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2017/11/8 01 EU MRV規制の概要とNKCSサービス ClassNKコンサルティングサービス 土橋 宏嗣 1

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2017/11/8 01

EU MRV規制の概要とNKCSサービス

㈱ClassNKコンサルティングサービス 土橋 宏嗣

1

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2. Monitoring Plan作成支援サービス

3. IMO Data Collection System (DCS)

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Monitoring

Reporting

Verification

船舶に係るMRV制度

• EU MRV

EU規則2015/757による地域規制

• IMO Data Collection System(燃料消費実績報告制度) MARPOL附属書VIの改正によるグローバルなMRV制度

MRVとは

MRVとは、(温室効果ガス排出量の)測定、報告

及び検証のことを指します。国政府、地方公共団体、企業などあらゆる団体における地球温暖化対策の基礎は、自らの活動に起因する温室効果ガスの排出量を把握することです。MRVはそ

の把握した排出量の正確性や信頼性を確保する一連のプロセスといえます。

(出典:環境省 MRVライブラリー)

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• EU域内のGHG排出削減のため、全ての経済セクターの貢献を要求

– EU2030年GHG削減目標:1990年比で40%削減

• EUのGHG排出削減対策に含まれていないのは国際海運だけ(航空部門は、2012年から欧州排出取引制度EU-ETSに加えられている)

• EU MRV制度は、EU全体のGHG削減の取り組みに海運からの排出を組み入れる段階的なアプローチの第一段階

• EU MRVの導入により、最大2%の排出削減が可能と期待されている

• EU MRVは、グローバルなMRV制度のための施行モデルとして寄与することを意図

EU MRV 背景

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EU MRV 規則

採択:2015年4月29日 発効:2015年7月1日

船籍国にかかわらず、欧州域内(EU加盟国、ノルウェー及びアイスランド)の港湾への出入港又は域内航行する5,000GT以上の船舶が対象

EU域内の港間の航海、最終寄港地からEU域内の港に入港する間の航海及びEU域内の港から次の寄港地までの航海ごとのデータが対象 (ただし、貨物の荷役又は乗客の乗降のために停泊する港間の航海)

→ ClassNKテクニカルインフォメーション(TEC-1031, 1100)にて関連情報を提供

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EU MRV 施行スケジュール

2016 2017 2018 2019 2020

31 Aug. 2017 MP提出期限

1 Jan. 2018 モニタリング (第1回報告期間)

1 Jan. 2019 モニタリング (第2回報告期間)

30 Apr. 2019 検証済ER提出期限

30 June 2019 適合証書搭載

2015/7~細則の制定 ・Delegated Regulation: 2016/11 公開 ・Implementing Regulation: 2016/11 公開

ガイダンス文書:2017/6/30 公開

施行スケジュール

~2016年末 技術的細則の制定

~2017年8月31日 MPの認証機関への提出期限

2018年1月1日~ モニタリング開始

~毎年4月30日 検証済ERのECへの提出期限

~毎年6月30日 適合証書の船上備え置き

1 Jul. 2017 罰則制定

2017年7月1日までに EU各国がECへ罰則を通知 (=未公開)

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EU MRV 認証手法

申請

書類審査

リスク分析、検証計画

検証実施

検証報告書

内部レビュー

検証声明書

【参考】ISO 14064-1に基づく認証の流れ • 具体的な認証手順は細則(Delegated Regulation(EU)2016/2072)に規定

• EU MRVの認証手法は、国際的なGHG検証規格であるISO14064を基とした内容・構成

• 検証は「合理的保証(Reasonable Assurance)」のレベルが求められる 重要性(Materiality)の閾値:5% (報告値が真の値から5%の誤差範囲以内であること)

Note: 2年以上連続して要件に不適合の場合、EU域内

の港湾当局は当該船舶に対して追放命令を出すことができる

陸上では、排出権取引のため、精緻なデータへの需要がありISO14064が広く普及している(GHG=お金)

EUにおいてもEU ETS(欧州排出取引制度)があり、EU MRVもそれに準じた検証・保証水準を要求

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EU MRV Monitoring Plan

Monitoring Plan (MP)

• 燃料消費量とその他関連情報をモニタリングするための手順を示した個船毎の計画書

• 細則(Implementing Regulation

(EU) 2016/1927)に規定されているテンプレートを参照して作成

• MP作成後は、定期的に(少なくとも年に1回)有効性の確認が必要(特にMPの有効期限はない) MPを改訂した場合には、認証機関による再審査・評価が必要となる

MPの構成

(a) 個船情報 (b) 会社情報 (c) CO2排出源(機器)と使用燃料 (d) CO2排出源(機器)の管理手順 (e) 航海等の記録手順

(f) 燃料消費量のモニタリング手順(計測手法、不確かさ等)詳細

(g) 各燃料のエミッションファクター

(h) 航海距離、海上滞在時間、貨物量等のデータ決定手順

(i) データギャップ補完手順 (j) 改訂履歴

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Emission Report (排出報告書)

ERの構成 • 個船情報/会社情報 • 認証機関の情報

• 採用したモニタリング方法と不確かさに関する情報

• 年間ベースのモニタリング対象情報

Emission Report (ER)

• EUが準備する電子テンプレートを用いて、2019年以降、毎年4月30日までに、会社は認証機関により検証されたERをEU及び旗国に提出

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1. EU MRV規制の概要

3. IMO Data Collection System (DCS)

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お客様 NKCS

以下をお客様へ送付 ・ Monitoring Planテンプレート ・ 手順書サンプル ・ 質問書 ・ 記載要領、他

サービスのお申込み

記入例を参考に、御社のモニタリング手順、管理体制に基づいた以下書類のドラフトを作成 ・ Monitoring Plan ・ 手順書 不明点は質問書にて問い合わせ お客様が作成した「Monitoring

Plan」「手順書」のドラフトを照査し、質問書へアドバイス・回答を記入 NKCSからのアドバイスを参考に、

Monitoring Planの最終化並びに必要書類の準備

Monitoring Plan並びに必要書類を認証者へ提出

NKCSサービスフロー

Monitoring Plan作成支援サービス

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・ Monitoring Plan(MP) テンプレート及び記載要領のご提供

・ 質問への回答、必要な助言のご提供

Monitoring Plan作成支援サービス

[ 記載要領書 ] 和英による解説 MP テンプレートの入力欄へ記入例を提示

[ 質問票 ] お客様はテンプレート各項目に関する質問を記入 質問への回答、コメントを記入して返送

[ サンプル手順書 ] 一般的な管理方法に基づいた 手順書をご提供

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Monitoring Plan作成支援サービス

合理的な

テンプレートのご提供

ユーザー入力範囲の

最小化

提供実績

(2017年4月~9月末) 35社

(国内19 海外16)

93隻

本サービスのご利用により急遽EU域内への配船が決

定した場合でも、EU域内への初寄港から2ヶ月以内に

MPの提出が可能です

豊富な実績

MP作成期間

平均 21日間

(実稼働日)

迅速な対応

十分な検討

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1. EU MRV規制の概要

2. Monitoring Plan作成支援サービス

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EU MRV (Article 22) 温室効果ガスの削減に関する世界的な取り組みとして、グローバルなMRVシステムが国

際的に合意された場合、欧州委員会が適切と判断すれば、規則を見直し、世界的な協定との整合性が取れるよう修正を加える。

→ IMO DCSへの整合が業界の関心事項

2015 2016 2017 2018 2019 2020

EU MRV実施

MEPC68 5月

MEPC69 4月

MEPC70 10月

MEPC71 5月

MEPC72 3月

MEPC73 10月

MEPC74 7月

IMO DCS実施

MARPOL附属書VI 改正案 承認

MARPOL附属書VI 改正採択

規則採択 4月

規則発効 7月

MP提出期限 8月

IMO

EU

条約改正発効

3月1日

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EU MRV と IMO DCS

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IMO Data Collection System (DCS)

Data Collection

• 対象船舶 5,000GT以上

• SEEMP改訂*においてデータ収集方法等を記載

• 旗国 / ROへデータ提出*(暦年年間値)

• 収集データ

* 船名

* IMO Number

* 会社名

* 旗国

* 船種

・・・etc.

Ship fuel oil consumption

database* • 報告された年間データを集計

• MEPCへ報告

報告

旗国 / RO • 年間データを受領・認証*

• SOCの発行

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*ガイドライン ・ SEEMP(改正)/データ報告フォーマット (MEPC70採択)

・ 認証ガイドライン (MEPC71採択)

・ データ管理ガイドライン (MEPC71採択)

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Standard data reporting format for DCS

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MEPC.282(70) にて、上記Dataフォームを公開

・Ship Particulars

・主機 / 他機器と燃料タイプ

・排出係数

・燃料消費量の計測方法 ・航行距離の計測方法

・航行時間の計測方法

・主管庁への報告書手順

・精度管理

• 船名

• IMO Number

• 会社名

• 旗国

• 船種

• G.T.

• N.T.

• D.W.T.

• EEDI (if applicable)

• Ice Class

(APPENDIX 2) SAMPLE FORM OF SHIP FUEL OIL CONSUMPTION DATA COLLECTION PLAN

(APPENDIX 3) STANDARDIZED DATA REPORTING FORMAT FOR DCS

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EU MRVとIMO DCSの相違点

EU MRV IMO DCS

モニタリング計画書 Monitoring Plan SEEMP

データの区切り 航海ごと 指定なし

閾値 有 無

貨物量データ 実貨物量 設計DWTで代用

認証 GHG排出量検証規格(ISO

14064)に基づく厳格な認証 データ精度と不可のバランスのと

れた検証(審議中)

認証機関 欧州NABから認定された

検証機関 主管庁/RO

データベース EMSA管理システム

'THETIS MRV'

IMO 'Ship fuel oil consumption

database'

情報公開 個船情報を含む 年間値を公表

匿名化したデータを 加盟国が入手可

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NKCSのIMO DCS支援サービス

SEEMP 対応サービス

実績 1500隻

• SEEMP標準書式の提供

• ClassNK鑑定書取得の代行

EU MRV Monitoring Plan 作成支援サービス

実績 35社(93隻)

• 要領書、手順書サンプルの提供

• MPの内容確認・コメント

• 認証取得に向けたアドバイス

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NKCSでは、SEEMP対応サービス、EU MRV MP 作成支援サービスで培っ

た知見を生かし、IMO DCSに対応した支援サービスの提供を計画中です。

IMO DCS対応サービス

(検討中) 「承認取得のための計画書作成支援」

「標準様式の提供」

(2017年9月30日現在)

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EU MRV規制と NKCS サービス

1. はじめに

2015 年 4 月 28 日に開催された欧州議会において、燃費報告制度に関する欧州規則(EU

MRV 規則) が採択された。これにより、船籍国に関わらず、EU 加盟国管轄内の港に寄港する

5,000GT 以上の船舶に対して、燃料消費量を監視するための計画書(Monitoring Plan 以下、MP

とする。)の作成及び年間ベースでの CO2 排出量を記録した排出報告書(Emission Report 以下、

ER とする。)の提出が義務付けられることになった。

これを受けて、弊社では EU MRV 規則で要求される MP の作成支援サービスの提供を開始し

ており、本サービスの概要に併せて EU MRV規則の概要をここで紹介する。

2. EU MRV規則

図 1 MRV とは

EU域内のGHG排出削減(EU2030年GHG削減目標:1990年比で 40%削減)を達成するため、

全ての経済セクターにおける貢献を要求されており、EUのGHG排出削減対策に含まれていない

のは国際海運だけ(航空部門は、2012年から欧州排出取引制度 EU-ETSに加えられている)で

ある。そのため、EU全体の GHG削減の取り組みに海運からの排出を組み入れる段階的なアプ

ローチの第一段階として EU MRV制度(EU規則 2015/757)(正式名称:Regulation (EU) 2015/757

of the European Parliament and of the Council on the monitoring, reporting and verification of

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carbon dioxide emissions from maritime transport, and amending Directive 2009/16/EC)の導入

が、議会にて採択された。これによる効果は、最大 2%の排出削減が可能と期待されており、グロ

ーバルな MRV制度のための施行モデルとして寄与することも意図されている。

2.1 適用

船籍国にかかわらず、EU 加盟国管轄権内の港へ入港する、及び EU 加盟国管轄権内の港

から出港する5,000GT 以上の船舶に適用する。ただし、軍艦、漁船、公船、木造船などには適用

しない。(Article 2に記載)

2.2 船舶の所有者、又は船舶管理者(以下、会社とする)の義務

(i) 2017 年 8 月 31 日までに、EU 加盟国が認める認証者に対し、自身が運航する 5,000GT

以上の各船舶について、CO2 排出量とその他関連情報を監視・報告するための手順を示した

MPを提出すること。(Article 4に記載)

(ii) 2017 年 8 月 31 日以降に EU MRV 規則が初めて適用される船舶は、船舶が EU 加盟国

の管轄内の港へ最初に寄港してから 2 か月以内にMPを認証者へ提出すること。(Article 6に記

載)

(iii) 2019 年以降、毎年 4 月 30 日までに前年の報告期間内における燃料消費量を取り纏め

た ERを船舶ごとに作成し、認証者の適合を受けた上で、欧州委員会と旗国の主管庁に提出する

こと。なお、報告期間とは、CO2 排出が監視・報告されるべき暦上の 1 年を指す。暦年をまたぐ

航海の場合、監視・報告されるデータは、最初の暦年に含まれなければならない。(Article 11 に

記載)

(iv) 報告期間の翌年 6 月 30 日までに認証者から有効な適合証書を入手し、船舶に搭載する

こと。(Article 18に記載)

2.3 Monitoring Plan (MP)

MP は、燃料消費量とその他関連データを計測するための手順を示した計画書であり、個船毎

に準備する必要がある。MP には以下の情報を含めなければならない。(Article 6、7に記載)

(i) 船と船種が特定できる情報(船名、IMO 番号、登録港等)

(ii) 会社名、住所、担当者の電話番号と e-mail アドレス

(iii) CO2 排出源となる機器(主機関、補機関、ガスタービン、ボイラー、内燃機関)と使用燃料

の詳細

(iv) CO2 排出源となる機器リストの更新のための手順、及び責任者

(v) 燃料消費量の監視手順詳細

(vi) 各燃料の排出係数

(vii) データ欠損に対するデータ補完の手順詳細

(viii) 会社の管理手順

2.4 監視すべき情報

会社は年間ベースにて、船舶ごとに以下の主な情報を計測しなければならない。(Article 9、

10に記載)

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(i) 各燃料の総消費量及び排出係数

(ii) CO2 の総排出量

(iii) 総航海距離

(iv) 総海上滞在時間

(v) 総トランスポートワーク(航海距離×貨物量)

(vi) 平均エネルギー効率

また、航海ごとに以下の情報を計測しなければならない。

(i) 入港地、出港地、発着日時

(ii) 各燃料の消費量及び排出係数

(iii) CO2 排出量

(iv) 航海距離

(v) 海上滞在時間

(vi) 実貨物量

(vii) トランスポートワーク(航海距離×貨物量)

2.5 Emission Report (ER)

2019 年以降、会社は前年の計測データを基に ER を作成することが要求され、ER には、以下

の情報を含めなければならない。(Article 11に記載)

(i) 船及び会社を特定できる情報

(ii) 排出報告書の認証者の情報

(iii) 2.4に記載の監視すべき情報

2.6 認証者の義務

(i) 会社から提出される MP が本規制の要件に適合しているかどうか評価しなければならない。

本要件を満足していない場合、報告期間開始前までに改訂版の提出を要求しなければならない。

(Article 13に記載)

(ii) 会社から提出される ER が、本規制に規定される要件に適合し、MP に基づいたものとなっ

ていることを確認する。また、報告された CO2 排出量と、船舶の運航データや搭載エンジンの特

性から推定できる CO2 排出量を比較し、大きな齟齬がないかを確認する。 (Article 15に記載)

(iii) ER が本規定の要件に適合している場合、認証者は当該船舶に対して認証報告書及び適

合証書を発行しなければならない。 (Article 17に記載)

2.7 認証者の要件

(i) 認証者は、当該船舶の船主または管理者から完全に独立していなければならず、独立性

や第三者性を損なう企業との繋がりがあってはならない。(Article 14に記載)

(ii) 認証者は欧州委員会から承認を受けること。(Article 16に記載)

2.8 罰則

(i) 監視と報告に関する義務を怠った場合、EU 加盟国は罰則を与える仕組みを策定し、その

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罰則が適用されるよう必要な手段を講じなければならない。また、2017 年 7 月 1 日までに欧州

委員会に、その罰則を通知しなければならない。

(ii) 監視と報告に関する義務を 2 年連続して怠った場合、EU 加盟国は当該船舶に対し追放

命令を発出するとともに、他の加盟国に通報し、EU 加盟国管轄内の港への入港を拒否できる。

(Article 20に記載)

2.9情報公開

(i) 毎年 6 月 30 日までに、欧州委員会は会社から報告された CO2 排出量と、船舶が特定

できる情報、燃料消費量、航海時間、認証者の情報等を一般公開する。

(ii) 但し、排出量以外の情報については、公開により著しく正当な商業利益が損なわれる場合

は、会社の要請に応じて情報公開に制限をつけることができる。

(iii) 欧州委員会は、CO2 排出量に関する年次報告書を公開する。また、2年に 1度、海運セク

ターの地球環境に対する影響評価を実施する。

(Article 21に記載)

2.10国際協力

IMO において燃費報告制度が策定された場合、欧州委員会は EU MRV 規則を見直し、必要

に応じて IMO における制度と一致させる改訂を行う。(Article 22に記載)

3. EU MRV Monitoring Plan(MP) 作成支援サービス

弊社では船舶運航データの収集と管理手順等の計画策定に関する計画書となるMPをお客様

が円滑に準備できるよう、標準書式の提供、記載要領及び必要な助言の提供を開始した。

3.1サービスの流れ

サービスとしては、弊社が作成した MP 記載要領、手順書サンプルなどを提供し、それらを元に

作成された MP及び手順書ドラフトを弊社にて照査し、アドバイスをするというものである。

具体的なサービスフローは以下の通りであり、サービス終了後も必要に応じて、フォローアップ

を実施している。

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図 2 NKCSサービスフロー

(1) お客様より弊社宛てに対象船を明示したサービスのお申込み受領。

(2) MP 標準書式の電子データ及び記載要領、その他必要書類をお客様にご提供。

(3) 会社の方針等に基づき、先ずはお客様にてモニタリング手順や管理体制など MP の必要

記載事項について具体的にご検討頂き作成頂く。

(4) 上記(3)を当社宛にお知らせ頂き当社の専門家により内容を確認させて頂く。その際、MP

作成に当たり記載に関する疑問点などをお取り纏めの上、併せて弊社宛にお知らせ頂く。弊

社より記載例の紹介や認証取得のための必要なアドバイスをご提供。

(5) 上記(4)を通じて、最終的には MP の必要事項の記載内容についてお客様にてご決定頂き

MPを最終化頂く。

*その後、お客様にて MP を認証者にご提出頂く。

3.2本サービスのご利用状況

2017 年 4 月に本サービス開始以降、8 月末までに、合計 35 社(国内 19 社 海外 16 社)、全

93隻に対して Monitoring Plan作成サービスを提供した。弊社が提供する MPのテンプレートと手

順書サンプルをご利用頂いた場合、サービス開始から平均 21 日(実稼働日)でお客様が作成し

た MPのドラフトに対する照査を完了し、適切なアドバイスを添えた最終成果品を納品している。

4. IMO Data Correction System (DCS)

MARPOL 条約で新造船に義務化している温室効果ガス排出性能(EEDI)の段階的強化に加え、

国際海運からの温室効果ガス排出削減を促すため、総トン数 5,000 トン以上の全ての船舶を対

象に、運航データ(燃料消費量、航海距離及び航海時間)を IMOに報告させる新たな燃料消費実

績報告制度(Data Correction System)に基づくデータ収集が実施される。

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EU MRV IMO DCS

モニタリング計画書 Monitoring Plan SEEMP

データの区切り 航海ごと 指定なし

閾値 有 無

貨物量データ 実貨物量 設計DWTで代用

認証GHG排出量検証規格(ISO

14064)に基づく厳格な認証データ精度と不可のバランスのと

れた検証(審議中)

認証機関欧州NABから認定された

検証機関主管庁/RO

データベースEMSA管理システム

'THETIS MRV'

IMO'Ship fuel oil consumption

database'

情報公開個船情報を含む年間値を公表

匿名化したデータを加盟国が入手可

図 3 EU MRV と IMO DCSの比較

4.1 IMO DCS規制の概要

IMO の燃費報告制度(DCS)は、2014 年 4 月の MEPC66 から本格的な審議が開始され、2016

年 10月のMEPC70において、5,000GT以上の国際航海に従事する船舶を対象として、当該DCS

を義務要件とするための MARPOL 条約附属書Ⅵの改正が採択された。

同改正は 2018年 3月に発効、翌年の 2019 年 1月 1日から関連データの収集開始となる。

また、MEPC70では、現行の SEEMPに PartⅡとして DCSに係る燃料消費量等のデータ計測・

報告方法及び標準報告様式を新たに追加する SEEMPガイドラインの改正が採択された。

IMO DCS施行により船舶/会社に課せられる主な義務を要約すると、次のとおりとなる。

① SEEMPの改訂

SEEMP ガイドライン(改正)に従い、データ収集方法に関する記載(以下の情報を含む)を

SEEMP に追加し、2019 年 1 月のデータ収集開始前に主管庁(又は船級協会等の RO) による確

認を受ける。

(a) 本船情報、主要目

(b) 改訂履歴

(c) 内燃機関、他の機器及び使用燃料

(d) 排出係数

(e) 燃料消費量の計測方法

(f) 航海距離の計測方法

(g) 航海時間の計測方法

(h) 主管庁/ROへのデータ報告手順

(i) データ品質管理手順

② データ収集

SEEMP に定めた方法・手順に従い、2019 年 1 月 1 日以降、燃料消費量、航海距離及び航海

時間のデータ収集を行う。

③ データ報告

2020年以降、毎年 3月末までに前暦年の燃料消費量、航海距離及び航海時間の年間合計値

を標準様式に纏め、主管庁/ROに提出。報告データは主管庁/ROにより検証を受ける。

④ 適合証書(SOC) の船上備え置き

Page 27: EU MRV規制の概要とNKCS サービス2017/11/8 01 EU MRV Monitoring Plan Monitoring Plan (MP) • 燃料消費量とその他関連情報を モニタリングするための手を示

データ報告の義務履行の証明として発行される SOCを船内に備え置く。

現行の SEEMP の運用によるエネルギー効率改善においては、「計画」「実施」「モニタリング」

「自己評価及び改善」を 1 サイクルとして、これを繰り返し実行することが求められている。すなわ

ち、各船舶は、運航時のエネルギー効率(EEOI や燃料消費量等)を定期的に自己モニタリングし

ながら、計画した効率改善策を適宜実行し、その結果を評価することで、次の効率改善計画にフ

ィードバックすることが行われている。

4.2 IMO DCSのデータ収集計画支援サービス

弊社では、EU MRV MP 作成支援サービス以外にも SEEMP作成代行サービスを提供しており、

今後も SEEMP作成代行サービス、EU MRV MP作成支援サービスで培った知見を生かし、IMO

DCSに対応した支援サービスの提供を予定している。