には、20L/人・日の水を配布(生活用水としての利用が可能な量)

配水可能人数/台 2400人

自動運転による水配送サービス

= 自動運転車関連 + 給水設備 + 受水設備+ 輸送タンク + システム利用費

サービス利用総額 24.8億円(600人では、15.6億円)

自動運転車関連

18.5億円(600人では、11.1億円)単価(1,000万円) × 延台数(146台) = 14.6億円(20万kmで交換)保守費(20万/年) × 台数(5台) × 40年 = 0.4億円移動コスト(年間走行距離(14.6万km) × 燃費(10Km/ℓ)

× 燃料費単価(120円/ℓ) × 台数(5台)40年× =3.5億円

給水設備1.6億円(600人でも同額)建屋(0.25億)+設備(0.25億×2)+光熱費(0.48億)+保守(0.4億)出典:「水がつなぐ地域の力事業」(総務省)を参考に算定

各戸の受水設備 3.5億円(600人では、2.1億円)単価(20万円)×4回交換(10年)×人口(1000人)÷平均人数/世帯(2.3人)

配水用タンク(20ℓ)1.1億円(600人では、0.7億円)(10個/人×人口(1000人)+車上の個数(100個)×台数(5台))×予備(5%)×単価(500円)×20回交換(2年で交換)

システム利用料 0.1億円(600人では、0.1億円)単価(5,000円/月・台)×台数(5台)×12カ月×40年

Evaluation1災害時の自動運転車1台による配水可能人数を試算。24時間稼働で、各自宅等に、2400人/日への供給が可能。

自動運転車積載容量 2t(2000L)

配水回数 24往復/日5km圏内から給水可能。給水込みで1時間で1往復 = 24往復/日

配給量 20L/人・日

• 公平な配送を実現する高度なロジスティクス技術の開発• 配水依頼や水の受け取りなど、配布方法の精査• 生活用水としての水の品質確保、盗難等、安全性の検討

国(自衛隊) 被災地住民

被災時給水サービス

カートメーカー

自治体 住民

SI事業者

API公開

カート

システム構築

配水依頼給水施設

自宅

システム構築費

カート代金

配水先情報

被災時カート貸出

税金

自動運転カート

配水

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目次

1. 実施概要

2. イノベーションワークショップ実施内容

3. 完全自動運転がもたらす将来像

4. 事業化のポイント

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クラウド間連携(仕様の標準化、機能の共同開発)

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個別のサービスの実施の先に、サービス間の連携による、移動・輸送キャパシティの融通等が考えられる。

システム上の共通機能の共同開発・利用により、開発コスト削減とスピードアップ、更にセキュリティの向上が期待できる。また、新規アイデアの創出・参入の加速も期待できる。

4-1. 完全自動運転車を利用した事業の具体化ポイント

クラウド クラウド クラウド クラウド クラウド

公共交通(バス)

ライドシェア事業者

車いす 自動走行宅配便

自治体

車両メーカー

サービスパッケージ提供者

クラウド クラウド クラウド クラウド クラウド需要予測用

クラウド

地域のサービス事業者

防災用クラウド

サービス利用者

公共交通(バス)会社 車いす見守り事業者

ライドシェアカー(自動走行タクシー)

自動走行カート

宅配便事業者 自動走行カート事業者

需要予測事業者

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Tsuji et al. , Impact of walking upon medical care expenditure in Japan: the Ohsaki Cohort Study, Int J Epidemiol (2003) 32 (5): 809-814, https://academic.oup.com/ije/article/32/5/809/665726/Impact-of-walking-upon-medical-care-expenditure-in

「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」(国立社会保障・人口問題研究所):http://www.ipss.go.jp/syoushika/tohkei/newest04/sH2401top.html

補足.参考資料出典

医療費削減(健康維持)Issue

3 「自動運転車いす」

「日本の地域別将来推計人口(平成25年3月推計)」(国立社会保障・人口問題研究所):http://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson13/t-page.asp

「東京都地域医療構想(平成28年7月)」(東京都福祉保健局):http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/iryo/iryo_hoken/kanren/kyogikai/chiikiiryoukousou.html

「医療機器搬送カート」地域包括ケア推進Issue

5

「中小企業白書(2016年版)」(中小企業庁): http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H28/PDF/h28_pdf_mokujityuu.html利用データ出典「平成26年度経済センサス-基礎調査結果」(総務省統計局)再編加工:http://www.stat.go.jp/data/e-census/2014/kekka.htm

「生産システム連動 物流カート」モノ作り競争力強化Issue

6

災害時の効率的避難Issue

7 「災害時の一斉避難誘導」

「南海トラフ地震対策に係る取組状況」(国土交通省): https://www.mlit.go.jp/common/001048796.pdf

「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」(国立社会保障・人口問題研究所):http://www.ipss.go.jp/syoushika/tohkei/newest04/sH2401top.html

「平成17年度達成度報告書/平成18年度業績計画書」 Ⅲ 道路交通を円滑化する-施策7「効果的な渋滞対策の推進」(国土交通省):https://www.mlit.go.jp/road/ir/ir-perform/h18/07.pdf

「道路交通データの収集・分析の新たな展開~プローブ旅行時間データ等の活用に向けて~ 」(国土技術政策総合研究所):http://www.nilim.go.jp/lab/bbg/kouenkai/kouenkai2010/happyou/03.pdf

「水道事業の再構築に関する施設更新費用算定の手引き」(厚生労働省):http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/kenkou/suido/houkoku/suidou/dl/tp120313-1.pdf

「水がつなぐ地域の力事業」(総務省):http://www.chiikinogennki.soumu.go.jp/jinzai/niigata/15218/2014-0617-1756-1889.html

「水道の代替」ライフラインの早期立上げIssue

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